【実施例】
【0051】
実施例1 アルピニアオキシフィラの抽出物の調製
1.1 粗製水抽出物
(中国、ハイナン(Hainan)から購入した)アルピニアオキシフィラの乾燥粉砕果実を煮沸し、逆浸透(RO:reverse osmotic)水中でアルピニアオキシフィラと水の1:10(w/w)の比で約1時間還流して、粗製抽出物を製造した。アルピニアオキシフィラの一部をろ別するように、粗製水抽出物を350メッシュ篩でふるい分けた。ろ液を保持し、アルピニアオキシフィラの一部を前述と同様に更に水抽出に供し、両方の抽出で収集されたろ液を混合して、粗製水抽出物を得た。
【0052】
1.1.1 粗製水抽出物粉体(PDC−2014)
実施例1.1の粗製水抽出物を凍結乾燥によって濃縮して、粗製水抽出物粉体(PDC−2014)を得た。
【0053】
1.1.1.1 水抽出物ペースト(PDC−2363)
粗製水抽出物粉体(PDC−2014)をさらに95%(v%)エタノールで液状に戻し、ろ過し(No:2ろ紙)、次いでろ液を濃縮乾固させて水抽出物ペースト(PDC−2363)を得た。
【0054】
1.1.1.1.1 精製水抽出物ペーストA(PDC−2529)及びB(PDC−2530)
水抽出物ペースト(PDC−2363)を20%(v%)エタノールで液状に戻し、次いでHP−20 Diaionカラムに充填して精製した。カラムを20%(vol)エタノール、95%(vol)エタノール及びアセトンで順次溶出させた。20%エタノールからの溶出物を濃縮して精製ペーストA(PDC−2529)を得た。一方、95%エタノール及びアセトンからそれぞれ収集した溶出物を混合し、濃縮して、精製ペーストB(PDC−2530)を得た。
【0055】
1.1.2 精製水抽出物(PDC−1850)
95%(vol)エタノールを実施例1.1の粗製水抽出物に体積比1:1で添加し、次いで混合物を350メッシュ篩でふるい分けた。ろ液を遠心分離し、濃縮し、凍結乾燥させて、ペースト(PDC−1850)を得た。
【0056】
1.1.3 精製水抽出物(PDC−1918)
95%(vol)エタノールを実施例1.1の粗製水抽出物に体積比1:1で添加し、次いで混合物を350メッシュ篩でふるい分けた。ろ液を遠心分離し、その体積がその当初の体積の1/3になるまで濃縮した。
【0057】
水を上記濃縮水抽出物に体積比1:1で添加し、次いで混合物をDiaion HP−20カラム(Diaion、三菱化学)に充填した。濃縮物と乾燥カラム充填材の重量比は約1:20である。カラムを3ベッド体積のRO水、1ベッド体積の30%(v/v)エタノール、及び3ベッド体積の95%(vol)エタノールで順次溶出させた。2つのアルコール溶出物をそれぞれ収集し、混合して1つにした。次いで、エタノールが実質的に除去されるまで混合溶出物を減圧濃縮し、次いで残留物を凍結乾燥させて、精製水抽出物ペースト(PDC−1918)を得た。
【0058】
1.2 粗製エタノール抽出物
(中国、ハイナンから購入した)アルピニアオキシフィラの乾燥粉砕果実を50%(v%)エタノールとアルピニアオキシフィラとエタノールの1:10(w/w)の比で約1時間混合して、粗製エタノール抽出物を製造した。粗製エタノール抽出物を350メッシュ篩でふるい分け、アルピニアオキシフィラのろ別された果実を前述と同様に50%(v%)エタノールでもう一度抽出し、両方の抽出で収集された溶液を混合して粗製エタノール抽出物を得た。
【0059】
1.2.1 粗製エタノール抽出物粉体(PDC−1941)
実施例1.2の粗製エタノール抽出物を350メッシュ篩でふるい分け、溶媒が実質的に除去されるまでろ液を減圧濃縮し、次いで残留物を凍結乾燥して、粗製エタノール抽出物粉体(PDC−1941)を得た。
【0060】
1.2.1.1 エタノール抽出物ペースト(PDC−2364)
実施例1.2.1の粗製エタノール抽出物粉体を95%エタノールで液状に戻し、No:2ろ紙でろ過し、次いでろ液を濃縮乾固させてエタノール抽出物ペースト(PDC−2364)を得た。
【0061】
1.2.1.1.1 精製エタノール抽出物ペーストA(PDC−2371)、B(PDC−2372)、C(PDC−2373)及びD(PDC−2374)
エタノール抽出物ペースト(PDC−2364)を40%(v%)エタノールで液状に戻し、次いでHP−20 Diaionカラムに充填して更に精製した。カラムを40%(vol)、70%(vol)及び95%(vol)エタノール、続いてアセトンで順次溶出させた。40%及び70%エタノールからそれぞれ収集された溶出物を濃縮し、凍結乾燥して、ペーストA(PDC−2371)及びB(PDC−2372)を得た。一方、95%エタノール及びアセトンからそれぞれ収集された溶出物を濃縮して、精製ペーストC(PDC−2373)及びD(PDC−2374)を得た。
