特許第6062258号(P6062258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6062258ナビゲーション装置及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062258
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/28 20060101AFI20170106BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20170106BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   G01C21/28
   G09B29/00 A
   G09B29/10 A
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-6869(P2013-6869)
(22)【出願日】2013年1月18日
(65)【公開番号】特開2014-137313(P2014-137313A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】熊坂 純一
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 励司
(72)【発明者】
【氏名】米谷 正広
【審査官】 相羽 昌孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−312933(JP,A)
【文献】 特開2009−180721(JP,A)
【文献】 特開2001−272237(JP,A)
【文献】 特開2010−286298(JP,A)
【文献】 特開平06−111196(JP,A)
【文献】 特開2008−058185(JP,A)
【文献】 特開平10−227646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
G01C 23/00−25/00
G08G 1/00−99/00
G09B 23/00−29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星からの受信電波に基づく衛星測位を行う衛星測位部を備えたナビゲーション装置であって、
前記衛星測位部が衛星測位可能な期間中、当該衛星測位部が衛星測位した位置に基づいて現在位置を算定する現在位置算定手段と、
前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中に推定現在位置を、少なくとも当該推定現在位置が交差点に到達するまで算定する現在位置推定手段と、
地図上に当該ナビゲーション装置の現在の位置を表すマークを配置した案内画像を表示する案内画像表示手段とを有し、
前記現在位置推定手段は、前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前に前記現在位置算定手段が算定した現在位置から、順次、前記推定現在位置を、前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前に前記現在位置算定手段が算定した現在位置が位置する道路上を所定の移動速度で前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前の進行方面に進めていくことにより前記推定現在位置を算定し、
前記案内画像表示手段は、
前記衛星測位部が衛星測位可能な期間中、地図上の、前記現在位置算定手段が算定した現在位置に対応する位置に前記マークを配置し、
前記衛星測位部が衛星測位不能となってから、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置が交差点に到達するまでの期間中、前記地図上の、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置に対応する位置に前記マークを配置し、
前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中の、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置が交差点に到達した後の期間中、前記地図上の、当該到達した交差点に対応する位置に前記マークを配置することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
衛星からの受信電波に基づく衛星測位を行う衛星測位部を備えたナビゲーション装置であって、
目的地までのルートを設定するルート設定手段と、
前記衛星測位部が衛星測位可能な期間中、当該衛星測位部が衛星測位した位置に基づいて現在位置を算定する現在位置算定手段と、
前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中に推定現在位置を算定する現在位置推定手段と、
地図上に当該ナビゲーション装置の現在の位置を表すマークと前記ルートを表すルート図形を配置した案内画像を表示する案内画像表示手段とを有し、
前記現在位置推定手段は、
前記ルートが設定されていない場合に、前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前に前記現在位置算定手段が算定した現在位置から、順次、前記推定現在位置を、前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前に前記現在位置算定手段が算定した現在位置が位置する道路上を所定の移動速度で前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前の進行方面に進めていくことにより前記推定現在位置を、少なくとも当該推定現在位置が交差点に到達するまで算定し、
前記ルートが設定されている場合に、前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中、前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前に前記現在位置算定手段が算定した現在位置から、順次、前記推定現在位置を、前記ルート上を所定の移動速度で前記ルートの終点方向に進めていくことにより前記推定現在位置を算定し、
前記案内画像表示手段は、
前記衛星測位部が衛星測位可能な期間中、地図上の、前記現在位置算定手段が算定した現在位置に対応する位置に前記マークを配置し、
前記ルートが設定されていない場合に、前記衛星測位部が衛星測位不能となってから、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置が交差点に到達するまでの期間中、前記地図上の、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置に対応する位置に前記マークを配置すると共に、前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中の、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置が交差点に到達した後の期間中、前記地図上の、当該到達した交差点に対応する位置に前記マークを配置し、
