特許第6061746号(P6061746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6061746ヒドロキシガリウムフタロシアニンの調製のための手順
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061746
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】ヒドロキシガリウムフタロシアニンの調製のための手順
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/04 20060101AFI20170106BHJP
   G03G 9/09 20060101ALI20170106BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20170106BHJP
   G03G 5/06 20060101ALI20170106BHJP
   C09B 67/12 20060101ALI20170106BHJP
   C09B 67/50 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   C09B67/04
   G03G9/08 361
   G03G9/08 381
   G03G5/06 371
   C09B67/12
   C09B67/50 Z
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-60328(P2013-60328)
(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-216885(P2013-216885A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2016年3月17日
(31)【優先権主張番号】13/439,282
(32)【優先日】2012年4月4日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ジェイ・ロビンソン
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・サバン
(72)【発明者】
【氏名】ユーリン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】サンドラ・ジェイ・ガードナー
(72)【発明者】
【氏名】クォン・フォン
【審査官】 村守 宏文
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0286468(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0259281(US,A1)
【文献】 米国特許第08568962(US,B1)
【文献】 特開2010−202747(JP,A)
【文献】 米国特許第05985505(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B
G03G
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシガリウムフタロシアニン(HOGaPc)I型多形、溶媒および粉砕媒体を含むスラリーを得ることと、
前記スラリーを、前記スラリーの共振周波数で、HOGaPc I型多形からHOGaPc V型多形へ変換するために5分〜40分の間、低周波音場を適用することによって混合することと、
を含む、ヒドロキシガリウムフタロシアニンV型多形の調製のための手順。
【請求項2】
前記混合することは、15Hertz〜2000Hertzの周波数で行われる、請求項1に記載の手順。
【請求項3】
前記混合することは、0℃〜100℃の温度で行われる、請求項1に記載の手順。
【請求項4】
前記スラリーは、前記HOGaPc I型多形と前記溶媒とを合わせた重量に基づき2重量%〜10重量%の前記HOGaPc I型多形を含む、請求項1に記載の手順。
【請求項5】
前記スラリーは、前記HOGaPc I型多形と前記溶媒とを合わせた重量に基づき5.5重量%〜6.5重量%の前記HOGaPc I型多形を含む、請求項1に記載の手順。
【請求項6】
前記溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)である、請求項1に記載の手順。
【請求項7】
前記溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、ジメチルスルホキシド、キノリン、1−クロロナフタレン、N−メチルピロリドンおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の手順。
【請求項8】
前記粉砕媒体は、0.5mm〜10mmのサイズを有する、請求項1に記載の手順。
【請求項9】
前記粉砕媒体は、ガラス、鋼、およびセラミックからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の手順。
【請求項10】
さらに、前記HOGaPc V型多形を洗浄溶媒で洗浄することを含む、請求項1に記載の手順。
【請求項11】
前記洗浄溶媒は、アセトンおよび脂肪族アルコールからなる群から選択される、請求項10に記載の手順。
