【実施例】
【0048】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
1.測定方法
以下に記載する測定方法については、23℃、50%RHの環境下に2時間以上放置した試料を23℃、50%RHの環境下で測定した。
(1)各層厚み
ニコン社製ユニバーサルズーム顕微鏡MULTIZOOM AZ100により、倍率1000倍でフィルムの断面観察を行い、各層の厚みを測定した。
(2)光学密度(OD値)
マクベス社製光学濃度計TR932により、直径3mmの透過ノズルを使用して測定される値を光学密度(OD値)とした。フィルムの幅中央から左側と右側の両側の方向に、100mm毎に1500mmの位置までサンプリングを行い測定した。その時の光学密度の最大値と最小値の差が、0.05以下であった場合は○、0.05を超えて0.10以下であった場合は△、0.10を超えた場合は×とした。
(良好) ○ > △ > × (不良)
(3)引張強度
島津製作所社製AS−1S型オートグラフを使用し、JIS―K7127に準じて測定し、MD方向(機械方向)、TD方向(幅方向)の平均値を読み取った。測定は5点のサンプルについて行い、それらの平均値を引張強度とした。フィルムの強度がMDとTD共に180MPa以上であった場合は○、180MPa未満であった場合は×とした。
(良好) ○ > × (不良)
(4)ラミネートフィルム作成
基材フィルムの一方の面にコロナ放電処理を施し、そのコロナ処理面にウレタン系接着剤(三井化学社製タケラック主剤A−525S/タケネート硬化剤A−50二液型)を塗布し、塗布したフィルムを、80℃で10秒間乾燥させて、塗布量が3g/m2となるようにした。その接着剤塗布面とシーラントフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム、三井化学東セロ社製RXC−22レトルト処理可能タイプ、厚み50μm)のコロナ処理面を50℃のニップロールにて貼り合わせた。次いで、貼り合わせたフィルムを、40℃で5日間エージング処理を行い、ラミネートフィルムを得た。
(5)レトルト処理試験
得られたラミネートフィルムを、外寸MD300mm、TD200mmの大きさに切り出し、富士インパルス社製インパルスシーラーにて、外寸MD150mm、TD200mm、シール幅10mmとなるように三方袋を作成し、純水100mlを充填し密封し、高温高圧調理殺菌装置(日阪製作所社製RCS−60SPXTG)を使用して、温度120℃、圧力1.8kgf/cm
2の条件下、熱水シャワー式で30分間レトルト処理した。
(6)レトルト処理試験後のラミネート強力測定
レトルト処理されたラミネートフィルムをMD100mm×TD15mmの短冊に裁断し、基材フィルムとシーラントとの間をピンセットでMDに30mm剥離し、ラミネート強力試験片を作成した。23℃、50%RHの環境下に2時間以上放置した後、50N測定用ロードセルとサンプルチャックとを取り付けた島津製作所社製AS−1S型オートグラフを用い、剥離したそれぞれの端部を固定した後、試験片が「T型」に保たれるようにしながら、引張速度300mm/minにてMDに30mm剥離し、その際の強力の平均値と測定によって得られた界面の特定を行った。測定は20点のサンプルについて行い、それらの平均値をラミネート強力とした。その際のラミネート強力が、3.0N/cm以上であった場合は○、3.0N/cm未満の場合は×とした。
(良好) ○ > × (不良)
また、得られた界面について、酸化チタン含有層の層間にて剥離されることが1点以下であった場合は○、それ以外である場合は×とした。次いで、得られた界面について、酸化チタン含有層の層間である場合を界面A、それ以外である場合を界面Bとして併記した。界面Bであることが、良好に接着されたと言えるため、好ましい。
(良好) ○ > × (不良)
【0050】
2.原料
下記の実施例・比較例において使用した原料は、以下のとおりである。
(1)結晶性ポリアミド
ナイロン6(ユニチカ社製 A1030BRF) (相対粘度3.0)
(2)非晶性ポリアミド
EMS社製 グリボリーG16(ガラス転移点125℃)
EMS社製 グリボリーG21(ガラス転移点125℃)
EMS社製 グリボリーXE3038(ガラス転移点140℃)
(3)酸化チタン
チタン工業社製 KRONOS酸化チタン(ルチル型、平均粒径0.4μm)
