(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の従来の除霜運転では、燃焼熱源機を必要としており、かつ燃焼熱源機の燃焼排気を室外熱交換器に導入しなければならないので、燃焼熱源機とヒートポンプシステムを隣接させて設置しなければならない。また燃焼排気を用いた除霜では効率があまりよくない。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、貯湯タンクとヒートポンプシステムとを有する温水システムにおいて、ヒートポンプシステムの外気熱交換器(室外熱交換器)の除霜運転を、外気熱交換器を電気で加熱することなく、かつ燃焼熱源機の燃焼排気を用いることなく、より効率良く行うことができる温水システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る温水システムは次の手段をとる。
まず、本発明の第1の発明は、給湯用の温水を蓄える貯湯タンクと、前記貯湯タンクに接続された貯湯配管を介して前記貯湯タンクから取り出された温水を加熱可能なヒートポンプシステムと、前記貯湯タンクから取り出された温水を前記ヒートポンプシステムに導くとともに前記ヒートポンプシステムにて加熱された温水を前記貯湯タンクに戻すように形成された前記貯湯配管と、を備えた温水システムである。
前記ヒートポンプシステムは、ヒートポンプ循環熱媒を循環させる電気ヒートポンプと、外気と前記ヒートポンプ循環熱媒との間で熱交換を行う外気熱交換器と、前記ヒートポンプ循環熱媒と前記貯湯配管からの温水との間で熱交換を行う給湯熱交換器と、前記ヒートポンプ循環熱媒を、前記外気熱交換器から前記電気ヒートポンプを経由させて前記給湯熱交換器へと導き、前記給湯熱交換器から前記電気ヒートポンプを経由させて前記外気熱交換器へと戻すように環状に形成されて、前記ヒートポンプ循環熱媒を循環させるヒートポンプ配管と、にて構成されている。
そして、前記温水システムは、前記ヒートポンプシステムの前記外気熱交換器の除霜運転を行う際、前記貯湯配管からの温水の熱を利用して前記給湯熱交換器を介して前記ヒートポンプ循環熱媒を加熱し、加熱させた前記ヒートポンプ循環熱媒の熱を利用して前記外気熱交換器から放熱することで前記外気熱交換器を除霜する。
また、前記貯湯配管におけるいずれかの位置には、当該貯湯配管内の温水を循環させることが可能な温水循環ポンプが設けられており、前記温水システムは、前記温水循環ポンプと、前記電気ヒートポンプを制御する制御手段を有している。
そして、前記制御手段は、前記外気熱交換器の除霜運転を行う際、前記貯湯配管内の温水と、前記ヒートポンプ配管内の前記ヒートポンプ循環熱媒と、が所定の循環方向となるように前記温水循環ポンプと前記電気ヒートポンプとを制御することで前記外気熱交換器を除霜する。
また、前記貯湯タンクに接続された出湯配管を介して取り出した前記貯湯タンク内の温水と、上水とを、設定された給湯温度に応じた比率で混合した温水を生成することが可能な混合装置と、燃焼熱源機と、前記混合装置から取り出された温水を前記燃焼熱源機を経由させて前記混合装置に戻すように形成された追加熱配管と、前記追加熱配管における前記燃焼熱源機から前記混合装置に温水を戻す経路中のいずれかの位置に設けられた第1流路切替弁と、前記貯湯配管のいずれかの位置に設けられる第2流路切替弁と、一方端が前記第1流路切替弁に接続されて他方端が前記第2流路切替弁に接続された第1バイパス配管と、備えた温水システムである。
そして、前記制御手段は、更に、前記燃焼熱源機と、前記第1流路切替弁と、前記第2流路切替弁とを制御可能であり、前記外気熱交換器の除霜運転を行う際、前記貯湯タンク内の温水を前記混合装置に取り出し、前記燃焼熱源機を制御して前記混合装置から前記追加熱配管内に取り出された温水を加熱し、前記第1流路切替弁と前記第2流路切替弁を制御して、前記燃焼熱源機にて加熱した温水を前記第1流路切替弁と前記第1バイパス配管と前記第2流路切替弁とを経由させて前記貯湯配管へと導く。
【0006】
この第1の発明では、ヒートポンプシステムの外気熱交換器の除霜運転を行う際、貯湯配管内を流れる温水の熱を利用してヒートポンプ循環熱媒を加熱し、加熱させたヒートポンプ循環熱媒の熱を利用して外気熱交換器から放熱して外気熱交換器の除霜を行う。
このため、外気熱交換器を電気で加熱する必要がなく、除霜運転のために電気料金の契約アンペアを上げる必要がない。また燃焼熱源機を必要とすることもない。
また、効率良く熱を貯湯タンクに溜める温水システムにおける熱の流れを逆方向にしているので、効率良く放熱することが可能であり、効率良く除霜運転を行うことができる。
【0007】
【0008】
また、第1の発明によれば、除霜運転の際、貯湯タンク内に蓄えられている温水を貯湯配管にて循環させることで、貯湯タンクに蓄えられている熱を、外気熱交換器から効率良く放熱することが可能であり、効率良く除霜運転を行うことができる。
つまり、ヒートポンプシステムで加熱した給湯用の温水が貯湯タンクに充分残存している場合、貯湯タンク内の温水とヒートポンプ循環熱媒との間で熱交換してヒートポンプ循環熱媒を加熱し、ヒートポンプ循環熱媒の熱を外気熱交換器から放熱する。
また、外気熱交換器を電気で加熱する必要がなく、除霜運転のために電気料金の契約アンペアを上げる必要がない。また燃焼熱源機を必要とすることもない。
【0009】
【0010】
また、第1の発明によれば、貯湯タンク内の温水を給湯として利用する際に、温水を更に加熱することが可能な燃焼熱源機を備えた温水システムにおいて、除霜運転の際には、第1流路切替弁と第2流路切替弁を制御して、燃焼熱源機にて加熱した温水の熱を外気熱交換器から放熱する。
