(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エンジンには、前記燃焼室から前記排気通路へ排出される排気の一部を排気還流ガスとして前記吸気通路へ流して前記燃焼室へ還流させる排気還流通路と、前記排気還流通路における排気還流ガスの流れを調節するための排気還流弁とが更に設けられ、
前記吸気圧変更手段は、前記排気還流弁であり、
前記故障判定手段は、前記エンジンの減速運転時であって、前記燃料供給手段による前記燃料の供給が遮断されたときに、前記排気還流弁を閉弁状態から強制的に開弁制御することにより、前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路における吸気圧を変化させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンのブローバイガス還元装置のための故障検出装置。
前記エンジンは、前記燃焼室にそれぞれ設けられて前記吸気通路に通じる吸気ポート及び前記排気通路に通じる排気ポートと、前記吸気ポートを開閉する吸気弁と、前記排気ポートを開閉する排気弁と、前記エンジンの回転に同期して前記吸気弁及び前記排気弁を開閉駆動させる動弁機構と、前記吸気弁及び前記排気弁の少なくとも一方の開閉特性を可変とする開閉特性可変機構とを更に含み、
前記吸気圧変更手段は、前記開閉特性可変機構であり、
前記故障判定手段は、前記エンジンの減速運転時であって、前記燃料供給手段による前記燃料の供給が遮断されたときに、前記開閉特性が変わるように前記開閉特性可変機構を動作させることにより、前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路における吸気圧を変化させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンのブローバイガス還元装置のための故障検出装置。
前記エンジンには、前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路へ新気を導入するための新気導入通路と、前記新気導入通路を流れる新気を調節するための新気導入弁とが更に設けられ、
前記吸気圧変更手段は、前記新気導入弁であり、
前記故障判定手段は、前記エンジンの減速運転時であって、前記燃料供給手段による前記燃料の供給が遮断されたときに、前記新気導入弁を閉弁状態から強制的に開弁制御することにより、前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路における吸気圧を変化させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンのブローバイガス還元装置のための故障検出装置。
前記エンジンには、前記燃焼室から前記排気通路へ排出される排気の一部を排気還流ガスとして前記吸気通路へ流して前記燃焼室へ還流させる排気還流通路と、前記排気還流通路における排気還流ガスの流れを調節するための排気還流弁とが更に設けられ、
前記エンジンは、前記燃焼室にそれぞれ設けられて前記吸気通路に通じる吸気ポート及び前記排気通路に通じる排気ポートと、前記吸気ポートを開閉する吸気弁と、前記排気ポートを開閉する排気弁と、前記エンジンの回転に同期して前記吸気弁及び前記排気弁を開閉駆動させる動弁機構と、前記吸気弁及び前記排気弁の少なくとも一方の開閉特性を可変とする開閉特性可変機構とを更に含み、
前記吸気圧変更手段は、前記排気還流弁であり、
前記別の吸気圧変更手段は、前記開閉特性可変機構であり、
前記故障判定手段は、前記エンジンの減速運転時であって、前記燃料供給手段による前記燃料の供給が遮断されたときに、前記排気還流弁を閉弁状態から強制的に開弁制御することにより、前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路における吸気圧を変化させ、その吸気圧を変化させる前と後で前記吸気圧検出手段により検出される前記吸気圧の変化に基づいて前記排気還流弁が故障であるか否かを判定し、前記排気還流弁が故障であると判定したとき、前記開閉特性可変機構を動作させることにより、前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路における吸気圧を変化させ、その吸気圧を変化させる前と後で前記吸気量検出手段により検出される前記吸気量の変化が小さいときに前記PCV弁が故障であると判定する
ことを特徴とする請求項3に記載のエンジンのブローバイガス還元装置のための故障検出装置。
前記エンジンは、前記燃焼室にそれぞれ設けられて前記吸気通路に通じる吸気ポート及び前記排気通路に通じる排気ポートと、前記吸気ポートを開閉する吸気弁と、前記排気ポートを開閉する排気弁と、前記エンジンの回転に同期して前記吸気弁及び前記排気弁を開
閉駆動させる動弁機構と、前記吸気弁及び前記排気弁の少なくとも一方の開閉特性を可変とする開閉特性可変機構とを更に含み、
前記エンジンには、前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路へ新気を導入するための新気導入通路と、前記新気導入通路を流れる新気を調節するための新気導入弁とが更に設けられ、
前記吸気圧変更手段は、前記新気導入弁であり、
前記別の吸気圧変更手段は、前記開閉特性可変機構であり、
前記故障判定手段は、前記エンジンの減速運転時であって、前記燃料供給手段による前記燃料の供給が遮断されたときに、前記新気導入弁を閉弁状態から強制的に開弁制御することにより、前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路における吸気圧を変化させ、その吸気圧を変化させる前と後で前記吸気量検出手段により検出される前記吸気量の変化に基づいて前記新気導入弁が故障であるか否かを判定し、前記新気導入弁が故障であると判定したとき、前記開閉特性可変機構を動作させることにより、前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路における吸気圧を変化させ、その吸気圧を変化させる前と後で前記吸気量検出手段により検出される前記吸気量の変化が小さいときに前記PCV弁が故障であると判定する
ことを特徴とする請求項3に記載のエンジンのブローバイガス還元装置のための故障検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の故障検出装置では、ブローバイガスの圧力を検出するための専用のガス圧センサがブローバイガス還元通路に設けられるので、ガス圧センサの分だけ装置の構成部品が増え、装置が大型化すると共にコストアップするおそれがあった。また、上記故障検出装置では、ブローバイガス還元通路におけるガス漏れやガス詰まりを検出できるものの、PCV弁について故障を検出することができなかった。ここで、PCV弁の故障を検出するために、ブローバイガス還元通路に新たにカット弁を設けて、このカット弁を開閉制御することが考えられる。しかしながら、カット弁を設けた場合、カット弁の分だけ装置の構成部品が更に増え、装置が更に大型化したりコストアップしたりするおそれがあった。
【0006】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、故障検出のための専用部品を増やすことなく、大型化やコストアップを生じさせることなく、PCV弁の故障を有効に検出することを可能としたエンジンのブローバイガス還元装置のための故障検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、エンジンのブローバイガス還元装置のための故障検出装置であって、エンジンは、燃焼室と、吸気通路と、排気通路と、燃焼室へ燃料を供給するための燃料供給手段と、吸気通路を流れる吸気量を調節するため
の吸気量調節弁とを含み、エンジンには、吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を変更するための吸気圧変更手段と、エンジンの運転状態を検出するために吸気量調節弁より上流の吸気通路を流れる吸気量を検出する吸気量検出手段とが設けられ、ブローバイガス還元装置は、エンジンで発生するブローバイガスをエンジンへ還元するために吸気通路へ流すブローバイガス還元通路と、ブローバイガス還元通路におけるブローバイガス流量を調整するために
吸気負圧を受けて動作するPCV弁とを含み、ブローバイガス還元通路は、その出口が吸気量調節弁より下流の吸気通路に接続され、故障検出装置は、エンジンの減速運転時であって、燃料供給手段による燃料の供給が遮断されたときに、吸気量調節弁を所定の微少開度に固定し、吸気圧変更手段を制御して吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を変化させ、その吸気圧を変化させる前と後で吸気量検出手段により検出される吸気量の変化
が小さいときにPCV弁が故障である
と判定する故障判定手段を備えることを趣旨とする。
【0008】
上記発明の構成によれば、エンジンの減速運転時であって、燃料供給手段による燃料の供給が遮断されたときには、吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧が負圧となる。従って、PCV弁が正常である場合は、PCV弁がその
吸気負圧を受けて動作し、その
吸気負圧の大きさに応じてブローバイガス還元通路におけるブローバイガス流量が調整され、そのブローバイガス流量に応じて吸気通路における吸気量が変わる。これに対し、PCV弁が故障している場合は、吸気通路における負圧が変化してもブローバイガス流量に予想した変化が得られず、吸気通路における吸気量に予想した変化が得られない。ここで、故障判定手段により、吸気量調節弁が所定の微少開度に固定され、吸気圧変更手段が制御されて吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧が変化することにより、その吸気圧が変化する前と後で吸気量検出手段により検出される吸気量の変化に基づいて、PCV弁が故障であるか否かが判定される。すなわち、吸気量に変化がある場合は、PCV弁が
吸気負圧の変化に応じて予想通りに動作したことになり、
PCV弁が正常であると判定することができる。一方、吸気量に変化がない場合は、PCV弁が
吸気負圧の変化に応じて予想通りに動作しなかったことになり、
