(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存の船舶用のリモートコントローラの多くは推進機関の回転数を制御するガバナに対し、操船者により指定された回転数の設定値を含む動作指示を行う。ガバナは、動作指示に含まれる設定値に推進機関の回転数が近付くように推進機関の燃料油消費量を制御する。また、多くのリモートコントローラは、推進機関の現在の回転数を表示部に表示する。操船者は、設定した回転数で推進機関が正しく運転しているか否かをリモートコントローラの表示部を見て確認する。
【0006】
近年、大気環境保全や地球温暖化低減のために、海洋上における排ガス規制が強化される傾向にある。船舶が航行中に消費する燃料油の量に関する情報が、操船者の目に自然に入れば、操船者が効率的な燃料油消費をもたらす操船を心がけるようになり、結果として無駄な排ガスの排出が低減される。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑み、操船者が操船中に、船舶の航行に伴う燃料油の消費量を容易に知る手段の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明
は、
第1の態様として、船舶の推進機関の回転数を制御するガバナに対し前記推進機関の回転数が設定された一定範囲内となるように動作指示を行
う指示手段を備える指示装置であって、
前記推進機関の回転数を示す回転数データと、前記推進機関の燃料油消費量を示す燃料油消費量データを取得する取得手段と、前記回転数データが示す回転数に関する情報と、前記燃料油消費量データが示す燃料油消費量に関する情報を表示する表示手段と、基準時刻からの経過時間を測定する計時手段と、前記燃料油消費量データが示す燃料油消費量と前記計時手段により測定された経過時間とを用いて単位時間当たり燃料油消費量を演算する演算手段とを備え、前記表示手段は前記演算手段により演算された単位時間当たり燃料油消費量と前記計時手段により測定された経過時間とにより特定される単位時間当たり燃料油消費量の時系列変化を表示する指示装置
を提案する。
【0010】
また、本発明
は、
第2の態様として、船舶の推進機関の回転数を制御するガバナに対し前記推進機関の燃料油消費量が設定された一定範囲内となるように動作指示を行
う指示手段を備える指示装置であって、
前記推進機関の回転数を示す回転数データと、前記推進機関の燃料油消費量を示す燃料油消費量データを取得する取得手段と、前記回転数データが示す回転数に関する情報と、前記燃料油消費量データが示す燃料油消費量に関する情報を表示する表示手段と、基準時刻からの経過時間を測定する計時手段
とを備え、前記表示手段は前記回転数データが示す回転数と前記計時手段により測定された経過時間とにより特定される回転数の時系列変化を表示する指示装置
を提案する。
【0011】
また、本発明の第
1の態様において
、前記燃料油消費量データが示す燃料油消費量に関する値または当該燃料油消費量の変化量に関する値が閾値を超えたことを検知する検知手段と、前記検知手段による検知に応じた報知を行う報知手段とを備える、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0012】
また、本発明の第
2の態様において、前記指示手段は、前記ガバナに対し前記推進機関の燃料油消費量が設定された一定範囲内となるように動作指示を行い、前記回転数データが示す回転数に関する値または当該回転数の変化量に関する値が閾値を超えたことを検知する検知手段と、前記検知手段による検知に応じた報知を行う報知手段とを備える、という構成が第
4の態様として採用されてもよい。
【0013】
また、本発明の第
3または第
4の態様において、前記検知手段による検知に応じて前記ガバナに対する推奨される動作指示を特定する特定手段を備え、前記表示手段は、前記推奨される動作指示に関する情報を表示する、という構成が第
5の態様として採用されてもよい。
【0014】
また、本発明の第
5の態様において、前記指示手段は、操船者から前記推奨される動作指示の実行の指示が行われた場合、前記ガバナに対し前記推奨される動作指示を行う、という構成が第
6の態様として採用されてもよい。
