【実施例】
【0050】
実施例1:CYTOP/Al
2O
3二重層を有しガラス基板を使用するTIPS−ペンタセンおよびポリ(トリアリールアミン)(PTAA)のブレンドのチャネルに基づくOFET(40nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)
ボトムコンタクトおよびトップゲート構造を有するOFETをガラス基板(Corning 1737)上に作製した。ポリ−4−ビニルフェノール(PVP)緩衝層を、PVP(M
wが約20,000)と架橋剤としてのポリ(メラミン−コ−ホルムアルデヒド)とのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中の2重量%溶液から作製し、これを3000rpmで40秒間スピンコーティングすることによって堆積し、続いてN
2を満たしたグローブボックス中でホットプレート上175℃で1時間架橋させた。シャドーマスクを介した熱蒸着によって、Au(50nm)ボトムコンタクトソース/ドレイン電極を堆積した。ペンタフルオロベンゼンチオール(PFBT)の自己組織化単層のAu電極上への形成を、N
2を満たしたドライボックス中でエタノール中の10mmolのPFBT溶液に15分浸漬し、純エタノールで洗浄し、乾燥させることによって行った。TIPS−ペンタセンおよびPTAAのブレンドの溶液を以下のように調製した:TIPS−ペンタセンおよびPTAAを無水で99%の1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(Sigma Aldrich)中に30mg/mLの濃度で個別に溶解させ、2つの個別の溶液を混合して1:1の重量比を得た。TIPS−ペンタセンおよびPTAAのブレンドの活性層を、500rpmで10秒間および2000rpmで20秒間スピンコーティングすることによって堆積した。次に、N
2を満たしたドライボックス中で、サンプルを室温で5分間乾燥させ、40℃で16時間および100℃で15分間アニールした。CYTOP(40nm)/Al
2O
3(50nm)層をトップゲート誘電体として使用した。CYTOP溶液(CTL−809M)は、濃度9重量%のものを旭硝子(Asahi Glass)より購入した。厚さ40nmのCYTOP層を堆積するために、元の溶液を、それらの溶媒(CT−solv.180)で溶液:溶媒比が1:3.5となるように希釈した。3000rpmで60秒間スピンキャストすることによって厚さ40nmのCYTOP層を堆積した。このCYTOP(40nm)膜を100℃で20分間アニールした。すべてのスピンコーティングおよびアニールプロセスは、N
2を満たしたドライボックス中で行った。次に、Cambridge Nanotech Inc.のSavannah 100 ALDシステムを使用して、CYTOP層の上部にAl
2O
3誘電体膜(50nm)を堆積した。トリメチルアルミニウム[Al(CH
3)
3]およびH
2O蒸気への交互の曝露を用いて約0.1nm/サイクルの堆積速度で膜を110℃で成長させた。最後に、シャドーマスクを介した熱蒸着によってAl(150nm)ゲート電極を堆積した。得られたOFETを
図4Bに示す。
【0051】
実施例2:ペンタセンチャネルに基づくOFET
底部ソース/ドレイン電極を含む構造で、トップゲートペンタセンOFETを作製した。シャドーマスクを介してガラス基板上に室温で電子ビーム(eビーム)によって、Au(80nm)のボトムコンタクトソース/ドレイン電極を堆積した。次に、シャドーマスクを介した室温での熱蒸着によって、ペンタセン活性層(50nm)を堆積した。CYTOP(40nm)/Al
2O
3(50nm)層をトップゲート誘電体として使用した。3000rpmで60秒間のスピンキャストによって、CYTOP(40nm)層をコーティングした。CYTOP膜を100℃で20分間アニールした。トリメチルアルミニウム[Al(CH
3)
3]およびH
2O蒸気への交互の曝露を用いて約0.1nm/サイクルの堆積速度でAl
2O
3誘電体膜を110℃で成長させた。次に、eビームによりAl電極を連続して堆積して、ゲート電極を形成した。
【0052】
実施例3:InGaZnOチャネルに基づく酸化物FET
底部ソース/ドレイン電極を含む構造で、トップゲート非晶質InGaZnOのFETを作製した。最初に、電子ビーム(eビーム)を使用して室温でガラス基板(Corning 1737)上にTi(6nm)/Au(50nm)/Ti(6nm)の三重層を堆積し、フォトリソグラフィによってパターン化し、続いてリフトオフプロセスを行った。次に、高周波(RF)スパッタリングによって、厚さ40nmのa−IGZO(Ga
2O
3:In
2O
3:ZnO=1:1:2モル%)活性層を堆積した。a−IGZO層の堆積後、デバイスをアニールした。チャネルを画定するために、脱イオン水で希釈した塩酸(HCl:H
2O=1:100)を用いてウェットエッチングプロセスによってa−IGZO層をパターン化した。CYTOP(40nm)/Al
2O
3(50nm)層をトップゲート誘電体として使用した。トリメチルアルミニウム[Al(CH
3)
3]およびH
2O蒸気への交互の曝露を用いて、Al
2O
3誘電体膜を110℃で成長させた。40nmのCYTOP層の場合、2重量%溶液を使用し、これを溶媒で希釈した。3000rpmで60秒間スピンキャストすることによってCYTOP(40nm)層をコーティングした。このCYTOP膜を100℃で20分間アニールした。次に、Ti(6nm)およびAu(120nm)をeビームによって連続して堆積し、フォトリソグラフィによってパターン化し、リフトオフプロセスを行って、ゲート電極を形成した。
【0053】
実施例4:CYTOP/SiN
x二重層を有するTIPS−ペンタセンおよびPTAAのOFET
実施例4は実施例1と同一であり、ALD法を使用してAl
2O
3を堆積する代わりに、110℃のプロセス温度におけるプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)によってSiN
x材料を堆積することが異なる。非晶質半導体層の場合、フルオロポリマーおよび半導体層のガラス転移温度に依存して、より高温での動作も可能となることに留意されたい。
【0054】
実施例5:Hyflon/Al
2O
3二重層を有するTIPS−ペンタセンおよびPTAAのOFET
実施例5は実施例1と同一であり、CYTOPを堆積する代わりに、Hyflon AD 40X材料の40nmの層が堆積されることが異なる。
【0055】
実施例6:Teflon(登録商標)/Al
2O
3二重層を有するTIPS−ペンタセンおよびPTAAのOFET
実施例6は実施例1と同一であり、CYTOPを堆積する代わりに、Teflon(登録商標)材料の40nmの層が堆積されることが異なる。
【0056】
上記実施例はトップゲートFETに関するが、ボトムゲートFETもある程度類似の方法で製造できることは当業者には理解されよう。
【0057】
実施例7:CYTOP/Al
2O
3二重層を有しプラスチック基板を使用するTIPS−ペンタセンおよびポリ(トリアリールアミン)(PTAA)のブレンドのチャネルに基づくOFET
ボトムコンタクトおよびトップゲート構造を有するOFETを、可撓性ポリエーテルスルホン(PES)基板上に作製した。ポリ−4−ビニルフェノール(PVP)緩衝層を、PVP(M
wが約20,000)と架橋剤としてのポリ(メラミン−コ−ホルムアルデヒド)とのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中の2重量%溶液から作製し、これを3000rpmで40秒間スピンコーティングすることによって堆積し、続いてN