PCV弁が故障であると判定することができる。ここで、エンジンの運転状態を検出するために設けられた吸気量検出手段が、PCV弁の故障を判定するために兼用されるので、故障検出のために専用の検出手段を設ける必要がない。また、他の使用目的でエンジンに設けられた付属機器を吸気圧変更手段として兼用することで、専用の吸気圧変更手段を設ける必要がない。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、エンジンには、エンジンの運転状態を検出するために吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を検出する吸気圧検出手段が更に設けられ、故障判定手段は、エンジンの減速運転時であって、燃料供給手段による燃料の供給が遮断されたときに、吸気量調節弁を所定の微少開度に固定し、吸気圧変更手段を制御して吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を変化させ、その吸気圧を変化させる前と後で吸気圧検出手段により検出される吸気圧の変化に基づいて吸気圧変更手段が故障であるか否かを判定し、吸気圧変更手段が正常であると判定したとき、吸気圧を変化させる前と後で吸気量検出手段により検出される吸気量の変化
が小さいときにPCV弁が故障である
と判定することを趣旨とする。
【0010】
上記発明の構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、次のような作用を有する。すなわち、吸気圧変更手段が正常である場合は、同手段を制御することで、吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧が予想通りに変化する。ここで、故障判定手段により、吸気圧変更手段が正常であると判定されたときに、吸気圧が変化する前と後で吸気量検出手段により検出される吸気量の変化
が小さいときにPCV弁が故障である
と判定される。従って、吸気圧変更手段が正常であることを前提にPCV弁の故障が判定されるので、故障につき適正な判定が可能となる。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、エンジンには、吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を変更するための別の吸気圧変更手段が更に設けられ、故障判定手段は、吸気圧変更手段が故障であると判定したとき、別の吸気圧変更手段を制御して吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を変化させ、その吸気圧を変化させる前と後で吸気量検出手段により検出される吸気量の変化
が小さいときにPCV弁が故障である
と判定することを趣旨とする。
【0012】
上記発明の構成によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、次のような作用を有する。すなわち、吸気圧変更手段が故障である場合は、同手段を制御しても吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧に予想した変化が得られない。ここで、故障判定手段により、吸気圧変更手段が故障であると判定されたときに、別の吸気圧変更手段が制御されて吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧が変化させられ、その吸気圧が変化する前と後で吸気量検出手段により検出される吸気量の変化
が小さいときにPCV弁が故障である
と判定される。従って、吸気圧変更手段が故障である場合にも、PCV弁の故障の判定の機会を確保することができる。また、他の使用目的でエンジンに設けられた付属機器を別の吸気圧変更手段として兼用することで、専用の別の吸気圧変更手段を設ける必要がない。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、エンジンには、燃焼室から排気通路へ排出される排気の一部を排気還流ガスとして吸気通路へ流して燃焼室へ還流させる排気還流通路と、排気還流通路における排気還流ガスの流れを調節するための排気還流弁とが更に設けられ、吸気圧変更手段は、排気還流弁であり、故障判定手段は、エンジンの減速運転時であって、燃料供給手段による燃料の供給が遮断されたときに、排気還流弁を閉弁状態から強制的に開弁制御することにより、吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を変化させることを趣旨とする。
【0014】
上記発明の構成によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、排気還流ガス流量の調節を目的にエンジンに設けられた排気還流弁を吸気圧変更手段として兼用することで、専用の吸気圧変更手段を設ける必要がない。
【0015】
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、エンジンは、燃焼室にそれぞれ設けられて吸気通路に通じる吸気ポート及び排気通路に通じる排気ポートと、吸気ポートを開閉する吸気弁と、排気ポートを開閉する排気弁と、エンジンの回転に同期して吸気弁及び排気弁を開閉駆動させる動弁機構と、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉特性を可変とする開閉特性可変機構とを更に含み、吸気圧変更手段は、開閉特性可変機構であり、故障判定手段は、エンジンの減速運転時であって、燃料供給手段による燃料の供給が遮断されたときに、開閉特性が変わるように開閉特性可変機構を動作させることにより、吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を変化させることを趣旨とする。
【0016】
上記発明の構成によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉特性を可変とすることを目的にエンジンに設けられた開閉特性可変機構を吸気圧変更手段として兼用することで、専用の吸気圧変更手段を設ける必要がない。
【0017】
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、エンジンには、吸気量調節弁より下流の吸気通路へ新気を導入するための新気導入通路と、新気導入通路を流れる新気を調節するための新気導入弁とが更に設けられ、吸気圧変更手段は、新気導入弁であり、故障判定手段は、エンジンの減速運転時であって、燃料供給手段による燃料の供給が遮断されたときに、新気導入弁を閉弁状態から強制的に開弁制御することにより、吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を変化させることを趣旨とする。
【0018】
上記発明の構成によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、吸気通路への新気導入量の調節を目的にエンジンに設けられた新
気導入弁を吸気圧変更手段として兼用することで、専用の吸気圧変更手段を設ける必要がない。
【0019】
上記目的を達成するために、請求項7に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、エンジンには、燃焼室から排気通路へ排出される排気の一部を排気還流ガスとして吸気通路へ流して燃焼室へ還流させる排気還流通路と、排気還流通路における排気還流ガスの流れを調節するための排気還流弁とが更に設けられ、エンジンは、燃焼室にそれぞれ設けられて吸気通路に通じる吸気ポート及び排気通路に通じる排気ポートと、吸気ポートを開閉する吸気弁と、排気ポートを開閉する排気弁と、エンジンの回転に同期して吸気弁及び排気弁を開閉駆動させる動弁機構と、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉特性を可変とする開閉特性可変機構とを更に含み、吸気圧変更手段は、排気還流弁であり、別の吸気圧変更手段は、開閉特性可変機構であり、故障判定手段は、エンジンの減速運転時であって、燃料供給手段による燃料の供給が遮断されたときに、排気還流弁を閉弁状態から強制的に開弁制御することにより、吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を変化させ、その吸気圧を変化させる前と後で吸気圧検出手段により検出される吸気圧の変化に基づいて排気還流弁が故障であるか否かを判定し、排気還流弁が故障であると判定したとき、開閉特性可変機構を動作させることにより、吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を変化させ、その吸気圧を変化させる前と後で吸気量検出手段により検出される吸気量の変化
が小さいときにPCV弁が故障である
と判定することを趣旨とする。
【0020】
上記発明の構成によれば、故障判定手段により、排気還流弁が正常であると判定されたときに、吸気圧が変化する前と後で吸気量検出手段により検出される吸気量の変化
が小さいときにPCV弁が故障である
と判定される。従って、排気還流弁が正常であることを前提に、すなわち吸気圧が予想通りに変化することを前提にPCV弁の故障が判定されるので、故障につき適正な判定が可能となる。また、故障判定手段により、排気還流弁が故障であると判定されたときは、開閉特性可変機構が制御されて吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧が変化し、その吸気圧が変化する前と後で吸気量検出手段により検出される吸気量の変化
が小さいときにPCV弁が故障である
と判定される。従って、排気還流弁が故障である場合にも、PCV弁の故障の判定の機会を確保することができる。また、開閉特性可変機構を別の吸気圧変更手段として兼用することで、専用の別の吸気圧変更手段を設ける必要がない。
【0021】
上記目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、エンジンは、燃焼室にそれぞれ設けられて吸気通路に通じる吸気ポート及び排気通路に通じる排気ポートと、吸気ポートを開閉する吸気弁と、排気ポートを開閉する排気弁と、エンジンの回転に同期して吸気弁及び排気弁を開閉駆動させる動弁機構と、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉特性を可変とする開閉特性可変機構とを更に含み、エンジンには、吸気量調節弁より下流の吸気通路へ新気を導入するための新気導入通路と、新気導入通路を流れる新気を調節するための新気導入弁とが更に設けられ、吸気圧変更手段は、新気導入弁であり、別の吸気圧変更手段は、開閉特性可変機構であり、故障判定手段は、エンジンの減速運転時であって、燃料供給手段による燃料の供給が遮断されたときに、新気導入弁を閉弁状態から強制的に開弁制御することにより、吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧を変化させ、その吸気圧を変化させる前と後で吸気量検出手段により検出される吸気量の変化に基づいて新気導入弁が故障であるか否かを判定し、新気導入弁が故障であると判定したとき、開閉特性可変機構を動作させることにより、吸気量調節弁
より下流の吸気通路における吸気圧を変化させ、その吸気圧を変化させる前と後で吸気量検出手段により検出される吸気量の変化
が小さいときにPCV弁が故障である
