特許第6062359号(P6062359)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6062359-喫煙品用パック 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062359
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】喫煙品用パック
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/10 20060101AFI20170106BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20170106BHJP
   B65D 5/66 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   B65D85/10
   B65D5/02 J
   B65D5/66 321B
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-512820(P2013-512820)
(86)(22)【出願日】2011年5月17日
(65)【公表番号】特表2013-530889(P2013-530889A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】EP2011057996
(87)【国際公開番号】WO2011151175
(87)【国際公開日】20111208
【審査請求日】2014年3月26日
(31)【優先権主張番号】1009321.9
(32)【優先日】2010年6月3日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ホルフォード、スティーブン
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特表平10−506599(JP,A)
【文献】 特開2010−036952(JP,A)
【文献】 国際公開第02/048007(WO,A1)
【文献】 米国特許第06360943(US,B1)
【文献】 特表2002−526333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D85/10
B65D5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋と厚みのある材料から形成された胴体とを含み、蓋が前壁下方縁部を有する前壁および折り曲げ線によってこの縁部の一部に取り付けられたフラップを有し、折り曲げ線の一部が厚みのある材料を厚さ方向に部分的に切断することによって形成され、フラップが蓋の前壁の内面に接するように折り曲げ線を中心に折り曲げた際に、フラップが取り付けられる前壁下方縁部のその部分が、前壁下方縁部の残りの部分に位置合わせされると共に前記部分が、湾曲した前壁下方縁部セクションの間に位置しており、前記胴体は、パックが閉鎖位置にあるときに、胴体の上方縁部と前壁下方縁部が当接するように蓋の前壁下方縁部に似た外形を有する上方縁部を含む喫煙品用パック。
【請求項2】
断部は、前記前壁下方縁部の前記部分に沿って連続して延びていることを特徴とする請求項1記載の喫煙品用パック。
【請求項3】
断部は、前記前壁下方縁部の前記部分に沿って部分的に延びていることを特徴とする請求項1記載の喫煙品用パック。
【請求項4】
前記部分の折り曲げ線は、直線状であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の喫煙品用パック。
【請求項5】
前壁下方縁部の残りの部分が湾曲していることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の喫煙品用パック。
【請求項6】
前記胴体の上方縁部と前壁下方縁部が、湾曲したセクションおよび直線状のセクションを有する閉鎖線を形成することを特徴とする請求項1記載の喫煙品用パック。
【請求項7】
断部は、切り込み線を設けることによって形成されることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の喫煙品用パック。
【請求項8】
