特許第6061801号(P6061801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6061801包装用多層フィルムおよびそれからなる包装体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061801
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】包装用多層フィルムおよびそれからなる包装体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20170106BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20170106BHJP
   B32B 27/28 20060101ALI20170106BHJP
   B32B 15/085 20060101ALI20170106BHJP
   B32B 15/09 20060101ALI20170106BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20170106BHJP
   B65D 77/00 20060101ALI20170106BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   B32B27/32 C
   B32B27/32 102
   B32B27/36
   B32B27/28 101
   B32B15/085 A
   B32B15/09 A
   B65D65/40 D
   B65D77/00 B
   B65D30/02
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-141619(P2013-141619)
(22)【出願日】2013年7月5日
(65)【公開番号】特開2015-13428(P2015-13428A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2015年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220099
【氏名又は名称】三井化学東セロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】中村 修
(72)【発明者】
【氏名】渡部 幸一
【審査官】 安藤 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−034330(JP,A)
【文献】 特開平03−164247(JP,A)
【文献】 特開昭62−231739(JP,A)
【文献】 特開昭57−138946(JP,A)
【文献】 特開2003−026279(JP,A)
【文献】 特開2005−028576(JP,A)
【文献】 特開2001−072950(JP,A)
【文献】 実開昭55−115573(JP,U)
【文献】 特公昭49−004543(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00〜B32B43/00
B65D1/00〜B65D90/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最外層としての熱可塑性樹脂層と、少なくとも一方向に延伸されたポリプロピレン樹脂層と、金属蒸着層と、最外層として熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層またはエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層(A)と、この順で設けられ、
前記熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂が、ガラス転移温度(Tg)が20℃〜70℃であるアクリル樹脂であり、
前記金属蒸着層は、前記ポリプロピレン樹脂層とは反対側の面に、アンカーコート層が隣接しないことを特徴とする包装用多層フィルム。
【請求項2】
前記金属蒸着層と前記ポリプロピレン樹脂層とがエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層(B)を介して設けられていることを特徴とする請求項に記載の包装用多層フィルム。
【請求項3】
前記金属蒸着層がアルミニウムであることを特徴とする請求項またはに記載の包装用多層フィルム。
【請求項4】
成分(A)及び/又は成分(B)の前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層に含まれる不飽和カルボン酸が、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、及び無水マレイン酸より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の包装用多層フィルム。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の包装用多層フィルムからなる包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定的なヒートシール強度を保持することができ、透明性に優れ、特にオーバーラップ包装やピロー包装の加工に適した多層フィルムおよびそれからなる包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンの延伸フィルムは、引張強度、剛性、表面硬度、耐寒性などの機械特性、光沢性、透明性などの光学特性、あるいは防湿性などに優れていることから、食品包装用等のフィルムとして広く使用されている。
【0003】
ところがポリプロピレンフィルムは、低温でのヒートシール強度が十分でないため、ポリプロピレンフィルムにパートコート剤を塗布し、製袋時に低温でヒートシールでき、またシールされた部分がしわにならず見映えよくなるように工夫されている。しかしながら、包装体の加工時、とりわけピロー包装の加工時には十分なヒートシール強度が得られない場合があり、加えてアルミニウムの蒸着層を設けた場合にポリプロピレンフィルムと安定的に融着しにくいことからアンカーコート層を介してヒートシール層を設けなければならなかった。