と判定することを趣旨とする。
【0022】
上記発明の構成によれば、新気導入弁が正常であると判定されたときに、吸気圧が変化する前と後で吸気量検出手段により検出される吸気量の変化
が小さいときにPCV弁が故障である
と判定される。従って、新気導入弁が正常であることを前提に、すなわち吸気圧が予想通りに変化することを前提にPCV弁の故障が判定されるので、故障につき適正な判定が可能となる。故障判定手段により、新気導入弁が故障であると判定されたときに、開閉特性可変機構が制御されて吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧が変化し、その吸気圧が変化する前と後で吸気量検出手段により検出される吸気量の変化
が小さいときにPCV弁が故障である
と判定される。従って、新気導入弁が故障である場合にも、PCV弁の故障の判定の機会を確保することができる。また、開閉特性可変機構を別の吸気圧変更手段として兼用することで、専用の別の吸気圧変更手段を設ける必要がない。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、故障検出のための専用部品を増やすことなく、大型化やコストアップを生じさせることなく、PCV弁の故障を有効に検出することができる。
【0024】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、吸気圧変更手段の故障も検出することができ、PCV弁の故障検出を適正に行うことができる。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、吸気圧可変手段が故障である場合もPCV弁の故障を検出することができ、その故障の検出をより適正に行うことができる。
【0026】
請求項4に記載の発明によれば、故障検出のための専用部品を増やすことなく、大型化やコストアップを生じさせることなく、PCV弁の故障を有効に検出することができる。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、故障検出のための専用部品を増やすことなく、大型化やコストアップを生じさせることなく、PCV弁の故障を有効に検出することができる。
【0028】
請求項6に記載の発明によれば、故障検出のための専用部品を増やすことなく、大型化やコストアップを生じさせることなく、PCV弁の故障を有効に検出することができる。
【0029】
請求項7に記載の発明によれば、故障検出のための専用部品を増やすことなく、大型化やコストアップを生じさせることなく、PCV弁の故障を有効に検出することができると共に、その故障検出を適正に行うことができる。また、排気還流弁の故障も検出することができ、排気還流弁が故障である場合もPCV弁の故障検出をより適正に行うことができる。
【0030】
請求項8に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、大型化やコストアップを生じさせることなく、PCV弁の故障を有効に検出することができると共に、その故障検出を適正に行うことができる。また、新気導入弁の故障も検出することができ、その新気導入弁が故障である場合もPCV弁の故障検出をより適正に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<第1実施形態>
以下、本発明におけるエンジンのブローバイガス還元装置のための故障検出装置を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
図1に、この実施形態における過給機と排気還流装置(EGR装置)を含むガソリンエンジンシステムを概略構成図により示す。自動車に搭載されるこのエンジンシステムは、レシプロタイプのエンジン1を備える。エンジン1の吸気ポート2には、吸気通路3が接続され、排気ポート4には、排気通路5が接続される。吸気通路3の入口には、エアクリーナ6が設けられる。エアクリーナ6より下流の吸気通路3には、排気通路5との間に、吸気通路3における吸気を昇圧させるための過給機7が設けられる。
【0034】
過給機7は、吸気通路3に配置されたコンプレッサ8と、排気通路5に配置されたタービン9と、コンプレッサ8とタービン9を一体回転可能に連結する回転軸10とを含む。過給機7は、排気通路5を流れる排気によりタービン9を回転させて回転軸10を介してコンプレッサ8を一体的に回転させることにより、吸気通路3における吸気を昇圧させる、すなわち過給を行うようになっている。
【0035】
過給機7に隣接して排気通路5には、タービン9を迂回する排気バイパス通路11が設けられる。この排気バイパス通路11には、ウェイストゲートバルブ12が設けられる。ウェイストゲートバルブ12により排気バイパス通路11を流れる排気が調節されることにより、タービン9に供給される排気流量が調節され、タービン9及びコンプレッサ8の回転速度が調節され、過給機7による過給圧が調節されるようになっている。
【0036】
吸気通路3において、過給機7のコンプレッサ8とエンジン1との間には、インタークーラ13が設けられる。このインタークーラ13は、コンプレッサ8により昇圧されて高温となった吸気を適温に冷却するためのものである。インタークーラ13とエンジン1との間の吸気通路3には、サージタンク3aが設けられる。また、インタークーラ13より下流であってサージタンク3aより上流の吸気通路3には、電動式のスロットル弁である電子スロットル装置14が設けられる。本発明の吸気量調節弁の一例に相当する電子スロットル装置14は、吸気通路3に配置されるバタフライ形のスロットル弁21と、そのスロットル弁21を開閉駆動するためのステップモータ22と、スロットル弁21の開度(スロットル開度)TAを検出するためのスロットルセンサ23とを備える。電子スロットル装置14は、運転者によるアクセルペダル26の操作に応じてスロットル弁21がステップモータ22により開閉駆動されることにより、スロットル弁21の開度が調節されるように構成される。電子スロットル装置14の構成として、例えば、特開2011−252482号公報の
図1及び
図2に記載される「スロットル装置」の基本構成を採用することができる。また、タービン9より下流の排気通路5には、排気を浄化するための排気触媒としての触媒コンバータ15が設けられる。
【0037】
エンジン1には、燃焼室16へ燃料を噴射供給するためのインジェクタ25が設けられる。インジェクタ25には、燃料タンク(図示略)から燃料が供給されるようになっている。インジェクタ25は、本発明の燃料供給手段の一例に相当する。また、エンジン1には、各気筒に対応して点火プラグ29が設けられる。各点火プラグ29は、イグナイタ30から出力される高電圧を受けて点火動作する。各点火プラグ29の点火時期は、イグナイタ30による高電圧の出力タイミングにより決定される。
【0038】
この実施形態において、大量EGRを実現するためのEGR装置は、高圧ループ式であって、エンジン1の燃焼室16から排気通路5へ排出される排気の一部をEGRガスとして吸気通路3へ流して燃焼室16へ還流させる排気還流通路(EGR通路)17と、EGR通路17におけるEGRガスの流れを調節するためにEGR通路17に設けられた排気還流弁(EGR弁)18とを備える。EGR通路17は、タービン9より上流の排気通路5と、サージタンク3aとの間に設けられる。すなわち、排気通路5を流れる排気の一部をEGRガスとしてEGR通路17を通じて吸気通路3へ流して燃焼室16へ還流させるために、EGR通路17の出口17aが、スロットル弁21より下流の吸気通路3、すなわちサージタンク3aに接続される。また、EGR通路17の入口17bが、タービン9より上流の排気通路5に接続される。
【0039】
EGR通路17の入口17bの近傍には、EGRガスを浄化するためのEGR用触媒コンバータ19が設けられる。また、EGR用触媒コンバータ19より下流のEGR通路17には、同通路17を流れるEGRガスを冷却するためのEGRクーラ20が設けられる。この実施形態で、EGR弁18は、EGRクーラ20より下流のEGR通路17に配置される。
【0040】
図2に、EGR通路17の一部であってEGR弁18が設けられる部分を拡大して断面図により示す。
図1、
図2に示すように、EGR弁18は、ポペット弁として、かつ、電動弁として構成される。すなわち、EGR弁18は、DCモータ31により開閉駆動される弁体32を備える。弁体32は、略円錐形状をなし、EGR通路17に設けられた弁座33に着座可能に設けられる。DCモータ31は直進的に往復運動(ストローク運動)可能に構成された出力軸34を備え、その出力軸34の先端に弁体32が固定される。出力軸34は軸受35を介してEGR通路17を構成するハウジングに支持される。そして、DCモータ31の出力軸34をストローク運動させることにより、弁座33に対する弁体32の開度が調節されるようになっている。EGR弁18の出力軸34は、弁体32が弁座33に着座する全閉状態から、弁体32が軸受35に当接する全開状態までの間で所定のストロークL1だけストローク運動可能に設けられる。この実施形態では、大量EGRを実現するために、従前の技術に比べて弁座33の開口面積が拡大されている。それに合わせて、弁体32が大型化されている。このEGR弁18の構成として、例えば、特開2010−275941号公報の
図1に記載された「EGRバルブ」の基本構成を採用することができる。
【0041】
この実施形態で、EGR弁18は本発明の吸気圧変更手段の一例に相当する。すなわち、エンジン1の減速運転時に、EGR弁18が開閉することにより、スロットル弁21より下流の吸気通路3、すなわちサージタンク3aにおける吸気圧PMを変更するようになっている。
【0042】
図1に示すように、エンジン1のシリンダヘッド1
cには、吸気ポート2を開閉する吸気弁41と、排気ポート4を開閉する排気弁42とがそれぞれ設けられる。吸気弁41及び排気弁42は、それぞれ異なるカムシャフト43,44の回転により動作するように構成される。各カムシャフト43,44の先端には、それぞれ異なるタイミングプーリ45,46が設けられる。各タイミングプーリ45,46は、タイミングベルト等(図示略)を介してクランクシャフト1aに駆動連結される。エンジン1の運転時には、クランクシャフト1aの回転力がタイミングベルト等及び各タイミングプーリ45,46を介して各カムシャフト43,44に伝達される。これにより、吸気弁41及び排気弁42が動作して吸気ポート2及び排気ポート4がそれぞれ開閉されるようになっている。このとき、吸気弁41及び排気弁42は、クランクシャフト1aの回転に同期して、すなわち、クランクシャフト1aに連結されたピストン47の上下動に対応した、エンジン1の吸気行程、圧縮行程、爆発・膨張行程及び排気行程に同期して、所定のタイミングで動作可能となっている。この実施形態では、カムシャフト43,44及びタイミングプーリ45,46により本発明の動弁機構が構成される。
【0043】
この実施形態では、