2を満たしたグローブボックス中でホットプレート上175℃で1時間架橋させた。シャドーマスクを介した熱蒸着によって、Au(50nm)ボトムコンタクトソース/ドレイン電極を堆積した。ペンタフルオロベンゼンチオール(PFBT)の自己組織化単層のAu電極上への形成を、N
2を満たしたドライボックス中でエタノール中の10ミリモルのPFBT溶液に15分浸漬し、純エタノールで洗浄し、乾燥させることによって行った。TIPS−ペンタセンおよびPTAAのブレンドの溶液を以下のように調製した:TIPS−ペンタセンおよびPTAAを無水で99%の1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(Sigma Aldrich)中に30mg/mLの濃度で個別に溶解させ、2つの個別の溶液を混合して1:1の重量比を得た。TIPS−ペンタセンおよびPTAAのブレンドの活性層を、500rpmで10秒間および2000rpmで20秒間スピンコーティングすることによって堆積した。次にサンプルを、N
2を満たしたドライボックス中100℃で15分間アニールした。CYTOP(40nm)/Al
2O
3(50nm)層をトップゲート誘電体として使用した。CYTOP溶液(CTL−809M)は、濃度9重量%のものを旭硝子より購入した。厚さ40nmのCYTOP層を堆積するために、元の溶液を、それらの溶媒(CT−solv.180)で溶液:溶媒比が1:3.5となるように希釈した。3000rpmで60秒間スピンキャストすることによって厚さ40nmのCYTOP層を堆積した。このCYTOP(40nm)膜を100℃で20分間アニールした。すべてのスピンコーティングおよびアニールプロセスは、N
2を満たしたドライボックス中で行った。次に、Cambridge Nanotech Inc.のSavannah 100 ALDシステムを使用して、CYTOP層の上部にAl
2O
3誘電体膜(50nm)を堆積した。トリメチルアルミニウム[Al(CH
3)
3]およびH
2O蒸気への交互の曝露を用いて約0.1nm/サイクルの堆積速度で膜を110℃で成長させた。最後に、シャドーマスクを介した熱蒸着によってAl(150nm)ゲート電極を堆積した。得られたOFETを
図4Cに示す。
【0058】
実施例8:CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)を有するTIPS−ペンタセンおよびポリ(トリアリールアミン)(PTAA)のブレンドのチャネルに基づくOFET
ボトムコンタクトおよびトップゲート構造を有するOFETをガラス基板(Corning、Eagle 2000)上に作製した。シャドーマスクを介した熱蒸着によって、Au(50nm)ボトムコンタクトソース/ドレイン電極を堆積した。ペンタフルオロベンゼンチオール(PFBT)の自己組織化単層のAu電極上への形成を、N
2を満たしたドライボックス中でエタノール中の10mmolのPFBT溶液に15分浸漬し、純エタノールで洗浄し、乾燥させることによって行った。TIPS−ペンタセンおよびPTAAのブレンドの溶液を以下のように調製した:TIPS−ペンタセンおよびPTAAを無水で99%の1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(Sigma Aldrich)中に30mg/mLの濃度で個別に溶解させ、2つの個別の溶液を混合して1:1の重量比を得た。TIPS−ペンタセンおよびPTAAのブレンドの活性層を、500rpmで10秒間および2000rpmで20秒間スピンコーティングすることによって堆積した。次にサンプルを、N
2を満たしたドライボックス中100℃で15分間アニールした。CYTOP(45nm)/Al
2O
3(50nm)層をトップゲート誘電体として使用した。CYTOP溶液(CTL−809M)は、濃度9重量%のものを旭硝子より購入した。厚さ45nmのCYTOP層を堆積するために、元の溶液を、それらの溶媒(CT−solv.180)で溶液:溶媒比が1:3.5となるように希釈した。3000rpmで60秒間スピンキャストすることによって厚さ45nmのCYTOP層を堆積した。このCYTOP(45nm)膜を100℃で20分間アニールした。すべてのスピンコーティングおよびアニールプロセスは、N
2を満たしたドライボックス中で行った。次に、Cambridge Nanotech Inc.のSavannah 100 ALDシステムを使用して、CYTOP層の上部にAl
2O
3誘電体膜(50nm)を堆積した。トリメチルアルミニウム[Al(CH
3)
3]およびH
2O蒸気への交互の曝露を用いて約0.1nm/サイクルの堆積速度で膜を110℃で成長させた。最後に、シャドーマスクを介した熱蒸着によってAl(150nm)ゲート電極を堆積した。得られたOFETを
図4Dに示す。
【0059】
実施例9:CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)を有するdiF−TESADTおよびポリ(トリアリールアミン)(PTAA)のブレンドのチャネルに基づくOFET
TIPS−ペンタセンではなく2,8−ジフルオロ−5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン(diF−TESADT)を使用したことを除けば、実施例9は実施例8と同一である。diF−TESADTの構造を以下に示す:
【化4】
【0060】
得られたOFETを
図4Eに示す。
【0061】
実施例10:CYTOP/Al
2O
3/CYTOP三重層(20nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3;20nmのCYTOP)を有するTIPS−ペンタセンおよびポリ(トリアリールアミン)(PTAA)のブレンドのチャネルに基づくOFET
ボトムコンタクトおよびトップゲート構造を有するOFETをガラス基板(Corning、Eagle 2000)上に作製した。シャドーマスクを介した熱蒸着によって、Au(50nm)ボトムコンタクトソース/ドレイン電極を堆積した。ペンタフルオロベンゼンチオール(PFBT)の自己組織化単層のAu電極上への形成を、N
2を満たしたドライボックス中でエタノール中の10mmolのPFBT溶液に15分浸漬し、純エタノールで洗浄し、乾燥させることによって行った。TIPS−ペンタセンおよびPTAAのブレンドの溶液を以下のように調製した:TIPS−ペンタセンおよびPTAAを無水で99%の1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(Sigma Aldrich)中に30mg/mLの濃度で個別に溶解させ、2つの個別の溶液を混合して1:1の重量比を得た。TIPS−ペンタセンおよびPTAAのブレンドの活性層を、500rpmで10秒間および2000rpmで20秒間スピンコーティングすることによって堆積した。次にサンプルを、N
2を満たしたドライボックス中100℃で15分間アニールした。CYTOP(45nm)/Al
2O
3(50nm)層をトップゲート誘電体として使用した。CYTOP溶液(CTL−809M)は、濃度9重量%のものを旭硝子より購入した。厚さ20nmのCYTOP層を堆積するために、元の溶液を、それらの溶媒(CT−solv.180)で溶液:溶媒比が1:7となるように希釈した。3000rpmで60秒間スピンキャストすることによって、厚さ20nmのCYTOPの第1の層を堆積した。このCYTOP(20nm)膜を100℃で20分間アニールした。次に、Cambridge Nanotech Inc.のSavannah 100 ALDシステムを使用して、CYTOP層の上部にAl
2O
3誘電体膜(50nm)を堆積した。トリメチルアルミニウム[Al(CH
3)
3]およびH
2O蒸気への交互の曝露を用いて約0.1nm/サイクルの堆積速度で膜を110℃で成長させた。Al
2O