【0004】
そこで、低温でのヒートシール性およびヒートシール強度の向上を目的として、コア層の融点よりも低い融点を有するポリマースキン層を少なくとも1つの表面に有するポリマーコア層を有するフィルム基材を有してなる金属化多層フィルムであって、該スキン層の露出表面は被覆前に他の材料への付着をさらに増加させるように処理されており、該フィルム基材は、該処理スキン層表面上の金属付着物、および該金属付着物の表面上の10〜35重量%の少なくとも1種のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸と65〜90重量%のエチレン、アルキルアクリレートもしくはメタクリレート、アクリロニトリルまたはこれらの混合物からなるポリマー低温封止性被覆層を有する金属化多層フィルムが提供されている(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、かかる発明ではコア層となるポリプロピレン層が、低融点のポリプロピレン層/高融点のポリプロピレン層/低融点のポリプロピレン層という3層構成を採っているため、コア層のポリプロピレン層全体の透明性が劣っており、透明性に優れかつ低温ヒートシール性およびヒートシール強度にも優れた多層フィルムが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2000−510060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、アンカーコート層がなくてもポリプロピレン樹脂層に安定的にヒートシール層を設けることができることに加え、当該ヒートシール層は包装体として十分な強度を保持することができ、かつ透明性に優れ、特にオーバーラップ包装やピロー包装の加工に適した多層フィルムおよびそれからなる包装体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであり、最外層としての熱可塑性樹脂層と、少なくとも一方向に延伸されたポリプロピレン樹脂層と、金属蒸着層と、最外層として熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層またはエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層(A)と、この順で設けられ、前記熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂が、ガラス転移温度(Tg)が20℃〜70℃であるアクリル樹脂であり、前記金属蒸着層は、前記ポリプロピレン樹脂層とは反対側の面に、アンカーコート層が隣接しないことを特徴とする包装用多層フィルムを提供するものである。
【0009】
また、本発明の他の好ましい形態として、前記ポリプロピレン樹脂層の一方の表面に最外層として熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層またはエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層とは反対側の表面に最外層として熱可塑性樹脂層が設けられていることを特徴とする多層フィルムを提供する。
【0010】
また、本発明の他の好ましい形態として、前記熱可塑性樹脂が、ガラス転移温度(Tg)が20℃〜70℃であるアクリル樹脂であることを特徴とする多層フィルムを提供する。
【0011】
また、本発明の他の好ましい形態として、前記ポリプロピレン樹脂層と前記熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層または前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層とが金属蒸着層を介して設けられていることを特徴とする多層フィルムを提供する。
【0012】
また、本発明の他の好ましい形態として、前記金属蒸着層と前記ポリプロピレン樹脂層とがアイオノマー層を介して設けられていることを特徴とする多層フィルムを提供する。
【0013】
また、本発明の他の好ましい形態として、前記金属蒸着層がアルミニウムであることを特徴とする多層フィルムを提供する。
【0014】
さらに本発明は、前記多層フィルムからなる包装体を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の多層フィルムによれば、安定的なヒートシール強度を保持することができ、かつ優れた透明性を得ることができる。また、本発明の多層フィルムを包装体に加工する場合、特にオーバーラップ包装やピロー包装により加工する場合でも、低温ヒートシール性に優れることから、高い作業効率を実現することができる。さらに、本発明の多層フィルムを構成する熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層またはエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層により、アンカーコート層がなくても安定した層間剥離強度を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明のポリプロピレン樹脂層と熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層またはエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層(A)からなる多層フィルムの一例の断面図を示す。
図2図2は本発明のポリプロピレン樹脂層と熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層またはエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層(A)と熱可塑性樹脂層からなる多層フィルムの一例の断面図を示す。