図1に示すように、吸気側のカムシャフト43には、カム角センサ56が設けられる。このカム角センサ56は、カムシャフト43の回転角を検出するようになっている。吸気側のタイミングプーリ45には、電動式の可変バルブタイミング機構(以下、単に「VVT」という。)61が設けられる。このVVT61は、吸気弁41の開閉特性である開閉タイミング(バルブタイミング)が変更可能に構成される。すなわち、VVT61は、付属モータ(図示略)により駆動されることにより、吸気弁41のバルブタイミングを所定の範囲で進角及び遅角することができるようになっている。これにより、吸気弁41と排気弁42とのバルブオーバラップが変更可能に構成される。この実施形態で、VVT61は本発明の開閉特性可変機構の一例に相当する。
【0044】
VVT61は、吸気側のカムシャフト43とタイミングプーリ45との間に介在したリングギヤとヘリカルスプライン(それぞれ図示略)を含む。そして、VVT61は、モータを動作させてリングギヤを回動及びスライドさせることにより、カムシャフト43とタイミングプール45との間の回転位相を変える。この種のリングギヤ等を備えたVVT61の構造は既に周知であることから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0045】
ここで、VVT61による吸気弁41と排気弁42とのバルブオーバラップの変更について説明する。
図3(a),(b)に、吸気弁41と排気弁42とのバルブオーバラップを模式図により示す。バルブオーバラップは、レシプロタイプのエンジンにおいて、吸気ポートと排気ポートが同時に開いている状態を意味する。通常、
バルブオーバラップは、4ストロークエンジンの排気行程の終了間際に吸気弁により吸気ポートを開き、吸気の充填効率を改善する目的で設定される。バルブオーバーラップを広めに取ると、エンジンの実質圧縮比が落ちることから、ノッキングなどの異常燃焼を防ぐことができる。逆にバルブオーバーラップを狭めに取ると、エンジンの低回転域での混合気の充填効率が高くなり、低負荷・低回転でも混合気に安定した燃焼が得られる。また、エンジンの出力面以外では、バルブオーバーラップを利用することにより、エンジンに内部EGRを行うことができ、排気浄化の他にポンピングロスを低減することができるなど燃費向上にも寄与する。エンジンの回転速度や負荷などによって内部EGRを行う適切なタイミングは異なるが、VVTにより最適なタイミングでバルブオーバラップを実施することができる。
【0046】
図1において、VVT61を動作させて吸気側のカムシャフト43の回転位相をタイミングプーリ45のそれよりも進めることにより、吸気弁41のバルブタイミングの位相がクランクシャフト1aの回転位相よりも進角される。この場合、
図3(b)に示すように、吸気弁41のバルブタイミングが相対的に進角され、吸気行程における吸気弁41と排気弁42とのバルブオーバラップが相対的に大きくなる。このとき、VVT61により吸気弁41のバルブタイミングを最も進角させることにより、バルブオーバラップが最も大きくなる。これに対し、VVT61を動作させて吸気側のカムシャフト43の回転位相をタイミングプーリ45のそれよりも遅れさせることにより、吸気弁41のバルブタイミングの位相がクランクシャフト1aの回転位相よりも遅角される。この場合、
図3(a)に示すように、吸気弁41のバルブタイミングが相対的に遅れ、吸気行程におけるバルブオーバラップが相対的に小さくなる。このとき、VVT61により吸気弁41のバルブタイミングを最も遅角させることにより、バルブオーバラップが最も小さくなる(無くなる。)。
【0047】
この実施形態では、燃焼室16からクランクケース1bやシリンダヘッド(ヘッドカバーを含む)1cの内部へ漏れ出たブローバイガスを吸気通路3で発生する負圧を利用して燃焼室16へ還元するブローバイガス還元装置が、エンジン1に設けられる。
図1に示すように、ブローバイガス還元装置は、ブローバイガス還元通路66と、PCV弁67と、掃気通路68とを備える。ブローバイガス還元通路66は、エンジン1で発生するブローバイガスを燃焼室16へ還元するために吸気通路3へ流すようになっている。ブローバイガス還元通路66は、その入口側がPCV弁67を介してシリンダヘッド1cに接続され、その出口側がサージタンク3aに接続される。PCV弁67は、ブローバイガス還元通路66におけるブローバイガス流量を調整するために負圧を受けて動作するように構成される。ここで、エンジン1の運転時であって過給機7の非作動時には、サージタンク3aの中が負圧となり、この負圧がブローバイガス還元通路66とPCV弁67を介してシリンダヘッド1cの内部に作用する。この負圧を受けてPCV弁67が開弁動作し、ブローバイガスがシリンダヘッド1cからPCV弁67及びブローバイガス還元通路66を介してサージタンク3aへ流れる。掃気通路68は、その入口側がエアクリーナ6の近傍の吸気通路3に接続され、その出口側がシリンダヘッド1c(ヘッドカバー)に接続される。掃気通路68は、シリンダヘッド1cからサージタンク3aへブローバイガスが流れるときに、シリンダヘッド1cの内部へ新気を導入してその内部を掃気するようになっている。
【0048】
図4に、PCV弁67を断面図により示す。
図4に示すように、PCV弁67は、管状の本体71を備え、その一端部には管継手72が形成され、他端部に雄ネジ73が形成される。管継手72にはブローバイガス還元通路66が接続され、雄ネジ73はシリンダヘッド1cに接続される。本体71の内部に形成された通路74には、略弾丸状の弁体75が軸線方向へ往復動可能に配置される。弁体75は、その先端側に先細り状のニードル部75aが形成され、本体71の通路74に形成された孔状の計量部76にニードル部75aが貫通して配置される。また、弁体75は、その周囲に設けられたスプリング77により、ニードル部75aと計量部76との隙間(弁体75の開度)が拡大する方向、すなわち開弁方向へ付勢される。そして、本体71の通路74に、管継手72の側から、サージタンク3aで発生する負圧が作用することにより、その負圧と、シリンダヘッド1cの内部の圧力と、スプリング77の付勢力とのバランスにより、弁体7
5の移動位置が決まり、弁体7
5の開度が決定される。この開度により、シリンダヘッド1cからサージタンク3aへ導出されるブローバイガス流量が調節される。
【0049】
図5に、エンジン1の減速燃料カット時におけるPCV弁67の流量特性をグラフにより示す。このグラフにおいて、横軸はブローバイガス還元通路66を通じてPCV弁67に作用するサージタンク3aの吸気圧PMの負圧を示し、縦軸はPCV弁67を流れるブローバイガスの流量(PCV流量)を示す。このグラフから明らかなように、吸気圧PMが「負圧大」から「大気圧」まで増加するに連れて、PCV流量はある小流量m1から最大流量m4まで増加し、その後ゼロへ向けて減少する。従って、PCV流量が最小流量m1から最大流量m4に達するまでの間は、EGR弁18が閉弁するときは、吸気圧PMは第1の値p1となり、PCV流量は第2の流量m2となるところ、EGR弁18が開弁することにより、吸気圧PMは第2の値p2(>p1)となり、PCV流量は第3の値m3(>m2)となる。すなわち、このPCV弁67は、エンジン1の減速燃料カット時において、EGR弁18が閉弁状態から開弁することにより、PCV流量を増加させるという流量特性を備えている。
【0050】
この実施形態では、エンジン1の運転状態に応じて燃料噴射制御、点火時期制御、吸気量制御、EGR制御及びバルブタイミング制御等をそれぞれ実行するために、インジェクタ25、イグナイタ30、電子スロットル装置14のステップモータ22、EGR弁18のDCモータ31及びVVT61が、それぞれエンジン1の運転状態に応じて電子制御装置(ECU)50により制御されるようになっている。ECU50は、中央処理装置(CPU)と、所定の制御プログラム等を予め記憶したり、CPUの演算結果等を一時的に記憶したりする各種メモリと、これら各部と接続される外部入力回路及び外部出力回路とを備える。ECU50は、本発明の故障判定手段の一例に相当する。外部出力回路には、イグナイタ30、インジェクタ25、ステップモータ22、DCモータ31及びVVT61等が接続される。外部入力回路には、スロットルセンサ23をはじめエンジン1の運転状態を検出するための各種センサ23,27,28,51〜56が接続され、各種エンジン信号が入力されるようになっている。
【0051】
ここで、各種センサとして、スロットルセンサ23及びカム角センサ56の他に、アクセルセンサ27、吸気圧センサ51、回転速度センサ52、水温センサ53、エアフローメータ54及び空燃比センサ55が設けられる。アクセルセンサ27は、アクセルペダル26の操作量であるアクセル開度ACCを検出する。アクセルペダル26は、エンジン1の出力を調節するために運転者により操作されるようになっている。吸気圧センサ51は、本発明の吸気圧検出手段の一例に相当し、本来はサージタンク3aにおける吸気圧PMをエンジン1の運転状態を示す一要素として検出する。回転速度センサ52は、エンジン1のクランクシャフト1aの回転角(クランク角)を検出するとともに、そのクランク角の変化をエンジン1の回転速度(エンジン回転速度)NEとして検出する。水温センサ53は、エンジン1の冷却水温THWを検出する。エアフローメータ54は、本発明の吸気量検出手段の一例に相当し、本来はエアクリーナ6の直下流の吸気通路3を流れる吸気量Gaをエンジン1の運転状態を示す一要素として検出する。空燃比センサ55は、触媒コンバータ15の直上流の排気通路5に設けられ、排気中の空燃比A/Fを検出する。
【0052】
この実施形態で、ECU50は、エンジン1の全運転領域において、エンジン1の運転状態に応じてEGRを制御するためにEGR弁18を制御するようになっている。また、ECU50は、通常は、エンジン1の加速運転時又は定常運転時に検出される運転状態に基づきEGR弁18を開弁制御し、エンジン1の停止時、アイドル運転時又は減速運転時にEGR弁18を閉弁制御するようになっている。
【0053】
この実施形態で、ECU50は、運転者の要求に応じてエンジン1を運転するために、アクセル開度ACCに基づいて電子スロットル装置14を制御するようになっている。また、ECU50は、エンジン1の加速運転時又は定常運転時には、アクセル開度ACCに基づき電子スロットル装置14を開弁制御し、エンジン1の停止時又は減速運転時には、電子スロットル装置14を閉弁制御するようになっている。これにより、スロットル弁21は、エンジン1の加速運転時又は定常運転時には開弁され、エンジン1の停止時又は減速運転時には閉弁されるようになっている。ここで、エンジン1の減速運転時には、スロットル弁21は、全閉に近い、わずかに吸気の流通を可能とする所定の微少開度の状態(ソニック状態)に固定されるようになっている。
【0054】
ここで、この実施形態のブローバイガス還元装置についても、ブローバイガス還元を適正に行う必要がある。そこで、この実施形態では、ECU50が以下のような故障検出処理を実行するようになっている。
