特許第6061871号(P6061871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061871
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】ねじりトルク計を較正する方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 25/00 20060101AFI20170106BHJP
   G01L 3/10 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   G01L25/00 C
   G01L3/10 317
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-555921(P2013-555921)
(86)(22)【出願日】2012年2月23日
(65)【公表番号】特表2014-507004(P2014-507004A)
(43)【公表日】2014年3月20日
(86)【国際出願番号】FR2012050383
(87)【国際公開番号】WO2012117187
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2015年1月27日
(31)【優先権主張番号】1151682
(32)【優先日】2011年3月2日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501107994
【氏名又は名称】ターボメカ
【氏名又は名称原語表記】TURBOMECA
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アネル,エドガー
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/141261(WO,A1)
【文献】 米国特許第04774845(US,A)
【文献】 特開平06−174577(JP,A)
【文献】 特表2008−511827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 25/00
G01L 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじりトルク計(10)を較正する方法であって、ねじりトルク計は、
軸の周りの回転トルクを伝達するように意図されたパワーシャフト(12)であって、前記パワーシャフトには第一および第二シリーズの角度基準点を担持する第一ホイールが設けられている、パワーシャフトと、
パワーシャフトの一端に取り付けられた第一末端と、第三および第四シリーズの角度基準点を担持する第二ホイールが設けられた第二末端とを有する基準シャフト(20)であって、第一および第三シリーズの角度基準点は互いに平行であり、その一方で第二および第四シリーズの角度基準点は、第一および第三シリーズの基準点に対して傾斜しながら互いに平行である、基準シャフトと、
第一および第三シリーズの角度基準点にそれぞれ属する2つの基準点の間の第一角度オフセットと、第二および第四シリーズの角度基準点にそれぞれ属する2つの基準点の間の第二角度オフセットとを測定するための測定装置(26)と、
測定装置によって測定された第一および第二角度オフセットに基づいて、パワーシャフトによって出力されたトルクの値を決定するための計算ユニット(28)と、を含み、
方法において、
ねじりトルク計は第一状態に置かれ、それによりパワーシャフトによって出力されたトルクの値が第一所定トルク範囲(P1)内に収まり、その後ねじりトルク計のシャフトは第一温度(T1)となり、
第一セットの測定が実行され、それによって第一および第二角度オフセット(αm1、βm1)が決定され、パワーシャフトによって出力されたトルク(TQm1)は基準トルク計(54)によって測定され、
ねじりトルク計は第二状態に置かれ、それによりパワーシャフトによって出力されたトルクの値が第二所定トルク範囲(P2)内に収まり、第二所定トルク範囲は第一所定トルク範囲とは異なり、その後ねじりトルク計のシャフトが実質的に第一温度(T1)となり、
第二セットの測定が実行され、それによって第一および第二角度オフセット(αm2、βm2)が決定され、パワーシャフトによって出力されたトルク(TQm2)は基準トルク計(54)を用いて測定され、
トルク計は第三状態に置かれ、それによりパワーシャフトによって出力されたトルクの値が第二所定トルク範囲(P2)内に収まり、ねじりトルク計のシャフトが第一温度(T1)とは異なる第二温度(T2)となり、
