特許第6061841号(P6061841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061841
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】改良型の共射出成形
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/16 20060101AFI20170106BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20170106BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   B29C45/16
   B29C45/76
   B29C45/26
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-500123(P2013-500123)
(86)(22)【出願日】2011年3月14日
(65)【公表番号】特表2013-522086(P2013-522086A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】US2011028340
(87)【国際公開番号】WO2011115905
(87)【国際公開日】20110922
【審査請求日】2014年2月13日
(31)【優先権主張番号】1004302.4
(32)【優先日】2010年3月15日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501175214
【氏名又は名称】クラフト・フーヅ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】KRAFT FOODS R & D, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ヨーク
(72)【発明者】
【氏名】イサク シャブダン
【審査官】 大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−233178(JP,A)
【文献】 特表2004−523398(JP,A)
【文献】 特開昭64−009145(JP,A)
【文献】 特表平01−500582(JP,A)
【文献】 特開平01−009145(JP,A)
【文献】 特表2013−522074(JP,A)
【文献】 特開平10−052835(JP,A)
【文献】 特開昭63−005540(JP,A)
【文献】 特表2007−535332(JP,A)
【文献】 特開平08−156904(JP,A)
【文献】 特表平09−507798(JP,A)
【文献】 特開平03−023918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00 − 45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の材料の外側外皮と、前記外側外皮によって包封された第2の材料の中央コアとを備える多層の射出成形品を形成する方法であって、
前記第1の材料および第2の材料を1つのストリームで射出成形型の型空洞内に射出するステップであって、前記第2の材料が前記第1の材料内に包み込まれる、ステップと、
前記第1の材料および第2の材料の両方が前記型空洞の少なくとも1つの第1の領域内に存在し、前記第1の材料だけが前記型空洞の少なくとも1つの第2の領域内に存在するように、前記型空洞内の流路によって前記ストリームの流れを制御するステップであって、前記流路が、前記型空洞の第1の領域内に少なくとも1つの一次流路を含み、前記一次流路は少なくとも2つの二次流路に分かれる、ステップと
を含み、
前記型空洞の第1の領域内の前記二次流路の第1の二次流路の抵抗が、前記型空洞の第2の領域内にある前記2つの二次流路の第2の二次流路のものに対して低減され
前記第1の材料および第2の材料を、前記第1の二次流路に同時に導かれるよう前記ストリームの流れを制御することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の材料は、実質的に液体不浸透性であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の材料は、実質的にガス耐性であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の材料および第2の材料は、異なるポリマー材料であることを特徴とする前記請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記二次流路の前記第1の二次流路の前記抵抗は、前記二次流路の以下の要素、すなわち
前記二次流路の断面積、
前記二次流路の長さ、
前記一次流路と、前記第2の二次流路ではなく前記第1の二次流路との間の半径、
前記一次流路と前記二次流路の一方または両方との間の角度(1つまたは複数)
の1つまたは複数を、互いに対して変化させることによって前記二次流路の前記第2の二次流路に対して低減されることを特徴とする前記請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記二次流路の1つまたは複数は、再度分かれて別の二次流路を形成する一次流路になることを特徴とする前記請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記一次流路は、複数の二次流路に分かれることを特徴とする前記請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第1の材料の外側外皮と、前記外側外皮によって包封された第2の材料の中央コアとを備える多層の射出成形品を形成するための装置であって、
前記成形品の形状を画定する型空洞を有する射出成形型と、
前記第1の材料および第2の材料を単一のストリームとして前記型空洞内に共射出する手段であって、このとき前記第2の材料は前記第1の材料によって包み込まれる、手段とを備え、
前記型空洞が、前記第1の材料および第2の材料の両方が前記型空洞の少なくとも1つの第1の領域内に存在し、前記第1の材料だけが前記型空洞の少なくとも1つの第2の領域内に存在するように、前記材料の流れを制御する流路を備え、
