特許第6062330号(P6062330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062330
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】文字板照明構造
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/28 20060101AFI20170106BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   G01D11/28 B
   G01D11/28 L
   B60K35/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-147912(P2013-147912)
(22)【出願日】2013年7月16日
(65)【公開番号】特開2015-21750(P2015-21750A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(74)【代理人】
【識別番号】100180068
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 怜史
(72)【発明者】
【氏名】仁禮 豪
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−313095(JP,A)
【文献】 特開2000−329591(JP,A)
【文献】 特開2008−196908(JP,A)
【文献】 特開2010−112933(JP,A)
【文献】 特開2004−045181(JP,A)
【文献】 特開2009−210572(JP,A)
【文献】 特開2006−292485(JP,A)
【文献】 特開2007−248353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/28
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字板に設けられた透過照明部を、文字板の裏面側に設置された光源で照明するようにした文字板照明構造において、
前記透過照明部が、文字板に設けられた指標部の外周を取り囲む円形のものとされると共に、
前記文字板の表面における、指標部の外周となる位置に円形の前記透過照明部を覆う透明な加飾リングが設けられ、
該透明な加飾リングの前面は、凸レンズ面形成されていることを特徴とする文字板照明構造。
【請求項2】
前記透明な加飾リングの底面に、光の屈折を利用して円形の前記透過照明部の見える位置を変位させる傾斜面部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の文字板照明構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、文字板照明構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室の前部にインストルメントパネルが設けられている。このインストルメントパネルの運転席側の部分や、運転席と助手席との間の部分には、各種の運転情報を表示するようにした計器装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、特許文献1の計器装置では、文字板の表面側に導光板(または加飾リング)を配置することによって、導光板を通して文字板の意匠を見せたり、導光板による透過照明を見せたりすることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−91218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された文字板照明構造では、文字板の表面側に設置された導光板は、その裏面部分が、文字板の表面と平行な平面形状のものとされていたため、組付け誤差などによって、外部から導光板を通した文字板の意匠や文字板の照明が見え難くなった場合に、見え易くなるように調整することが難しかった。
【0006】
そこで、本発明は、上記したような文字板の表面側に設置された導光板に関する問題点を解決することを、主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、
文字板に設けられた透過照明部を、文字板の裏面側に設置された光源で照明するようにした文字板照明構造において、
前記透過照明部が、文字板に設けられた指標部の外周を取り囲む円形のものとされると共に、
前記文字板の表面における、指標部の外周となる位置に円形の前記透過照明部を覆う透明な加飾リングが設けられ、
該透明な加飾リングの前面は、凸レンズ面形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。