図3図3は本発明のポリプロピレン樹脂層と熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層またはエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層(A)と金属蒸着層と熱可塑性樹脂層からなる多層フィルムの一例の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ポリプロピレン樹脂層
本発明に係るポリプロピレン樹脂層を構成するポリプロピレン樹脂としては、プロピレンの単独重合体およびプロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体を挙げることができる。共重合体の場合には、コモノマ−であるα−オレフィンから導かれる単位が、1.5モル%以下の量で含まれていることが望ましい。ここでα−オレフィンとしては、炭素原子数2〜20のプロピレン以外のα−オレフィンが好ましく、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、4−メチル−1−ペンテンなどを具体的に例示することができ、特にエチレン、1−ブテンが好ましい。
【0018】
包装用途に適したプロピレンの単独重合体および共重合体としては、次の物性を有した結晶性重合体であることが、押出特性、延伸性、機械特性、光学特性、あるいは防湿性を満たす上で望ましく、それ等物性を考慮して前記の重合体の中から適宜選択すればよい。
【0019】
(1)アイソタクチック・インデックス(I.I.;沸騰n−ヘプタン不溶性分の割合):75%以上、好ましくは80%〜99%。
(2)密度(ASTM D−1505):0.905〜0.915g/cm3
(3)メルトフローレイト(MFR; ASTM D−1238,230℃、荷重2.16kg):0.5〜8.0g/10分、好ましくは1.0〜4.0g/10分、より好ましくは1.5〜3.5g/10分。
(4)融点:150〜170℃、好ましくは155〜165℃。
【0020】
なお、上記融点は、パーキンエルマー社製DSC−7型装置(示差走査型熱量計)を用いて測定した値である。具体的には、試料約5mgをアルミパンに詰めて200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、10℃/分で−40℃まで冷却し、−40℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求められる。
【0021】
このようなポリプロピレンは、固体状チタン触媒成分あるいはメタロセン化合物触媒成分を含むオレフィン重合用触媒を用い、プロピレンを、必要に応じて他のα−オレフィンの共存下で重合させることによって製造することができる。このポリプロピレンには、ポリエチレンのような他のポリオレフィン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体やエチレン−1−ブテン共重合体のようなゴム状重合体等を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。さらに、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、滑剤、顔料などの添加剤を適宜配合することができる。
【0022】
アンチブロッキング剤を添加する場合には、その種類や配合量によってはポリプロピレン樹脂層の透明性を低下させることがあるため、透明性の保持の観点から、三層構造のフィルムすることが好ましい。三層構造とは、ポリプロピレン樹脂層(a)を中心として、その両側にポリプロピレン樹脂100重量部に対して平均粒径が0.5〜5μmの無機系、有機系、またはその混合系から成る微粒子状アンチブロッキング剤を0.02〜0.5重量部配合した層(b)を配置した(b)/(a)/(b)なる積層構造である。用途によっては、各(b)層のアンチブロッキング剤配合量を変えてもよい。
【0023】
また、帯電防止剤や滑剤を添加する場合には、その物質がポリプロピレン樹脂層の成形時の発煙による作業環境の悪化防止の観点からも上述した三層構造とすることが好ましい。例えば、前記(b)/(a)/(b)なる積層構造において(a)層に帯電防止剤や滑剤を配合し、(b)層にはそれらを添加しない層を配置した構造とする。この時には、ポリプロピレン樹脂層表面、すなわち(b)層の表面にコロナ放電処理、フレ−ム処理、プラズマ処理、グロ−放電処理、逆スパッタ、火炎処理、クロム酸処理、溶剤処理、粗面化処理などがあるが、中でもコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理が好ましい。このようにして得た延伸ポリプロピレンフィルムは良好な濡れ張力を有し、帯電防止剤を添加した場合には帯電防止剤の効果を高めることができる。ポリプロピレン樹脂層の濡れ張力は、層間のヒートシール強度の安定性の観点から38ダイン以上が好ましい。
【0024】
ポリプロピレン樹脂層は一方向、または二方向以上に延伸されている。ここで「延伸された」状態とは「少なくとも一部の分子が配向した」状態であることを示す。延伸方向としては互いにほぼ直角方向の二方向に延伸することが剛性等の機械的物性、透明性向上の観点から好ましい。また、ポリプロピレン樹脂層の厚さは機械的物性等の観点から、10〜80μmであり、20〜60μmが好ましい。
【0025】
本発明に係るポリプロピレン樹脂層の延伸倍率は一方向に延伸する場合には機械的物性及び成形性の観点から、3〜10倍が好ましい。また、二方向に延伸してポリプロピレン樹脂層を形成する場合には、延伸倍率としては、機械的物性及び成形性の観点から、30〜70倍が好ましく、40〜60倍がさらに好ましい。
【0026】
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層(A)、(B)
