【文献】
新原料紹介 化粧品用シリコーン複合パウダー「KSP−441、KSP−411」,FRAGRANCE JOURNAL,2011年 7月,pp.104-105
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に用いる(A)成分の粉体は、シリコーンゴム粒子の表面をシリコーンレジンで被覆した粒子からなる複合粉体であって、該複合粉体100g当たり、25℃における動粘度が10mm
2/s以下のポリメチルシロキサンを240g以上吸油する特性を有する粉体である。好ましくは、(A)成分のシリコーンゴム粒子の表面をシリコーンレジンで被覆した粒子からなる複合粉体は、該複合粉体100g当たり、25℃における動粘度が10mm
2/s以下のポリメチルシロキサンを240〜260g吸油する特性を有する粉体である。この複合粉体の特性値である吸油量とは、JISK5101に定義されている「顔料試験方法に関する規格」であって顔料及び体質顔料の吸油量を測定する試験方法として広く知られている。
【0009】
この複合粉体を構成するシリコーンレジン被覆シリコーンゴム粒子の形状は球状であることが好ましい。球状であると光散乱効果が良好で使用感がなめらかとなる。
また、シリコーンレジン被覆シリコーンゴム粒子の体積平均粒径が10μm〜20μmであることが好ましい。10μm〜20μmとすることで光散乱効果が良好でなめらかな使用感を与える。また、このシリコーンレジン被覆シリコーンゴム粒子からなる複合粉体は、ゴム硬度デュロメーターAの値が15以上30未満であると肌当たりがやわらかいことから好ましい。シリコーンレジン被覆シリコーンゴム粒子はポリシリコーン−1クロスポリマーからなることが好ましい。
以上のような特性をもつ複合粉体は、市販品を用いても良い。市販品としては、信越化学工業(株)のKSP−411を例示できる。KSP−411は化粧品表示名称がポリシリコーン−1クロスポリマーである。そして体積平均粒径12μm、ゴム硬度デュロメーターAの値が22を示す。
【0010】
シリコーンレジン被覆シリコーンゴム粒子は、本発明の油中水型乳化化粧料に0.5〜2質量%配合することが好ましい。配合量が0.5質量%に満たないと、ぎらつきを抑える効果が得られ難くなる恐れがある。2質量%を超えて配合しても、ぎらつきを抑える効果はあまり変わらない。
【0011】
本発明の油中水型乳化化粧料は、化粧料にシリコーン油を配合する場合、あらかじめシリコーン油に該複合粉体を浸漬し、シリコーン油に均一に分散させておくことで、本発明の効果を高めることができる。
【0012】
本発明の油中水型乳化化粧料に用いる(B)シリコーン油以外の不揮発性油剤としては、油中水型乳化化粧料に通常用いられるエステル油、油脂、炭化水素類が好ましい。
【0013】
エステル油として、例えば、2−エチルヘキサン酸セチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール、ジ2−エチルヘキサン酸1,3−ブチレングリコール、ジイソノナン酸ジプロピレングリコール、ジ2−エチルヘキサン酸ジプロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等が好ましい。
油脂類として、例えば、ツバキ油、月見草油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、ホホバ油、胚芽油、小麦胚芽油等の液体油脂、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ、モクロウ核油、硬化油、硬化ヒマシ油等の固体油脂、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、ヌカロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ等のロウ類を例示できる。
炭化水素類として、例えば、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス等を例示できる。
これらのシリコーン油以外の不揮発性油剤としては常温で液状のものを用いることが好ましい。
【0014】
特に本発明の効果を得るためには、シリコーン油以外の不揮発性油剤として、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、2−エチルヘキサン酸セチル、スクワランから選ばれる一種以上を配合することが好ましい。これらの油剤はいずれも市販されている。テトラオクタン酸ペンタエリスリチルはBASF製のセチオールPEEH−4を例示することができる。2−エチルヘキサン酸セチルはコグニスジャパン(株)製のセチオールSN−1Fを例示することができる。スクワランはコグニスジャパン(株)製のFITODERMを例示することができる。
テトラオクタン酸ペンタエリスリチルは、本発明の効果に加えて、使用感に優れ、低温でも液状を保ち顔料の分散性に優れているため特に好ましい。
本発明の油中水型乳化化粧料には、シリコーン油以外の不揮発性油剤を5〜10質量%配合することが好ましい。
【0015】
本発明の油中水型乳化化粧料は、25℃、ローターM3、回転数12rpm、回転数30秒の条件で測定するとき、1500〜3000mPa・s(TV型粘度計、東機産業)の粘度を有していることが好ましい。
【0016】
本発明の油中水型乳化化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲と条件において、各種の不溶性粉体、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油、シリコーン系増粘剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、多価アルコール類、糖類、糖アルコール類、水溶性高分子、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、ヒアルロン酸のような保湿剤、香料、pH調整剤等を含有させることができる。さらに、ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、常在菌コントロール剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、美白剤、殺菌剤等の他の薬効成分、生理活性成分を含有させることもできる。