請求項1乃至いずれか1項記載のパックを形成するためのブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙品用のパックに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコなどの喫煙品は、通常、パックに収納され、パックの一般的な機能は、紙巻きタバコを貯蔵し、紙巻きタバコを機械的および環境的損傷から保護することである。種々の紙巻きタバコパックの構成が、従来から知られており、ヒンジ式蓋付きパックおよびスライド式のインサートを有するシェル式パックなどがある。ヒンジ式蓋付きパックは、喫煙品の束を保持するためのスペースを形成するために胴体と蓋とを含む。蓋は、ヒンジ線に沿って胴体の後部パネルに取り付けられ、解放および閉鎖位置の間で回転することができる。閉鎖位置において蓋の前壁の下方縁部が、胴体の前部パネルの上方縁部に当接し、面一の外方仕上がり面を形成する。蓋の前壁は、通常、蓋前壁の下方縁部に位置合わせされた折り曲げ線を中心に折り曲げられたフラップによって形成され、2つの層を形成し、蓋に強度を与え、蓋の撓みを防ぎ、さらにはパックを繰り返し開閉した後に蓋前壁下方縁部が、胴体前部パネルの上方縁部が接近して位置しなくなるパックのゆるみまたはたるみを防ぐ。
【0003】
一般に蓋の前壁と胴体の前部パネルが閉じたときのその間の線は、真っ直ぐであり、パックの蓋が回転する際に中心となるヒンジ線に対して平行に延びている。しかしながら、蓋の前壁と胴体の前部パネルの閉鎖時の線が湾曲した喫煙品用パックが下記特許文献1から知られている。
【0004】
湾曲した蓋の下方縁部を有するパックには、上述したようなフラップを使用して蓋の前壁を2層構造にするのは難しいという問題点がある、というのはラップが蓋の前壁の真っ直ぐな下方縁部に位置合わせされた折り曲げ線を中心に簡単に折れ曲がる従来のヒンジ式蓋付きパックとは対照的にフラップを湾曲した縁部を中心に折り曲げることが不可能であるからである。
【0005】
特許文献1は蓋の下方縁部が湾曲したパックを提供し、蓋の下方縁部に真っ直ぐなまたは直線状の部分を設け、これにフラップを真っ直ぐな折り曲げ線に沿って取り付け、この直線状の部分が蓋の下方縁部の湾曲したセクションの間を延びるようにして上述の問題点を克服することを目的としている。これによって閉鎖線は、真っ直ぐなセクションと湾曲した セクションの両方を含む。特許文献1から知られているパックでは、折り曲げ線は、蓋の下方縁部およびフラップの間に折り目を設けることによって形成される。しかしながら折り目は、必ずしもフラップを確実に折り曲げ線を中心に正確に折り曲げるとは言えず、従って段に対してフラップが取り付けられていない隣接する蓋の前壁の湾曲した下方縁部に対してずれが生じたり、段が形成されてしまう場合があり、視覚的に許容できない見栄えになってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題点を解消するまたは実質的に軽減する喫煙品を保持するためのパックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、蓋と厚みのある材料から形成された胴体とを含み、蓋が前壁下方縁部を有する前壁および折り曲げ線によってこの縁部の一部に取り付けられたフラップを有し、少なくとも折り曲げ線の一部が厚みのある材料を部分的に切断することによって形成され、フラップが蓋の前壁の内面に接するように折り曲げ線を中心に折り曲げた際に、フラップが取り付けられる前壁下方縁部のその部分が、前壁下方縁部の残りの部分に位置合わせされる喫煙品用パックを提供する。
【0008】
上記切断部は、上記前壁下方縁部の上記部分に沿って連続して延びていることが好ましい。
【0009】
1つの実施態様では上記切断部は、上記前壁下方縁部の上記部分に沿って部分的に延びている。
【0010】
上記部分の折り曲げ線は、直線状であり、前壁下方縁部の残りの部分が湾曲していると便利である。
【0011】
フラップが取り付けられる前壁下方縁部の上記部分は、湾曲した前壁下方縁部セクションの間に位置してもよい。
【0012】
1つの実施態様では胴体は、パックが閉鎖位置にあるときに、胴体の上方縁部とおいて前壁下方縁部が当接するように、蓋の前壁下方縁部に似た外形を有する上方縁部を含む。
【0013】
胴体の上方縁部と前壁下方縁部が、湾曲したセクションおよび直線状のセクションを有する閉鎖線を形成するのが好ましい。
【0014】
上記切断部は、切り込み線を設けることによって形成されると便利である。
【0015】
本発明の別の態様では上述の本発明を形成するためのブランクも提供される。
【0016】
本発明のいくつかの実施態様を添付面を参照し、あくまで例示を目的として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による喫煙品の束を保持するためのパックを示す。
図2図1のパックを形成するためのブランクを示す。
図3図1および2のパックに挿入される内部フレームを形成するためのブランクを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照すると、図1には本発明による喫煙品の束を保持するためのパックが示されている。図2図1のパックを形成するためのブランクを示し、実線は切断線またはブランクの20の外方の境界を示し、波線は折り曲げによって形成される線を表している。パック1は、閉鎖線8を有する胴体2および蓋9を含む。パックの蓋の下方縁部と胴体の上方縁部との間の閉鎖線8は、中央の真っ直ぐなまたは直線状部分によって隔てられた湾曲した領域を有する。