これにより、貯湯タンク内の温水の温度が比較的低い場合であっても、効率良く外気熱交換器から放熱して除霜運転を行うことができる。
【0011】
次に、本発明の
第2の発明は、上記
第1の発明に係る温水システムであって、前記貯湯配管に設けられた第3流路切替弁と、前記追加熱配管に設けられた第4流路切替手段と、一方端が前記第3流路切替弁に接続されて他方端が前記第4流路切替弁に接続された第2バイパス配管と、備えた温水システムである。
前記貯湯配管は、一方端が前記貯湯タンクの下部に接続され、他方端が前記貯湯タンクの上部に接続されており、前記第3流路切替弁は、前記第2流路切替弁が前記貯湯配管における前記貯湯タンクの下部と前記ヒートポンプシステムと間の経路中に設けられている場合は前記貯湯配管における前記貯湯タンクの上部と前記ヒートポンプシステムとの間の経路中に設けられ、前記第2流路切替弁が前記貯湯配管における前記貯湯タンクの上部と前記ヒートポンプシステムと間の経路中に設けられている場合は前記貯湯配管における前記貯湯タンクの下部と前記ヒートポンプシステムとの間の経路中に設けられており、前記第4流路切替弁は、前記追加熱配管における前記混合装置から前記燃焼熱源機に温水を流す経路中のいずれかの位置に設けられている。
そして、前記制御手段は、更に、前記第3流路切替弁と、前記第4流路切替弁とを制御可能であり、前記外気熱交換器の除霜運転を行う際、前記第3流路切替弁と前記第4流路切替弁を制御して、前記第1流路切替弁と前記第1バイパス配管と前記第2流路切替弁を経由させて前記給湯配管へと導いた温水を、前記第3流路切替弁と前記第2バイパス配管と前記第4流路切替弁を経由させて前記追加熱配管に戻し、戻した温水を前記燃焼熱源機にて加熱して再び前記第1流路切替弁と前記第1バイパス配管と前記第2流路切替弁へと導く。
【0012】
この
第2の発明によれば、第1流路切替弁と第2流路切替弁との間に設けられた第1バイパス配管と、第3流路切替弁と第4流路切替弁との間に設けられた第2バイパス配管と、を用いて、燃焼熱源機とヒートポンプシステムとの間で、効率良く温水を循環させることができる。
これにより、ヒートポンプシステムで加熱した給湯用の温水が貯湯タンクに充分残存していない場合であっても、燃焼熱源機にて加熱した温水の熱を、効率良く外気熱交換器から放熱することが可能であり、効率良く除霜運転を行うことができる。
【0013】
次に、本発明の
第3の発明は、上記
第1の発明または第2の発明に係る温水システムであって、前記第1流路切替弁と、前記第2流路切替弁と、前記第1バイパス配管と、前記第3流路切替弁と前記第4流路切替弁と前記第2バイパス配管とを有する場合は、前記第3流路切替弁と、前記第4流路切替弁と、前記第2バイパス配管と、が一体化された第1除霜ユニットが構成されている。
【0014】
この
第3の発明によれば、第1流路切替弁と第2流路切替弁と第1バイパス配管、そして第3流路切替弁と第4流路切替弁と第2バイパス配管(第3流路切替弁と第4流路切替弁と第2バイパス配管を有する場合)、を一体化した第1除霜ユニットを構成することで、除霜のための配管等の取り付け作業を効率良く行うことができる。
【0015】
次に、本発明の
第4の発明は、上記
第1の発明〜第3の発明のいずれか1つに係る温水システムであって、前記制御手段は、前記除霜運転の実行中に給湯要求が発生した場合には、前記第1流路切替弁と前記第2流路切替弁を制御して前記第1バイパス配管を閉鎖し、前記除霜運転の実行中に給湯要求が発生した場合であって、前記第3流路切替弁と前記第4流路切替弁と前記第2バイパス配管を有している場合は前記第3流路切替弁と前記第4流路切替弁を制御して前記第2バイパス配管を閉鎖することで、前記除霜運転を一時的に中断して前記給湯要求を優先する。
【0016】
この
第4の発明によれば、除霜運転の実行中に給湯要求が発生した場合、除霜運転を一時的に中断して給湯を優先させることができるので、利用者にとって、より使い勝手の良い温水システムとすることができる。
【0017】
次に、本発明の
第5の発明は、上記
第1の発明に係る温水システムであって、前記貯湯配管のいずれかの位置に配置された給湯暖房熱交換器と、燃焼熱源機と、前記給湯暖房熱交換器と前記燃焼熱源機とを経由するように環状に形成されて暖房循環熱媒を循環させる経路を形成する暖房放熱配管と、を備えた温水システムである。
そして、前記制御手段は、更に、前記燃焼熱源機を制御可能であり、前記外気熱交換器の除霜運転を行う際、前記燃焼熱源機を制御して加熱した前記暖房放熱配管内の暖房循環熱媒と、前記給湯暖房熱交換器と、を用いて前記貯湯配管内の温水を加熱する。
【0018】
この
第5の発明によれば、燃焼熱源機にて加熱した暖房循環熱媒の熱を利用して給湯配管内の温水を加熱し、当該温水の熱を利用してヒートポンプ循環熱媒を加熱し、ヒートポンプ循環熱媒の熱を外気熱交換器から放熱することで除霜運転を行う。
これにより、ヒートポンプシステムで加熱した給湯用の温水が貯湯タンクに充分残存していない場合であっても、効率良く外気熱交換器から放熱して除霜運転を行うことができる。
【0019】
次に、本発明の
第6の発明は、上記
第5の発明に係る温水システムであって、前記貯湯配管は、前記貯湯タンクと前記給湯暖房熱交換器と前記ヒートポンプシステムとを含む経路を形成しており、第3バイパス配管と前記貯湯配管の一部にて、前記貯湯タンクを含むことなく前記給湯暖房熱交換器と前記ヒートポンプシステムとを含むように環状の循環経路が形成可能となるように、前記貯湯配管には、第3バイパス配管が接続されており、前記第3バイパス配管と前記貯湯配管との一方の接続部には第5流路切替弁が設けられておいる。