【0062】
1.2.1.1.2 精製エタノール抽出物ペーストE(PDC−2531)及びF(PDC−2532)
エタノール抽出物ペースト(PDC−2364)を20%(v%)エタノールで液状に戻し、次いでHP−20 Diaionカラムに充填して更に精製した。カラムを20%(vol)及び95%(vol)エタノールで順次溶出させた。溶出物をそれぞれ濃縮して、精製ペーストE(PDC−2531)及びF(PDC−2532)を得た。
【0063】
1.3 粗製アセトン抽出物
エタノールをアセトンに変えた以外は実施例1.2に記載の類似手順に従ってアルピニアオキシフィラの粗製アセトン抽出物を調製した。
【0064】
1.3.1 粗製アセトン抽出物ペースト(PDC−2479)
実施例1.3の粗製アセトン抽出物を溶媒が実質的に除去されるまで減圧濃縮し、次いで残留物を凍結乾燥して、粗製アセトン抽出物ペーストを得た。
【0065】
1.4 粗製酢酸エチル抽出物
エタノールを酢酸エチルに変えた以外は実施例1.2に記載の類似手順に従ってアルピニアオキシフィラの粗製酢酸エチル抽出物を調製した。
【0066】
1.4.1 粗製酢酸エチル抽出物ペースト(PDC−2478)
実施例1.4の粗製アセトン抽出物を溶媒が実質的に除去されるまで減圧濃縮し、次いで残留物を凍結乾燥して、粗製アセトン抽出物ペーストを得た。
【0067】
1.5 超臨界流体(SCF)抽出物
この特定の実施例においては、共溶媒(例えば、エタノール)を改変してもしなくてもアルピニアオキシフィラを超臨界温度及び圧力下で超臨界流体(例えば、二酸化炭素)で抽出した。
【0068】
1.5.1 SCF抽出物A
アルピニアオキシフィラの乾燥粉砕果実を圧力セルに入れ、次いで圧力及び温度をそれぞれ300バール及び50℃に設定した圧力セルの加熱域に二酸化炭素を液体として温度5℃未満でポンプ注入した。次いで、流体を第1及び第2の分離器に連続的に膨張させて、抽出材料をCO
2から分離した。第1及び第2の分離器の圧力及び温度をそれぞれ60及び45バール並びに45及び20℃に設定した。抽出は終了するまで約150分間かかり、それによってSCF抽出物Aを生成した。
【0069】
1.5.2 SCF抽出物B
共溶媒エタノールも抽出手順に含まれた以外は実施例1.5.1に記載の類似ステップに従ってSCF抽出物Bを調製した。SCF抽出物Bを製造した。
【0070】
実施例2 アルピニアハイナネンシスの抽出物の調製
2.1 水抽出物ペースト(PDC−2471)
アルピニアハイナネンシスの水抽出物ペーストを、実施例1.1、1.1.1及び1.1.1.1に順次記載の類似手順に従って調製した。
【0071】
2.2 エタノール抽出物ペースト(PDC−2472)
アルピニアハイナネンシスの粗製エタノール抽出物を、実施例1.2、1.2.1、1.2.1.1に順次記載の類似手順に従って調製した。
【0072】
実施例3 アルピニアガランガの抽出物の調製
3.1 粗製水抽出物
アルピニアガランガの粗製水抽出物を実施例1.1に記載の類似手順に従って調製した。
【0073】
3.1.1 粗製水抽出物粉体(PDC−2147)
実施例3.1の粗製水抽出物を水抽出物粉体が得られるまで減圧濃縮した。
【0074】
3.1.2 水抽出物ペースト(PDC−1885)
95%(v%)エタノールを実施例3.1の粗製水抽出物に体積比1:1で添加すると、沈殿が形成された。次いで、沈殿を除去するように、混合物を10,000rpmの速度で5分間遠心分離した。上部の透明溶液を収集し、溶媒が実質的に除去されるまで更に減圧濃縮した。さらに、残留物を凍結乾燥に供して、水抽出物ペーストを得た。
【0075】
3.1.3 水抽出物ペースト(PDC−2469)
実施例3.1.1の粗製水抽出物粉体を95%(v%)エタノールで液状に戻し(エタノール30mL中粉体1g)、混合物を少なくとも1時間超音波処理し、次いでNo:2ろ紙によってろ過し、次いでろ液を減圧濃縮して、水抽出物ペーストを得た。
【0076】
3.2 粗製エタノール抽出物
アルピニアガランガの粗製エタノール抽出物を実施例1.2に記載の類似手順に従って調製した。
【0077】
3.2.1 粗製エタノール抽出物粉体
実施例3.2の粗製エタノール抽出物を溶媒が実質的に除去されるまで減圧濃縮し、次いで残留物を凍結乾燥して、粗製エタノール抽出物粉体を得た。