3の第2の層の上部に、厚さ20nmのCYTOPの第3の層を堆積した。このCYTOP(20nm)膜を100℃で20分間アニールした。すべてのスピンコーティングおよびアニールプロセスは、N
2を満たしたドライボックス中で行った。最後に、シャドーマスクを介した熱蒸着によってAl(150nm)ゲート電極を堆積した。得られたOFETを
図4Fに示す。
【0062】
実施例11:ペンタセンおよびInGaZnOに基づくFETおよびインバータ
トップゲートおよびボトムコンタクトソースおよびドレイン電極形状を有する有機無機複合相補型インバータを作製した。最初に、ソース電極およびドレイン電極を画定するために、室温でガラス基板上にシャドーマスクを介して、電子ビーム(eビーム)を使用して、Ti/Au(6nm/50nm)電極を堆積した。異なるアスペクト比で水平に分布する重なり合わないペンタセン(正孔輸送)チャネルおよびa−IGZO(電子輸送)チャネルを、ソース/ドレイン電極の上に形成した。O
2/Ar(2%/98%)雰囲気中、3mTorrの作動圧力で125Wの出力を使用して、シャドーマスクを介したrfスパッタリングによって、厚さ30nmのa−IGZO(Ga
2O
3:In
2O
3:ZnO=1:1:1mol%)活性層を室温で堆積した。これらの構造を空気中300℃で30分間アニールした。次に、25℃の基板温度および2×10
−8Torrの初期圧力で熱蒸発を使用し、シャドーマスクを介して、厚さ50nmのペンタセン層を堆積した。熱蒸着前に、ペンタセンは勾配領域昇華を使用して精製した。CYTOP(40nm)/Al
2O
3(50nm)層をトップゲート誘電体として使用した。CYTOP溶液(CTL−809M)は、濃度9重量%のものを旭硝子より購入した。厚さ45nmのCYTOP層を堆積するために、元の溶液を、それらの溶媒(CT−solv.180)で溶液:溶媒比が1:3.5となるように希釈した。3000rpmで60秒間スピンキャストすることによって厚さ45nmのCYTOP層を堆積した。このCYTOP(45nm)膜を100℃で20分間アニールした。すべてのスピンコーティングおよびアニールプロセスは、N
2を満たしたドライボックス中で行った。次に、Cambridge Nanotech Inc.のSavannah 100 ALDシステムを使用して、CYTOP層の上部にAl
2O
3誘電体膜(50nm)を堆積した。トリメチルアルミニウム[Al(CH
3)
3]およびH
2O蒸気への交互の曝露を用いて約0.1nm/サイクルの堆積速度で膜を110℃で成長させた。最後に、シャドーマスクを介した熱蒸着によってAl(50nm)ゲート電極を堆積した。得られたインバータを
図4Gに示す。
【0063】
実施例12:CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)および蒸着Auソース/ドレイン電極を有するPolyera ActivInk N2200に基づくOFET
ボトムコンタクトおよびトップゲート構造を有するOFETをガラス基板(Corning、Eagle 2000)上に作製した。シャドーマスクを介した熱蒸着によって、Au(50nm)ボトムコンタクトソース/ドレイン電極を堆積した。インクジェット印刷用半導体配合物は、NDIポリマーのポリ{[N,N9−ビス(2−オクチルドデシル)−ナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシミド)−2,6−ジイル]−alt−5,59−(2,29−ビチオフェン)}、(P(NDI2OD−T2)、Polyera ActivInk N2200を主成分とする。P(NDI2OD−T2)インクを以下のように調製した:活性材料の濃度が0.5%となるようにするため、NDIポリマーを、無水で99%の1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(Sigma Aldrich)および99%のメシチレン(Sigma Aldrich)の体積比1:1の混合物中に溶解させた。配合物を周囲条件で終夜撹拌した。Polyera ActivInk N2200の構造を以下に示す:
【化5】
【0064】
Dimatix DMP 2831インクジェット印刷システムを使用して、半導体層をパターン化した。活性材料の厚さ約150nmの層を空気中室温で印刷した。CYTOP(45nm)/Al
2O
3(50nm)層をトップゲート誘電体として使用した。CYTOP溶液(CTL−809M)は、濃度9重量%のものを旭硝子より購入した。厚さ45nmのCYTOP層を堆積するために、元の溶液を、それらの溶媒(CT−solv.180)で溶液:溶媒比が1:3.5となるように希釈した。3000rpmで60秒間スピンキャストすることによって厚さ45nmのCYTOP層を堆積した。このCYTOP(45nm)膜を100℃で20分間アニールした。すべてのスピンコーティングおよびアニールプロセスは、N
2を満たしたドライボックス中で行った。次に、Cambridge Nanotech Inc.のSavannah 100 ALDシステムを使用して、CYTOP層の上部にAl
2O
3誘電体膜(50nm)を堆積した。トリメチルアルミニウム[Al(CH
3)
3]およびH
2O蒸気への交互の曝露を用いて約0.1nm/サイクルの堆積速度で膜を110℃で成長させた。最後に、シャドーマスクを介した熱蒸着によってAl(100nm)ゲート電極を堆積した。得られたOEFTを
図4Hに示す。
【0065】
実施例13:CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)および蒸着Agソース/ドレイン電極を有するPolyera ActivInk N2200に基づくOFET
ボトムコンタクトソース/ドレイン電極にAuの代わりにAgを使用したことを除けば、実施例13は実施例12と同一である。
【0066】
実施例14:CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)および印刷Agソース/ドレイン電極を有するPolyera ActivInk N2200に基づくOFET
Agボトムコンタクトソース/ドレイン電極をDimatix DMP 2831インクジェットプリンタによって印刷したことを除けば、実施例14は実施例14と同一である。
【0067】
実施例15:CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP; 50nmのAl
2O
3)を有するLEH−III−002aに基づくOFET
ボトムコンタクトおよびトップゲート構造を有するOFETをガラス基板(Corning、Eagle 2000)上に作製した。シャドーマスクを介した熱蒸着によって、Au(50nm)、Al(50nm)、およびAg(50nm)のボトムコンタクトソース/ドレイン電極を堆積した。ジクロロベンゼンから調製した30mg/mlの溶液を500rpmで10秒間、続いて2000rpmで20秒間スピンコーティングすることによって、LEH−III−002a(LEH−III085g、LEH−119a)の有機半導体の薄膜を堆積した。LEH−III−002a(LEH−III−085g、LEH−III−119a)は以下の式で表される:
【化6】
【0068】
LEH−III−119a(LEH−III−085g)およびPαMSの別個の30mg/mlの溶液を混合して、ポリマーマトリックスのポリ(α−メチルスチレン)(PαMS)(M
w100,000)とのブレンドを調製した。ポリ(α−メチルスチレン)(PαMS)(M
w100,000)は以下の式で表される:
【化7】
【0069】
500rpmで10秒間、続いて2000rpmで20秒間スピンコーティングすることによって、ブレンド膜を堆積した。単独およびブレンドの膜を100℃で15分間アニールした。CYTOP(45nm)/Al
