(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のセグメントを円周方向に組み合わせた組立体を軸方向に接続するに際し、隣接する組立体のセグメントどうしの接続部位を一致させることなく、互いにずらして接続することを特徴とする請求項1に記載した管路の補修構造。
複数のセグメントを組み合わせた組立体を、セグメントどうしの接続部位をずらしながら軸方向に接続する際に、該セグメントどうしの接続部位が補修すべき管路の底部に対応したとき、該接続部位の両側に配置されるセグメントに於ける補修すべき管路の底部に対応する内周面に夫々熱交換部材を収容する収容凹部の一部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載した管路の補修構造。
複数のセグメントを円周方向に組み合わせた組立体を軸方向に接続するに際し、隣接する組立体のセグメントどうしを補強板を介して接続することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載した管路の補修構造。
補修すべき管路の上部に配置されるセグメントのリブには光ファイバーを挿通するための孔が形成されており、複数のセグメントによって補修すべき管路が補修されたとき、該補修された管路の上部には長手方向に前記孔が貫通して構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載した管路の補修構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された発明では、熱源水が流通するジャケットが下水道管の外周面に配置されるため、下水と熱源水との熱交換は下水道管とジャケットを通して行われることとなる。下水道管はコンクリート管であるのが一般的であり、必ずしも効率の良い熱交換を実現し得ない虞がある。
【0007】
特許文献2に記載された発明では、既設管路を合理的に補修し得るものの、補修された管路内を流れる水の持つ熱を利用しようとする思想はない。
【0008】
また、既設管路に於ける補修すべき区間をセグメントを組み立てた組立体を配置した後、既設管路の内面とセグメントの外面との間に硬化性充填材を充填する際に、むらなく一様に充填することは困難であり、空隙が形成されてしまう虞がある。更に、作業性の観点からセグメントの外径は既設管路の内径よりも小さく形成されている。このため、既設管路の内面とセグメントの外面との間に充填された硬化性充填材によってセグメントの組立体には浮力が作用し、この結果、組立体が浮き上がってしまう虞もある。
【0009】
本発明の目的は、劣化した管路を補修すると共に、補修された管路を流れる水の持つ熱を利用することができる管路の補修構造と、この補修構造を実現する補修工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る管路の補修構造は、補修すべき管路の内部に外周にリブを設けた複数のセグメントを円周方向に組み合わせた組立体を軸方向に接続して配置することで補修する管路の補修構造であって、補修すべき管路の底部に配置されるセグメントの内周面には熱交換部材を収容する収容凹部が形成されており、複数のセグメントを補修すべき管路の軸方向に接続
し、該補修された管路の底部には軸方向に前記収容凹部が連続して構成され、前記連続した収容凹部に熱交換部材が収容されると共に該収容凹部の開放部が蓋部材によって遮蔽されているものである。
【0011】
上記管路の補修構造に於いて、複数のセグメントを円周方向に組み合わせた組立体を軸方向に接続するに際し、隣接する組立体のセグメントどうしの接続部位を一致させることなく、互いにずらして接続することが好ましく、複数のセグメントを組み合わせた組立体を、セグメントどうしの接続部位をずらしながら軸方向に接続する際に、該セグメントどうしの接続部位が補修すべき管路の底部に対応したとき、該接続部位の両側に配置されるセグメントに於ける補修すべき管路の底部に対応する内周面に夫々熱交換部材を収容する収容凹部の一部が形成されていることがより好ましい。
【0012】
また、上記何れかの補修構造に於いて、複数のセグメントを円周方向に組み合わせた組立体を軸方向に接続するに際し、隣接する組立体のセグメントどうしを補強板を介して接続することが好ましい。
【0013】
また、上記何れかの管路の補修構造に於いて、補修すべき管路の上部に配置されるセグメントのリブには光ファイバーを挿通するための孔が形成されており、複数のセグメントによって補修すべき管路が補修されたとき、該補修された管路の上部には長手方向に前記孔が貫通して構成されていることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る管路の補修工法は、内周面に熱交換部材を収容する収容凹部が形成されたセグメントを含む複数のセグメントを用い、これら複数のセグメントを補修すべき管路の内部に挿入して収容凹部が形成されたセグメントを該補修すべき管路の底部に対応する部位に配置し、該セグメントの円周方向に他のセグメントを組み合わせて補修すべき管路の内周面に対向させると共に軸方向に接続しつつ、補修すべき管路の内周面とセグメントの外周との間に、内部に含浸基材を収容し、所定位置にグラウト材を充填する充填口を設けた袋体