そして、前記制御手段は、更に、前記第5流路切替弁を制御可能であり、前記外気熱交換器の除霜運転を行う際、前記第5流路切替弁を制御して前記循環経路を形成する。
【0020】
この
第6の発明によれば、暖房循環熱媒の熱を利用して加熱した温水を貯湯タンクに戻すことなくヒートポンプシステムと給湯暖房熱交換器との間で循環させる経路を、第5流路切替弁と第3バイパス配管にて形成する。
これにより、ヒートポンプシステムで加熱した給湯用の温水が貯湯タンクに充分残存していない場合であっても、効率良く外気熱交換器から放熱して除霜運転を行うことができる。
【0021】
次に、本発明の
第7の発明は、上記
第5の発明または第6の発明に係る温水システムであって、前記給湯暖房熱交換器と、前記第3バイパス配管及び前記第5流路切替弁を有する場合は、前記第3バイパス配管と前記第5流路切替弁と、が一体化された第2除霜ユニットが構成されている。
【0022】
この
第7の発明によれば、第5流路切替弁と第3バイパス配管を一体化した第2除霜ユニットを構成することで、除霜のための配管等の取り付け作業を効率良く行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。なお、各図において、点線Rにて囲まれた内部は暖房を利用する室内を示し、点線Rにて囲まれた内部を除いた周囲は屋外を示している。
●[従来の温水システム100の構成(
図8)]
まず、
図8を用いて従来の温水システム100の構成の例について説明する。
従来の温水システム100は、熱源としてヒートポンプシステム20と燃焼熱源機30とを備え、更に、貯湯タンク装置10、暖房端末40等を有している。
【0025】
貯湯タンク装置10は、貯湯タンク12と、混合装置13と、タンク制御手段11と、を有している。
貯湯タンク12は、暖房循環熱媒を蓄えることなく給湯用の温水を蓄えている。
貯湯タンク12には、貯湯タンク12から取り出された温水をヒートポンプシステム20に導くとともにヒートポンプシステム20にて加熱された温水を貯湯タンク12に戻すように形成された貯湯蓄熱経路HBが接続されている。
そして貯湯蓄熱経路HBは、第1貯湯配管HB1と第2貯湯配管HB2にて形成されており、通常の蓄熱において、第1貯湯配管HB1は、貯湯タンク12の下部から取り出された温水をヒートポンプシステム20に導き、第2貯湯配管HB2は、ヒートポンプシステム20にて加熱した温水を貯湯タンク12の上部に戻すように接続されている。
また貯湯タンク12には、給水(上水)を貯湯タンク12に導く給水経路HAが接続され、貯湯タンク12内の温水を混合装置13に導く温水吐出経路HC(出湯配管に相当)が接続されている。
【0026】
混合装置13は、温水吐出経路HCを介して貯湯タンク12から取り出した温水と給水経路HAから供給された給水とを、設定された給湯温度に応じた比率で混合した温水、あるいは給湯加熱経路HDを経由して加熱された温水を、給湯経路HEへ吐出する。
また混合装置13には、混合装置13から燃焼熱源機30に温水を導く第1追加熱配管HD1と、燃焼熱源機30にて加熱された温水を混合装置13に戻す第2追加熱配管HD2と、にて形成された給湯加熱経路HDが接続されている。
タンク制御手段11は、無線あるいは有線(通信線T1)にて熱源機制御手段31との間で種々の情報を送受信可能であり、無線あるいは有線(通信線T2)にてヒートポンプ制御手段21との間で種々の情報を送受信することが可能であり、送受信した種々の情報等に基づいて混合装置13の動作を制御し、給湯経路HEから吐出される温水の温度を調整する。
なお、混合装置13は、温度検出手段、流量検出手段、経路切替手段等を有しており、詳細については説明を省略する。
【0027】
ヒートポンプシステム20は、電気式のヒートポンプシステムであり、ヒートポンプ22(電気ヒートポンプに相当)、給湯熱交換器23、ヒートポンプ制御手段21、温水循環ポンプ24、外気熱交換器25、ヒートポンプ配管HHを有している。またヒートポンプシステム20には、貯湯蓄熱経路HBが接続されている。
ヒートポンプ制御手段21は、無線あるいは有線(通信線T2)にてタンク制御手段11との間で種々の情報を送受信可能である。
そしてヒートポンプ制御手段21は、タンク制御手段11から受信した情報に基づいて、温水循環ポンプ24を制御して貯湯蓄熱経路HBの温水を循環させ、ヒートポンプ22を制御して、貯湯蓄熱経路HB内を流れる温水を加熱する。
ヒートポンプ22は、ヒートポンプ配管HH内のヒートポンプ循環熱媒を循環させ、
図8に示す例では、ヒートポンプ配管HH内のヒートポンプ循環熱媒を時計回り方向に循環させる。
温水循環ポンプ24は、貯湯蓄熱経路HB内の温水を循環させ、
図8の例では、貯湯蓄熱経路HB内の温水を時計回り方向に循環させる。
外気熱交換器25は、外気とヒートポンプ循環熱媒との間で熱交換を行い、ヒートポンプ循環熱媒を加熱する。
給湯熱交換器23は、ヒートポンプ循環熱媒と貯湯蓄熱経路HB内の温水との間で熱交換を行い、貯湯蓄熱経路HB内の温水を加熱する。
【0028】
燃焼熱源機30は、熱源機制御手段31と、燃焼加熱手段32と、熱源機熱交換器33、34、暖房熱媒循環ポンプ35と、を有している。
また燃焼熱源機30には、暖房循環熱媒を燃焼熱源機30から暖房端末40に導く第1暖房配管HY1と、暖房端末40にて放熱した暖房循環熱媒を燃焼熱源機30に戻す第2暖房配管HY2と、にて環状に形成された暖房経路HYと、給湯加熱経路HDと、が接続されている。
