(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061791
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】多段式立体駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/06 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
E04H6/06 V
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-122911(P2013-122911)
(22)【出願日】2013年6月11日
(65)【公開番号】特開2014-240562(P2014-240562A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2016年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500521267
【氏名又は名称】株式会社ニッパツパーキングシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】榎並 勝治
(72)【発明者】
【氏名】後藤 和正
【審査官】
兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−329709(JP,A)
【文献】
特開2006−104868(JP,A)
【文献】
特開2006−037592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00−6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上及び地下に複数の駐車階を有する多段式立体駐車装置であって、
複数の柱で支持され、車両を支持可能でかつ上段の駐車階と下段の駐車階との間を昇降する1つ以上の第1パレットと、
前記第1パレットの両側部に位置し、その上面に歩行可能な幅を有する歩行デッキと、
車両を支持可能でかつ地上の駐車階を昇降横行する1つ以上の第2パレットと、
前記柱の上面に配置され、前記歩行デッキの上面の一部と重なり合い、かつ前記第2パレットの下面の一部と重なり合う転落防止板と、
を有することを特徴とする多段式立体駐車装置。
【請求項2】
前記転落防止板は、前記第2パレットの長辺端部と重なり合うことを特徴とする請求項1記載の多段式立体駐車装置。
【請求項3】
前記転落防止板は、前記第2パレットの短辺端部と重なり合うことを特徴とする請求項1又は2記載の多段式立体駐車装置。
【請求項4】
前記転落防止板は、縁部が折り曲げられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の多段式立体駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多段式立体駐車装置に関し、より詳細には、転落防止板を備えた多段式立体駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体駐車場、特に機械式の立体駐車場が、その土地あたりの収容能力が高いことから、土地事情が厳しい駅前や都市中心部において広く設置されている。とりわけ、多段式の立体駐車装置はその設置の手軽さから設置数が増加している。
【0003】
多段式の立体駐車装置においては、複数の段のうち、所定の段のみに利用者がアクセス可能である。当該所定の段において、自動車の入庫及び出庫が行われる。例えば、地上構造と地下構造を有する立体駐車場において、地上段において、自動車の入庫及び出庫が行われる。自動車は、パレット上に入庫される。自動車が入庫したパレットは、柱により支持されて他段に昇降して移動することが可能であり、これによりパレットとともに自動車が他段に移動する。当該パレットの昇降にともない、他のパレットが所定の段に現出する。こうして、複数台の自動車が、同じ敷地において、収容可能となっている。
【0004】
こうした多段式の立体駐車場においては、
図4のように、利用者が駐車した自動車を出庫する際に、パレット410と、利用者がその上面を通過する歩行デッキ430が形成された固定部分との間において、パレットが上下に昇降する際に固定部分が干渉しないようにするため、隙間440が生じてしまう。この隙間に、利用者が所持品を落としてしまうことが多々ある。また、足を踏み外したり、転落をしたりする危険もある。落ち葉やごみ等が隙間からパレット下部に入り込み、駐車装置の動作不良を引き起こす可能性もある。
【0005】
従来、設計段階において、隙間を可能な限り小さくする設計とすることにより、こうした問題に対処しようとしているが、隙間を無くすことは、前述の固定部分とパレットとの干渉の問題から難しい。また、既に設置された駐車装置において隙間を事後的に無くすことはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明においては、固定部分とパレットとの隙間から物が落下したり、利用者が足を踏み外したり、転落をしたりすることを防止し、落ち葉やごみ等が隙間からパレット下部に入り込むことを防止する多段式立体駐車装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明においては、いったん多段式立体駐車装置を設置した後においても、低コストで、容易に固定部分とパレットとの間の隙間により生じる問題を解決することができる多段式立体駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る多段式立体駐車装置は、地上及び地下に複数の駐車階を有する多段式立体駐車装置であって、複数の柱で支持され、車両を支持可能でかつ上段の駐車階と下段の駐車階との間を昇降する1つ以上の第1パレットと、前記第1パレットの両側部に位置し、その上面に歩行可能な幅を有する歩行デッキと、車両を支持可能でかつ地上の駐車階を昇降横行する1つ以上の第2パレットと、前記柱の上面に配置され、前記歩行デッキの上面の一部と重なり合い、かつ前記第2パレットの下面の一部と重なり合う転落防止板と、を有することを特徴とする。