前記流路が、前記型空洞の第1の領域内に少なくとも1つの一次流路を含み、前記一次流路は少なくとも2つの二次流路に分かれ、前記二次流路の第1の二次流路は、前記型空洞の第1の領域内にあり、前記型空洞の第2の領域内にある前記二次流路の第2の二次流路に対してより低い抵抗を有し、
前記第1の材料および第2の材料は、前記第1の二次流路に同時に導かれることを特徴とする装置。
【請求項9】
前記二次流路の前記第1の二次流路の前記抵抗は、前記二次流路の以下の要素、すなわち
前記二次流路の断面積、
前記二次流路の長さ、
前記一次流路と、前記第2の二次流路ではなく前記第1の二次流路との間の半径、
前記一次流路と前記二次流路の一方または両方との間の角度(1つまたは複数)
の1つまたは複数を、互いに対して変化させることによって前記二次流路の前記第2の二次流路に対して低減されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記二次流路の1つまたは複数は、再度分かれて別の二次流路を形成する一次流路になることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記一次流路は、複数の二次流路に分かれることを特徴とする請求項8から10までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記型空洞が飲料カートリッジの外側部材を成形し、前記型空洞の第2の領域が前記外側部材のフランジ部分を形成し、
前記フランジ部分を形成するために前記二次流路の前記第2の二次流路に第1の材料のみを進行させることを含む、前記型空洞内の流路によって前記ストリームの流れを制御する請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記飲料カートリッジの外側部材のフランジ部分に、積層体を接合することをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記型空洞が飲料のカートリッジの外側部材を成形するために構成され、前記型空洞の第2の領域が前記外側部材のフランジ部分を形成する、
前記少なくとも2つの二次流路が、前記第1および第2の材料のストリームの流れを制御して、前記外側部材の前記フランジ部分を形成するために、前記二次流路の前記第2の二次流路に第1の材料のみが流入することを特徴とする請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良型の射出成形に関し、詳細には複雑な表面形状の物品を共射出成形するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料調製原料を個別の空気不浸透性パッケージ内に密封することが以前から提案されている。たとえば、一般には「エスプレッソ」機械と呼ばれる特定のコーヒー調製機械で使用するための、挽きコーヒーを含有するカートリッジまたはカプセルなどが知られている。これらの調製機械を用いるコーヒーの生成では、コーヒーカートリッジが抽出室内に置かれ、高温水が比較的高い圧力でカートリッジを通過し、それによって挽きコーヒーから香りの良いコーヒー成分が引き出されてコーヒー飲料が生成される。
【0003】
特許文献1では、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステルまたはこれらの材料の2つまたはそれ以上の積層体から形成されたカートリッジが、説明されている。カートリッジは、その中に水を導入するための入口と、前記飲料原料から生成された飲料のための出口とを有する。カートリッジは、外側部材と、外側部材に挿入された内側部材と、飲料の噴出を生成するために入口を出口に連結する飲料流路内の開口とを備える。カートリッジは飲料の噴出を生成し、この噴出は、たとえば飲料の噴出内に空気を取り込んで、分配された飲料内に大量の小さい空気泡を生成することによって、分配された飲料の外観および特性を変更するために使用することができる。
【0004】
特にコーヒーなどの多くの飲料原料の品質は、空気にさらされたとき、たとえば脂肪酸の酸化および飲料の風味に寄与する揮発性油の蒸発によって劣化が始まる。このため、コーヒーの風味の劣化現象が引き起こされる。したがって、飲料原料の品質を維持し、カートリッジに合理的な保存期間与えるために、空気および水分の浸入を防止することが重要である。そのため、カートリッジの製造で使用される材料は、一般的には、これらを空気透過から保護するために液体に対して不浸透性であるが、そのようなカートリッジは、しばしば、プラスチック包装紙または金属ホイルなどのガス不浸透性の二次パッケージング内にパッケージ化される。そのようなパッケージングに使用される適切な材料は、たとえばポリアミドでコーティングされたセルロース膜、エチレン−ビニルアルコールポリマー(EVOH)または他のビニルアルコールポリマー(PVOH)である。
【0005】
しかし、二次パッケージングの使用は、一度開封されると、カートリッジは、製品の劣化現象を引き起こす空気の浸入を受けやすいという欠点を有する。加えて、破棄される必要がある無駄な製品を低減し、パッケージングコストを低減するという両方の点から、使用されるパッケージング量を低減することが極めて望ましい。さらに、各々のカートリッジを別個に包装することはコスト効果が良くなく、または環境に優しくない。
【0006】
特に食料品向けの、ガスおよび水不浸透性である多くの従来技術の容器およびパッケージが存在している。たとえば特許文献2は、ポリプロピレンおよびエチレン−ビニルアルコールポリマー、ポリスチレンおよびエチレン−ビニルアルコールポリマー、ポリエチレン、ならびにポリスチレンなどの多層樹脂シートから形成された、流動食に使用されるパッケージング容器を説明している。このシートは、共押出し成形によって形成され、または別個に形成されたスリーブまたは発泡ポリプロピレンもしくは樹脂シートよりも大きい剛性を有する別の材料に結合される円筒状容器になるように変形されるインフレーションフィルム成形によって形成される。
【0007】
特許文献3で説明されているように、たとえば、ポリプロピレンおよびエチレン−ビニルアルコールポリマーの複合シートを事前形成し、食品をそのシート内に包装し、ヒートシールすることができる。
【0008】
上記で説明したパッケージング材料は、その複雑な形状により、上記で説明したカートリッジ内に含有された飲料原料を保護するには極めて適しているが、カートリッジの構成要素部分の形成は、これらの材料をどのように使用できるかに関して限定を加える。上述したカートリッジは、シート材料から形成された部分では可能ではないさまざまな特徴を組み込むように設計される。