【0051】
実施例1
ナイロン6に、酸化チタンとグリボリーG16をドライブレンドした後、これをシリンダー温度設定250℃の30mm径2軸押出機で溶融混練し、ストランド状に押出し、冷却、固化後、切断して、ペレット形状のチタンマスターバッチ1を得た。
チタンマスターバッチ1を、シリンダー温度260℃に設定した単軸押出機に供給し、Tダイより押出し、設定温度20℃の冷却ロールに接触させて厚さ180μmの未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを50℃に調整した温水槽に2分間浸漬し、同時二軸延伸機にて延伸温度180℃で縦3倍、横3.3倍延伸し、200℃で5秒間の熱処理を行い、さらに横方向に5%の弛緩処理を行い、冷却してフィルムの総厚さ18μmのフィルムロールを得た。これを白色ポリアミドフィルム1とする。
【0052】
実施例2、3
チタンマスターバッチ1の製造において、非晶性ポリアミドとしてG16に代えてグリボリーG21を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行ってチタンマスターバッチ2のペレットを得た。そして、これを用いて実施例1と同様の操作によりフィルム白色ポリアミドフィルムを得た。これを白色ポリアミドフィルム2とする。
また、全く同様にして、グリボリーXE3038を用いて得たチタンマスターバッチ3のペレットを、実施例1と同様に作成したフィルムを白色ポリアミドフィルム3とする。
【0053】
実施例4
実施例1と同様の操作で厚さ180μmの未延伸シートを得た。得られた未延伸シ−トを縦方向に、延伸温度60℃、延伸倍率2.8倍で延伸し、次いで、横方向に3.5倍に逐次延伸した後、温度200℃で5秒間熱処理を施し、さらに温度210℃の状態のまま横方向に5%弛緩した後、80℃で冷却して巻き取り、フィルムロールを得た。これを白色ポリアミドフィルム4とする。
【0054】
実施例5、6
未延伸シートの厚みを変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、フィルムの総厚さ15と30μmの白色ポリアミドフィルムを得た。これを白色ポリアミドフィルム5、6とする。
【0055】
実施例7〜13、比較例1〜5
チタンマスターバッチの組成を表1記載のフィルム組成通りに変更した以外は、実施例1と同様の操作により白色ポリアミドフィルムを得た。なお、実施例9と13は、実施例5,6と同様にしてフィルム厚みを変更した。これを白色ポリアミドフィルム7〜13とする。
【0056】
実施例14
ナイロン6(A)と、チタンマスターバッチ1(B)を用い、フィルムの層構成が(A)/(B)/(A)の順となるようにして、また、(A)/(B)/(A)の厚みの割合が(A)/(B)/(A)=1/1/1となるようにして、シリンダー温度260℃に設定した単軸押出機に供給し、Tダイより押出し、設定温度20℃の冷却ロールに接触させて厚さ180μmの未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを50℃に調整した温水槽に2分間浸漬し、同時二軸延伸機にて延伸温度180℃で縦3倍、横3.3倍延伸し、200℃で5秒間の熱処理を行い、さらに横方向に5%の弛緩処理を行い、冷却してフィルムの総厚さ18μmのフィルムロールを得た。これを白色ポリアミドフィルム19とする。
【0057】
実施例15、16
チタンマスターバッチ2、3を用いて、実施例14と同様の操作により白色ポリアミドフィルムを得た。これをそれぞれ、白色ポリアミドフィルム20、21とする。
【0058】
実施例17
実施例14と同様の操作で厚さ180μmの未延伸シートを得た。得られた未延伸シ−トを縦方向に、延伸温度60℃、延伸倍率2.8倍で延伸し、次いで、横方向に3.5倍に逐次延伸した後、温度200℃で5秒間熱処理を施し、さらに温度210℃の状態のまま横方向に5%弛緩した後、80℃で冷却して巻き取り、フィルムロールを得た。これを白色ポリアミドフィルム22とする。
【0059】
実施例18、19
未延伸シートの厚みを変更した以外は実施例14と同様の操作により、フィルムの総厚さ15と30μmの白色ポリアミドフィルムを得た。これを白色ポリアミドフィルム23、24とする。
【0060】
実施例20、21、比較例6〜12