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層(A)、およびエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層(B)(以下、「エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層」ということがある。)としては、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を周期表の1a、2a、又は2b族の少なくとも1種のある量の金属イオン、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム又は亜鉛イオンで中和、カルボン酸基に対して好ましくは60モル%以上、特に好ましくは70モル%以上であり、また金属イオンの総量が、金属イオンアイオノマー1kg当たり0.4から4モル、特に0.6から2モルの範囲の金属イオンアイオノマーから構成されていることが好ましい。
【0027】
このような金属イオンアイオノマーとしては、例えばエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体をケン化することによっても製造することができる。また、かかる金属イオンアイオノマーのMFR(190℃、2160g加重)は、通常0.01から1000g/10分、好ましくは0.1から100g/10分の範囲にある。
【0028】
かかる不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸などを例示することができるが、特にアクリル酸又はメタクリル酸が望ましい。また、任意共重合成分である他の単量体成分としては、不飽和カルボン酸のエステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸2−エチルヘキシール、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチルなど、あるいはビニルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどを例示することができる。
【0029】
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層には、本発明の目的を損なわない範囲で耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料、無機または有機の充填剤等の各種添加剤を添加しておいてもよい。
【0030】
本発明の多層フィルムを構成するエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層はエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂の水またはメタノール等の溶剤の分散液を加熱・硬化させることにより形成される。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂の分散液の塗布方法としてはグラビアコ−ト法、リバースコート法、ロールコート法、バーコート法、スプレーコート法、エアナイフコート法などを採用できる。
【0031】
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂の分散液における固形分の好ましい濃度は、通常1から30重量%であり、より好ましくは、5から25重量%である。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂の分散液の固形分濃度が1重量%未満では、一定の塗膜厚みを得るためには厚塗りが必要で生産性が悪化することがあり、また濡れ性も低下する。30重量%を超えると粘度が高く塗布ムラができることがある。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂を分散させる溶媒としては、コスト、作業環境面から水が好ましく用いられるが、水以外の溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類、或いはその他ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等を必要に応じて、組み合わせて加えることも可能である。さらに、水を溶媒としてエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂を分散させる場合には当該アイオノマー樹脂の均一分散の観点から、コールカウンター法による累積頻度分布の50%における粒径が0.1μm未満の粒子状分散剤を添加することが好ましく、ナトリウム中和型のアイオノマーの粒子であることがより好ましい。
【0032】
また、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層の層厚は十分な接着力を有する観点から、好ましくは0.1μm〜10,0μm、より好ましくは0.5μm〜5.0μm、最も好ましくは1.0〜2.0μmである。
【0033】
熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層
本発明の多層フィルムを構成する熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂としては、ガラス転移温度(Tg)が40℃から100℃であり、好ましくは60℃から80℃である。ガラス転移温度(Tg)が40℃未満になるとブロッキングが発生し易くなり、100℃を超えると熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層をヒートシールする際にヒートシール温度が高くなり作業性やヒートシール強度の低下等が生じるおそれがある。
【0034】
また、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂の分子量は、シール性の観点から、5000から30000が好ましく、8000から15000がさらに好ましい。熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂の分子量が5000未満であると熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層のヒートシール強度が低下する可能性があり、分子量が30000を超えると溶剤を溶媒として溶液とした場合に粘度が高くなり塗布性の低下等が発生したり、また、水を溶媒として分散させた場合には造膜性が低下するおそれがある。
【0035】
