【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のいくつかの態様と実施例は、少なくとも上記の技術的問題の一部を扱う。
2台の制御装置のクロスチェック
本開示の実施形態が扱うもう1つの技術的課題は、2つ以上の駆動モータと制御装置を有する電気車両での安全性の制御と監視である。
【0013】
電気モータの使用により、車両の設計者は、車両の駆動装置を単純化することができ、例えば、車両の各被駆動輪を、その車輪だけのための専用の電気モータによって、直接、駆動することができる。単純化された構造に加えて、このような車両の車輪の独立した制御により、ある種の他の長所が提供されうることが認識される。特に、車両の操作性は、このような被駆動輪の独立した制御を持たない車両よりは十分により大きいと考えられる。
【0014】
車両の各モータ用に独立した電力供給インバータを設けることが、一般に好ましく、この場合、車両における異なる車輪の独立した制御により、多くの長所が得られると同時に、ある種の課題も引き起こされることを発明者らは認識している。例えば、車両が動いているときに、いくつかの(すべてではないが)車輪に関連する電力供給インバータが故障した場合、その車両は急に向きが変わるか、あるいはスピンさえする可能性がある。本開示の態様と例は、少なくとも、この問題の一部を扱うことを意図している。
振動減衰システムを伴うモータ制御装置
すべての産業形態に関連して、炭素放出を減らす必要があることは、よく知られている。この必要に応じるために、電気車両とハイブリッド車両(駆動のために内燃機関エンジンと電気モータの両方を有している)が提案されている。
【0015】
車両は、エンジンと車両が走行する路面との間に、駆動装置すなわち「パワートレイン」を有する。これは、変速機、駆動軸、差動ギア、および駆動輪あるいはキャタピラを含む。この駆動装置は、必然的に多くの構成要素を含み、各構成要素は、バックラッシュとして知られている、ある程度の遊びを有することができる。結果として、駆動装置の構成要素が噛み合うとき、エンジンによって供給されるトルクの段階的変化により、非常に急激な加速が生じ、これに続いて非常に急激な段階的減速が生じる可能性がある。また、エンジンによるトルクが加わるとき、車両駆動装置システムは駆動装置の構成要素が変形して弾性エネルギーを保存する、ある程度の「ワインドアップ(ネジ巻き)」を示す。この「ワインドアップ」は、駆動シャフトの、ねじり剛性/弾性と、タイヤ、サスペンション、他の構成要素の復元力とに関連する。
【0016】
電気モータは、低い質量と低い慣性モーメントを有する。一般的な内燃機関エンジンは重量が非常に大きく、フライホイールを使用した駆動装置に一般に結合され、そのフライホイール自体は慣性モーメントが大きい。電気走行モータによって駆動される車両では、一般に車両の重量を減らす必要があるので、大きいフライホイールの使用は非実用的である。この場合、バックラッシュ(遊び)および/または「ワインドアップ」を示す「柔軟な」変速機を有する電気車両で起こる問題を、発明者らは認識している。このようなシステムでは、モータによって供給されるトルクの急激な変化があるとき(例えば、車両が停止状態から加速する、あるいはモータから生成されるトルク要求が正から負に変化するとき、例えば、方向を逆にするとき)、変速機でのバックラッシュは、最初にモータがスムーズに加速できることを意味する。その後、駆動装置の構成要素が噛み合うと、車両の慣性はモータに対する負荷の段階的変化を与える駆動装置によってモータに突然結合される。駆動装置での「ワインドアップ」(あるいは復元力)は、関連する衝撃の一部が、駆動装置の構成要素のねじれと変形によって、一時的に吸収されることを意味する。電気車両では、モータの慣性モーメントは車両/駆動装置と比較して低いので、保存されたエネルギーの一部が、モータに戻される。その結果、モータからのトルク出力が、更に段階的に変化し、そのサイクルが繰り返される。システムにおける減衰の不足と慣性比率に対する高いトルクは、このフィードバックループが状況によってモータ速度の揺れを引き起こすことを意味する。換言すれば、トルクの段階的変化と車両駆動装置の復元性の組み合わせによって、揺れ特性が引き起こされることがある。電気車両では、モータの慣性モーメントは低いので、内燃機関エンジンとフライホイールによって与えられる程度の減衰を与えることは不可能である。結果として、電気車両は、減衰が不足した振動子として作用することがあり、車両の応答が加速に応じた激しい揺れ、あるいはがたつきとなることを運転手は経験し、モータ騒音の増大を起こす可能性がある。本発明のいくつかの態様と実施例は、少なくとも上記の技術的問題の一部に対処することを意図している。
AC電気モータとモータ制御装置の態様
一態様では、複数の電子構成要素または電気構成要素を有する電気モータ制御装置を提供し、これら構成要素は制御装置の対称軸に対して対称に配置されている。この構成は1つの制御装置回路基板を製造し、単純に回転させて共用の入力/出力結合部とともに制御装置が後部同士を対向するように一緒に重ねることができるという長所を有する。この場合、多数の熱源を近接させて配置するという認知されている問題に対して複数の電気モータ制御装置を一緒に組み立てることが有利あることと、この対称構造なしでは「右手系」と「左手系」の異なった制御装置を設けることが必要、または制御装置を一緒に組み立てる際に入力/出力結合部を改造することが必要であることを発明者らは理解している。