【0009】
したがって、特許文献1で説明されているカートリッジの現在の一般的な構造を保持しながら、これらを実質的にガスおよび水不浸透性にすることが望ましい。
【0010】
そのようなカートリッジは、好都合には、幅広い種類の用途のプラスチック品および構成要素を製造するのに使用される最も一般的な方法の1つである射出成形プロセスによって形成される。工具類は費用がかかるが、部品当たりのコストは低く、このプロセスは、高い耐性を求める部品を正確に大量に生産するのに特に適している。
【0011】
カートリッジの外側部材が、その形状を維持し、使用時に変形しないように十分な強度および剛性を有し、射出成形することができるためには、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはポリスチレンなどの適切なポリマーを使用することが必要である。しかし、これらの材料は液体に対して不浸透性であるが、ガスに対する不浸透性は十分でなく、エチレン−ビニルアルコール(EVOH)ポリマーなどのガス不浸透障壁層を含むことが望ましい。
【0012】
異なる材料の多層積層体を、熱成形および他のプロセスを用いて形成することが可能であるが、その選択肢は、これまで射出成形によって幾分限定されてきた。共射出成形は、ポリマーなどの2つの異なる材料が、射出成形中に層構造になるように形成されるプロセスである。これによって、外皮および内側コアのサンドイッチ構造が作り出される。しかし、最近まで、使用されるポリマーは、同じ温度で溶融し互いに結合する限りにおいて、適合性でなければならなかった。層が結合されない場合、サンドイッチは剥離しやすく、すなわち層は、収縮差により物理的に分離する。
【0013】
しかし、共射出技術の最近の進歩により、コアおよび内側/外側層で使用される材料が異なる、内側層および外側層によって封入されたコアからなるサンドイッチを用いて、多層ポリマー品を成形することが可能になってきている。これは、コアをEVOHなどのガス不浸透性材料から形成することができ、一方で内側/外側層を、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのよりコスト効果が高い材料から形成することができることを意味している。多層ポリマー品を共射出成形する方法が、特許文献4に説明されている。
【0014】
射出成形の欠点の1つは、型を適正に充填できること、完成品を抜き出すことができること、ならびに歪み、応力不全、および割れなどの無数の他の問題が回避されることを確実にするように、成形される部分(したがって射出型それ自体)が、慎重に設計されなければならないことである。これは、これらのカートリッジの構成要素部分に必要とされるような複雑な表面形状、および剛性だけでなく不浸透性に対する要求事項を有する物品では、これまで達成することができなかった。
【0015】
しかし、カートリッジ構成要素部分の設計の複雑性は、一般にはカップおよびタブなどの簡単な軸方向に対称な形状を有する製造品に対してのみ現在は使用されている、共射出成形にさらに大きな課題をもたらす。より複雑な物品の構造、たとえば非対称であり、前述のカートリッジ構成要素部分のようにリブおよび断面変化を有するものは、射出プロセス中、プラスチックの流れに乱流を引き起こし、連続的なコア層を維持するのに必要とされる層流を妨害する。その結果、コア層の均一性を損なう不制御の層構造が生じる。したがって、その結果生じた成形品は、意図されたように機能するように信頼され得ない構造および層厚さを有し、これは、コア層が障壁層または一様な色付け層になるように意図されている場合は特に欠点となる。これはまた、共射出された部分の面に対して封止するときにも問題を引き起こし得る。内側材料が、任意の補助的封止プロセスまたは溶接プロセスの物理的強度がその機能には不十分になるほどその部分の外側に近付く可能性がある。
【0016】
特許文献5は、型空洞を、その中の流路すべてが実質的に同じ水圧耐性を有するように設計することによって、複雑な形状を有する共射出成型品の問題に対処する。加えて、射出された材料の異なる流れが所定の地点において流体状態で互いに交わるように、射出点が選択され、射出温度、圧力、および流量が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1440903号明細書
【特許文献2】米国特許第5,819,507号明細書
【特許文献3】米国特許第6,387,423号明細書
【特許文献4】国際公開第02/081172号パンフレット
【特許文献5】欧州特許出願公開第0735943号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本開示の目的は、複雑な形状を有する多層品を共射出成形するための方法および装置をさらに改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本開示は、第1の材料の外側外皮と、外側外皮によって包封された第2の材料の中央コアとを備える多層の射出成形品を形成する方法であって、
第1および第2の材料を1つのストリームで射出成形型の空洞内に射出するステップであって、このとき第2の材料は第1の材料内に包み込まれる、ステップと、
第1および第2の材料の両方が型空洞の少なくとも1つの第1の領域内に存在し、第1の材料だけが型空洞の少なくとも1つの第2の領域内に存在するように、型空洞内の流路によってストリームの流れを制御するステップであって、流路が、第1の型空洞領域内に少なくとも1つの一次流路を含み、一次流路は少なくとも2つの二次流路に分かれる、ステップと
を含み、
第1の型空洞領域内の二次流路の第1の流路の抵抗が、第2の型空洞領域内にある2つの二次流路の第2の流路のものに対して低減される、方法を提供する。
【0020】
好ましくは、第1の材料は、実質的に液体不浸透性である。
【0021】
好ましくは、第2の材料は、実質的にガス耐性である。
【0022】
好ましくは、第1および第2の材料は、異なるポリマー材料である。
【0023】
好ましくは、二次流路の第1の流路の抵抗は、二次流路の以下の要素、すなわち
二次流路の断面積、
二次流路の長さ、
一次流路と、第2の二次流路ではなく第1の二次流路との間の半径、
一次流路と二次流路の一方または両方との間の角度(1つまたは複数)
の1つまたは複数を、互いに対して変化させることによって二次流路の第2の流路のものに対して低減される。
【0024】
好ましくは、二次流路の1つまたは複数は、再度分かれて別の二次流路を形成する一次流路になる。
【0025】
