(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
感圧接着剤(自己-接着剤ともよばれる)すなわちPSAは、わずかな圧力で基材に瞬間接着させることができる室温で瞬間接着性(「タック」とよばれる)を支持体に与える物質である。
【0003】
PSAは、情報(例えばバーコード、ネーム、価格)を表示するため、および/または、装飾または医療用に物品に固定される自己接着性ラベルの製造で広く使われている。また、PSAは各種用途の接着テープの製造でも使われている。例としては日常生活で広く使われている透明な接着テープを挙げることができる。さらに、段ボール紙の包装材料の形成、組立、ペイント塗装表面の保護、建設、輸送産業、電気ケーブルの包装、両面接着テープによるカーペットの貼付け等を挙げることもできる。
【0004】
自己接着性ラベルおよび/またはテープを製造する場合、一般にPSAは大きな寸法の支持体(必要に応じて印刷できる)表面の全体に連続コーティングプロセスによって所定量(一般にg/m
2で表される)(以下では「単位面積当たりの重量」という)だけ塗布される。支持体層は紙またはフィルムまたは一つまたは複数の層を有するポリマー材料で構成される。支持体層を覆う接着剤層自体は接着性のない保護層(「剥離層、リリースライナー」とよばれる)、例えばシリコン塗布したフィルムから成る保護層で覆うことができる。得られた多層系は一般に幅が最大2m、直径が1mの大きなリールの形に巻き取られ、包装され、保存、輸送される。リールに巻いたフィルムは切断して接着テープにし、所定の幅および長さを有するロールに包装される。接着剤層はブリーディング(breading)の問題を避けるために十分に硬化(キュアー)しなければならない。このブリーディング問題とは剪断に対する機械的抵抗力が無くなって接着剤が当初の場所から流れ出すことである。
【0005】
剪断状態は温度、ロールの張力、圧力および機械的な力によって生じる。このブリーディング(オージング、oozing現象ともいう)は一般にロール両側部で生じ、ハンドリング、保管に問題を生じさせ、ダストおよび望ましくない粒子によって汚染されることになる。自己接着性物品の製造では接着剤が他の物品へ移行するのを避け、特に使用者の皮膚に付くのを避けるために、接着剤層を十分に硬化させることが重要である。逆に硬化を強くし過ぎると接着性が無くなってしまう。
【0006】
一般に、接着テープやラベルは溶剤相中で反応性接着剤または反応性の無い接着剤を用いて作られる。溶剤の役目は接着剤の製造時およびの使用時の混合、計量、ポンピング等を容易にすること、とりわけ、蒸着後に自己接着性表面となる薄層へコーティングするのを容易にすることにある。接着剤の乾燥固形分が低いとローラサイジングおよび乾燥に適した塗布レオロジー(粘度)が良くなるが、溶剤の使用は厳しく規制されるようになっており、溶剤は使わない方向へ向かっている。
【0007】
水溶性接着剤を用いて運転する生産ラインも出てきた。この場合には溶剤に起因する問題は避けられるが、コーティング乾燥に関する全部の問題(外観上の理由で乾燥はゆっくり進行させなければならず、水は通常の溶剤と比較して蒸発エンタルピーが高く、従って、加熱および強力な排気、抽出を必要とし、また、完全乾燥しなければならない)は残っている。
【0008】
大抵の場合、接着テープやラベル(特に、高性能テープ、ラベル)の生産に適した乾燥オーブンは有効長が10〜100メーターで、パルスエアーで加熱され(80℃〜180℃)、完全乾燥するため、溶剤式接着剤の場合には爆発限界以下に保つために、強力な抽出手段を備えている。これらは極めてエネルギー集約型プロセスで、雑音が高く、メンテナンスが大変である。被覆した接着剤組成物から水を蒸発させるのに必要なエネルギーは極めて高いため、プロセスがエネルギー需用の観点から満足なものではなく、環境の観点からも不満である。
【0009】
接着剤の塗布媒質として有機溶剤を使用するにせよ、水を使用するにせよ、液体の形で非常に高い塗布量にすることは困難である。約150g/m
2以上、あるいは約70g/m
2以上、さらにはそれ以下の量でも、液体のコーティング材料を移動している非粘着性支持上に、大部分の水を蒸発させる前に、保持しておくことは非常に困難であり、最終完成品を作るためには機械的段階を必要とする。