【0017】
電気モータ制御装置は少なくとも1つの電源入力結合部ともう1つの制御装置の動作パラメータを監視するようになっている監視結合部とを含んでもよく、監視結合部と電源入力結合部は制御装置の対称軸に対して互いに対称の位置に配置される。この構成はコンパクトで短い物理的接続を使用して1つの制御装置の動作の監視(電源から引き出される電流等)を隣接する制御装置基板によって行うことができるという長所を有する。
【0018】
場合によって、電気モータ制御装置は第1、第2、第3のモータ制御出力信号それぞれを供給するための第1、第2、第3の出力結合部を含み、第3の出力結合部に第1のモータ制御出力信号を供給させ、第1と第3のモータ制御出力信号を置き換えた第3のモータ制御出力信号を第1の出力結合部に供給させる機能を有する制御手段を含む。この構成は2つの同一の制御装置を後部同士が対向するように組み立てて制御装置に対して物理的に同じ方向に3相出力を供給することができるという長所を有する。
【0019】
場合によって、複数の構成要素および/または入力結合部と出力結合部の少なくとも一方は制御装置の第1の面に配置され、制御装置は制御装置の第1の面と反対側の第2の面に配置した少なくとも1つの電力トランジスタを含む。この構成は制御装置のトランジスタがヒートシンクに熱的に結合されうるため、1対の電気モータ制御装置を制御装置の間に配置されている1つのヒートシンクに対して組み立てることができるという長所を有する。また、第1および第2の電気モータを提供することができ、第1の電気モータは一方の電気モータ制御装置の第1の面に隣接して配置され、第2の電気モータは他方の電気モータ制御装置の第1の面に隣接して配置されてヒートシンクと電気モータを1つの冷却多岐管に熱的に結合することができる。これにより、多岐管を通る冷却流体の流入用と流出用の1対の流体結合部を1つの冷却システムに設けることができるため、モータと制御装置の構成が更に単純化される。
【0020】
一態様では、少なくとも1つの出力結合部を含み、出力結合部は制御装置の軸に対して対称に配置されている電気モータ制御装置を提供する。この対称構造により、組立体の重量、体積と複雑さを減らして制御装置を他方の制御装置、電気モータ、冷却装置と一緒に組み立てることができる。
【0021】
一実施例では、複数の出力結合部を含み、出力結合部は制御装置の前面にある対称軸に対して対称となるよう、その面に配置されている電気モータ制御装置を提供する。いくつかの実施例では、結合部の少なくとも1つをこの軸に配置しない。別の実施例では、3つの出力結合部を含むモータ制御装置を提供する。出力結合部は制御装置の前面にある軸に対して対称となるようにその面に配置してよく、制御装置のその面は制御装置構成要素が配置されている回路基板の前面とするだけでもよい。好ましくは、結合部の少なくとも1つをこの軸に配置しない。第1および第2の制御装置の両方がこの出力端子の構成を有する実施例では、制御装置を後部同士が対向するように揃えたとき、第1の制御装置の出力端子は第2の制御装置の出力端子に対して鏡像になる。
【0022】
一実施形態では、本明細書で説明されるような複数の制御装置は1つまたはいくつかのモータに結合させずに一緒にハウジング内に重ねてよい。この構成により、1つまたはいくつかのモータを個別に配置することができる状態で制御装置のコンパクトで効率的な実装が可能となる。
【0023】
また、モータ−制御装置組立体を含むモジュール式モータ−制御装置組立体が本明細書で説明され、各モータ−制御装置組立体は電気モータ制御装置、電気モータ制御装置と結合されている電気モータ、モータと制御装置を冷却するようになっている冷却装置を含む。冷却装置はヒートシンクを含む。各制御装置は1つの出力結合部を含み、出力結合部は制御装置の軸に対して対称に配置される場合がある。各制御装置は複数の出力結合部を含む場合もある。出力結合部は制御装置の面にある対称軸に対して対称となるよう、その面に配置されてもよい。いくつかの実施例では、結合部の少なくとも1つをこの軸に配置しない。各制御装置は3つの出力結合部を含み、出力結合部は制御装置の面にある軸に対して対称となるよう、その面に配置され、結合部の少なくとも1つをその軸に配置しない場合もある。制御装置のこの面は外側の面であってよく、または、いくつかの実施例では、この面は制御装置の電子部品を搭載する回路基板の表面であってもよい。制御装置の対称軸に対して対称の位置に配置されている出力結合部を制御装置は有する場合がある。ヒートシンクは制御装置および/またはモータの間に設けてよい。冷却多岐管を設けて制御装置/モータのヒートシンクを冷却してよい。ヒートシンクは冷却多岐管と一体化される場合がある。
【0024】
この構成を使用して、2つのモータ制御装置組立体に1組の冷却装置を設けるだけでよく、その重量、体積、複雑さを減らす効果がある。更なる長所は同一の出力結合部を対称に有している制御装置を設けることにより同じ設計仕様のモータの使用が可能になるということである。更なる長所は、モジュール式組立体を筺体の中に設け、組立体の取り扱いを便利にし、車両あるいは車両エンジン室の中での組立体の組み立てをより容易にすることができるということである。筺体は両方の制御装置および/または両方のモータに使用できるようになっている電気的接続と流体冷却剤結合部を提供し、それによって更に装置の重量、大きさ、複雑さ減らしている。
