(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061894
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】機械設備の防食方法
(51)【国際特許分類】
C09D 163/10 20060101AFI20170106BHJP
C09D 5/08 20060101ALI20170106BHJP
C09D 7/12 20060101ALI20170106BHJP
B05D 7/14 20060101ALI20170106BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20170106BHJP
F28F 21/08 20060101ALI20170106BHJP
F28F 19/04 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
C09D163/10
C09D5/08
C09D7/12
B05D7/14 Z
B05D7/24 302N
B05D7/24 303E
F28F21/08 Z
F28F19/04 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-111783(P2014-111783)
(22)【出願日】2014年5月29日
(65)【公開番号】特開2015-224330(P2015-224330A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2015年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】593196997
【氏名又は名称】日本電化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】為我井 幸三
(72)【発明者】
【氏名】金谷 貞夫
【審査官】
▲吉▼澤 英一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−338849(JP,A)
【文献】
特開平02−300267(JP,A)
【文献】
特開2000−063448(JP,A)
【文献】
特開平07−145349(JP,A)
【文献】
特開2005−054073(JP,A)
【文献】
特開2009−144936(JP,A)
【文献】
特開昭62−172196(JP,A)
【文献】
特開2007−084812(JP,A)
【文献】
特開昭57−073056(JP,A)
【文献】
特開昭57−078466(JP,A)
【文献】
特開平04−088065(JP,A)
【文献】
特開昭62−172197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 163/10
C09D 1/00−201/00
B05D 7/00−7/24
F28F 21/00−21/08
F28F 19/00−19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械設備の外側の空気に触れる機械設備を構成する熱交換器のアルミフィンに対して、
ビニルエステル樹脂を含む主剤と有機過酸化物硬化剤とガラスフレークを含有し、23℃における粘度が15±5dP・sである防食塗料組成物を、
スプレーガンを用いて前記熱交換器の側面側より直線状に噴霧し10〜25μmの塗膜厚で塗布する、機械設備の防食方法。
【請求項2】
前記防食塗料組成物を塗布する前に、下地接着塗料によりプライマー処理を行う、請求項1記載の防食方法。
【請求項3】
前記ビニルエステル樹脂の濃度が、前記主剤に対して50〜70質量%である、請求項1又は2に記載の防食方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホテルや旅館、温泉、住宅、店舗等に設備される、空調機器、熱交換器、冷凍機、温水器、排気ダクト、配管等の機械設備に対する防食方法及びその方法により得られる機械設備に関する。
【背景技術】
【0002】
建物に配置される空調機器等機械設備(以下、「機械設備」という。)には、室外機等室外に配置されるものがあり、潮風や降雨等外的要因による腐食に対して耐性が求められ、防食塗料の塗布などの防食処理が施されている。
従来、機械設備に対する防食処理は、社団法人日本冷凍空調工業会が制定する基準に準拠して行われている。この基準は、海塩粒子等による錆の発生の予防を目的とするものであり、主に、屋外に設置される機械設備の外郭を構成する部品について規定したものであって、一般的には該機械設備の外郭を構成する部品については、その表面にウレタン塗料などを塗布することにより防食処理が施されていた。
【0003】