燃焼加熱手段32には、燃料(都市ガスや灯油等)が供給される燃料経路HZが接続されており、燃料の燃焼によって発生した熱を用いて熱源機熱交換器33を介して給湯加熱経路HDの温水を加熱することが可能であり、熱源機熱交換器34を介して暖房経路HYの暖房循環熱媒を加熱することが可能である。
また暖房熱媒循環ポンプ35は、暖房経路HYの暖房循環熱媒を循環させる。
熱源機制御手段31は、無線あるいは有線(通信線T1)にてタンク制御手段11との間で種々の情報の送受信が可能である。また熱源機制御手段31は、無線あるいは有線(通信線T3)にて給湯設定手段37との間で種々の情報の送受信が可能であり、無線あるいは有線(通信線T6)にて端末制御手段41との間で種々の情報の送受信を行うことが可能である。
そして熱源機制御手段31は、タンク制御手段11あるいは給湯設定手段37あるいは端末制御手段41から受信した情報に基づいて、燃焼加熱手段32と暖房熱媒循環ポンプ35を制御する。
【0029】
暖房端末40は、端末制御手段41と弁手段42を有しており、暖房経路HYが接続されている。
例えば暖房端末40は浴室の乾燥機等であり、暖房経路HYから供給される暖房循環熱媒(例えば温水)を用いて放熱する。
また端末制御手段41は、無線あるいは有線(通信線T7)にて暖房設定手段47との間で種々の情報を送受信可能であり、無線あるいは有線(通信線T6)にて燃焼熱源機30の熱源機制御手段31との間で種々の情報を送受信可能であり、弁手段42を制御することが可能である。
弁手段42は、端末制御手段41からの制御信号に基づいて暖房経路HYの開度量を調節し、暖房循環熱媒の供給量を調節する。
なお、給湯設定手段37と暖房設定手段47は、一体化されていてもよい。
【0030】
利用者は、給湯を所望する場合、屋内(R)に配置された給湯設定手段37から給湯温度等を設定する。すると、給湯設定手段37に入力された情報に基づいた設定情報が、給湯設定手段37から熱源機制御手段31に送信され、更に熱源機制御手段31からタンク制御手段11を介してヒートポンプ制御手段21に送信される。すると、貯湯タンク装置10、ヒートポンプシステム20、燃焼熱源機30は、設定情報に基づいて連動して動作し、利用者は、給湯経路HEから所望した温度の温水を得ることができる。
また利用者は、暖房端末40の暖房運転を所望する場合、屋内(R)に配置された暖房設定手段47から暖房運転の開始等を設定する。すると、暖房設定手段47に入力された情報に基づいた設定情報が、暖房設定手段47から端末制御手段41に送信され、更に端末制御手段41から熱源機制御手段31に送信される。すると、暖房端末40、燃焼熱源機30は、設定情報に基づいて連動して動作し、利用者は、暖房端末40を所望した運転状態とすることができる。
【0031】
以上に説明した従来の温水システム100では、寒冷時においてヒートポンプシステム20の外気熱交換器25に霜が付着した場合、電気を用いて外気熱交換器25を加熱して除霜運転を行う方法を用いていたが、電気で加熱する方法では、消費電力が非常に大きく不経済であった。
以下に説明する本実施の形態の温水システムでは、貯湯タンクとヒートポンプシステムとを有する温水システムにおいて、ヒートポンプシステムの外気熱交換器の除霜運転を、外気熱交換器を電気で加熱することなく、より効率良く行うことができる。
【0032】
●[第1の実施の形態の温水システム1Aの構成(
図1)]
次に
図1を用いて、第1の実施の形態の温水システム1Aの構成について説明する。
図1に示す第1の実施の形態の温水システム1Aは、
図8に示す従来の温水システム100に対して、暖房端末40、暖房設定手段47、暖房経路HY、暖房熱媒循環ポンプ35が省略されているが、これらを備えていてもよく、従来の温水システム100に対して、構成上は、特に変わらない。
第1の実施の形態の温水システム1Aでは、貯湯タンク12、ヒートポンプシステム20、貯湯蓄熱経路HBを、必須構成要素としている。
【0033】
ヒートポンプ制御手段21は、外気温が所定温度以下となった等、除霜運転の実行条件を満足したことを検出すると、外気熱交換器25の除霜運転を開始する。そして除霜運転の際は、温水循環ポンプ24を駆動して貯湯蓄熱経路HB(第1貯湯配管HB1、第2貯湯配管HB2)内の温水を所定方向に循環させ、ヒートポンプ22を駆動してヒートポンプ配管HH内のヒートポンプ循環熱媒を所定方向に循環させる。なお、蓄熱時の循環方向と同じように、
図1における貯湯蓄熱経路HB内の温水を時計回り方向に循環させてヒートポンプ配管HH内のヒートポンプ循環熱媒を時計回り方向に循環させてもよいが、蓄熱時とは逆方向に循環させると、貯湯タンク12内の高温の温水を取り出すことができるので、より好ましい。
これにより、貯湯蓄熱経路HB内の温水の熱を利用して給湯熱交換器23を介してヒートポンプ循環熱媒を加熱し、加熱したヒートポンプ循環熱媒の熱を利用して外気熱交換器25から放熱することで、外気熱交換器25の除霜運転を行う。
【0034】
このように、第1の実施の形態では、従来の温水システムに対して特に追加する構成要素がなく、貯湯蓄熱経路HB内を流れる温水の熱を利用して外気熱交換器から放熱させるので、非常に低コストで外気熱交換器の除霜運転を行うことができる。
第1の実施の形態では、ヒートポンプシステムで加熱した給湯用の温水が貯湯タンクに充分残存している場合、効率よく除霜運転を行うことができる。また、外気熱交換器を電気で加熱する必要がなく、除霜運転のために電気料金の契約アンペアを上げる必要がない。また燃焼熱源機を必要とすることもない。
なお、