【0017】
不溶性粉体としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、グンジョウ、酸化クロム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、タルク、カオリン、窒化ホウ素、マイカ、結晶セルロース粉体、シルク粉体、ポリアクリル酸アルキル粉体、ナイロン粉体、ポリエチレン粉体、ポリスチレン粉体等を例示できる。また、シリコーン処理やフッ素処理等を施した表面処理粉体を用いてもよい。また、複数種の不溶性粉体からなる複合粉体を用いてもよい。また、目的に応じて紫外線遮蔽効果を高めた微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等を用いてもよい。
不溶性粉体はあらかじめシリコーン油などに分散処理した市販されている分散体を用いても良い。不溶性粉体の配合量は、10〜30質量%配合することが好ましく、特に12〜20質量%が好ましい。
【0018】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等を例示できる。
【0019】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、オクチルドデカノール等の分岐鎖アルコール等を例示できる。
【0020】
シリコーン油としては、ジメチコン、メチルトリメチコン、カプリリルメチコン、フェニルトリメチコン、シクロヘキサシロキサン、シクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等を例示できる。シリコーン油は本発明の(B)成分ではないが、任意に配合して構わない。揮発性、不揮発性のいずれのシリコーン油も粉体の分散性が高まるので配合することが好ましい。
【0021】
シリコーン系増粘剤としては、部分架橋型オルガノポリシロキサン、アルキル変性部分架橋型オルガノポリシロキサン、シリコーン分岐型アルキル変性部分架橋型オルガノポリシロキサンを好ましく例示することができる。もしくは部分架橋型オルガノポリシロキサンと、シクロペンタシロキサンやジメチコンといった油剤とをあらかじめ混合したゲル混合物を用いても良い。シリコーン系増粘剤を配合する場合は、分散媒としてシリコーン油が好ましい。シリコーン系増粘剤は、信越化学工業(株)製のKSG−15((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー4〜10質量%、シクロペンタシロキサン90〜96質量%の混合物)、KSG−16((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー20〜30質量%、ジメチコン70〜80質量%の混合物)、KSG−1610((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー15〜20質量%、メチルトリメチコン80〜85質量%の混合物)、KSG−18A((ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー10〜20質量%、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン80〜90質量%の混合物)等を例示できる。
【0022】
アニオン界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン酸、スルホコハク酸塩、N−アシルアミノ酸塩等を例示できる。
カチオン界面活性剤としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等を例示できる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アミドベタイン等のベタイン系界面活性剤等を例示できる。
また、本発明の油中水型乳化化粧料に配合する非イオン界面活性剤としては、ソルビタンモノオレエート、セスキイソステアリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体を例示できる。
シリコーン系界面活性剤としては、PEG−9ジメチコン、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等を例示できる。
【0023】
多価アルコール類としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール等を例示できる。
糖類、糖アルコール類としては、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、トレハロース、スクロース、キシリトール、マルトース、ラクトース等を例示できる。
【0024】
水溶性高分子としては、例えば、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード、デキストラン、プルラン、カルボキシメチルデンプン、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン、メチルセルロース、メチルハイドロキシプロピルセルロース、ハイドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等を例示できる。
【0025】