好ましくは、一次流路は、複数の二次流路に分かれる。
【0026】
第2の態様によれば、第1の材料の外側外皮と、外側外皮によって包封された第2の材料の中央コアとを備える多層の射出成形品を形成するための装置であって、
成形品の形状を画定する空洞を有する射出型と、
第1および第2の材料を単一のストリームとして空洞内に共射出する手段であって、このとき第2の材料は第1の材料によって包み込まれる、手段とを備え、
前記型空洞が、第1および第2の材料の両方が型空洞の少なくとも1つの第1の領域内に存在し、第1の材料だけが型空洞の少なくとも1つの第2の領域内に存在するように、材料の流れを制御する流路を備え、
流路が、第1の型空洞領域内に少なくとも1つの一次流路を含み、一次流路は少なくとも2つの二次流路に分かれ、二次流路の一方は、第1の型空洞領域内にあり、第2の型空洞領域内にある二次流路の他方のものに対してより低い抵抗を有する、装置が提供される。
【0027】
好ましくは、二次流路の第1の流路の抵抗は、二次流路の以下の要素、すなわち
二次流路の断面積、
二次流路の長さ、
一次流路と、第2の二次流路ではなく第1の二次流路との間の半径、
一次流路と二次流路の一方または両方との間の角度(1つまたは複数)
の1つまたは複数を、互いに対して変化させることによって二次流路の第2の流路のものに対して低減される。
【0028】
好ましくは、二次流路の1つまたは複数は、再度分かれて別の二次流路を形成する一次流路になる。
【0029】
好ましくは、一次流路は複数の二次流路に分かれる。
【0030】
本開示はまた、本発明の方法によって形成された外側部材を備え、封止領域において外側部材に対して封止される封止部材を含む、食品または飲料のカートリッジまで拡張する。
【0031】
したがって、本開示は、これまで可能であったものよりさらに複雑な表面形状の共射出成形の多層品を可能にし、この多層品においては、層の存在が慎重に計画され制御される。
【0032】
方法は、圧力、温度などの射出プロセスパラメータを制御することによって射出された材料の流れを単一の流れで制御することに集中していた従来技術の方法とは異なる。さらに流れは、異なる水圧抵抗の流路を利用してコアおよび外皮材料の両方をどこに流すか、また外皮材料のみをどこに流すかを決定することによって制御される。
【0033】
次に、実施形態をほんの一例として添付の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】特許文献1で説明されたタイプの従来技術の飲料カートリッジの平面図である。
図2図1のカートリッジの側部断面図である。
図3図1のカートリッジの外側部材の側部断面図である。
図4】内向きに向けられた円筒状の延長部を示す、図3の外側部材の詳細の側部断面図である。
図5】長穴を示す図3の外側部材の詳細の側部断面図である。
図6図3の外側部材の上方からの斜視図である。
図7】逆向きの図3の外側部材の上方からの斜視図である。
図8図3の外側部材の上方からの平面図である。
図9】カートリッジの内側部材の断面図である。
図9a】開口を示す図9の内側部材の詳細の断面図である。
図10図9の内側部材の上方からの斜視図である。
図11】逆向きの図9の内側部材の上方からの斜視図である。
図12図9の内側部材の別の断面図である。
図12a】空気入口を示す図9の内側部材の別の詳細の断面図である。
図13】カートリッジの別のバージョンの側部断面図である。
図14図1および2で示したものに類似するカートリッジ用の外側部材の形態である、簡単な共射出成形された本体の側部断面図である。
図15図14の成形された本体の製造で使用される共射出プロセスの概略図である。
図16a】複雑な構成要素の2つに分けられたセクションへの2つの共射出された材料の層流の分解を示す概略図である。
図16b】複雑な構成要素の2つに分けられたセクションへの2つの共射出された材料の層流の分解を示す概略図である。
図16c】複雑な構成要素の2つに分けられたセクションへの2つの共射出された材料の層流の分解を示す概略図である。
図16d】複雑な構成要素の2つに分けられたセクションへの2つの共射出された材料の層流の分解を示す概略図である。
図17a】複雑な構成要素の2つに分けられたセクションへの2つの共射出された材料の制御された流れを示す概略図である。
図17b】複雑な構成要素の2つに分けられたセクションへの2つの共射出された材料の制御された流れを示す概略図である。
図17c】複雑な構成要素の2つに分けられたセクションへの2つの共射出された材料の制御された流れを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示の方法および装置を使用して飲料調製カートリッジの外側部材を作り出すことにより、カートリッジを実質的にガスおよび液体不浸透性にすることができる。背景として、構成要素部分、特に外側部材の表面形状の複雑性を示すために、従来技術の飲料調製カートリッジを最初に説明する。しかし、これは、複雑な表面形状を有する任意の成形品を形成するために使用することができる1つの用途にすぎないことに留意されたい。
【0036】
図1から13に示すように、従来技術の飲料調製カートリッジ100は、通常、外側部材102(成形品)、内側部材103、および積層体105を備える。外側部材102、内側部材103、および積層体105はカートリッジ100を形成するように組み立てられ、カートリッジ100は、1つまたは複数の飲料原料を含有する内部106と、入口107と、出口108と、入口107と出口108を連結し、内部106を通り抜ける飲料流路とを有する。入口107および出口108は、最初、積層体105によって封止され、積層体105を穿孔または切断することによって使用時に開封される。飲料流路は、以下で論じるように、外側部材102と内側部材103と積層体105との間の空間上の相互関係によって画定される。任意選択で、以下でさらに説明するように、フィルタ104などの他の構成要素がカートリッジ100内に含まれてよい。
【0037】
図示するカートリッジ100は、クレマを生成することが望ましい、焙煎した挽きコーヒーなどのエスプレッソスタイル製品を分配するのに使用するように特に設計される。しかし、ココア、コーヒー、紅茶、甘味料、コーディアル、香味料、アルコール飲料、フレーバーミルク、フルーツジュース、スカッシュ飲料、ソースおよびデザートなどの他の製品で使用されてもよい。
【0038】
