特許第6062225号(P6062225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062225
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】視覚機能計測装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/024 20060101AFI20170106BHJP
   A61B 3/113 20060101ALI20170106BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   A61B3/02 F
   A61B3/10 B
   A61B3/10 E
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-259635(P2012-259635)
(22)【出願日】2012年11月28日
(65)【公開番号】特開2014-104174(P2014-104174A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】513190726
【氏名又は名称】株式会社クリュートメディカルシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100090136
【弁理士】
【氏名又は名称】油井 透
(74)【代理人】
【識別番号】100105256
【弁理士】
【氏名又は名称】清野 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 知洋
(74)【代理人】
【識別番号】100187632
【弁理士】
【氏名又は名称】橘高 英郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156834
【弁理士】
【氏名又は名称】橋村 一誠
(72)【発明者】
【氏名】須藤 史敬
(72)【発明者】
【氏名】山中 健三
(72)【発明者】
【氏名】木村 伸司
(72)【発明者】
【氏名】大仲 毅
【審査官】 安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−300920(JP,A)
【文献】 特開平06−054807(JP,A)
【文献】 特開2006−167276(JP,A)
【文献】 特表2012−522569(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/113193(WO,A1)
【文献】 特開平04−285526(JP,A)
【文献】 特開2002−143091(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0047991(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00−3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固視標と刺激視標を含む視標を表示する視標表示装置と、
前記視標表示装置に表示される像を被検者の眼の網膜へ伝達するための光学系と、
前記光学系の光軸上に配置され、前記被検者の眼球中心と光学的に共役な位置にその回転中心を位置させた反射光学部材であって、前記回転中心を中心に回転可能に構成された反射光学部材と、
前記被検者の視線のずれによる網膜像の変化及び/又は被検者の瞳孔の変化を検知することで、前記被検者の視線のずれによる眼の動きを検知する眼球観察装置と、
前記眼球観察装置によって検知された前記視線のずれによる眼球運動に同期させて前記反射光学部材を回転制御することにより、前記光学系の光軸を補正し、前記眼球の運動如何にかかわらず被検者が所定の視標を注視する際に網膜上において視標が呈示される部分が定まるような制御を行う反射光学部材制御装置と、
を備えることを特徴とする視覚機能計測装置。
【請求項2】
前記眼球観察装置は、瞳孔観察カメラであることを特徴とする請求項1に記載の視覚機能計測装置。
【請求項3】
前記眼球観察装置は、眼底観察カメラであることを特徴とする請求項1に記載の視覚機能計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼の視野等の視覚機能の検査に用いられる視覚機能計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼の視野等の視覚機能の検査に用いられる視覚機能計測装置は、表示装置に表示する刺激視標などの輝度と大きさに対する被験眼の応答を測定して視覚機能の感度特性などを測定するものである。ここで、一般的な視野計による視覚機能検査においては、被験者は測定中常に視界の中央に呈示される固視標を固視し続ける必要がある。