また、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層には、本発明の目的を損なわない範囲で耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料、無機または有機の充填剤等の各種添加剤を添加しておいてもよい。
【0036】
本発明の多層フィルムを構成する熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層は、水または溶剤に熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂を分散、または溶解させて加熱・硬化して形成する。熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂の分散液または溶液の塗布方法としてはグラビアコ−ト法、リバースコート法、ロールコート法、バーコート法、スプレーコート法、エアナイフコート法などを採用できる。
【0037】
熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂の分散液または溶液における固形分の好ましい濃度(測定方法はJISK6839に準ずる。)は、5から30重量%であり、より好ましくは、10から20重量%である。熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂の分散液または溶液の固形分濃度が5重量%未満では、一定の塗膜厚みを得るためには厚塗りが必要で生産性が悪化することがあり、また濡れ性も低下する。30重量%を超えると粘度が高く塗布ムラができることがある。熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂を分散させる溶媒としては、コスト、作業環境面から水が好ましく用いられるが、水以外の溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、或いはその他ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等を必要に応じて、組み合わせて加えることも可能であるが、溶解性及び乾燥効率の観点から、メチルエチルケトンおよび酢酸エチルの混合液が好ましい。
【0038】
また、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層の層厚は好ましくは0.1μm〜10.0μm、より好ましくは0.5μm〜5.0μmさらに好ましくは0.5〜2.0μm、最も好ましくは1.0〜2.0μmである。
【0039】
熱可塑性樹脂層
本発明の多層フィルムに係る熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂としてはポリメチルメタクリレート、MMA・スチレン共重合体、MMA・αメチルスチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等のポリプロピレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体、ABS樹脂等のポリスチレン系樹脂、ナイロン、ポリエチレンビニルアルコールを用いることができる。このなかでもシール性等の観点から、アクリル系樹脂、特にアクリル酸エステルであることが好ましい。
【0040】
本発明に係る熱可塑性樹脂層を構成する樹脂としてのアクリル系樹脂を使用する場合には、アクリル系樹脂を分散させた分散液または溶解させた溶液を加熱・固化させて熱可塑性樹脂層を形成する。アクリル系樹脂の分散液または溶液の固形分の好ましい濃度(測定方法はJISK6839に準ずる。)は、5から50重量%であり、より好ましくは、10から40重量%である。アクリル系樹脂の分散液の固形分濃度が5重量%未満では、一定の塗膜厚みを得るためには厚塗りが必要で生産性が悪化することがあり、また濡れ性も低下する。50重量%を超えると粘度が高く塗布ムラができることがある。アクリル系樹脂を分散させる溶媒としては、コスト、作業環境面から水が好ましく用いられるが、水以外の溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、或いはその他ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等を必要に応じて、組み合わせて加えることも可能である。
【0041】
また、アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、20℃から70℃が好ましく、40℃から50℃がより好ましい。ガラス転移温度(Tg)が20℃より低いとブロッキングが発生し易くなり、一方、ガラス転移温度(Tg)が70℃より高いとヒートシール温度が高くなり作業効率が低下するおそれがある。
【0042】
また、アクリル系樹脂の分子量は、5000から30000が好ましく、8000から15000がさらに好ましい。アクリル系樹脂の分子量が5000より小さいとヒートシール強度が低下するおそれがあり、30000より大きいと溶液にした時に粘度が高くなり塗布しにくくなる可能性がある。また、アクリル系樹脂を水に分散させた分散液により、熱可塑性樹脂層を形成する場合には、アクリル系樹脂の分子量が30000を超えると造膜性が低下するおそれがある。
【0043】
金属蒸着層
金属蒸着層としては従来からフィルムの蒸着層として知られているものを、特に限定されず利用することができる。アルミニウム、亜鉛、インジウム、珪素、窒化珪素およびスズなどの金属または化合物を挙げることができるが、本発明の多層フィルムの美麗な印刷処理が可能で意匠性の自由度の向上およびバリア性の付与が可能であるという観点からアルミニウムであることが好ましい。また、必要に応じて前記金属または化合物と酸素とを含む膜から金属蒸着層を構成されていることが平滑性および透明性の向上という観点から好ましい。また、金属蒸着層は、CVD法、PVD法、スパッタリング法、プラズマCVD法など乾式製膜法を用いて形成することができる。金属蒸着層の層厚は、5〜500nm、好ましくは10〜200nmの範囲で適宜選ぶことができる。金属蒸着層の厚みが5nm未満であると、十分な金属光沢が得られないことがあるという問題が生じる恐れがあり、500nmを越えると、蒸着層にクラックが入り易くなる。