図7から見ることができるように、カートリッジ100の全体形状は、一般には、円形またはディスク形状のものであり、カートリッジ100の直径は、その高さよりもかなり大きい。図3に示すように、主要軸Xが外側部材の中心を通り抜ける。通常、外側部材102の全径は74.5mm±6mmであり、全高さは16mm±3mmである。通常、組み立てられたときのカートリッジ100の体積は30.2ml±20%である。
【0039】
外側部材102は、一般に、湾曲した環状壁113と、閉じた上部111と、開いた底部112とを有するボウル形状のシェル110を備える。外側部材102の直径は、その上部111では、底部112のところの直径と比べて小さく、それは、閉じた上部111から開放底部112に進むにつれて環状壁113の広がりから生じる。環状壁113および閉じた底部112は、一緒になって内部134を有する容器を画定する。
【0040】
中空の内向きに向けられた円筒状の延長部118が、主要軸X上に中心揃えされた閉じた上部111内に設けられる。図8により明確に示すように、円筒状の延長部18は、第1、第2、および第3の部分、119、120および121を有する階段状のプロファイルを含む。第1の部分119は、直円柱である。第2の部分120は、円錐台の形状であり、内向きに先細にされている。第3の部分121は、別の直円柱であり、下側の面131によって閉じられている。第1、第2の、および第3の部分119、120および121の直径は、円筒状の延長部118の直径が、上部111から円筒状の延長部118の閉じた下側の面131に進むにつれて低減するように増分的に低減している。略水平のショルダ132が、円筒状の延長部118上の、第2の部分120と第3の部分121の間の接合部に形成される。
【0041】
外向きに延びるショルダ133が、外側部材102内に底部112に向けて形成される。外向きに延びるショルダ133は、環状壁113と同軸の二次壁115を形成し、その結果、二次壁115と環状壁113の間にマニホールド116を形成する環状トラックを画定する。マニホールド116は、外側部材102の円周の周りを通る。一揃えの長穴117が、環状壁113内にマニホールド116と同じ高さで設けられ、マニホールド116と外側部材102の内部134との間のガスおよび液体の連通をもたらす。図5に示すように、長穴117は、環状壁113内に垂直のスリットを含む。20個から40個の間の長穴が設けられる。図示する実施形態では、37個の長穴117が、マニホールド16の円周の周りにほぼ等間隔で離間されて設けられる。長穴117は、好ましくは1.4から1.8mmの間の長さである。通常、各長穴117の長さは、外側部材102の全高さの10%を表す1.6mmである。各長穴117の幅は、0.25から0.35mmの間である。通常、各長穴117の幅は0.3mmである。長穴117の幅は、保管または使用時、飲料原料がそこを通ってマニホールド116内に入ることを防止するのに十分な狭さである。
【0042】
入口室126が、外側部材102の外周に形成される。図7で最も明確に示すように、円筒状の壁127が設けられ、この円筒状の壁は、入口室126をその中に画定し、入口室126を、外側部材102の内部134から隔てる。円筒状の壁127は、主要軸Xに対して垂直な平面上に形成された閉じた上側の面128と、外側部材102の底部12と同一平面上にある開放下側端部129とを有する。入口室26は、図3に示すように、2つの長穴130を介してマニホールド116と連通する。あるいは、1個から4個の間の長穴が、マニホールド116と入口室126の間で連通させるために使用されてもよい。
【0043】
外向きに延びるショルダ133の下側端部には、主要軸Xに対して垂直に延びる、外向きに延びるフランジ135が設けられる。通常、フランジ135は、2から4mmの間の幅を有する。フランジ135の一部分は、外側部材102をそれによって保持することができるハンドル124を形成するように拡張される。ハンドル124には、握りを向上させるために上向きのリム125が設けられる。
【0044】
図9から13に示すように、内側部材103は、環状フレーム141と、下向きに延びる円筒状の漏斗体140とを備える。主要軸Xは、図9に示すように、内部部材103の中心を通り抜ける。
【0045】
図10および11に最適に示すように、環状フレーム141は、10個の等間隔で離間された径方向スポーク153によって接合された、外側リム151および内側ハブ152を備える。内側ハブ152は、円筒状の漏斗体140と一体的であり、そこから延びている。ろ過開口155が、環状フレーム141内の径方向スポーク153間に形成される。フィルタ104が、ろ過開口155を覆うように環状フレーム141上に配設される。フィルタ104は、好ましくは、たとえばポリエステルの不織繊維材料などの高い湿潤強度を有する材料から作製される。使用され得る他の材料は、織紙繊維を含むセルロース材料などの水不浸透性のセルロース材料を含む。織紙繊維は、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、および/またはポリエチレンの繊維と混ぜられてよい。これらのプラスチック材料をセルロース材料に組み込みことで、セルロース材料は、ヒートシール可能になる。フィルタ104はまた、熱および/または圧力によって活性化される材料で処理またはコーティングされてもよく、それにより、このようにして環状フレーム141に封止することができる。
【0046】
図9の断面プロファイルで示すように、内側ハブ152は、外側リム151より低い位置に配置され、その結果、環状フレーム141は下側に傾斜するプロファイルを有するようになる。
【0047】
各々のスポーク153の上面には、環状フレーム141の上方の空隙空間を複数の通路157に分ける直立ウエブ154が設けられる。各通路157は、両側がウエブ154によって、下側の面がフィルタ104によって結合される。通路157は、外側リム151から下向きに、ウエブ154の内側先端部によって画定される開口部156のところの円筒状の漏斗体140に向かって延び、かつその中に開口する。
【0048】
円筒状の漏斗体140は、内側の排出口143を取り囲む外側チューブ142を備える。外側チューブ142は、円筒状の漏斗体140の外部を形成する。排出口143は、環状フランジ147によって、排出口143の上側端部において外側チューブ142に接合される。排出口143は、通路157の開口部156および出口と連通する入口145を上側端部に、調製された飲料がそこを通ってカップまたは他の容器内に排出される出口144を下側端部に備える。排出口43のプロファイルは、チューブ143の上側端部近くに明確なくの字166を有する階段状のプロファイルを含む。