【0078】
3.2.1.1 エタノール抽出物ペースト(PDC−2470)
実施例3.2.1の粗製エタノール抽出物粉体を95%エタノールで液状に戻し、No:2ろ紙でろ過し、次いでろ液を濃縮乾固させてエタノール抽出物ペーストを得た。
【0079】
実施例4 アルピニアゼルムベットの抽出物の調製
4.1 水抽出物ペースト(PDC−2473)
アルピニアゼルムベットの粗製水抽出物ペーストを、実施例1.1、1.1.1及び1.1.1.1に順次記載の類似手順に従って調製した。
【0080】
4.2 エタノール抽出物ペースト(PDC−2474)
アルピニアゼルムベットのエタノール抽出物ペーストを、実施例1.2、1.2.1及び1.2.1.1に順次記載の類似手順に従って調製した。
【0081】
実施例5 実施例1のアルピニアオキシフィラ由来の活性化合物の精製及び同定
純粋化合物をクロマトグラフィーによって単離し、精製し、続いてそのそれぞれの構造をMS及びNMRによって確認し、同定した。
【0082】
5.1 6−α−ヒドロキシ−7−エピ−α−シペロン(化合物PDC−2460)の同定
【0083】
【化2】
【0084】
実施例1.1.1.1の水抽出物ペーストを、n−ヘキサン及び酢酸エチルでカラムを溶出させることによってシリカゲルろ過(Merck、台湾)に供し、7画分(FR−1、FR−2、FR−3、FR−4、FR−5、FR−6及びFR−7)を得た。続いて、全7画分のうち第2の画分(すなわち、FR−2)をRP−18ゲルカラム(Merck、台湾)に充填し、80%MeOHで溶出させ、更なる6画分を得た(FR−21、FR−22、FR−23、FR−24、FR−25及びFR−26)。FR−25とFR−1の両画分を混合し、混合画分を別のRP−18ゲルカラムに充填し、80%MeOHで溶出させて、更なる3画分を得た(FR−25(1)1、FR−25(1)2及びFR−25(1)3)。FR−25(1)2画分を別のシリカゲル精製に供し、別の5画分を得た(FR−25(1)21、FR−25(1)22、FR−25(1)23、FR−25(1)24及びFR−25(1)25)。化合物PDC−2460を第3の画分FR−25(1)23から分取HPLC分析によって精製した。
【0085】
MS:Mw.234(Bruker MS)[M−H]
−(233)。(C
15H
22O
2)
【0086】
1H NMR(CDCl
3、600MHz)δ1.60(1H、m、H−1)、1.83(1H、m、H−1)、2.42(1H、m、H−2)、2.62(1H、m、H−2)、4.90(1H、s、H−6)、2.53(1H、br、s、H−7)、1.52(1H、m、H−8)、2.19(1H、m、H−8)、1.35(1H、m、H−9)、1.47(1H、m、H−9)、4.38(1H、s、H−12)、4.81(1H、s、H−12)、1.73(3H、s、H−13)、1.38(3H、s、H−14)及び1.88(3H、s、H−15)。
【0087】
13C NMR(CDCl
3、150MHz)δ38.84(C−1)、34.17(C−2)、199.90(C−3)、132.11(C−4)、159.94(C−5)、69.60(C−6)、47.64(C−7)、18.57(C−8)、35.02(C−9)、35.03(C−10)、145.25(C−11)、111.46(C−12)、22.96(C−13)、25.72(C−14)、10.43(C−15)。
【0088】
5.2 7−エピ−トイクレノン(化合物PDC−2453)の同定
【0089】
【化3】
【0090】
実施例5.1の全7画分のうち第4の画分(すなわち、FR−4)をRP−18ゲルカラム(Merck、台湾)に充填し、70%MeOHで溶出させ、更なる5画分を得た(FR−41、FR−42、FR−43、FR−44及びFR−45)。FR−43画分を別のRP−18ゲルカラムに充填し、70%MeOHで溶出させて、更なる6画分を得た(FR−431、FR−432、FR−433、FR−434、FR−435及びFR−436)。FR−432とFR−433の両画分を混合し、混合画分を別のシリカゲル精製に供して、更なる7画分を得た(FR−432(433)1、FR−432(433)2、FR−432(433)3、FR−432(433)4、FR−432(433)5、FR−432(433)6及びFR−432(433)7)。化合物PDC−2453を第4の画分FR−432(433)4から分取HPLC分析によって精製した。
【0091】
MS:Mw.234(Bruker MS)[M−H]