【0025】
一実施例では、組立体は差動ギア駆動が設けられるようになっている。差動ギア駆動を使用して車両の前輪と後輪を駆動してよい場合がある。差動ギア駆動を使用して車両の左輪と右輪を駆動してよい場合がある。別の実施例では、組立体の制御装置はモータの駆動を調整するために結合してよい。
【0026】
一態様では、複数の出力結合部と少なくとも1つの入力結合部を含む電気モータのための電気モータ制御装置を提供し、複数の出力結合部は制御装置の面の対称軸に対して対称に配置される。場合によって、制御装置は複数の出力結合部を含み、出力結合部は制御装置の面にある軸に対して対称となるよう、その面に配置され、結合部の少なくとも1つをその軸に配置しない。場合によって、制御装置は3つの出力結合部を含み、出力結合部は制御装置の面にある軸に対して対称となるよう、その面に配置され、結合部の少なくとも1つをその軸に配置しない。場合によって、制御装置は電力入力を受けるための少なくとも1つの供給接点とインバータを含み、好ましくは少なくとも1つの供給接点は2つの供給接点を含む。場合によって、制御装置は少なくとも1つの供給接点を含み、出力結合部は制御装置の前面に配置され、インバータは制御装置の後面に配置される。場合によって、制御装置はDC入力を受けるための供給接点、3つの出力接点、DC入力を3相AC出力に変換するインバータを含む。場合によって、インバータはIGBTインバータまたはMOSFETインバータのような半導体装置である。場合によって、制御装置は第1および第2の供給接点を含み、第1の供給接点は電源の第1の端子に結合するようになっていて、第2の接点は電源の第2の端子に結合し、第2の接点に流れる電流フローを監視するために、制御装置の背面に隣接して配置されている互いに同様の制御装置を第2の接点に結合させるようになっている。場合によって、導電片は供給接点と各電源端子の間を結合するように設けられる。場合によって、制御装置は電源に制御装置を接続するための結合部を設けたケースの中に設けられる。場合によって、電源に制御装置を接続する結合部はケースの延長部の中に設けられる。
【0027】
いくつかの実施例では、電気モータ制御装置と電気モータ制御装置に結合されている電気モータを含むモータ−制御装置組立体を提供する。場合によって、組立体は複数の制御装置を含み、各制御装置はモータとモータおよび制御装置を冷却する冷却装置とに結合されている。冷却装置は少なくとも1つのヒートシンクを含んでよく、2つの隣接する制御装置がヒートシンクを共有するように、制御装置は互いに隣接して配置される。好ましくは2つのモータ−制御装置組立体とモータおよび制御装置を冷却する共有の冷却装置とがある。場合によって、冷却装置は制御装置と熱接触しているヒートシンクを含む。場合によって、制御装置は後部同士が対向するように配置され、ヒートシンクは制御装置の間に設けられ、制御装置の後面と熱接触している。場合によって、冷却装置はモータと熱接触している冷却多岐管を含む。場合によって、制御装置は対称で同一である。場合によって、制御装置を後部同士が対向するように配置したとき、制御装置の出力結合部が揃う方向を一方の制御装置は他方に対して有する。場合によって、制御装置を後部同士が対向するように配置したとき、一方の制御装置の構成要素は他方の制御装置の構成要素の幾何学的な鏡像である。場合によって、制御装置はその構成要素とその構成要素の構成に関して同じ設計仕様を有する。場合によって、制御器ケースは回転対称ではなく、制御装置を後部同士が対向するように配置したとき、ケースが一致するように一方の制御装置は他方の制御装置の制御器ケースに対して反転させられる。場合によって、供給結合部を制御器ケースの一致する延長部の中に設けて電源に制御装置を接続する。場合によって、各モータは制御装置それぞれに隣接する。場合によって、モータは同じ設計仕様を有する。場合によって、2つのモータ−制御装置組立体は軸に配置され、モータは軸の端部それぞれに駆動力を供給するように配置される。場合によって、組立体はモータに差動ギア駆動力を発生させるようになっている。場合によって、制御装置はモータの駆動を調整するように結合される。
【0028】
一態様では、前面と後面を有する電気モータ制御装置を提供し、制御装置は複数のDC入力結合部と複数のAC出力結合部とインバータを備え、インバータはDC入力結合部に結合されている入力部とAC出力結合部に結合されている出力部を有し、インバータは受けたDC供給を出力AC供給に変換するようになっていて、AC出力結合部は制御装置の前面にある制御装置の対称軸に対して対称に配置されている。場合によって、少なくとも1つのDC入力結合部が制御装置の前面に制御装置の対称軸に対して対称に配置されている。
【0029】
場合によって、DC入力結合部は対応する電源入力結合部にそれぞれ導電片を介して結合されている。場合によって、3つのDC入力結合部を設け、そのうちの2つのDC入力結合部は対応する電源入力結合部にそれぞれ銅製導電片を介して結合されている。場合によって、制御装置はケースを有し、電源入力結合部はケース延長部に配置されている。
【0030】
