(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の営業支援システムによれば、営業部門の情報共有・提供により営業パーソン個人を支援することは可能である。しかし、営業社員の力量によって情報の活用の程度に大きな差が発生しており、誰もが情報を有効活用できるようにするための改善が望まれている。
【0009】
また特許文献1に記載された業務管理システムは、従業員の空間的及び時間的な行動を管理し、訪問先まで円滑に移動できるように支援することは可能であるが、営業に対する直接的な支援を先回りして行うものではない。特許文献2も携帯電話から提供される位置情報を利用することでタクシーの配車時に必要な顧客の現在位置を容易に特定しているだけであり、営業を積極的に支援するものではない。
【0010】
したがって、本発明の目的は、社員の業務を積極的に支援して管理することが可能な業務支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明による業務支援システムは、社員の業務を管理する管理サーバと、前記社員によって所持され、通信ネットワークを介して前記管理サーバにアクセス可能な携帯端末と、前記管理サーバと連携してデータを管理するデータベースとを備え、前記携帯端末は、現在の位置情報及びその取得時刻情報を前記管理サーバに定期的又は不定期に送信し、前記管理サーバは、前記携帯端末の位置情報及びその取得時刻情報を前記データベースに登録すると共に、前記位置情報及びその取得時刻情報を前記社員の業務スケジュールデータと比較して前記社員が所定の時刻に所定の場所で所定の業務を実施しようとしているかどうかを判断し、前記判断結果に基づいて前記社員が前記所定の業務を実施するために必要な業務支援データを前記データベースから読み出して前記携帯端末に提供することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、携帯端末から送られてくる現在位置情報に基づいて社員の行動を先回りしてフォローすることができ、社員の業務を積極的に支援して管理することができる。また携帯端末の現在位置情報と社員の業務スケジュールとの一致をキーにして業務支援データを提供するので、社員の業務に必要な情報の提供を自動的に開始することができる。したがって、社員自らが企業内データベースにアクセスして必要な情報を探す必要がなく、社員の力量による情報活用の差をできるだけ小さくすることができ、企業内情報の有効利用による業務の効率化を図ることができる。
【0013】
本発明において、前記管理サーバは、前記社員が前記所定の時刻に前記所定の場所にいると判断した場合に、前記所定の業務を構成する複数の作業ステップの実施を指示する作業指示データを作業手順に沿って前記携帯端末に提供することが好ましい。このように、携帯端末の現在位置情報と社員の業務スケジュールとの整合が取れた場合には携帯端末に作業指示データが提供されるので、社員は作業指示に従って作業を行うだけで業務を円滑に進めることができ、あたかもベテラン社員のように業務を完了させることが可能となる。すなわち、社員の力量によって作業品質に大きな差を発生させることなく、誰もが一定の品質の業務を実施することが可能となる。
【0014】
本発明において、前記作業指示データは、作業完了を通知する作業完了フラグ又は作業完了の証拠となる作業完了報告データを送信するように指示するデータを含み、前記管理サーバは、前記作業ステップごとに送られてくる前記作業完了フラグ又は前記作業完了報告データを前記作業実績データとして前記データベースに登録すると共に、前記作業完了フラグ又は前記作業完了報告データを受信するまで次の作業ステップに移行しないことが好ましい。これによれば、社員が各作業ステップを確実に行うことができ、また所定の作業ステップで得られた業務実績データを社員の評価データとして利用することができる。またデータベースに登録された作業完了報告データは、当該社員又は他の社員のその後の業務を支援する新たな業務支援データとして利用することができ、企業内データベースのさらなる有効活用を図ることができる。
【0015】
本発明において、前記携帯端末は、前記作業完了フラグ又は前記作業完了報告データと一緒に現在の位置情報及びその取得時刻情報を送信し、前記管理サーバは、前記作業完了フラグ又は前記作業完了報告データと共に前記携帯端末から送られてきた前記位置情報及びその取得時刻情報を前記データベースに登録することが好ましい。このように、携帯端末が作業完了フラグ又は作業完了報告データと一緒に現在位置情報を送信することで、作業ステップと位置情報との関連性を正しく評価することが可能となる。また、作業完了時に送られてきた位置情報に基づいて次の作業ステップで必要となる作業指示データや業務支援データを選択することができ、社員の行動との関連性が高い作業指示データや業務支援データを積極的に提供することができる。さらに作業完了フラグ又は作業完了報告データと紐付けられた位置情報の取得時刻を作業ステップの完了時刻として利用することができ、これにより作業ステップの完了時刻データを独立して用意する必要がなくなり、データ構造を簡素化することができる。また位置情報の取得時刻を作業完了の時刻データとして用いることにより、各作業ステップ及び業務全体にかかった時間が明確になり、より精度の高い人件費の算出に役立てることができる。
【0016】
本発明において、前記作業指示データは、顧客の名刺の写真を撮影するように指示するデータを含み、前記管理サーバは、前記携帯端末から送られてきた前記名刺の写真データを画像処理及び解析して顧客データを生成し、当該顧客データを前記データベースに登録することが好ましい。これによれば、顧客からの名刺のもらい忘れを防いで顧客データベースを確実に更新することができる。