【0010】
そのため、塗工量を高くするためには複数のコーティング段階を実行する必要があるが、それには技術的ハードルだけでなく、工業的効率の面でのハードルもある。
【0011】
最近、固形物が100%のドライな溶剤フリー反応方法、特に、HIVIPSA(ホットメルトPSA)およびUV硬化PSA(一般にアクリルPSA、UV硬化架橋)、より最近では、STPU−PSAホット硬化、例えば加熱(および湿気の存在下)で硬化する組成物が開発された。これらの工業技術では満足な特性を得るために接着剤に適した量(一般に化学量論量)の湿気レベルを使用し、オーブン寸法および生産ライン速度に合った所定時間内に所定変換速度をえるために高温(50℃〜180℃、好ましくは80℃〜160℃、大抵は100〜140℃)を使用する。
【0012】
この種の接着剤はコーティングプロセス後のクーリング条件下で非常に速く固化できるため、高い塗工量で塗布できるが、機械特性および耐熱性の点で高い性能を達成するのは困難である。
【0013】
特に、架橋接着剤であることを目的としない従来のHMPSAの場合、接着剤に含まれる分子の分子量の観点から、機械特性および耐熱性が不足している。例えば、耐熱性についていうと、工業的に有用でないものを除くと、ホットメルト接着によるボンディングでは5分間以上150℃以上の温度に耐えることはできない。大部分のHMPSAは100℃を超える温度付近で使用できなくなる。ポリマ材料は一般に軟化し、液体化する。
【0014】
従って、架橋性の目的は分子(一般にポリマ)の分子量を増加させて、接着剤の機械特性および耐熱性、従って接着剤のボンドを改良することにある。架橋は触媒、助触媒、水、酸基、過酸化物、過酸化物で活性化された中間生成物の存在下での化学反応によって起こさせることができる。架橋反応の速度は温度、放射線および圧力条件を代えることで改良できる。
【0015】
接着剤の架橋性で使われる方法は、感圧接着剤(Hot Melt Pressure-Sensitive Adhesive、HMPSA)であるか否かにかかわらず、UV硬化方法である。この方法では一般に固形分100%の接着剤(コーティングプロセスを助ける媒質としての水も溶剤も用いない)が使われ、接着剤組成物を表面上に塗布し、被覆面を紫外線に曝す。例えばラジカル重合プロセスの場合には、架橋性は100ミクロンの厚さの表面だけである。すなわち、放射は表面に作用するので、組成物の表面が架橋されると、架橋済みの表面が放射線の貫通を防ぐため、組成物内部の層の架橋性はできない。
【0016】
従って、塗工量が高い場合には、複数または連続した多数の段階で架橋性を実行することが必要である。このプロセスでは各コーティング段階の後に各紫外線硬化段階を行う。ラジカル重合プロセスで紫外線硬化する方法の他の欠点は、組成物が紫外線に曝されなくなると直ちに架橋が止まることにある。従って、製品が生産ラインから出た後、例えば、保管中に架橋性を続けさせることはできない。
【0017】
架橋性HMPSAのための他の方法は電子ビーム法である。しかし、この方法は非常に高価なシステムを必要とし、経済性に課題がある。
【0018】
反応を速くするためには、管理された湿気レベルと高温度とを必要とするが、熱による架橋反応では、溶剤を含まず、抽出(主にオーブンまたはチャンバの調節システムの満足な運転に有用)も非常に低いレベルにする必要がある。溶剤−または水-ベースの方法の場合と違って、コーティングには長いオーブンは必要がなく、小型のオーブンが使用でき、一つのオーブンまたはストーブ型オーブで乾燥できる。しかし、コーティング物は非常にタックが強く、全ての表面への接触、例えば付着防止剤処理済み表面(例えば、非接着性材料、フルオロカーボン(Teflon、登録商標)やプラズマ処理したもの)でも、その接触が禁止される。システムは水平または鉛直にできるが、全てリニアにしなければならない。
【0019】
PSAの用途によっては、ラベルおよび/またはテープの物品への接着力が温度変化に耐えることが望ましい。例えば、固定用接着分(従って、ラベルおよび/またはテープで被覆された物品)が広範囲の温度に曝された時にも接着力が維持されることが望ましい。例えば、自動車(または他の車両)のエンジンの近くに位置するステッカー、熱い液体が入る包装品で使用されるステッカー、生産ラインの終了時に加熱されている物品(例えばタイヤ)を挙げることができる。また、耐熱性が必要な部品、例えば航空機、その他の車両のインナートリム用の接着テープの使用も挙げられる。