【0049】
図9に示すように、排出口143には、出口144から排出口143の一部上がったところまで延びるパーティション165が設けられる。パーティション165は、飲料が排出口143を出るときのその噴射および/または飛び散りを防止することを助ける。
【0050】
リム167が、外側チューブ142と排出口143を接合する環状フランジ147から直立に設けられる。リム167は、排出口143の入口145を取り囲み、リム167と外側チューブ142の上側部分の間に環状チャネル169を画定する。リム167には、内向きに向けられたショルダ168が設けられる。リム167の円周の周りの1つの地点には、図9および9aに最も明確に示すように、リム167の上縁からショルダ168の高さの僅かに下方の地点まで延びる長穴の形態の開口部170が設けられる。長穴は、0.64mmの幅を有する。
【0051】
図16および16aに示すように、空気入口171が、開口部170と円周方向に位置合わせされた環状フランジ147内に設けられる。空気入口171は、フランジ147上方の地点と、外側チューブ142と排出口143の間のフランジ147の下方の空隙空間との間に連通をもたらすようにフランジ147を通り抜ける開口を備える。好ましくは、また図示するように、空気入口171は、上側の円錐台部分174および下側の円筒状部分172を備える。空気入口171は、通常、ピンなどの成形工具によって形成される。空気入口171の先細にされたプロファイルは、成形された構成要素から成形工具をより容易に取り外すことを可能にする。空気入口171の近傍の外側チューブ142の壁は、空気入口171から排出口143の入口145に至るシュートを形成するように成形される。図16aに示すように、斜めのショルダ174が、空気入口171とシュートの間に形成され、長穴170から生じる飲料の噴出が、空気入口171のすぐ近傍のフランジ147の上側表面にすぐに付着しないことを確実にする。
【0052】
内側部材103は、単一の一体品として、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、またはこれらの材料の2つまたはそれ以上の積層体から形成されてよい。内側部材103は、好ましくは射出成形を用いて作製される。
【0053】
あるいは、内側部材103は、生分解性ポリマーから作製されてよい。適切な材料の例は、分解性ポリエチレン、生分解性ポリエステルアミド、ポリ乳酸、デンプンベースのポリマー、セルロース誘導体およびポリペプチドを含む。
【0054】
積層体105は、ガスおよび水に対して不浸透性であり、好ましくは2つの層、すなわちアルミニウムの第1の層およびキャストポリプロピレンの第2の層から形成される。アルミニウム層は、0.02から0.07mmの間の厚さである。キャストポリプロピレン層は、0.025から0.065mmの間の厚さである。1つの実施形態では、アルミニウム層は0.06mmの厚さであり、ポリプロピレン層は0.025mmの厚さである。この積層体105は、組み立て中、巻きあがりに対して高い耐性を有するため特に有利である。その結果、積層体105は、正しいサイズおよび形状に事前切断され、その後、歪みを受けることなく生産ラインの組み立てステーションまで移送され得る。結果として、この積層体108は、溶接に特に良好に適合される。
【0055】
ポリエチレン/アルミニウム/ポリプロピレン、ポリエチレン/エチレン−ビニルアルコールポリマー/ポリプロピレン、ポリエチレン/メタライズド/ポリプロピレン、およびアルミニウム/ポリプロピレン積層体を含む他の積層材料が使用されてもよい。ロール型の積層ストックが、ダイカットストックの代わりに使用されてよい。
【0056】
カートリッジ100の組み立ては、以下のステップを伴う:
a)内側部材103が外側部材102内に挿入される。
【0057】
b)フィルタ104が切断成形され、円筒状の漏斗体140を覆って受け入れられ、環状フレーム141に押し付けるように内側部材103上に置かれる。
【0058】
c)内側部材103、外側部材102、およびフィルタ104が、超音波溶接によって接合される。
【0059】
d)カートリッジ100に、1つまたは複数の飲料原料が充填される。
【0060】
e)積層体105が、外側部材102に固着される。
【0061】
これらのステップを以下でより詳細に論じる。
【0062】
外側部材103が、開放底部112を上向きに向けて配向される。内側部材103が次いで、外側部材102内に挿入され、このとき外側リム151は、カートリッジ100の上部111において軸方向延長部114内にすきまばめとして受け入れられる。それと同時に、外側部材102の円筒状の延長部118は、内側部材103の円筒状の漏斗体140の上側部分内に受け入れられる。
【0063】
円筒状の延長部118の第3の部分121が、支持リム167の内側に着座する。第2の部分120と第3の部分121の間の円筒状の延長部118のショルダ132は、内側部材103の支持リム167の上縁に押し付けられる。したがって、内側部材103と外側部材102の間には、円筒状の延長部118と支持リム167の間の面封止を含む、カートリッジ100のほぼすべての円周の周りを延びる接触ゾーンが、形成される。円筒状の延長部118と支持リム167間の封止は、支持リム167内の長穴170が支持リム167を通り抜け、ショルダ168の僅かに下方の地点に向けて下向きに延びるため、流体密封ではない。その結果、円筒状の延長部118と支持リム167の間の接触嵌合は、長穴170を、環状チャネル169と排出口143の間のガスおよび流体連通をもたらす開口に変換する。開口は、通常、0.64mm幅×0.69mm長さである。
【0064】
フィルタ104が、次いで、そのフィルタ材料が環状リム151と接触するように内側部材103を覆って置かれる。次いで超音波溶接プロセスが、フィルタ104を内側部材103に接合し、それと同時に、同じプロセスにおいて、内側部材103を外側部材102に接合するために使用される。内側部材103およびフィルタ104は、外側リム151の周りで溶接される。内側部材103および外側部材102は、外側リム151の周り、さらにはウエブ154の上縁の周りでも溶接線によって接合される。
【0065】
図2に最も明確に示すように、外側部材102および内側部材103は、互いに接合されたとき、環状フランジ141の下方の内部106およびろ過室を形成する円筒状の漏斗体140の外部内に空隙空間を画定する。環状フレーム141の上方のろ過室160および通路157は、フィルタ紙104によって分離される。