を配置してゆき、前記袋体に設けた充填口から該袋体の内部にグラウト材を充填することによって、補修すべき管路の内周面とセグメントを一体化させて補修すべき管路を補修し、補修すべき管路が軸方向に接続した複数のセグメントによって補修されたとき、該補修された管路の底部の軸方向に構成された収容凹部に熱交換部材を収容すると共に該収容凹部の開放部を蓋部材によって遮蔽することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の管路の補修構造では、内周面に収容凹部を形成したセグメントを補修すべき管路の底部に配置したので、複数のセグメントを円周方向に組み合わせた組立体を軸方向に接続して補修すべき管路に配置したとき、該管路の底部に連続した収容凹部を形成することができる。そして、この収容凹部に熱交換部材を収容して該収容凹部の開放部を蓋部材によって遮蔽することで、熱交換部材を管路の底部に設置することができる。このため、設置された熱交換部材を介して管路内を流れる水の保有する熱を利用することができる。
【0016】
また、複数のセグメントを円周方向に組み合わせて組立体を構成することによって、補修すべき管路に設置されたマンホールの口径が小さいような場合でも、該マンホールを介して搬入することが容易であり、管路内での運搬も容易である。このため、管路を補修する際の施工性を向上することができる。
【0017】
また、セグメントに形成された収容凹部に熱交換部材を収容することによって、補修された管路の断面積が減少したり、水の流れを阻害することがない。また、熱交換部材が収容凹部に収容されていることから、熱交換部材に対する保守点検作業及び補修作業も容易に行うことができる。即ち、収容凹部が形成されていないセグメントを用いて補修した管路に熱交換部材を配置しようとすると、該熱交換部材を管路の底面に配置して露出させた状態でセグメントの内周面に固定せざるを得ない。このため、熱交換部材が障害物となり水の流れを阻害し、且つ管路の断面積を減少させることとなる。また、熱交換部材を補修する場合には、セグメントの内周面に対する固定を解除することが必要となり、作業も容易でない。
【0018】
複数のセグメントを円周方向に組み合わせた組立体を軸方向に接続する際には、隣接する組立体のセグメントどうしの接続部位を互いにずらして接続することで、組立体を連続させた集合体の強度が低下することがない。
【0019】
また、複数の組立体を、セグメントどうしの接続部位をずらしながら軸方向に接続する際に、接続部位が補修すべき管路の底部に対応した場合、この接続部位の両側に配置されるセグメントの内周面に夫々収容凹部の一部を形成することで、セグメントの接続部位をずらしながら組立体を連続させても、補修すべき管路の底部に連続した収容凹部を形成することができる。従って、この収容凹部に熱交換部材を収容して蓋部材によって開放部を遮蔽することで、該熱交換部材を管路の底部に設置することができる。
【0020】
また、組立体を軸方向に接続するに際し、隣接する組立体のセグメントどうしを補強板を介して接続することによって、セグメントを補強することができる。このため、補修された管路の強度を向上させることができる。
【0021】
また、補修すべき管路の上部に配置されるセグメントのリブに、光ファイバーを挿通するための孔を形成することによって、複数の組立体を連続させた集合体によって補修すべき管路が補修されたとき、該管路の上部には孔が貫通して構成される。このため、補修された管路の上部に構成された孔に光ファイバーを挿通して設置することで、管路を経由した光ファイバー網を構成することができる。
【0022】
特に、光ファイバーを挿通する孔がセグメントのリブに形成されるため、この孔を利用して設置された光ファイバーは管路の内面に露出することがない。このため、管路を流れる水の流通に対して障害となることがない。また、光ファイバーを補修するような場合には、セグメントに形成されている孔から引き抜くことで、容易に作業を進めることができる。
【0023】
また、本発明に係る管路の補修工法では、内周面に熱交換部材を収容する収容凹部が形成されたセグメントを含む複数のセグメントを用い、これら複数のセグメントを円周方向に組み合わせて補修すべき管路の内周面に対向させると共に軸方向に接続することで、補修された管路の底部に連続した収容凹部を形成することができる。このため、収容凹部に熱交換部材を収容して開放部を蓋部材によって遮蔽することで、該熱交換部材を設置することができる。
【0024】
特に、複数のセグメントを組み合わせた組立体を軸方向に接続する過程で、補修すべき管路の内周面とセグメントの外周との間に、内部に含浸基材を収容し所定位置にグラウト材を充填する充填口を設けた袋体を配置してゆき、前記袋体に設けた充填口から該袋体の内部にグラウト材を充填することで、補修すべき管路の内周面とセグメントを一体化させて補修すべき管路を補修することができる。このため、グラウト材を確実に補修すべき管路の内周面とセグメントの外面との間に充填して両者の一体化をはかることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る管路の補修構造について説明する。本発明に係る管路の補修構造は、補修すべき管路の内部に複数のセグメントを円周方向に組み合わせて円筒状の組立体(以下単に「組立体」という)を構成し、この組立体を軸方向(管路の軸方向、組立体の軸方向)に接続しつつ、補修すべき区間に配置することで補修したものである。