【0020】
特許文献1(国際公開第WO 2009/106699号公報)には2つのアルコキシシラン-型末端基を有するポリウレタンをベースにした耐熱性-架橋性接着剤組成物が記載されている。
【0021】
特許文献2(欧州特許第EP 2 336 208号公報)には2つの加水分解可能なアルコキシシラン型末端基を有するポリエーテルをベースにした耐熱性-架橋性接着剤組成物が記載されている。
【0022】
上記2つの特許では組成物をキャリアー上にコーティングした後に硬化することで有利な接着力およびタック性を有する感圧接着剤になる。さらに、得られた自己接着性支持体の物品に対する接着分は広範囲の温度で必要な接着力を保持する。
【0023】
しかし、これらの特許には生産ラインの出口直後に使われる自己接着性物品の生産には記載がない。また、これらの特許には500g /m
2以上の塗布重量を有する自己接着性物品を得る方法は記載がない。
【0024】
優れた接着特性を得るのに必要な硬化時間は自己接着性物品を工業的に生産する上で特に重要なパラメータである。すなわち、それが接着剤組成物を硬化させる機械の寸法、更には被覆する接着剤層の対応滞留時間、そして、プロセス全体のエネルギー使用量、従って生産性を決定する。接着剤物品の製造プロセスを工業スケールで用いるためには以下の特性:硬化用設備中での滞留時間が短く、生産ライン出口での硬化度が高い、を有している必要がある。特に、ブリーディングの問題なしに、生産ラインの出口の直後に製品をカットし、輸送できることが必要である。
【0025】
[
図1]は粘着剤を塗布した側がループの内部に面し、テープを反転できる、真空-ボックス・サクションをベースにした従来法のステムを示す。しかし、この種のシステムは複雑で、制御が難しく、高コストになる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の特定具体化は下記である:
(1)接着剤組成物はHMPSA接着剤組成物である。
(2)接着剤組成物は20〜85%の2つの加水分解可能なアルコキシシラン型末端基を有するポリウレタンまたはポリエーテルと、15〜80%の相溶性のある粘着付与樹脂と、0.01〜3%の架橋触媒とから成る。
(3)調湿チャンバ中の温度は50℃〜200℃の間、好ましくは80℃〜160℃の間、有利には100℃〜150℃で、および/または、相対湿度は30〜90%RHの間、好ましくは約50%RHである。
(4)フィルムは複数のテンションローラを通ることによって平行またはジグザグ形状になる。
(5)調湿チャンバは底部に一連のキャロル(Caroll)ローラーまたはホイールを有し、頂部に一連のソリッドシリンダーまたは他の一連のキャロルローラーまたはホイールを有する。
(6)上記ローラーまたはホイールは支持シャフト上に可動に取付けられている。
(7)上記ローラーまたはホイールは駆動されるか、自由回転する。
(8)フィルムはキャロル型のデバイスまたはガイド中で、磁気シリンダおよび着脱自在なプレートを有する回転切断システムによってカットされる。
(9)ローラーまたはホイールはバッキングロールまたはバッキングホイールと組み合わされる。
(10)フィルムの両側にダブルコーティングする段階を有する。
(11)所定サイズにトリミングする段階を有する。
(12)調湿チャンバの入口または出口が同じ側、反対側または隣接する側に位置している。
(13)架橋性前にフィルムが調湿チャンバの温度の近くの温度に予熱される。
(14)フィルムに孔を開ける。
【0031】
本発明さらに、キャロル型デバイスまたはガイドを有する調湿チャンバにも関するものである。
その具体例は下記である:
(1)調湿チャンバの温度は50℃〜200℃の間で、80℃〜160℃の間、好ましくは100℃〜150℃の間で、および/または、相対湿度は30〜90%RHで、好ましくは約50%RHである。
(2)調湿チャンバは底部に一連のキャロル(Caroll)ローラーまたはホイールを有し、頂部に一連のソリッドシリンダーまたは他の一連のキャロルローラーまたはホイールを有する。