2O
3(50nm)層をトップゲート誘電体として使用した。CYTOP溶液(CTL−809M)は、濃度9重量%のものを旭硝子より購入した。厚さ45nmのCYTOP層を堆積するために、元の溶液を、それらの溶媒(CT−solv.180)で溶液:溶媒比が1:3.5となるように希釈した。3000rpmで60秒間スピンキャストすることによって厚さ45nmのCYTOP層を堆積した。このCYTOP(45nm)膜を100℃で20分間アニールした。すべてのスピンコーティングおよびアニールプロセスは、N
2を満たしたドライボックス中で行った。次に、Cambridge Nanotech Inc.のSavannah 100 ALDシステムを使用して、CYTOP層の上部にAl
2O
3誘電体膜(50nm)を堆積した。トリメチルアルミニウム[Al(CH
3)
3]およびH
2O蒸気への交互の曝露を用いて約0.1nm/サイクルの堆積速度で膜を110℃で成長させた。最後に、シャドーマスクを介した熱蒸着によってAl(150nm)ゲート電極を堆積した。
【0070】
実施例16:CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)を有するDRR−IV−209nに基づくOFET
ボトムコンタクトおよびトップゲート構造を有するOFETをガラス基板(Corning、Eagle 2000)上に作製した。シャドーマスクを介した熱蒸着によって、シャドーマスクを介した熱蒸着によって、Au(50nm)ボトムコンタクトソース/ドレイン電極を堆積した。1,4−ジオキサン(20mg/mL)およびジクロロベンゼン(20mg/mL)から調製した溶液を500rpmで10秒間および2,000rpmで20秒間スピンコーティングすることによって、基板上にDRR−IV−209nの有機半導体層を形成した。DRR−IV−209nは以下の式で表される:
【化8】
【0071】
次に、N
2を満たしたドライボックス中で、サンプルを100℃(1,4−ジオキサンサンプル)および120℃(ジクロロベンゼンサンプル)で10分間アニールした。CYTOP(45nm)/Al
2O
3(50nm)層をトップゲート誘電体として使用した。CYTOP溶液(CTL−809M)は、濃度9重量%のものを旭硝子より購入した。厚さ45nmのCYTOP層を堆積するために、元の溶液を、それらの溶媒(CT−solv.180)で溶液:溶媒比が1:3.5となるように希釈した。3000rpmで60秒間スピンキャストすることによって厚さ45nmのCYTOP層を堆積した。このCYTOP(45nm)膜を100℃で20分間アニールした。すべてのスピンコーティングおよびアニールプロセスは、N
2を満たしたドライボックス中で行った。次に、Cambridge Nanotech Inc.のSavannah 100 ALDシステムを使用して、CYTOP層の上部にAl
2O
3誘電体膜(50nm)を堆積した。トリメチルアルミニウム[Al(CH
3)
3]およびH
2O蒸気への交互の曝露を用いて約0.1nm/サイクルの堆積速度で膜を110℃で成長させた。最後に、シャドーマスクを介した熱蒸着によってAl(150nm)ゲート電極を堆積した。
【0072】
異なるCYTOP層/Al
2O
3層の厚さを有するOFETの比較試験
本発明の実施形態の利点を説明するため、
図4AのOFET構造について以下の試験を行った。異なるCYTOP層/Al
2O
3層の厚さを有する5つのOFETを比較した:
・CYTOP(25nm)/Al
2O
3(50nm);
・CYTOP(40nm)/Al
2O
3(50nm);
・CYTOP(530nm)/Al
2O
3(50nm);
・ゲート誘電体としてのAl
2O
3(100nm)層;
・ゲート誘電体としてのCYTOP(780nm)層。
【0073】
試験するすべてのOFETで、基板301は、ポリ−4−ビニルフェノール(PVP)がコーティングされたガラス基板であり、半導体材料302は、基板上にスピンコーティングされたTIPS−ペンタセンおよびPTAAのブレンドである。堆積後、TIPS−ペンタセンおよびPTAAのブレンド膜の垂直相分離を誘導するためのアニールを行った。金(50nm)およびアルミニウム(150nm)を、ボトムコンタクトソース/ドレイン電極およびトップゲート電極としてそれぞれ使用した。半導体層の堆積前に、金属および有機界面の間の接触を改善するために、金電極の表面をペンタフルオロベンゼンチオール(PFBT)の自己組織化単層で処理した。
【0074】
図5は、3つの異なるCYTOP層厚さでの
図4AのOFETの、連続バイアス応力下の時間の関数としての初期ドレイン電流I
DS0に対するドレイン−ソース電流I
DSの比を比較している(t
CYTOP=25、40、530nmのそれぞれでV
G=V
D=−6V、−8V、−25V)。これらの測定は、適切なCYTOP層厚さを選択することによって、連続バイアス応力下での時間の関数としてのドレイン電流の変化に影響を与えることが可能なことを示している。この例では、40nmのCYTOP層厚さで最良の結果が得られる。このCYTOP層厚さの最適値は、Al
2O
3層および誘電率の厚さによって影響されることに留意されたい。このことは、以下の式ならびに
図6Aおよび6Bを考慮することによってより十分に理解できるであろう。
各層の電界:
【数1】
各層中の実効電圧:
【数2】
ここで、E
iおよびV
iはそれぞれ、厚さt
iおよび誘電率k
iを有する層i中の電界および実効電圧を意味し、ゲート誘電体は、層iと、厚さt
jおよび誘電率k
jを有する層jとからなる。
【0075】
これらの式を
図6A中に示している。
図6Bに示されるように、Al
2O
3層の誘電率の変化の関数としてのCYTOP層上の電圧の変化に対する作用は、CYTOP層厚さの値が小さいほど大きくなる。このような勾配は、前述の補償作用を得るために必要である。厚いCYTOP層の場合、たとえば
図6Bの500nmの曲線の場合、曲線はほぼ平坦であり、補償が得られないことを示している(他の誘電率が依然として同じであると仮定している)。
【0076】
図7Aおよび7Bは、Al
2O
3(100nm)、CYTOP(780nm)、およびCYTOP(40nm)/Al
2O
3(50nm)の膜のキャパシタンス密度−電界(C−E)特性および電流密度−電界(J−E)特性をそれぞれ示している。すべての膜の誘電特性は、3.1×10−4cm
2〜2.4×10−1cm
2の種々の面積で金(100nm)/誘電体/インジウム薄酸化物(ITO)がコーティングされたガラスの平行板コンデンサ形状を用いて、特性決定を行った。1kHzの周波数におけるAl
2O
3膜およびCYTOP膜の測定キャパシタンス密度(C
in)はそれぞれ78.6および2.3nF/cm
2であった。抽出された誘電率(k)値は、Al
2O
3の場合で8.9、CYTOPの場合で2.0である。CYTOP/Al
2O
3二重層は1kHzの周波数で34.8nF/cm
2のC
inを示し、これはCYTOPおよびAl
2O
3の直列接続したコンデンサから推定される理論値(34.6nF/cm
2)に近い。
図7Bに示されるように、Al
2O
3膜およびCYTOP/Al
2O
3膜の漏れ電流密度は、最大3MV/cmの大きさで印加された電界において依然として3×10
−7A/cm
2未満である。対照的に、厚さ780nmのCYTOP膜の漏れ電流は、1.2MV/cmの印加電界で2×10
−7A/cm
2の値に到達した。
【0077】
図8A〜8Bは、CYTOP(40nm)/Al
2O
3(50nm)ゲート誘電体を使用するOFET(W/L=2550μm/180μm)の窒素雰囲気での初期状態のデバイスで測定した伝達特性および出力特性を示している。OFETは、ヒステリシスを示さず、二重層ゲート誘電体の比較的高いC