図1の例では温水循環ポンプ24をヒートポンプシステム20の内部に設けた例を示しているが、温水循環ポンプ24は、貯湯蓄熱経路HBにおけるいずれかの位置に設けられている。
【0035】
●[第2の実施の形態の温水システム1Bの構成(
図2)]
次に
図2を用いて、第2の実施の形態の温水システム1Bの構成について説明する。
図2に示す第2の実施の形態の温水システム1Bは、
図1に示す第1の実施の形態の温水システム1Aに対して、除霜制御手段51、第1流路切替弁52A、第2流路切替弁52B、第1バイパス配管HJ1が追加されている点が異なる。
また、第2の実施の形態の必須構成要素は、第1の実施の形態の必須構成要素に対して、貯湯タンク装置10(貯湯タンク12を含む)、燃焼熱源機30、給湯加熱経路HDと、更に第1流路切替弁52A、第2流路切替弁52B、第1バイパス配管HJ1が追加されている。
以下、第1の実施の形態との相違点について主に説明する。
【0036】
除霜制御手段51は、無線または有線(通信線T4)にてタンク制御手段11との間で種々の情報を送受信可能である。なお、除霜制御手段51の通信相手は、タンク制御手段11に限定されず、ヒートポンプ制御手段21であってもよい。そして除霜制御手段51は、第1流路切替弁52Aと第2流路切替弁52Bを制御することが可能である。なお、タンク制御手段11が除霜制御手段51を兼ねていてもよい。
第1流路切替弁52Aは、給湯加熱経路HDにおいて温水を燃焼熱源機30から混合装置13に戻す第2追加熱配管HD2のいずれかの位置に設けられている。
第2流路切替弁52Bは、貯湯蓄熱経路HB(第1貯湯配管HB1、第2貯湯配管HB2)のいずれかの位置に設けられている。
図2では、第1貯湯配管HB1に第2流路切替弁52Bを設けた例を示している。
第1バイパス配管HJ1は、一方端が第1流路切替弁52Aに接続され、他方端が第2流路切替弁52Bに接続されている。
そして第1流路切替弁52Aは、燃焼熱源機30からの流路を常時開口しており、混合装置13への流路を開口して第1バイパス配管HJ1への流路を閉鎖するか、混合装置13への流路を閉鎖して第1バイパス配管HJ1への流路を開口するか、いずれかに流路を切替えることができる。
また第2流路切替弁52Bは、ヒートポンプシステム20への流路を常時開口しており、貯湯タンク12からの流路を開口して第1バイパス配管HJ1からの流路を閉鎖するか、貯湯タンク12からの流路を閉鎖して第1バイパス配管HJ1からの流路を開口するか、いずれかに流路を切替えることができる。
【0037】
ヒートポンプ制御手段21は、除霜運転の実行条件を満足すると判定した場合、無線または有線(通信線T2)を介してタンク制御手段11に除霜運転の開始情報を送信し、温水循環ポンプ24とヒートポンプ22を駆動する。
図2の場合、ヒートポンプシステム20を含む貯湯蓄熱経路HB内の温水が時計回り方向に循環するように温水循環ポンプ24を駆動し、ヒートポンプ配管HH内のヒートポンプ循環熱媒が時計回り方向に循環するようにヒートポンプ22を駆動する。
またタンク制御手段11は、ヒートポンプ制御手段21から除霜運転の開始情報を受信すると、当該情報を熱源機制御手段31と除霜制御手段51に送信し、温水吐出経路HCを介して貯湯タンク12内の温水を混合装置13へと取り出す。そして、混合装置13へと取り出された温水は、第1追加熱配管HD1へと取り出される。
熱源機制御手段31は、タンク制御手段11から除霜運転の開始情報を受信すると、燃焼加熱手段32を制御し、第1追加熱配管HD1からの温水を加熱する。
除霜制御手段51は、タンク制御手段11から除霜運転の開始情報を受信すると、第1流路切替弁52Aを、混合装置13への流路を閉鎖して第1バイパス配管HJ1への流路を開口するように制御し、第2流路切替弁52Bを、貯湯タンク12からの流路を閉鎖して第1バイパス配管HJ1からの流路を開口するように制御する。
これにより、燃焼熱源機30にて加熱した温水を、第1流路切替弁52Aと第1バイパス配管HJ1と第2流路切替弁52Bとを経由させて第1貯湯配管HB1及びヒートポンプシステム20へと導き、貯湯蓄熱経路HB内の温水の熱を利用して外気熱交換器25から放熱することで外気熱交換器25の除霜を行う。
【0038】
このように、第2の実施の形態では、燃焼熱源機30にて加熱した温水を貯湯蓄熱経路HBに導き、貯湯蓄熱経路HB内を流れる温水の熱を利用して外気熱交換器から放熱させるので、効率よく外気熱交換器の除霜運転を行うことができる。
また、貯湯タンク内の温水の温度が比較的低い場合であっても、効率良く外気熱交換器から放熱して除霜運転を行うことができる。
なお、ヒートポンプシステムで加熱した給湯用の温水が貯湯タンクに充分残存している場合は、第1の実施の形態のように貯湯タンク内の温水を用いて除霜運転を行うようにすることもできる。
なお
図2では、第2流路切替弁52Bを第1貯湯配管HB1のいずれかの位置に設けた例を示したが、第2流路切替弁52Bを第2貯湯配管HB2のいずれかの位置に設けるようにしてもよく、第2貯湯配管HB2に設けた場合は温水循環ポンプ24とヒートポンプ22を逆方向に駆動してもよい。
【0039】
●[第3の実施の形態の温水システム1Cの構成(
図3)]
次に
図3を用いて、第3の実施の形態の温水システム1Cの構成について説明する。
図3に示す第3の実施の形態の温水システム1Cは、
図2に示す第2の実施の形態の温水システム1Bに対して、第3流路切替弁53A、第4流路切替弁53B、第2バイパス配管HJ2が追加されている点が異なる。以下、第2の実施の形態との相違点について主に説明する。
【0040】