一態様では、後面同士が対向するように配置されるようになっている電気モータ制御装置を少なくとも2つ含む装置一式を提供し、例えば電気モータ制御装置はその後面同士が互いに対向するように配置されるようになっていて、制御装置は後部同士が対向するように配置されるとき、延長部を通して導電体を介して電力供給源への制御装置の電源入力結合部の接続が可能となるように電気モータ制御装置のケースは互いに鏡像となる。
【0031】
電気モータ−制御装置組立体は電気モータ制御装置とモータを含んでよく、制御装置とモータは冷却システムを共有してよい。電気モータ制御装置を複数個と電気モータ制御装置それぞれに対するモータとを含むモジュール式モータ組立体を提供し、隣接する電気モータ制御装置は後部同士が対向するように配置され、組立体の冷却システムを共有するように電気モータ制御装置とモータが配置されている。場合によって、冷却システムはヒートシンクと冷却剤循環システムの少なくとも一方を含む。場合によって、冷却システムはモータとヒートシンクに渡って延在する冷却多岐管を含む。一態様では、モータに結合される出力手段を含む電気モータ制御装置を提供し、出力手段は制御装置の対称軸に対して制御装置の面に対称に配置されている。
【0032】
一態様では、本明細書のいずれかに記載の電気モータ制御装置および/または本明細書のいずれかに記載のモータ制御装置組立体を有する車両を提供する。また、複数の電子構成要素または電気構成要素を有する電気モータ制御装置も提供し、これら構成要素は制御装置の対称軸に対して対称に配置されている。好ましくは、電気モータ制御装置は少なくとも1つの電源入力結合部ともう1つの制御装置の動作パラメータを監視するようになっている監視結合部とを含み、監視結合部と電源入力結合部は制御装置の対称軸に対して互いに対称の位置に配置される。場合によって、制御装置は制御装置の対称軸に対して対称に配置されている少なくとも1つのモータ制御装置出力結合部を含む。場合によって、少なくとも1つのモータ制御出力結合部は複数のモータ制御出力結合部を含む。場合によって、複数のモータ制御出力結合部は第1、第2、第3のモータ制御出力信号それぞれを供給するための第1、第2、第3の出力結合部を含み、第3の出力結合部に第1のモータ制御出力信号を供給させ、第1と第3のモータ制御出力信号を置き換えた第3のモータ制御出力信号を第1の出力結合部に供給させる機能を有する制御手段を含む。場合によって、複数の構成要素および/または入力結合部と出力結合部の少なくとも一方は制御装置の第1の面に配置され、制御装置の第1の面と反対側の第2の面に配置した少なくとも1つの電力トランジスタを制御装置は含む。また、制御装置の間に配置されて制御装置のトランジスタをヒートシンクに熱的に結合させるヒートシンクに対して組み立てた1対のこのような電気モータ制御装置を含む装置を提供する。場合によって、各制御装置の監視結合部が他方の制御装置の電源入力結合部と揃えられるように1対の制御装置が配置されている。場合によって、装置は第1および第2の電気モータを含み、第1の電気モータは一方の電気モータ制御装置の第1の面に隣接して配置され、第2の電気モータは他方の電気モータ制御装置の第1の面に隣接して配置されてヒートシンクと電気モータを1つの冷却多岐管に熱的に結合することができる。好ましくは、装置は更に冷却多岐管を含み、冷却多岐管は多岐管を冷却するための冷却流体を流すための流体流路を含んでよく、好ましくは、流体は液体を含む。場合によって、電気モータは電気モータ制御装置の第1の面に隣接して配置されて電気モータと電気モータ制御装置をヒートシンクに対して組み立てることができ、ヒートシンクは電気モータ制御装置の第2の面に隣接して配置されて少なくとも1つのトランジスタをヒートシンクに熱的に結合させることができる。好ましくは、装置はヒートシンクを含む。好ましくは、装置はモータとヒートシンクに結合するようになっている冷却多岐管を含む。
【0033】
一態様では、電気モータと第1の電気モータ制御装置を含む電気モータ組立体を提供し、第1の電気モータ制御装置はヒートシンクに熱的に結合されていて、電気モータとヒートシンクは1つの冷却多岐管に熱的に結合され、好ましくは第2の電気モータと第2の電気モータ制御装置を更に含み、第2の電気モータ制御装置はヒートシンクと第2の電気モータに熱的に結合され、1つの冷却多岐管に熱的に結合される。好ましくは、冷却多岐管は多岐管を冷却するための冷却流体を流すための流体流路を含み、好ましくは流体は液体を含む。場合によって、1つまたはいくつかの電気モータ制御装置と1つまたはいくつか電気モータとヒートシンクは共有のケースに配置される。
【0034】
一実施形態では、電気モータ制御装置は複数の結合手段を備え、各結合手段はインバータへDC供給を行うDC入力結合部、電流変換器を備えるようになっている監視結合部のうちの1つを備えることができ、付加された結合手段の少なくとも2つは制御装置の対称軸に対して対称に配置される。監視結合部は制御装置の回路基板を通る貫通孔を含んでよく、および/または電流変換器を含んでよい。この構成は、2つの制御装置を後部同士が対向するように配置したとき、DC供給が監視結合部を通って一方の制御装置に他方の制御装置で引き出される電流を監視させることができるように、一方のDC供給結合部は他方の監視結合部に隣接して配置されてよいという長所を有する。
DC直巻モータとその制御に関する態様