第三セットの測定が実行され、それによって第一および第二角度オフセット(αm3、βm3)が決定され、パワーシャフトによって出力されるトルク(TQm3)は基準トルク計(54)を用いて測定され、
トルク計は第四状態に置かれ、それによりパワーシャフトによって出力されたトルクの値は第一所定トルク範囲(P1)内に収まり、その一方でねじりトルク計のシャフトは実質的に第二温度(T2)となり、
第四セットの測定が実行され、それによって第一および第二角度オフセット(αm4、βm4)が決定され、パワーシャフトによって出力されたトルク(TQm4)は基準トルク計(54)を用いて測定され、
計算ユニットは、第一、第二、第三、および第四セットの測定に基づいて較正される、ねじりトルク計を較正する、方法。
【請求項2】
第二所定トルク範囲(P2)が第一所定トルク範囲(P1)よりも高く、その一方で第二温度(T2)は第一温度(T1)よりも高い、請求項1に記載のねじりトルク計を較正する方法。
【請求項3】
第三セットの測定を行う前に、トルク計のシャフトの温度が第二温度値(T2)で安定するまで待機する、請求項1または2に記載のねじりトルク計を較正する方法。
【請求項4】
計算ユニット(28)のメモリ(29)に記憶される較正データを決定するために第一、第二、第三、および第四セットの測定が使用される、請求項1から3のいずれか一項に記載のねじりトルク計を較正する方法。
【請求項5】
ねじりトルク計(10)がターボ機械(100)に実装され、基準トルク計(54)はターボ機械の外部に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のねじりトルク計を較正する方法。
【請求項6】
第一および第二ホイール(18、22)がフォニックホイールであり、角度基準点(D1、D2、D3、D4)は歯である、請求項1から5のいずれか一項に記載のねじりトルク計を較正する方法。
【請求項7】
測定装置が単一の磁気センサ(26)によって形成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のねじりトルク計を較正する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば航空機ターボ機械のシャフトなど、エンジンシャフトによって伝達されるトルクを測定する装置に関する。
【0002】
本発明はより具体的には、好ましくはヘリコプタターボ機械に実装されるように意図される、ねじりトルク計を較正する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
シャフトの回転トルクの測定は、通常はパイロットによって考慮される必要不可欠な航行データ項目の1つを提供するので、ヘリコプタエンジンの分野において特に重要である。一旦ヘリコプタのロータが一定速度に到達すると、これによって供給される動力はトルクのみに依存するようになる。
【0004】
仏国特許第2931552号明細書は、シャフトのねじり変形の測定に基づくトルク計を記載しており、この変形は具体的には伝達されたトルクの関数である。
【0005】
本明細書に記載されるねじりトルク計は、
軸の周りの回転トルクを伝達するように意図されたパワーシャフトであって、前記パワーシャフトには第一および第二シリーズの角度基準点を担持する第一ホイールが設けられている、パワーシャフトと、
パワーシャフトの一端に締結された第一末端と、第三および第四シリーズの角度基準点を担持する第二ホイールが設けられた第二末端とを有する基準シャフトであって、第一および第三シリーズの角度基準点は互いに平行であり、その一方で第二および第四シリーズの角度基準点は、第一および第三シリーズの基準点に対して傾斜しながら互いに平行である、基準シャフトと、
第一および第三シリーズの角度基準点にそれぞれ属する2つの角度基準点の間の第一角度オフセットと、第二および第四シリーズの角度基準点にそれぞれ属する2つの角度基準点の間の第二角度オフセットとを測定するための測定装置と、
具体的には測定装置によって測定された第一および第二角度オフセットに基づいて、パワーシャフトによって出力されたトルクの値を決定するための計算ユニットと、を含む。
【0006】
パワーシャフトによって供給されるトルクを計算するために、計算ユニットは、測定装置によって提供されたデータを用いてシャフトの温度を事前に判断しなければならない。一旦温度が判断されると、計算ユニットのメモリに事前に記憶されたデータベースを用いてトルク値が決定されるが、このデータベースは異なる温度での角度変形のいくつかの値に対応するトルク値を含んでいる。