【請求項12】
有機溶媒中にヒドロキシガリウムフタロシアニン(HOGaPc)I型多形を含むスラリーを、前記スラリーの共振周波数を有するガラスビーズと、HOGaPc I型多形からHOGaPc V型多形へ変換するために5分〜40分の間、低周波音場を適用することによって混合することを含、ヒドロキシガリウムフタロシアニンV型多形の調製のための手順。
【請求項13】
前記有機溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、ジメチルスルホキシド、キノリン、1−クロロナフタレン、N−メチルピロリドンおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の手順。
【請求項14】
N,N−ジメチルホルムアミド中2重量%〜10重量%のヒドロキシガリウムフタロシアニン(HOGaPc)I型多形を含むスラリーを、0.5mm〜10mmの大きさを有するガラスビーズと、共振周波数で、10分間〜20分間混合し、HOGaPc I型多形をHOGaPc V型多形へ変換することを含む、ヒドロキシガリウムフタロシアニンV型多形の調製のための手順。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、画像化における使用のためのヒドロキシガリウムフタロシアニン(HOGaPc)化合物を産生するための手順に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術であるヒドロキシガリウムフタロシアニンの多形体相互変換に関する問題は、ロール粉砕手順の規模変項の制限である。この問題は、種々の大きさの好適な粉砕容器を製造し取り扱うことができない点で明らかになる。さらに、ロール粉砕手順によって提供されるV型ヒドロキシガリウムフタロシアニンの産生は、光感受性の劣化を有し得る。他の操作的および物流的な問題としては、長い粉砕時間(代表的には、1〜10日間)が挙げられ、これは、植物の受容能を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
V型HOGaPcを生産するための、より信頼性があり且つ効率のよい手順が、所望される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態によりヒドロキシガリウムフタロシアニン(HOGaPc)I型多形、粉砕媒体、および溶媒を含むスラリーを得ることを含む手順が、提供される。このスラリーは、スラリーの共振周波数で、HOGaPc I型多形からHOGaPc V型多形への変換のために充分な時間に亘って、低周波音場を適用させることによって混合される。
【0005】
別の実施形態によりヒドロキシガリウムフタロシアニン(HOGaPc)I型多形を含む有機溶媒中スラリーを、共振周波数を有するガラスビーズと、HOGaPc I型多形からHOGaPc V型多形への変換のために充分な時間に亘って混合することを含む手順が提供される。HOGaPc V型多形は、7.4度2θ、9.8度2θ、12.4度2θ、16.2度2θ、17.6度2θ、18.4度2θ、21.9度2θ、23.9度2θ、25.0度2θおよび28.1度2θにおいて主要なピークを有し、7.4度2θおよび28.1度2θにおいて最高ピークを有する。
【0006】
別の実施形態によりN,N−ジメチルホルムアミド中に約2重量%〜約10重量%のヒドロキシガリウムフタロシアニン(HOGaPc)I型多形を含むスラリーを、約0.5mm〜約10mmの大きさのガラスビーズと、共振周波数で約10分間〜約20分間に亘って混合し、HOGaPc I型多形からHOGaPc V型多形へ変換させることを含む手順が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(HOGaPC)色素についての産生工程を示す図である。
図2図2は、HOGaPc多形のX線回折スペクトルを示す図である。
図3図3は、開示の実施形態にしたがって調製されたHOGaPc色素で被膜されたフィルムと、通常ロールミルを用いて調製された対照HOGaPcサンプルで被膜されたフィルムとのUVスペクトルを示す図である。
図4図4は、開示の実施形態にしたがって調製されたHOGaPc色素と通常ロールミルを用いて調製された対照HOGaPcサンプルとについてのPIDC(光放電曲線)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書は、一般に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(HOGaPc)化合物の調製のための手順、ならびに画像化物品およびその画像化手順を指向する。より具体的には、ドロキシガリウムフタロシアニンI型多形をヒドロキシガリウムフタロシアニンV型多形に変換させる手順が、記載される。ヒドロキシガリウムフタロシアニンV型多形の画像化物品における使用、ならびにこの画像化物品を使用する画像化手順および装置が、提供される。
【0009】
ヒドロキシガリウムフタロシアニン(HOGaPc)光受容体色素は、多くの光受容体(P/R)デバイスにおいて使用される。図1は、HOGaPc I型をHOGaPc V型多形へ変換するために使用される工程を示す。HOGaPcのI型多形は、代表的に、ロール粉砕を通してHOGaPcのV型多形へと変換される。ロール粉砕手順は、I型多形からV型多形への変換を完了させるために、約1日間〜約4日間かかる。HOGaPcについての総産生時間は、約3週間である。したがって、I型多形からV型多形への多形変換は、比較的長期の手順である。