【0017】
本発明において、前記業務支援データは、出席者候補リストを含み、前記作業指示データは、前記出席者候補リストから出席者を選択するように指示すると共に、前記出席者候補リストに含まれていない新規出席者がいる場合には当該新規出席者の名刺の写真を撮影するように指示するデータを含み、前記管理サーバは、前記携帯端末から送られてきた前記出席者の選択データを前記データベースに登録すると共に、前記携帯端末から送られてきた前記名刺の写真データを画像処理及び解析して顧客データを生成し、当該顧客データを前記データベースに登録することが好ましい。これによれば、企業内データベースにある顧客データベースを有効に利用して社員の業務を積極的に支援することができる。また、新規出席者からの名刺のもらい忘れを防いで顧客データベースを確実に更新することができる。
【0018】
本発明において、前記作業指示データは、現場の写真又は動画を撮影するように指示するデータを含み、前記管理サーバは、前記携帯端末から送られてきた前記現場の写真又は動画を前記データベースに登録することが好ましい。これによれば、作業完了報告データとしての施工写真の撮り忘れを防ぐことができる。
【0019】
本発明において、前記携帯端末は電子決済管理機能を有し、前記作業指示データは、所定の店舗に入店するように指示するデータを含み、前記管理サーバは、前記携帯端末から送られてきた前記位置情報から前記社員が前記所定の店舗に入店したと判断した場合に、前記携帯端末に電子マネー又はクレジットカード若しくはデビットカードの利用限度額をデポジットすることが好ましい。この場合において、前記作業指示データは、店舗候補リストから利用店舗を選択するように指示するデータをさらに含み、前記管理サーバは、前記携帯端末の現在位置から前記利用店舗までの経路情報を前記携帯端末に提供すると共に、前記利用店舗に入店するように指示し、前記携帯端末から送られてきた前記位置情報から前記社員が前記利用店舗に入店したと判断した場合に、前記携帯端末に前記電子マネー又は前記クレジットカード若しくは前記デビットカードの利用限度額をデポジットすることが好ましい。これによれば、例えば顧客を会食で接待する業務において、社員は会社経費で会計を済ませることができ、本人が経費を立て替える必要がない。また決められた利用限度額の範囲内でデポジットするので過度な出費を防止することができ、また経費の架空請求を防止することもできる。
【0020】
本発明において、前記携帯端末は録音機能を有し、前記所定の業務を開始するタイミングで録音を開始し、前記社員の声量レベルが閾値以下の場合にその旨を表示することが好ましい。これによれば、業務中の音声データを自動的に取得することができ、打ち合わせの議事録などを自動で作成することができる。また、打ち合わせ時の声が小さい場合には顧客に好印象を与えることができないため、そのような場合に注意を与えることで社員の発声を直ちに改善することができる。
【0021】
本発明において、前記携帯端末は、自身の静止状態又は行動状態を検出して状態検出情報を生成する状態検出機能を有し、前記携帯端末は、前記状態検出情報を前記位置情報と一緒に前記管理サーバに送信し、前記管理サーバは、前記状態検出情報を前記位置情報と共に前記データベースに登録することが好ましい。これによれば、位置情報ではほとんど位置変化がなく一か所に留まっている社員の状態を評価することができる。すなわち、位置情報と状態検出情報との両方から社員の作業状況を総合的に判断し、状態検出機能が状態変化を検出しない場合には、例えば社員が作業をせず休憩していると判断することができ、休憩時間や休憩場所を確認することができる。また、休憩をとらせて社員の健康管理に役立てることが出来る。
【0022】
本発明による業務支援システムは、前記データベースを閲覧可能な管理端末をさらに備え、前記管理端末は、前記データベースに登録されている前記携帯端末の位置情報の時系列を前記社員の行動履歴として取得し、前記社員の前記作業ステップとの相関が分かるように前記社員の前記行動履歴を表示することが好ましい。これによれば、社員の技量を可視化して細かく評価することができる。したがって、社員の作業効率の改善及び現場作業の効率化を図るためのツールとして活用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、社員の業務を積極的に支援して管理することが可能な業務支援システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態による業務支援システムの構成を概略的に示す図である。
【0027】
図1に示すように、業務支援システム1は、社員の業務を管理する管理サーバ2と、各社員によって所持されるスマートフォン等の携帯端末3と、管理サーバ2と連携して企業内のさまざまなデータを蓄積し管理するデータベース4と、管理サーバ2が管理しているデータベース4の閲覧が可能な管理端末5とを備えている。携帯端末3は、携帯電話回線網や公衆無線LAN等の無線ネットワークを通じてインターネット9などの公衆通信ネットワークに接続することができ、インターネット9を介して管理サーバ2と通信可能となっている。管理サーバ2及び管理端末5はインターネット9又はLAN(不図示)を介してデータベース4と通信可能である。
【0028】