【0019】
パック1の胴体2は、2つの対向する左および右側部パネル21a、21bによって隔てられた対向する前方および後部パネル3、4によって形成されている。前部パネル3と側部パネル21a、21bの接合部に形成された角7は、丸みを帯びていてもよい。前方パネル3および側部パネル21a、21bは、以下の説明で明らかになる閉鎖線8を形成するために蓋9の対応する下方縁部15と当接する上方縁部5によって形成されている。図2から明らかなように胴体2は底部パネル10によって形成される。
【0020】
図1および2を参照すると胴体2は、折り曲げ線11に沿って蓋9の後壁14に接続されている。さらに蓋9には蓋9の後壁14、前壁13および左右の側壁16の間を延びる上壁12が設けられている。蓋9の前壁13と側壁16は、パック1を閉じた際に、胴体2の上方縁部5と対になる下方縁部15で形成されている。図1から明らかなように蓋9の前壁13および胴体2の前部パネル3の下方縁部および上方縁部15、5は、上記閉鎖線8を形成する。
【0021】
図2から明らかなようにブランク20は、長尺の形状であり、上述のパック1の胴体2および蓋9を含む。ブランク20の胴体2は、前部パネル3、底部パネル10および後部パネル4で形成されている。前部パネル3は、ブランク20が折り曲げられると、後部パネル4から延びる側部フラップ22a、22bと重なる左および右側壁21a、21bを含む。図2に示すように前壁3およびその側壁21a、21bの間に位置するブランクの波線は、ブランクが折り曲げられたときに角が丸みを帯びることを表している。
【0022】
さらにブランク20の蓋9は、上述したように後壁14、上壁12および前壁13を含む。蓋9の上壁および後壁12、14は、ブランク20が折り曲げられたときに、蓋9の前壁13の側壁16と重なる側部フラップ18で形成される。さらに蓋9の前壁13は、折り曲げ線17aによって形成された蓋の縁部の真っ直ぐな部分に取り付けられたフラップ17によって形成される。フラップ17は、内方に折り曲げられて、蓋9の前壁13の内面に接して位置する。フラップ17は、それが蓋9の前壁13と共に2つの層を形成するので、蓋9に強度と安定性を付与する。パック1の見た目をよくし、フラップ17が延びる蓋の下方縁部15に沿って段や凹凸ができないようにするために、折り曲げ線17aは、外方に向いたブランクの側で左の隣接する下方縁部セクション15aから右の隣接する下方縁部セクション15bまでの長さに沿って連続的にその厚みを部分的に通って切れ目または刻み目が付けられ、これによりフラップ17が内方に折り曲げられた際に蓋の縁部の真っ直ぐな部分が上記左および右の隣接する下方縁部セクション15a、15bと位置合わせされる。その後、パック1が閉じられると、胴体2の上方縁部5が左および右の隣接する下方縁部セクション15a、15bおよび真っ直ぐな下方縁部部分と当接する。当然のことながら折り曲げ線に沿った切れ目または刻み目は、材料の厚みを薄くするだけでなく、折り曲げ線を中心にしたフラップの折り曲げを補助する。
【0023】
上述の実施態様とは別に折り曲げ線をその全長に亘ってではなく、部分的にその厚みを介して切れ目または刻み目をつけてもよい。例えば、折り曲げ線の僅かな部分に切れ目または刻み目を入れないで、製造時にフラップが安定するようにしてもよい。その僅かな部分は、折り曲げ線の両側で約1mmの長さのセクションであってもよく、これとは別に、切れ目のない1つのセクションを折り曲げ線の中央に配置してもよい。当然のことながらそのセクションは、従来技術で説明されている折り曲げ線の長さと比較して極めて小さいものであるので、本明細書の導入部で説明したような隣接する蓋の下方縁部に対するずれや段が形成されてしまう可能性は、小さくなる。
【0024】
当然のことながら本発明の範囲は、図1および2に例示した閉鎖線8の形状に限定されない。フラップが延びる真っ直ぐな部分を有するあらゆる不規則な閉鎖線によって形成されるパックも本発明の利点を得られ、本願の範囲内に含まれる。
【0025】
本発明によるパックは、図3に例示するような内部フレーム30を収容することが想定される。図3に示す内部フレーム30は、波線の折り曲げ線に沿って折り曲げられ、丸みを帯びた角を形成する。内部フレーム30は、切り抜き部31によって形成され、ユーザーが喫煙品を取り出しやすくしている。また図3に例示するように内部フレーム30には蓋の側壁の内面と係合するタブ32が設けられており、パックが意図せずに開いたり、ゆるんだりしないようにしている。
【0026】
本発明の実施態様を図示し、説明してきたが、当業者には当然のことながら上記の説明は、好ましい実施態様の説明にすぎないと見なすべきであり、添付の特許請求の範囲に含まれる他の実施態様もこの開示の一部を形成すると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】米国特許第6,457,580号明細書
図1
図2
図3