−(233)。(C
15H
22O
2)
【0092】
1H NMR(CDCl
3、600MHz)δ2.10(1H、d、J=15Hz、H−1)、2.26(1H、d、J=15Hz、H−1)、5.86(1H、br、s、H−3)、2.28(1H、br、d、J=13Hz、H−5)、1.52(1H、m、H−6)、2.34(1H、m、H−6)、1.75(1H、m、H−8)、2.05(1H、m、H−8)、1.42(1H、m、H−9)、1.45(1H、m、H−9)、5.08(2H、br、s、H−12)、1.83(3H、s、H−13)、0.95(3H、s、H−14)、1.91(3H、s、H−15)。
【0093】
13C NMR(CDCl
3、150MHz)δ54.09(C−1)、198.95(C−2)、126.92(C−3)、162.24(C−4)、44.87(C−5)、33.05(C−6)、74.69(C−7)、31.55(C−8)、37.63(C−9)、37.43(C−10)、146.02(C−11)、114.13(C−12)、18.63(C−13)、16.89(C−14)、21.96(C−15)。
【0094】
5.3 トイクレノン(化合物PDC−2464)の同定
【0095】
【化4】
【0096】
実施例5.1の全7画分のうち第3の画分(すなわち、FR−3)をRP−18ゲルカラム(Merck、台湾)に充填し、70%MeOHで溶出させ、更なる6画分を得た(FR−31、FR−32、FR−33、FR−34、FR−35及びFR−36)。FR−34画分を別のRP−18ゲルカラムに充填し、70%MeOHで溶出させて、更なる6画分を得た(FR−341、FR−342、FR−343、FR−344、FR−345及びFR−346)。FR−343とFR−4の両画分を混合し、混合画分を別のシリカゲル精製に供して、更なる7画分を得た(FR−341(4)1、FR−341(4)2、FR−341(4)3、FR−341(4)4、FR−341(4)5、FR−341(4)6及びFR−341(4)7)。FR−341(4)4を別のRP−18ゲルカラム上に添加し、70%MeOHで溶出させて、更なる6画分を得た(FR−341(4)41、FR−341(4)42、FR−341(4)43、FR−341(4)44、FR−341(4)45及びFR−341(4)46)。FR−341(4)44画分をさらにシリカゲル精製に供し、化合物PDC−2464を第6の画分(faction)(すなわち、FR−341(4)46)から分取HPLCによって精製した。
【0097】
MS:Mw.234(Bruker MS)[M−H]
−(233)(C
15H
22O
2)
【0098】
1H NMR(CDCl
3、600MHz)δ2.26(2H、d、J=3.5Hz、H−1)、5.88(1H、br、s、H−3)、2.93(1H、m、H−5)、1.64(1H、t、J=13.1Hz、H−6)、1.78(1H、m、H−6)、1.46(1H、m、H−8)、1.92(1H、m、H−8)、1.36(1H、m、H−9)、1.84(1H、m、H−9)、4.85(1H、t、J=1.4Hz、H−12)、5.07(1H、s、H−12)、1.83(3H、s、H−13)、0.87(3H、s、H−14)、1.83(3H、s、H−15)。
【0099】
13C NMR(CDCl
3、150MHz)δ54.04(C−1)、199.12(C−2)、127.12(C−3)、163.27(C−4)、42.61(C−5)、33.42(C−6)、74.33(C−7)、30.89(C−8)、35.26(C−9)、37.12(C−10)、151.68(C−11)、109.51(C−12)、19.02(C−13)、15.80(C−14)、21.87(C−15)。
【0100】
5.4 オキシフィレノジオール(Oxyphellenodiol)A(化合物PDC−2454)の同定
【0101】
【化5】
【0102】
実施例5.1の全7画分のうち第4の画分(すなわち、FR−4)をRP−18ゲルカラムに充填し、70%MeOHで溶出させ、更なる5画分を得た(FR−41、FR−42、FR−43、FR−44及びFR−45)。FR−44画分を別のRP−18ゲルカラムに充填し、70%MeOHで溶出させて、更なる5画分を得た(FR−441、FR−442、FR−443、FR−444及びFR−445)。化合物PDC−2454を第2の党派(すなわち、FR−442)から分取HPLCによって精製した。
【0103】
MS:Mw.238(Bruker MS)[M−H]