管理サーバ2は、社員を管理する会社などが運営・管理する情報処理装置である。この管理サーバ2は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータであって、サーバとしての一般的なハードウェア構成を有している。すなわち、管理サーバ2は、CPU(Central Processing Unit)等の制御部、ハードディスク、メモリ等のデータ記憶部、キーボード、マウス等の入力部、ディスプレイ等の表示部、NIC(Network Interface Card)等の通信部を有している。管理サーバ2のハードウェア構成はその機能を実現できる限りにおいて特に限定されず、単一のマシンで構成されていてもよく、複数台のマシンを組み合わせて構成されたものであってもよい。さらに管理サーバ2はクラウドやブロックチェーンとして構成されたものであってもよい。
【0029】
携帯端末3は、社員が利用する情報処理装置である。携帯端末3はスマートフォンであることが好ましいが、GPS機能及びカメラ機能を有するタブレット端末やフューチャーフォン(ガラケー)であってもよく、あるいはウェアラブル端末であってもよい。携帯端末3は、CPU等の制御部、メモリ等のデータ記憶部、3G/4G/5G等の携帯電話回線網や公衆無線LANを介してデータ通信を行う無線通信部、タッチパネルディスプレイ等の入力部及び表示部、マイク、スピーカー、カメラモジュール、GPSモジュール、NFC(Near Field Communication:近距離無線通信部)、加速度センサーやジャイロセンサーなどの各種センサー等を有している。
【0030】
社員はさまざまな場所に出向いて実際に業務を行う。
図1には4人の社員W
1、W
2、W
3、W
4が示されており、このうち営業社員W
1が営業先P
1に出向いており、技術社員W
2及び現場社員W
3が工事現場P
2に出向いており、事務社員W
4は社内P
3で業務を行っている。
【0031】
データベース4は、管理サーバ2と連携して携帯端末3や管理端末5にさまざまなデータを提供する。また携帯端末3から管理サーバ2に送られる業務上の情報はデータベース4に登録される。データベース4に登録される情報はさまざまであるが、社員の業務スケジュールデータ、社員の業務実績データ、社員の業務を支援するために用いられる業務支援データなどである。
【0032】
管理端末5は、例えば管理職の社員M
1が利用する情報処理装置であって、デスクトップPC、ラップトップPC、ノートPC等のパーソナルコンピュータであってもよく、携帯端末3と同様にタブレット端末やスマートフォンであってもよい。管理端末5は、携帯端末3から管理サーバ2に適時送られてきてデータベース4に登録されるデータを取得して表示することができる。この場合、管理端末5には、特別なアプリケーションプログラムがインストールされていてもよく、あるいはそのようなアプリケーションプログラムをインストールすることなく、Webブラウザの組み込みプログラム又は追加プログラムを利用するものであってもよい。管理端末5は、管理サーバ2を介してデータベース4にアクセスできてもよく、データベース4に直接アクセスできてもよい。
【0033】
管理サーバ2にはオペレーションシステム(OS)等の基本プログラムの他、業務支援サービスの提供に必要な各種ソフトウェアがインストールされている。管理サーバ2にインストールされるソフトウェアは、例えばデータベースサーバ、Webサーバ、FTPサーバ等である。そして管理サーバ2の制御部がプログラム又はデータを処理し、ハードウェア全体が制御部の指示に従って動作することにより、以下の機能ブロックが実現される。
【0034】
図2は、管理サーバ2及びデータベース4の機能ブロック図である。
【0035】
図2に示すように、管理サーバ2は、社員の業務スケジュールデータ及び業務・作業内容を管理する業務スケジュール管理部2aと、社員の業務実績データを管理する業務実績管理部2bと、社員が業務を遂行する上で必要となるさまざまな情報を提供する業務支援データ提供部2cと、各社員が所持する携帯端末3からのログインを認証するログイン認証部2dとで構成されている。
【0036】
またデータベース4には、例えば、「社員情報」、「顧客情報」、「業務スケジュールデータ」、「工事履歴データ」、「過去の図面データ」、「作業指示内容」、「工程管理データ」、「在庫データ」、「名刺データ」、「与信データ」、「反社データ」、「インターネット上のデータのデータベース」、「販売内容(販売単価、契約)」、「原価データ」、「購入内容(購入単価、納期)、「知識データ」、「予算データ」、「評価データ」、「品質データ」、「人件費データ」、「商材のプレゼンデータ」などの情報が蓄積されている。またデータベース4には各社員の携帯端末3のGPS位置情報及びその取得時刻からなる「GPSログ」も蓄積されている。データベース4内のデータは種々のデータ構造やリレーションシップを取ることができ、複数のデータベースの集合体であってもよい。
【0037】
一方、携帯端末3にはOS等の基本プログラムの他、さまざまなアプリケーションプログラムがインストールされている。特に、管理サーバ2から情報サービスの提供を受けるため、携帯端末3には、業務管理用アプリケーションプログラムがインストールされている。そして、携帯端末3の制御部がプログラム及びデータを処理し、ハードウェア全体が制御部の指示に従って動作することにより、以下の機能ブロックが実現される。
【0038】
図3は、携帯端末3の機能ブロック図である。
【0039】
図3に示すように、携帯端末3は、管理サーバ2へのログインを制御するログイン制御部3a、管理サーバ2とデータ通信を行うための通信部3b、社員の業務スケジュールや作業ステップを管理する業務管理部3c、管理サーバ2から送られてくる作業指示や業務支援データを表示する表示部3d、作業実績データ等の入力を受け付けるデータ入力部3e、GPS位置情報を取得して送信するGPS位置情報送信部3f、静止画や動画を撮影するカメラ部3g、録音データを生成する録音部3h、携帯端末3の静止状態や行動状態を検出する状態検出部3i、Suicaなどの電子マネー、あるいはクレジットカードやデビットカードを管理する電子決済管理部3j(電子決済管理機能)等を備えている。