前記ルートが設定されている場合に、前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中、前記地図上の、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置に対応する位置に前記マークを配置することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2記載ナビゲーション装置であって、
前記案内画像表示手段は、前記現在位置算定手段が算定した現在位置に対応する位置に配置するマークの形態と、前記推定現在位置に対応する位置に配置するマークの形態と、前記到達した交差点に対応する位置に配置するマークの形態とを相互に異ならせることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載のナビゲーション装置であって、
前記現在位置推定手段は、前記衛星測位部が衛星測位不能となってからの時間の経過に伴い、前記所定の移動速度を減少させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
衛星からの受信電波に基づく衛星測位を行う衛星測位部を備えたナビゲーション装置であって、
前記衛星測位部が衛星測位可能な期間中、当該衛星測位部が衛星測位した位置に基づいて現在位置を算定する現在位置算定手段と、
前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中、候補位置を繰り返し算定する候補位置算定手段と、
地図上に当該ナビゲーション装置の現在の位置を表すマークを配置した案内画像を表示する案内画像表示手段とを有し、
前記候補位置算定手段は、前記候補位置を算定する初回において、前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前に前記現在位置算定手段が現在位置として算定した位置から所定の移動速度で進んで到達できる各道路上の位置を候補位置として算定し、以降の前記候補位置を算定する各回において、前回算定した各候補位置について、当該候補位置から前記所定の移動速度で進んで到達できる各道路上の位置を今回の候補位置として算定し、
前記案内画像表示手段は、
前記衛星測位部が衛星測位可能な期間中、地図上の、前記現在位置算定手段が算定した現在位置に対応する位置に前記マークを配置し、
前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中、前記地図上の、前記候補位置算定手段が算定した前記各候補位置に対応する位置に前記マークを配置することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5記載のナビゲーション装置であって、
前記候補位置算定手段は、前記案内画像の表示上で前記候補位置の選択操作を受け付け、選択操作を受け付けた候補位置以外の各候補位置を無効化することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項5または6記載のナビゲーション装置であって、
前記案内画像表示手段は、前記現在位置算定手段が算定した現在位置に対応する位置に配置するマークの形態と、前記各候補位置に対応する位置に配置するマークの形態とを相互に異ならせることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項5、6または7記載のナビゲーション装置であって、
前記候補位置算定手段は、前記衛星測位部が衛星測位不能となってからの時間の経過に伴い、前記所定の移動速度を減少させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
衛星からの受信電波に基づく衛星測位を行う衛星測位部を備えたコンピュータによって読み取られ実行されるコンピュータプログラムであって、
当該コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、
前記衛星測位部が衛星測位可能な期間中、当該衛星測位部が衛星測位した位置に基づいて現在位置を算定する現在位置算定手段と、
前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中に推定現在位置を、少なくとも当該推定現在位置が交差点に到達するまで算定する現在位置推定手段と、
地図上に当該コンピュータの現在の位置を表すマークを配置した案内画像を表示する案内画像表示手段として機能させ、
前記現在位置推定手段は、前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前に前記現在位置算定手段が算定した現在位置から、順次、前記推定現在位置を、前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前に前記現在位置算定手段が算定した現在位置が位置する道路上を所定の移動速度で前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前の進行方面に進めていくことにより前記推定現在位置を算定し、
前記案内画像表示手段は、
前記衛星測位部が衛星測位可能な期間中、地図上の、前記現在位置算定手段が算定した現在位置に対応する位置に前記マークを配置し、
前記衛星測位部が衛星測位不能となってから、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置が交差点に到達するまでの期間中、前記地図上の、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置に対応する位置に前記マークを配置し、
前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中の、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置が交差点に到達した後の期間中、前記地図上の、当該到達した交差点に対応する位置に前記マークを配置することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
衛星からの受信電波に基づく衛星測位を行う衛星測位部を備えたコンピュータによって読み取られ実行されるコンピュータプログラムであって、
当該コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、
目的地までのルートを設定するルート設定手段と、
前記衛星測位部が衛星測位可能な期間中、当該衛星測位部が衛星測位した位置に基づいて現在位置を算定する現在位置算定手段と、
前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中に推定現在位置を算定する現在位置推定手段と、