−(237)(C
14H
22O
3)
【0104】
1H NMR(CDCl
3、600MHz)δ2.18(1H、m、H−1)、2.45(1H、m、H−1)、1.63(1H、m、H−2)、1.75(1H、m、H−2)、4.15(1H、br、s、H−4)、2.60(1H、m、H−6)、1.92(2H、m、H−7)、2.26(1H、m、H−8)、2.45(1H、m、H−8)、2.18(H、m、H−11)、0.86(3H、d、J=6.9Hz、H−12)、1.02(3H、d、J=6.9Hz、H−13)、1.18(3H、s、H−14)。
【0105】
13C NMR(CDCl
3、150MHz)δ21.40(C−1)、32.08(C−2)、72.31(C−3)、75.08(C−4)、157.81(C−5)、40.00(C−6)、22.21(C−7)、34.94(C−8)、199.95(C−9)、132.41(C−10)、29.76(C−11)、19.11(C−12)、21.53(C−13)、21.72(C−14)。
【0106】
5.5 テクトクリシン(化合物PDC−2521)の同定
【0107】
【化6】
【0108】
実施例5.1の全7画分のうち第1の画分(すなわち、FR−1)をRP−18ゲルカラムに充填し、75%MeOHで溶出させ、更なる5画分を得た(FR−11、FR−12、FR−13、FR−14及びFR−15)。FR−12画分をさらに分取HPLC分析に供し、化合物PDC−2521を得た。
【0109】
MS:268(Bruker MS)[M+H]
+(269)(C
16H
12O
4)
【0110】
1H NMR(CDCl
3、600MHz)δ6.66(1H、d、H−3)、6.36(1H、d、J=2.1Hz、H−6)、6.49(1H、d、J=2.1Hz、H−8)、7.87〜7.89(1H、m、H−2’)、7.49〜7.55(1H、m、H−3’)、7.49〜7.55(1H、m、H−4’)、7.49〜7.55(1H、m、H−5’)、7.87〜7.89(1H、m、H−6’)、3.87(1H、s、OME)。
【0111】
13C NMR(CDCl
3、150MHz)δ163.98(C−2)、105.83(C−3)、182.51(C−4)、162.10(C−5)、98.17(C−6)、165.55(C−7)、92.66(C−8)、157.75(C−9)、105.67(C−10)、131.24(C−1’)、126.28(C−2’)、129.08(C−3’)、131.85(C−4’)、129.08(C−5’)、126.28(C−6’)、55.82(OME)。
【0112】
5.6 イザルピニン(化合物PDC−2524)の同定
【0113】
【化7】
【0114】
実施例5.1の全7画分のうち第1の画分(すなわち、FR−1)をRP−18ゲルカラムに充填し、75%MeOHで溶出させ、更なる5画分を得た(FR−11、FR−12、FR−13、FR−14及びFR−15)。FR−12画分をさらに分取HPLC分析に供し、化合物PDC−2524を得た。
【0115】
MS:284(Bruker MS)[M+H]
+(285)(C
16H
12O
5)
【0116】
1H NMR(CDCl
3、600MHz)δ6.36(1H、d、J=2.1Hz、H−6)、6.49(1H、d、J=2.1Hz、H−8)、8.19〜8.17(1H、m、H−2’)、7.46〜7.51(1H、m、H−3’)、7.46〜7.51(1H、m、H−4’)、7.46〜7.51(1H、m、H−5’)、8.19〜8.17(1H、m、H−6’)、3.87(1H、s、OME)。
【0117】
13C NMR(CDCl
3、150MHz)δ145.20(C−2)、136.54(C−3)、175.41(C−4)、160.74(C−5)、98.01(C−6)、165.88(C−7)、92.18(C−8)、156.96(C−9)、103.97(C−10)、130.64(C−1’)、127.57(C−2’)、128.61(C−3’)、130.28(C−4’)、128.61(C−5’)、127.57(C−6’)、55.87(OME)。
【0118】
実施例6 アルピニア種抽出物は、dl−5−ヒドロキシトリプトファン(5−HTP:5−Hydroxytryptophan)によって誘発された異常排便及び/又は内臓過敏を効果的に治療する。