【0015】
また、本発明の第
3乃至第
5のいずれかの態様において、前記検知手段による検知に応じて前記ガバナに対する推奨される動作指示を特定する特定手段を備え、前記指示手段は、前記ガバナに対し前記推奨される動作指示を行う、という構成が第
7の態様として採用されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、操船者は操船中に推進機関の回転数に関する情報を確認する際、燃料油の消費量に関する情報を自然と目にする。そのため、操船者が効率的な燃料油消費をもたらす操船を心がけるようになり、結果として無駄な排ガスの排出が低減される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施形態]
以下に本発明の一実施形態にかかる指示装置1を説明する。指示装置1は船舶に搭載され、船舶の推進機関の回転数を制御するガバナに対し動作指示を行う、一般的にリモートコントローラと呼ばれる装置である。
図1は指示装置1が搭載される船舶7の構成のうち指示装置1と関連する部分を模式的に示した図である。
【0019】
船舶7は、船体700と、船体700に搭載された推進機関701と、推進機関701に供給される燃料油を貯蔵する燃料油タンク702と、燃料油タンク702から推進機関701に供給される燃料油の移動経路を形成する給油パイプ703と、推進機関701の運転により回転駆動されるシャフト704と、船体700の外に突出したシャフト704の端部に取り付けられてシャフト704の回転に伴い回転するプロペラ705を備える。
【0020】
推進機関701には、推進機関701の回転数を制御するガバナ706と、推進機関701の回転数(単位は、例えば「min
-1」)を測定する回転計707が取り付けられている。なお、ガバナ706および回転計707の少なくとも一方が推進機関701に内蔵されていてもよい。
【0021】
ガバナ706は推進機関701における燃料油の噴射量を制御することにより、推進機関701の回転数を制御する。以下の説明において、ガバナ706は、設定された一定範囲内の回転数で推進機関701が運転するように推進機関701における燃料油の噴射量を制御する回転数一定モードと、設定された一定範囲内の燃料油消費量で推進機関701が運転するように推進機関701における燃料油の噴射量を制御する燃料油消費量一定モードのうち、操船者により選択されたいずれかの動作モードで動作するものとする。
【0022】
なお、ガバナ706が回転数一定モードおよび燃料油消費量一定モードのいずれか一方でのみ動作可能であってもよい。
【0023】
回転数一定モードにおいて、ガバナ706は回転計707による測定の結果を示す回転数データを回転計707から取得し、回転数データが示す推進機関701の回転数(実測値)が操船者により設定された回転数(設定値)に近づくように燃料油の噴射量を増減させる。
【0024】
給油パイプ703には、燃料油タンク702から推進機関701へと燃料油を移動させるポンプ708と、燃料油タンク702から推進機関701へ投入される燃料油の流量(単位は、例えば「L/hour」(liters per hour))を測定する流量計709が取り付けられている。
【0025】
指示装置1は船舶7の船橋に配置される。指示装置1には、ガバナ706、回転計707、および流量計709が接続されている。
【0026】
図2は指示装置1の構成を示した図である。指示装置1はユーザインタフェイス11とコントロールユニット12を備えている。
図3および
図4はユーザインタフェイス11の外観を示した図である。ユーザインタフェイス11はタッチディスプレイ101と操作レバー102を備えている。
図3および
図4においてタッチディスプレイ101に表示されている「設定を変更しない」ボタンおよび「設定を変更する」ボタンは操船者の操作を受け付ける仮想的な操作子の例である。操船者は操作レバー102を動かす操作に加え、タッチディスプレイ101に表示される仮想的な操作子に対するタッチ操作により、指示装置1に対する回転数や燃料油消費量の設定値の変更等を行うことができる。なお、タッチディスプレイ101に表示される情報については後述する。
【0027】