除霜制御手段51は、更に、第3流路切替弁53Aと第4流路切替弁53Bを制御することが可能である。
第3流路切替弁53Bは、貯湯蓄熱経路HB(第1貯湯配管HB1、第2貯湯配管HB2)のいずれかの位置に設けられており、第2流路切替弁52Bが第1貯湯配管HB1に設けられている場合は第2貯湯配管HB2に設けられており、第2流路切替弁52Bが第2貯湯配管HB2に設けられている場合は第1貯湯配管HB1に設けられている。すなわち、ヒートポンプシステム20が、第2流路切替弁52Bと第3流路切替弁53Aに挟まれるように配置される。
図3では、第1貯湯配管HB1に第2流路切替弁52Bを設け、第2貯湯配管HB2に第3流路切替弁53Aを設けた例を示している。
第4流路切替弁53Bは、給湯加熱経路HDにおいて温水を混合装置13から燃焼熱源機30に導く第1追加熱配管HD1のいずれかの位置に設けられている。
第2バイパス配管HJ2は、一方端が第3流路切替弁53Aに接続され、他方端が第4流路切替弁53Bに接続されている。
そして第3流路切替弁53Aは、ヒートポンプシステム20からの流路を常時開口しており、貯湯タンク12への流路を開口して第2バイパス配管HJ2への流路を閉鎖するか、貯湯タンク12への流路を閉鎖して第2バイパス配管HJ2への流路を開口するか、いずれかに流路を切替えることができる。
また第4流路切替弁53Bは、燃焼熱源機30への流路を常時開口しており、混合装置13からの流路を開口して第2バイパス配管HJ2からの流路を閉鎖するか、混合装置13からの流路を閉鎖して第2バイパス配管HJ2からの流路を開口するか、いずれかに流路を切替えることができる。
【0041】
第2の実施の形態に対して、除霜制御手段51は、タンク制御手段11から除霜運転の開始情報を受信すると、第1流路切替弁52Aを、混合装置13への流路を閉鎖して第1バイパス配管HJ1への流路を開口するように制御し、第2流路切替弁52Bを、貯湯タンク12からの流路を閉鎖して第1バイパス配管HJ1からの流路を開口するように制御する。また、第3流路切替弁53Aを、貯湯タンク12への流路を閉鎖して第2バイパス配管HJ2への流路を開口するように制御し、第4流路切替弁53Bを、混合装置13からの流路を閉鎖して第2バイパス配管HJ2からの流路を開口するように制御する。
これにより、燃焼熱源機30にて加熱した温水を、第1流路切替弁52Aと第1バイパス配管HJ1と第2流路切替弁52Bとを経由させて第1貯湯配管HB1及びヒートポンプシステム20へと導き、更にヒートポンプシステム20にて放熱した温水を第3流路切替弁53Aと第2バイパス配管HJ2と第4流路切替弁53Bを経由させて燃焼熱源機30に戻す環状の経路を形成し、貯湯蓄熱経路HB内の温水の熱を利用して外気熱交換器25から放熱することで外気熱交換器25の除霜を行う。
【0042】
このように、第3の実施の形態では、燃焼熱源機30にて加熱した温水を貯湯蓄熱経路HBに導き、貯湯蓄熱経路HB内を流れる温水の熱を利用して外気熱交換器から放熱させ、その温水を燃焼熱源機30に戻すように環状の経路を形成しているので、第2の実施の形態よりも、更に効率よく外気熱交換器の除霜運転を行うことができる。
なお、ヒートポンプシステムで加熱した給湯用の温水が貯湯タンクに充分残存している場合は、第1の実施の形態のように貯湯タンク内の温水を用いて除霜運転を行うようにすることもできる。
また
図3では、第1貯湯配管HB1に第2流路切替弁52Bを設けて第2貯湯配管HB2に第3流路切替弁53Aを設けた例を示しているが、第2貯湯配管HB2に第2流路切替弁52Bを設けて第1貯湯配管HB1に第3流路切替弁53Aを設けてもよい。第2貯湯配管HB2に第2流路切替弁52Bを設けて第1貯湯配管HB1に第3流路切替弁53Aを設けた場合は、温水循環ポンプ24とヒートポンプ22を逆方向に駆動する(
図3の例の場合、どちらも反時計回り方向となるように駆動する)。
【0043】
●[第4の実施の形態の温水システム1Dの構成(
図4)]
次に
図4を用いて、第4の実施の形態の温水システム1Dの構成について説明する。
図4に示す第4の実施の形態の温水システム1Dは、
図3に示す第3の実施の形態の温水システム1Cに対して、除霜制御手段51、第1流路切替弁52A、第2流路切替弁52B、第1バイパス配管HJ1、第3流路切替弁53A、第4流路切替弁53B、第2バイパス配管HJ2、をまとめた第1除霜ユニットU1を構成している点が異なる。以下、第3の実施の形態との相違点について主に説明する。
【0044】
第1除霜ユニットU1を用いた場合、現場において各種の配管及び配線を第1除霜ユニットU1の所定個所に接続するだけでよくなるので、現場における作業者の作業効率をより向上させることができる。また、第1除霜ユニットU1を工場等にて高精度かつ高品質に製造することが可能であるので、信頼性をより向上させることができる。
なお
図4では、第3の実施の形態における除霜制御手段51、第1流路切替弁52A、第2流路切替弁52B、第1バイパス配管HJ1、第3流路切替弁53A、第4流路切替弁53B、第2バイパス配管HJ2、をまとめた第1除霜ユニットU1を構成した例を示したが、第2の実施の形態における除霜制御手段51、第1流路切替弁52A、第2流路切替弁52B、第1バイパス配管HJ1、をまとめた第1除霜ユニットU1を構成するようにしてもよい。
【0045】
●[第2の実施の形態〜第4の実施の形態において、除霜運転と給湯要求が重なった場合の動作]
図2に示す第2の実施の形態〜
図4に示す第4の実施の形態の温水システムでは、燃焼熱源機30にて温水を加熱した後、加熱した温水を混合装置13に戻すことなく第1流路切替弁52A、第1バイパス配管HJ1、第2流路切替弁52Bを経由させて貯湯蓄熱経路HBへと導いている。