【0007】
したがって、先行技術によるねじりトルク計は、パワーシャフトの温度の、およびパワーシャフトの材料の、挙動モデルの知識を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】仏国特許発明第2931552号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、較正済みトルク計が、パワーシャフトの温度を判断する必要性を伴わずにトルクを計算できるように、上述のタイプのねじりトルク計を較正する方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の方法主題によれば、
ねじりトルク計は第一状態に置かれ、パワーシャフトによって出力されたトルクの値が第一所定トルク範囲内に収まり、その後ねじりトルク計のシャフトが第一温度となり、
第一セットの測定が実行され、それによって第一および第二角度オフセットが決定され、パワーシャフトによって出力されたトルクは基準トルク計を用いて測定され、
ねじりトルク計は第二状態に置かれ、パワーシャフトによって出力されたトルクの値が第二所定トルク範囲内に収まり、第二所定トルク範囲は第一所定トルク範囲とは異なっており、その後ねじりトルク計のシャフトが実質的に第一温度となり、
第二セットの測定が実行され、それによって第一および第二角度オフセットが決定され、パワーシャフトによって出力されたトルクは基準トルク計を用いて決定され、
トルク計は第三状態に置かれ、パワーシャフトによって出力されたトルクの値が第二所定トルク範囲内に収まり、ねじりトルク計のシャフトが第一温度とは異なる第二温度となり、
第三セットの測定が実行され、それによって第一および第二角度オフセットが決定され、パワーシャフトによって送達されるトルクは基準トルク計を用いて測定され、
トルク計は第四状態に置かれ、それによりパワーシャフトによって出力されたトルクの値は第一所定トルク範囲内に収まり、その一方でねじりトルク計のシャフトは実質的に第二温度となり、
第四セットの測定が実行され、それによって第一および第二角度オフセットが決定され、パワーシャフトによって出力されたトルクは基準トルク計を用いて測定され、
計算ユニットは、第一、第二、第三、および第四セットの測定から較正される。
【0011】
第一、第二、第三、および第四セットの測定は較正データの決定を可能にするが、これは後に、ねじりトルク計によって測定されるようなトルク値を計算するために、計算ユニットによって使用される。
【0012】
一旦較正されると、ねじりトルク計の計算ユニットは、第一および第二角度オフセットから、ならびに較正データから、トルクの値を決定する。
【0013】
較正方法は、4セットの測定および2つの温度安定化されたトルク値のみを必要とするので、特に高速で実行しやすい。前記較正は、熟練の操作者によって30分未満で実行されることが可能である。
【0014】
加えて、本発明の較正方法は、好ましくはトルク計がターボ機械に実装されているときに実現される。したがって較正は、ターボ機械を取り外すことなく、テストベンチ上で容易に実行されることが可能である。
【0015】
本発明の方法を実現することによって較正されたトルク計は先行技術によるトルク計よりも優れた精度を有することが、付加的に見いだされた。実際、得られた精度は、較正に使用される基準トルク計の精度をほんのわずかに下回るだけである。
【0016】
一旦較正されると、ねじりトルク計は、パワーシャフトの温度を判定する必要性を伴わずに、正確なトルク値を提供することができる。その結果、パワーシャフトによって伝達されるトルクを計算できるようにするために、温度の関数としてパワーシャフトの材料の挙動モデルの知識を有する必要は、もはやなくなる。
【0017】
好適な一実施形態によれば、第二所定トルク範囲は第一所定トルク範囲よりも高く、その一方で第二温度値は第一温度値よりも高い。
【0018】
したがって、好ましくは、第二セットの測定は、実質的に第一セットの測定と同じ温度で行われる。第三セットの測定は、第二セットの測定と同じ範囲内で行われる。第四セットの測定は、第三セットの測定と同じ温度で、および第一セットの測定と同じトルク範囲内で、行われる。
【0019】
「実質的に」という語によって、好ましくはプラスまたはマイナス5から20%の許容範囲を意味する。
【0020】