図2を参照しつつ、指示装置1の構成の説明を続ける。ユーザインタフェイス11は機能構成として表示手段111と操作子112を備える。表示手段111はタッチディスプレイ101が有するディスプレイにより実現される。操作子112には、上述のように、操作レバー102およびタッチディスプレイ101に表示される仮想的な操作子が含まれる。
【0028】
コントロールユニット12は、データ入出力インタフェイス121、指示手段122、記憶手段123、計時手段124、演算手段125、検知手段126、特定手段127、表示画面生成手段128を備える。
【0029】
データ入出力インタフェイス121(取得手段の一例)は、回転計707から出力される推進機関701の回転数(実測値)を示す回転数データと、流量計709から出力される推進機関701の燃料油消費量(実測値)を示す燃料油消費量データを受け取る。また、データ入出力インタフェイス121は、指示手段122により生成されたガバナ706に対する動作指示を示す指示データをガバナ706に対し出力する。
【0030】
指示手段122は、操作子112に対する操船者による操作に応じて、ガバナ706に対し動作指示を行う指示手段122を備える。
【0031】
より具体的には、指示手段122は、回転数一定モードにおいては、操作子112に対する操船者による操作に応じて新たな回転数の設定値を示す指示データを生成し、生成した指示データを、データ入出力インタフェイス121を介してガバナ706に出力する。この指示データは、ガバナ706に対し、例えば、指示データが示す一定の回転数で推進機関701が運転するように推進機関701を制御することをガバナ706に指示するデータである。なお、船舶7の航行中における推進機関701の回転数は様々な外部環境(潮、波、風等の方向および強さ等)によって常時変化する。従って、以下の説明において、ガバナ706に対し設定される回転数は1つの値であるものとするが、ガバナ706はその設定値を中値とする所定幅の範囲内(一定範囲内)の回転数となるように、推進機関701の運転を制御する。
【0032】
また、指示手段122は、燃料油消費量一定モードにおいては、操作子112に対する操船者による操作に応じて新たな燃料油消費量の設定値を示す指示データを生成し、生成した指示データを、データ入出力インタフェイス121を介してガバナ706に出力する。この指示データは、ガバナ706に対し、指示データが示す一定の燃料油消費量で推進機関701における燃料油の噴射が行われるように推進機関701を制御することをガバナ706に指示するデータである。なお、燃料油消費量一定モードにおいて設定される燃料油消費量も、回転数一定モードにおいて設定される回転数と同様に1つの値であるものとするが、ガバナ706はその設定値を中値とする所定幅の範囲内(一定範囲内)の燃料油消費量となるように、推進機関701の運転を制御する。
【0033】
記憶手段123は、各種データを記憶する。記憶手段123が記憶するデータには、例えば、データ入出力インタフェイス121が回転計707から継続的に受け取る回転数データ、データ入出力インタフェイス121が流量計709から継続的に受け取る燃料油消費量データ、演算手段125が行う演算の結果を示すデータ、検知手段126が行う検知の結果を示すデータ等が含まれる。これらの各種データの多くは、それらのデータの取得もしくは生成の時刻を示す時刻データに対応付けられて、ログデータとして記憶手段123に記憶されている。
【0034】
計時手段124は、基準時刻からの経過時間を継続的に測定し、現在時刻を示す時刻データを生成する。記憶手段123に記憶されるログデータに含まれる時刻データは、例えば計時手段124により生成された時刻データである。
【0035】
演算手段125は、データ入出力インタフェイス121が回転計707から受け取った回転数データが示す回転数(実測値)と、データ入出力インタフェイス121が流量計709から受け取った燃料油消費量データが示す燃料油消費量(実測値)との少なくとも一方と、計時手段124により測定されたそれらのデータの取得の時刻(基準時刻からの経過時間)とを用いて、所定の演算を行う。
【0036】