一態様では、DC直巻モータ、DC直巻モータの電機子に第1の電流を供給するようになっている第1の電流源、DC直巻モータの界磁巻線に第2の電流を供給するようになっている第2の電流源を含む装置を提供し、好ましくは第2の電流源を制御して第1の電流に基づいて第2の電流を供給するようになっている制御手段を更に含む。一実施形態では、第1および第2の電流源は1つの3相インバータ回路から得られ、各電流源はインバータ回路の1つまたはいくつかのレグによって供給される。一実施例では、第1の電流源はインバータ回路の第1のレグによって供給され、第2の電流源はインバータ回路の第2および第3のレグによって供給される。別の実施例では、第1の電流源はインバータ回路の第1および第2のレグによって供給され、第2の電流源はインバータ回路の第3のレグによって供給される。この場合、適切な制御信号を印加することによって、3相インバータ回路を使用して(例えば、標準的な6スイッチインバータ、ACモータに通常、適用される)DCモータを制御することができることを発明者らは認識している。この構成により、既存のDCモータにAC制御装置に取り付けてコストの増加やDC直巻モータを従来のSEMで置き換えるために必要となる手段を要さずに性能を改善することができる。
【0035】
場合によって、第1および第2の電流源は独立して制御されるようになっている。場合によって、第1および第2の電流源は3相インバータ回路を含む。場合によって、電機子は3相インバータの第1のレグと3相インバータの第2のレグの間に結合され、界磁巻線は3相インバータの第3のレグと負電源および正電源のうちの1つの間に結合される。界磁巻線は3相インバータの第1のレグと3相インバータの第2のレグの間に結合され、電機子は3相インバータの第3のレグと負電源および正電源のうちの1つの間に結合される。
【0036】
場合によって、装置は第1の電流源を制御してモータに必要なトルク出力に基づいて第1の電流を供給するようになっている制御装置を含む。場合によって、制御装置は更に第2の電流源を制御して第1の電流に基づいて第2の電流を供給するようになっている。
【0037】
一態様では、DC直巻モータを制御する方法を提供し、その方法は第1の電流源を制御してDC直巻モータの電機子に電機子電流を供給し、第2の電流源を制御してDC直巻モータの界磁巻線に界磁電流を供給する。場合によって、第1の電流源を制御することは第1の電流源を制御してモータに必要なトルク出力に基づいて電機子電流を供給することを更に含む。場合によって、第2の電流源を制御することは第2の電流源を制御して電機子電流に基づいて界磁電流を供給することを更に含む。場合によって、第1の電流源を制御することと第2の電流源を制御することは3相インバータ回路を制御することを更に含む。
【0038】
一態様では、DC直巻モータの回転速度を計算する方法を提供し、その方法はモータに関連付けられた電機子電流値と界磁電流値を得て、電機子電流値と界磁電流値に基づいてモータに対する磁束を推定し、モータに関連付けられた逆起電力値を得て、推定された磁束で逆起電力値を除算してモータの回転速度を計算する。場合によって、磁束を推定することは電機子電流値と関連付けられた第1の磁束成分を判定し、界磁電流値と関連付けられた第2の磁束成分を判定し、第1および第2の磁束成分を合計することを含む。
【0039】
場合によって、第1および第2の磁束成分を判定することは1つまたはいくつかの参照テーブルを使用して電流値と関連付けられた磁束成分を特定することを含む。
【0040】
場合によって、DC直巻モータ組立体は電機子と電機子に直列である界磁巻線を有するDC直巻モータと、DC直巻モータに結合されている3相インバータ回路と、3相インバータ回路のスイッチング素子の切り替えを制御して電機子と界磁巻線のうちの少なくとも一方に流れる電流を3相インバータ回路に制御させる制御装置とを含む。場合によって、制御装置は電機子と界磁巻線に流れる電流を制御する機能を有する。場合によって、制御装置は電機子と界磁巻線の少なくとも一方に流れる電流の大きさと方向の少なくとも一方を制御する機能を有する。場合によって、制御装置は電機子と界磁巻線の一方に流れる電流の方向と電機子と界磁巻線に流れる電流の大きさを制御する機能を有する。場合によって、3相インバータ回路は第1、第2、第3のレグを有し、各レグは組立体の正電圧源ラインと負電圧源ラインの間に結合され、各レグは1つのノードに一緒に結合されている第1および第2のスイッチング素子を含み、スイッチング素子はそれぞれ制御装置によって制御される制御ゲートを有する。場合によって、電機子は第1のレグのノードと正電圧源ラインおよび負電圧源ラインの1つとの間に結合され、界磁巻線は第1のレグのノードと第2のレグのノードの間に結合されている。場合によって、電機子は第1のレグのノードと第2のレグのノードの間に結合され、界磁巻線は第3のレグのノードと正電圧源ラインおよび負電圧源ラインの1つとの間に結合されている。場合によって、電機子は第1のレグのノードと第2のレグのノードの間に結合され、界磁巻線は第2のレグのノードと第3のレグのノードの間に結合されている。場合によって、3相インバータ回路のスイッチング素子は半導体スイッチング素子を含む。場合によって、スイッチング素子は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、MOSFET、IGFET、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、あるいは接合型電界効果トランジスタのような電圧制御可能なインピーダンスを含む。場合によって、3相インバータ回路はACモータを制御するために設計された3相インバータ回路を含む。