inのために、8Vの低電圧でμ=0.6cm
2/Vsの最大値を達成した。平均値で、移動度μ=0.46±0.08cm
2/Vs、閾値電圧V
th=−2.4±0.1V、I
on/I
off=10
5、サブスレッショルド勾配SS=0.20±0.06V/decade、および最大界面トラップ密度5×10
11cm
−2が、これらの二重層デバイスで測定された。CYTOP単層を使用するOFETと比較すると、二重層を使用するOFETは、μは類似の値を示すが、高C
inのために低動作電圧ではV
thおよびSSはより小さな値となり、I
on/I
offはより大きな値となる。
【0078】
図9Aは、長期環境安定性および動作安定性を調べるために、各組のOFETに対して行った種々の条件の環境曝露および電気的応力をまとめた表を示している。環境安定性を調べるために、すべてのOFETを、30〜50%の間の相対湿度で通常の周囲条件に曝露した。μおよびV
thの変動を離散間隔で監視した。各間隔において、各基板をN
2を満たしたグローブボックス中に戻し、電気特性および動作安定性試験を行った。
【0079】
図9Bは、異なる種類のOFETにおいて、最長31日の空気への曝露後にμの有意な変化は観察されなかったことを示している。示されているように、TIPS−ペンタセンの良好な空気安定性も、これらのOFETの環境安定性に寄与している。Al
2O
3ゲート誘電体を有するOFETにおいて、5.5(±2.0)×10
−3cm
2/Vから最大1.1(±0.4)×10
−2cm
2/Vsへのμの平均値のゆるやかな増加が観察された。他のOFETにおいては、最初の11日の初期増加の後、μは変化せずに、CYTOPゲート誘電体を有するOFETで0.60±0.20cm
2/Vs、CYTOP/Al
2O
3ゲート誘電体を有するOFETで0.52±0.09cm
2/Vsの平均値を維持した。他方、種々のゲート誘電体を有するデバイスのV
thの変動を
図9Cに示している。Al
2O
3ゲート誘電体を有するOFETにおいては、オフからオンへの計画のV
GSのスイープから測定したV
thの平均値は、空気中で31日後に−2.4±0.3Vから−2.8±0.3Vに変化した。これは一見小さな変化であるが、強いヒステリシスと、デバイス間のV
thの大きさおよび符号の大きなばらつきとが、これらのデバイスで観察された。対照的に、CYTOPゲート誘電体を有するヒステリシスのないOFETにおいては、空気中11日後に、V
thの−24.3±0.8Vから−4.0±0.7Vの大きな正のシフトが観察された。この初期変動の後、V
thの大きなシフトは観察されず、空気中31日後には−3.7±0.3Vの値に達した。わずかに小さいが類似の変化が、CYTOP/Al
2O
3二重層を有するヒステリシスのないOFETで観察された。空気中31日後、V
thは−2.5±0.1Vから−1.4±0.1Vへの小さなシフトのみが測定された。CYTOPゲート誘電体を有するデバイスと同様に、これらの変化のほとんどは最初の11日間で起こった。
【0080】
図9Dは、CYTOP(40nm)/Al
2O
3(50nm)膜を有するOFETの移動度および閾値電圧V
thの変動を示している。
【0081】
本発明のトップゲート誘電体の封止特性を調べるために、Ca薄膜光透過試験を行った。CYTOP単層で保護されたCa膜は、空気への曝露から1時間以内に急速に酸化された一方で、CYTOP/Al
2O
3二重層またはAl
2O
3単層のいずれかで保護されたCa膜は、空気曝露が1日を超えた後でのみ劣化が開始したことが分かった。これらの実験から、CYTOPは疎水性のためH
2O拡散の保護障壁となり、O
2拡散がCa層の劣化に関与すると推測される。二重層ゲート誘電体を使用したOFETは、単層ゲート誘電体を使用したOFETよりも優れた環境安定性を示した。
【0082】
空気中で31日後、750Wの出力で5分間O
2プラズマに曝露することによって、トップゲートOFET中に使用した誘電対の封止特性のさらなる試験を行い、この条件は、有機残渣および他の汚染物質を表面から除去することが知られているO
2プラズマの高反応性のために、空気曝露よりも厳しい。
図9Bおよび9Cは、O
2プラズマ処理後、3つすべての種類のOFETでμまたはV
thの大きな変化は観察されなかったことを示している。異なるOFETの電気的特性で観察された顕著な変化は、CYTOP単層を有するOFETにおけるI
offの大幅な増加であった。他方、Al
2O
3は、強力なO
2プラズマに対する保護層として機能するため、Al
2O
3およびCYTOP/Al
2O
3ゲート誘電体を有するデバイスにおいてI
on/I
off比の有意な変化は観察されなかった。
図9Aに示されるように、O
2プラズマ処理後、CYTOP/Al
2O
3二重層を有するOFETの電気的性質を、210日(7か月)の累積空気曝露後に試験した。
図9Bおよび9Cは、μおよびV
thの平均値が、依然として実質的に変化していないことを示している。
【0083】
環境安定性に加えて、動作安定性も、回路設計および全体のデバイス寿命のために重要である。連続動作下での劣化の機構は、OFET、ならびに半導体およびゲート誘電体全体のすべての重要な界面での電荷トラップおよび脱トラップの事象と関連がある。動作中のOFET性能の低下は、μおよびV
thの変化に反映される。トラップの動力学は、チャネルを流れるキャリアの密度に依存するため、トランジスタがより高い電力で動作する場合は、より激しい劣化が予想される。移動性不純物の拡散またはゲート誘電体の分極などの他の機構も、性能の低下に寄与しうる。これらの理由から、すべてのOFETの動作安定性を:1)伝達特性の複数の連続スキャン、および2)一定直流(DC)バイアス応力の印加(チャネルを流れる電流密度がより高くなるためより厳しい条件である)の2つの方法で評価した。
【0084】
図10Aおよび10Bは、空気曝露前(
図10A)および31日の空気曝露後(
図10B)の、「オフ」領域から「オン」領域への複数の連続スキャン中のCYTOP(40nm)/Al
2O
3(50nm)OFETで測定した伝達曲線のサンプリングを示している。最初の1000回のスキャン中は、OFETを空気に曝露する前のCYTOP/Al
2O
3ゲート誘電体を有するOFETで観察された伝達特性の変化は、
図10Aの挿入図に示されるようにわずかであった。空気に曝露する前のこれらのデバイスの動作安定性をさらに試験するために、どちらもさらに20,000回のスキャンを行った。
図10Aは、そのような条件下でさえ、両方の種類のOFETで観察される伝達特性の変化はわずかであったことを示している。
図10Bに示されるように、31日間空気に曝露した後でさえも、複数の連続スキャン下での動作安定性が維持された。この顕著な安定性は、CYTOP/TIPS−ペンタセン界面の優れた電気的性質によるものである。
【0085】
図9Aに示されるように、OFETの空気曝露前および1000回のスキャン後に、異なる種類のOFETのデバイス1に、3600秒(1時間)のDCバイアス応力を加えた。
図11Aは、すべてのOFETで測定し初期値で規格化したI
DSの時間的変化を示している。Al
2O
3ゲート誘電体を有するOFETにおいては、規格化I
DSの減少が測定され、1時間後に0.77の最終値に達した。同じ時間間隔で、CYTOPデバイスで測定した電流は0.9まで減少した。しかし、CYTOP/Al
2O
3二重層の変化は異なり、電流がわずかに増加して、1時間後に1.04の値に達した。
図11Bは、空気に31日間曝露した後の1時間のバイアス応力に対するすべてのOFETで測定した規格化I
DSの変化を示している(デバイス2)。二重層ゲート誘電体を有するOFETにおいては、I
DSをわずかに増加させる機構が、他のOFETで観察される機構と大きく異なる。さらに、二重層ゲート誘電体を有するOFETの動作安定性を、O