本実施形態においては、例として、演算手段125は、回転数一定モードにおいては、過去の直近の所定時間長の期間内に取得された燃料油消費量データが示す燃料油消費量(実測値)から単位時間当たり燃料油消費量(実測値)を演算し、演算した単位時間当たり燃料油消費量(実測値)の平均値(移動平均値)を演算する。また、演算手段125は、本実施形態においては、例として、燃料油消費量一定モードにおいては、過去の直近の所定時間長の期間内に取得された回転数データが示す回転数(実測値)の平均値(移動平均値)を演算する。
【0037】
検知手段126は、データ入出力インタフェイス121が回転計707から受け取った回転数データが示す回転数(実測値)に関する値または当該回転数(実測値)の変化量に関する値、もしくは、データ入出力インタフェイス121が流量計709から受け取った燃料油消費量データが示す燃料油消費量(実測値)に関する値または当該燃料油消費量(実測値)の変化量に関する値が、所定の条件を満たした場合、そのことを検知する。
【0038】
本実施形態においては、例として、検知手段126は、回転数一定モードにおいては、所定時間長の経過毎に、演算手段125の演算結果として得られる単位時間当たり燃料油消費量(実測値)の移動平均値が、所定の閾値を所定時間長以上、継続して超過した場合、それを検知する。この検知は、非効率的な燃料油消費が行われていることの検知を意味する。
【0039】
また、本実施形態においては、例として、検知手段126は、燃料油消費量一定モードにおいては、所定時間長の経過毎に、演算手段125の演算結果として得られる回転数(実測値)の移動平均値が、所定の閾値を所定時間長以上、継続して下回った場合、それを検知する。この検知もまた、非効率的な燃料油消費が行われていることの検知を意味する。
【0040】
特定手段127は、検知手段126による検知に応じて、ガバナ706に対する推奨される動作指示を特定する。本実施形態においては、例として、特定手段127は、回転数一定モードにおいて、検知手段126により非効率的な燃料油消費が行われていることが検知された場合、現在設定されている回転数(設定値)を所定比率だけ減少した値を、推奨される回転数(設定値)として特定する。すなわち、特定手段127は、このように特定した推奨される回転数(設定値)で推進機関701の回転数を制御する動作指示を、推奨される動作指示として特定する。
【0041】
また、本実施形態においては、例として、特定手段127は、燃料油消費量一定モードにおいて、検知手段126により非効率的な燃料油消費が行われていることが検知された場合、現在設定されている燃料油消費量(設定値)を所定比率だけ減少した値を、推奨される燃料油消費量(設定値)として特定する。すなわち、特定手段127は、このように特定した推奨される燃料油消費量(設定値)で推進機関701における燃料油の噴射を制御する動作指示を、推奨される動作指示として特定する。
【0042】
表示画面生成手段128は、データ入出力インタフェイス121により取得された回転数データが示す回転数(実測値)、データ入出力インタフェイス121により取得された燃料消費量データが示す燃料油消費量(実測値)、演算手段125による演算の結果として得られる単位時間当たり燃料油消費量(実測値)の移動平均値(回転数一定モード)または回転数(実測値)の移動平均値(燃料油消費量一定モード)、検知手段126による検知の結果、および、特定手段127により特定されたガバナ706に対する推奨される動作指示、の各々に関する情報を表示する画面(以下、「モニター画面」という)を表す画面データを生成し、表示手段111に引き渡す。表示手段111は、表示画面生成手段128により生成される画面データに従いモニター画面の表示を行う。
【0043】
図3および
図4のタッチディスプレイ101に表示される画面は、表示画面生成手段128により生成される画面データが表すモニター画面を例示したものである。
図3に例示の画面は回転数一定モードにおいて表示されるモニター画面であり、
図4に例示の画面は燃料油消費量一定モードにおいて表示されるモニター画面である。
【0044】
モニター画面の領域A1には、データ入出力インタフェイス121が回転計707から取得した回転数データが示す最新の回転数(実測値)と、データ入出力インタフェイス121が流量計709から取得した燃料油消費量データが示す最新の燃料油消費量(実測値)から演算された最新の単位時間当たり燃料消費量(実測値)が表示される。また、領域A1には、回転数一定モードにおいてはガバナ706に設定されている回転数(設定値)が表示され(