地図上に当該コンピュータの現在の位置を表すマークと前記ルートを表すルート図形を配置した案内画像を表示する案内画像表示手段として機能させ、
前記現在位置推定手段は、
前記ルートが設定されていない場合に、前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前に前記現在位置算定手段が算定した現在位置から、順次、前記推定現在位置を、前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前に前記現在位置算定手段が算定した現在位置が位置する道路上を所定の移動速度で前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前の進行方面に進めていくことにより前記推定現在位置を、少なくとも当該推定現在位置が交差点に到達するまで算定し、
前記ルートが設定されている場合に、前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中、前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前に前記現在位置算定手段が算定した現在位置から、順次、前記推定現在位置を、前記ルート上を所定の移動速度で前記ルートの終点方向に進めていくことにより前記推定現在位置を算定し、
前記案内画像表示手段は、
前記衛星測位部が衛星測位可能な期間中、地図上の、前記現在位置算定手段が算定した現在位置に対応する位置に前記マークを配置し、
前記ルートが設定されていない場合に、前記衛星測位部が衛星測位不能となってから、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置が交差点に到達するまでの期間中、前記地図上の、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置に対応する位置に前記マークを配置すると共に、前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中の、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置が交差点に到達した後の期間中、前記地図上の、当該到達した交差点に対応する位置に前記マークを配置し、
前記ルートが設定されている場合に、前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中、前記地図上の、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置に対応する位置に前記マークを配置することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項11】
衛星からの受信電波に基づく衛星測位を行う衛星測位部を備えたコンピュータによって読み取られ実行されるコンピュータプログラムであって、
当該コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、
前記衛星測位部が衛星測位可能な期間中、当該衛星測位部が衛星測位した位置に基づいて現在位置を算定する現在位置算定手段と、
前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中、候補位置を算定する候補位置算定手段と、
地図上に当該コンピュータの現在の位置を表すマークを配置した案内画像を表示する案内画像表示手段として機能させ、
前記候補位置算定手段は、前記候補位置を繰り返し算定し、前記候補位置を算定する初回において、前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前に前記現在位置算定手段が現在位置として算定した位置から所定の移動速度で進んで到達できる各道路上の位置を候補位置として算定し、以降の前記候補位置を算定する各回において、前回算定した各候補位置について、当該候補位置から所定の移動速度で進んで到達できる各道路上の位置を今回の候補位置として算定し、
前記案内画像表示手段は、
前記衛星測位部が衛星測位可能な期間中、地図上の、前記現在位置算定手段が算定した現在位置に対応する位置に前記マークを配置し、
前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中、前記地図上の、前記候補位置算定手段が算定した前記各候補位置に対応する位置に前記マークを配置することを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星測位を行うナビゲーション装置において行う、衛星測位不能時における現在位置の案内の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衛星測位を行うナビゲーション装置において行う、衛星測位不能時における現在位置の案内の技術としては、衛星測位が不能となる直前に算定した現在位置を、走行中の道路に沿って衛星測位が不能となる直前に算出した移動速度で進めた位置を現在位置として推定し、推定した現在位置を地図上に表示する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-19902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように衛星測位不能時に、衛星測位が不能となる直前に算定した現在位置を、走行中の道路に沿って衛星測位が不能となる直前に算出した移動速度で進めた位置を現在位置を推定し、推定した現在位置を地図上に表示する技術によれば、衛星測位が不能である期間中に、ユーザが、交差点において右左折等して、衛星測位が不能となる直前に走行していた道路から他の道路に進んだ場合には、その後、誤った道路上に現在位置が表示されてしまうため、ユーザが現在位置が位置する道路を誤って認識してしまい、不測の不利益を被ってしまうことがある。
【0005】
そこで、本発明は、衛星測位不能時に現在位置を推定してユーザに提示するナビゲーション装置において、ユーザの現在位置が位置する道路の誤認識を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、衛星からの受信電波に基づく衛星測位を行う衛星測位部を備えたナビゲーション装置に、前記衛星測位部が衛星測位可能な期間中、当該衛星測位部が衛星測位した位置に基づいて現在位置を算定する現在位置算定手段と、前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中に推定現在位置を、少なくとも当該推定現在位置が交差点に到達するまで算定する現在位置推定手段と、地図上に当該ナビゲーション装置の現在の位置を表すマークを配置した案内画像を表示する案内画像表示手段とを備えたものである。