B層の組成を表2記載のように変更した以外は、実施例14と同様の操作により白色ポリアミドフィルムを得た。これを白色ポリアミドフィルム25、26、32〜38とする。
【0061】
実施例22
B層の組成が表2記載のようになるよう変更したチタンマスターバッチを作成し、ナイロン6(A)とチタンマスターバッチ(B)の層構成(A)/(B)/(A)の厚みを(A)/(B)/(A)=5μm/20μm/5μmとなるようにして、それ以外は実施例14と同様の操作により白色ポリアミドフィルムを得た。これを白色ポリアミドフィルム27とする。
【0062】
実施例23〜25
B層の組成が表2記載のようになるように変更したチタンマスターバッチを作成し、実施例14と同様の操作により白色ポリアミドフィルムを得た。このとき、実施例23、24は未延伸シートの厚みを変更することで層厚みを変更した。また、実施例25は実施例22と同様にして(A)(B)層の厚み比を変更した。これを白色ポリアミドフィルム28〜30とする。
【0063】
実施例26
ナイロン6(A)とチタンマスターバッチ(B)が、フィルムの層構成にした際に(A)/(B)の順となるようにして、実施例14と同様の操作により白色ポリアミドフィルムを得た。これを白色ポリアミドフィルム31とする。また、これを積層体にする際には、(A)層が接着剤に面するようにシーラントと貼り合わせた。
【0064】
実施例1〜13、比較例1〜5のフィルムの製造で用いた樹脂構成と得られた単層白色ポリアミドフィルムの特性を表1に示す。次いで、実施例14〜26、比較例6〜12のフィルムの製造で用いた樹脂構成と得られた複層白色ポリアミドフィルムの特性を表2に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
実施例1〜26、比較例1〜12から次のことが分かる。
【0068】
白色ポリアミドフィルム1〜13は優れた光学密度と引張強度を持ち、最大と最小の光学濃度の値の差が小さいフィルムであった。
【0069】
白色ポリアミドフィルム14、15は非晶性ポリアミドの配合割合が0、3質量%であるため、最大と最小の光学密度の値の差が大きく、外観に劣っていた。
【0070】
白色ポリアミドフィルム16は非晶性ポリアミドの配合割合が30質量%であるため、引張強度が低かった。
【0071】
白色ポリアミドフィルム17は酸化チタンの含有量が3質量%と少ないため、光学密度が0.30以下と低く十分な隠蔽性を有しているとは言えなかった。
【0072】
白色ポリアミドフィルム18は酸化チタンの含有量が60質量%と多いため、引張伸度が低かった。
【0073】
白色ポリアミドフィルム19〜31は優れた光学密度と引張強度を持ち、最大と最小の光学濃度の値の差が小さく、さらに、レトルト処理後のラミネート強力測定においても良好な強力値と界面が得られた。
【0074】
白色ポリアミドフィルム32、33は酸化チタン含有層中の非晶性ポリアミドの配合割合が0、3質量%であるため、最大と最小の光学密度の値の差が大きく、また、レトルト処理後のラミネート強力測定において強力値が低く、酸化チタン含有層での剥離界面が得られ、ラミネート性能が不十分であった。
【0075】
白色ポリアミドフィルム34は酸化チタン含有層中の非晶性ポリアミドの配合割合が30質量%であるため、引張強度が低かった。
【0076】
白色ポリアミドフィルム35は酸化チタン含有層中の酸化チタンの含有量が10質量%と少ないため、光学密度が0.30以下と低く十分な隠蔽性を有しているとは言えなかった。
【0077】
白色ポリアミドフィルム36は酸化チタン含有層中の酸化チタンの含有量が70質量%と多いため、引張伸度が低く、また、レトルト処理後のラミネート強力測定において強力値が低く、酸化チタン含有層での剥離界面が得られ、ラミネート性能が不十分であった。
【0078】
白色ポリアミドフィルム37は酸化チタン含有層中のポリアミド樹脂の配合割合を90質量%とすることで、酸化チタンの配合割合が10質量%以下となり、結果的に光学密度が0.30未満と低く十分な隠蔽性を有しているとは言えなかった。
【0079】
白色ポリアミドフィルム38は酸化チタン含有層中のポリアミド樹脂の配合割合を10質量%とすることで、酸化チタンと非晶性ポリアミドの配合割合が90質量%以下となり、結果的に引張伸度が低く、また、レトルト処理後のラミネート強力測定において強力値が低く、酸化チタン含有層での剥離界面が得られ、ラミネート性能が不十分であった。