(3)上記ローラーまたはホイールは支持シャフト上に可動に取付けられている。
(4)上記ローラーまたはホイールは駆動されるか、自由回転する。
(5)複数のテンションローラを有する。
(6)調湿チャンバはキャロル型デバイスまたはガイドの磁気シリンダおよび着脱自在なプレートを有する回転切断システムと組み合わされる。
(7)上記ローラーまたはホイールはバッキングロールまたはバッキングホイールと組み合わされる。
(8)所定サイズにトリミングするカッター装置を有する。
【0032】
本発明さらに、いわゆるキャロル型デバイス(および/またはガイド)、すなわち、一般に機械的な駆動またはガイドを可能にする穴の存在下で、すなわち穿孔したストリップと一緒に、フィルムのエッジを使用することをベースにした、使用にも関するものである。本発明を用いることによって、溶剤フリーな架橋性接着剤で下記の少なくとも一つの利点を得ることができる:
【0033】
(1)コーティングがシャフトを向く状態で接着剤を塗布した面が移動するので、小型化でき、踏跡(フートプリント)が小さくなる。
(2)設備投資額、特に運転コスト(省エネルギー、メンテナンス)が大幅に少なくなる
(3)調湿チャンバ(またはオーブン)の温度および湿気の調整が容易。
(4)両側にコーティング可能。
【0034】
本発明さらに、下記工程(a)〜(d)を有する少なくとも一つの基材と接着剤層とを有する自己接着性物品の製造方法を提供する:
(a) 少なくともシリル-含有ポリマーと、粘着付与樹脂と、触媒とを含む接着剤組成物を20〜160℃の間の温度にコンディショニングし、
(b)接着剤組成物を下記の上に塗布し:
(bl) 上記基材の少なくとも一部の上、または
(b2) 非粘着性支持体の上
(c) 段階(b)で得た物品を、20℃〜200℃の間の温度でかつ分子の5〜100%が水分子である雰囲気で特徴付けられる湿度レベルとし、
(b2)を選択した場合には、
(d) 段階(c)の前に接着剤組成物の上へ、または、段階(c)の後に接着剤層上へ基材を配置する。
【0035】
本発明の一つの実施例では、段階(c)の後に得られる物品を20℃〜200℃の間、好ましくは30〜180℃の間、より好ましくは40℃〜160℃の間の温度にする段階(e)をさらに有する。
【0036】
本発明の一つの実施例では、段階(b1)での塗布を基材の少なくとも50%、好ましくは基材の少なくとも75%、さらに好ましくは基材の少なくとも95%の上へ行う。
【0037】
本発明の一つの実施例では、基材の両側の少なくとも一部の上に塗布する。
【0038】
本発明の一つの実施例では、基材が格子またはメッシュまたは不織布である。
【0039】
本発明の一つの実施例では、基材がリリース・ライナーである。
【0040】
本発明の一つの実施例では、段階(bl)または(b2)で基材または非接着性支持体上に塗布する接着剤組成物の量が10〜1500g/m
2の間、好ましくは50〜1400g/m
2間、さらに好ましくは600〜1300g/m
2の間である。
【0041】
本発明の一つの実施例では、段階(c)での湿度レベルは、分子の10〜90%、好ましくは15〜70%が水分子であり、温度が30〜180℃の間、好ましくは40〜160℃の間にある雰囲気で特徴付けられる。
【0042】
本発明の一つの実施例では、段階(c)を熱交換器を有する外部ベンチレーション回路を備えた装置で実行する。
【0043】
本発明の一つの実施例では、外部ベンチレーション回路にスチームを注入する。
【0044】
本発明の一つの実施例では、スチームはドライスチーム(乾燥蒸気)である。
【0045】
本発明の一つの実施例では、スチームの注入を比例・積分・微分(Proportional-Integral-Derivative)制御(PID制御)で行う。
【0046】
本発明はさらに、少なくとも一つの基材と、接着剤層とを有し、接着剤層の塗工量が600〜1500g/m
2の間にある自己接着性物を提供する。
【0047】
本発明の一つの実施例では、接着剤層の塗工量は800〜1300g/m
2である。
【0048】
本発明の一つの実施例では、接着剤層はリリース・ライナーで被覆されている。
【0049】
本発明の一つの実施例では、基材の背面が非粘着層である。
【0050】
本発明の一つの実施例では、基材はテープである。