【0041】
一態様では、電機子と電機子に直列である界磁巻線を有するDC直巻モータと、電機子と界磁巻線のうちの少なくとも一方に流れる電流を制御する制御装置とを含み、制御装置はACモータを制御するために設計された3相インバータ回路を含むDC直巻モータ組立体を提供する。
【0042】
本発明の一態様はDC直巻モータの電機子と界磁巻線のうちの少なくとも一方に流れる電流を制御するための、ACモータ制御用に設計された3相インバータ回路の使用に関する。本発明の一態様はDC直巻モータを制御する装置であって、DC直巻モータの電機子とDC直巻モータの界磁巻線のうちの一方に対する第1の電流の供給を制御するようになっている第1の電流制御部と、DC直巻モータの電機子とDC直巻モータの界磁巻線のうちの他方に対する第2の電流の供給を制御するようになっている第2の電流制御部とを含み、第1の電流制御部は第2の電流に基づいて第1の電流を制御するようになっている装置に関する。場合によって、第1の電流制御部はDC直巻モータの電機子への第1の電流の供給を制御するようになっていて、第2の電流制御部はDC直巻モータの界磁巻線への第2の電流の供給を制御するようになっている。場合によって、第1の電流制御部はDC直巻モータの界磁巻線への第1の電流の供給を制御するようになっていて、第2の電流制御部はDC直巻モータの電機子への第2の電流の供給を制御するようになっている。場合によって、第1の電流制御部と第2の電流制御部の少なくとも一方は制御電圧を印加してACモータを制御するためのインバータ回路の少なくとも1つのレグを制御することによって電流を制御する機能を有する。場合によって、インバータ回路は多相インバータ回路を含む。
【0043】
場合によって、インバータ回路は3相インバータ回路を含み、装置は更にインバータ回路を含んでもよい。場合によって、インバータ回路はACモータを制御するために設計されている。場合によって、装置はDC直巻モータおよび/または参照テーブルを保存している記憶部を含んでよく、第2の電流に基づいて第1の電流を制御することは第1の電流と参照テーブルに基づいて第2の電流値を制御することを含む。
【0044】
一態様では、DC直巻モータの制御システムを適合させる方法を提供し、その方法はインバータ回路を設けてDCモータの電機子と界磁巻線に電流を供給し、電機子電流と界磁電流の一方が電機子電流と界磁電流の他方に基づいて制御されるようにインバータを制御するようになっている制御手段を設ける。
【0045】
本発明の実施例はソフトウェア、ミドルウェア、ファームウェア、ハードウェア、あるいはそれらの任意の組み合わせで実施される制御手段を含んでよい。本発明の実施形態はプロセッサをプログラムして本明細書で説明した1つまたはいくつかの方法を実行するためのプログラム命令を含むコンピュータプログラム製品を含み、このような製品はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として提供してもよく、ネットワーク上で伝送されるコンピュータ読み取り可能な信号として提供してもよい。本発明の実施形態は本明細書のいずれかに従ったデータ構造を備えるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体とコンピュータ読み取り可能な信号、媒体によるデータファイル、あるいはデータベースを提供する。
【0046】
装置の態様は方法の態様に適用してもよく、その逆を行ってもよい。装置の実施形態を適合させて方法の実施形態の特徴を実施してよく、本明細書で説明されているいずれかの実施形態の1つまたはいくつかの特徴は本明細書の本文で定義されているか、あるいは請求項で定義されているかにかかわらず、本明細書で説明されている他の実施形態のいずれかと独立して組み合わせてよいことは当業者にとっては当然である。
2台の制御装置のクロスチェックに関する態様
一態様では、出力信号を供給して電力供給器の動作を示す健康表示器と安全装置とを含む電気モータ制御装置であって、安全装置はもう1つの電気モータ制御装置から健康表示器信号を受信するための信号受信手段ともう1つの電気モータ制御装置からの表示器信号に基づいて電力供給器の動作を制御するようになっている制御手段とを含む電気モータ制御装置を提供する。場合によって、安全装置は表示器信号に基づいて電力供給器を作動させるようになっている。場合によって、安全装置は表示器信号が受信されない場合、電力供給器を作動させないようになっている。場合によって、安全装置は表示器信号の受信に応じて電力供給器を作動させるようになっている。
【0047】