【0055】
図6に、故障検出の処理内容の一例をフローチャートにより示す。処理がこのルーチンへ移行すると、先ず、ステップ100で、ECU50は、エンジン1の運転状態が減速燃料カット中であるか否かを判断する。すなわち、エンジン1が減速運転時であり、かつ、インジェクタ25によるエンジン1への燃料供給が遮断されているか否かを判断する。上記したように、エンジン1の減速運転時には、電子スロットル装置14のスロットル弁21とEGR弁18はそれぞれ閉弁制御される。このとき、EGR弁18は全閉となり、スロットル弁21は、わずかに吸気の流通を可能とする所定の微少開度の状態(ソニック状態)に保たれる。ECU50は、上記判断をアクセル開度ACCの変化に基づき行うことができる。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ260へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ110へ移行する。
【0056】
ステップ110で、ECU50は、故障判定フラグXegrpcvobdが「0」であるか否かを判断する。ここで、故障判定フラグXegrpcvobdは、EGR弁18とPCV弁67について故障判定が行われた場合に「1」に、故障判定が行われていない場合に「0」に設定される。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ100へ戻す。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ120へ移行する。
【0057】
ステップ120で、ECU50は、エアフローメータ54の検出値に基づき吸気量Gaを取り込む。
【0058】
次に、ステップ130で、ECU50は、EGR閉フラグXegroffが「0」であるか否かを判断する。EGR閉フラグXegroffは、後述するようにEGR弁18が閉弁のときのEGR閉吸気量Gaoffが得られた場合に「1」に、そのEGR閉吸気量Gaoffが得られない場合に「0」に設定される。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ160へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ140へ移行する。
【0059】
ステップ140では、ECU50は、ステップ120で取り込まれた吸気量Gaを、EGR弁18が閉弁したときのEGR閉吸気量Gaoffとしてメモリに記憶する。また、ステップ150で、ECU50は、EGR閉フラグXegroffを「1」に設定する。その後、ECU50は、処理をステップ130へ戻す。
【0060】
一方、ステップ130から移行してステップ160では、ECU50は、EGR弁18を所定開度B1だけ開弁制御する。これにより、一旦全閉状態となったEGR弁18が強制的に開弁される。
【0061】
次に、ステップ170で、ECU50は、所定時間が経過するのを待ってステップ180へ移行する。ここで、所定時間を、例えば「1秒」とすることができる。
【0062】
ステップ180で、ECU50は、エアフローメータ54の検出値に基づき吸気量Gaを取り込み、その取り込まれた吸気量Gaを、EGR弁18が開弁したときのEGR開吸気量Gaonとしてメモリに記憶する。
【0063】
次に、ステップ190で、ECU50は、EGR開吸気量GaonとEGR閉吸気量Gaoffとの差が所定値C1より大きいか否かを判断する。すなわち、ECU50は、EGR弁18が開弁したときの吸気量GaとEGR弁18が閉弁したときの吸気量Gaとの差がある程度大きいか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ200へ移行する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ220へ移行する。
【0064】
ステップ200では、ECU50は、EGR弁18が正常であるとの判定をする。ここで、ECU50は、この正常である事実をメモリに記録することができる。
【0065】
次に、ステップ210では、ECU50は、PCV弁67が正常であるとの判定し、処理をステップ230へ移行する。ここで、ECU50は、この正常である事実をメモリに記録することができる。
【0066】
一方、ステップ220では、ECU50は、EGR弁18が閉弁状態で故障(閉弁故障)しているとの判定、又は、PCV弁67が固着状態で故障(固着故障)しているとの判定をし、処理をステップ230へ移行する。ここで、ECU50は、EGR弁閉弁故障判定又はPCV弁固着故障判定の事実を運転者に告知したり、メモリに記録したりすることができる。
【0067】
そして、ステップ230では、ECU50は、EGR閉フラグXegroffを「0」にリセットする。また、ステップ240で、ECU50は、故障判定フラグXegrpcvobdを「1」に設定する。
【0068】
次に、ステップ250では、ECU50は、EGR弁18の開弁制御を終了し、処理をステップ100へ戻す。
【0069】
一方、ステップ100から移行してステップ260では、ECU50は、EGR閉フラグXegroffを「0」にリセットする。
【0070】
次に、ステップ270で、ECU50は、PCV弁67又はEGR弁18の故障検出からの復帰であるか否かを判断する。この判断結果が否定である場合、ECU50は処理をステップ100へ戻す。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ280へ移行する。
【0071】
そして、ステップ280では、ECU50は、EGR弁18の開弁制御を中止し、処理をステップ100へ戻す。
【0072】
上記制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速燃料カット時に、電子スロットル装置14のスロットル弁21を所定の微少開度に固定し、EGR弁18を閉弁状態から強制的に開弁制御し、サージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧を変化させ、その負圧を変化させる前と後でエアフローメータ54により検出される吸気量Gaの変化に基づいてPCV弁67が固着故障であるか否か、又はEGR弁18が閉弁故障であるか否かを判定するようになっている。
【0073】
以上説明したように、この実施形態の故障検出装置によれば、エンジン1の減速燃料カット時には、サージタンク3aにおける吸気圧PMが負圧となる。従って、PCV弁67が正常である場合は、PCV弁67がその負圧を受けて動作し、その負圧の大きさに応じてブローバイガス還元通路66におけるブローバイガス流量が調整され、そのブローバイガス流量に応じてサージタンク3aにおける吸気量PMが変わる。これに対し、PCV弁67が故障している場合は、サージタンク3aにおける負圧が変化してもブローバイガス流量に予想した変化が得られず、吸気通路3における吸気量Gaに予想した変化が得られない。
【0074】
ここで、エンジン1の減速燃料カット時には、ECU50により、電子スロットル装置14のスロットル弁21が所定の微少開度に固定され、EGR弁18が閉弁状態から強制的に開弁制御されてサージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧が変化する。そして、この負圧が変化する前と後でエアフローメータ54により検出される吸気量Gaの変化に基づいて、ECU50により、PCV
弁67が固着故障であるか否かが判定される。すなわち、吸気量Gaに変化がある場合は、PCV弁67が負圧の変化に応じて予想通りに動作したことになり、PCV弁67が正常であると判定することができる。一方、吸気量Gaに変化がない場合は、PCV弁67が負圧の変化に応じて予想通りに動作しなかったことになり、PCV弁67が固着故障であると判定することができる。ここで、エンジン1の運転状態を示す吸気量Gaを検出するためのエアフローメータ54が、PCV
弁67の固着故障を判定するために兼用されるので、故障検出のために専用のセンサを設ける必要がない。また、EGRガス流量を調節するためにエンジン1に設けられたEGR弁18を吸気圧PMを変更させる手段として兼用しているので、専用の機器を設ける必要がない。このため、故障検出のための専用部品を増やすことなく、装置の大型化やコストアップを生じさせることなく、PCV弁67の固着故障を有効に検出することができる。
【0075】
<第2実施形態>
次に、本発明におけるエンジンのブローバイガス還元装置のための故障検出装置を具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0076】
なお、以下の各実施形態において、前記第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
【0077】
この実施形態では、故障検出のための処理内容の点で第1実施形態と構成が異なる。
図7に、この実施形態における故障検出のための処理内容の一例をフローチャートにより示す。
図7のフローチャートでは、
図6のフローチャートにおけるステップ120とステップ130との間にステップ125の処理が設けられ、ステップ140とステップ150との間にステップ145の処理が設けられ、ステップ180とステップ230との間にステップ185、ステップ300〜ステップ360の処理が設けられた点で
図6のフローチャートと異なる。
【0078】
すなわち、処理がこのルーチンへ移行すると、ECU50は、ステップ100〜ステップ120の処理を実行した後、ステップ125で、吸気圧センサ51の検出値に基づき吸気圧PMを取り込む。
【0079】
その後、ECU50は、ステップ130及びステップ140の処理を実行した後、ステップ145で、今回取り込まれた吸気圧PMをEGR弁18が閉弁したときのEGR閉吸気圧PMoffとしてメモリに記憶する。
【0080】
その後、ECU50は、ステップ150〜ステップ180の処理を実行した後、ステップ185で、吸気圧センサ51の検出値に基づき吸気圧PMを取り込み、その取り込まれた吸気圧PMをEGR弁18が開弁したときのEGR開吸気圧PMonとしてメモリに記憶する。
【0081】
次に、ステップ300で、ECU50は、EGR開吸気圧PMonとEGR閉吸気圧PMoffとの差が所定値D1より大きいか否かを判断する。すなわち、ECU50は、EGR弁18を開弁したときの吸気圧PMとEGR弁18を閉弁したときの吸気圧PMとの差がある程度大きいか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ310へ移行する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ350へ移行する。
【0082】
ステップ310では、ECU50は、EGR弁18が正常であるとの判定をする。ここで、ECU50は、この正常である事実をメモリに記録することができる。