一方、機械設備の内部を構成する部品(例えば熱交換器や配管)については、特許文献1に示すような、エポキシ樹脂をベースとしたカチオン電着塗装により防食処理を施すのが一般的であり、その他の部品については、防食についての耐塩害試験基準はなく、ステンレスで作成するなどの対応策が採られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2879186号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、日本冷凍空調工業会が制定する基準は、その耐久性を確認するための試験期間が短く、海岸沿いや離島、もしくは硫黄がある温泉地や化学薬品工場などの腐食が激しい環境下に置かれる機械設備の外郭に対して、基準に準拠した防食処理を施しても、十分な防食効果が得られないという問題があった。
【0006】
また、例えば機械設備の内部を構成する部品である熱交換器に対して特許文献1に示すエポキシ樹脂系カチオン電着塗料による防食処理を施した場合、防食性をより高めるためには全体の塗膜を厚くしなければならず、熱交換率が著しく低下するという問題が生じた。また、処理を行うためには被処理物をカチオン槽に入れる必要があり、100m
2を超える表面積の熱交換器には採用できず、さらに、紫外線による変色や表面の白亜化(チョーキング)などを生じやすいため、特に海水飛沫や潮風、硫黄、酢などの腐食物質に過度に直接さらされる場合には、エポキシ樹脂系カチオン電着塗装が有する防食性を維持しづらくなるという問題があった。
【0007】
一方、耐酸性に優れ防食性の高い塗料として、海中の橋梁等の建築物に用いられているビニルエステル樹脂系の塗料が知られているが、塗膜が1〜2mmと厚くなるため、空調機器の熱交換器を構成するアルミフィンのように部品間の間隔が狭い(1〜7mm、多用されるタイプでは1〜2.5mm)部分の塗装には使用できなかった。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、空調機器等の機械設備に対して長期間に亘って防食性が維持できる防食方法、及び、防食性に優れた機械設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第一の機械設備の防食方法及び防食機械設備は、機械設備の空気に触れる箇所に対して、ビニルエステル樹脂を含む主剤と有機過酸化物硬化剤とを含有する防食塗料組成物を5〜500μmの塗膜厚で塗布することを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の第二の機械設備の防食方法及び防食機械設備は、機械設備の空気に触れる箇所に対して、下地接着塗料によりプライマー処理を行うとともに、ビニルエステル樹脂を含む主剤と有機過酸化物硬化剤とを含有する防食塗料組成物を5〜500μmの塗膜厚で塗布することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、空調機器等の機械設備に対して長期間に亘って良好な防食性を維持することができ、機械設備の寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】熱交換器のアルミフィンの模式図であり、(a)は、熱交換器のアルミフィンの正面図、(b)は、熱交換器のアルミフィンの平面図、(c)は、熱交換器のアルミフィンの側面図である。
【
図2】熱交換器のアルミフィンの正面側より、直線状に噴霧することができるスプレーガンを用いて塗料を塗布している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、機械設備、例えば、空調機器の室外機等、直接空気に触れる箇所に対して、一般には空調機器等の防食処理には使用しないビニルエステル樹脂系塗料を塗布することによる防食処理が有効であることを見いだし、ビニルエステル樹脂系塗料の粘度を調節してスプレーガンによる塗布を可能として、熱交換器に対して最適な塗膜厚による防食処理を可能としたものである。
【0014】
本発明における機械設備の「空気に触れる箇所」とは、空調機器等の機械設備の外郭等直接外気にさらされる部位だけを指すのではなく、例えば、熱交換器や各種鋼管等の機械設備の内部を構成する部位も含まれる。
【0015】
(ビニルエステル樹脂系塗料の構成)
本発明の防食処理に用いられるビニルエステル樹脂系塗料は、ビニルエステル樹脂を主成分として各種添加物を添加してなる主剤と有機過酸化物硬化剤とを含有する防食塗料組成物に対し、希釈剤を混合することにより得ることができる。
【0016】
ビニルエステル樹脂系塗料の主成分となるビニルエステル樹脂は、各種エポキシ樹脂とメタクリル酸又はアクリル酸との反応生成樹脂からなり、エポキシ樹脂の原料となるエポキシ化合物として、ビスフェノール型グリシジルエーテル又はノボラック型グリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0017】
主剤におけるビニルエステル樹脂の濃度は、添加する添加物の成分や塗装目的により適宜設定すればよいが、空調機器等の防食処理に用いる塗料としては、50−70質量%、特に、55−65質量%程度が好ましい。濃度が50質量%未満の場合には、塗料の放置安定性の低下により分離する可能性があり、また、濃度が70質量%を超える場合、主剤の増粘が著しく、製造や塗装が困難となる可能性が生じるためである。
【0018】
ビニルエステル樹脂系塗料に添加する添加物としては、例えば、ガラスフレーク等のフレーク状物質、着色・体質顔料、その他各種添加剤が挙げられる。