【0027】
補修すべき管路を組立体によって補修したとき、内周面に熱交換部材を収容する収容凹部が形成されたセグメントが底部に配置されることで、補修された管路の底部には連続した収容凹部が形成される。そして、管路の底部に連続して形成された収容凹部に熱交換部材を収容し、且つ収容凹部の開放部を蓋部材によって遮蔽することで、補修された管路の内部を流れる水が持つ熱を効率良く利用することが可能である。
【0028】
更に、管路の上部に配置されるセグメントのリブには光ファイバーを挿通するための孔が形成されている。このため、補修すべき管路を組立体によって補修したとき、補修された管路の上部には孔が該管路の軸方向に貫通する。そして、前記孔に光ファイバーを挿通することで、補修した管路を利用して光ファイバーを敷設することが可能である。特に、光ファイバーはセグメントのリブに形成された孔を利用して敷設されるため、補修された管路の内面に露出されることがなく、該管路を流れる水の障害となることがない。
【0029】
本発明に於いて、管路を流れる水の用途について限定するものではなく、補修すべき管路として、下水道管路、農業用水管路、工業用水管路等を対象とすることが可能である。特に、複数のセグメントを組み合わせて構成した組立体が円筒状となることから、対象となる管路は円筒状の管路であることが好ましい。
【0030】
セグメントは補修すべき管路の内径よりも小さい径を持つ円を周方向に分割した円弧状に形成されている。円の分割数は限定するものではなく、補修すべき管路の径や、管路内での作業性等の条件に応じて適宜設定することが好ましい。また、セグメントを構成する材料は特に限定するものではなく、補修すべき管路の内径や補修された管路を流れる水量等の条件を考慮して設定することが好ましい。
【0031】
セグメントを構成するための材料としては、鋼や強化プラスチックのような高い強度を有するもの、或いは合成樹脂のように良好な成形性を有するもの、を選択的に採用することが可能である。例えば、合成樹脂の成形品からなるセグメントの場合、強度的な不安が生じることがある。特に、収容凹部を形成したセグメントは、該収容凹部に対応する部位に於ける半径方向の寸法(セグメントの厚さ)が小さくなるため、強度的に不利になる虞がある。このような場合、複数のセグメントを円周方向に組み合わせた組立体を軸方向に接続する際に、鋼板やステンレス鋼板のような金属板を介在させることで、強度を向上させることが好ましい。
【0032】
本発明では、管路の底部に配置されるセグメントの内周面に、熱交換部材を収容する収容凹部の全部又は一部が形成される。収容凹部の形状や寸法は収容すべき熱交換部材の形状や寸法に対応して設定される。しかし、収容凹部の深さは、リブの高さ寸法と、円弧面の厚さ寸法と、によって規制される。また、収容凹部の周方向の寸法は特に制限を受けることがない。
【0033】
例えば、補修すべき管路が下水道用の管路である場合、該管路を流れる水は通常管径の1/3の深さとなるように設定される。このため、収容凹部の幅寸法を管径の1/3の深さに対応するように設定することで、効率の良い熱交換を実現することが可能である。また、目的の管路が上水や農業用水或いは工業用水である場合、該管路を流れる水は略満水状態となる。このため、収容凹部の幅寸法を管路の内面の約80%〜約90%に設定することで、効率の良い熱交換を実現することが可能である。
【0034】
補修すべき管路の軸方向に組立体を連続させて配置する際に、セグメントどうしの接続部位は互いにずらして接続する。このため、隣接した組立体に於けるセグメントどうしの接続部位が周方向にずれることとなり、底部に配置されるセグメントにはこのずれに対応して収容凹部の全部又は一部が形成される。従って、同じ補修すべき管路の底部に配置されるセグメントであっても内周面に形成される収容凹部の形状は異なるものとなり、セグメントの種類が増加する虞が生じるため、可及的にセグメントの種類が少なくなるような接続の仕方とすることが好ましい。
【0035】
また、補修された管路の上部に配置されるセグメントのリブには光ファイバーを挿通するための孔が形成される。この孔の数や寸法は限定するものではなく、挿通すべき光ファイバーの太さや数に対応させて形成することが好ましい。特に、前述したように、組立体を軸方向に接続する際に、セグメントどうしの接続部位の位置が周方向にずれるため、このずれを考慮して孔を形成することが好ましい。
【0036】
補修すべき管路の軸方向に組立体を連続させて配置する際に、セグメントどうしを直接ボルト、ナット等によって接続しても良い。しかし、補修すべき管路の底部に配置されるセグメントの内周面には収容凹部が形成されるため、該収容凹部に対応する部位ではリブの寸法が小さくなり強度的に不利になる虞がある。このため、補強板を介して組立体を接続することが好ましい。
【0037】
補強板としては、充分に高い強度を有し且つ耐食性を有することが好ましい。このような材質として、鋼板やステンレス鋼板或いはアルミニウム板等を含む金属板、或いは硬質プラスチック板等を含む非金属板等があり、これらを選択して用いることが可能である。特に、補強板として鋼板を用いる場合、塗装やメッキ等により防錆処理を施すことが好ましい。