【0051】
本発明はさらに、下記段階から成る表面上へ自己接着性物品を結合させる方法を提供する:
(a) 非粘着層がある場合にはその非粘着層が除去し、
(b) 上記物品を上記表面上に押し当て、
(c) 上記物品に圧力を加える。
【0052】
本発明の一つの実施例では、上記表面への自己接着性物品の接着力は、室温、1kg下での剪断抵抗性が10分以上、好ましくは1日以上、より好ましくは10日以上である。
【0053】
本発明の一つの利点は、均一な架橋を有する自己接着性物品が製造できることにある。
本発明の他の利点は、生産ラインの出口直後でコンディショニング(包装)できる自己接着性物品が製造できることにある。
本発明の他の利点は、生産ラインの出口で優れた剪断抵抗性を有する自己接着性物品が製造できることにある。
本発明の他の利点は、一回のパス(コーティングプロセス)だけで高塗工量の接着剤を製造することができることにある
【0054】
以下、本発明をさらに詳細に説明する(以下で、特にことわらない限り、駆動(ドライブ)とうい用語は案内(ガイド)を含む)。
【0055】
[
図2]はキャロル型(Caroll-type)のデバイス(1)の図である。このタイプのドライブ(駆動装置)はその発明者の名をとって名付けられており、多くの工業分野、特に事務器具で使われ、運搬(輸送、ギヤー搬送)、検出(機械的センサーまたは光学的検出)、オートメーション等のためにメデイア(紙、カード、その他)の「孔開け」または横部カッティングに使われている。この図では片側のカット(2)を示したが、中央部でも、広いフィルムまたは大きなリール幅の場合には複数を使用することができる。
【0056】
従って、本発明の接着剤層を受ける支持フィルムはキャロル型の切抜き(カットアウト)で孔開きされている。このカットアウトは大部分の支持体すなわち非粘着性材料(シリコン-またはカオリン-処理)、ラベル紙、熱可塑性プラスチックフィルム(ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等)を高速(>100m/分)に作ることができる。
【0057】
このカッティングは通常のリニアまたは回転システム(パンチ/ダイ型)または着脱自在なプレート(磁気シリンダ上に配置された消耗性プレート、シリンダ上にプレートを保持する磁気装置)によって実行できる。磁気シリンダおよび着脱自在なプレートを有するロータリカッターは孔開けデザインを変えることで迅速に交換でき、廃棄物除去システム(圧縮空気、吸引)と組合せることができる。この方法では一般に有孔フィルムおよび作業環境を清潔に保つことができる(パンチングで生じた極めて小さなチャドをサクション無しで静電効果で表面に添付させる)。
【0058】
磁気シリンダおよび着脱自在なプレートを備えたロータリ切断はリール幅の交換が多い場合に適している。この切断方法を用いると、センタリングまたはローラーの一つのエッジ上にキャリブレーションされた)一方のエッジに自動調節することによって経路を迅速に調節することができる。
【0059】
この切断をすることで、溶剤無しの架橋性接着剤の堆積物を受けるためのフィルムが得られる。このフィルム支持体はキャロル型(Caroll-type)ドライブによってチャンバ中で駆動または案内される。
【0060】
[
図3]はキャロル型ドライブを有する調湿チャンバ(climatic chamber)(3)の例で、その構成は自明なものである。通常の25メートルのオーブン長の場合、床の長さは2メートル以下で、さらには1.5メートル以下である(高さは2〜3メートル程度)。調湿チャンバ内での滞留時間は従来の単一通路のみを有する25メートルのリニアーな乾燥コンベアに対応する。従って、従来のリニアーな乾燥機に比べて熱および湿度調整制御が改良され、小型化される。図示したチャンバではフィルムは平行ループ(平行形態)を形成する。ローラー/ホイールのスペーシングを変えることでジグザグ(ジグザグ形態)の形にすることができる。
【0061】
従って、キャロル型ドライブの存在で接着剤を塗布した面を駆動シャフト側に向けることができ、操作の少なくとも一部の間、粘着性である接着剤を塗布した面がオーブンの固定部材または移動部材と接触することはない。
【0062】