場合によって、制御手段は表示器信号の少なくとも1つのパラメータを判定して少なくとも1つのパラメータに基づいて電力供給器を制御するようになっている。場合によって、少なくとも1つのパラメータはDC電圧レベル、周波数、相、振幅波高値、振幅RMS値、デューティサイクルのうちの1つを含む。場合によって、健康表示器は電力供給器の動作を示すための時間変化する出力信号を供給するようになっている。場合によって、時間変化する信号は矩形波のようなパルス状の出力信号を含む。場合によって、電気モータ制御装置が安全に動作していると判定された場合だけ、健康表示器は表示器信号を供給するようになっていて、例えばモータ制御装置の構成要素が機能していて、および/またはもう1つの同様の制御装置からの信号が車両の安全な動作を示しているという判定に基づいている。場合によって、健康表示器は少なくとも1つの動作パラメータの判定に基づいて表示器信号を供給するようになっている。場合によって、モータ制御装置のDC電流の方向、もう1つのモータ制御装置のDC電流の方向、キースイッチ電圧、制御装置の電力トランジスタ(IGBT)の温度、制御装置の論理制御部の温度、制御装置に関するDCリンクトラックの電圧および/または温度、ADC較正電圧、アナログ入力、1つまたはいくつかのプログラム可能またはプログラム不可の供給電圧(Vcc)監視、正弦−余弦エンコーダデータ、レゾルバ測定、速度フィードバック測定、他のデジタル入力、モータPTC入力を含む一覧から少なくとも1つの動作パラメータは選択される。
【0048】
場合によって、判定は少なくとも1つの動作パラメータを閾値と比較することを含む。
【0049】
場合によって、電気モータ制御装置は電力供給器を更に含み、電力供給器は電気走行モータに電源を供給する機能を有する。
【0050】
場合によって、制御装置は制御手段を含み、制御手段は電気モータ制御装置の駆動方向と第2の電気モータ制御装置の駆動方向との比較に基づいて第1の電気走行モータの電源を制御するようになっている。場合によって、制御装置は電気モータ制御装置の駆動方向を第2の電気モータ制御装置の駆動方向と比較する機能を有する比較器を含む。場合によって、制御装置は電気モータ制御装置の駆動方向を感知するためのセンサと第2の電気モータ制御装置の駆動方向を感知するためのセンサの少なくとも一方を含む。場合によって、駆動方向を感知することは電気モータ制御装置の電源電流の方向を感知することを含む。場合によって、制御装置は第1の電気走行モータに電源を供給するための電力供給器を含む。
【0051】
本発明の態様は電気車両のための駆動装置および/または駆動装置を含む車両を含む。
【0052】
一態様では、電気モータ制御装置を動作させる方法を提供し、その方法は本明細書で定義されている方法で、および/または
図12〜15のいずれかを参照して十分に説明されているように電気モータを動作させる。コンピュータプログラム製品も提供され、そのコンピュータプログラム製品は電気モータ制御装置のプロセッサをプログラムして第2の電気モータ制御装置の供給電流を監視することで電気モータに駆動信号を供給することによって電気モータを制御する機能を有するプログラム命令を含む。コンピュータプログラム製品も提供され、そのコンピュータプログラム製品は電気モータ制御装置のプロセッサをプログラムして第2の電気モータ制御装置からの制御信号に応じて電気モータに駆動信号を供給することによって電気モータを制御する機能を有するプログラム命令を含む。
モータ振動の減衰の態様
一態様では、電気車両のためのトルク制御装置を提供し、その装置は運転者ユーザインタフェースまたは車両制御装置からのトルク要求信号と電気モータの角速度を示す速度センサ信号とを受信するように結合されている制御装置を含み、制御装置はトルク要求信号と速度センサ信号に基づいて変更されたトルク要求制御信号を供給するようになっている。この構成は、モータの急激なトルク応答を車両が確実に滑らかな動作となるように変更することができるという長所を有する。
【0053】
装置は速度センサ信号を処理するためのフィルタを含む場合がある。フィルタは感知された速度信号をフィルタにかけて感知された速度信号の選択された周波数成分と関連付けられた周波数成分を他の周波数成分に対して強調するようになっている場合があり、場合によって、選択された周波数成分は車両の駆動装置の特徴的な周波数と関連付けられている。
【0054】
この場合、発明者らは、車両駆動装置は特徴的な周波数を有し、例えば、この周波数は車両駆動装置の構成要素のねじり剛性および/またはそれらの慣性モーメントに関連し、選択フィルタを適用してトルクの変化に応答する特徴的な揺れを車両の応答性が悪化することなく選択的に減衰させることができるということを認識している。
【0055】
フィルタをかけることは車両駆動装置の特徴的な周波数と関連付けられていない周波数成分を減衰させることを含む場合があり、例えば少なくとも1つのノイズ周波数成分を減衰させるようになっているノッチフィルタを使用する。この場合、車両システムに特定のノイズ源特性があり、トルク制御を悪化させるおそれがあることを発明者らは認識している。
【0056】
場合によって、制御装置はフィルタの伝達関数を、例えば車両の動作状態に応じて変える機能を有する。この構成は、電気ノイズ源が車両および/またはモータの速度等の動作状態に依存して変化しうる振幅特性および/または周波数特性を有する場合に有利である。
【0057】
制御装置は受信されたトルク要求信号から感知された速度信号に基づく減算信号を減算するようになっていて、例えば減算信号の大きさが基準信号レベルを超えないように、制御装置は減算信号を制限するようになっている場合がある。この構成は、操作者による操縦に対する車両の応答性が振動減衰システムによって過度に抑制されないという長所を有する。好ましくは、減算信号は感知された速度信号の変化率に基づいている。
