【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による脱穀装置は、
扱室に回転自在に支持された扱胴を備え、
前記扱胴に、
前記扱室に回転自在に支持される扱胴支軸と、
前記扱胴支軸に沿った状態、かつ、前記扱胴の周方向に所定間隔を空けた状態で、前記扱胴支軸に支持された複数の棒状の扱歯支持部材と、
複数の前記扱歯支持部材の内周側に形成され、隣り合う前記扱歯支持部材の間を介して前記扱胴の外周の扱き処理空間と連通する扱き処理用の内部空間と、
複数の前記扱歯支持部材それぞれにおいて、前記扱歯支持部材から前記扱胴の径方向外側に向けて突出する状態、かつ、前記扱胴支軸に沿った方向に所定間隔を空けた状態で、前記扱歯支持部材に支持された複数の棒状の扱歯と、
前記扱歯が存在する領域に位置するように前記扱歯支持部材に取付けられ、前記扱歯支持部材と一体回転して脱穀処理物を処理方向終端側へ送る送り部材と、を備え
、
前記送り部材は、前記周方向において、間欠的に設けられていることを特徴とする。
【0007】
本構成によると、送り部材が脱穀扱胴と一体回転して脱穀処理物に回動力を付与しながら脱穀処理物を処理方向終端側に向けて送り出し操作し、脱穀処理物を処理方向終端側に向かわせることができるから、脱穀処理物を扱室の終端に移動させ易い。
【0008】
従って、本発明によると、麦の如き長稈の穀稈を脱穀処理するなど、扱室に供給される穀稈のボリュームが大になる場合でも、
内部空間を処理空間に使用して脱穀負荷の増大を抑制しながら脱穀処理できるのみならず、扱室における脱穀処理物の滞留を抑制しながら脱穀処理できるのであり、円滑にかつ良好な脱穀精度で脱穀処理できる。
【0009】
本発明において、前記送り部材を、前記扱歯支持部材の複数にわたって取付けると好適である。
【0010】
本構成によると、1箇所のみによる支持構造等と比較して、送り部材を複数の扱歯支持部材によって強固に支持させられ、送り部材による脱穀処理物の処理方向終端に向けての送り操作を確実に行わせることができる。また、送り部材によって、異なる扱歯支持部材どうしが連結されることになるので、扱歯支持部材の強度アップにもつながる。
【0011】
本発明において、前記送り部材を、前記扱胴の周方向において隣り合う前記扱歯支持部材にわたって取付けると好適である。
【0012】
本構成によると、送り部材が隣り合う扱歯支持部材によって支持される構造であるので、隣り合っていない扱歯支持部材にわたって支持される構造のものと比較して、送り部材をコンパクトにでき、そのレイアウトの自由度も向上する。したがって、
内部空間に対する脱穀処理物の流入及び流出を阻害しないように、送り部材を配置し易い。
【0013】
本発明において、前記送り部材は、前記扱胴支軸に沿った方向に対して傾斜した状態で、前記扱歯支持部材に取付けられると好適である。
【0014】
本構成によると、送り部材を扱胴周方向での全長にわたって扱胴支軸に沿った方向に対して傾斜させ、送り部材による脱穀処理物の処理方向終端側に向けての送り操作を送り部材の全長にわたる広い範囲又は全長に近い広い範囲によって効果的に行わせることができる。
【0015】
本発明において、前記送り部材は、前記扱胴支軸まわりの螺旋上に位置する状態で、前記扱歯支持部材に取付けられると好適である。
【0016】
本構成によると、送り部材が螺旋状態で脱穀処理物を送り操作することにより、送り部材による脱穀処理物の処理方向終端側への送り操作を効果的に行わせることができる。
【0017】
本発明において、前記扱胴支軸に沿った方向において隣り合う前記送り部材の間に前記扱歯が位置すると好適である。
【0018】
本構成によると、送り部材によって送り操作される脱穀処理物が扱歯による脱穀及び解しを受けながら処理方向終端側に流動し、脱穀処理部に混入した穀粒が脱穀処理物と共に扱室から排出される穀粒損失を回避し易い。
【0019】
本発明において、前記送り部材の扱胴径方向外側端が、前記扱胴支軸に沿う方向視において、前記扱歯の前記扱歯支持部材からの突出端の回転軌跡上に位置すると好適である。
【0020】
送り部材と受網との接触を回避するように、送り部材を扱歯が存在する領域に位置させるに当たり、送り部材の扱胴径方向外側端が扱歯の扱歯支持部材からの突出端に対して扱胴支軸側により離れるほど、送り部材の扱胴径方向外側端での扱胴周方向長さがより短くなる。送り部材の扱胴周方向長さが短くなると、送り部材による脱穀処理物の送りが悪くなる。本構成によると、送り部材の扱胴径方向外側端が、扱胴支軸に沿う方向視において、扱歯の扱歯支持部材からの突出端の回転軌跡上に位置することにより、送り部材の扱胴径方向外側端での扱胴周方向長さが長くなり、送り部材による脱穀処理物の送りを効果的に行わせることができる。