即ち、指標部の外周となる位置に設けられた透明な加飾リングの前面に、レンズ効果を利用して円形の透過照明部を拡大する凸レンズ面を形成したことにより、加飾リングを通した透過照明部や透過照明部の照明の幅を拡大して見せることが可能となる。以って、円形の透過照明部自体の幅や、円形の透過照明部へ入射される光の幅が細くても、加飾リングを通した透過照明部や透過照明部の照明の幅を拡げて、実際よりも太く見せることができる。
これにより、加飾リング部分の照明を外部から見え易くすることや、加飾リング部分の照明を安定して見えるようにすることができるようになり、加飾リング部分の照明や文字板の見栄えを向上することができる。また、加飾リングの組付け誤差による影響を少なくして、加飾リングを位置調整する必要をなくしたり、あるいは、位置調整の必要性を減らしたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例にかかる文字板照明構造の全体斜視図である。
図2図1の縦断面図である。
図3図1の分解斜視図である。
図4図2の部分拡大斜視図である。
図5図4を側方から見た拡大断面図である。
図6】加飾リングによって光を拡大する様子を示す図である。
図7】文字板の裏面側に設置された導光体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態、および、それを具体化した実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
図1図7は、この実施の形態の実施例およびその変形例を示すものである。
【実施例1】
【0011】
<構成>以下、構成について説明する。
自動車などの車両には、車室の前部にインストルメントパネルが設けられる。このインストルメントパネルの運転席側の部分や、運転席と助手席との間の部分に対して、各種の運転情報を表示するようにした計器装置(車両用計器装置)を設ける(例えば、図1のような燃料計や、図3のような水温計がある)。
【0012】
そして、図1(〜図3)に示すように、この計器装置1では、文字板2を照明可能なものとする。この計器装置1の文字板照明構造は、文字板2に設けられた透過照明部3を、文字板2の裏面側に設置された光源4(図3参照)によって照明させるものである。
【0013】
ここで、上記についての補足説明を行う。なお、補足説明については、必要に応じて参照すれば良い。
上記した「文字板照明構造」は、文字通り、計器装置1の文字板2を照明するための構造のことである。
【0014】
上記した「計器装置1」は、ハウジング5の表面側に文字板2を設置すると共に、ハウジング5の裏面側に、上記した光源4を有する回路基板6(図3参照)が取付けられた構造を備えている。そして、ハウジング5の内部には、光源4からの光7を文字板2の裏面側へ向けて導光するための導光体8が設けられている。なお、ハウジング5からは、文字板照明と指針照明とを区別するための遮光壁5aなどが突設されている。導光体8については後述する。
【0015】
上記した「文字板2」は、計器装置1の表面意匠を構成するものである。文字板2には、運転情報などを表示するための数値表示部や目盛部などの指標部11が各種設けられる。文字板2は、透明な樹脂製の板材によって構成される。文字板2には、指針軸を通すための指針軸穴2aが形成されている。上記した指針照明用の遮光壁5aは、その先端部が、この指針軸穴2aから表面側へ僅かに突出するように挿通配置される。
【0016】
上記した「透過照明部3」は、文字板2を透過する照明のことである。通常、透過照明部3は、上記した数値表示部や目盛部などの指標部11などとされる。そのために、例えば、文字板2を構成する透明な樹脂製の板材には、数値表示部や目盛部などの指標部11を残して不透光性の印刷層が形成される。これにより、夜間などに、数値表示部や目盛部などの指標部11を照明する(光らせる)ことができる。
【0017】
上記した「光源4」は、文字板2の透過照明部3を照明するための光7を発生するものである。光源4には、通常、LEDなどの点光源が用いられる。
【0018】
そして、以上のような基本的な構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0019】
(構成1)
図3に示すように、上記した透過照明部3が円形のものとされる(あるいは、文字板2に上記した指標部11とは別に円形透過照明部21が設けられる)。
また、上記した文字板2の表面に、上記した円形の透過照明部3を覆う透明な加飾リング22が設けられるようにする。
そして、図4(〜図6)に示すように、この透明な加飾リング22の前面に、レンズ効果を利用して上記した円形の透過照明部3を拡大する凸レンズ面24を形成する。
【0020】
(補足説明1)
ここで、上記した「円形の透過照明部3(円形透過照明部21)」は、この場合、上記した数値表示部や目盛部などの指標部11が構成するほぼ円弧状の指針回動領域を全周に拡張した円の周縁部(外周部)に沿って、連続したリング状となるように(指標部11とは別に)設けられる。この円形の透過照明部3は、指針軸を中心に、連続して周方向へ延びる細い線状のものとされる。この円形の透過照明部3は、一定の幅寸法を有するものとされる。