【0009】
転落防止板は、前記第2パレットの長辺端部と重なり合ってもよい。
【0010】
また、転落防止板は、前記第2パレットの短辺端部と重なり合ってもよい。
【0011】
また、転落防止板は、縁部が折り曲げられていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、固定部分とパレットとの隙間から物が落下したり、利用者が足を踏み外したり、転落をしたりすることを防止し、落ち葉やごみ等が隙間からパレット下部に入り込むことを防止する多段式立体駐車装置を提供することができる。
【0013】
また、本発明によれば、いったん多段式立体駐車装置を設置した後においても、低コストで、容易に固定部分とパレットとの間の隙間により生じる問題を解決することができる多段式立体駐車装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る多段式立体駐車装置の構成を示す概略図であり、(a)が上面図、(b)が正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る多段式立体駐車装置の柱と転落防止板の構成の例を示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る多段式立体駐車装置の一例を示す図であり、(a)が正面図、(b)が(a)のX方向から見た側面図である。
【
図4】従来の多段式立体駐車装置を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の多段式立体駐車装置の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されることはなく、種々の変形を行ない実施することが可能である。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る多段式立体駐車装置の構成を示す概略図であり、(a)が上面図、(b)が正面図である。
【0017】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る多段式立体駐車装置100は、パレット110と、柱120と、歩行デッキ130と、転落防止板140とを備える。
【0018】
多段式立体駐車装置100は、
図3に示すように、上下に複数の駐車階を有する。複数の駐車階に対応して、上段の駐車階と下段の駐車階との間を、複数の柱固定パレット110が昇降し、また後述の地上パレット150が昇降横行する。
【0019】
柱固定パレット110は、複数の柱120により支持される。例えば、柱固定パレット110の両側面が、複数の柱120と固定されて支持される。固定箇所は、例えば、柱固定パレット110の四隅であるが、これと異なってもよい。柱120の上下動に併せて柱固定パレット110も昇降する。
図1(b)に示すように、柱固定パレット110はb方向において地上階と地下階との間を柱120とともに昇降する。
【0020】
図1に戻って、利用者は自動車の入出庫時に歩行デッキ130の上面を通過して自動車へと乗り降りする。歩行デッキ130は利用者が上面を通過可能な程度の幅を必要とする。ここでは、固定部分の上面を歩行デッキ130と呼んでおり、歩行デッキ130を含め、固定部分は柱120や柱固定パレット110と異なり上下動、昇降動作をしない。
【0021】
柱120の上面に支持されて、転落防止板140が配置される。転落防止板140は、歩行デッキ130の一部及びパレット110の一部とそれらの上面において重なり合っている。転落防止板140は板状の部材であり、例えば金属である。
【0022】
図3を参照して、本発明の一実施形態に係る多段式立体駐車装置の一例を説明する。
図3(a)が出入口側から見た正面図、
図3(b)が
図3(a)のX方向から見た側面図である。
図3は、地上3段、地下2段昇降横行式の駐車装置である。
図3においては、車Aが出庫可能な状態である。
【0023】
車Aが出庫可能な状態においては、車Aの積載された地上パレット150は、その一部の下面を転落防止板140が覆って重なり合っている。地上パレット150は、柱120には固定支持されておらず、駆動装置160により、地上階において昇降動作及び横行動作を行う。駆動装置160は、例えばローラー駆動及びチェーン駆動を行う。なお駆動装置160は油圧駆動であってもよい。
【0024】
図3の状態においては、転落防止板140が、歩行デッキ130とその一部の上面を覆って重なり合い、地上パレット150が転落防止板140とその一部の上面を覆って重なり合っている。
【0025】
図3の状態においては、歩行デッキ130と地上パレット150との間の隙間を転落防止板140が覆うこととなり、その結果、歩行デッキ130を含む固定部分と地上パレット150との隙間から物が落下したり、利用者が足を踏み外したり、転落をしたりすることを防止することができ、落ち葉やごみ等が隙間から地上パレット150の下部に入り込むことを防止することができる。
【0026】
また、多段式立体駐車装置の設置後において、転落防止板140を柱120に支持された状態で後から設置することができるから、多段式立体駐車装置の設計段階以後の段階において、固定部分と地上パレット150との間の隙間による問題を解決することができる。
【0027】
さらに、転落防止板140は単純な構造であって、設置コストが低く、かつ設置手順が単純であるという利点を有する。
【0028】
また、
図2に示すように、転落防止板140は、その縁部を所望の角度に折り曲げた状態で設置してもよい。縁部を折り曲げた状態とすることにより、ごみや落ち葉、落し物等が地上パレット150の下部に入り込むことを防止する効果をより大きくすることができる。
【0029】
以上のとおり、本発明の一実施形態に係る多段式立体駐車装置により、固定部分と地上パレット150との隙間から物が落下したり、利用者が足を踏み外したり、転落をしたりすることを防止し、落ち葉やごみ等が隙間から地上パレット150の下部に入り込むことを防止することができる。
【符号の説明】
【0030】
100 多段式立体駐車装置
110 柱固定パレット
120 柱
130 歩行デッキ
140 転落防止板
150 地上パレット
160 駆動装置