キャロル型ドライブ(および/またはガイド)を上記とは異なるタイプのものにすることができる。一般にはテープ(6)の孔中に挿入されるスパイク(5)を有するローラーまたはホイール(4)がある。孔の形は種々変えることでき(円形、正方形、その他の形)、支持体への摩擦のみまたは中間レベルのみで駆動は十分である。ローラーまたはホイールを自由回転にして、フィルムを調湿チャンバー外のトラクション(牽引)システムだけで移動させることもできる。ローラーまたはホイールをその上部および/または下部および/または中間部で完全または部分的に駆動することもできる。フィルム移動時の案内および/または振動防止のためにホイールを使用することもできる。フィルム・テンションを管理し、破断を避けるためにホイールの駆動を同期させることもできる。
【0063】
フィルムにキャロルキャビティをシットするのをオーブンと直接組合せた場合には、キャロルローラー間の間隔を所望の幅に変えることができる。ホイールの一つをシャフトに固定し、フィルムに作るキャロルキャビティの位置に応じて外側(または中央)のホイールとの位置を制御することもできる。この場合には孔開けされたフィルムの幅に合うようにするために、ホイールはシャフト上で可動にする。
【0064】
[
図3]の実施例すなわち片側表面のみに接着剤にコーティングする場合には、上部ローラー(7)はフィルムの内側表面には接着剤が付いていないので標準シリンダのままでよく、標準品すなわちソリッドなローラーにすることができる。
【0065】
調湿チャンバ内の条件は接着剤の種類に応じて変化する。一般には接着剤を架橋性させるために温度および相対湿度を制御する。チャンバ内の温度は一般に50℃〜200℃の間、好ましくは80℃〜160℃の間、有利には100℃〜150℃の間である。この温度にはフィルムの種類(化学的種類およびフィルム厚さ)も考慮する。管理可能またはできない相対湿度も制御するのが有利である。一般には30〜90%RHの間、好ましくは約50%RHにする。100%が熱架橋だけである接着剤システムまたは100%が湿気架橋である接着剤システムの場合には、温度だけを制御することもできる。一般に、接着剤システムは熱−および湿気-架橋である。
【0066】
調湿チャンバ内部になる区域を区画するためにチャンバにバッフルを設けることもできる。チャンバの異なる区域に異なる条件、特に異なる温度を設定できる。
【0067】
温度および湿度調節は必要に応じて種々の方法で実行できる。加熱は内部または外部から行うことができ、一般には外部からである。制御を改善するために抽出手段を設けるこができる。この場合には低流量にするのが有用である。また、蒸気(必要な場合には乾燥蒸気、ドライスチーム)を注入できる。この場合、支持体を形成するフィルム上に凝縮するのを避ける。
【0068】
チャンバ中での操作では、オーブンの効率が直ちに得られるようにするために、チャンバに入るフィルムを予熱するのが有利である(オーブン内部の最初の数メーターをフィルムの温度を上げるためではなく、架橋に利用する)。
【0069】
[
図4]に示すように、バッキングロール(4a)を設けることもできる([
図3]にも示す)。バッキングロールが存在することで遠隔で動力駆動、案内でき、引裂および/またはバックリング(ローラー間でもみくちゃになること)を避けることができる。(オプションとして示した)互いにテーパー形状のローラーにしてローラー間で圧力を生じさせ、機械的に調整することによってフィルムに張力をかける(幅広にする)ことができる。
【0070】
さらに、本発明では接着剤を両面に塗布でき、ダブルコーティングすることもできる。これは2つの接着剤層の場合に有用で、各表面上に同一または異なる2つの接着剤層組成物を塗布できる。また、これはフィルムの他方の表面上に「リリース」層とよばれる非粘着層を塗布する場合に利用できる。すなわち、接着剤を塗布したフィルムを巻き取ることができるようにするためには、非粘着層を設ける必要がある。その一つの方法は例えば他の表面をシリコーン・エマルジョンで被覆することであり、フィルムを巻き取る時に接着剤層側に非粘着シリコーン層を存在させる。従来方法では複雑なテンションローラシステムでフィルムを反転させる必要があり、シリコーン樹脂コーティングをドライヤに向けるが、そのための操作にもさらに別の問題がある。
【0071】