【0044】
多層フィルム・包装体
本発明の多層フィルムは少なくとも一方向に延伸されたポリプロピレン樹脂層と熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層またはエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層(A)からなる。本発明の多層フィルムの一例の断面図として図1に示すように、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層またはエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層1(以下、「ポリエステル樹脂層等1」ということがある。)とポリプロピレン樹脂層2とが積層されている。また、ポリエステル樹脂層等1とポリプロピレン樹脂層2との間に変性オレフィン重合体やポリウレタン樹脂からなるアンカーコート層を設けることが好ましい。さらに、ポリエステル樹脂層等1をポリプロピレン樹脂層2のもう一方の表面に設けて、ポリプロピレン樹脂層2の両側にポリエステル樹脂層等1を形成してもよい。ポリエステル樹脂層等1が最外層と設けられていれば、ポリプロピレン樹脂層2との間にアンカーコート層の他、ポリメチルメタクリレート、MMA・スチレン共重合体、MMA・αメチルスチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等のポリプロピレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体、ABS樹脂等のポリスチレン系樹脂、ナイロン、ポリエチレンビニルアルコール等からなる熱可塑性樹脂層が設けられていてもよい。さらに、ポリエステル樹脂層1とポリプロピレン樹脂層2との間にアルミニウム、亜鉛、インジウム、珪素、窒化珪素およびスズなどの金属または化合物またはそれらの酸化物からなる金属蒸着層が設けられていてもよい。本発明の多層フィルムの最外層にポリエステル樹脂層等1が設けられていることにより、ポリエステル樹脂層等1同士をヒートシールすることで低温ヒートシール性、およびヒートシール強度が良好となり、安定したヒートシール強度を有する包装体を得ることができる。本発明の多層フィルムをヒートシールすることにより包装体に加工する場合において、ピロー包装、三方シール、四方シールその他の公知の包装形態を採ることができる。さらに、本発明の多層フィルムおよび包装体ではポリプロピレン樹脂層2により機械的強度と優れた透明性を得ることができる。
【0045】
また、本発明の多層フィルムの他の一例の断面図として図2に示すように、ポリプロピレン樹脂層2の一方の表面の最外層として熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層またはエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層1とは反対側の表面の最外層として熱可塑性樹脂層が設けられている。ポリプロピレン樹脂層2と熱可塑性樹脂層3との間にも、ポリプロピレン樹脂層2とポリエステル樹脂層等1との間同様、変性オレフィン重合体やポリウレタン樹脂からなるアンカーコート層を設けてもよいし、熱可塑性樹脂層等の他の樹脂層を設けてもよい。本実施形態の場合、多層フィルムをヒートシールすることにより包装体等に加工する場合において、熱可塑性樹脂層3同士をヒートシールしてもよいし、熱可塑性樹脂層3とポリエステル樹脂層等1とをヒートシールしてもよいが、ヒートシール強度、低温ヒートシール性等の観点から、ポリエステル樹脂層1同士をヒートシールすることが好ましい。
【0046】
さらに、本発明の多層フィルムの他の一例の断面図として図3に示すように、ポリプロピレン樹脂層2と前記熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層または前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層1とが金属蒸着層4を介して設けられていてもよい。金属蒸着層4を設けることにより、ポリプロピレン樹脂層2の透明性と相まって美麗な外観と印刷処理による意匠性付与の自由度を高めることができる。本実施形態の場合もポリエステル樹脂層等1と熱可塑性樹脂層3とが最外層として設けられており、ヒートシールにより包装体に加工する場合にも、熱可塑性樹脂層3同士をヒートシールしてもよいし、熱可塑性樹脂層3とポリエステル樹脂層等1とをヒートシールしてもよいが、ヒートシール強度、低温ヒートシール性等の観点から、ポリエステル樹脂層1同士をヒートシールすることが好ましい。
【0047】
さらに、本発明の多層フィルムにおいて、金属蒸着層と前記ポリプロピレン樹脂層とがエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層(B)を介して設けられていることがポリプロピレン樹脂層と金属蒸着層との接着の安定という観点から好ましい。また、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層(B)表面には、金属蒸着層がより安定した蒸着強度で設けることが可能であるという観点から、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレ−ム処理、グロ−放電処理、逆スパッタ、火炎処理、クロム酸処理、溶剤処理、粗面化処理などを行うことが好ましく、中でもコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理がより好ましい。
以下、参考形態の例を付記する。
<1> 少なくとも一方向に延伸されたポリプロピレン樹脂層と最外層として熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層またはエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層(A)が設けられていることを特徴とする多層フィルム。