【0003】
このような一般的な視野系の場合、視野計は被験者の眼の動きをモニタリングしていて、被験者が視線をずらしたと感知した場合、視線をずらしていた期間のデータを採用せず、固視が改善してからその期間に行った測定を後からやり直すというものであり、検査に時間を要するという問題があった。
【0004】
そのような問題を解決する装置として、単に固視状態によってデータの採用/不採用を判断するのみならず、視線のずれに合わせて視標を新たな位置に呈示する視野計が提案されている。そのような視覚機能計測装置としては、例えば、特許文献1(特開平8−140933号公報)、特許文献2(特許第4113005号公報)等に記載の視野計が知られている。
【0005】
このうち、特許文献1に記載のものは、視標の呈示に平面ディスプレイを用い、眼球運動に合わせて表示装置上の刺激視標を新しい位置に適応させるようにしたもので、眼球運動を捉えるのに前眼部画像の変位を用いているものである。また、特許文献2に記載のものは、視標の呈示に平面ディスプレイを用い、眼球運動に合わせて表示装置上の刺激視標を新しい位置に適応させる別の例であり、眼球運動を捉えるのに眼底画像の変位を用いているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−140933号公報
【特許文献2】特許第4113005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、本発明者らの研究によれば、上述の従来の装置においても、以下の問題のあることが判明した。すなわち、従来の装置では、眼球運動に合わせて表示装置上の刺激視標を移動させて新しい位置に適応させるようにしているので、表示装置上の比較的広い範囲にわたって刺激視標を表示することになる。このため、その広い範囲の鮮明な光学像を形成するための光学系が必要となり、光学系のコストアップにつながるという問題がある。
【0008】
また、例えば、表示装置として液晶表示装置を採用したような場合には、表示デバイスの応答速度の限界により視線の素早い動きに追従しきれないおそれがあったり、残像が発生して測定誤差を引き起こす虞があるなどの問題がある。
【0009】
本発明の目的は、光学系のコストアップの虞がなく、かつ、表示装置に液晶表示装置など応答速度が遅い装置を採用した場合でもそれによる測定誤差を生じさせる虞のない視覚機能検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するための手段は以下の通りである。
(1)
視標表示装置と、
前記視標表示装置に表示される像を被検者の眼の網膜へ伝達するための光学系と、
前記光学系の光軸上に配置され、前記被検者の眼球中心と光学的に共役な位置にその回転中心を位置させた反射光学部材であって、前記回転中心を中心に回転可能に構成された反射光学部材と、
前記被検者の網膜像の変化及び/又は被検者の瞳孔の変化を検知することで、前記被検者の眼の動きを検知する眼球観察装置と、
前記眼球観察装置によって検知された眼球運動に同期させて前記反射光学部材を回転制御することにより、前記光学系の光軸を補正し、前記眼球の運動如何にかかわらず前記被検者が所定の視標を注視する際に網膜上において視標が呈示される部分が定まるような制御を行う反射光学部材制御装置と、
を備えることを特徴とする視覚機能計測装置。
(2)
前記眼球観察装置は、瞳孔観察カメラであることを特徴とする(1)に記載の視覚機能計測装置。
(3)
前記眼球観察装置は、眼底観察カメラであることを特徴とする(1)に記載の視覚機能計測装置。
【発明の効果】
【0011】
上述の手段によれば、被検者の眼球中心と光学的に共役な位置にその回転中心を位置させた反射光学部材を、被検眼の眼球運動に同期させて回転させて光軸を補正し、眼球の運動にかかわらず網膜上において視標が呈示される部分表示装置上の視標との位置関係が定まり、両者の位置関係を常に一定にできる。すなわち、視覚検査における眼球の回転運動に伴う視線のズレを、表示デバイス上の視標表示位置を変えないまま、光軸をハードウェア的に補正できる。これにより、測定をやり直す必要がないため一般の視野計による検査に比べ検査の効率が高まる。また、表示デバイスの応答速度に左右されることがないので検査の質を下げることがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態にかかる視覚機能計測装置の全体構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態にかかる視覚機能計測装置の説明図である。