従って、利用者からの給湯要求と重なった場合、除霜運転を優先すると、利用者が所望する温度の給湯を得られない場合が考えられ、好ましくない。
そこで、利用者からの給湯要求が発生した場合、例えばタンク制御手段11から除霜運転の一時中断情報を除霜制御手段51、熱源機制御手段31に送信する。
除霜制御手段51は、除霜運転の実行中にタンク制御手段11から一時中断情報を受信すると、第1流路切替弁52Aを、混合装置13への流路を開口して第1バイパス配管HJ1への流路を閉鎖するように制御し、第2流路切替弁52Bを、貯湯タンク12からの流路を開口して第1バイパス配管HJ1からの流路を閉鎖するように制御する。また、第3流路切替弁53A、第4流路切替弁53B、第2バイパス配管HJ2を有している場合、除霜制御手段51は、更に、第3流路切替弁53Aを、貯湯タンク12への流路を開口して第2バイパス配管HJ2への流路を閉鎖するように制御し、第4流路切替弁53Bを、混合装置13からの流路を開口して第2バイパス配管HJ2からの流路を閉鎖するように制御する。これにより、給湯要求の発生時は、除霜運転を一時的に中断して給湯要求を優先する。
なお、熱源機制御手段31は、一時中断情報を受信すると、給湯要求に応じて燃焼熱源機30を制御する。
また、給湯要求が解除された場合、例えばタンク制御手段11から除霜運転の再開を指示する除霜再開許可情報を除霜制御手段51、熱源機制御手段31に送信する。そして除霜制御手段51は、除霜再開許可情報を受信すると、一時的に中断していた除霜運転を再開するように、第1流路切替弁〜第4流路切替弁を切り替え、熱源機制御手段31は、除霜再開許可情報を受信すると、除霜運転に応じて燃焼熱源機30を制御する。
【0046】
●[第5の実施の形態の温水システム1Eの構成(
図5)]
次に
図5を用いて、第5の実施の形態の温水システム1Eの構成について説明する。
図5に示す第5の実施の形態の温水システム1Eは、
図1に示す第1の実施の形態の温水システム1Aに対して、給湯暖房熱交換器55、暖房経路HY、熱源機熱交換器34、暖房熱媒循環ポンプ35が追加されている点が異なる。
また、第5の実施の形態の必須構成要素は、第1の実施の形態の必須構成要素に対して、貯湯タンク装置10(貯湯タンク12を含む)、燃焼熱源機30(熱源機熱交換器34、暖房熱媒循環ポンプ35を含む)、暖房経路HY、給湯暖房熱交換器55が追加されている。
以下、第1の実施の形態との相違点について主に説明する。
【0047】
給湯暖房熱交換器55は、貯湯蓄熱経路HB(第1貯湯配管HB1、第2貯湯配管HB2)のいずれかの位置に設けられており、暖房経路HYが接続されている。
暖房経路HYは、燃焼熱源機30にて加熱した暖房循環熱媒を、給湯暖房熱交換器55を経由させて燃焼熱源機30に戻すように環状に形成されている。
【0048】
ヒートポンプ制御手段21は、除霜運転の実行条件を満足すると判定した場合、無線または有線(通信線T2)を介してタンク制御手段11に除霜運転の開始情報を送信し、温水循環ポンプ24とヒートポンプ22を駆動する。
図5の場合、ヒートポンプシステム20を含む貯湯蓄熱経路HB内の温水が時計回り方向に循環するように温水循環ポンプ24を駆動し、ヒートポンプ配管HH内のヒートポンプ循環熱媒が時計回り方向に循環するようにヒートポンプ22を駆動する。
またタンク制御手段11は、ヒートポンプ制御手段21から除霜運転の開始情報を受信すると、当該情報を熱源機制御手段31に送信する。
熱源機制御手段31は、タンク制御手段11から除霜運転の開始情報を受信すると、燃焼加熱手段32と暖房熱媒循環ポンプ35を制御し、暖房経路HY(第1暖房配管HY1、第2暖房配管HY2)内の暖房循環熱媒を加熱して循環させる。
これにより、燃焼熱源機30にて加熱した暖房循環熱媒を、暖房経路HYを経由させて給湯暖房熱交換器55へと導き、貯湯蓄熱経路HB内の温水を加熱し、加熱した貯湯蓄熱経路HB内の温水の熱を利用して外気熱交換器25から放熱することで外気熱交換器25の除霜を行う。
【0049】
このように、第5の実施の形態では、燃焼熱源機30にて加熱した暖房循環熱媒の熱を用いて貯湯蓄熱経路HB内の温水を加熱し、貯湯蓄熱経路HB内を流れる温水の熱を利用して外気熱交換器から放熱させるので、効率よく外気熱交換器の除霜運転を行うことができる。
また、ヒートポンプシステムで加熱した給湯用の温水が貯湯タンクに充分残存していない場合であっても、効率良く外気熱交換器から放熱して除霜運転を行うことができる。
なお、ヒートポンプシステムで加熱した給湯用の温水が貯湯タンクに充分残存している場合は、第1の実施の形態のように貯湯タンク内の温水を用いて除霜運転を行うようにすることもできる。
なお
図5では、給湯暖房熱交換器55を第1貯湯配管HB1のいずれかの位置に設けた例を示したが、給湯暖房熱交換器55を第2貯湯配管HB2のいずれかの位置に設けるようにしてもよく、第2貯湯配管HB2に設けた場合は温水循環ポンプ24とヒートポンプ22を逆方向に駆動してもよい(
図5の例の場合、どちらも反時計回り方向となるように駆動してもよい)。
【0050】
●[第6の実施の形態の温水システム1Fの構成(
図6)]
次に
図6を用いて、第6の実施の形態の温水システム1Fの構成について説明する。
図6に示す第6の実施の形態の温水システム1Fは、
図5に示す第5の実施の形態の温水システム1Eに対して、除霜制御手段54、第5流路切替弁56A、第3バイパス配管HJ3が追加されている点が異なる。