セロトニンは、腸管神経系における主要かつ重要なモノアミン型神経伝達物質である。体内のセロトニンの95パーセントは腸、主にエンテロクロマフィン様(ECL:enterochromaffin like)細胞及び腸ニューロン中に見られ、残りは中枢神経系(CNS:central nervous system)に見られる。セロトニンは、胃腸管とCNSの間の突出した内臓ニューロンの感受性を高めることができ、腸のすべての統合機能に関与する。
【0119】
セロトニンは、IBSにおける新たな神経調節物質として作用するので、セロトニンに転化されるdl−5−ヒドロキシトリプトファン(5−HTP)を、IBSに付随する異常排便症候を治療する実施例1から4のアルピニア種抽出物の効力を評価するためにこの実施例ではIBS刺激剤として使用した。一方、発病又はIBSにおける決定的因子である内臓過敏(VH:visceral hypersensitivity)を、行動反応動物モデルと共に、それぞれIBSに付随する腹痛症候を治療する実施例1から4のアルピニア種抽出物の効力を評価するために使用し、5−HTPをIBS刺激剤として使用した。
【0120】
実験手順は、Ricerca Biosciences,LLC(台湾)、National Yang−Ming University(台湾)又はFu−Jen Catholic University(台湾)の動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC))によって認可され、国の動物愛護規則に従って実施された。
【0121】
5−HTPによって誘発された下痢及び/又は異常排便を評価するための動物モデル
雄のICRマウス(BioLASCO Taiwan Co.,Ltd.、台湾)を空調された動物シェルター内で22℃から24℃の室温で湿度レベル(40%から50%)を制御して12時間明暗サイクルで飼育した。各マウスは、試験開始時、30から34gの重さであった。水道水及び標準実験室げっ歯類固形飼料を自由に摂らせた。
【0122】
各群は10匹のマウスからなり、試験群の各マウスに1日目に本発明のアルピニア種抽出物を2回経口投与し(すなわち、500mg/kg、1,000mg/kg又は2,000mg/kg)、2日目に3回目を投与した。3回目のアルピニア種抽出物投与からちょうど60分後に5−HTP(腹腔内、10mg/kg)を1回投与した。幾つかの場合においては、本発明のアルピニア種抽出物を経口の代わりに腹腔内に投与した。比較のために、塩酸ロペラミド(経口;2mg/kg)、塩酸オンダンセトロン(ondansteron)(経口;2mg/kg)又は塩酸グラニセトロン(graniserton)(経口;2mg/kg)を5−HTP投与のちょうど30分前に対照動物にそれぞれ1回投与した。5−HTP注射の30分後、各動物の排便が観察され、30分間の排せつ便数及び下痢スコアそれぞれをそれに応じて記録した。下痢スコアは、0から3の任意のスコア尺度によって便の硬さを記述するように設計され、0は固体の便であり、1は緩い便であり、2は少し液状の便であり、3は水っぽい便である。
【0123】
5−HTPによって誘発された内臓過敏を評価するための動物モデル
雄のスプレーグドーリーラット(BioLASCO Taiwan Co.,Ltd.、台湾)を空調された動物シェルター内で22℃から24℃の室温で湿度レベル(40%から50%)を制御して12時間明暗サイクルで飼育した。各ラットは、試験開始時、200から350gの重さであった。水道水及び標準実験室げっ歯類固形飼料を自由に摂らせた。
【0124】
別段の記載がない限り、各群は6匹のラットを含み、動物を絶食させずに実験を実施した。植物抽出物及び正の対照薬物を動物に経口又は腹腔内投与した。1日目、エーテル麻酔をして、筋電図(EMG:electromyogram)電極を各動物の外腹斜筋に移植し、次いで、動物を移植処置からさらに6日間回復させた。8日目、動物に5−HTP(10mg/kg)を1回皮下注射して、内臓過敏を誘発し、結腸直腸の膨張(CRD:colorectal distention)に対するその反応をEMGによって記録した。賦形剤群の動物に、対応する実験群の同じ賦形剤と共に食塩水を経口投与し、一方、実験群の動物には実施例1のアルピニアオキシフィラ抽出物又は別の抗VH薬(例えば、グラニセトロン10mg/kg)を指定の時間及び投与量で経口投与した。
【0125】
異常屈筋反射(AWR:Abnormal Withdrawal Reflex)を測定することによって慢性内臓過敏を評価するための動物モデル
このモデルでは、内臓運動反射に類似した不随意運動反射であるAWRを測定することによって行動反応を調べた。AWRの等級を刺激強度によって決定した。