図3】本発明の実施の形態にかかる視覚機能計測装置の説明図である。
図4】本発明の実施の形態にかかる視覚機能計測装置の説明図である。
図5】本発明の実施の形態にかかる視覚機能計測装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の実施の形態にかかる視覚機能計測装置の全体構成を示す図である。以下、図1を参照にしながら本発明の実施の形態にかかる視覚機能計測装置を説明する。
【0014】
図1に示されるように、本実施の形態にかかる視覚機能計測装置は、視標表示装置10と、視標表示装置10に表示される像を被検者の眼球20の網膜21に伝達するための光学系30と、前記被検者の眼の回旋中心20aとその回転中心40aとが光学的に共役な位置になるように設けられた反射光学部材40とを有する。
【0015】
視標表示装置10は、所望の視標、例えば、十字形などの固視標や視野検査のための刺激視標を含む任意の図形や記号などを表示するもので、液晶表示装置などで構成される。視標表示装置10は、制御部11に接続され、制御部11はインターフェース71を介してコンピュータ72及びモニター73に接続されている。したがって、視標表示装置10は、コンピュータ72の指令に従って、必要な視標や任意の種類の記号などを表示し、また、それら表示像の位置や色、輝度、動きなどを自在に制御できるようになっている。
【0016】
光学系30は、視標表示装置10の像を、被検者の眼球20の網膜21に結像させる光学系であり、レンズ31、ビームスプリッタ32、反射光学部材40、レンズ群33、孔あきミラー35及びレンズ34を備える。各レンズの一例を挙げると、レンズ31は、視標表示装置10からの発散光を反射光学部材40に導くコンデンサーレンズ、レンズ群33は、反射光学部材40と眼球の回転中心を共役にするためのリレーレンズ群であり、レンズ33bは共役位置調整用レンズ、レンズ34は、光源50からの光を瞳22に向け集光する作用とリレーレンズ出射後の視標表示光を視度調節して披検眼に向け射出する作用を併せ持つレンズである。
【0017】
ビームスプリッタ32は、レンズ31からの光を通過させるとともに、反対側からくる光を反射してほぼ90°方向に進行させてビームスプリッタ60aに入射させる。ビームスプリッタ60aに入射した光の一部は、透過してレンズ60bを通過し、網膜観察用のビデオカメラ61に入射する。ビームスプリッタ60aに入射した光の他の一部は、反射されてほぼ90°方向に進行し、瞳孔観察用のビデオカメラ62に入射する。
【0018】
網膜観察用のビデオカメラ61は、網膜21の像を撮影し、また、瞳孔観察用のビデオカメラ62は、瞳孔23の像を撮影して、それぞれの画像信号をインターフェース71を介してコンピュータ72に送信する。コンピュータ72は、網膜観察用のビデオカメラ61の画像信号を取り込み、網膜像から被検者の眼底の動き、すなわち、画像平面内での平行移動や回転などをオンラインで検出して演算処理し、眼球20の回転角度を計測してその角度に応じて反射光学部材40を制御する。
【0019】
また、コンピュータ72は、瞳孔観察用のビデオカメラ62の画像信号を取り込み、虹彩像、瞳孔像、瞳孔径、縮瞳/散瞳その他の瞳孔の動きなどを解析して演算処理し、眼球20の回転角度を計測してその角度に応じて反射光学部材40を制御することもできるようになっている。なお、これらの制御は、各種自動検眼処理プラグラムなどとともに、コンピュータ72にあらかじめインプットされている制御プログラムによって実行され、通常は、網膜観察用のビデオカメラ61によって眼球20の動きが検知されて反射光学部材40が制御されるようになっている。
【0020】
眼球運動の測定の方法としては、例えば、眼底画像に対してパターンマッチング法を適用する方法などがある。これは、網膜観察用のビデオカメラ61によって撮影される眼底画像に対し、演算処理手段によって例えば次の評価量R(x,y,x*,y*)または/およびC(x,y,x*,y*)を算出する。
【数1】
【0021】