以下、第5の実施の形態との相違点について主に説明する。
【0051】
除霜制御手段54は、無線または有線(通信線T5)にてタンク制御手段11との間で種々の情報を送受信可能である。なお、除霜制御手段54の通信相手は、タンク制御手段11に限定されず、ヒートポンプ制御手段21であってもよい。そして除霜制御手段54は、第5流路切替弁56Aを制御することが可能である。なお、タンク制御手段11が除霜制御手段54を兼ねていてもよい。
第3バイパス配管HJ3は、貯湯タンクを含むことなく給湯暖房熱交換器55とヒートポンプシステム20とを含む貯湯蓄熱経路HBが環状に形成されるように、一方端が第1貯湯配管HB1に接続され、他方端が第2貯湯配管HB2に接続されている。ここで、貯湯タンク12を含むことなく、ヒートポンプシステム20と給湯暖房熱交換器55を経由する(一部の)貯湯蓄熱経路HB(第1貯湯配管HB1、第2貯湯配管HB2)と、第3バイパス配管HJ3と第5流路切替弁56Aにて形成された環状の経路は、循環経路に相当する。
第5流路切替弁56Aは、第3バイパス配管HJ3における第1貯湯配管HB1との接続個所または第2貯湯配管HB2との接続個所のいずれかに設けられており、
図6では第1貯湯配管HB1との接続個所に設けた例を示している。
図6に示す例の場合、第5流路切替弁56Aは、給湯暖房熱交換器55への流路を常時開口しており、貯湯タンク12からの流路を開口して第3バイパス配管HJ3からの流路を閉鎖するか、貯湯タンク12からの流路を閉鎖して第3バイパス配管HJ3からの流路を開口するか、いずれかに流路を切替えることができる。
【0052】
ヒートポンプ制御手段21は、除霜運転の実行条件を満足すると判定した場合、無線または有線(通信線T2)を介してタンク制御手段11に除霜運転の開始情報を送信し、温水循環ポンプ24とヒートポンプ22を駆動する。
図6の場合、ヒートポンプシステム20を含む貯湯蓄熱経路HB内の温水が時計回り方向に循環するように温水循環ポンプ24を駆動し、ヒートポンプ配管HH内のヒートポンプ循環熱媒が時計回り方向に循環するようにヒートポンプ22を駆動する。
またタンク制御手段11は、ヒートポンプ制御手段21から除霜運転の開始情報を受信すると、当該情報を熱源機制御手段31と除霜制御手段54に送信する。
熱源機制御手段31は、タンク制御手段11から除霜運転の開始情報を受信すると、燃焼加熱手段32を制御し、暖房経路HY内の暖房循環熱媒を加熱する。
除霜制御手段54は、タンク制御手段11から除霜運転の開始情報を受信すると、第5流路切替弁56Aを、貯湯タンク12からの流路を閉鎖して第3バイパス配管HJ3からの流路を開口するように制御し、貯湯タンク12を含むことなく給湯暖房熱交換器55とヒートポンプシステム20とを含む(一部の)貯湯蓄熱経路HBと、第3バイパス配管HJ3と第5流路切替弁56Aにて環状の循環経路を形成する。
これにより、給湯暖房熱交換器55にて加熱した貯湯蓄熱経路HB内の温水を、ヒートポンプシステム20を通過させた後、貯湯タンク12に導くことなく第3バイパス配管HJ3を経由させて給湯暖房熱交換器55に戻し、貯湯蓄熱経路HB内の温水の熱を利用して外気熱交換器25から放熱することで外気熱交換器25の除霜を行う。
【0053】
このように、第6の実施の形態では、第5の実施の形態に対して、ヒートポンプシステム20を通過した温水を貯湯タンク12に導くことなく給湯暖房熱交換器55に戻すことで、更に効率よく外気熱交換器の除霜運転を行うことができる。
なお、ヒートポンプシステムで加熱した給湯用の温水が貯湯タンクに充分残存している場合は、第1の実施の形態のように貯湯タンク内の温水を用いて除霜運転を行うようにすることもできる。
また
図6では、第5流路切替弁56Aを、第3バイパス配管HJ3における第1貯湯配管HB1との接続個所に設けた例を示しているが、第3バイパス配管HJ3における第2貯湯配管HB2との接続個所に第5流路切替弁56Aを設けるようにしてもよい。
また、第5の実施の形態と同様、給湯暖房熱交換器55を第2貯湯配管HB2のいずれかの位置に設けるようにしてもよい。
【0054】
●[第7の実施の形態の温水システム1Gの構成(
図7)]
次に
図7を用いて、第7の実施の形態の温水システム1Gの構成について説明する。
図7に示す第7の実施の形態の温水システム1Gは、
図6に示す第6の実施の形態の温水システム1Fに対して、除霜制御手段54、第5流路切替弁56A、第3バイパス配管HJ3、給湯暖房熱交換器55、をまとめた第2除霜ユニットU2を構成している点が異なる。以下、第6の実施の形態との相違点について主に説明する。
【0055】
第2除霜ユニットU2を用いた場合、現場において各種の配管及び配線を第2除霜ユニットU2の所定個所に接続するだけでよくなるので、現場における作業者の作業効率をより向上させることができる。また、第2除霜ユニットU2を工場等にて高精度かつ高品質に製造することが可能であるので、信頼性をより向上させることができる。
なお
図7では、第6の実施の形態における除霜制御手段54、第5流路切替弁56A、第3バイパス配管HJ3、給湯暖房熱交換器55、をまとめた第2除霜ユニットU2を構成した例を示したが、第5の実施の形態における給湯暖房熱交換器55、を含んだ第2除霜ユニットU2を構成するようにしてもよい。
【0056】
本発明の温水システムは、本実施の形態で説明した外観、構成、構造、動作等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
また、各制御手段、各設定手段の通信相手は、本実施の形態にて説明した通信相手に限定されない。