ここで、前記現在位置推定手段は、前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前に前記現在位置算定手段が算定した現在位置から、順次、前記推定現在位置を、前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前に前記現在位置算定手段が算定した現在位置が位置する道路上を所定の移動速度で前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前の進行方面に進めていくことにより前記推定現在位置を算定し、前記案内画像表示手段は、前記衛星測位部が衛星測位可能な期間中、地図上の、前記現在位置算定手段が算定した現在位置に対応する位置に前記マークを配置し、前記衛星測位部が衛星測位不能となってから、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置が交差点に到達するまでの期間中、前記地図上の、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置に対応する位置に前記マークを配置し、前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中の、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置が交差点に到達した後の期間中、前記地図上の、当該到達した交差点に対応する位置に前記マークを配置する。
【0007】
このようなナビゲーション装置によれば、衛星測位部が衛星測位不能な期間中は、推定した現在位置を表す推定現在位置に現在の位置を表すマークを配置するが、推定現在位置、したがってマークが交差点まで進んだならば、以降は、マークの進行を停止し、到達した交差点にマークの配置位置を留め、現在位置の測定が停止していることをユーザに認知せしめる。よって、本ナビゲーション装置によれば、ユーザが、衛星測位が不能期間中に、衛星測位が不能となる直前に走行していた道路から他の道路に交差点において右左折してしまった場合にも、誤った道路上にマークが表示されてしまうことはない。よって、ユーザが現在の位置を誤った道路上に認識してしまうことを抑制することができる。
【0008】
なお、このようなナビゲーション装置は、当該ナビゲーション装置に、目的地までのルートを設定するルート設定手段を設け、案内画像を地図上にマークと前記ルートを表すルート図形を配置したものとし、前記現在位置推定手段において、前記ルートが設定されている場合には、前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中、前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前に前記現在位置算定手段が算定した現在位置から、順次、前記推定現在位置を、前記ルート上を所定の移動速度で前記ルートの終点方向に進めていくことにより前記推定現在位置を算定するようにし、前記案内画像表示手段において、ルートが設定されている場合には、前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中、前記地図上の、前記現在位置推定手段が算定した前記推定現在位置に対応する位置に前記マークを配置するようにしてもよい。
【0009】
ここで、ユーザはルートに従って進行する蓋然性が大きいので、このようにすることにより、マークが誤った道路上に表示されてしまう可能性を低く抑えつつ、推定現在位置に基づく現在の位置の案内をより長く継続することができる。
また、以上のナビゲーション装置は、前記案内画像表示手段において、前記現在位置算定手段が算定した現在位置に対応する位置に配置するマークの形態と、前記推定現在位置に対応する位置に配置するマークの形態と、前記到達した交差点に対応する位置に配置するマークの形態とを相互に異ならせるように構成してもよい。
【0010】
また、以上のナビゲーション装置は、前記現在位置推定手段において、前記衛星測位部が衛星測位不能となってからの時間の経過に伴い、前記所定の移動速度を減少させるように構成してもよい。
また、前記課題達成のために、本発明は、衛星からの受信電波に基づく衛星測位を行う衛星測位部を備えたナビゲーション装置に、前記衛星測位部が衛星測位可能な期間中、当該衛星測位部が衛星測位した位置に基づいて現在位置を算定する現在位置算定手段と、前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中、候補位置を繰り返し算定する候補位置算定手段と、地図上に当該ナビゲーション装置の現在の位置を表すマークを配置した案内画像を表示する案内画像表示手段とを備えたものである。ここで、前記候補位置算定手段は、前記候補位置を算定する初回において、前記衛星測位部が衛星測位不能となる直前に前記現在位置算定手段が現在位置として算定した位置から所定の移動速度で進んで到達できる各道路上の位置を候補位置として算定し、以降の前記候補位置を算定する各回において、前回算定した各候補位置について、当該候補位置から所定の移動速度で進んで到達できる各道路上の位置を今回の候補位置として算定し、前記案内画像表示手段は、前記衛星測位部が衛星測位可能な期間中、地図上の、前記現在位置算定手段が算定した現在位置に対応する位置に前記マークを配置し、前記衛星測位部が衛星測位不能な期間中、前記地図上の、前記候補位置算定手段が算定した前記各候補位置に対応する位置に前記マークを配置する。
【0011】
なお、このようなナビゲーション装置は、前記候補位置算定手段において、前記案内画像の表示上で候補位置の選択操作を受け付け、選択操作を受け付けた候補位置以外の各候補位置を無効化するように構成してもよい。
また、このようなナビゲーション装置は、前記案内画像表示手段において、前記現在位置算定手段が算定した現在位置に対応する位置に配置するマークの形態と、前記各候補位置に対応する位置に配置するマークの形態とを相互に異ならせるように構成してもよい。
また、このようなナビゲーション装置は、前記候補位置算定手段において、前記衛星測位部が衛星測位不能となってからの時間の経過に伴い、前記所定の移動速度を減少させるように構成してもよい。
このようなナビゲーション装置によれば、衛星測位が不能な期間中は、現在の位置が存在し得る全ての位置に現在の位置を表すマークが表示されるので、ユーザが、衛星測位が不能期間中に、衛星測位が不能となる直前に走行していた道路から他の道路に交差点において右左折してしまった場合にも、誤った道路上の位置のみにマークが表示されてしまうことはなく、正しい道路上の位置にもマークが表示されることとなる。よって、ユーザが現在の位置を誤った道路上に認識してしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、衛星測位不能時に現在位置を推定してユーザに提示するナビゲーション装置において、ユーザの現在位置が位置する道路の誤認識を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るスマートフォンの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る案内画像表示処理を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施形態に係る案内画像表示処理の処理例を示す図である。