図3参照)、燃料油消費量一定モードにおいてはガバナ706に設定されている燃料油消費量(設定値)が表示される(
図4参照)。
【0045】
モニター画面の領域A2には、演算手段125による演算の結果の時系列変化がグラフで表示される。すなわち、領域A2には、回転数一定モードにおいては単位時間当たり燃料油消費量(実測値)の移動平均値の時系列変化がグラフで表示され(
図3参照)、燃料油消費量一定モードにおいては回転数(実測値)の移動平均値の時系列変化が表示される(
図4参照)。
【0046】
モニター画面の領域A3は、検知手段126により非効率的な燃料油消費が行われていることが検知された場合に、操船者にそのことを報知するためのメッセージと、特定手段127により特定されたガバナ706に対する推奨される動作指示に関する情報を提示するメッセージを表示するポップアップ画面が開かれる領域である。
【0047】
領域A3に表示されるポップアップ画面には、「設定を変更しない」ボタン、および「設定を変更する」ボタンが表示される。操船者が「設定を変更する」ボタンに対しタッチ操作を行うと、指示手段122により、推奨される設定値を示す指示データが生成され、ガバナ706に対し生成された指示データが出力される。その結果、操船者は操作レバー102を操作するよりも容易に、指示装置1により推奨された動作指示の実行をガバナ706に対し指示ことができる。
【0048】
なお、操作レバー102の位置がガバナ706に対し設定されている回転数または燃料油消費量に応じた位置である必要がある場合、ユーザインタフェイス11には操作レバー102を移動するアクチュエータ(
図2において図示略)が設けられる。そして、上記のように操船者により「設定を変更する」ボタンがタッチ操作され、新たな設定値がガバナ706に設定されると、アクチュエータが操作レバー102を新たな設定値に応じた位置まで移動する。
【0049】
操船者は、ポップアップ画面に表示される推奨される設定値をそのまま採用しないが、他の設定値をガバナ706に設定したい場合がある。そのような場合、操船者は、例えば「設定を変更しない」ボタンに対しタッチ操作を行いポップアップ画面を閉じた後、操作レバー102を操作して、希望する設定値をガバナ706に設定することができる。操船者が操作レバー102に対する操作を行うと、指示手段122により、操作レバー102の位置に応じた設定値を示す指示データが生成され、ガバナ706に対し生成された指示データが出力される。
【0050】
上述したように、指示装置1においては、推進機関701の回転数に関する情報と、推進機関701により消費される燃料油量に関する情報がモニター画面(
図3および
図4参照)に表示される。従って、指示装置1によれば、操船者は操船中にモニター画面を見る毎に推進機関701の燃料油消費量に関する情報を目にすることになる。そのため、操船者が効率的な燃料油消費をもたらす操船を心がけるようになり、結果として無駄な排ガスの排出が低減される。
【0051】
また、指示装置1においては、回転数一定モードにおいては、単位時間当たり燃料油消費量(実測値)の移動平均値の時系列変化が、また、燃料油消費量一定モードにおいては、回転数(実測値)の移動平均値の時系列変化が、モニター画面に表示される。操船者はこれらのグラフを見て、効率的な燃料油消費が行われているか否かを確認することができる。
【0052】
また、指示装置1においては、非効率的な燃料油消費が行われていることが検知されると、メッセージの表示によりそのことが操船者に対し報知されるとともに、ガバナ706に対する推奨される動作指示、すなわち、ガバナ706に対する推奨される回転数または燃料油消費量の設定値が表示される。従って、操船者は非効率的な燃料油消費が検知された場合、そのことを容易に知ることができるとともに、燃料油消費量の観点から望ましいガバナ706に対する設定値を容易に知ることができる。
【0053】
また、指示装置1においては、ガバナ706に対する推奨される回転数または燃料油消費量の設定値を操船者がそのまま採用したい場合、操船者が「設定を変更する」ボタンをタッチする等の容易な操作により、推奨される設定値をガバナ706に設定することができる。