ガラスフレーク等のフレーク状物質を添加することにより、塗膜中にフレークが略平行に分散配列して層状構造を形成し、塗膜を通過する腐食性物質(水、酸素、有害イオン等)が下地金属に達する時間を長くすることができるため、塗装膜の耐酸性や防食性を高めることができる。また、着色・体質顔料を添加することにより、塗料に着色をしたり、ビニルエステル樹脂の使用量を節約することができる。
【0019】
さらに、各種添加剤として、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、着色剤等を添加することにより、耐光性、耐酸性、耐水性等をさらに高めることができる。
【0020】
ビニルエステル樹脂系塗料に用いられる有機過酸化物硬化剤は、過酸化水素の1個ないし2個の水素原子を他の置換基で置換して得られる、分子中にペルオキシド構造を有する有機過酸化物であれば特に制限はなく、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0021】
また、硬化促進の目的のために、有機過酸化物硬化剤に対して、第三級アミンを配合してもよい。第三級アミンは特に制限はなく、例えば、アルキル基の炭素数が1〜4であるトリアルキルアミン、N,N−ジアルキルトルイジン、N−ジアルキルアニリンなどが挙げられる。
【0022】
ビニルエステル樹脂系塗料に用いられる希釈剤は、ビニルエステル樹脂系塗料を溶解する有機溶剤であれば特に制限はないが、例えば、スチレンなどが挙げられる。塗料に希釈剤を配合することにより、塗料の粘度を低下させ、塗料吹付器具による吹き付け塗装を可能としている。
【0023】
前記ビニルエステル樹脂系塗料に対するスチレン等有機溶媒の濃度は、ビニルエステル樹脂系塗料がスプレーガンにより塗布できる粘度範囲(15±5dPa・s:23℃、リオン社製粘度測定器により測定)内となれば特に制限されるものではない。本発明においては、主剤と有機過酸化物硬化剤とを含有する防食塗料組成物の成分から、5質量%以下程度が好ましい。
【0024】
(ビニルエステル樹脂系塗料の塗布の方法)
上記ビニルエステル樹脂系塗料は、塗料吹付器具を用いて吹き付けることにより、機械設備の外郭、及び、その内部を構成する部位に対して塗布される。塗料吹付器具としては、一般に塗装に使用されているスプレーガンを使用すればよいが、例えば
図1に示すように、熱交換器A等を塗装する場合には、アルミフィン1のフィン間に十分に塗料が行き渡るように、塗装塗料を直線状に噴霧することができるスプレーガンを使用することが好ましい。
【0025】
スプレーガンにより塗布されるビニルエステル樹脂系塗料の粘度は、約15dPa・s(23℃:リオン社製粘度測定器により測定)に調節されており、スプレーガンによって吹付塗装されることで、機械設備の外郭及びその内部を構成する部位の表面に対して5〜500μmの塗膜厚で塗装することができる。塗膜厚は吹付圧力や吹付回数により調製することができ、塗装対象物や用途により適宜選択することができる。部品間の間隔が密でない部分や吹付方向に対して略垂直に配置された部品に対しては、好ましくは100〜250μmの塗膜厚で塗装することができる。また、熱交換器のアルミフィンのような部品間の間隔が狭い部分に対しては、好ましくは10〜50μmの塗膜厚で塗装することができる。これにより、熱交換器のアルミフィン1のようにフィンの間隔が非常に狭い部分に対して、熱交換効率を下げることなく、十分な防食処理を施すことができる。
以上のように、
【0026】
(下地接着処理)
本発明の防食処理においては、スプレーガンによる吹付塗装による防食処理を行う対象の表面の状況によっては、ビニルエステル樹脂系塗料の塗布に先立って下地接着塗料によりプライマー処理を行うことが好ましい。具体的には、防食処理を行う対象の表面に塗装がされていないなど、金属素地が露出している場合には、ビニルエステル樹脂系塗料の塗布に先立って下地接着塗料を塗布する。
【0027】
プライマー処理に使用する下地接着塗料は、例えば、熱可塑性アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂を主成分とし、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、ミネラルスプリット等の溶剤を単独、もしくは2種以上を併用して配合して形成される。
【0028】
下地接着塗料の主成分となる熱可塑性アクリル樹脂としては、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの重合体、例えば、ポリメタクリル酸メチル又はポリアクリル酸エチルなどが挙げられる。
【0029】
下地接着塗料の主成分となるフッ素樹脂としては、フッ素を含むオレフィン重合体、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレンなどが挙げられる。
【0030】
下地接着塗料の主成分となるポリオレフィン樹脂としては、1位に二重結合を持つα―オレフィンの重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0031】