好ましくは、第二セットの測定は、熱慣性を通じてシャフトの温度が上昇してさらにトルクの上昇を招く時間を持たないように、第一セットの測定の直後、たとえば第一セットの測定から1分以内に実行される。第一および第二所定トルク値の間のトルクの上昇は、その加熱およびひいてはシャフトの温度の上昇を引き起こすターボ機械の速度を増加させることによって、得られる。
【0021】
同様に、第四セットの測定は、熱慣性を通じてシャフトの温度が低下してさらにトルクの低下を招く時間を持たないように、第三セットの測定の直後、たとえば第三セットの測定から1分以内に実行される。
【0022】
また、第一所定トルク範囲は好ましくは、ただしこれに限らないが、ねじりトルク計を備えるターボ機械が発生させることが可能な最大トルクの0から20%の間の第一平均トルク値の領域に含まれる。
【0023】
第二所定トルク範囲は好ましくは、ただしこれに限らないが、前記最大トルクの80%を超える第二平均トルク値の領域に含まれる。
【0024】
非限定例として、第一トルク範囲の規模は、第一平均値プラスまたはマイナス10%に相当する。同様に、非限定例として、第二トルク範囲の規模は、第二平均値プラスまたはマイナス10%に相当する。
【0025】
較正の精度を改善するためには、第三セットの測定を行う前に、トルク計のシャフトの温度が第二温度値で安定するまで待機する。
【0026】
発明者らは、シャフトの温度が第二温度値で安定するのに、約15分の時間で十分であることを突き止めた。
【0027】
有利なことに、第一、第二、第三、および第四セットの測定は、計算ユニットのメモリ内に記憶される較正データを決定するために使用される。
【0028】
これは好ましくは、必要であればターボ機械の寿命にわたってねじりトルク計の較正が何回か実行され得るように、メモリを書き換える。
【0029】
有利なことに、第一および第二ホイールはフォニックホイールであり、角度基準点は歯である。
【0030】
加えて、測定装置は好ましくは単一の磁気センサによって形成される。
【0031】
本発明はまた較正済みねじりトルク計にも関し、これは、
軸の周りの回転トルクを伝達するように意図されたパワーシャフトであって、前記パワーシャフトは第一および第二シリーズの角度基準点を担持する第一ホイールを備える、パワーシャフトと、
パワーシャフトの一端に取り付けられた第一末端と、第三および第四角度基準点を担持する第二ホイールが設けられた第二末端とを有する基準シャフトであって、第一および第三シリーズの角度基準点は互いに平行であり、その一方で第二および第四シリーズの角度基準点は、第一および第三シリーズの基準点に対して傾斜しながら互いに平行である、基準シャフトと、
第一および第三シリーズの角度基準点にそれぞれ属する2つの基準点の間の第一角度オフセットと第二および第四シリーズの角度基準点にそれぞれ属する2つの角度基準点の間の第二角度オフセットとを測定するための測定装置と、
測定装置によって測定された第一および第二角度オフセットに基づいて、パワーシャフトによって出力されたトルク値を決定するための計算ユニットであって、計算ユニットは本発明の方法を実現することによって得られた較正データを記憶するためのメモリを含み、計算ユニットによって決定されるようなトルク値は、第一および第二角度オフセットの、および前記較正データの関数である、計算ユニットと、を含む。
【0032】
最後に、本発明は、本発明にしたがって較正されたねじりトルク計を含むターボ機械に関する。
【0033】
本発明は、以下の添付図面を参照して、非限定例として示される本発明の一実施形態の下記の説明を読むと、より良く理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明にしたがって較正されたねじりトルク計の軸方向半断面図である。
図2図1のトルク計の第一および第二フォニックホイールの歯の相対位置を示し、図1のトルク計のセンサによって測定された第一および第二角度オフセットを説明する図である。
図3】本発明の較正方法を実現するための設定を示す図である。
図4】本発明による較正方法のステップを示す図である。
図5】本発明の方法を実現することによって較正されたねじりトルク計を備えるターボ機械を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本発明の方法を実現することによって較正されるように意図された、ねじりトルク計10の好適な一実施形態を示す。
【0036】
ねじりトルク計10は、その軸Aの周りの回転トルクを伝達するように意図された、中空のパワーシャフト12を含む。測定の対象とされるのは、このトルクである。
【0037】