【0054】
[変形例]
上述した実施形態は本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形可能である。以下にそれらの変形の例を示す。なお、これらの変形例は適宜組み合わせられてもよい。
【0055】
(1)上述した実施形態において、指示装置1は回転計707から直接、回転数データを取得する。これに代えて、指示装置1がガバナ706経由で回転数データを取得してもよい。
【0056】
(2)上述した実施形態において、指示装置1は船橋に配置される。船舶7における指示装置1の配置位置はこれに限られない。例えば、指示装置1が制御室に配置されてもよい。また、船舶7の複数の場所の各々に指示装置1が配置されてもよい。船舶7に複数の指示装置1が配置される場合、ガバナ706に対し同時に矛盾する指示が行われないように、複数の指示装置1のいずれか1つのみにガバナ706に対する指示を許可する、もしくは、複数の指示装置1に優先順位を付けて、矛盾する指示が行われた場合、優先順位の高い指示装置1からの指示を採用する、等の構成が採用されることが望ましい。
【0057】
(3)上述した実施形態において、指示装置1は1つの装置として構成されることが想定されている。これに代えて、指示装置1が互いに接続された複数の装置により構成されてもよい。この変形例の一例として、ユーザインタフェイス11とコントロールユニット12が個別の装置として構成されてもよい。その場合、コントロールユニット12は専用装置として構成されても、汎用のコンピュータがプログラムに従う処理を行うことにより実現されてもよい。
【0058】
コントロールユニット12が汎用のコンピュータにより実現される場合、コンピュータに、コントロールユニット12が備える構成部(
図2参照)の各々が行う処理を実行させるためのプログラムもまた、本発明の一態様である。
【0059】
(4)指示装置1により収集および生成された各種データが、例えば通信衛星を介して、陸上に配置されたサーバ装置に送信されてもよい。また、サーバ装置が、船舶7の運航管理者や排ガス規制の監査人等が用いる端末装置からの要求に応じて、モニター画面(
図3および
図4参照)やログデータの配信を行う構成が採用されてもよい。
【0060】
(5)上述した実施形態において、演算手段125は回転数または単位時間当たり燃料油消費量の移動平均値を算出する。演算手段125が行う演算はこれに限られず、回転数データが示す回転数と燃料油消費量データが示す燃料油消費量との少なくとも一方と、経過時間とを用いて行われ、その演算の結果が操船者にとって、船舶7の航行における燃料油消費が効率的に行われているか否かの判断に役立つ限り、どのような演算が演算手段125により行われてもよい。例えば、演算手段125が、回転数データが示す回転数に対する、燃料油消費量データが示す燃料油消費量から演算される単位時間当たり燃料油消費量の比率や、その移動平均値を演算する構成が採用されてもよい。この場合、演算手段125が算出する比率が大きい程、非効率的な燃料油消費が行われていることになる。
【0061】
(6)上述した実施形態において、検知手段126は、回転数一定モードにおいて、単位時間当たり燃料油消費量(実測値)の移動平均値が所定の閾値を所定時間長以上、継続して超過したことを検知することで、非効率的な燃料油消費が行われていることを検知する。また、検知手段126は、燃料油消費量一定モードにおいて、回転数(実測値)の移動平均値が所定の閾値を所定時間長以上、継続して下回ったことを検知することで、非効率的な燃料油消費が行われていることを検知する。
【0062】
検知手段126が非効率的な燃料油消費が行われていることを検知するために用いる条件はこれに限られず、回転数データが示す回転数に関する値または当該回転数の変化量に関する値、もしくは、燃料油消費量データが示す燃料油消費量に関する値または当該燃料油消費量の変化量に関する値のいずれかが所定の閾値を超えていることを検知する限り、どのような条件が検知手段126による検知に用いられてもよい。
【0063】