下地接着塗料に用いられる溶剤の濃度は、スプレーガンにより塗布できる粘度であれば特に制限されるものではなく、他に配合される成分等により適宜設定される。本発明においては、例えば下地接着塗料に対して60−95質量%、特に、70−90質量%が塗料の密着性の点から好ましい。
【0032】
そして前記下地接着塗料は、ビニルエステル樹脂系塗料の塗布に用いられるスプレーガン等の塗料吹付器具により、防食処理を行う部位に対して吹き付けられ、プライマー処理が行われる。
【実施例】
【0033】
以下に本発明の防食方法の実施例を、図面を参考に具体的に説明する。
【0034】
図1に示す熱交換器は、アルミフィン1及び配管2とからなり、アルミフィン1はアルミ板に対して所定数の穴あけ加工を施して形成されるとともに、アルミフィン1の穴には銅管もしくはアルミ管からなる配管2が圧入されて、アルミフィン1が所定間隔(2.1mm)に配置された状態で一体化されて熱交換器が形成されている。アルミフィン1及び配管2の表面には塗装がされておらず、素材のアルミニウムが露出している。そのため、ビニルエステル樹脂系塗料の塗布による防食処理に先立って下地接着塗料を用いてプライマー処理を行った。
【0035】
(塗料)
防食処理に使用したビニルエステル樹脂系塗料の配合を以下に示す。
ビニルエステル樹脂系塗料
[主剤]
ビニルエステル樹脂ワニス 56.6質量%
ガラスフレーク 18.9質量%
着色・体質顔料 9.5質量%
その他の添加剤 9.5質量%
[硬化剤]
有機過酸化物硬化剤 0.9質量%
[希釈溶剤]
スチレン 4.6質量%
上記配合のビニルエステル樹脂系塗料は、粘度は15dPa・s(23℃:リオン社製粘度測定器により測定)であった。
なお、上記実施例は、夏季に処理されることを前提として配合されているが、例えば冬季など塗料の乾燥に比較的時間がかかる場合などには硬化剤の量を増やすなど、季節や施工する地方の気候に応じて、適宜変更することできる。
【0036】
プライマー処理に使用した下地接着塗料の配合を以下に示す。
下地接着塗料
[主成分] 84.0質量%
(熱可塑性アクリル、シリコン、ポリフッ化ビニリデンを含む)
[溶剤] 16.0質量%
(キシレン、酢酸ブチル、酢酸エチル、ミネラルスプリット、トルエンを含む)
【0037】
(処理工程)
防食処理は、以下の行程よりなる。
行程1.
図1に示す熱交換器Aの表面を洗浄し、グリース等油成分、塩分及び汚れを落とし、よく乾燥させる。
【0038】
行程2.よく乾燥させた熱交換器Aに対して、
図2に示すように、直線状に噴霧することができるスプレーガンBを用いて、上記配合の下地接着塗料を熱交換器Aの側面側より直線状に噴霧して塗布した。スプレーガンBのエアー圧は低圧(0.4〜0.7MPa)とし、塗布は2回行った。
直線状に噴霧することができるスプレーガンBは、塗料を噴霧する塗料噴霧口4とその側方に配置されて高圧エアーを噴出する高圧エアーノズル5とから構成され、塗料噴霧口4からの噴霧塗料aが高圧エアーノズル5からの高圧エアーカーテンbにより直線状に噴霧され、熱交換器Aのアルミフィン1の間の奥まで塗料を塗布することができた。
【0039】
行程3.下地接着塗料の乾燥後、上記配合のビニルエステル樹脂系塗料を、直線状に噴霧することができるスプレーガンBを用いて、熱交換器Aの側面側より直線状に噴霧して塗布した。
【0040】
(防食処理の結果)
上記処理工程により防食処理が施された空調機器の熱交換器Aは、そのアルミフィン1に対してビニルエステル樹脂による塗膜が形成された。塗膜には、しわ、われ、はがれ等はなく、塗膜の厚さは10〜25μmであった。
【0041】
熱交換器Aのアルミフィン1に形成された防食用塗膜は、200時間の塩水噴霧試験に耐えると共に、50℃の水道水に7日間浸しても、また、50℃の食塩水に7日間浸してもその表面に異常は生じなかった。
【0042】
なお、本実施例においては、非防食処理面に塗装等の処理が行われず金属が露出しているためにプライマー処理を施しているが、非防食処理面に塗装等の保護処理が行われている場合には、プライマー処理を省略することができる。
また、プライマー処理における下地接着塗料の塗布の回数は塩害の状況に応じて適宜選択できる。さらに、湿度の高いときなど、スプレーガンから糸を引く場合には、下地接着塗料をさらに希釈して下地接着塗料の粘度を調整することが好ましい。
【0043】
以上のように、本発明の実施例によれば、環境の厳しい海岸沿い等に配置される機械設備に対して、ビニルエステル樹脂系の塗料をスプレーガンにより塗布することによって防食処理を施すことができるので、塗膜の厚さを簡単に調整することができ、機械設備の外郭を構成する部分に対しては、腐食が激しい環境下に置かれても十分な防食効果が得られる塗膜を形成することができるとともに、熱交換器のアルミフィンのような機械設備の内部を構成する部品に対しても、熱交換効率を下げることなく必要十分な防食処理を施すことができ、機械設備全体としての耐腐食年数を改善してその寿命を延ばすことができる。
【符号の説明】
【0044】
1 アルミフィン
2 配管
4 塗料噴霧口
5 高圧エアーノズル
A 熱交換器
B スプレーガン
a 噴霧塗料
b 高圧エアーカーテン