【0038】
補強板は円弧状のセグメントの軸方向の側面に配置されるため、該セグメントと同様に円弧状に形成されていることが好ましい。この補強板の組立体の半径に沿った方向の寸法は特に限定するものではないが、最大でも収容凹部の底部からセグメントの外周までの寸法である。
【0039】
補修された管路に連続して構成された収容凹部に収容される熱交換部材は、内部に熱交換媒体が流通する流路を有している。前記流路の数や断面積等は限定するものではなく、補修された管路を流れる水の流量や温度、及び利用しようとする熱量等の条件を考慮して適宜設定することが好ましい。特に、熱交換部材が複数の流路を有する場合、流路の末端に折返用の流通管を設けて隣接する流路と接続すると共に少なくとも二つの流路をヒートポンプに接続し、或いは各流路の両端に合流管を接続すると共に該合流管をヒートポンプに接続して構成することが好ましい。
【0040】
熱交換部材は収容凹部に対し着脱可能に配置されることが好ましい。このため、熱交換部材は、適度な可撓性を有することが好ましい。また、熱交換部材は、補修された管路を流れる水と流路を流れる熱交換媒体との間で効率良く熱交換を行うために、熱伝導性が良いものであることが好ましい。このように、適度な可撓性を有し且つ熱伝導性の良好な材料として、アルミニウム管や銅管或いは厚さの薄い鋼管を含む金属管、或いはゴムを含む合成樹脂製の管等の管を選択的に用いることが可能である。特に、熱交換部材としては、内部に複数の流路が形成された長尺状の合成樹脂の成形体であるとより好ましい。
【0041】
熱交換部材に形成される熱交換媒体を流通させる流路は、補修された管路を流れる水と接触する面積が大きいことが好ましい。このため、前記通路の断面形状は、楕円形、長円形、台形等、真円よりも一方方向に伸びた形状であることが好ましい。このような形状を持った流路を有する熱交換部材は、金属製の管である場合には扁平な状態にプレスして形成することが可能である。また、合成樹脂製の管である場合には、熱交換部材を成形する際に流路を目的の形状とすることが可能である。
【0042】
熱交換部材を収容凹部に対し着脱可能に構成する場合、着脱構造については限定するものではなく、熱交換部材を単に収容凹部に収容しておくだけて良い。即ち、熱交換部材には熱交換媒体が流通することで大きい重量を有しているため、収容凹部に収容しておくだけで移動する虞はない。しかし、バラバラな複数の管によって熱交換部材を構成するような場合、これらの管が一体化するように互いに拘束しておくことが好ましい。
【0043】
収容凹部に熱交換部材を収容した後、この収容凹部の開放部に蓋部材を装着することで該収容凹部が遮蔽される。開放部に蓋部材を装着したとき、収容凹部には熱交換部材とセグメントの内面との間、或いは隣接する熱交換部材の間に隙間が形成されるが、このような隙間は、そのまま放置しておいても良く、金属粉末等の流動性を持った物体を充填して閉塞しても良い。
【0044】
収容凹部の開放部を遮蔽する蓋部材は、塊状の物体が収容凹部に入り込むことを防ぐ機能を有するものであれば良く、形状や細部の構成を限定するものではない。このため、蓋部材には細かい穴が形成されていても良く、この場合、細かい穴を介して収容凹部には管路を流れる水が入り込み、より効率の良い熱交換を実現することが可能となる。
【0045】
また、蓋部材は収容凹部に対して着脱されるため、セグメントの内周面の略等しい半径を有する円弧状に形成され、且つ適度な可撓性を有することが好ましい。特に、収容凹部に装着された蓋部材は管路の底部に於ける内周面となるため、常に水と接触し且つ水と共に流れる塊状の物体が接触する。このため、蓋部材は、耐摩耗性と耐食性とを有する材料を用いることが好ましい。
【0046】
このような耐摩耗性と耐食性とを有する材料として、薄い鋼板やステンレス鋼板等の鉄系金属板、或いは薄いアルミニウム板や銅板等の非鉄系金属板、更に、合成樹脂板等があり、これらの材料を選択して蓋部材を構成することが可能である。また、蓋部材を収容凹部の開放部に取り付ける場合、蓋部材の収容凹部の幅と対応する部位にばね性を持った複数の片を突設しておき、この片を収容凹部に嵌合させて該収容凹部の側面に圧接させるようにすることが可能である。
【0047】
本発明に於いて、補修すべき管路の底部に形成される収容凹部の長さは限定するものではなく、該管路に設けた1又は複数のマンホールに跨って形成することが可能である。また、収容凹部に対し着脱可能に配置する熱交換部材の長さも限定するものではなく、形成された収容凹部の全長にわたって配置しても良く、途中で折り返して配置しても良い。
【0048】
組立体を軸方向に連続させて管路を補修したとき、管路の内周面と組立体の外周面(セグメントの外周面)との間にはグラウト材を充填した袋体が配置され、グラウト材の硬化に伴って組立体が管路に一体化している。
【0049】
袋体は不織布を袋状に形成して構成されている。この袋体には、充填されたグラウト材を含浸する含浸基材が収容されており、所定位置にグラウト材の充填口が設けられている。含浸基材は袋体にグラウト材を充填したときの芯となるものであり、材料を限定するものではない。また、含浸基材を収容した袋体は、保管時或いは運搬時の効率を向上するために可及的に容積を小さくできることが好ましい。このため、含浸基材は圧縮性を有することが好ましい。このような含浸基材としては、例えばパーム椰子の繊維や金属リボンを金属たわしのようにまとめたもの、或いは連続した孔(連孔)を有するスポンジ等があり、これらを選択して採用することが可能である。