【0021】
この円形の透過照明部3(円形透過照明部21)も、例えば、上記した指標部11と同様に、文字板2に対し、上記した円形の透過照明部3を残して不透光性の印刷層を形成することなどによって形成される。また、円形の透過照明部3(円形透過照明部21)は、文字板2を溝状に彫り込むようにすることによって形成することもできる(図4参照)。
【0022】
この円形の透過照明部3は、透光性または半透光性の印刷層によって着色することができる。この場合には、青色などに着色されている。
【0023】
上記した「透明な加飾リング22」は、円形の透過照明部3から出た光7を通す導光体として機能するものである。この透明な加飾リング22は、平面的に見て上記した円形の透過照明部3よりも幅の広いものとされる。即ち、この透明な加飾リング22は、上記した円形の透過照明部3よりも内径が小さく、かつ、外径が大きく形成されることにより、上記した円形の透過照明部3よりも一回り大きい、連続したリング状のものとされる。この透明な加飾リング22は、上記した指針軸を中心にして、円形の透過照明部3とほぼ同心状に配設される。
【0024】
そして、透明な加飾リング22の前面(手前側の面)には、透明な加飾リング22の外周側の部分を覆い、内周側の部分を一部露出させるように、リング状の遮光カバー25が設置される。このリング状の遮光カバー25は、文字板2の表面側から透明な加飾リング22の外周部に沿って立ち上がる立上部25aと、この立上部25aの図中上端部から透明な加飾リング22の内周側へ向けて、透明な加飾リング22の幅寸法よりも所定量だけ短い長さで横方向へ延びるリング被覆部25bとを有するほぼL字状の断面形状を有するものとされる。このリング被覆部25bは、透明な加飾リング22による照明に、間接照明効果を持たせるなどのためのものである。この遮光カバー25を取付けるために、遮光カバー25の底面には、例えば、文字板2に形成された取付用孔部を通して、ハウジング5に爪固定可能な取付用爪部などが、周方向に数箇所設けられる。
【0025】
また、加飾リング22の、文字板2の表面に対する設置は、上記した遮光カバー25を介して行われる。なお、加飾リング22の位置調整は、例えば、加飾リング22と遮光カバー25との間にスペーサーを介在させることなどによって行うことができる。
【0026】
上記した「加飾リング22の前面」は、加飾リング22を外部から見た時に手前側となる面(外表面)、または、文字板2とは反対側の面であり、そして、少なくとも一部のことである。
【0027】
上記した「凸レンズ面24」は、円形の透過照明部3を拡大して見せるための凸面を有するレンズ面などとされる。この場合には、凸レンズ面24は、円形の透過照明部3を内周側に拡大して見せるようなものとされる。この凸レンズ面24は、主に、遮光カバー25のリング被覆部25bによって覆われていない内周側の(露出)部分に設けられる。なお、遮光カバー25のリング被覆部25bによって覆われる外周側の(被覆)部分については、凸レンズ面24としても良いが、特に凸レンズ面24とする必要はなく、この場合には、平坦面とされている。
【0028】
(構成2)
そして、上記した透明な加飾リング22の底面に、光7の屈折を利用して上記した円形の透過照明部3の見える位置を変位させる傾斜面部23を設けるようにする。
【0029】
(補足説明2)
ここで、上記した「加飾リング22の底面」は、加飾リング22の文字板2側の面(奥側の面)の少なくとも一部のことである。この場合には、加飾リング22の底面の内周側のほぼ半部(即ち、凸レンズ面24によるレンズ効果に影響を及ぼすことができる部分)に傾斜面部23が形成されている。そして、加飾リング22の底面の外周側の残りのほぼ半部が平坦面22aとされている。この平坦面22aは、傾斜面部23に対し、段差を有して形成されている。なお、加飾リング22の底面は、傷付き防止のために、文字板2に接触しないように僅かに離間させて配置するのが好ましい(特に、傾斜面部23の内周縁部)。
【0030】
上記した「傾斜面部23」は、加飾リング22の底面を外周側から内周側へ向けて下り勾配に傾斜する面とされる。この傾斜面部23は、直線的な勾配を有するものとされる。傾斜面部23の傾斜角度は、例えば、10度以下などの比較的小さな角度に設定される。これにより、加飾リング22は、光7を内側へ屈折させることで、円形の透過照明部3およびこの透過照明部3によるリング状の照明を、内周側に変位して見せるものとなる。なお、傾斜面部23の傾斜角度は、加飾リング22の材質や、意匠などに応じて最適に設定することができる。
【0031】
そして、以下に、上記した導光体8の詳細について説明する。
【0032】
(構成3)
図7に示すように、上記した導光体8は、導光体本体80と入光部81とを有するものとされる。