ここでF(x,y)は眼球運動前の網膜画像の座標(x,y)における輝度値、G(x*,y*)は眼球運動後の網膜画像の座標(x*,y*)における輝度値、FバーおよびGバーは運動前および運動後画像のマッチング領域内の輝度平均値である。運動前の網膜画像の一部をテンプレートとして運動後画像内をラスタスキャンさせ、Rを最小にする、または/およびCを最大にする位置を探し出し、移動量に換算する。
【0022】
また、他の眼球運動の測定の方法としては、例えば、瞳孔画像の瞳孔中心座標を用いる方法がある。これは、眼球運動測定手段として、眼球20の瞳孔23の像を撮影する瞳孔観察用のビデオカメラ62を用いるものである。キャリブレーション実施後、瞳孔観察画像における基準位置に対する瞳孔重心位置から眼球回旋角度を演算部によって算出することで眼球運動の測定を行う。瞳孔重心位置の測定は、撮影部によって取得した瞳孔画像を画像処理手段によって瞳孔の輪郭を検出した後、演算部によって検出した輪郭の重心位置を算出することで行う。
【0023】
キャリブレーションでは、被検者に特定位置を見てもらい、そのときの瞳孔重心位置を測定して個人パラメータの補正及び基準位置の測定・保存を行う。例えば被検者に見せる位置は被測定眼の正面とそれ以外の任意の単数または複数位置であり、基準位置は被験者が正面を凝視したときの観察画像上の瞳孔重心位置とし、その他の位置を凝視したときの瞳孔重心位置と基準位置とによって個人パラメータを補正する。
【0024】
反射光学部材40は、視標表示装置10から来る光及び網膜21から来る光の双方を反射して所定の方向に進行させるものであり、制御部41に制御されて回転中心40aを中心にして任意の方向に自在に回転制御ができるようになっている。この回転制御により、被検者が所定の視標を注視する際に網膜上において視標が呈示される部分が定まる。
【0025】
図2は反射光学部材40の構成を示す図である。図2に示されるように、反射光学部材40は、いずれも回転中心40aを通るとともに互いに直交する2つの軸O1,O2を中心に回転可能に構成されもので、反射ミラー40bが回転軸40cに固定支持され、この回転軸40cが円弧状枠体40dに回転自在に支持され、この円弧状枠体40dが回転軸40eに固定されたものである。
【0026】
回転軸40cは軸O2を中心に回転可能に円弧状枠体40dに支持されているものであって円弧状枠体40dに固定されたステッピングモーター40fによって回転駆動されるものであり、反射ミラー40bを軸O2を中心にして回転させるものである。また、回転軸40eはステッピングモーター40gの回転軸に固定されて回転駆動されるものであり、円弧状枠体40dを軸O1を中心にして回転させるものである。
【0027】
ステッピングモーター40g、40fは、制御部41によって制御され、制御部41は、インターフェース71を介してコンピュータ72及びモニター73に接続されている。したがって、反射ミラー40bは回転中心40aを中心に任意の向きに任意の角度だけ自在に回転制御できるようになっている。
【0028】
ミラー35は、赤外光などを出射する光源50から出射してレンズ51を通過した光を反射し、レンズ34によって収束させて被検者の眼球20の網膜21を照明するものである。光源50は、その制御ラインがインターフェース71に接続され、コンピュータ72の指令に基づいてオン・オフや輝度などが制御されるようになっている。
【0029】
レンズ群33は、複数のレンズ33a、33b、33cなどで構成され、一部のレンズ、例えば、レンズ33bを光軸方向に移動できるように構成することなどによって、被検者の眼球20の回旋中心20aと反射光学部材40の回転中心40aとを光学的に共役な位置関係になるように設定できるようになっている。なお、レンズ34の近傍には、瞳孔照明用の光源装置52が設けられている。この光源装置52は、その制御部がインターフェース71を通じてコンピュータ72に連絡され、コンピュータ72の指令によってオン・オフ制御や光量制御などがなされるようになっている。
【0030】
また、被検者の近傍には、応答スイッチ80が設けられている。この応答スイッチ80も、インターフェース71を通じてコンピュータ72に信号を送ることができるようになっている。すなわち、被検者が、例えば、刺激視標を視認できたときに応答スイッチ80のボタン81を操作すると、コンピュータ72が視認信号を受けて所定の処理、例えば、網膜の感度マップの一部の作成処理などを行うものである。
【0031】