【0050】
袋体の形状や寸法は特に限定するものではないが、少なくとも長さ寸法はセグメントの円弧長さよりも大きいことが好ましい。また、袋体を構成する材料は特に限定するものではないが、周囲の凹凸に対応し得る柔軟性と、充分な通気性と、透水性を有することが好ましい。特に、内部にグラウト材(例えばセメントミルク)を充填する際の内部圧力の大きさに応じて通気性、透水性を発揮し得るような材料であることが好ましい。
【0051】
上記の如く構成された袋体を用いることで、補修すべき管路の内周面と組立体の外周面との間に配置したとき、該袋体は少なくとも二つのセグメントをまたぐことが可能である。そして、袋体に対するグラウト材の充填を開始したとき、内部に存在する空気は袋体の表面から速やかに排気され、その後、グラウト材を充填する際の圧力を上昇させると、充填されたグラウト材の水分が袋体の表面から透水して外部に浸出する。更に、グラウトの充填圧力を高くすると、袋体の表面からグラウト材が浸出する。このため、袋体に対するグラウト材の充填圧力を適宜設定することで、袋体の内部にのみ充填し、或いはグラウトを袋体の周囲に浸出させて周囲との一体化、即ち、組立体と管路の内周面との一体化をはかることが可能となる。
【0052】
また、袋体は組立体の軸方向の寸法(セグメントの幅寸法)よりも大きい幅寸法を有しても良い。この場合、袋体は軸方向に連続した少なくとも二つの組立体をまたいで、これらの組立体と管路の内周面とを一体化することが可能となる。
【0053】
次に、図を用いて本実施例に係る管路の補修構造について説明する。本実施例に於いて、
図1、2に示す補修すべき管路Fは、下水道用の管路として構成されており、該管路Fを構成する管1は、内周面1bの劣化が進行して補修が必要となった鉄筋コンクリート管として構成されている。尚、
図1、2に於いて、袋体Gは管路Fの内周面1b及びセグメントの円弧面5aと密着しているが、袋体Gが明確になるように僅かに隙間をつけて説明している。
【0054】
図に示すように、管路Fを構成する管1の内部には、複数のセグメントを周方向に組み合わせて円筒状に構成した組立体A、Bが、セグメントどうしの接続部位をずらしながら軸方向に交互に配置されて接続されている。組立体A、Bと管路Fを構成する管1の内周面1bとの間には複数の袋体Gが配置されており、夫々の袋体Gに充填されたグラウト材が硬化することで管1と組立体A、Bが一体し、これにより、該管路Fが補修されている。
【0055】
組立体A、Bによって補修された管路Fの底部1aには、該組立体A、Bが接続されている部位の全長にわたって連続した収容凹部Cが構成されている。この収容凹部Cには熱交換部材Dが収容されており、該収容凹部Cの開放部9が蓋部材Eによって遮蔽されることで、内部に異物が入り込むことを防いでいる。
【0056】
上記の如く構成された補修構造では、収容凹部Cに収容された熱交換部材Dに、例えば不凍液のような熱交換媒体を流すことで、補修された管路F(組立体A、B)の内部を流れる水との熱交換が行われ、該水が保有する熱を利用することが可能である。
【0057】
本実施例に於いて、組立体A、Bは、円を4等分して構成された4つのセグメント2〜4を周方向に組み合わせて図示しないボルト、ナットによって接続することで円筒状に構成されている。そして、組立体Aと組立体Bは、セグメント3、4を管路Fの底部1aに対応させると共に、互いに軸Oを基準として45度回動させるようにずらした状態で軸方向に隣接して配置され、図示しないボルト、ナットによって接続されている。
【0058】
組立体A、Bを構成するセグメント2〜4は、
図3(a)〜(c)に示すように構成されている。各セグメント2〜4は、補修された管路の内周面となる円弧面5aと、円弧面5aの外周面の軸Oに平行な方向(セグメントの幅方向)に設けた複数のリブ5bと、円弧面5aの外周面の周方向に設けた複数のリブ5cと、を有して構成されている。円弧面5aの外周面側の各縁に沿って夫々形成されたリブ5b、5cは、組立体A、Bを構成する際に、或いは組立体Aと組立体Bを接続する際に、隣接するセグメントのリブ5b、5cとボルト、ナットによって互いに固定されるものであり、図示しない複数のボルト穴が形成されている。このように、リブ5b、5cは、円弧面5aの外周面側の各縁に沿って夫々形成されていることが必要であるが、外周面の外縁の内側に形成されていても良く、全体の数を限定するものではない。
【0059】
本実施例に於いて、セグメント2〜4は高い強度を有する鋼や強化プラスチックによって構成されており、組立体A、Bを交互に接続して管路Fを補修したとき、充分な強度を発揮し得るように構成されている。
【0060】
セグメント2は同図(a)に示すように、90度の角度をもった円弧状に形成されており、リブ5cには図示しないボルトを挿通するためのボルト孔6と光ファイバーを挿通するためのファイバー孔6aが形成されている。セグメント2に形成するボルト孔6の位置は、組立体A、Bを軸方向に連続させたとき、これらの組立体A、Bの周方向へのずらし角度の如何に関わらず、重なり合う位置に形成されている。
【0061】