図4】発明の実施形態に係る案内画像表示処理を示すフローチャートである。
図5】発明の実施形態に係る案内画像表示処理で設定する候補位置を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る案内画像表示処理の処理例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る案内画像表示処理の処理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態についてスマートフォン(多機能型携帯電話)への適用を例にとり説明する。
図1に、本第1実施形態に係るスマートフォンの構成を示す。
ここで、スマートフォン1は、ユーザによって携帯されるモバイル装置であり、図示するように、移動電話網にアクセスするための移動通信装置101、ジャイロセンサ102、GPS受信機103、記憶装置104、ディスプレイ105、ディスプレイ105の表示を制御する表示制御部106、ディスプレイ105の表示面上に重ねて配置されたタッチパネルと操作ボタンよりなる操作部107、マイク108やスピーカ109を用いた音声入出力を行う音声入出力部110、外部装置と有線または近距離無線による相互通信を行う外部インタフェース111、スマートフォン1のオペレーティングシステム112、オペレーティングシステム112によって管理されオペレーティングシステム112上で稼働する複数のアプリケーションを備えている。
【0015】
そして、本スマートフォン1は、オペレーティングシステム112上で稼働するアプリケーションとして、移動電話アプリケーション121、ナビゲーションアプリケーション122、その他のアプリケーション123を備えている。
ただし、スマートフォン1は、ハードウエア的には、CPUやメモリなどを備えたコンピュータを用いて構成されるものあり、オペレーティングシステム112や、各アプリケーションなどは、当該コンピュータが、所定のコンピュータプログラムを実行することにより実現されるものである。
【0016】
さて、ここで、各アプリケーションは、オペレーティングシステム112を介して、移動通信装置101やジャイロセンサ102やGPS受信機103や記憶装置104や表示制御部106や操作部107や音声入出力部110や外部インタフェース111の機能を利用することができる。
【0017】
また、外部インタフェース111は、たとえば、自動車に搭載された車載システムと接続することができ、車載システムと接続時には、この外部インタフェース111を介して、スマートフォン1のオペレーティングシステム112や各アプリケーションは、表示制御部106を介してディスプレイ105に表示する画像を、車載システムが備える表示装置に表示したり、音声入出力部110を介してスピーカ109から出力する音声を車載システムが備える音声出力装置から出力することができる。
【0018】
そして、スマートフォン1の、移動電話アプリケーション121は、以上のような移動通信装置101や音声入出力部110や操作部107や表示制御部106の機能を利用しつつスマートフォン1を移動電話として機能させるアプリケーションである。
また、GPS受信機103は、GPS衛星を用いた衛星測位を行って現在位置を測定するGPS測位を行う。
また、ナビゲーションアプリケーション122は、記憶装置104に記憶されている地図データもしくは移動通信装置101を介して外部のサーバより取得した地図データと、GPS受信機103が測定した現在位置とのマップマッチングを行って現在位置をGPS基準現在位置として算定する。ただし、GPS受信機103が測定した現在位置を、そのままGPS基準現在位置とするようにしてもよい。
また、ナビゲーションアプリケーション122は、ユーザから設定された目的地までのルートの設定や、設定したルートに沿った右左折地点や、当該地点における右左折方向を音声で案内する処理などを行う。
また、ナビゲーションアプリケーション122は、地図データが表す地図上に、現在位置や現在の進行方向を表すマークや、設定した目的地までのルートを表した案内画像を生成し、表示制御部106を介してディスプレイ105に表示する処理なども行う。
以下、ナビゲーションアプリケーション122が、このような案内画像の表示のために行う案内画像表示処理について説明する。
図2に示すように、この処理ではGPS受信機103でGPS測位が正常に行われているかどうかを調べ(ステップ202)、GPS測位が正常に行われている場合には、GPS測位によって測定された現在位置から求めたGPS基準現在位置に基づいて地図表示範囲を算定する(ステップ204)。地図表示範囲は、たとえば、GPS基準現在位置周辺の、設定されている地図表示縮尺に応じて定まる大きさの地理的範囲として算定する。
【0019】
そして、次に地図データに基づいて地図表示範囲内の地図を地図画像として描画する(ステップ206)。また、現在、目的地までのルートが設定されている場合には(ステップ208)、地図画像上でルートを表すルート図形を地図画像上に描画する(ステップ210)。
【0020】
そして、GPS基準現在位置に、現在位置図形を描画した画像を案内画像として生成しディスプレイ105に表示する(ステップ212)。
そして、ステップ202からの処理に戻る。
一方、ステップ202において、GPS受信機103でGPS測位が正常に行われていないと判定された場合には、まず、地図データを参照して推定現在位置を算定する(ステップ214)。
ここで、推定現在位置は、GPS受信機103でGPS測位が正常に行われなくなる直前の時点を基準時点、基準時点における移動速度を基準速度として、基準時点におけるGPS基準現在位置から、基準時点においてGPS基準現在位置が位置していた道路上を、基準時点における進行方向に、基準速度で、基準時点から現在までの経過時間分走行した場合の位置として算定する。なお、基準時点における進行方向と移動速度は、基準時点におけるGPS基準現在位置の移動方向と単位時間あたりの変位量として求めることができる。
【0021】
なお、このように推定現在位置の算定に用いる基準速度は、時間の経過、または、推定現在位置の移動量に追従して、基準時点における移動速度から漸減させていくようにしてもよい。
そして、推定現在位置に基づいて地図表示範囲を設定し(ステップ216)、地図データに基づいて地図表示範囲内の地図を地図画像として描画する(ステップ218)。また、現在、目的地までのルートが設定されている場合には(ステップ220)、地図画像上でルートを表すルート図形を地図画像上に描画する(ステップ222)。
【0022】
次に、算定した推定現在位置が交差点(道路の分岐点)に到達しているかどうかを調べ(ステップ224)、交差点に到達していなければ、地図画像上の推定現在位置に、推定現在位置図形を描画した画像を案内画像として生成しディスプレイ105に表示する(ステップ226)。
【0023】
そして、GPS受信機103のGPS測位が正常に復帰しているかどうかを調べ(ステップ228)、復帰している場合にはステップ204からの処理に戻り、復帰していない場合には、ステップ214からの処理に戻る。