図1の例において、パワーシャフト12は、その第一末端12aのピニオン14と、第一末端の反対側のその第二末端12bに配置された駆動部材16とを含む。明らかに、パワーシャフトの末端がこれとは異なるように備えられることも可能である。
【0038】
また、その第一末端12bの付近で、パワーシャフト12は、同軸であって複数の角度基準点、この場合は歯を含む、第一ホイール、ここではフォニックホイール18を、担持する。
【0039】
ねじりトルク計10は、パワーシャフト12の第一末端12aの付近で第一末端20aを介してこれが取り付けられる、パワーシャフト12の軸方向内側に延在する基準シャフト20をさらに含み、その一方でその第二末端20bは解放されている。第一末端20aの反対側の基準シャフト20の第二末端20bは、第一フォニックホイール18と同心の、ここではフォニックタイプ22の第二ホイール22を担持する。第二フォニックホイール22は、パワーシャフト20内に作成された開口部を通じて半径方向に延在する、複数の角度基準点、この場合は歯を、担持する。代替構成は、仏国特許第2931552号明細書に記載されている。
【0040】
第一および第二フォニックホイール18、22に対向して、その正面を歯が通過するたびに電気信号を発生することが可能な単一の磁気センサ26が配置され、前記信号はその後、パワーシャフト12によって伝達されるトルクの値を決定するように意図された計算ユニット28に送られる。
【0041】
第一フォニックホイール18は、第一および第二シリーズの角度基準点、すなわち互いに同一の第一シリーズの歯D1および互いに同一の第二シリーズの歯D2を含み、その一方で第二フォニックホイール22は、互いに同一の第三シリーズの歯D3および互いに同一の第四シリーズの歯D4を含む。
【0042】
第一および第二フォニックホイールは、第一フォニックホイール18の歯D1、D2が第二フォニックホイール22の歯D3、D4と角度的に交互になるように、配置されている。
【0043】
図2に見られるように、第一および第三シリーズの歯D1、D3は互いに平行であり、その一方で第二および第四シリーズの歯D2、D4は、第一および第三シリーズの歯に対して傾斜しながら、互いに平行である。
【0044】
この図2において、歯の分布は、パワーシャフトの正放線方向ORで描かれている。したがって、白い歯D1およびD2は第一フォニックホイールに属し、その一方で黒い歯は第二フォニックホイールに属することが、理解されるだろう。
【0045】
歯D1およびD3はパワーシャフトの軸方向に対して角度γ1に位置しており、その一方で歯D2およびD4はγ1とは異なる角度γ2に位置している。
【0046】
磁気センサ26は、それぞれ第一シリーズの歯および第二シリーズの歯に属する2つの歯D1、D3の間の第一角度オフセットαの決定を可能にする、測定装置である。磁気センサ26はまた、それぞれ第二シリーズの歯および第四シリーズの歯に属する2つの歯D2、D4の間の第二角度オフセットβの測定も、可能にする。
【0047】
ねじりトルク計10の計算ユニット28は、磁気センサ26によって測定された第一および第二角度オフセットαおよびβから、ならびに計算ユニット28のメモリ29に記憶された較正データから、トルク値TQを計算するようにプログラムされている。
【0048】
トルク値TQは、たとえば、ただしこれに限らないが、以下の数式を用いて得られる。
【0049】
【数1】
ここで、
αおよびβはセンサによって測定された第一および第二角度オフセットを表し、
、αoff、βoff、TQ0α、およびTQ0βは較正データである。
【0050】
この数式は、計算ユニットのプロセッサに記憶されている。
【0051】
較正データR、αoff、βoff、TQ0α、およびTQ0βは、図3および図4を参照して以下に記載される本発明の較正方法の完了時に得られる。
【0052】
したがって、一旦較正データR、αoff、βoff、TQ0α、およびTQ0βがわかればねじりトルク計は完全に特性化されることは、理解される。したがって較正の目的は、値R、αoff、βoff、TQ0α、およびTQ0βを計算することである。
【0053】
図3は、本発明の較正方法を実現するための設定を示す。この場合、これは較正ベンチ50である。
【0054】
較正されるときにねじりトルク計10はターボ機械52に実装されており、このエンジンは較正ベンチ50上に配置されている。
【0055】
パワーシャフト12の末端は、ターボ機械52の外部にある基準トルク計54に取り付けられている。
【0056】