そして、導光体本体80が、全周に亘って連続して延びる円環状のものとされる(即ち、円環状導光体本体とされる)。
そして、上記した入光部81から離れた部分の光路断面を、上記した入光部81に近い部分の光路断面よりも小さくなるようにする。
【0033】
(補足説明3)
ここで、上記した「円環状」は、切れ目のないリング状またはドーナツ状などの形状のことである。この場合、導光体本体80は、ほぼ均一の幅寸法(光路幅(基本幅)Wa)と、ほぼ均一の厚みとを有する平坦な形状を有するもの(即ち、ほぼ均一な光路断面のもの)が、基本型となる。
【0034】
この場合、導光体本体80の光路幅(基本幅)Waは、上記した指標部11の全体を照明できるようにするために、少なくとも、指標部11の裏面側に位置する部分が、指標部11を構成する各文字(数値)や目盛りを合わせた幅よりも広いものとされる。
【0035】
これにより、導光体本体80は、少なくとも、その内周面と、外周面と、裏面とに、それぞれ光7を反射する反射面(内周側反射面80a(凸円弧状反射面)、外周側反射面80b(凹円弧状反射面)、裏面側反射面(平坦な反射面))を有するものとなる。
【0036】
なお、導光体本体80の表面については、光7の一部を導光体本体80の内部へ向けて反射させるための反射面としての機能と、光7の一部を文字板2へ向けて出射させるための出射面としての機能との両方を有するものとされる。そのために、導光体本体80の表面には、例えば、シボ模様などの細かい凹凸部が形成される。この凹凸部によって、導光体本体80の表面は、光7を乱反射させる半透過面などとされる。
【0037】
上記した「光路断面」は、円環状の導光体本体80の半径方向の断面である。この実施例では、光路断面は、上記したような周方向にほぼ一定幅を有する基本型のものに対して、後述するような変則的な形状を有するものとされる。
【0038】
上記した「入光部81から離れた部分の光路断面を、入光部81に近い部分の光路断面よりも小さく」とは、入光部81から遠い部分は、光路断面を、基本型のものよりも小さくすることである。なお、光路断面は、入光部81から離れるに従い、徐々に(連続的にまたは段階的に)小さくなるようにするのが、文字板2の発光輝度を確保し、均一化する上では好ましい(例えば、光路幅Wa>光路幅Wb>光路幅Wc)。なお、光源4は、入光部81の先端部81aと対向するように設けられる。
【0039】
(構成4)
円環状の導光体本体80の入光部81から最も離れた位置Aまたはその近傍に、他の部分よりも光路断面の小さい最小光路断面部82を設ける。
そして、この最小光路断面部82が、円環状の導光体本体80の外周側に位置されるようにする。
【0040】
(補足説明4)
ここで、上記した「入光部81から最も離れた位置Aまたはその近傍」は、円環状の導光体本体80における、入光部81から周方向にほぼ180度離れた位置、または、その周辺の、最も、光7が届き難い部分のことである。
【0041】
上記した「他の部分よりも光路断面の小さい」は、円環状の導光体本体80全体の中で、光路断面が最も小さくなっていることである(この場合、光路幅Wc=min)。
【0042】
上記した「最小光路断面部82」は、文字通り、光路断面が最も小さい部分(光路幅Wcの部分)のことである。最小光路断面部82の光路幅Wcは、上記した円形の透過照明部3(円形透過照明部21)とほぼ等しいと認められる範囲内で、円形の透過照明部3の照明にムラが出ないような幅に設定される。この場合、最小光路断面部82は、短い区間を有して設けられている。この区間は、最小光路断面部82を設けない場合に、(円形の透過照明部3の照明に)ムラが発生する範囲とほぼ等しい長さを有するものとされる。但し、最小光路断面部82は、区間を有さない点状の部分などとすることもできる。
【0043】
上記した「円環状の導光体本体80の外周側に位置される」は、最小光路断面部82が、円環状の導光体本体80の外周縁部(外周側反射面80b)をほぼ真円形とすることができるような位置や状態で形成されることである。導光体本体80の外周縁部を真円形にすることにより、光7を最も効率的に導くと共に、円形の透過照明部3を効率的に照明することができるものとなる。
【0044】
(構成5)
上記した最小光路断面部82の入側に、光路断面が徐々に縮小する光路断面漸縮部83を設けるようにする。
【0045】
(補足説明5)
ここで、上記した「光路断面漸縮部83」は、光路断面が徐々に縮小される部分のことである。光路断面漸縮部83は、外周側反射面80bが真円形状を保持できるように、内周側反射面80aを変形させて形成する。この場合には、最小光路断面部82へ向かって徐々に光路断面が小さくなるようにしている。光路断面漸縮部83は、最小光路断面部82の両側に設けられている。
【0046】
(構成6)
上記した最小光路断面部82の入側に、光路断面が急激に変化する光路断面急変化部84が設けられる。
そして、この場合に、上記した最小光路断面部82が、入光部81から最も離れた位置Aを基準として、光路断面急変化部84寄りに設けられるようにする。