本実施例では、セグメント2はリブ5cの長さを8等分し、周方向両端のリブ5bから夫々1/8の位置、及び中間の1/4の位置で且つ円弧の中心から等距離の位置に夫々ボルト孔6を形成している。
【0062】
また、ファイバー孔6aは、組立体A、Bによって管路Fを補修したとき、該管路Fの上部となる位置に形成されている。ファイバー孔6aの数は限定するものではないが、少なくとも2個或いはそれ以上であることが好ましい。また、ファイバー孔6aの径は、挿通すべき光ファイバーの径に対応させた寸法を有している。
【0063】
セグメント3は同図(b)に示すように、90度の角度を持った円弧状に形成されており、円弧の内周面側に、収容凹部Cの断面形状と同一の形状を持った凹部7が形成されている。この凹部7(収容凹部C)は、セグメント3の中央で、リブ5cの高さよりも低い寸法を有しており、且つ収容凹部Cに収容される熱交換部材Dの厚さと略等しいか僅かに大きい寸法を有している。また、凹部7の周方向の長さは、収容される一又は複数の熱交換部材Dの幅(周方向の寸法)よりも大きい寸法を有している。このように、セグメント3の内周面側に凹部7を形成することによって、内周面と凹部7からなる段部が形成される。このため、セグメント3の円弧面5aは形成された段部の表面、及び凹部7の内面を含んで形成される。
【0064】
セグメント4は同図(c)に示すように、90度の角度を持った円弧状に形成されており、円弧の内周面側に、一方の端面を起点として、収容凹部Cの断面形状の半分の形状を持った凹部8が形成されている。この凹部8は収容凹部Cの一部を構成するものであり、セグメント3の凹部7と同様にリブ5cの高さよりも低い寸法で且つ熱交換部材Dの厚さと略等しいか僅かに大きい寸法を有している。また、凹部8の周方向の長さは、収容される一又は複数の熱交換部材Dの幅(周方向の寸法)の半分の寸法よりも大きい寸法を有している。このように、セグメント4の円弧面5aは段部の表面、及び凹部8の内面を含んで形成される。
【0065】
尚、本実施例のセグメント3には、両側に段部が形成された凹部7が形成されているが、必ずしもこの形状に限定されるものではない。即ち、収容凹部Cの円周方向の長さの方がセグメント3の円弧長よりも大きい場合、セグメント3には収容凹部Cの深さと等しい凹部が形成されることとなるため、セグメント3の内周面側には段部が形成されることがない。
【0066】
尚、本実施例のセグメント4には、収容凹部Cの半分の形状を持った凹部8が形成されているが、必ずしもこの形状に限定されるものではなく、収容凹部Cの円周方向の長さ、組立体に於ける配置位置、等の条件に対応させて適宜設定されるものである。
【0067】
上記の如く構成されたセグメント2、3によって組立体Aが構成されている。即ち、凹部7が形成されたセグメント3を管路Fの底部1aに対応させて配置すると共に、該セグメント3の周方向にセグメント2を配置し、リブ5bどうしをボルト、ナットを含む締結具(図示せず)を用いて接続することで、円筒状に構成されている。このように、セグメント2、3によって構成された組立体Aの上部には、光ファイバーを挿通するための複数のファイバー孔6aが構成される。
【0068】
また、組立体Bは、二つのセグメント4を凹部8を向かい合わせるように配置すると共に、該セグメント4の周方向にセグメント2を配置し、リブ5bどうしを締結具を用いて接続することで円筒状に構成されている。この組立体Bでは、二つのセグメント4の凹部8を管路Fの底部1aに対応させて配置したとき、上部には光ファイバーを挿通するための複数のファイバー孔6aが構成される。
【0069】
上記の如く構成された組立体A、Bは、夫々セグメント3、4が管路Fの底部1aに対応して配置され、この状態でリブ5cどうしが図示しないボルトをボルト孔6に挿通してナットによって締結される。このとき、組立体A、Bのセグメントどうしの接続部位であるリブ5bは、軸Oを基準として回動方向に45度ずらした状態となり、軸方向に連続した組立体A、Bは、リブ5bの位置が同一線上に揃うことがない。
【0070】
熱交換部材Dは、収容凹部Cに収容されて補修された管路Fを流れる水との熱交換を行うものである。このため、熱交換部材Dとしては水との熱交換を行うことが可能なものであれば良く、その形状や寸法を限定するものではない。しかし、熱交換部材Dとして、単に複数の管を並べて構成したものでは作業性に問題が生じる虞があるため、予め複数の流路を一体化させたものであることが好ましい。
【0071】
即ち、熱交換部材Dは、
図4(a)、(b)に示すように構成されたものであることが好ましい。
【0072】
図4(a)は、内部に流路10aを有する複数の管10を並列させて袋体11に挿入した状態で、該袋体11によって互いに拘束して構成した熱交換部材Dを示している。管10としては合成樹脂製の流路10aが長円状に扁平したものを用いており、袋体11としては例えば熱収縮性の合成樹脂からなる袋を用いている。このため、流通部材Dは適度な可撓性を有している。このように構成された流通部材Dでは、収容凹部Cに挿入することによって、該収容凹部Cに一度に複数の流路10aを形成することが可能である。
【0073】