一方、ステップ224で、算定した推定現在位置が交差点に到達していると判定された場合には、地図画像上の推定現在位置に、ロスト位置図形を描画した画像を案内画像として生成しディスプレイ105に表示する(ステップ230)。
そして、GPS受信機103のGPS測位が正常に復帰するのを監視し(ステップ232)、GPS測位が正常に復帰したならばステップ204からの処理に戻る。
以上、ナビゲーションアプリケーション122が行う案内画像表示処理について説明した。
以下、このような案内画像表示処理の処理例を示す。
図3aに示すように、GPS受信機103によるGPS測位が正常に行われているときには、地図画像301上のGPS基準現在位置に現在位置図形310が描画された案内画像が表示される。そして、スマートフォン1の進行に追従して、図3bに示すように、現在位置図形310も地図画像301が表す地図上で進んでいく。
【0024】
一方、GPS受信機103によるGPS測位が正常に行えなくなると、図3cに示すように、現在位置図形310に代わり現在位置の推定位置である推定現在位置を地図画像301上で表す推定現在位置図形320が地図画像301上に表された案内画像が表示される。そして、図3dに示すように、時間の経過と共に、推定現在位置図形320が、最後にGPS測位によって測定された現在位置から求めたGPS基準現在位置が位置していた道路上を進んでいく。ここで、推定現在位置図形320は、推定現在位置図形320が表す現在位置の信頼度が現在位置図形310が表す現在位置よりも低いことを表すために、現在位置図形310とは異なる形態のものを用いる。たとえば、推定現在位置図形320は、現在位置図形310よりも調子を弱めた形態で表示したり、赤などの注意喚起色を用いて表示する。
【0025】
そして、やがて、推定現在位置が交差点に到達すると、図3eに示すように、推定現在位置図形320に代わりロスト位置図形330が、地図画像301上の到達した交差点位置に表された案内画像が表示される。ここで、ロスト位置図形330としては、現在位置の算定が行われていないことをユーザが直感的に認知できるように、現在位置図形310や推定現在位置図形320とは異なる形態のものを用いる。たとえば、ロスト位置図形330は、半透明や点滅などの表示形態で表示する。
【0026】
そして、その後、GPS受信機103によるGPS測位が正常に復帰するまで、図3eの案内画像の表示が維持される。
また、その後、GPS受信機103によるGPS測位が正常に復帰したならば図3fに示すように、地図画像301上の、GPS測位によって測定された現在位置から求めたGPS基準現在位置に現在位置図形310が描画された案内画像の表示に復帰する。
ここで、ナビゲーションアプリケーション122は、GPS受信機103のGPS測位の正常/異常の状態をユーザに提示するために、図3a-fに示すように、GPS測位の正常/異常に応じて形態が変化するGPSアイコン350を案内画像上に表示するようにすることが好ましい。
【0027】
以上、ナビゲーションアプリケーション122が行う案内画像表示処理について説明した。
このような案内画像表示処理によれば、GPS測位が不能な期間中は、推定した現在位置を表す推定現在位置に現在の位置を表す推定現在位置図形を配置するが、推定現在位置、したがって推定現在位置図形が交差点まで進んだならば、以降は、到達した交差点にロスト位置図形を表示し続けることにより、現在位置の測定が停止していることをユーザに認知せしめる。よって、ユーザが、GPS測位が不能期間中に、GPS測位が不能となる直前に走行していた道路から他の道路に交差点において右左折してしまった場合にも、誤った道路上に現在位置が表示されてしまうことはなく、ユーザが現在の位置を誤った道路上に認識してしまうことを抑制することができる。
【0028】
ここで、以上のような案内画像表示処理は、目的地までのルートが設定されている場合には、GPS測位が不能となった後に交差点に到達した後も、ロスト位置図形330の表示を行わずに、推定現在位置図形320の表示を継続するようにしてもよい。
すなわち、この場合には、図2のステップ214において、推定現在位置を、基準時点におけるGPS基準現在位置から、設定されているルート上を、目的地方向に、基準速度で、基準時点から現在までの経過時間分走行した場合の位置として算定するようにする。また、ステップ224では、ルートが設定されておらず、かつ、算定した推定現在位置が交差点に到達しているかを判定し、ルートが設定されておらず、かつ、算定した推定現在位置が交差点に到達している場合にステップ230に進み、ルートが設定されているか、算定した推定現在位置が交差点に到達していない場合には、ステップ226に進むようにする。
【0029】
ここで、ユーザは設定されているルートに従って進行する蓋然性が大きいので、このようにすることにより、推定現在位置図形によって誤った道路上に現在位置を案内してしまう可能性を低く抑えつつ、推定現在位置に基づく現在の位置の推定現在位置図形による案内をより長く継続することができる。
ここで、以上の実施形態は、図2に示した案内画像表示処理に代えて図4に示す案内画像表示処理を行うようにしてもよい。
すなわち、この場合には、案内画像表示処理において、まず、GPS受信機103でGPS測位が正常に行われているかどうかを調べ(ステップ402)、GPS測位が正常に行われている場合には、GPS測位によって測定された現在位置から求めたGPS基準現在位置に基づいて地図表示範囲を算定する(ステップ404)。そして、次に地図データに基づいて地図表示範囲内の地図を地図画像として描画し(ステップ406)、現在、目的地までのルートが設定されている場合には(ステップ408)、地図画像上でルートを表すルート図形を地図画像上に描画する(ステップ410)。
【0030】
そして、GPS基準現在位置に、現在位置図形を描画した画像を案内画像として生成しディスプレイ105に表示する(ステップ412)。
そして、ステップ402からの処理に戻る。
一方、ステップ402において、GPS受信機103でGPS測位が正常に行われていないと判定された場合には、まず、GPS受信機103でGPS測位が正常に行われなくなる直前の時点を基準時点として、基準時点におけるGPS基準現在位置を参照位置と第1参照位置に設定すると共に、基準時点における進行方向を、参照位置の参照位置進行方向に設定する(ステップ414)。なお、基準時点における進行方向は、基準時点におけるGPS基準現在位置の移動方向として求めることができる。
【0031】
また、所定のタイムアウト時間(たとえば、2分)を持つタイマをスタートする(ステップ416)。
そして、参照位置、参照位置進行方向と地図データに基づいて候補位置と候補位置進行方向を算定する(ステップ418)。ここで、参照位置は複数設定される場合があり、候補位置は参照位置が複数存在する場合には、各参照位置に対して算定する。