【0010】
得られたHOGaPc V型多形の電気特性は、以下が挙げられる。約1.00〜約1.40、もしくは約1.05〜約1.35、もしくは約1.10〜約1.30ergs/cmのE1/2、約2.60〜約3.1、もしくは約2.65〜約3.05、もしくは約2.70〜約3.0ergs/cmのE7/8、約5.0〜約11.0、もしくは約5.5〜約10.5、もしくは約6.0〜約10ボルトの残留電圧(V)、および500平方ミリ秒で約40ボルト未満、もしくは500平方ミリ秒で約39ボルト未満、もしくは500平方ミリ秒で約38ボルト未満の暗失活。
【0011】
HOGaPc V型多形生成物は、7.4度2θ(2θ±0.2度)、9.8度2θ、12.4度2θ、16.2度2θ、17.6度2θ、18.4度2θ、21.9度2θ、23.9度2θ、25.0度2θおよび28.1度2θにおいてピークを有し、7.4度2θおよび28.1度2θにおいて最高のピークを有する。これは、図2に示されている。HOGaPcのI型多形が、比較目的で示される。HOGaPc V型多形生成物は、約830〜約860、もしくは約835〜約860、もしくは約840〜約860のλmaxを有する。
【0012】
強震音混合は、ロールミルミキサーに見出される従来の粉砕とは異なっている。低周波、高強度の音響エネルギーが使用され、混合容器内全体に均一な剪断野を作る。結果は、迅速な流動化(流動層の様な)および物質の分散である。
【0013】
バルク流れの導入によるロールミル混合とは異なり、音響混合は、混合容量を通して微小規模で起こる。
【0014】
音響混合において、音響エネルギーは、成分を混合に導く。振動機械的ドライバーは、工作プレート、偏った重量およびばねから成る機械系において動きを起こす。次いで、このエネルギーは、今後位戯れる材料に音響的に伝わる。根底にある技術原理は、この系は、共振において作動するということである。この様式において、質量要素と機械系における要素とのエネルギーの交換が、ほぼ企図される。
【0015】
共振音響混合において、エネルギー(無視できる摩擦損失は除く)を吸収する唯一の要素は、混合液自体である。したがって、共振音響混合は、機械エネルギーを直接混合材料へ移行させる、非常に効率のよい方法を提供する。現像液の混合において、共振周波数は、コンテナおよびその含有物、すなわち、トナー粒子およびキャリア粒子である。共振周波数は、約15Hertz〜約2000Hertzであってもよく、または、実施形態において、約20Hertz〜約1800Hertz、もしくは約20Hertz〜約1700Hertzであってもよい。共振音響混合は、約5G〜約100Gのg加速度で実施される。
【0016】
音響ミキサーは、低周波および低剪断共振エネルギー技術に依存し、混合のエネルギー効率を最大化する。共振音響ミキサーは、分散液を、100G加速度まで激しく振る。分散液は、共振周波数で混合され、エネルギー利用を最大化する。この手順は、高い強度、低剪断振動(ゆるく凝集した粒子の天然の分離を誘発すると同時に、分散液の全ての領域を混合する)を利用する。この技術は、高粘度の系に有用である。共振音響ミキサーは、Resodyn(商標)Acoustic Mixersを入手可能である。
【0017】
本明細書中で、HOGaPc I型多形をHOGaPc V型多形へ変換させるための手順が開示され、この手順は、ロールミルまたはプラネタリーミルの使用を回避する。より具体的には、例えば、粉砕媒体とHOGaPc I型多形との有機溶媒中のスラリーを得ることによる、HOGaPc V型多形の調製のための手順が、提供される。混合は、スラリーの共振周波数における音響混合を介して達成される。変換のために必要な時間は、約5分間〜約40分間、もしくは約7分間〜約25分間、もしくは約10分間〜約20分間である。得られたHOGaPc V型多形生成物の品質および電気写真性能特性は、従来の調製手順より優れる。
【0018】
生成物の品質および生成物の特性を、不活性粉砕媒体を含む混合条件で達成した。粉砕媒体は、ガラス、鋼、セラミックまたは任意の他のHOGaOPcと反応しない硬質物質であり得る。粉砕媒体は、スラリー中に夾雑物を形成してはならない。粉砕媒体の大きさは、約0.5mm〜約10mm、もしくは約0.75mm〜約8mmもしくは約1mm〜約7mmである。粉砕媒体が少なすぎる場合、色素を分離することは難しい。粉砕媒体が多すぎる場合、これは有効ではないかもしれない。本明細書中で開示される色素濃度は、約1.5重量%〜約3.5重量%であり、溶媒は約20重量%〜約27重量%であり、粉砕媒体は約70重量%〜約80重量%であった。色素、溶媒および粉砕媒体は、合わせて、全部で100重量%であった。
【0019】
有機溶媒は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ピリジン、ジメチルスルホキシド、キノリン、1−クロロナフタレン、N−メチルピロリドンおよびこれらの混合物であってもよい。
【0020】
HOGaPcと溶媒とのスラリーは、I型多形と溶媒との合わせた重量に基づき、約2重量%〜約10重量%のHOGaPc I型多形、または約4重量%〜約8重量%のHOGaPc、またはHOGaPc I型多形と溶媒との合わせた重量に基づき、約5.5重量%〜約6.5重量%から成ってもよい。