【0066】
ろ過室160は、1つまたは複数の飲料原料200を含む。1つまたは複数の飲料原料200が、フィルタ室160内に詰められる。エスプレッソスタイルの飲料に関しては、原料は通常、焙煎した挽きコーヒーである。飲料原料をろ過室130内に詰める密度は、所望に応じて変更することができる。通常、ろ過式コーヒー製品の場合、ろ過室は、通常5から14mmの厚さのろ過床内に5.0から10.2グラムの間の焙煎した挽きコーヒーを含む。
【0067】
次いで積層体105が、積層体105の外周の周りに溶接部161を形成して積層体105を外向きに延びるフランジ135の下側表面に接合することによって、外側部材102に固着される。溶接部161は、積層体105を入口室126の円筒状の壁127の下縁に対して封止するように延ばされる。さらに、溶接部162は、積層体105と円筒状の漏斗体140の外側チューブ142の下縁との間に形成される。積層体105は、ろ過室160の下壁を形成し、さらに入口室126および円筒状の漏斗体140を封止する。しかし、分配の前には、積層体105と排出口43の下縁の間に小さい隙間163が存在する。積層体105の材料特性に応じて、熱および超音波溶接などのさまざまな溶接方法が使用されてよい。
【0068】
有利には、内側部材103は、外側部材102と積層体105の間に広がる。内側部材103は、ポリプロピレンなどの比較的剛性の材料から形成される。したがって、内側部材103は、カートリッジ100が圧縮されるとき、積層体105および外側部材102を離間した状態に保つように作用する荷重支持部材を形成する。カートリッジ100は、使用時、130Nから280Nの間の圧縮負荷にさらされることが好ましい。この圧縮力は、内部加圧下でカートリッジが機能しなくなることを防止するように作用し、さらに、内側部材103および外側部材102を一緒に圧迫するように働く。これは、カートリッジ100内の通路および開口の内部寸法が、カートリッジ100の加圧中、固定され、変更できないことを確実にする。
【0069】
使用時、圧力下の水は、入口107からカートリッジ100に入り、入口室126内に入る。ここから、水は、長穴117を通って流れ、マニホールド116を周り、複数の長穴117を通ってカートリッジ100のろ過室160内に入るように向けられる。水は、径方向に内向きにろ過室160を通って押し出され、その中に含まれる飲料原料200と混ざる。それと同時に水は、上向きに飲料原料200を通って押し出される。水が飲料原料200内を通過することによって形成された飲料は、フィルタ104およびろ過開口155を通り抜け、環状フレーム141の上方に位置する通路157に入る。
【0070】
径方向の通路157内の飲料は、ウエブ154間に形成された通路157に沿って下向きに流れ、開口部156を通り、円筒状の漏斗体140の環状チャネル169内に入る。環状チャネル169から、飲料が、ろ過室160および通路157内に集まる飲料の背圧によって、圧力下で開口128を通って押し出される。したがって、飲料は、噴出として開口を通って押し出され、排出口143の上側端部によって形成された膨張室内に入る。図8に示すように、飲料の噴出は、空気入口171のすぐ上を通る。開口の制限部を飲料が通過することにより、飲料の圧力の低下が引き起こされる。飲料が排出口143に入るとき、飲料の圧力は比較的低いままである。その結果、空気が、空気入口171を通って上方に引き出されながら、多量の小さい空気泡の形態で飲料ストリーム内に取り込まれる。開口から生じる飲料の噴出は、飲料がカップなどの容器内に排出されるところの出口144に向けて下向きに注がれ、カップのところで空気泡が所望のクレマを形成する。したがって、開口および空気入口171は一緒になって、空気を飲料内に取り込むように作用するエダクタを形成する。エダクタ内への飲料の流れは、圧力損失を低減するためにできるだけ円滑に保たれなければならない。しかし、高圧状態では、空気排出のこの機構は作動されないことに留意されたい。
【0071】
フィルタ104をスポーク上153上に封止し、リム151を外側部材102に溶接することにより、短絡が生じず、すべての飲料がフィルタ104を通り抜けなければならないことが確実にされる。
【0072】
上記で説明したカートリッジ100の第1の構造は、カートリッジの「エダクタ」タイプの例として与えられる。しかし、本開示は、「エダクタではない」タイプのカートリッジにも同様に適用可能であり、これを以下で説明する。
【0073】
図13は、飲料カートリッジ100の第2の構造を示している。第1と第2の実施形態間の同じ構成要素は、同じ番号で参照される。カートリッジ100の第2の構造の構成要素および機能の多くは、第1の構造のものと同じである。しかし、カートリッジ100は、図9に示すカートリッジ100に比べて全高さが大きいことを図13から見ることができる。外側部材102はより高いものであるため、より多くの量の飲料原料200を貯蔵することができるより大きい空隙空間を画定する。したがってカートリッジ100の第2の構造は、より多くの体積の飲料を分配するのに適している。外側部材102およびカートリッジ100の直径は、第1の構造のものと同じである。通常、組み立てられたときのカートリッジ100の貯蔵体積は、50から58ml±20%である。第1の構造と同様に、外側部材102の上面には、締め付け面118がその底部に配置されたくぼみが設けられる。表面118aと積層体105の下面の間の分離Dは、第1の構造のものと同じである。その結果、縦長のくぼみが、その距離の約60%を積層体105に向かって延びる。これは、有利には、簡易化された締め付け構成を以下で説明するように使用することを可能にする。この構造では、エダクタ171は存在しない。
【0074】
図14および15に示すように、簡単な対称的に成形された物品は、外側外皮210を形成するためのポリプロピレンなどの外皮材料222と、外側外皮210によって完全に包封された連続の中央コア211を形成するためのEVOHなどのコア材料223とを共射出することによって生成され得る。
【0075】
これは、図15に概略的に示す共射出プロセスを用いて達成可能である。簡単に言うと、プロセスは、2つの材料222、223の顆粒がそれぞれ供給される加熱されたバレル221a、221bを各々が備える2つの射出ユニット220a、220bを備える射出装置を利用する。外皮材料222は一方のバレル221aに供給され、コア材料223は他方のバレル221bに供給される。各バレル221a、221bからのプラスチック溶融ストリームが、1つまたは複数の射出ステーションにある、単一の射出ノズル224a、224b内にこれらを通すマニホールドを通って押し出され、そのノズルの各々は、2つの材料の流れを導くための機構針を備える。装置は、材料222、223の別個のストリームの組み合わせを制御して、マニホールドを通って型に入る外皮−コア−外皮の流れのシーケンスを達成する。結果として生じた単一のストリームでは、第2の材料223は、第1の材料222によって包み込まれる。