また、ステップ414と後述するステップ442とステップ444とステップ446のうち最後に行われたステップの実行時点を前回時点、基準時点における移動速度を基準速度とすると共に、当該基準速度によって前回時点からの経過時間分、移動した場合の移動距離を今回移動距離として、候補位置は、参照位置を、今回移動距離分、参照位置から参照位置進行方向にスタートして進行可能な各道路上に進めた位置として算定する。また、候補位置が位置する道路の進行方向のうち、当該候補位置まで進めた方向を、その候補位置の候補位置進行方向として算定する。ここで、基準時点における移動速度は、基準時点におけるGPS基準現在位置の単位時間あたりの変位量として求めることができる。なお、このように候補位置の算定に用いる基準速度は、時間の経過、または、候補位置の移動量に追従して、基準時点における移動速度から漸減させていくようにしてもよい。
【0032】
なお、参照位置から参照位置進行方向に道なりに今回移動距離進む前の位置に交差点が存在する場合には、参照位置から参照位置進行方向に交差点に進入した場合に、当該交差点から退出可能な各道路上に候補位置を算定することとなる。
すなわち、たとえば、図5に示すように、道路A上に参照位置Kがあり参照位置Kの進行方向が下り方向であり、参照位置Kから下り方向に今回移動距離L未満の距離離れた交差点Xが存在し、交差点Xで道路Aと道路Bが交差している場合、交差点Xから道路Aをさらに下り方向に進んだ参照位置Kからの道程距離が今回移動距離Lとなる位置P1と、交差点Xから道路Bの下り方向に進入して進んだ参照位置Kからの道程距離が今回移動距離Lとなる位置P2と、交差点Xから道路Bの上り方向に進入して進んだ参照位置Kからの道程距離が今回移動距離Lとなる位置P3との3つの位置が、参照位置Kに対して候補位置として算定される。また、候補位置P1の候補位置進行方向は道路Aの下り方向となり、候補位置P2の候補位置進行方向は道路Bの下り方向となり、候補位置P3の候補位置進行方向は道路Bの上り方向となる。
【0033】
次に、このようにして、各参照位置について、候補位置と候補位置進行方向を算定したならば(ステップ418)、算定した候補位置の配置に基づいて地図表示範囲と地図表示縮尺を設定する(ステップ420)。ここでは、算定した候補位置の全てが地図表示範囲に含まれるように地図表示範囲と地図表示縮尺を設定する。
【0034】
そして、地図データに基づいて地図表示範囲内の地図を設定した地図表示縮尺で地図画像として描画する(ステップ422)。
また、現在、目的地までのルートが設定されているかどうかを調べる(ステップ424)。
そして、ルートが設定されている場合には、地図画像上でルートを表すルート図形を地図画像上に描画する(ステップ426)。そして、第1参照位置がルート上に存在するかどうかを調べ(ステップ428)、ルート上にあれば第1参照位置を今回移動距離分、ルートに従って進めることにより算定された候補位置を第1候補位置に設定し(ステップ430)、第1参照位置がルート上に無い場合には、第1参照位置を、今回移動距離分、第1参照位置に設定されている参照位置の参照位置進行方向に道なりに直進させることにより算定された候補位置を第1候補位置に設定する(ステップ432)。
【0035】
また、目的地までのルートが設定されていない場合には(ステップ424)、第1参照位置を、今回移動距離分、第1参照位置に設定されている参照位置の参照位置進行方向に道なりに直進させることにより算定された候補位置を第1候補位置に設定する(ステップ432)。
【0036】
そして、地図画像上の第1候補位置に第1候補位置図形を描画し、地図画像上の他の各候補位置に候補位置図形を描画した画像を案内画像として生成しディスプレイ105に表示する(ステップ434)。
そして、GPS受信機103のGPS測位の正常復帰と(ステップ436)、ユーザの候補位置の選択の発生と(ステップ438)、ステップ416でスタートしたタイマのタイムアウトの発生と(ステップ440)とを調べる。ここで、ユーザの候補位置の選択は、操作部107を用いた案内画像の表示上での第1候補位置図形または候補位置図形の選択操作によって受け付ける。
【0037】
そして、GPS受信機103のGPS測位が正常に行えるように復帰していれば(ステップ436)、ステップ404からの処理に戻る。
一方、ユーザの候補位置の選択が発生していれば(ステップ438)、現在の全ての参照位置と第1参照位置を削除し、選択された候補位置を参照位置に設定し、設定した参照位置の参照位置進行方向に、選択された候補位置の候補位置進行方向を設定すると共に、選択された候補位置を第1参照位置に設定する(ステップ444)。そして、ステップ418からの処理に戻る。なお、ステップ444の処理の結果、参照位置は一つだけとなる。
【0038】
また、タイマのタイムアウトが発生していれば(ステップ440)、現在の全ての参照位置と第1参照位置を削除し、第1候補位置を参照位置に設定し、設定した参照位置の参照位置進行方向に、第1候補位置となっている候補位置の候補位置進行方向を設定すると共に、第1候補位置を第1参照位置に設定する(ステップ446)。そして、ステップ418からの処理に戻る。なお、ステップ446の処理の結果、参照位置は一つだけとなる。
【0039】
一方、GPS受信機103のGPS測位の正常復帰も(ステップ436)、ユーザの候補位置の選択も(ステップ438)、タイムアウトも(ステップ440)発生していない場合には、現在の全ての参照位置とその参照位置進行方向を削除し、候補位置のそれぞれを参照位置に設定すると共に、各参照位置の参照位置進行方向を当該参照位置に設定した候補位置の候補位置進行方向に設定する。また、第1候補位置を第1参照位置に設定する(ステップ442)。そして、ステップ418からの処理に戻る。
【0040】
以上、案内画像表示処理の手順を示した。
なお、以上の案内画像表示処理は、ステップ416を設けずに、ステップ414からステップ418に進むようにすると共に、ステップ418で算定された候補位置の数が最初に複数となったときに、タイマを設定する処理としてもよい。
以下、図4に示した案内画像表示処理の処理例を示す。
いま、図6aに示すように、ルート図形601で表すように目的地までのルートが設定されている状態において、GPS受信機103によるGPS測位が正常に行われているときには、地図画像301上のGPS基準現在位置に現在位置図形310が描画された案内画像が表示される。そして、現在位置の進行に追従して、現在位置図形310も地図画像301が表す地図上で進んでいく。
【0041】
一方、GPS受信機103によるGPS測位が正常に行えなくなると、現在位置図形310に代わり現在位置の推定位置である候補位置を、地図画像301上で表す第1候補位置図形と候補位置図形が地図画像301上に表された案内画像が表示される。ここで、GPS受信機103によるGPS測位が正常に行えなくなった時点では、図6bに示すように、候補位置は一つであり、その候補位置が第1候補位置に設定されて、地図画像301上の第1候補位置に第1候補位置図形610のみが表示され、他の候補位置図形は表示されない。そして、第1候補位置図形610が時間の経過と共に、最後にGPS測位されたGPS基準現在位置が位置していた道路上を進んでいく。
【0042】