【0058】
場合によって、基準信号レベルはモータのための最大トルク要求信号に基づき、場合によって、制御装置は基準信号レベルを設定するための機能を有する。この構成は、車両の応答を動作要求に従って、例えば車両の積載量に従って、「調整する」ことができるという長所を有する。本発明のこれらの実施例はモータ制御の減衰/応答性を車両の使用中に調整できるという長所を有する。
【0059】
場合によって、制御装置は変更されたトルク要求信号と受信されたトルク要求信号の比較に基づいて代用トルク要求信号を供給するようになっている。例えば、変更されたトルク要求信号がトルク要求信号と反対の符号の場合、制御装置はゼロトルク要求信号を変更された信号の代わりに用いるようになっていてもよい。この構成は、モータ速度の揺れを減衰させてもモータトルク出力の想定外の、または不要な逆転を引き起こすことがないという長所を有する。
【0060】
いくつかの実施例では、代用トルク要求信号は少なくとも1つのあらかじめ定められたトルク要求信号値を含む一覧から選択され、例えば制御装置は車両および/またはモータの速度のような車両の動作状態に基づいて代用トルク要求信号を選択するようになっていてもよい。この構成は、例えば、車両トルク要求が突然ゼロに固定される必要がなく車両あるいはモータの瞬間速度と合致する低い値に設定されるように代用トルク要求を選択することができるという長所を有する。
【0061】
速度センサ信号は車両の車輪の角速度を感知することによる速度センサ信号を含む場合がある。この構成は、車両の実際の速度を使用してモータトルク要求を制御することができるという長所を有する。場合によって、速度センサ信号は車両のモータ角速度を感知することによる信号と車輪の角速度を感知することによる信号を含む。
【0062】
一態様では、電気モータ制御装置に印加されるトルク要求制御信号を車両電気モータのために受け取り、電気モータの角速度を示す感知された速度信号を受信し、受信されたトルク要求信号と感知された速度信号に基づいて変更されたトルク要求信号を決定する方法を提供する。
【0063】
好ましくは、感知された速度信号は角速度の変化率を含む。場合によって、速度センサ信号は感知されたトルク信号を含む。
【0064】
場合によって、その方法は受信されたトルク要求信号から感知された速度信号に基づく減算信号を減算して変更されたトルク要求信号を決定することを含む。例えば、減算信号の大きさが基準値を超えないように、減算信号を制限してもよい。この構成は、モータの振動を減らすためにトルク要求を調整しても車両の応答性が悪化しないという長所を有する。いくつかの実施例では、最大順方向トルク調整量は第1の基準値を超えず、最大逆方向トルク調整量は第2の基準値を超えないように基準値を選択してもよい。この構成は、車両の挙動を動作モードに合うように適合させることができる長所を有する。
【0065】
本発明の実施例は本明細書のいずれかに記載のトルク制御装置を含む電子装置を提供する。本発明の実施例は電気モータと本明細書のいずれかに記載のトルク制御装置を含む車両を提供する。
【0066】
車両を参照して説明してきたが、モータ速度の揺れの問題は電気モータが使用される他のシステムでも起こるかも知れないので、本発明の実施形態は車両以外のシステムの上記の問題に対処し、例えば場合によって、本方法は油圧システムで電気モータを制御するために適用してもよい。
【0067】
一態様では、電気モータを制御する方法を提供し、その方法はトルク要求を示す制御信号を受信し、モータの速度出力に基づいてセンサ信号を受信し、センサに基づいて制御信号を変更し、変更された制御信号をモータに供給する。
【0068】
一態様では、電気モータ制御システムを提供し、その電気モータ制御システムは制御信号を受信するための制御入力部、モータ速度出力に基づいて感知された信号を受信するための感知入力部、感知された信号に基づいて制御信号を変更して変更された制御信号をモータに供給するように適合された制御手段を含む。好ましくは、感知される信号はモータの角速度の変化率に基づいている。
【0069】
本発明の実施例は(FGPA、ASIC、または他のハードウェアのような)ハードウェアで、またはソフトウェア、ミドルウェア、ファームウェア、あるいはそれらの任意の組み合わせで実施してよい。本発明の実施形態はプロセッサをプログラムして本明細書で説明した1つまたはいくつかの方法を実行するためのプログラム命令を含むコンピュータプログラム製品を含み、このような製品はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として提供してもよく、ネットワーク上で伝送されるコンピュータ読み取り可能な信号として提供してもよい。本発明の実施形態は本明細書のいずれかに従ったデータ構造を備えるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体とコンピュータ読み取り可能な信号、媒体によるデータファイル、あるいはデータベースを提供する。
【0070】
本明細書で説明されているいずれかの実施形態の1つまたはいくつかの特徴のいずれも本明細書の本文で定義されているか、あるいは請求項で定義されているかにかかわらず、本明細書で説明されている他の実施形態のいずれかと独立して組み合わせてよい。