【0040】
次に、
図4〜
図8のフローチャート並びに
図9及び
図10の携帯端末3の画面例を参照しながら、業務支援システム1の動作について説明する。
【0041】
まず
図4に示すように、各社員は業務スケジュールデータを予め作成してデータベース4に登録しておく(ステップS11)。業務スケジュールデータは、例えば、自宅から直行でA社に出向いて10時から商材Xの商談を行い、次にB社に出向いて13時から商材Yの商談を行い、その後オフィスに戻るといった内容のものである。社員は携帯端末3から管理サーバ2にアクセスしてデータベース4に登録されている業務スケジュールデータをオンラインまたはオフラインで閲覧することができ、この業務スケジュールに従って行動する。携帯端末3は、毎日所定の時刻以降に当日又は翌日の業務スケジュールデータを自動的にダウンロードしてもよい。
【0042】
社員の業務スケジュールは1又は2以上の業務で構成され、一つの業務は複数の作業指示で構成されている。社員が作業指示に従って一連の作業ステップを順次進めることにより1つの業務が完了する。その後、社員は業務スケジュールに従って次の業務に着手し、すべての業務が完了するとその日の業務スケジュールが完了となる。
【0043】
携帯端末3は、GPS位置情報を自動で取得してその取得時刻情報と共に管理サーバ2に定期的又は不定期に送信する(ステップS12)。携帯端末3は、業務スケジュールデータに基づいてその日の最初の業務の開始時刻の例えば1時間前からGPS位置情報の送信を開始してもよく、あるいは、現地までの移動時間を自動計算し、業務の開始時刻よりも移動時間分遡った時刻からGPS位置情報の送信を開始してもよい。さらに携帯端末3は、GPS位置情報を一日中送り続けてもよい。
【0044】
携帯端末3は、管理サーバ2へのアクセスのためにログインID、パスワード、端末識別情報などをGPS位置情報と共に送信してもよい。また携帯端末3は、GPS位置情報と共に当該携帯端末3の静止状態や行動状態を判断するための状態検出情報を送信してもよい。詳細は後述するが、携帯端末3が状態検出情報を送信する場合には、GPS位置情報ではほとんど位置変化がなく一か所に留まっている社員の行動や状態を詳細に分析することができる。
【0045】
管理サーバ2は、携帯端末3から自動で定期的又は不定期に送られてくるGPS位置情報及びその取得時刻情報(GPSログ)をデータベース4に保存する(ステップS13)と共に、当該社員の業務スケジュールデータと比較し(ステップS14)、当該社員が所定の時刻に所定の場所(目的地)で所定の業務を実施しようとしているかどうかを判断する。なお現地に到着したかどうかを判断するための情報はGPS位置情報に限定されず、携帯電話回線網の基地局情報や公衆無線LANアクセスポイントの位置情報など、他の情報と組み合わせて判断してもよい。
【0046】
そして、社員が所定の時刻に所定の場所にいると判断した場合(ステップS15Y,S16Y)、管理サーバ2は、社員が業務スケジュール通りに業務を実施しようとしていると判断して業務支援を開始する(ステップS17)。例えば営業社員W
1が営業先P
1(A社)に行く予定になっている場合に、そこに何時に入ったのかをGPS位置情報及びその取得時刻情報等から確認し、予定通りに入ったことの確認が取れれば、作業手順に沿った作業指示と共に当該作業の遂行を支援するための業務支援データの提供を開始する。
【0047】
また、社員が所定の時刻に所定の場所にいないと判断した場合(ステップS15Y,S16N)、業務を行うべき所定の場所と社員の現在位置との距離等を考慮して業務スケジュールが変更(リスケジュール)される(ステップS18)。業務スケジュールの変更は当該社員によって行われてもよく、当該社員以外の者によって行われてもよい。代替スケジュールデータは承認のために上司の携帯端末3又は管理端末5に送られる。上司がスケジュール変更を承認した場合、社員は変更後の業務スケジュールに従って行動する。
図9(a)は社員の携帯端末3に表示されるリスケジュール変更画面の一例、
図9(b)は上司の携帯端末3に表示される業務スケジュールの変更承認画面の一例をそれぞれ示している。
【0048】
なお所定の業務の開始予定時刻前(ステップS15N)であれば、業務開始予定時刻に合わせた現在位置の出発時刻、電車に乗るルートや目的地のビルの写真などの予備的な業務支援データが携帯端末3からのGPS位置情報等に基づいて適切なタイミングで提供される(ステップS19)。また、管理サーバ2は、挨拶の仕方、身だしなみ、持ち物などの情報を予備的な業務支援データとして携帯端末3に提供してもよい。また業務開始予定時刻前においては、携帯端末3のGPS位置情報を考慮することなく、業務スケジュールのみに基づいて業務支援データが提供されてもよい。
【0049】
携帯端末3の表示部には業務支援開始の案内画面が表示される(
図5ステップS21)。例えば
図10(a)に示すように、業務支援開始の案内画面には、業務支援開始の「確認」ボタン61が表示され(ステップS22)、社員がこの「確認」ボタン61をタップすると(ステップS22Y)、作業手順に沿った作業指示と業務支援データの提供が開始される(ステップS23)。
【0050】