【0126】
雄のスプレーグドーリーラット(BioLASCO Taiwan Co.,Ltd.、台湾)を空調された動物シェルター内で22℃から24℃の室温で湿度レベル(40%から50%)を制御して12時間明暗サイクルで飼育した。各ラットは、試験開始時、200から350gの重さであった。水道水及び標準実験室げっ歯類固形飼料を自由に摂らせた。別段の記載がない限り、各群は6匹のラットを含み、動物を絶食させずに実験を実施した。植物抽出物及び正の対照薬物を動物に経口又は腹腔内投与した。
【0127】
行動学的研究を既報の手順に従って評価した(アル−カエア(AL−CHAER)ら、胃腸病学(Gastroenterology)2000,119:1276−1285)。手短に述べると、次いで、ラットを高いプレキシガラス台上のルサイト小部屋(20×8×8cm)に収容し、覚醒させ、順応させた(1時間)。動物に5−HTP(10mg/kg)を1回皮下注射して、内臓過敏を誘発し、AWRを測定することによって行動反応を調べた。AWRの測定は、盲検観察者による動物反応の目視観察、及びAWRスコアの割当てからなる:0、行動反応なし;1、短時間の頭部運動、続いて静止;2、腹部を台から持ち上げない腹筋の軽度の収縮;3、腹筋の強い収縮、腹部が台から持ち上がる;4、体の湾曲と骨盤構造の持ち上げによって現れる腹筋の激しい収縮。行動測定を2名の盲検観察者によって繰り返した。
【0128】
結果をすべて平均±STDとして表し、nは各群の動物を指す。各群の動物間の差を一元配置ANOVA、続いてダネット検定によって比較した。0.05以下のp値を統計的に有意とみなした。
【0129】
6.1 実施例1のアルピニアオキシフィラは、IBSに付随する異常排便及び腹痛の治療に有効である。
IBSに付随する異常排便の治療に対する実施例1のアルピニアオキシフィラの効果を
図1及び2に示す。下痢スコアを測定し、排せつ便数を30分間数えることによって効果をそれぞれ評価した。
図1から明らかなように、実施例1.1.2、1.1.3、1.1.1.1、1.1.1.1.1、1.2.1.1及び1.2.1.1.2の水及びアルコール抽出物は、オピオイド受容体作動物質ロペラミド又は5−HT
3受容体拮抗物質(例えば、オンダンセトロン又はグラニセトロン)に匹敵する1,000mg/kgの最小用量で経口投与したときに、IBSに付随する異常排便の改善に有効である。IBSに付随する異常排便の改善は、実施例1.1.1.1のアルピニアオキシフィラ抽出物を腹腔内投与したときにより大きく、30mg/kgの低用量で抗異常排便作用を発揮するのに十分であり、経口投与するときに必要な用量の約1/10の100mg/kgでかなりの効果が認められた(
図2Aから2J)。同様に、アルピニアオキシフィラのアセトン抽出物又は酢酸エチル抽出物も、IBSに付随する異常排便を改善することができた(
図2K及び2L)。
【0130】
実施例1の抽出物の抗異常排便効果を、IBSに付随する症候の改善に関して、別の一般に処方される鎮けい剤、例えばメペンゾラートとも比較した。実施例1.1.1.1と1.2.1.1の両方の抽出物は、メペンゾラート(50mg/kg、3回経口投与)よりも関連症候の緩和に有効であった(結果示さず)。
【0131】
実施例1のアルピニアオキシフィラ抽出物の抗腹痛効果を
図3から6に示す。
図3及び4に示したように、実施例1.1.2(すなわち、PDC−1850)及び実施例1.1.3(すなわち、PDC−1918)の精製水抽出物粉体、実施例1.1.1.1の水抽出物ペースト(すなわち、PDC−2363)、並びに実施例1.1.1.1.1の精製水抽出物ペースト(すなわち、PDC−2530)はすべて、5−HTPによって誘発された内臓過敏を軽減することができ(すなわち、賦形剤対照に比べて)、その効果は、5−HT
3受容体拮抗物質(例えば、グラニセトロン又はオンダンセトロン)よりもはるかに大きい。同様に、アルピニアオキシフィラの50%エタノール抽出物(すなわち、実施例1.2.1.1、すなわちPDC−2364、及び実施例1.2.1.1.2、すなわちPDC−2532)(
図5A、5B及び5D)、並びにアルピニアオキシフィラのEA(すなわち、実施例1.4.1、すなわちPDC−2478)及びアセトン抽出物(すなわち、実施例1.3.1、すなわちPDC−2479)(
図6A及び6B)は、それぞれ、同じ抗5−HTP誘発内臓過敏効果を示した。
【0132】
AWRスコアによって測定された行動反応を表1及び2に要約する。