【0021】
本発明にしたがうスラリーの混合は、例えば、約5分間〜約40分間、もしくは約7分間〜約25分間、もしくは約10分間〜約20分間であってもよい。混合の温度は、約0℃〜約100℃、もしくは約18℃〜約25℃、もしくは約20℃〜約23℃で達成され得る。
【0022】
本明細書中で開示される調製手順は、ヒドロキシガリウムV型多形生成物を洗浄溶媒で洗浄することをさらに含んでもよく、この洗浄溶媒は、例えば、アセトン、脂肪族アルコールおよびこれらの混合物であり、ここで、脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、ペンタノールなどのアルコールは、例えば、1個〜約25個の炭素原子を有する。
【0023】
HOGaPc I型色素のHOGaPc V型色素への多形態相互変換は、約5分間〜約30分間しか必要とせず、Resodyn(商標)Acoustic Mixer(RAM)、より具体的には、Resodyn(商標)Acoustic LabRAM 500mLベンチトップユニットを使用する。この手順は、変換時間を時間単位から分単位に減らし、下流の処理または材料操作は必要ない。
【0024】
HOGaPc I型多形のHOGaPc V型多形への変換が、Resodyn(商標)Acoustic LabRAMを用いてたったの5〜40分間であったという予期せぬ結果は、この手順の変換部分の手順サイクル時間の有意な減少およびそれによる費用の減少という明らかな利点を有する。
【実施例】
【0025】
Resodyn(商標)LabRAMを120mL規模で用いて、4つの実験を行った。最初の2つの実験(1.1および1.2)は、6mmガラスビーズを粉砕媒体として用いることを企図した。実験2.1および2.2は、1mmガラスビーズを粉砕媒体として用いた。それぞれの手順は、以下に概説される。
【0026】
実験1.1および1.2。
120mLの茶色ガラス瓶を、5.4gのHOGaPc色素I型多形、41gのDMF溶媒および108gの6mmガラスビーズで満たした。このガラス瓶を、絶縁テープで封印して漏れを防ぎ、Resodyn(商標)LabRAMに以下の条件で置いた。強度:90%(約81Gに変換される)、共振周波数は、約58Hz〜約68Hzであった。持続時間:10分間(1.1)および20分間(1.2)。Resodyn(商標)LabRAM混合の後、この色素スラリーを、ビーズから分離し、このビーズを、30gのDMFで3回すすいで、残留色素を除去し、その後、色素ケーキを100gのアセトンで3回洗浄した。最後に、色素を真空オーブン内で、80℃で24時間乾燥させた。
【0027】
実験2.1および2.2.
120mLの茶色ガラス瓶を、2.4gのHOGaPc色素I型多形(SDC添加)、31gのDMF溶媒および123gの1mmガラスビーズで満たした。このガラス瓶を、絶縁テープで封印して漏れを防ぎ、Resodyn(商標)LabRAMに以下の条件で置いた。強度:90%(約81Gに変換される)、共振周波数は、約58Hz〜約68Hzであった、持続時間:10分間(2.1)および20分間(2.2)。Resodyn(商標)LabRAM混合の後、この色素スラリーを、ビーズから分離し、このビーズを、30gのDMFで3回すすいで、残留色素を除去し、その後、色素ケーキを100gのアセトンで3回洗浄した。最後に、色素を真空オーブン内で、80℃で24時間乾燥させた。
【0028】
対照
C16は、対照サンプルであった。このサンプルを、6mm媒体でボール粉砕を使用して産生した。色素対溶媒の比は、上述の実験と対応するが、粉砕時間は、24時間であった。
【0029】
電気的評価結果
フィルムのUVスペクトルは、全ての4実験における約850のλmaxを示し、I型HOGaPcからV型HOGaPcへの多形態相互変換は起こったことが示された。6mmおよび1mmガラスビーズは、音響混合の10分間と20分間とで類似の結果を出した。この結果を、表1にまとめる。
【表1】
【0030】
図3は、上述のように調製されたHOGaPc色素および対照(C16)として調製されたHOGaPc色素で被膜されたフィルムのUVスペクトルを示す。4種のRAMサンプルのUVスペクトルは、従来手順を用いて調製したC16対照サンプルのUVプロフィールと適合する。このことは、多形態相互変換は完了していたことを示す。
【0031】
図4は、4種のRAMサンプルおよびC16対照についてのPIDC(光放電曲線)を示す。4種のRAMサンプルのPIDCは、従来手順を用いたC16対照サンプルのPIDCと適合する。このことは、多形態相互変換は完了していたことを示す。
【0032】
各実験のサンプルを、XRDおよびBET処理によって評価した。XRDは、HOGaPc V型への多形態相互変換が起こったことを確認した。X線回折(XRD)スペクトルは、全てのサンプル(1.1、1.2、2.1、2.2およびC16)につき、7.4度2θ、9.8度2θ、12.4度2θ、16.2度2θ、17.6度2θ、18.4度2θ、21.9度2θ、23.9度2θ、25.0度2θおよび28.1度2θにおいて主要なピークを有し、7.4度2θおよび28.1度2θにおいて最高ピークを有する。
【0033】
各サンプルのTEM画像化は、音響混合したサンプルと従来のロール粉砕サンプル対照との間の大きさおよび形態のよい比較を示す。
図1
図2
図3
図4