【0083】
次に、ステップ320では、ECU50は、EGR開吸気量GaonとEGR閉吸気量Gaoffとの差が所定値C1より大きいか否かを判断する。すなわち、ECU50は、EGR弁18が開弁したときの吸気量GaとEGR弁18が閉弁したときの吸気量Gaとの差がある程度大きいか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ330へ移行する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ340へ移行する。
【0084】
ステップ330では、ECU50は、PCV弁67が正常であるとの判定し、処理をステップ230へ移行する。ここで、ECU50は、この正常である事実をメモリに記録することができる。
【0085】
また、ステップ340では、ECU50は、PCV弁67が固着故障しているとの判定をし、処理をステップ230へ移行する。ここで、ECU50は、PCV弁固着故障判定の事実を運転者に告知したり、メモリに記録したりすることができる。
【0086】
一方、ステップ300から移行してステップ350では、ECU50は、EGR弁18が閉弁故障しているとの判定をする。ここで、ECU50は、EGR弁閉弁故障判定の事実を運転者に告知したり、メモリに記録したりすることができる。
【0087】
次に、ステップ360で、ECU50は、PCV弁67の正常故障判定を保留し、処理をステップ230へ移行する。
【0088】
上記制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速燃料カット時に、スロットル弁21を所定の微少開度に固定し、EGR弁18を閉弁状態から強制的に開弁制御し、サージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧を変化させ、その負圧を変化させる前と後で吸気圧センサ51により検出される吸気圧PMの変化に基づいてEGR弁18が閉弁故障であるか否かを判定する。そして、ECU50は、EGR弁18が正常であると判定したとき、サージタンク3aの吸気圧PMの負圧を変化させる前と後でエアフローメータ54により検出される吸気量Gaの変化に基づいてPCV弁67が固着故障であるか否かを判定するようになっている。
【0089】
以上説明したように、この実施形態の故障検出装置によれば、PCV弁67の固着故障を判定する前提として、EGR弁18が閉弁故障であるか否かが判定されるので、EGR弁18の閉弁故障も検出することができる。また、EGR弁18が正常である場合は、EGR弁18を閉弁状態から強制
的に開弁制御することで、サージタンク3aにおける吸気圧PMが予想通りに変化する。ここで、ECU50により、EGR弁18が正常であると判定されたときに、吸気圧PMの負圧が変化する前と後でエアフローメータ54により検出される吸気量Gaの変化に基づいてPCV弁67が固着故障であるか否かが判定される。従って、EGR弁18が正常であることを前提に、すなわち吸気圧PMが予想通りに変化することを前提にPCV弁67の固着故障が判定されるので、その故障につき適正な判定が可能となる。このため、第1実施形態における効果に加え、PCV弁67の故障検出を適正に行うことができる。
【0090】
<第3実施形態>
次に、本発明におけるエンジンのブローバイガス還元装置のための故障検出装置を具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0091】
この実施形態では、VVT61が本発明の別の吸気圧変更手段の一例に相当する。すなわち、VVT61が動作して吸気弁41と排気弁42とのバルブオーバラップが拡大されることにより、サージタンク3aにおける吸気圧PMが変更されるようになっている。
【0092】
また、この実施形態では、故障検出のための処理内容の点で第2実施形態と構成が異なる。
図8に、この実施形態における故障検出のための処理内容の一例をフローチャートにより示す。
図8のフローチャートでは、
図7のフローチャートにおけるステップ350とステップ330との間にステップ400〜ステップ420の処理が設けられ、ステップ250の後にステップ430の処理が設けられ、ステップ270とステップ280との間にステップ440の処理が設けられた点で
図7のフローチャートと異なる。
【0093】
すなわち、このルーチンにおいて、ECU50は、ステップ350の処理を実行した後、ステップ400で、VVT61によりバルブオーバラップを拡大制御する。すなわち、ECU50は、VVT61を制御することにより、吸気弁41のバルブタイミングを標準タイミングよりも進角させ、吸気弁41のバルブタイミングと排気弁42のバルブタイミングとのバルブオーバラップを拡大する。この制御により、サージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧の大きさが緩和される。
【0094】
次に、ステップ410で、ECU50は、エアフローメータ54の検出値に基づき吸気量Gaを取り込み、その取り込まれた吸気量GaをEGR弁18が閉弁したときのEGR閉吸気量Ga
offとしてメモリに記憶する。
【0095】
次に、ステップ420で、ECU50は、EGR開吸気量GaonとEGR閉吸気量Gaoffとの差が所定値E1より大きいか否かを判断する。すなわち、ECU50は、EGR弁18が開弁したときの吸気量GaとEGR弁18が閉弁したときの吸気量Gaとの差がある程度大きいか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ360へ移行する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ340へ移行する。
【0096】
また、ステップ250から移行してステップ430では、ECU50は、VVT61によるバルブオーバラップ拡大制御を終了し、処理をステップ100へ戻す。
【0097】
一方、ステップ270から移行してステップ440では、ECU50は、VVT61によるバルブオーバラップ拡大制御を中止し、処理をステップ280へ移行する。
【0098】
上記制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速燃料カット時に、スロットル弁21を所定の微少開度に固定し、EGR弁18を閉弁状態から強制的に開弁制御し、サージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧を変化させ、その負圧を変化させる前と後で吸気圧センサ51により検出される吸気圧PMの変化に基づいてEGR弁18が閉弁故障であるか否かを判定する。そして、ECU50は、EGR弁18が正常であると判定したとき、サージタンク3aの負圧を変化させる前と後でエアフローメータ54により検出される吸気量Gaの変化に基づいてPCV弁67が固着故障であるか否かを判定するようになっている。また、ECU50は、EGR弁18が閉弁故障であると判定したとき、VVT61を制御してサージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧を変化させ、その負圧を変化させる前と後でエアフローメータ54により検出される吸気量Gaの変化に基づいてPCV弁67が固着故障であるか否かを判定するようになっている。
【0099】
以上説明したように、この実施形態の故障検出装置によれば、PCV弁67の固着故障を判定する前提として、EGR弁18が閉弁故障であるか否かが判定されるので、EGR弁18の閉弁故障も検出することができる。また、EGR弁18が正常である場合は、EGR弁18を閉弁状態から強制的に開弁制御することで、サージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧が予想通りに変化する。ここで、ECU50により、EGR弁18が正常であると判定されたときに、吸気圧PMの負圧が変化する前と後でエアフローメータ54により検出される吸気量Gaの変化に基づいてPCV弁67が固着故障であるか否かが判定される。従って、EGR弁18が正常であることを前提に、すなわち吸気圧PMが予想通りに変化することを前提にPCV弁67の固着故障が判定されるので、その故障につき適正な判定が可能となる。このため、第1実施形態における効果に加え、PCV弁67の故障検出を適正に行うことができる。
【0100】
一方、EGR弁18が閉弁故障である場合は、EGR弁18を閉弁状態から強制的に開弁制御しても、サージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧に予想した変化が得られない。ここで、ECU50により、EGR弁18が閉弁故障であると判定されたときに、VVT61によりバルブオーバラップが拡大制御されてサージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧が変化させられ、その負圧が変化する前と後でエアフローメータ54により検出される吸気量Gaの変化に基づいてPCV弁67が固着故障であるか否かが判定される。従って、EGR弁18が閉弁故障している場合にも、PCV弁67の故障を判定する機会を確保することができる。また、吸気弁41のバルブタイミングを可変とすることを目的としてエンジン1に設けられたVVT61を吸気圧PMを変更する別の手段として兼用しているので、専用の機器を設ける必要がない。このため、故障検出のための専用部品を増やすことなく、大型化やコストアップを生じさせることなく、PCV弁67の固着故障を有効に検出することができると共に、その故障検出を適正に行うことができる。また、EGR弁18の閉弁故障も検出することができ、EGR弁18が閉弁故障である場合もPCV弁67の故障検出をより適正に行うことができる。
【0101】
<第4実施形態>
次に、本発明におけるエンジンのブローバイガス還元装置のための故障検出装置を具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0102】
この実施形態では、VVT61が本発明の吸気圧変更手段の一例に相当する。すなわち、VVT61が作動して吸気弁41と排気弁42とのバルブオーバラップが変更されることにより、サージタンク3aにおける吸気圧PMが変更されるようになっている。
【0103】
この実施形態では、故障検出のための処理内容の点で第2実施形態と構成が異なる。
図9に、この実施形態における故障検出のための処理内容の一例をフローチャートにより示す。
図9のフローチャートでは、
図7のフローチャートにおけるステップ110、ステップ130、ステップ140、ステップ145、ステップ150、ステップ160、ステップ180、ステップ185、ステップ300〜ステップ320、ステップ350、ステップ230〜ステップ260及びステップ280の代わりに、ステップ111、ステップ131、ステップ141、ステップ146、ステップ151、ステップ161、ステップ181、ステップ186、ステップ301、ステップ311、ステップ321、ステップ351、ステップ231、ステップ241、ステップ251、ステップ261及びステップ281の処理が設けられる点で