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
表1に示したように、実施例1.1.1.1の水抽出物ペースト(すなわち、PDC−2363)で処理したラットのAWRスコアは、対照ラット又はグラニセトロン処理を受けたラットよりもかなり低い。実施例1.1.1.1のアルピニアオキシフィラ抽出物が腹痛の軽減に有効であることが明らかである。
【0136】
同様に、表2において、実施例1.2.1.1.2の精製エタノール抽出物ペースト(すなわち、PDC−2532)で処理したラットのAWRスコアは、対照ラットよりもかなり低い。アルピニアオキシフィラの精製エタノール抽出物ペースト(すなわち、実施例1.2.1.1.2)が腹痛の軽減に有効であることが明らかである。
【0137】
総合すると、これらの結果は、上記方法によって調製されたアルピニアオキシフィラ抽出物が、IBSに付随する症候、特に異常排便及び腹痛の治療に有用であることを示している。
【0138】
6.2 実施例2のアルピニアハイナネンシス抽出物は、IBSに付随する異常排便及び腹痛の治療に有効である。
IBSに付随する症候の治療に対する実施例2のアルピニアハイナネンシス抽出物の効果を上記類似手順に従って評価する。結果を
図7及び8に示す。アルピニアハイナネンシスの水(すなわち、PDC−2471)及びエタノール抽出物(すなわち、PDC−2472)の両方は、対照動物に比べて、IBS動物における下痢スコア及び/又は排せつ便数、並びに5−HTPによって誘発された内臓過敏を低下させることができた(
図8A及び8B)。
【0139】
6.3 実施例3のアルピニアガランガ抽出物は、IBSに付随する異常排便及び腹痛の治療に有効である。
IBSに付随する症候に対する実施例3のアルピニアガランガ抽出物の効果を
図9及び10に示す。アルピニアガランガの水抽出物(すなわち、PDC−2147及びPDC−1885)は、対照動物(
図9C)に比べて、IBS動物における下痢スコア及び/又は排せつ便数(
図9A及び9B参照)、並びに5−HTPによって誘発された内臓過敏を低下させることができた。同様の効果は、アルピニアガランガのエタノール抽出物でも認められた(
図10)。
【0140】
6.4 実施例4のアルピニアゼルムベット抽出物は、IBSに付随する異常排便及び腹痛の治療に有効である。
IBSに付随する症候に対する実施例4のアルピニアゼルムベット抽出物の効果を
図11に示す。水抽出物(すなわち、PDC−2473)とエタノール抽出物(すなわち、PDC−2474)の両方は、対照動物(
図11C)に比べて、IBS動物における下痢スコア及び/又は排せつ便数(
図11A及び11B参照)、並びに5−HTPによって誘発された内臓過敏を低下させることができた。
【0141】
実施例7 実施例5の化合物は、IBSに付随する異常排便を効果的に治療する。
実施例1.1.1.1のアルピニアオキシフィラの水抽出物ペースト(すなわち、PDC−2363)から単離された精製化合物の抗異常排便効果を、実施例6の同じ動物モデルを使用して、類似手順で評価した。結果を
図12に示す。
【0142】
精製化合物PDC−2453、PDC−2454、PDC−2460及びPDC−2464はそれぞれ、5−HTPによって誘発された下痢(
図12A)を抑制し、排せつ便数(
図12B)を減少させることができる。同様の抗異常排便効果は、化合物PDC−2521でも認められた(
図12C及び12D)。したがって、これらの化合物は、IBSの治療薬を開発するための潜在的候補である。
【0143】
実施例8 実施例5の化合物は、IBSに付随する腹痛を効果的に治療する。
実施例5の化合物の抗腹痛効果も、AWRスコアによって測定される動物の行動反応を調べることによって検討し、表3に要約した。
【0144】
【表3】
【0145】
表3に示すように、実施例5.3(すなわち、PDC−2464)又は実施例5.8(すなわち、PDC−2524)の化合物で処理されたラットのAWRスコアは、対照ラットよりもかなり低い。アルピニアオキシフィラから単離された活性化合物は、腹痛の軽減に有効であることが明らかである。
【0146】
実施形態の上記記述は、単なる例示にすぎず、種々の改変を当業者が成し得ることが理解されるであろう。上記明細書、実施例及びデータは、本発明の例示的実施形態の構造及び使用の完全な記述である。本発明の種々の実施形態をある程度詳細に、又は1つ以上の個々の実施形態を参照して上述したが、当業者は、開示された実施形態に本発明の精神又は範囲から逸脱することなく多数の変更を加えることができる。