2プラズマ処理後に、24時間の電気的バイアス応力にわたって電流変化を監視することによって試験した。
図11Cは、規格化I
DSの変化が元の値の4%未満に維持されていることを示している。
図11Dから分かるように、この顕著な安定性のために、DCバイアス応力の前後で伝達特性および出力特性の変化がわずかとなっている。前述したように、I
DSはDCバイアス応力の初期段階中にわずかな増加を示すが、長時間の応力後にはゆっくりと減少することに注目されたい。
図11Eは、初期状態のOFET(Dev.1)、空気に31日間曝露した後(Dev.2)、O
2プラズマ処理後(Dev.3)、空気曝露90日後(Dev.4)、150日間の空気曝露後(Dev.5)、210日間の空気曝露後(Dev.6)、および365日間の空気曝露後(Dev.7)のCYTOP(40nm)/Al
2O
3(50nm)膜を有するOFETについて測定した24時間の電気的バイアス応力にわたるI
DSの時間的変化を示している。図から分かるように、DC下のI
DSのバイアスは±10%未満であった。
【0086】
二重層を有するOFETの電気的バイアス下での顕著な安定性は、1)CYTOP/TIPS−ペンタセン界面での固有の深いトラップによって生じるI
DSの減少と、2)CYTOP/Al
2O
3界面での配向を引き起こしうる双極子、および/またはゲート誘電体での電荷注入およびトラップによって生じるI
DSの増加とによる補償作用によって得られる。
【0087】
CYTOP/Al
2O
3二重層誘電体を有するOFETの系統的な安定性の研究
本発明の実施形態の利点を説明するため、CYTOP/Al
2O
3二重層誘電体を有するOFETに対して以下の研究を行った。pチャネルOFETに対するO
2およびH
2O曝露の影響を調べた。
【0088】
このようなOFETの伝達特性に対するO
2およびH
2O曝露の一般化された影響を
図16Aおよび16Bに示している。
図16Aは、O
2はドーピングおよび酸化の両方の効果を有することを示しており、ドーピング効果は伝達特性曲線を右にシフトさせる傾向にあり、酸化効果は伝達特性曲線を左にシフトさせる傾向にある。
図16Bは、H
2Oは誘電分極を増加させ、これが伝達特性曲線を右にシフトさせる傾向にあるが、トラップを形成する効果も有し、これが伝達特性曲線を左にシフトさせる傾向にあることを示している。
【0089】
DCバイアス応力中のI
DSの時間的変化に対するO
2およびH
2O曝露の一般化された影響を
図16Cに示している。
図16Cは、DCバイアス応力中のI
DSに対するO
2曝露の影響がほとんどないことを示している。しかし、H
2O曝露は、DCバイアス応力中に経時的にI
DSを減少させる。
【0090】
これらの効果の程度を試験するため、3つの異なるOFETについて試験を行った。その第1は、
図4Dに示されるようなCYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)を有するTIPS−ペンタセンおよびPTAAのブレンドのチャネルに基づくOFETであった。第2は、
図4Eに示されるようなCYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)を有するdiF−TESADTおよびPTAAのブレンドのチャネルに基づくOFETであった。第3は、
図4Fに示されるようなCYTOP/Al
2O
3/CYTOP三重層(20nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3;20nmのCYTOP)を有するTIPS−ペンタセンおよびPTAAのブレンドのチャネルに基づくOFETであった。これらのOFETに対して、
図17に示される曝露順序で曝露を行った。
【0091】
図18A〜18Cは、曝露順序の各段階における、キャパシタンスC
in(nF/cm
2)、移動度μ(cm
2/Vs)、および閾値電圧V
th(V)を示している。これらの結果は、O
2およびH
2Oの影響が、CYTOP/Al
2O
3二重層およびCYTOP/Al
2O
3/CYTOP三重層OFETに対して可逆的であることを示している。
【0092】
図19Aおよび19Bは、曝露順序の各段階における、CYTOP/Al
2O
3二重層OFET(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)(
図19A)およびCYTOP/Al
2O
3/CYTOP三重層OFET(20nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3;20nmのCYTOP)(
図19B)の20Hz〜100万Hzの範囲の周波数でのキャパシタンスの変動を示している。
【0093】
図20Aおよび20Bは、CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)を有するTIPS−ペンタセンおよびPTAAのブレンドのチャネルに基づくOFETのDCバイアス中の伝達特性およびI
DSの時間的変化を示している。このOFETの試験中に得られたデータを以下の表にまとめている。
【0094】
【表1】
【0095】
図21Aおよび21Bは、CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)を有するdiF−TESADTおよびPTAAのブレンドのチャネルに基づくOFETのDCバイアス中の伝達特性およびI
DSの時間的変化を示している。このOFETの試験中に得られたデータを以下の表にまとめている。
【0096】
【表2】
【0097】
図22Aおよび22Bは、CYTOP/Al
2O
3/CYTOP三重層(20nmのCYTOP;50nmのAl2O3;20nmのCYTOP)を有するTIPS−ペンタセンおよびPTAAのブレンドのチャネルに基づくOFETのDCバイアス中の伝達特性およびI
DSの時間的変化を示している。このOFETの試験中に得られたデータを以下の表にまとめている。
【0098】
【表3】
【0099】
種々のフルオロポリマー(CYTOP、Hyflon、およびTeflon(登録商標))/無機(Al
2O
3およびSiN
x)二重層の比較研究
本発明の実施形態の利点を説明するため、フルオロポリマー二重層を有するコンデンサおよびOFETに対して以下の研究を行った。異なるフルロポリマー(fluropolymer)二重層を有する8つのコンデンサおよび8つのOFETを比較した。
・CYTOP(45nm)/Al
2O
3(50nm);
・Hyflon(45nm)/Al
2O
3(50nm);
・Teflon(登録商標)(45nm)/Al
2O
3(50nm);
・CYTOP(20nm)/Al
2O
3(50nm)/CYTOP(20nm);
・CYTOP(45nm)/S
iN
x(50nm);
・Hyflon(45nm)/S
iN
x(50nm);
・Teflon(登録商標)(45nm)/S
iN
x(50nm);
・CYTOP(20nm)/S
iN
x(50nm)/CYTOP(20nm)。
【0100】
コンデンサを作製するため、シャドーマスクを介した熱蒸着によってAu(50nm)底部電極をガラス基板(Corning 1737)上に堆積した。種々のフルオロポリマー(CYTOP、Hyflon、およびTeflon(登録商標))/無機(Al
2O
3およびSiN
x)二重層、およびCYTOP/無機(Al
2O
3およびSiN