図7のフローチャートと異なる。
【0104】
すなわち、処理がこのルーチンへ移行すると、ECU50は、ステップ100の処理の後、ステップ111で、故障判定フラグXvvtpcvobdが「0」であるか否かを判断する。ここで、故障判定フラグXvvtpcvobdは、VVT61とPCV弁67について故障判定が行われた場合に「1」に、故障判定が行われていない場合に「0」に設定される。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ100へ戻す。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ120へ移行する。
【0105】
その後、ステップ120及びステップ125の処理を実行した後、ステップ131で、ECU50は、VVTオフフラグXvvtoffが「0」であるか否かを判断する。VVTオフフラグXvvtoffは、後述するようにVVT61がオフのときのVVTオフ吸気量Gavoffが得られた場合に「1」に、そのVVTオフ吸気量Gavoffが得られない場合に「0」に設定される。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ161へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ141へ移行する。
【0106】
ステップ141では、ECU50は、ステップ12
0で取り込まれた吸気
量Gaを、VVTオフ吸気
量Gavoffとしてメモリに記憶する。また、ステップ146で、ECU50は、ステップ125で取り込まれた吸気圧PMを、VVTオフ吸気圧PMvoffとしてメモリに記憶する。また、ステップ151で、ECU50は、VVTオフフラグXvvtoffを「1」に設定する。その後、ECU50は、処理をステップ131へ戻す。
【0107】
一方、ステップ131から移行してステップ161では、ECU50は、VVT61によりバルブオーバラップを拡大制御する。これにより、サージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧の大きさが緩和される。
【0108】
次に、ECU50は、ステップ170で、所定時間が経過するのを待ってステップ181へ移行し、ステップ181で、エアフローメータ54の検出値に基づき吸気量Gaを取り込み、その取り込まれた吸気量Gaを、VVT61がオンしたときのVVTオン吸気量Gavonとしてメモリに記憶する。
【0109】
次に、ステップ186で、ECU50は、吸気圧センサ51の検出値に基づき吸気圧PMを取り込み、その取り込まれた吸気圧PMを、VVT61がオンしたときのVVTオン吸気圧PMvonとしてメモリに記憶する。
【0110】
次に、ステップ301で、ECU50は、VVTオン吸気圧PMvonとVVTオフ吸気圧PMvoffとの差が所定値D1より大きいか否かを判断する。すなわち、ECU50は、VVT61がオンしたときの吸気圧PMとVVT61がオフしたときの吸気圧PMとの差がある程度大きいか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ311へ移行する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ351へ移行する。
【0111】
ステップ311では、ECU50は、VVT61が正常であるとの判定をする。ここで、ECU50は、この正常である事実をメモリに記録することができる。
【0112】
次に、ステップ321で、ECU50は、VVTオン吸気量GavonとVVTオフ吸気量Gavoffとの差が所定値C1より大きいか否かを判断する。すなわち、ECU50は、VVT61がオンしたときの吸気量GaとVVT61がオフしたときの吸気量Gaとの差がある程度大きいか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ330へ移行する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ340へ移行する。
【0113】
ステップ330では、ECU50は、PCV弁67が正常であるとの判定し、処理をステップ231へ移行する。ここで、ECU50は、この正常である事実をメモリに記録することができる。
【0114】
また、ステップ340では、ECU50は、PCV弁67が固着故障しているとの判定をし、処理をステップ231へ移行する。ここで、ECU50は、PCV弁固着故障判定の事実を運転者に告知したり、メモリに記録したりすることができる。
【0115】
一方、ステップ301から移行してステップ351では、ECU50は、VVT61が故障しているとの判定をする。ここで、ECU50は、VVT故障判定の事実を運転者に告知したり、メモリに記録したりすることができる。
【0116】
次に、ステップ360で、ECU50は、PCV弁67の正常故障判定を保留し、処理をステップ231へ移行する。
【0117】
そして、ステップ231では、ECU50は、VVTオフフラグXvvtoffを「0」にリセットする。また、ステップ241で、ECU50は、故障判定フラグXvvtpcvobdを「1」に設定する。
【0118】
そして、ステップ251では、ECU50は、VVT61によるバルブオーバラップ拡大制御を終了し、処理をステップ100へ戻す。
【0119】
一方、ステップ100から移行してステップ261では、ECU50は、VVTオフフラグXvvtoffを「0」にリセットする。
【0120】
また、ステップ270から移行してステップ281では、ECU50は、VVT61によるバルブオーバラップ拡
大制御を中止し、処理をステップ100へ戻す。
【0121】
上記制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速燃料カット時に、スロットル弁21を所定の微少開度に固定し、VVT61によりバルブオーバラップを拡大制御して、サージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧を変化させ、その負圧を変化させる前と後で吸気圧センサ51により検出される吸気圧PMの変化に基づいてVVT61が故障であるか否かを判定する。そして、ECU50は、VVT61が正常であると判定したとき、サージタンク3aの吸気圧PMの負圧を変化させる前と後でエアフローメータ54により検出される吸気量Gaの変化に基づいてPCV弁67が固着故障であるか否かを判定するようになっている。
【0122】
以上説明したように、この実施形態の故障検出装置によれば、PCV弁67の固着故障を判定する前提として、VVT61が故障であるか否かが判定されるので、VVT61の故障も検出することができる。また、VVT61が正常である場合は、VVT61によりバルブオーバラップを拡大制御することで、サージタンク3aにおける吸気圧PMが予想通りに変化する。ここで、ECU50により、VVT61が正常であると判定されたときに、吸気圧PMの負圧が変化する前と後でエアフローメータ54により検出される吸気量Gaの変化に基づいてPCV弁67が固着故障であるか否かが判定される。従って、VVT61が正常であることを前提に、すなわち吸気圧PMが予想通りに変化することを前提にPCV弁67の固着故障が判定されるので、その故障につき適正な判定が可能となる。このため、第1実施形態における効果に加え、PCV弁67の故障検出を適正に行うことができる。
【0123】
<第5実施形態>
次に、本発明におけるエンジンのブローバイガス還元装置のための故障検出装置を具体化した第5実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0124】
この実施形態では、エンジンシステムと故障検出の処理内容の点で前記各実施形態と構成が異なる。図10に、この実施形態におけるガソリンエンジンシステムを概略構成図により示す。図10に示すように、この実施形態では、サージタンク3aへ新気を導入するための新気導入通路81と、新気導入通路81を流れる新気を調節するための新気導入弁82が更に設けられる点で図1のガソリンエンジンシステムと異なる。新気導入通路81は、その入口81aがEGR通路17の出口17aより上流の吸気通路3に接続され、その出口81bがスロットル弁21より下流であってサージタンク3aより上流の吸気通路3に接続される。新気導入弁82は、電動弁であって、新気導入通路81を流れる新気を調節するためにECU50により制御されるようになっている。
【0125】
また、この実施形態のエンジンシステムは、前記各実施形態における高圧ループ式EGR装置に代わって、低圧ループ式EGR装置を備える。すなわち、この実施形態では、図10に示すように、EGR通路17の入口17bが、触媒コンバータ15より下流の排気通路5に接続され、その出口17aがコンプレッサ8より上流の吸気通路3に接続される。EGR通路17には、EGRクーラ20とEGR弁18がそれぞれ設けられる。
【0126】
この実施形態では、新気導入弁82が本発明の吸気圧変更手段の一例に相当する。すなわち、新気導入弁82が動作することにより、サージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧が変更されるようになっている。また、この実施形態では、VVT61が本発明の別の吸気圧変更手段の一例に相当する。すなわち、VVT61が動作して吸気弁41と排気弁42とのバルブオーバラップが拡大されることにより、サージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧が変更されるようになっている。
【0127】
図11に、この実施形態における故障検出のための処理内容の一例をフローチャートにより示す。処理がこのルーチンへ移行すると、先ず、ステップ500で、ECU50は、エンジン1の運転状態が減速燃料カット中であるか否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ740へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ510へ移行する。
【0128】
ステップ510で、ECU50は、故障判定フラグXacvpcvobdが「0」であるか否かを判断する。ここで、故障判定フラグXacvpcvobdは、新気導入弁82とPCV弁67について故障判定が行われた場合に「1」に、故障判定が行われていない場合に「0」に設定される。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ500へ戻す。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ520へ移行する。