業務開始後の携帯端末3には作業手順に沿った作業指示が表示される。作業指示の内容は、例えば写真撮影(名刺、現場施工写真など)、商材のプレゼンデータの提示、電子見積書の作成、電子契約書の提示、申込書の提示など、さまざまである。例えば
図10(b)及び(c)に示すように、携帯端末3には「名刺交換時に名刺の写真を撮影してください」、あるいは「商材Xのプレゼンデータを提示して下さい」といった作業内容の説明が次々に表示される。作業指示は、所作、例えば挨拶・身だしなみ、声の大きさについて指示するものであってもよい。さらに図示のように、作業指示画面には「戻る」ボタン66や「中止」ボタン67などの操作ボタンが表示されてもよい。
【0051】
また携帯端末3には作業指示と共に業務支援データが適宜提供される。業務支援データは、社員が業務を行う際に必要なデータであり、データベース4に登録されているほとんどのデータを対象とすることができる。業務支援データは、例えば、A社の企業情報、販売しようとしている商材のプレゼンデータなどさまざまであり、これらが作業ステップに合わせて適切なタイミングで提供される。また営業トークのポイントなども表示され、携帯端末3の表示内容を読んでいけば営業が成立するようになっている。
図10(c)は、業務支援データとして「商材Xのプレゼンデータ」が提供される場合を示しており、「データを開く」ボタン64をタップすることでプレゼンデータを表示することができる。
【0052】
図10(a)の業務支援開始の「確認」ボタン61がタップされた業務開始時には、携帯端末3による録音動作が自動的に開始されることが好ましい。この場合、携帯端末3の録音レベル検出機能が会話中の社員の声量レベルを検出し、声が小さいと判断した場合には
図10(e)に示すようにその旨が携帯端末3の画面に表示されることが好ましい。打ち合わせ時の声が大きければ顧客に好印象を与えることができることから、声が小さい場合に注意を与えることで社員の行動を即時に改善することができる。録音は後述する業務終了となるまで継続し、録音データは業務終了後に管理サーバ2に転送される。管理サーバ2は録音データを解析し、音声認識処理により議事録データを自動作成し、録音データと共にデータベース4に保存する。管理サーバ2は、録音データから社員の会話中の声量レベルを自動評価してもよい。
【0053】
作業ステップでは必要に応じて作業完了の証拠となる作業完了報告データを送信するように要求され(ステップS24Y,S25)、作業完了報告データを管理サーバ2に送信するまでは次の作業ステップに進むことができない(ステップS25N)。作業完了報告データは、写真・動画、顧客データ、測定データ、図・表等であり、例えば、名刺の写真を撮影する作業指示においては、名刺の写真データが作業完了報告データである。
【0054】
携帯端末3から管理サーバ2に送られた作業完了報告データは、GPS位置情報等の複数のアクセスキーの一致をもってデータベース4内の適切な格納先に格納される。すなわち、社員が携帯端末3からデータベース4にアクセスして適切な格納先を指定する必要はない。携帯端末3から管理サーバ2に作業完了報告データが送信されると、次の作業ステップに移り(ステップS27Y,S28)、業務内の最後の作業ステップが終了するまで各作業ステップの処理が繰り返される(ステップS23〜S28)。
【0055】
なお作業完了報告データを送信する必要がない場合には(ステップS24N)、例えば画面上に用意された「作業完了」ボタン(不図示)をタップして作業完了フラグを送信するだけで次の作業ステップに進むことができる(ステップS26Y)。GPS位置情報は、作業完了フラグ又は作業完了報告データを送信するタイミングでそれらと一緒に送信されてもよい。このようにすることで、作業ステップと社員の行動履歴とを確実に紐づけることができる。
【0056】
作業完了フラグ又は作業完了報告データと紐付けられた位置情報の取得時刻は、作業ステップの完了時刻として利用することができる。これにより作業ステップの完了時刻データを独立して用意する必要がなくなり、データ構造を簡素化することができる。また位置情報の取得時刻を作業完了の時刻データとして用いることにより、各作業ステップ及び業務全体にかかった時間が明確になり、より精度の高い人件費の算出に役立てることができる。
【0057】
このとき、例えば社内P
3で業務を行っている事務社員W
4には、営業社員W
1が行った業務の評価及び人件費の算出業務が与えられてもよい。この場合、事務社員W
4には営業社員W
1が各作業ステップにかかった時間データや作業完了報告データが業務支援データとして提供され、さらに業務の評価及び人件費の算出業務を行うための細かな作業指示が示される。
【0058】
一連の作業ステップがすべて終了すると一つの業務の完了となる(ステップS27N)。すべての作業ステップの終了時には、携帯端末3に例えば
図10(d)に示すような業務支援終了の案内画面が表示され(
図6ステップS31)、業務支援終了の「確認」ボタン68がタップされることで次の業務支援のための処理に移ることができる(ステップS32Y)。
【0059】
業務完了の時点において、各作業ステップにかかった所要時間、品質データ、得られた知識データ等はデータベース4の所定の格納場所に既に格納済みとなっているが、業務完了後に社員が携帯端末3から所望のデータを追加することも可能である。これらの情報は次の業務の機会に業務支援データとして提供され、特に品質データや知識データは社員の能力データとしてフィードバックされる。例えば、業務にかかった所要時間(各作業ステップの合計時間)は、同一又は類似の業務の業務スケジュールを作成する際の所要時間の計算のためにフィードバックされる。フィードバックデータは次回の目標データとなり社員の評価データとして使用される。すなわち、業務結果が目標から大きく外れたかどうかを評価し、良い場合は評点が上がり、悪い場合は下がり、このデータはインセンティブ賃金データに紐づけされる。