<2> 前記ポリプロピレン樹脂層の一方の表面に最外層として熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層またはエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層とは反対側の表面に最外層として熱可塑性樹脂層が設けられていることを特徴とする<1>に記載の多層フィルム。
<3> 前記熱可塑性樹脂が、ガラス転移温度(Tg)が20℃〜70℃であるアクリル樹脂であることを特徴とする<2>に記載の多層フィルム。
<4> 前記ポリプロピレン樹脂層と前記熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂層または前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層(A)とが金属蒸着層を介して設けられていることを特徴とする<1>から<3>のいずれかに記載の多層フィルム。
<5> 前記金属蒸着層と前記ポリプロピレン樹脂層とがエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層(B)を介して設けられていることを特徴とする<4>に記載の多層フィルム。
<6> 前記金属蒸着層がアルミニウムであることを特徴とする<4>または<5>に記載の多層フィルム。
<7> <1>から<6>のいずれかに記載の多層フィルムからなる包装体。
【0048】
(実施例)
塗材A:
ポリエステル系樹脂(商品名エリーテルUE−3200G(ユニチカ社製))を、MEKと酢酸エチルを1:1に混合液で溶解し、20重量%溶液を作製した。これに、アンチブロッキング材としてPMMAの微粒子(平均粒子径2μm)をポリエステル系塗材の固形分に対して0.2重量%の比率で添加した。
塗材B:
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂分散液として、ケミパールS−100(三井化学社製、濃度27重量%)を水とイソプロピルアルコールを9:1に混合液で希釈し、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂の20重量%の水分散液を作製した。これに、アンチブロッキング剤としてPMMAの微粒子(平均粒子径2μm)をアクリル系塗材の固形分に対して0.1重量%の比率で添加した。
塗材C:
アクリル系樹脂として、サイビノールEK−108(サイデン化学社製、濃度32重量%)を水で希釈し、20重量%に調整した。これに、スリップ剤としてパラフィンワックスの分散液(濃度12重量%)をアクリル系塗材の固形分に対して3重量%の比率で添加した。さらに、アンチブロッキング材としてPMMAの微粒子(平均粒子径2μm)をアクリル系塗材の固形分に対して0.1重量%の比率で添加した。
【0049】
(ヒートシール特性の評価)
作製したサンプルを幅10cm、長さ20cmの大きさで2枚カットし、アルミニウム蒸着面側の最外層の面同士を合わせて、ヒートシールテスター(TP−701−B 東洋精機社製)を使用し、シール幅10mm、シール圧力0.1MPa/cm2、シール時間0.5秒、シール温度80℃の条件でヒートシールした。その後、そのサンプルを15mm幅にカットし、引張り試験機(テンシロン万能試験機:RTM−100、オリエンテック社製)を用いて、剥離速度300mm/minで90度剥離強度を測定した(以下、「アルミ蒸着面側」ということがある。)。その後、シール温度を100℃、120℃、140℃、160℃と変え、同様にして90度剥離強度を測定した。ヒートシール強度の単位は、N/15mmである。また、同様にして上記「アルミ蒸着面側」とは反対側(以下、「OPP面側」ということがある。)についても各ヒートシール温度で90度剥離強度を測定した。
【実施例1】
【0050】
ポリプロピレン樹脂層を構成する延伸ポリプロピレン基材として 二軸延伸処理したポリプロピレンフィルムのアルミニウム蒸着グレードであるOP102#25(三井化学東セロ社製)を使用した。アルミニウム蒸着面の濡れ張力は40ダインで、ポリプロピレン樹脂層のコロナ処理面の濡れ張力は、38ダインであった。
最初に、延伸ポリプロピレン基材のアルミニウム蒸着面に塗材Aをメイヤーバーで塗布し、ドライヤーを用いて温度75℃で30秒間乾燥した。塗布量は、2.0g/mであった。次に延伸ポリプロピレン基材のコロナ処理面に塗材Cをメイヤーバーで塗布し、さらにドライヤーを用いて温度75℃で40秒間乾燥した。塗布量は、2.0g/mであった。このようにして作製したサンプルのヒートシール特性を評価した。評価結果を表1に示す。
尚、表1において、アルミニウム蒸着面同士のヒートシール特性を評価した項目を「アルミ蒸着面側」、延伸ポリプロピレン面同士のヒートシール特性を評価した項目を「OPP面側」、アルミニウム蒸着面と延伸ポリプロピレン面のヒートシール特性を評価した項目を「アルミ面/OPP面」と表記した。
【実施例2】
【0051】
延伸ポリプロピレン基材のアルミニウム蒸着面に塗布する材料を塗材Bとし、塗材Cの塗布量を1.0g/mする以外は、実施例1と同様にしてサンプルを作製し、ヒートシール特性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0052】
(表1)
【0053】
実施例1は、アルミ蒸着面側(アルミニウム蒸着面側)、OPP面側(延伸ポリプロピレン面側)の他、アルミ蒸着面とOPP面についても低温ヒートシール性が良好であり、オーバーラップ包装やピロー包装の加工に好適であることがわかる。
実施例2は、アルミ蒸着面側については、低温ヒートシール性が良好であり、ポリプロピレン面側について、アルミニウム蒸着面側よりやや高い温度でヒートシールが可能となる。これにより、包装加工時、とりわけピロー包装加工時に両端に突き出したシール部を側面に沿って折り曲げヒートシールして固定化する場合も、良好なヒートシール性を得ることができる。
【符号の説明】
【0054】
1:ポリエステル樹脂層またはエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー樹脂層
2:ポリプロピレン樹脂層
3:熱可塑性樹脂層
4:金属蒸着層
図1
図2
図3