図4(b)は、内部に複数の流路12aを並列させて形成した成形体12からなる熱交換部材Dを示している。この成形体12はゴムを含む合成樹脂によって成形されており、可撓性と弾力性を有している。このように構成された熱交換部材Dでは、収容凹部Cに挿入することによって、該収容凹部Cに一度に複数の流路12aを形成することが可能である。また、熱交換部材Dを収容凹部Cに挿入して開放部9に蓋部材Eを装着することによって、熱交換部材Dを構成する成形体12を押圧させ、この押圧に応じて成形体12を変形させると共に、流路12aを扁平に変形させることも可能である。
【0074】
蓋部材Eは、収容凹部Cに装着されて該収容凹部Cの開放部9を遮蔽するものである。この蓋部材Eは、管路Fを流れる水が収容凹部Cに入り込むことを阻止するためのものではなく、水と共に流れる塊状の物体が収容凹部Cに入り込むことを阻止する機能を有するものである。
【0075】
このため、蓋部材Eは、
図5に示すように、組立体A、Bの内周面の円弧形状に対応した円弧状に形成されており、収容凹部Cの内面側の開放部9の円周方向の寸法(幅寸法)よりも充分に大きい円弧寸法を持った蓋体13aと、蓋体13aの裏面に配置され開放部9の幅寸法と略等しい間隔を有し且つ長手方向に所定の間隔を持って蓋体13aに固定された係止片13bと、によって構成されている。
【0076】
蓋体13aは、厚さが約1mm〜2mm程度のステンレス鋼板を用いて構成されている。また、係止片13bは、蓋体13aと同じステンレス鋼板を用いており、この係止片13bを蓋体13aの裏面に溶接等の手段で固定することで、ばね性を発揮し得るように構成されている。尚、蓋体13aとして、防錆処理した鋼板やアルミニウム板或いは銅板等の金属板、合成樹脂板を用いることが可能なことは当然である。
【0077】
従って、熱交換部材Dを配置した収容凹部Cの開放部9に蓋部材Eを対向させ、係止片13bを収容凹部Cに嵌め込むことで装着し、開放部9を遮蔽することが可能である。また、蓋体13aの自由端を把持して引き上げることで蓋部材Eを収容凹部Cから離脱させることが可能である。
【0078】
管路Fの内周面と組立体A、Bの外周面との間に配置される袋体Gは、管路Fを補修する段階で管路Fと組立体A、Bの間に対するグラウト材の充填を合理的に行うものである。このため、袋体Gとしては周囲の凹凸に対して追従することが可能な柔軟性を有し、且つグラウト材を充填する際の圧力に対応してグラウト材を浸出させ、或いはグラウト材を浸出させることなく、管路Fと組立体A、Bとの一体化をはかることが可能なものであれば良い。
【0079】
このような袋体Gとしては、
図6に示すように、内部に含浸基材14を収容し、所定位置に充填口15aを設けた袋15によって構成されている。含浸基材14はパームヤシの繊維やステンレス鋼からなる薄く且つ幅の狭いリボン等を無秩序に纏めた金属たわし状に形成されている。しかし、この構成に限定するものではなく、これらの繊維又はリボンをマット状に形成したもの或いは連孔のスポンジであっても良い。
【0080】
また、袋15は、柔軟性と高い通気性と透水性を有する不織布によって構成されている。このため、充填口15aを介してグラウト材としてのセメントミルクを充填したとき、充填時の圧力に応じて、内部にある空気を速やかに排除し、セメントミルクの水分を袋15から浸出させ、更に、セメントミルクを浸出させることが可能である。
【0081】
特に、袋15が柔軟性を有するため、グラウト材の充填に伴って、袋体Gは管路Fの内周面1bに密着すると共に、組立体A、Bのリブ5b、5cをまたいで外周面に密着することが可能となる。そして、グラウト材の硬化に伴って、管路Fと組立体A、Bとの一体化をはかることが可能である。
【0082】
上記の如くして補修された管路Fでは、組立体A、Bを軸方向に配置すると共に、管路Fと組立体A、Bとの間に配置された袋体Gにグラウト材を充填することで、該グラウト材が硬化したときに管路Fと組立体A、Bとが一体化して補修される。そして、組立体A、Bを構成するセグメント3、4が管路Fの底部1aと対応して配置されることで、補修された管路Fの底部1aには連続した収容凹部Cが形成される。この収容凹部Cに熱交換部材Dを収容して開放部9を蓋部材Eによって遮蔽することで、収容凹部Cに塊状の物体が入り込むことを阻止することが可能である。
【0083】
次に、上記の如き構造を持った管路Fを補修する際の手順について
図1、2を参照して説明する。先ず、補修すべき管路を構成する管1の内周面1bを清掃して補修作業の準備を行い、所定数のセグメント2〜4及び袋体Gを用意する。
【0084】
管1の内周面1bに袋体Gを敷き込む。次いで、敷き込んだ袋体Gの内側に、凹部7を管1の底部1aに対応させてセグメント3を配置すると共に該セグメント3の周方向にセグメント2を連続させて締結具によって締結することで組立体Aを構成する。この組立体Aに隣接させて、凹部8を管1の底部1aに対応させてセグメント4を配置すると共に該セグメント4の周方向にセグメント2を連続させて締結具によって締結することで組立体Bを構成し、この組立体Bを組立体Aに接触させてボルト孔6を介してボルト、ナットによって締結することで連続させる。このとき、補修された管路Fの上部に位置するセグメント2のリブ5cに形成されたファイバー孔6aを連通させてパイプを通しておくことが好ましい。
【0085】