【0060】
一つの業務が完了すると、社員は業務スケジュールを参照し、次の業務がある場合には所定の時刻に所定の場所で当該業務を開始する(ステップS33Y,S34)。次の業務も業務開始の確認の指示から始まり(ステップS21Y,S22)、業務を構成する一連の作業ステップの処理が繰り返される。なお次の業務がない場合にはその日の業務スケジュールがすべて終了となる(ステップS33N)。
【0061】
以下、業務支援の具体例について説明する。例えば、営業社員による新規顧客への最初の訪問業務では、スケジュールにある位置データをもとに顧客を訪問し、作業手順に従って商材のプレゼンデータを顧客に提示し、また顧客情報(写真等も含む)を管理サーバ2に送信する。
【0062】
また、見積もり金額の提示業務では、スケジュールデータにある位置データをもとに顧客を所定の訪問手順に従って原価データから顧客ごとの原価率データにより生成された見積もり金額、在庫データ、設計データから生成された仕様書、図面、納期等を提示する。条件の交渉後、修正データを管理サーバ2に送信する。その後、顧客が受注した場合には、受注金額、生産開始データ、資材発注データを管理サーバ2に送信する。受注金額を販売データベースに、生産開始データを工程データベース、資材発注データを在庫データベースにそれぞれ送信する。
【0063】
また
図7に示すように、商談業務では、商談開始時に携帯端末3に取引先の出席者候補リストが提供されると共に(ステップS41)、出席者を選択するように指示される(ステップS42)。ここで「出席者候補リスト」は業務支援データ、「出席者の選択」は作業指示、選択された「出席者」は作業完了報告データにそれぞれ該当する。出席者候補リストは業務スケジュールデータと一致するGPS位置情報等の複数のアクセスキーに基づいてデータベース4から読みだしたものであり、社員が出席者候補リストの中から出席者を選択すると(ステップS43)、そのデータが管理サーバ2に送られてデータベース4に登録される(ステップS44)。社員は、もともと企業内のデータベース4の顧客データベースに蓄積されている情報を選択するだけでよく、出席者の選択は数回のボタンのタップで完了させることができる。したがって、営業社員が出席者氏名を直接入力する手間を省くことができ、商談業務の支障になることはない。
【0064】
また出席者の中に出席者候補リストから選択できない初対面の出席者(新規出席者)がいる場合には、新規出席者から名刺をもらって写真撮影するように指示される(ステップS45Y,S46)。社員がその場で名刺の写真を撮影して管理サーバ2に送信するとデータベース4にすぐに登録されて管理下に置かれる(ステップS47Y,S48)。そして次の営業の機会には出席者候補リストに表示される。
【0065】
その後、管理サーバ2から出席者に関連する業務支援データが送られてくるので、商談時の参考にすることができる(ステップS49)。例えば、出席者のAさんはゴルフが趣味であるとか、Bさんには小さなお子さんがいるといったプライベートな内容、AさんやBさんの業務経歴など、さまざまな情報をリークしながら商談を円滑に進めてもらうことができる。
【0066】
また
図8に示すように、営業社員が顧客を会食で接待する業務では、GPS位置情報に基づいて現在位置近くの接待にふさわしい飲食店候補リストが提供され(ステップS51)、飲食店の一つを選択するように指示される(ステップS52)。飲食店情報は、飲食店情報を提供するポータルサイトと連携して提供されてもよい。
【0067】
営業社員が飲食店候補リストの中から一つの飲食店(利用店舗)を選択すると(ステップS53Y)、管理サーバ2はその飲食店までの経路案内情報を提供すると共に(ステップS54)、当該飲食店に入店するように指示する(ステップS55)。携帯端末3から送信されるGPS位置情報等に基づいて目的の飲食店に入店したことが確認されると(ステップS56Y)、管理サーバ2は所定金額の電子マネーを携帯端末3の電子決済管理機能にデポジットする(ステップS57)。したがって、営業社員は会社経費で会計を済ませることができ、本人が経費を立て替える必要がない。また決められた利用限度額の範囲内でデポジットするので過度な出費を防止することができる。また必要な時に必要な金額がデポジットされるので、経費の架空請求を防止することもできる。
【0068】
携帯端末3の電子決済管理機能は、電子マネーをチャージするいわゆるプリペイド方式のものに限定されず、クレジットカードやデビットカードの電子決済を利用するものであってもよい。クレジットカードやデビットカードの電子決済の場合、携帯端末3の電子決済管理機能にはいわゆる法人カードとしての権限が付与され、電子マネーではなく利用限度額が携帯端末3又はカード会社の決済管理システムにデポジットされる。利用限度額には利用回数(例えば1回限り)や利用期限(例えば12時間)などの利用条件が付加されてもよい。この場合も、営業社員は利用限度額の範囲内で会計を済ませることができ、本人が会社経費を立て替える必要がないので非常に便利である。また利用限度額が決められているので過度な出費を防止することができ、経費の架空請求を防止することもできる。
【0069】
図11は、管理端末5に表示される業務管理画面の一例を示す図である。
【0070】