【0047】
(補足説明6)
ここで、上記した「光路断面急変化部84」は、光路断面が突然大きく変化する部分のことである。この光路断面急変化部84は、例えば、文字板2に図示しないインジケータなどを設けるために、導光体本体80が部分的に切り欠かれることなどによって形成される。光路断面急変化部84は、外周側反射面80bが真円形状を保持できるように、内周側反射面80aを変形させて形成する。このインジケータは、上記した光源4とは別の、図示しない光源によって点灯するものとされる。このインジケータは、図中、真下の位置に設けられている。よって、光路断面急変化部84は、このインジケータを避けるような切欠き形状のものとされている。
【0048】
上記した「光路断面急変化部84寄りに設け」は、最小光路断面部82の位置を、周方向に対し、光路断面急変化部84の側へ近付けるようにズラせることである。より具体的には、この場合のズレ量Sは、図7に矢印で示すように、最小光路断面部82を、右斜め下側の位置から、より真下に近い位置へと移動させるような量とされている。なお、入光部81から最も離れた位置Aは、入光部81と、円環状の導光体本体80の中心Oとを結んだ線の延長上に位置される。
【0049】
(構成7)
上記した最小光路断面部82を挟んで光路断面急変化部84とは反対側の部分の内周面に、上記した入光部81と、上記した最小光路断面部82とを結ぶ線85と平行な反射面(平行反射面86)を設ける。
【0050】
(補足説明7)
ここで、上記した「入光部81と、最小光路断面部82とを結ぶ線85」は、入光部81における光源4が臨む位置(の中心)と、最小光路断面部82(の中心)とを最短距離で結ぶ線85(直線)のことである。
【0051】
上記した「平行な反射面(平行反射面86)」は、上記した最短距離で結ぶ線85に対して完全に正確な平行である必要はなく、実質的にほぼ平行であると認められる範囲内で若干ズレていても良い。平行反射面86は、外周側反射面80bが真円形状を保持できるように、内周側反射面80aを変形させて形成する。
【0052】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
上記した計器装置1では、文字板2の指標部11に沿って指針が回動される。これにより、指針の先端部が指し示す指標部11の文字や目盛りなどを読むことで、速度やエンジン回転数や燃料残量やエンジン冷却水温などの運転情報を知ることができる。
【0053】
そして、夜間などには、光源4を点灯することによって文字板2を照明(透過照明)することができる。これにより、夜間などであっても、運転情報を読み取ることが可能となる。なお、昼間などに加飾用に文字板2を照明(加飾照明)するようにしても良い。
【0054】
文字板2は、光源4からの光7を、導光体8の入光部81を介して導光体本体80内へ導き、導光体本体80内へ導かれた光7を導光体本体80の表面から文字板2の裏面側へ向けて出射させることによって照明される。
【0055】
そして、文字板2に設けた数値表示部や目盛部などの指標部11を透過照明可能なものとすることにより、光源4を点灯した時に、数値表示部や目盛部などの指標部11が透過照明される。
【0056】
更に、文字板2に円形の透過照明部3を設けることにより、上記した光源4を点灯することで、文字板2をリング状に照明することができる。しかも、この円形の透過照明部3を透明な加飾リング22で覆うことにより、上記したリング状の照明を、立体的で高品質なものに見せることができる。これにより、文字板2に形成された数値表示部や目盛部などの指標部11によって構成される指針回動領域の周縁部(輪郭)をリング状の照明によって際立たせることが可能となる。
【0057】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(効果1)
透明な加飾リング22の前面に、レンズ効果を利用して円形の透過照明部3を拡大する凸レンズ面24を形成したことにより、加飾リング22を通した透過照明部3や透過照明部3の照明の幅を拡大して見せることが可能となる。以って、円形の透過照明部3自体の幅や、(例えば、導光体本体80の最小光路断面部82から出射された光7のように)円形の透過照明部3を通る光7の幅が細くても、加飾リング22を通した透過照明部3や透過照明部3の照明の幅を拡げて、実際よりも太く見せることができる。
【0058】
これにより、加飾リング22部分の照明などを外部から見え易くすることや、加飾リング22部分の照明などを安定して見えるようにすることができるようになり、加飾リング22部分の照明や文字板2の見栄えを向上することができる。また、加飾リング22の組付け誤差による影響を少なくして、加飾リング22を位置調整する必要をなくしたり、あるいは、位置調整の必要性を減らしたりすることができる。
【0059】