したがって基準トルク計54は、設定トルクTQがターボ機械から要求されるときに、パワーシャフト12によって出力される基準測定値TQを提供する。トルク計が較正されていない場合には、値TQは設定値TQに正確に対応しないことが、理解されるだろう。
【0057】
ここで図4を参照して、本発明の方法の実現に関する詳細な説明が示される。
【0058】
まず、ねじりトルク計は、パワーシャフト12によって出力されたトルクの値が実質的に第一平均トルク値C1を中心とする第一所定トルク範囲P1の範囲内に収まる第一状態E1に置かれる。この第一状態E1において、ねじりトルク計のパワーおよび基準シャフトは、第一温度T1である。この非限定例において、第一平均トルク値C1は、ターボ機械が発生することが可能な最大トルクの10%に等しく、その一方で第一温度は約80℃である。この例における第一範囲の限界は、第一平均トルク値のプラスまたはマイナス約10%である。
【0059】
トルク計が第一状態E1にあるとき、第一および第二角度オフセットαm1およびβm1が磁気センサ26によって決定される第一セットの測定が実行され、パワーシャフトによって出力されたトルクTQm1は基準トルク計54を用いて測定される。
【0060】
ターボ機械の速度率は、パワーシャフト12によって出力されたトルクの値が実質的に第一平均トルク値C1よりも高い第二平均トルク値C2を中心とする第二所定トルク範囲P2内に収まる第二状態E2にトルク計を置くように(矢印F1)、設定値TQを増加させることによって増加させられる。その後第二セットの測定が迅速に行われ、それによって第一および第二角度オフセットαm2およびβm2が磁気センサ26を用いて決定され、パワーシャフトによって出力されたトルクTQm2が基準トルク計54を用いて測定される。第二状態においてねじりトルク計のシャフトの温度が実質的に第一温度T1と等しいままとなるように、第二セットの測定が迅速に実行される。
【0061】
この例において、第二平均値C2は実質的に、ターボ機械が発生することが可能な最大トルクの80%に等しい。
【0062】
この例における第二範囲の限界は、第二平均トルク値の約プラスまたはマイナス10%に収まる。
【0063】
第二セットの測定を完了した後、ねじりトルク計が第三状態E3となるようにエンジンが加熱されるまで待機し(矢印F2)、ここでねじりトルク計のシャフトが温度T1よりも高い第二温度T2となり、その一方でパワーシャフト12によって出力されたトルクの値は第二トルク範囲内に収まったままである。言い換えると、トルク値は実質的に第二平均トルク値C2に等しいままである。
【0064】
ねじりトルク計10のシャフトが第二温度T2で安定するのを数分間待った後、第三セットの測定が実行され、それによって第一および第二角度オフセットαm3およびβm3が磁気センサによって決定され、パワーシャフトによって出力されたトルクTQm3が基準トルク計54を用いて測定される。
【0065】
するとターボ機械の速度はトルク計を第四状態E4にするように減少するが(矢印F3)、ここでパワーシャフト12によって出力されたトルクの値は第一トルク範囲P1内に収まる。トルクの値は実質的に第一平均トルク値C1に等しく、その一方でトルク計のシャフトはまだ実質的に第二温度T2である。
【0066】
トルク計が第四状態に置かれると、第四セットの測定が実行され、それによって第一および第二角度オフセットαm4およびβm4が磁気センサによって決定され、パワーシャフトによって出力されたトルクTQm4が基準トルク計54を用いて測定される。第四セットの測定は、シャフトの温度が実質的に第二温度T2に等しいままとなるように、第一所定トルク範囲P1に到達した直後に実行される。
【0067】
明らかに、本明細書に示されるサイクルは限定的ではなく、4セットの測定が実行されて較正データが計算されれば、逆の順序または異なる順序で行われることも可能である。
【0068】
ねじりトルク計、より具体的には計算ユニットはその後、第一、第二、第三、および第四セットの測定を用いて較正される。
【0069】
言い換えると、上述の較正データは、第一、第二、第三、および第四セットの測定に基づいて決定される。
【0070】
たとえば、
【0071】
【数2】
その後角度オフセットが計算される。
【0072】
【数3】
ここで
【0073】
【数4】
【0074】
較正データはその後、上記の数式(1)を用いてトルク値TQを計算するために計算ユニットによって使用され得るように、計算ユニット28のメモリ29に記憶される。
【0075】
図5には、本発明の方法を用いて較正されたねじりトルク計10を備えるターボ機械100が示されている。
図1
図2
図3
図4
図5