上述の視覚機能計測装置によれば、動的量的視野検査、静的量的視野検査、眼底視野検査(マイクロペリメトリー)、網膜電図検査(ERG)その他の検査を行うことが可能であるが、以下では、静的量的視野検査を行う場合について説明する。静的量的視野検査については、自覚式検査と他覚式検査があり、いずれの方式の検査も行うことができる。
【0032】
静的量的視野検査は、次のような検査である。すなわち、視野内の一点に視標をおいて、その明るさを徐々に増していくと、ある明るさになると見えるようになるので、見えるようになったときの明るさに対応する値をその点における網膜感度とし、視野内の各点について同じ測定を行って、視野内の網膜感度の相違を量的に調べ、マップを作成することなどを行う検査である。
【0033】
まず、自覚式検査は、次のようにして行われる。すなわち、コンピュータ72の指令により、視標表示装置10に視野検査用の視標が表示される。被検者は、眼球20をこの視標に向けてその視標を見る。視標表示装置10は、視野の測定すべき点に対応する視標の点の明るさを徐々に増していく。そうすると、ある明るさになると被検者に見えるようになるので、見えるようになったときに被検者が応答スイッチ80のボタン81を操作するようにする。これによって、コンピュータ72は、所定の処理をして、その時の視標の点の明るさに対応する値をその点の網膜の感度とする。そして、視野内の各点について同じ測定を行って、視野内の網膜感度の相違を量的に調べ、網膜の感度マップを作成していくものである。
【0034】
他覚式検査は、次のようにして行われる。すなわち、コンピュータ72の指令により、視標表示装置10に視野検査用の視標が表示される。被検者は、眼球20をこの視標に向けてその視標を見る。視標表示装置10は、視野の測定すべき点に対応する視標の点の明るさを徐々に増していく。そうすると、ある明るさになると視標が被検者に見えるようになる。明るさに応じて変化する瞳孔径の変化を、ビデオカメラ62を通じてコンピュータ72が画像解析によって検知し、所定の処理をして、その時の視標の点の明るさに対応する値をその点の網膜上の感度とする。そして、視野内の各点について同じ測定を自動的に次々と行って、視野内の網膜上の感度の相違を量的に調べ、網膜上の感度マップを自動的に作成していくものである。
【0035】
上述の検査において、検査中に、眼球20がその回旋中心20aを中心にして回転することで、視界の中央に提示される固視標を固視している視線が変化した場合、本実施の形態にかかる視覚機能計測装置は、その視線の変化の際の網膜像の変化をビデオカメラ61が検知して、その動きを補償するように、反射光学部材40を回転制御することによって、視線の変化を補償し、視線の変化による測定誤差の虞を防止できるようになっている。
【0036】
図3図5は本実施の形態にかかる視覚機能計測装置の説明図である。図3に示されるように、本実施の形態にかかる視覚機能計測装置は、視標表示装置10に表示された視標の像を、レンズ31、33,33などからなる光学系30によって、眼球20の網膜に結像させ、その一方で、眼球観察用のビデオカメラ(61,62)によって、網膜像や瞳孔像を観察するものである。
【0037】
図4に示されるように、眼球20が図の矢印で示したように回転(回旋)すると、網膜21に結像している視標の結像位置が移動することになる。そうすると、図5に示されるように、網膜観察用ビデオカメラ61がその結像位置が移動したことを検知し、その動きを補償して結像位置が変化しないように、反射光学部材40を回転制御する。これにより、視標表示装置上の視標の位置を移動させるなどのことをすることなく、視線の動きを自動的に補償することを可能にしているものである。
【0038】
これによって、光学系のコストアップの虞を防止し、表示装置に液晶表示装置など応答速度が遅い装置を採用した場合にも、それによる測定誤差を生じさせる虞も除去可能としているものである。
【0039】
以上の説明は、本発明を静的量的視野検査に適用する場合の例について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、眼球の回旋によって測定誤差が生じうる他の視機能計測装置にも適用できる。例えば、動的量的視野検査、眼底視野検査(マイクロペリメトリー)、網膜電図検査(ERG)その他の検査にも適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
10 視標表示装置
20 眼球
21 網膜
22 虹彩
23 瞳孔
30 光学系
31、34 レンズ
33 レンズ群
40 反射光学部材
61 網膜観察用ビデオカメラ
62 瞳孔観察用ビデオカメラ
72 コンピュータ
図1
図2
図3
図4
図5