増粘剤としては、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、ステアリン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン等を例示できる。
【0026】
防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン等を挙げることができる。
【0027】
金属イオン封鎖剤としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩を例示できる。
【0028】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、2,4−ジハイドロキシベンゾフェノン等を例示できる。
【0029】
薬効成分としては、ビタミンA油、レチノール等のビタミンA類、リボフラビン等のビタミンB
6類、ピリドキシン塩酸塩等のB
6類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−グルコシド等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム等のパントテン酸類、ビタミンD
6、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類等のビタミン類を例示できる。
【0030】
本発明の油中水型乳化化粧料は、常法により秤量した油性成分を順次混合し、ホモミキサーなどの乳化機能を有する装置を用いて、撹拌混合し、その後水性成分を添加してさらに撹拌乳化して調製することができる。また油中水型乳化化粧料にシリコーン油を含む場合には、上述したようにあらかじめシリコーン油にシリコーンレジン被覆シリコーンゴム粒子からなる粉体を浸漬し、均一に分散させておき、次いでこれに各成分を順次混合し、さらに水性成分を添加して撹拌乳化して油中水型乳化物とすることで本発明の効果をより高めることができる。
【実施例】
【0031】
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。
【0032】
市販されている代表的なシリコーン粒子からなる各種粉体(表1)を用いて 表2の組成の油中水型乳化組成物(リキッドファンデーション)を調製した。表1の硬度の欄の(−)はデータが公開されていない。
なお、表2の比較例1の組成は、市販されているリキッドファンデーションの基本的な処方であり、(B)成分(シリコーン油以外の不揮発性油剤)を配合しない組成例である。また比較例2〜比較例6は本発明の(A)成分を、他の特性のシリコーン粒子からなる粉体に置換した組成例である。また比較例7は、(B)成分(シリコーン油以外の不揮発性油剤)を配合し、シリコーン粒子またはシリコーンレジン被覆シリコーンゴム粉体のいずれも配合しない組成例である。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
1.調製方法
実施例1
(A)成分であるシリコーンレジン被覆シリコーンゴム粒子からなる複合粉体(KSP−411)をシリコーン油の混合物に加え、撹拌し均一にした。さらに、(B)成分(シリコーン油以外の不揮発性油剤)、その他成分(顔料などのその他粉体、増粘剤、界面活性剤)を添加し、室温で混合し、ホモミキサー(3000rpm)で10分間混合した。混合物に水性成分(水、多価アルコール、塩化ナトリウム)を投入しながら、ホモミキサー(3000rpm)で混合し、乳化した(1〜2分間)。その後さらにホモミキサー(3500rpm)で10分間混合を継続し、調製を終了した。
【0036】
実施例2、実施例3、比較例1〜7
(A)成分(シリコーンレジン被覆シリコーンゴム粒子からなる複合粉体)またはシリコーン粒子からなる粉体、(B)成分(シリコーン油以外の不揮発性油剤)、その他成分(顔料などのその他粉体、シリコーン油、増粘剤、界面活性剤)を室温で混合し、ホモミキサー(3000rpm)で10分間混合した。混合物に水性成分(水、多価アルコール、塩化ナトリウム)を投入しながら、ホモミキサー(3000rpm)で混合し、乳化した(1〜2分間)。ホモミキサー(3500rpm)で10分間混合を継続し、調製を終了した。
なお、表2の*1〜*4を付した配合成分は下記の市販品を用いた。
*1 KSG−15: 信越化学工業(株)製 ((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー4〜10質量%、シクロペンタシロキサン90〜96質量%の混合物)
*2 KSG−16: 信越化学工業(株)製 ((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー20〜30質量%、ジメチコン70〜80質量%の混合物)
*3 顔料ミックス: 複数の市販品(酸化鉄、タルク、酸化チタン、マイカ、シリカヒドロキシアパタイト、酸化亜鉛、ジメチコン)をブレンドしたもの
*4 パール: 複数の市販品をブレンドしたもの
【0037】
実施例、比較例の油中水型乳化組成物(リキッドファンデーション)を以下の手順で粘度、明度、反射率、伸展性(塗布時の延び)、密着感、ぎらつき、毛穴隠し効果、肌を明るく見せる効果を測定・評価した。
【0038】
2.測定・官能評価
<粘度>
油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)をTV型粘度計(東機産業)を用いて、25℃、ローターM3、回転数12rpm、回転時間30秒の条件にて粘度を測定した。
【0039】
<明度>
油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)を電子天秤で0.025g量りとり、上腕内側部4×4cmにスパチュラで塗布し5min放置後に、分光測色計CM-2600dを用い光原D65、測色条件SCE(反射光を除く)にて測定した。明度は、明るさを数値化するものであり数値が高いほど明るいことを示す。尚、官能評価との関連性は、測定値の数字が「1」違うと肉眼で明らかに違いがあると感じることができる。したがって、明度は肉眼で感じている「肌を明るく見せる効果」を客観的に比較できる指標になる。