【0076】
型(またはダイ)は、通常、硬化されたまたは予硬化された鋼から作製され、射出プロセス中一緒に係止され、成形品を放出するために大きく開かれるプレートを備える。型マニホールド内には、溶融された材料222、223をバレルから射出ポートに送出し、所望の物品の形態に合わせて成形された型空洞に到達させるためにチャネルが形成される。型は、射出された材料222/223が空洞を完全に充填することができ、最終物品を取り出すことを可能にするように設計されなければならない。
【0077】
図1から13から理解されるように、外側部材102、したがって型空洞の設計は、簡単でも対称的もない。特に、環状壁113と同軸である二次壁115を形成する外向きに延びるショルダ133は、2つの材料222、233を共射出するにあたって問題を生じさせる表面形状の複雑性を示している。
【0078】
これは、図16aから16dで示されており、これらの図は、外皮材料222およびコア材料223を組み合わせたストリームが、二次流路231aおよび231bに分岐する一次流路230に沿って流れることを示す概略図であり、この図では、すべての流路230、231aおよび231bは、一定の断面積を有し、半径は有さない。ストリームは、二次流路が等しい抵抗を有するとき、二次流路231aおよび231bに沿って均一に分割する。しかし、コア材料233は、分割後、ストリームに対して中心に留まるのではなく外皮222の外側に片寄る。この部分の領域では、流れは層流でなく、分岐によって引き起こされた乱流が層構造を破壊し、それによって内側材料がその部分の表面を汚染し、または保護されないようになる可能性がある。
【0079】
これは、コア材料223が障壁材料である場合、外皮材料222によって十分に保護されないことがあり、環状壁113の不浸透性が損なわれるということを意味する。構成要素の強度はまた、分裂によってコア材料223が折り重ねられ、層の数の増大をもたらす場合もまた損なわれ得る。外側部材102の例では、ショルダ133および二次壁115は、フランジ135に対して強度をもたらすため、図14に示す簡易化された設計のように、簡単に除去することはできない。
【0080】
本開示では、材料222、223のストリームの流れは、型空洞内に流路を設けることによって制御され、この流路は、コア材料223が外皮材料222と共に、コア材料223が必要とされない他の領域(型空洞の第2の領域内に形成された領域)を捨て、それが、最終品の対応する部分(型空洞の第1の領域内に形成された部分)内に存在することが必要とされる空洞の領域まで流れることができることを確実にする。さらに、コア材料223は、好ましくは、他の構成要素を取り付けようとしたときに脆弱になり得る部分の領域から除去される。これは、コア材料が、接触表面において露出される、または必要な強度を提供できないほど薄い厚さの層を生み出す汚染物質として作用し得るときに起こる可能性がある。カートリッジ外側部材102の本例では、フランジ135の外側端部は、飲料原料のための密封部を形成しないので十分に不浸透性である必要はなく、そのためこれらは、第2の型空洞領域内に形成される。一方で環状壁113および二次壁115は、飲料原料の密封部分を形成するため、十分に不浸透性でなければならず、したがって第1の型空洞領域によって形成される。結果として、障壁材料であるコア材料223は、フランジ135の端部まですべて延びる必要はないが、壁113、115に沿って全長延びる必要がある。
【0081】
これは、第1および第2の型空洞領域内に流路を設けることによって達成され、この流路は、単一の流路が分割するところで互いに対して高い抵抗および低い抵抗を有する。これは、図17aから17cを参照して説明される。この例では、2つの二次流路231aおよび231bを形成するように分岐する単一の一次流路230が存在する。二次流路の一方231bの設計は、他方の二次流路231aに対して流路内の流れ抵抗を低減することによって、流路に沿って選択流を促進するように改変される。
【0082】
材料222/223のストリームは、抵抗が最も小さいルートをとる傾向があり、そのため、二次流路231bに沿って流れて空洞のその部分を充填してから、他方の二次流路231aを辿る。したがって一次流路230および一方の二次流路231bは、第1の型空洞領域内に存在し、両方の材料222/223によって実質的に充填され、このときコア材料223の先端部は、流路231bの端部で終端している。したがって、コア材料223が、第2の型空洞領域内に存在する他方の二次流路231a内に流れることはなく、そのため、外皮材料だけが、その部分のそのセクション内に存在する。正味の影響は、一方の流路231a内のコア材料223を、他方の流路231b内にそれが完全に存在することを確実にしながら除去できることである。これは、半径を含む、断面積を増大させる、(背圧に影響する)流路の長さを変更する、および二次流路の一方または両方の一次流路に対する角度を変更するなど、数多くの方法によって達成することができる。有利な粘度を有する材料の選択は、所望の流れ状態を与えるためにその材料の最も小さい抵抗を有する流路に影響を与えるように選択することも可能である。
【0083】
簡単な例のみを、2つの二次流路231aおよび231bに分かれる単一の一次流路230を用いて図示してきたが、多くの成形品は、かなり複雑なものである。たとえば、一次流路は、3つ以上の流路に分かれることができ、その場合、これらの1つは、他のものより小さい抵抗を有するように設計される。終端しない二次流路が、2つまたそれ以上の別の二次流路に再度分割する一次流路であると考えられてもよい。
【0084】
障壁材料であるコア材料223を参照して本開示を説明してきたが、当然ながら、これは、最終製品の特定の部分内に存在することが求められ、他の部分から無くすことができる色付き層などの非障壁材料になり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図9a
図10
図11
図12
図12a
図13
図14
図15
図16a
図16b
図16c
図16d
図17a
図17b
図17c