敷き込んだ袋体Gの内側に組立体A、Bを連続させて締結した後、袋体Gの充填口15aにグラウト材(例えばセメントミルク)の供給部材を接続して充填する。グラウト材の袋体Gに対する充填に伴って、袋15の内部に存在する空気は袋15を通過して排除され、充填圧力の上昇に伴ってグラウト材が有する水分は袋15を透過する。そして、更なる充填圧力の上昇に伴ってグラウト材そのものが袋15から浸出して管1の内周面1bと、組立体A、Bとの間に形成された隙間を充填する。また、袋体Gに対するグラウト材の充填により、組立体A、Bは管1の軸Oと一致するように浮上する。
【0086】
組立体A、Bを軸O方向に接続する作業と、管1の内周面1bに敷き込まれた袋体Gにグラウト材を充填する作業と、を行う手順については特に限定するものではない。例えば、袋体Gの幅方向に複数の組立体A、Bを連続させる都度、該袋体Gにグラウト材を充填しても良く、また、補修すべき管路の全長にわたって袋体Gを敷き込み、この内側に組立体A、Bを配置した後、敷き込んだ袋体Gに順にグラウト材を充填しても良い。特に、補修すべき管路の全長にわたって袋体G、組立体A、Bを配置した後、グラウト材を充填する場合、個々の袋15の充填口15aを補修すべき管路の端部にまで延長しておくことが必要である。
【0087】
上記の如くして補修すべき管路の全長にわたって組立体A、Bを配置すると共に袋体Gを配置し、袋体Gに充填されたグラウト材が硬化して補修された管路Fには、底部の内周面に軸O方向に連続した収容凹部Cが構成され、上部のリブ5cにファイバー孔6aが軸O方向に連続する。
【0088】
収容凹部Cに熱交換部材Dを敷き込んで収容する。その後、熱交換部材Dを構成する流路の末端に折り返し用の管を接続して一つの長い流路を構成すると共にこの流路の端部を熱交換媒体の流入路及び流出路として構成する。或いは熱交換部材Dの両端部分に複数の流路を集合させる集合管を接続して熱交換媒体の流入路と流出路を構成する。そして、前記流入路と流出路をヒートポンプに接続する。
【0089】
次いで、熱交換部材Dを収容した収容凹部Cに蓋部材Eを装着して該収容凹部Cの開放部9を遮蔽することで、管路Fの補修すべき区間を補修することが可能である。
【0090】
また、補修された管路Fの上部であるセグメント2の円弧面5aの外周側のリブ5cに形成されているファイバー孔6aに光ファイバーを挿通して両端部分にソケット等を装着した末端処理をしておくことで、光通信の準備をしておくことが可能である。
【0091】
次に、組立体の他の例、及び組立体の接続部分の構成について、
図7、
図8により模式的に説明する。本例に係る組立体を構成するセグメント20〜22は、前述した実施例に於けるセグメント2〜4と同様に形成されており、異なる部分は、円弧面23a(5a)の外周面の周方向に設けた複数のリブ23c(5c)に溝23dを設けた点である。
【0092】
本例に係る組立体A、Bを構成するセグメント20〜22は比較的強度の低い合成樹脂の成形体によって構成されており、組立体A、Bを軸方向に接続する際に補強板25を介在させることで、強度の向上を実現している。
【0093】
補強板25は組立体A、Bの軸方向の側面に於けるリブ23cの全周にわたって配置されており、これら組立体A、Bのリブ23cに対し図示しないボルト、ナットを利用して一体的に接続されている。補強板25の材質は特に限定するものではないが、比較的薄くとも充分に強度を有することが好ましい。このような補強板25としては、鋼板やステンレス鋼板或いはアルミニウム板等の金属板や、硬質プラスチック板等を選択的に用いることが可能である。特に、鋼板を利用する場合には、めっきを含む防錆処理しておくことが好ましい。
【0094】
補強板25は、セグメント20〜22のリブ23cの高さ寸法と等しい幅寸法を有する円弧状に形成されていても良い。この場合、補強板25の内周面が補修された管路の内面に露出することとなり、該補強板25の腐食の問題や、水の流れに抵抗となる虞が生じる。このため、本例では補強板25は管路の内面に露出することなく補強し得るように、リブ23cの外周面側に配置されている。
【0095】
補強板25の幅寸法は、セグメント21に形成された収容凹部Cを回避し得るように、該収容凹部Cの深さ寸法と該収容凹部Cの底面の肉厚を加えた寸法と略等しい値を有している。また、補強板25の両端部分を互いに重ね合わせることで、互いに拘束し得るように段部25aが形成されている。
【0096】
補強板25が組立体A、Bを接続したときに外周側に突出するか否かは限定するものではなく、組立体A、Bの外径が管路Fを構成する管1の内径よりも充分に小さい場合、多少大きくとも支承はない。また、補強板25の厚さは特に限定するものではなく、組立体A、Bに作用する力を想定して適宜設定することが好ましい。
【0097】
セグメント20〜22の周方向に設けたリブ23cには、外周側から内周側にかけて溝23dが形成されている。溝23dの幅寸法(半径方向の寸法)は、セグメント21に形成された収容凹部Cを回避し得るように、該収容凹部Cの深さ寸法と底面の肉厚を加えた寸法よりも小さい値を有しており、深さ寸法は補強板25の厚さの半分と等しいか僅かに大きい寸法を有している。
【0098】
上記の如くして補強板25を介在させると共に該補強板25の両端部分を互いに重ねつつ、組立体A、Bを軸方向に接続することで補修された管路Fでは、各セグメント20〜22が合成樹脂の成形体であるにも関わらず高い強度を発揮することが可能である。