図11に示すように、作業管理画面70には、業務名や社員名などの書誌事項が表示される書誌事項表示エリア71と、社員のマッピングされた行動履歴を表示する行動履歴表示エリア72と、社員の作業ステップを時刻に関連付けて表示する作業実績表示エリア73と、時刻変更ツマミ74aが設けられた時刻インジケータ74とが設けられている。作業実績表示エリア73において「作業ステップ(2)」の右側に設けられた「名刺」マーク73aは、作業ステップ(2)において名刺の写真が撮影されたことを示しており、このアイコンをクリックすると名刺の情報が表示される。
【0071】
行動履歴表示エリア72及び作業実績表示エリア73において、現在位置は色付きマークで示されている。時刻変更ツマミ74aを操作して時刻を変更すると、行動履歴表示エリア72及び作業実績表示エリア73において色付きマークが移動する。行動履歴表示エリア72には、取得したすべてのGPS位置情報が丸印でマッピングされている。GPS位置情報に紐付けられた作業ステップの種類等でフィルタリングしてGPS位置情報の一部を選択的に表示してもよい。このようにした場合には、GPS位置情報と社員の業務処理状況との関連性をよりわかりやすく表示することができる。現在進行中の作業については、携帯端末3から送られてくるGPS位置情報及び作業実績データがリアルタイムに表示される。
【0072】
その他にも、作業管理画面70には、書誌事項表示エリア71に所要時間などが表示される。また業務品質に関する情報一覧画面に移行するためのボタン75や、得られた知識データ一覧画面に移行するためのボタン76などが設けられている。これらをボタンを選択することで情報を閲覧することができる。
【0073】
現場社員に対する業務支援も営業社員と基本的に同様である。現場社員は、業務スケジュールに従って所定の時刻に所定の作業現場に出向き、所定の作業手順に従って作業を行い、作業ステップごとに作業支援データを受け取りながら、写真、動画、測定データなどの作業完了報告データを管理サーバ2に送信してデータベース4に保存する。現場作業中に携帯端末3から定期的又は不定期に取得される複数のGPS位置情報の時系列は、現場作業の開始から終了までの社員の行動履歴としてデータベース4に登録される。GPS位置情報は、作業完了フラグ又は作業完了報告データを送信するタイミングでそれらと一緒に送信されてもよい。
【0074】
携帯端末3からはGPS位置情報と一緒に携帯端末3の静止状態又は行動状態を検出して状態検出情報を送信してもよい。例えば携帯端末3に内蔵されている加速度センサーや傾きセンサーなどを用いた状態検出機能により、GPS位置情報ではほとんど位置変化がなく一か所に留まっている現場社員の状態を評価することができる。すなわち、携帯端末3の状態検出機能が状態変化を検出しない場合には、例えば現場社員が作業をせず休憩していると判断することができ、休憩時間や休憩場所を確認することができる。このように、GPS位置情報と状態検出情報との両方から現場社員の作業状況を総合的に判断した結果に基づいて、管理サーバ2から携帯端末3に必要な情報を送信するようにしてもよい。
【0075】
図12は、作業手順表示画面の一例を示す図である。
【0076】
図12(a)〜(f)に示すように、携帯端末3には、作業ステップごとに作業指示が表示される。
図12(a)は業務支援開始の案内画面であり、「作業開始」ボタン81をタップすることで
図12(b)に示す作業概要の表示画面に移行する。作業概要を案内することなく各作業ステップの説明に直ちに移行してもよい。
図12(b)の作業概要の表示画面において「次へ」ボタン82をタップすると、作業ステップに移行する。また「中止」ボタン86がタップされた場合には作業案内を中止することができ、「戻る」ボタン87がタップされた場合には一つ前の画面に戻る。
【0077】
図12(c)に示す「作業ステップ(1)」の表示画面は、作業ステップを単に説明する画面の一例であり、「作業完了」ボタンをクリックすることで次の作業ステップに移ることができる。現場社員が「次へ」ボタン82をクリックすると、管理サーバ2に作業完了フラグが通知され、当該作業ステップの終了がデータベース4に登録される。
【0078】
図12(d)に示す「作業ステップ(2)」の表示画面は、施工写真を撮影しなければ現在の作業ステップを完了して次の作業ステップに移ることができない表示画面の一例である。なお本例は写真を要求するものであるが、写真ではなく動画を要求してもよく、あるいは測定データを要求してもよい。携帯端末3は、作業の節目ごとに施工写真を撮影することを要求し、現場社員が「施工写真撮影」ボタン83をタップすることでカメラ機能が起動して写真撮影が可能となる。こうして撮影された施工写真は、作業完了フラグの通知とともに管理サーバ2にアップロードされ、データベース4に登録される。
【0079】
施工写真の撮影を要求する作業ステップでは、現場社員が施工写真を撮影して管理サーバ2にアップロードするまで当該携帯端末3の他の動作を制限することが好ましい。このようにすることで、施工写真の撮影を強制することができ、施工写真の撮り忘れを防止することができる。
【0080】
図12(e)に示す「作業ステップ(3)」の表示画面は、当該作業ステップに紐づけられた関連資料にアクセスして表示することが可能な画面の一例である。関連資料は各種図面データや設備マニュアルなどであり、データベース4に保存されているものである。「関連資料」ボタン84をタップすることでそれらの関連資料を表示することができる。
【0081】
すべての作業ステップが終了すると、
図12(f)に示す作業完了画面が表示され、「閉じる」ボタン85をタップすることで業務完了となる。こうして自動的に蓄積された作業実績データはデータベース4に登録され、今後の施工管理にフィードバックされる。例えば、現場社員に紐づけられた作業実績データは、現場社員の経験及び技量を評価するための指標として活用することができる。また作業実績データは、別の現場で同様の作業をする現場社員の参考資料として活用することができる。