【0129】
ステップ520で、ECU50は、エアフローメータ54の検出値に基づき吸気量Gaを取り込む。
【0130】
次に、ステップ530で、ECU50は、新気閉フラグXacvoffが「0」であるか否かを判断する。新気閉フラグXacvoffは、後述するように新気導入弁82が閉弁されるときの新気閉吸気量Gaaoffが得られた場合に「1」に、その新気閉吸気量Gaaoffが得られない場合に「0」に設定される。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ560へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ540へ移行する。
【0131】
ステップ540では、ECU50は、ステップ520で取り込まれた吸気量Gaを、新気導入弁82が閉弁したときの新気閉吸気量Gaaoffとしてメモリに記憶する。また、ステップ550で、ECU50は、新気閉フラグXacvoffを「1」に設定する。その後、ECU50は、処理をステップ530へ戻す。
【0132】
一方、ステップ530から移行してステップ560では、ECU50は、新気導入弁82を所定開度K1だけ開弁制御する。これにより、閉弁状態の新気導入弁82が開弁され、サージタンク3aの吸気圧PMの負圧が緩和される。
【0133】
次に、ステップ570で、ECU50は、所定時間が経過するのを待ってステップ580へ移行する。ここで、所定時間を、例えば「1秒」とすることができる。
【0134】
ステップ580で、ECU50は、エアフローメータ54の検出値に基づき吸気量Gaを取り込み、その取り込まれた吸気量Gaを、新気導入弁82が開弁されたときの新気開吸気量Gaaonとしてメモリに記憶する。
【0135】
次に、ステップ590で、ECU50は、新気開吸気量Gaaonと新気閉吸気量Gaaoffとの差が所定値C1より大きいか否かを判断する。すなわち、ECU50は、新気導入弁82が開弁したときの吸気量Gaと新気導入弁82が閉弁したときの吸気量Gaとの差がある程度大きいか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ600へ移行する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ660へ移行する。
【0136】
ステップ600では、ECU50は、新気導入弁82が正常であるとの判定をする。ここで、ECU50は、この正常である事実をメモリに記録することができる。
【0137】
次に、ステップ610では、ECU50は、PCV弁67が正常であるとの判定をする。ここで、ECU50は、この正常である事実をメモリに記録することができる。
【0138】
次に、ステップ620で、ECU50は、新気閉フラグXacvoffを「0」にリセットする。また、ステップ630で、ECU50は、故障判定フラグXacvpcvobdを「1」に設定する。
【0139】
次に、ステップ640では、ECU50は、新気導入弁82の開弁制御を終了する。また、ステップ650では、ECU50は、VVT61によるバルブオーバラップ拡大制御を終了する。その後、ECU50は処理をステップ500へ戻す。
【0140】
一方、ステップ590から移行してステップ660では、ECU50は、新気開吸気量Gaaonと新気閉吸気量Gaaoffとの差が所定値C2(<C1)より大きいか否かを判断する。すなわち、ECU50は、新気導入弁82が開弁したときの吸気量Gaと新気導入弁82が閉弁したときの吸気量Gaとの差がやや大きいか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ6
70へ移行する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ6
90へ移行する。
【0141】
ステップ670では、ECU50は、新気導入弁82が正常であるとの判定をする。ここで、ECU50は、この正常である事実をメモリに記録することができる。
【0142】
次に、ステップ680で、ECU50は、PCV弁67が固着故障であるとの判定をする。ここで、ECU50は、PCV弁固着故障判定の事実を運転者に告知したり、メモリに記録したりすることができる。その後、ECU50は処理をステップ620へ移行する。
【0143】
また、ステップ660から移行してステップ690では、ECU50は、新気導入弁82が閉弁故障であるとの判定をする。ここで、ECU50は、新気導入弁閉弁故障判定の事実を運転者に告知したり、メモリに記録したりすることができる。
【0144】
次に、ステップ700で、ECU50は、VVT61によりバルブオーバラップを拡大制御する。これにより、サージタンク3aの吸気圧PMの負圧を変更する。
【0145】
次に、ステップ710で、ECU50は、エアフローメータ54の検出値に基づき吸気量Gaを取り込み、その取り込まれた吸気量Gaを、新気導入弁82が閉弁したときの新気閉吸気量Gaaoffとしてメモリに記憶する。
【0146】
そして、ステップ720で、ECU50は、新気開吸気量Gaaonと新気閉吸気量Gaaoffとの差が所定値C3(<C2)より大きいか否かを判断する。すなわち、ECU50は、新気導入弁82が開弁したときの吸気量Gaと新気導入弁82が閉弁したときの吸気量Gaとの差がある程度あるか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ730へ移行する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ680へ戻す。
【0147】
ステップ730では、ECU50は、PCV弁67が正常であるとの判定をする。ここで、ECU50は、この正常である事実をメモリに記録することができる。その後、ECU50は処理をステップ620へ移行する。
【0148】
一方、ステップ500から移行してステップ740では、ECU50は、新気閉フラグXacvoffを「0」にリセットする。
【0149】
次に、ステップ750で、ECU50は、新気導入弁82又はPCV弁67の故障検出からの復帰であるか否かを判断する。この判断結果が否定である場合、ECU50は処理をステップ500へ戻す。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ760へ移行する。
【0150】
そして、ステップ760では、ECU50は、VVT61によるバルブオーバラップ拡大制御を中止する。また、ステップ770で、ECU50は、新気導入弁82の開弁制御を中止し、処理をステップ100へ戻す。
【0151】
上記制御によれば、ECU50は、エンジン1の減速燃料カット時に、スロットル弁21を所定の微少開度に固定し、新気導入弁82を制御して強制的に開弁させ、サージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧を変化させ、その負圧を変化させる前と後でエアフローメータ54により検出される吸気量Gaの変化に基づいて新気導入弁82が閉弁故障であるか否かを判定する。そして、ECU50は、新気導入弁82が正常であると判定したとき、サージタンク3aの吸気圧PMの負圧を変化させる前と後でエアフローメータ54により検出される吸気量Gaの変化に基づいてPCV弁67が固着故障であるか否かを判定するようになっている。また、ECU50は、新気導入弁82が閉弁故障であると判定したとき、VVT61によりバルブオーバラップを拡大制御してサージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧を変化させ、その負圧を変化させる前と後でエアフローメータ54により検出される吸気量Gaの変化に基づいてPCV弁67が固着故障であるか否かを判定するようになっている。
【0152】
以上説明したように、この実施形態の故障検出装置によれば、PCV弁67の固着故障を判定する前提として、新気導入弁82が閉弁故障であるか否かが判定されるので、新気導入弁
82の閉弁故障も検出することができる。また、新気導入弁82が正常である場合は、新気導入弁82を閉弁状態から強制的に開弁制御することで、サージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧が予想通りに変化する。ここで、ECU50により、新気導入弁82が正常であると判定されたときに、吸気圧PMの負圧が変化する前と後でエアフローメータ54により検出される吸気量Gaの変化に基づいてPCV弁67が固着故障であるか否かが判定される。従って、新気導入弁82が正常であることを前提に、すなわち吸気圧PMが予想通りに変化することを前提にPCV弁67の固着故障が判定されるので、その故障につき適正な判定が可能となる。このため、第1実施形態における効果に対し、PCV弁67の故障検出をより適正に行うことができる。
【0153】
一方、新気導入弁82が閉弁故障である場合は、新気導入弁82を閉弁状態から強制的に開弁制御しても、サージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧に予想した変化が得られない。ここで、ECU50により、新気導入弁82が閉弁故障であると判定されたときに、VVT61によりバルブオーバラップが拡大制御されてサージタンク3aにおける吸気圧PMの負圧が変化させられ、その負圧が変化する前と後でエアフローメータ54により検出される吸気量Gaの変化に基づいてPCV弁67が固着故障であるか否かが判定される。従って、新気導入弁82が閉弁故障している場合にも、PCV弁67の故障を判定する機会を確保することができる。また、吸気弁41のバルブタイミングを可変とすることを目的としてエンジン1に設けられたVVT61を吸気圧PMを変更する別の手段として兼用しているので、専用の機器を設ける必要がない。このため、故障検出のための専用部品を増やすことなく、大型化やコストアップを生じさせることなく、PCV弁67の固着故障を有効に検出することができると共に、その故障検出を適正に行うことができる。また、新気導入弁82の閉弁故障も検出することができ、新気導入弁82が閉弁故障である場合もPCV弁67の故障検出をより適正に行うことができる。
【0154】
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して次のように実施することができる。
【0156】
(2)前記第3及び第5の実施形態では、VVT61を本発明の別の吸気圧変更手段として使用したが、EGR弁又は新気導入弁を本発明の別の吸気圧変更手段として使用することもできる。
【0157】
(3)前記各実施形態では、本発明の故障検出装置を過給機7を備えたエンジン1に具体化したが、本発明の故障検出装置を過給機を備えていないエンジンに具体化することもできる。
【0158】
(4)前記各実施形態では、本発明の故障検出装置をガソリンエンジンシステムに具体化したが、本発明をディーゼルエンジンシステムに具体化することもできる。