【0040】
<反射率>
油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)をKペイント アプリケーターと特注4面フィルムアプリケーターを用いて石英板に厚さ25μmで均一に塗布し乾燥させサンプル調整した。変角色差計GC5000にて入射角45°から各サンプルに投光し、反射した光を反射角−70°〜+70°まで5°毎に受光器で400nm〜700nmの波長を測定した。
+45°で測定した光の強さを下記の計算方法で換算した値を反射率とした。
本実験では、成分(B)(シリコーン油以外の不揮発性油剤)をシリコーン油(フェニルトリメチコン)に置き換えた従来型のリキッドファンデーションの処方である比較例1を測定した結果を基準として反射率を求めた。これは、油剤としてシリコーン油のみで処方されたファンデーションや下地化粧料が市場で汎用されていることに基づく。
反射率は数値が大きいほど、従来品と比較して反射していることを意味する。すなわち、肉眼で感じている「ぎらつき」の程度を相対数値化するものである。
反射率=(各サンプルの測定値)÷(比較例1の測定値)
【0041】
<伸展性(塗布時の延び)>
専門パネルが油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)を手の甲に塗布し、伸展性を以下の基準で評価した。
〇:伸びがよい
△:伸びがやや重い
×:伸びが重い
【0042】
<密着感>
専門パネルが油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)を手の甲に塗布し、密着感を以下の基準で評価した。
○:密着感がある
△:密着感がやや不足する
×:密着感が足りずサラサラしすぎる
【0043】
<ぎらつき>
専門パネルが油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)を手の甲に塗布し、ぎらつくかどうかを以下の基準で評価した。
○:ぎらつかない
×:ぎらつく
【0044】
<毛穴隠し効果>
専門パネルが油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)を顔面に塗布し、毛穴隠し効果を以下の基準で評価した。
◎:毛穴がとてもよく隠れる
○:毛穴がよく隠れる
△:毛穴がやや隠れない
×:毛穴が隠れない
【0045】
<肌を明るく見せる効果>
専門パネルが油中水型乳化化粧料(リキッドファンデーション)を手の甲に塗布し、肌を明るく見せるかどうか、以下の基準で評価した。
◎:肌を明るく見せる効果がより一層ある
○:肌を明るく見せる効果がとてもある
△:肌を明るく見せる効果がある
×:肌を明るく見せる効果がない
【0046】
(3)結果
結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
各実施例、比較例のリキッドファンデーションの粘度はいずれも1500〜3000mPa・Sの範囲にあり、リキッドファンデーション化粧料として好ましい粘度を有していた。
「肌を明るく見せる効果」については、比較例1および2以外は、△(肌を明るく見せる効果がある)〜◎(肌を明るく見せる効果がより一層ある)であり概ね良好であった。この実施例1〜3、比較例3〜7の「肌を明るく見せる効果」の官能評価結果は、「肌を明るく見せる効果」が「×」と評価された比較例1および2の明度の測定値よりも実施例1〜3、比較例3〜7の明度の測定値がいずれもほぼ「1以上高い」という明度の測定結果とほぼ一致していた。
「ぎらつき」については、実施例1〜3と比較例1および2は良好であったが、比較例3〜7は明らかに劣っていた。この「ぎらつき」は、反射率の測定結果と良く一致していた。
次に、前記2つの官能評価項目を合わせて検討すると、比較例3〜7は前述のとおり「肌を明るく見せる効果」はあるものの(評価:△)、「ぎらつき」が強く生じてしまっており(評価:×)、本発明が求める「ぎらつかずに肌を明るく見せる効果」は全く達成できていないと言える。また、比較例1および2は「ぎらつき」はないものの「肌を明るく見せる効果」もなく、これも本発明の求める効果を全く達成できていないと言える。
本発明の課題である「ぎらつかずに肌を明るく見せる効果」が得られたのは、実施例1〜3の組成のみであることがわかった。
尚、毛穴隠し効果や伸展性や密着感といった使用感の結果は以下のとおりであった。
毛穴隠し効果(隠蔽効果)は、実施例1〜3、比較例1および2はいずれも好ましい結果であった。比較例3〜7は毛穴の隠蔽効果において劣っていた。
伸展性(塗布時の伸び)は、実施例1および2、比較例1〜6は好ましい結果であった。
密着感は、実施例1〜3、比較例2および5〜7は好ましい結果であった。
実施例3の成分(B)がスクワラン単独配合の場合に、伸びがやや重い(評価:△)と評価された以外は、実施例1〜3は「毛穴隠し効果」、「密着感」のいずれの評価項目も「〇」又は「◎」と評価され、好ましい結果であった。
【0049】
以上のことから、(A)成分のシリコーンゴム粒子の表面をシリコーンレジンで被覆した複合粉体であって、該複合粉体100g当たり、25℃における動粘度が10mm
2/s以下のポリメチルシロキサンを240g以上吸油する特性を有したシリコーンレジン被覆シリコーンゴム粉体と、(B)成分のシリコーン油以外の不揮発性油剤とを含有する油中水型乳化化粧料は、ぎらつくことなく肌を明るく見せ、伸展性、密着性といった使用感にも優れ、毛穴隠し効果などの隠蔽効果をも有する優れた化粧料となることが分かった。
すなわち本発明の油中水型乳化化粧料は、ファンデーションや化粧下地として極めて優れた特性を有していることが明らかとなった。