しかも、円形の透過照明部3に対して、加飾リング22の位置を微妙に変位させる(ズラせる)と、円形の透過照明部3と、凸レンズ面24との位置関係が変って、透過照明部3の見える位置や大きさ(拡大効果)などが変わるので、加飾リング22の位置調整によって、加飾リング22部分の照明が全体的に見易くなるように設定することが容易となる。よって、文字板2に対する透明な加飾リング22のレイアウト上の制約などを少なくすることができる。
【0060】
また、加飾リング22の前面は、比較的スペースに余裕があるので、このスペースを利用して、凸レンズ面24を有効に設けることができる。
【0061】
(効果2)
透明な加飾リング22の底面に、光7の屈折を利用して円形の透過照明部3の見える位置を変位させる傾斜面部23を設けたことにより、円形の透過照明部3をより見え易いものとすることが可能となる。また、上記した凸レンズ面24による上記した加飾リング22部分の照明の幅の拡大効果をより大きくすることができる。
【0062】
なお、加飾リング22の底面と文字板2の表面との間の部分は、比較的スペースを確保するのが難い部分であるが、上記したような小さな傾斜面部23であれば、上記した部分に対して比較的容易に設けることが可能である。
【0063】
また、上記した導光体8によれば、以下のような効果を得ることができる。
(効果3)
導光体本体80の入光部81から離れた部分の光路断面(光路幅Wb,Wc)を、入光部81に近い部分の光路断面(光路幅Wa)よりも小さくすることにより、入光部81から離れた部分を通る光7の密度を上げて、この部分から文字板2へ向けて出射される光7による文字板2の発光輝度を確保し、文字板2の照明ムラを抑制することができる。
【0064】
(効果4)
入光部81から最も離れた位置Aまたはその近傍に最小光路断面部82を設けることにより、導光体本体80における、入光部81から離れた最も光7が届き難い部位で、光7を最も大きく集中させて、少ない光量であっても光7の密度を確実に上げるようにすることができる。
【0065】
また、最小光路断面部82が、円環状の導光体本体80の外周側に位置されることにより(あるいは、最小光路断面部82を、円環状の導光体本体80の外周部の位置に限定することにより)、入光部81から周方向に最も離れた位置Aにおいて、光7が最も通り易い外周側の経路を有効に活用することができる。また、最小光路断面部82が円環状の導光体本体80の外周側に位置することにより、上記した円形の透過照明部3(円形透過照明部21)および加飾リング22の照明を行うと共に、必要な光量を確保することができる。そして、上記したように加飾リング22に凸レンズ面24や傾斜面部23を設けることにより、導光体本体80の最小光路断面部82から幅が狭い状態で出射された光7を十分に拡げて見せることが可能となる。
【0066】
(効果5)
最小光路断面部82の入側に、光路断面が徐々に縮小する光路断面漸縮部83を設けることによって、最小光路断面部82へ向けて光7をより効率的に集めることができる。
【0067】
(効果6)
最小光路断面部82の入側に、光路断面が急激に変化する光路断面急変化部84を設けることにより、最小光路断面部82の周辺に空きスペースを確保して、空きスペースを有効活用できるようにすることが可能となる。
【0068】
そして、最小光路断面部82を、入光部81から最も離れた位置Aを基準として、光路断面急変化部84寄りにズラせたことにより、光路断面急変化部84を設けることによって光7が届き難くなる部分へ最小光路断面部82の位置を移動して、その部分に光7が集まり易くなるようにすることが可能となる。即ち、円環状の導光体本体80の具体的な形状に対応させるように、最小光路断面部82を、最も光7が届き難くなる位置に設定して、そこに光7を集めることが可能となる。
【0069】
(効果7)
最小光路断面部82を挟んで光路断面急変化部84とは反対側の部分の内周面に、入光部81と、最小光路断面部82とを結ぶ線85と平行な反射面を設けたことによって、例えば、上記したように最小光路断面部82を光路断面急変化部84寄りにズラせたことで、上記反対側の部分から最小光路断面部82に光7を届け難くなってしまったような場合であっても、光源4からの直接の光7を上記反対側の部分を通してより多く最小光路断面部82へ向けて導くことができるようになるので、最小光路断面部82に届く光7の量をより多くすることが可能となる。
【0070】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものである。よって、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例がこの発明のものとして開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0071】
2 文字板
3 透過照明部
4 光源
7 光
22 加飾リング
23 傾斜面部
24 凸レンズ面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7