そして、やがて、第1候補位置図形610が交差点に到達すると、その後は、図6cに示すように、候補位置として、交差点で分岐する二つの道路上の位置が算定され、算定された候補位置のうちルート上にある候補位置が第1候補位置に設定される。そして、地図画像301上のルート上にある第1候補位置に第1候補位置図形610が表示され、他の道路上の候補位置には候補位置図形620が表示される。
【0043】
ここで、第1候補位置図形610は、ルート上を進む候補位置を表すものであるため、より現在位置としての信頼度の高い候補位置を表すものとなっている。そこで、第1候補位置図形610は、候補位置図形620よりも強調した形態で表示する。
そして、図6dに示すように、第1候補位置図形610と各候補位置図形620が、時間経過と共に、それぞれが位置する道路上を進んでいく。
そして、このように、第1候補位置図形610と1つまたは複数の候補位置図形620が案内画像上に表されている状態において、図6dに示すように、ユーザが、第1候補位置図形610またはいずれかの候補位置図形620をタッチパネルによるタッチ等によって選択操作すると、図6eに示すように、選択された第1候補位置図形610または候補位置図形620が表す候補位置以外の候補位置は無効化され、選択された第1候補位置図形610または候補位置図形620が表す候補位置が第1候補位置に設定されて第1候補位置図形610のみが表示されるようになり、以降、時間経過と共に、第1候補位置図形610が道路上を進行していくこととなる。
【0044】
一方、図6dに示すように、第1候補位置図形610と1つまたは複数の候補位置図形620が案内画像上に表されている状態において、ユーザが所定期間、第1候補位置図形610または候補位置図形620の選択操作を行わなかった場合には、図6fに示すように、その時点の第1候補位置図形610が表す候補位置以外の候補位置は無効化されて第1候補位置図形610のみが表示されるようになり、以降、時間経過と共に、第1候補位置図形610が道路上を進行していくこととなる。
【0045】
そして、その後、GPS受信機103によるGPS測位が正常に復帰したならば、地図画像301上のGPS基準現在位置に現在位置図形310が描画された案内画像の表示に復帰する。
次に、図7aに示すように、目的地までのルートが設定されていない状態において、GPS受信機103によるGPS測位が正常に行われているときには、地図画像301上のGPS基準現在位置に現在位置図形310が描画された案内画像が表示される。そして、現在位置の進行に追従して、現在位置図形310も地図画像301が表す地図上で進んでいく。
【0046】
一方、GPS受信機103によるGPS測位が正常に行えなくなると、現在位置図形310に代わり現在位置の推定位置である候補位置を、地図画像301上で表す第1候補位置図形と候補位置図形が地図画像301上に表された案内画像が表示される。ここで、GPS受信機103によるGPS測位が正常に行えなくなった時点では、図7bに示すように、候補位置は一つであり、その候補位置が第1候補位置に設定され、地図画像301上の第1候補位置にのみ第1候補位置図形610が表示され、他の候補位置図形は表示されない。そして、第1候補位置図形610が時間の経過と共に、最後にGPS測位されたGPS基準現在位置が位置していた道路上を進んでいく。
【0047】
そして、やがて、第1候補位置図形610が交差点に到達すると、その後は、図7cに示すように、候補位置として、交差点で分岐する各道路上の位置が算定され、算定された候補位置のうち前回第1候補位置から交差点を直進した位置にある候補位置が第1候補位置に設定される。そして、地図画像301上の設定した第1候補位置に第1候補位置図形610が表示され、他の候補位置には候補位置図形620が表示される。
【0048】
ここで、第1候補位置図形610は、交差点を直進した位置にある候補位置を表すものであるため、比較的現在位置としての信頼度の高い候補位置を表すものとなっている。そこで、第1候補位置図形610は、候補位置図形620よりも強調した形態で表示する。
そして、図7dに示すように、第1候補位置図形610と各候補位置図形620が、時間経過と共に、それぞれが位置する道路上を進んでいく。
そして、このように、第1候補位置図形610と1つまたは複数の候補位置図形620が案内画像上に表されている状態において、図7dに示すように、ユーザが、第1候補位置図形610またはいずれかの候補位置図形620をタッチパネルによるタッチ等によって選択操作すると、図7eに示すように、選択された第1候補位置図形610または候補位置図形620が表す候補位置以外の候補位置は無効化され、選択された第1候補位置図形610または候補位置図形620が表す候補位置が第1候補位置に設定されて第1候補位置図形610のみが表示されるようになり、以降、時間経過と共に、第1候補位置図形610が道路上を進行していくこととなる。
【0049】
一方、図7dに示すように、第1候補位置図形610と1つまたは複数の候補位置図形620が案内画像上に表されている状態において、ユーザが所定期間、第1候補位置図形610または候補位置図形620の選択操作を行わなかった場合には、図7fに示すように、第1候補位置図形610が表す候補位置以外の候補位置は無効化されて第1候補位置図形610のみが表示されるようになり、以降、時間経過と共に、第1候補位置図形610が道路上を進行していくこととなる。
【0050】
そして、その後、GPS受信機103によるGPS測位が正常に復帰したならば、地図画像301上のGPS基準現在位置に現在位置図形310が描画された案内画像の表示に復帰する。
以上のように、図4に示した案内画像表示処理によれば、GPS測位が不能な期間中は、現在の位置が存在し得る全ての道路上の位置に現在の位置を表す第1候補位置図形もしくは候補位置図形が表示されるので、ユーザが、衛星測位が不能期間中に、衛星測位が不能となる直前に走行していた道路から他の道路に交差点において右左折してしまった場合にも、誤った道路上の位置のみに現在位置を表す図形が表示されてしまうことはなく、正しい道路上の位置にも現在位置の候補を表す第1候補位置図形もしくは候補位置図形が表示されることとなる。よって、ユーザが現在の位置を誤った道路上に認識してしまうことを抑制することができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、以上の実施形態では、スマートフォン1への適用を例にとり説明したが、本実施形態は、移動電話機(携帯電話)や、車載のナビゲーション装置など、GPS受信機とナビゲーション機能を備えた任意の装置に同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…スマートフォン、101…移動通信装置、102…ジャイロセンサ、103…GPS受信機、104…記憶装置、105…ディスプレイ、106…表示制御部、107…操作部、108…マイク、109…スピーカ、110…音声入出力部、111…外部インタフェース、112…オペレーティングシステム、121…移動電話アプリケーション、122…ナビゲーションアプリケーション。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7