x)/CYTOP三重層を誘電体として使用した。CYTOP溶液(CTL−809M)は、濃度9重量%のものを旭硝子より購入した。Hyflon溶液(Hyflon(登録商標)AD 40X)は、濃度約6.6重量%でSolvayより入手した。Teflon(登録商標)溶液(601S2−100−6)は、濃度6重量%のものをDuPontより購入した。厚さ45nmのフルオロポリマー層を堆積するために、元の溶液を、それらの溶媒(CYTOPの場合はCT−solv.180、Hyflonの場合はLS165、Teflon(登録商標)の場合はFC−40)で、溶液:溶媒比がCYTOPの場合1:3.5、Hyflonの場合1:2、Teflon(登録商標)の場合1:3となるように希釈した。20nmのCYTOP層の場合、溶液:溶媒比は1:7となる。3000rpm(CYTOPの場合)および4000rpm(HyflonおよびTeflon(登録商標)の場合)で60秒間スピンコーティングすることによって、フルオロポリマー層を堆積した。堆積後、フルオロポリマー層を100℃で20分間アニールした。次に、Cambridge Nanotech Inc.のSavannah 100 ALDシステムを使用して、フルオロポリマー層の上部にAl
2O
3誘電体膜(50nm)を堆積した。トリメチルアルミニウム[Al(CH
3)
3]およびH
2O蒸気への交互の曝露を用いて約0.1nm/サイクルの堆積速度で膜を110℃で成長させた。SiN
x膜s(50nm)は、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)によって110℃でフルオロポリマー層上に堆積した。三重層誘電体の場合、Al
2O
3およびSiN
x膜の上にCYTOP膜(20nm)を堆積し、100℃で20分間アニールした。最後に、シャドーマスクを介した熱蒸着によってAl(150nm)上部電極を堆積した。
【0101】
図23A〜23Dは、試験したコンデンサのキャパシタンス特性および電流密度−電界(J−E)特性を示している。試験したコンデンサの誘電性質のまとめが以下の表に含まれている。
【0102】
【表4】
【0103】
OFETを作製するために、ボトムコンタクトおよびトップゲート構造をガラス基板(Corning、Eagle 2000)上に作製した。シャドーマスクを介した熱蒸着によってAu(50nm)ボトムコンタクトソース/ドレイン電極を堆積した。ペンタフルオロベンゼンチオール(PFBT)の自己組織化単層のAu電極上への形成を、N
2を満たしたドライボックス中でエタノール中の10mmolのPFBT溶液に15分浸漬し、純エタノールで洗浄し、乾燥させることによって行った。TIPS−ペンタセンおよびPTAAのブレンドの溶液を以下のように調製した:TIPS−ペンタセンおよびPTAAを無水で99%の1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(Sigma Aldrich)中に30mg/mLの濃度で個別に溶解させ、2つの個別の溶液を混合して1:1の重量比を得た。TIPS−ペンタセンおよびPTAAのブレンドの活性層を、500rpmで10秒間および2000rpmで20秒間スピンコーティングすることによって堆積した。次にサンプルを、N
2を満たしたドライボックス中100℃で15分間アニールした。種々のフルオロポリマー(CYTOP、Hyflon、およびTeflon(登録商標))/無機(Al
2O
3およびSiN
x)二重層およびCYTOP/無機(Al
2O
3およびSiN
x)/CYTOP三重層を誘電体として使用した。CYTOP溶液(CTL−809M)は、濃度9重量%のものを旭硝子より購入した。Hyflon溶液(Hyflon(登録商標)AD 40X)は、濃度約6.6重量%でSolvayより入手した。Teflon(登録商標)溶液(601S2−100−6)は、濃度6重量%のものをDuPontより購入した。厚さ45nmのフルオロポリマー層を堆積するために、元の溶液を、それらの溶媒(CYTOPの場合はCT−solv.180、Hyflonの場合はLS165、Teflon(登録商標)の場合はFC−40)で、溶液:溶媒比がCYTOPの場合1:3.5、Hyflonの場合1:2、Teflon(登録商標)の場合1:3となるように希釈した。20nmのCYTOP層の場合、溶液:溶媒比は1:7となる。3000rpm(CYTOPの場合)および4000rpm(Hyflon、Teflon(登録商標)の場合)で60秒間スピンコーティングすることによって、フルオロポリマー層を堆積した。堆積後、フルオロポリマー層を100℃で20分間アニールした。次に、Cambridge Nanotech Inc.のSavannah 100 ALDシステムを使用して、フルオロポリマー層の上部にAl
2O
3誘電体膜(50nm)を堆積した。トリメチルアルミニウム[Al(CH
3)
3]およびH
2O蒸気への交互の曝露を用いて約0.1nm/サイクルの堆積速度で膜を110℃で形成した。SiN
x膜s(50nm)は、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)によって110℃でフルオロポリマー層上に堆積した。三重層誘電体の場合、Al
2O
3およびSiN
x膜の上にCYTOP膜(20nm)を堆積し、100℃で20分間アニールした。最後に、シャドーマスクを介した熱蒸着によってAl(150nm)ゲート電極を堆積した。
【0104】
図24Aおよび24Bは、CYTOP(45nm)/Al
2O
3(50nm)二重層OFETの伝達特性および出力特性を示している。
図24Cおよび24Dは、Hyflon(45nm)/Al
2O
3(50nm)二重層OFETの伝達特性および出力特性を示している。
図24Eおよび24Fは、Teflon(登録商標)(45nm)/Al
2O
3(50nm)二重層OFETの伝達特性および出力特性を示している。
図24Gおよび24Hは、CYTOP(20nm)/Al
2O
3(50nm)/CYTOP(20nm)三重層OFETの伝達特性および出力特性を示している。
図24Iおよび24Jは、CYTOP(45nm)/S
iN
x(50nm)二重層OFETの伝達特性および出力特性を示している。
図24Kおよび24Lは、Hyflon(45nm)/S
iN
x(50nm)二重層OFETの伝達特性および出力特性を示している。
図24Mおよび24Nは、Teflon(登録商標)(45nm)/S
iN
x(50nm)二重層OFETの伝達特性および出力特性を示している。
図24Oおよび24Pは、CYTOP(20nm)/S
iN
x(50nm)/CYTOP(20nm)三重層OFETの伝達特性および出力特性を示している。
【0105】
試験したOFETの性能のまとめが以下の表に含まれている。
【0106】
【表5】
【0107】
フルオロポリマー/SiN
x二重層OFETの電界効果移動度の値が、フルオロポリマー/Al
2O
3二重層OFETの値の10〜100分の1であったことに注目されたい。
【0108】
他の実施形態で得られた結果
図12Aおよび12Bは、最大1,000サイクルの伝達特性の複数のスキャン後、および18時間の一定DCバイアス応力後(V
GS=V
DS=7V)のCYTOP(40nm)/Al
2O
3(50nm)二重層を有する非晶質InGaZnOのFETの伝達特性および出力特性を示している。複数の連続スキャン下または一定DCバイアス応力下では、酸化物FETは、移動度の低下を示さないが、閾値電圧はわずかに変化する。
【0109】
図13A〜13Bは、審査官(Examiner)7で議論されるようにCYTOP(40nm)/Al
2O
3(50nm)ゲート誘電体およびプラスチック(PES)基板を使用するOFET(W/L=2550μm/180μm)の窒素雰囲気下での初期状態のデバイスから測定される伝達特性および出力特性を示している。OFETはヒステリシスを示さず、8Vの低電圧でμ=0.34cm
2/Vsの最大値に達した。平均値で、移動度μ=0.24±0.08cm
2/Vs、閾値電圧V
th=−1.3±0.1V、I
on/I
off=10
4がこれらの二重層デバイスで測定された。CYTOP(40nm)/Al