【0082】
管理端末5は、携帯端末3からのGPS位置情報及び蓄積された位置情報、写真データ、社員の入力データなどの情報に基づいて、社員が所定の現場で所定の作業手順に従って正しく作業をしているかどうかを管理することができる。特に、データベース4に保存された社員の作業実績データは、管理端末5の画面上で閲覧することができる。管理端末5の画面には、作業実績データとの相関が分かるようにGPSログを表示することができる。すなわち、作業の進捗状況と共にGPSログを時系列で表示することができる。
【0083】
図13は、管理端末5に表示される作業管理画面の他の例を示す図であって、
図13(a)は社員の作業実績データ、
図13(b)は別の社員の作業実績データをそれぞれ示すものである。
【0084】
図13(a)及び(b)に示すように、作業管理画面90には、業務名や社員名(作業員名)などの書誌事項が表示される書誌事項表示エリア91と、社員のマッピングされた行動履歴を表示する行動履歴表示エリア92と、社員の作業ステップを時刻に関連付けて表示する作業実績表示エリア93と、時刻変更ツマミ94aが設けられた時刻インジケータ94とが設けられている。作業実績表示エリア93において「作業ステップ(2)」の右側に設けられた「PICT」マーク93aは、作業ステップ(2)において施工写真が撮影されたことを示しており、このアイコンをクリックすると施工写真が表示される。
【0085】
行動履歴表示エリア92及び作業実績表示エリア93において、現在位置は色付きマークで示されている。時刻変更ツマミ94aを操作して時刻を変更すると、行動履歴表示エリア92及び作業実績表示エリア93において色付きマークが移動する。行動履歴表示エリア92には、取得したすべてのGPS位置情報が丸印でマッピングされている。GPS位置情報に紐付けられた作業ステップの種類等でフィルタリングしてGPS位置情報の一部を選択的に表示してもよい。このようにした場合には、GPS位置情報と社員の業務処理状況との関連性をよりわかりやすく表示することができる。現在進行中の作業については、携帯端末3から送られてくるGPS位置情報及び作業実績データがリアルタイムに表示される。
【0086】
図13(a)に示すように、例えばある社員(「鈴木一郎」氏)は、すべての作業を終わらせるのに長時間を要しており、行動パターンに無駄があることが作業管理画面から分かる。また
図13(b)に示すように、別の社員(「山本健二」氏)は、各作業ステップを短時間で終わらせており、行動パターンに無駄がないことが作業管理画面から分かる。このように、管理端末5は、社員の作業実績データとの相関が分かるように社員の行動履歴(トラックレコード)を表示するので、社員の技量を可視化して細かく評価することができる。例えば、太陽光発電所の敷地内の草刈り作業などは個人の力量によって作業実績がまるで違うという問題があるが、このような問題を解決し、現場社員の作業効率の改善及び現場作業の効率化を図るためのツールとして活用することができる。
【0087】
以上説明したように、本実施形態による業務支援システム1は、携帯端末3から送られてくる位置情報に基づいて社員の行動を予測し、社員の作業を先回りしてタイムリーに支援するので、社員の力量による情報活用の差をできるだけ小さくして作業時間の短縮化と作業品質の向上を図ることができる。また、携帯端末3が所定の時刻に所定の場所から管理サーバ2にアクセスすると、管理サーバ2が時刻及び場所を含む複数のアクセスキーに基づいてデータベース4から必要な作業指示データ及び業務支援データを取り出して携帯端末3に送り、あるいは携帯端末3から送られてきた業務完了報告データ等の業務実績データをデータベース4に登録するので、社員自らが企業内データベースにアクセスして必要な情報を探す必要がない。したがって、社員の力量による情報活用の差をできるだけ小さくすることができ、誰もが社内の情報を有効活用しながら業務を遂行することができる。さらに本実施形態によれば、社員は所定の作業手順に従って業務を遂行するだけでればよく、各作業ステップを確実に完了させることができる。
【0088】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0089】
例えば、業務支援の対象となる「社員」は営業社員や現場作業員に限定されず、事務系社員や技術系社員など、あらゆる職種の社員を対象とすることができる。社内のいろいろな人々が業務を通じて蓄積していったさまざまな情報を有効に活用することで、企業活動を円滑にすることができる。さらにそれらの人々が担当業務をスケジュールに従って処理し、製造業務、営業補助業務、経理業務、資材調達業務などが全てリンクすることにより、社内のさまざまなプロジェクトを自動的且つ円滑に進行させることが可能となる。
【解決手段】業務支援システム1は、社員の業務を管理する管理サーバ2と、社員によって所持され、通信ネットワークを介して管理サーバ2にアクセス可能な携帯端末3と、管理サーバ2と連携してデータを管理するデータベース4とを備える。携帯端末3は、現在の位置情報及びその取得時刻情報を管理サーバ2に定期的又は不定期に送信する。管理サーバ2は、携帯端末3の位置情報及びその取得時刻情報をデータベース4に登録すると共に、位置情報及びその取得時刻情報を社員の業務スケジュールデータと比較して社員が所定の時刻に所定の場所で所定の業務を実施しようとしているかどうかを判断し、判断結果に基づいて社員が所定の業務を実施するために必要な業務支援データをデータベース4から読み出して携帯端末3に提供する。