【0021】
本発明において、前記送り部材を前記扱歯に連結すると好適である。
【0022】
本構成によると、送り部材を扱歯支持部材に連結する連結手段に扱歯を利用してあるので、連結箇所が扱歯支持部材よりも扱胴外周側に位置し、連結作業がし易い。
【0023】
本発明において、前記送り部材に、前記扱歯に対して差し込み連結可能な環状の連結部を備えると好適である。
【0024】
本構成によると、扱歯を連結手段にして送り部材を扱歯支持部材に支持させるのに、連結部を扱歯に差し込むだけで操作簡単に支持させることができる。
【0025】
本発明において、前記扱歯に、前記送り部材を連結ねじによって連結可能なブラケットを備える好適である。
【0026】
本構成によると、送り部材とブラケットとを連結ねじによって連結することによって送り部材を扱歯に強固に連結でき、送り部材の扱歯を介しての扱歯支持部材への支持を強固にできる。
【0027】
本発明において、前記扱胴の処理方向始端部に連結された掻込み部を備え、前記掻込み部の外周面に支持され、脱穀処理物を処理方向終端側へ掻き込む螺旋羽根を備えてあると好適である。
【0028】
本構成によると、脱穀処理物が螺旋羽根による処理方向終端側への掻き込みによって扱胴に送り込まれるから、扱胴への脱穀処理物の供給を円滑にできる。
【0029】
本発明において、前記螺旋羽根に対して連続的に位置し、前記螺旋羽根からの脱穀処理物を処理方向終端側へ送り出す送出部材を備えてあると好適である。
【0030】
本構成によると、螺旋羽根によって処理方向終端側に向けて掻き込まれた脱穀処理物が送出部材によってさらに処理方向終端側に向けて送り出されて扱胴に供給されるから、扱胴への脱穀処理物の供給をより円滑にできる。
【0031】
本発明において、2つの前記螺旋羽根を、2重螺旋状に備え、2つの前記送出部材を前記2つの螺旋羽根それぞれに対応させて備えてあると好適である。
【0032】
本構成によると、脱穀処理物が2つの螺旋羽根による掻き込み、及び2つの送出部材による送り出しによって扱胴に送り込まれるから、大ボリュームの脱穀処理物であっても、詰まらないように扱胴に円滑に供給できる。
【0033】
本発明において、前記送出部材を前記螺旋羽根に取付けてあると好適である。
【0034】
本構成によると、螺旋羽根と送出部材とが切れ目なく繋がって螺旋羽根と送出部材との間の脱穀処理物の受け渡しが円滑に行われ、脱穀処理物を扱胴にスムーズに供給できる。
【0035】
本発明において、前記送出部材を前記螺旋羽根の作用面に取付けてあると好適である。
【0036】
本構成によると、送出部材が螺旋羽根の作用面に連なって螺旋羽根と送出部材との間の脱穀処理物の受け渡しがスムーズに行われ、脱穀処理物を扱胴にスムーズに供給できる。
【0037】
本発明において、前記螺旋羽根に、前記掻込み部の外周面に立設された螺旋羽根本体と、前記螺旋羽根本体の側面に取付けられ、前記螺旋羽根の作用面を形成する補強部材とを備え、前記送出部材を前記作用面に取付けてあると好適である。
【0038】
本構成によると、螺旋羽根の作用面に磨滅が発生した際。補強部材だけを交換して安価にかつ楽に修復できる。また、螺旋羽根本体よりも優れた耐摩耗性を備えた補強部材を採用することにより、全体として耐久性に優れた螺旋羽根を安価に得ることができる。しかも、送出部材が螺旋羽根の作用面に連なって螺旋羽根と送出部材との間の脱穀処理物の受け渡しをスムーズに行わせることができる。
【0039】
本発明において、前記扱胴の下方に受網を設け、前記受網の脱穀処理面に、脱穀処理物を処理方向終端側へ案内する案内体を取付けてあると好適である。
【0040】
本構成によると、扱胴と一体回転する送り部材によって脱穀処理物が処理方向終端側に向けて送り操作されるに加え、送り部材や扱歯支持部材によって回動力を付与されて回動する脱穀処理物が案内体によって処理方向終端側に向かうよう案内されることにより、全体として脱穀処理物を扱室の終端に流動させ易くて脱穀処理物を扱室から排出させ易い。
【0041】
本発明において、前記案内体は、前記扱胴支軸まわりに螺旋上に位置する状態で取付けられていると好適である。
【0042】
本構成によると、螺旋状態の案内体によって脱穀処理物を処理方向終端側に効果的に案内でき、脱穀処理物を扱室からより排出させ易い。