2O
3(50nm)ゲート誘電体およびプラスチック(PES)基板を使用するOFET(W/L=2550μm/180μm)に、3600秒(1時間)のDCバイアス応力を加えた。
図14Aは、このOFEDで測定し初期値で規格化したI
DSの時間的変化を示している。プラスチック基板中のCYTOP/Al
2O
3二重層のOFETの変化は、
図11Aを
図14Aと比較すれば分かるように、ガラス基板デバイスの変化と類似していた。
図14Bおよび14Cは、DCバイアス応力を加えた後のプラスチック基板OFETの伝達特性および出力特性を示している。
図15Aおよび15Bは、CYTOP(40nm)/Al
2O
3(50nm)ゲート誘電体およびプラスチック(PES)基板を使用するOFET(W/L=2550μm/180μm)の、初期、空気中4か月後、および30分間の屈曲(引張応力)後の伝達特性および出力特性を示している。
図15Cは、プラスチック基板OFETの屈曲に使用した屈曲装置を示している。
図15Dは、プラスチック基板OFET(抵抗負荷型インバータを使用して測定)の、初期、2時間のDCバイアス応力後、空気中4か月後、および30分間の屈曲(引張応力)後の電圧伝達特性を示している。
【0110】
図25Aおよび25Bは、実施例11で議論したペンタセンおよびInGaZnOのFETのゲート電圧V
GSに対するドレイン電流I
DSを示している。
図25Cは、60分間にわたるDCバイアス応力下で、ペンタセンおよびInGaZnOのFETに関して測定したI
DSの時間的変化を、初期値で規格化して示している。
図26Aおよび26Bは、実施例11で議論したペンタセンFETの伝達特性および出力特性を示している。
図27Aおよび27Bは、実施例11で議論したInGaZnOのFETの伝達特性および出力特性を示している。
図28Aおよび28Bは、
図4Gのインバータの電圧伝達特性および静的利得を示している。
【0111】
図29Aおよび29Bは、実施例12において議論した、CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)および蒸着Auソース/ドレイン電極を有するPolyera ActivInk N2200に基づくOFETの伝達特性および出力特性を示している。
図30Aおよび30Bは、実施例13において議論した、CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)および蒸着Agソース/ドレイン電極を有するPolyera ActivInk N2200に基づくOFETの伝達特性および出力特性を示している。
図31Aおよび31Bは、実施例14において議論した、CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)および印刷Agソース/ドレイン電極を有するPolyera ActivInk N2200に基づくOFETの伝達特性および出力特性を示している。印刷し試験した印刷OFETの性能のまとめを以下の表が含んでいる。
【0112】
【表6】
【0113】
図32Aおよび32Bは、CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)およびAuボトムコンタクトソース/ドレイン電極を有するLEH−III−002aに基づくOFETのnチャネル動作における伝達特性および出力特性を示している。
【0114】
図33Aおよび33Bは、CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)およびAuボトムコンタクトソース/ドレイン電極を有するLEH−III−002aに基づくOFETのpチャネル動作における伝達特性および出力特性を示している。
【0115】
図34Aおよび34Bは、CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)およびAlボトムコンタクトソース/ドレイン電極を有するLEH−III−085gに基づくOFETの伝達特性および出力特性を示している。
【0116】
図35Aおよび35Bは、CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)およびAgボトムコンタクトソース/ドレイン電極を有するLEH−III−085g:PαMSに基づくOFETのnチャネル動作における伝達特性および出力特性を示している。
【0117】
図36Aおよび36Bは、CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)およびAgボトムコンタクトソース/ドレイン電極を有するLEH−III−085g:PαMSに基づくOFETのpチャネル動作における伝達特性および出力特性を示している。
【0118】
図37Aおよび37Bは、CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)およびAuボトムコンタクトソース/ドレイン電極を有するLEH−III−119aに基づくOFETに対する環境曝露試験の結果を示している。
図37Aは、このOFETの初期、5日後、17日後、およびアニール後の伝達特性を示している。
図37Bは、このOFETの初期、5日後、17日後の移動度および閾値電圧を示している。
【0119】
図38Aおよび38Bは、CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)およびAuボトムコンタクトソース/ドレイン電極を有するLEH−III−119a:PαMSに基づくOFETに対する環境曝露試験の結果を示している。
図38Aは、このOFETの初期、5日後、17日後、およびアニール後の伝達特性を示している。
図38Bは、このOFETの初期、5日後、17日後の移動度および閾値電圧を示している。
【0120】
図39Aおよび39Bは、CYTOP/Al
2O
3二重層(45nmのCYTOP;50nmのAl
2O
3)を有するDRR−IV−209nに基づくOFETの伝達特性および出力特性を示している。
【0121】
【表7】
【0122】
LEH−III−002a、LEH−III−085g、LEH−III−119a、DRR−IV−209nに基づくOFETの性能のまとめを以下の表に示す。
【0123】
【表8】
【0124】
【表9】
【0125】
結論として、本発明の多層方法は、多くの用途で環境的および動作的に安定なOFETの開発の可能性を広げるものである。そのような用途の例としては:情報表示および医療用撮像アレイのドライバ、相補回路、適応型太陽電池アレイ、高周波識別(RFID)タグ、ならびに化学センサーまたは物理センサーが特に挙げられる。一定電流源が必要となるアクティブマトリックスディスプレイのバックプレーンなどの用途では、バイアス応力作用が、ディスプレイ機能に悪影響を与える。このような用途に対して、本発明の実施形態は、たとえばバイアス応力作用に非常に影響されやすい現在の非晶質シリコン(a−Si)FET技術に対して大きな利点を有する。本発明の特に魅力的な用途の1つは、商業用途のアクティブマトリックス有機発光ダイオード(AMOLED)ディスプレイのバックプレーン回路である。その理由は、従来のAMOLEDディスプレイは、有機発光ダイオードの不均一性を防止するために駆動するトランジスタが劣化するため、閾値電圧および移動度の変動を補償するためにより多くのトランジスタが必要であったためである。本発明によって、AMOLEDを動作させるための高い集積密度および優れたバックプレーン安定性が可能となる。
【0126】
特定の実施形態と関連させて本発明の原理を以上に説明してきたが、この説明は単なる例であって、添付の特許請求の範囲によって定められる保護の範囲を限定するものではないことを明確に理解されたい。