検知手段126が行う検知の例として、例えば、瞬時の回転数(または移動平均等により平滑化された回転数)が閾値を下回ったことの検知、瞬時の単位時間当たり燃料油消費量(または移動平均等により平滑化された単位時間当たり燃料油消費量)が閾値を超過したことの検知、瞬時の回転数(または移動平均等により平滑化された回転数)の変化量が閾値を超過したことの検知、瞬時の単位時間当たり燃料油消費量(または移動平均等により平滑化された単位時間当たり燃料油消費量)の変化量が閾値を超過したことの検知、等が挙げられる。
【0064】
(7)上述した実施形態において、特定手段127は、回転数一定モードにおいて、現在ガバナ706に対し設定されている回転数(設定値)を所定比率だけ減少した値を、推奨される回転数(設定値)として特定する。また、特定手段127は、燃料油消費量一定モードにおいて、現在設定されている燃料油消費量(設定値)を所定比率だけ減少した値を、推奨される燃料油消費量(設定値)として特定する。特定手段127が特定するガバナ706に対する推奨される動作指示は、検知手段126による検知に応じて特定される設定値である限り、現在の設定値を所定比率だけ減少した値に限られない。例えば、特定手段127が、船舶7の航行スケジュールに基づき、次の寄港地の到着予定日までに到着可能な範囲で可能な限り低速航行を行うような回転数または燃料油消費量を推奨する設定値として特定してもよい。また、ガバナ706に対する推奨される動作指示は、予め定められた規則に従い特定されてもよいし、例えば人工知能により特定されてもよい。
【0065】
(8)上述した船舶7において、推進機関701が消費する燃料油の量は、給油パイプ703に配置された流量計709により測定される。推進機関701が消費する燃料油の量の測定方法はこれに限られない。例えば、燃料油タンク702の燃料油の液面の高さを測定する液面測定装置により測定された液面の高さの変化に基づき、推進機関701が消費する燃料油の量が測定されてもよい。
【0066】
(9)上述した船舶7において、推進機関701の回転数は、推進機関701に配置された回転計707により測定される。推進機関701の回転数の測定方法はこれに限られない。例えば、シャフト704の回転数を測定する回転計により、推進機関701の回転数が測定されてもよい。
【0067】
(10)回転計707が回転数を測定する方式は限定されない。例えば、回転計707が推進機関701の回転を検知し、回転を検知したタイミングで信号を出力するパルス計と、パルス計から出力される信号の数を単位時間の経過毎にカウントするカウンターにより構成されてもよい。
【0068】
同様に、流量計709が燃料油の流量を測定する方法も限定されない。例えば、流量計709として、電磁式流量計、超音波式流量計等のいずれが採用されてもよい。また、上述した実施形態において、流量計709は単位時間当たり燃料油消費量(単位は、例えばlitters/hour)を測定するものとしたが、これに代えて、流量計709が推進機関701に投入された燃料油量(単位は、例えばlitters)を測定してもよい。また、流量計709が過去の基準時点以降に推進機関701に投入された燃料油量の累積値(単位は、例えばton)を測定してもよい。
【0069】
(11)上述した実施形態において、検知手段126により非効率的な燃料油消費が行われていることが検知された場合、表示手段122によるメッセージの表示により、そのことが報知される。すなわち、この場合、表示手段122が報知手段の役割を果たす。これに加えて、もしくは代えて、ランプの点滅、アラーム音の発音、振動の発生等の表示以外の方法により報知を行う報知手段が採用されてもよい。
【解決手段】指示装置1のコントロールユニット12は、流量計709により測定された推進機関701の燃料油消費量の移動平均を算出する演算手段125と、燃料油消費量の移動平均が所定の閾値を所定時間長以上、超過したことを検知する検知手段126と、検知手段126による検知に応じて、効率的な燃料油消費が行われるために推奨されるガバナ706に対する動作指示を特定する特定手段127を備える。ユーザインタフェイス11の表示手段111は、演算手段125による演算の結果、検知手段126による検知の結果、および特定手段127により特定された推奨されるガバナ706に対する動作指示に関する情報を表示する。