調湿チャンバまたはオーブンを出た時に、横方向側部(場合によっては中間部)の穿孔区域を切断して除去する(所定サイズへのトリミング、スリッティング)。それによって生じた廃棄物(ウエイスト)(5〜7%オーダー)はリサイクルされる。本発明方法のこの部分に関連するコストは従来法での両側端部を切断するコストに対応する。すなわち、有効面積の100%に接着剤を塗布することは実際問題としては不可能であり、両側端部を切断することが必要である。また、一つのユニットで製造される全ての物品に対して接着テープまたはラベルの幅を完全な倍数にすることも不可能である。通常、スクラップ割合は10%程度か、それ以上になる。
【0072】
キャロル型ドライブを備えた調湿チャンバの入口および出口は互いに同じ側、反対側または隣接させることができる。入口と出口を柔軟に決めることができるので、従来では2人が必要であった生産ラインのオペレータの数を一人にすることが可能になる。
【0073】
本発明はさらに、キャロル型ドライブシステムを有する調湿チャンバにも関するものである。調湿チャンバはキャロル型ドライブホイールまたはローラーを使用した複数のテンションローラシステムを有する。
【0074】
本発明の一実施例では、調湿チャンバが温度を50℃〜200℃の間に維持することができる加熱手段をさらに有することができる。
【0075】
本発明の一実施例では、調湿チャンバが相対湿度を30%〜90%RHの間に維持することができる湿分管理手段を有する。
【0076】
支持体を形成する任意タイプのフィルム(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、例えばPET、ポリアミドを使用できる。
【0077】
フィルム上に塗布した接着剤は溶剤フリーの架橋可能なPSA接着剤である。その例としては下記特許に記載の接着剤が挙げられる。
【特許文献3】欧州特許第EP0106330号公報
【特許文献4】カナダ特許第CA2554743号公報
【特許文献5】国際公開第WO09/106699号公報
【0078】
さらに、本出願人の下記出願に記載の接着剤も挙げられる。
【特許文献6】フランス特許出願第07/09027号(FR2925517およびWO2009106699として公開)
【特許文献7】フランス特許出願第09/06194号
【0079】
これらの内容は本明細書の一部を成す。特に、接着剤は、ポリウレタンまたはポリエーテル-ベースの接着剤である。この種の粘着性は下記から成る:
(1) 20〜85%の2つの加水分解可能なアルコキシシラン・タイプの末端基を有するポリウレタンのまたポリエーテル、
(2) 15〜80%の相溶性粘着付与樹脂(タッキファイア)、
(3) 0.01〜3%の架橋触媒。
【0080】
熱架橋性接着剤組成物は40〜65%のポリウレタンまたはポリエーテルと、35〜60%の粘着付与樹脂から成るのが好ましい。具体的には、接着剤組成物は2つの加水分解可能なアルコキシシラン・タイプの末端基を有する下記式(Ia)のポリウレタンから成ることができる:
【0082】
(ここで、
R
1は芳香族、脂肪族、直鎖、分岐鎖または環式の5〜15個の炭素原子を有するハイドロカーボン−ベースの2価の基を表し、
R
2は1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の2価アルキレン基を表し、
R
3は1〜3個の炭素原子を有する直鎖の2価アルキレン基を表す、
R
4およびR
5は互いに同一でも、異なっていてもよく、各々が1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を表し、複数のR
4(またはR
5)がある時には、これらは同一でも異なっていてもよく、
nは、式−[OR
2]
n−のポリエーテル・ブロックのモル重量が300Da〜30kDaとなるようなる整数であり、
mは、式(Ia)のポリマーの数平均モル重量が600Da〜60kDaの間となるような整数であり、
pは0、1または2に等しい整数である)
【0083】
本発明組成物に含まれる式(Ia)のポリウレタンは下記の方法で得ることができる。最初の段階で、式(IIIa):
のジイソシアナートの1モルを式(IVa):
のポリエーテル・ジオールの約2モルと反応させて、式(IIa)の2つのヒドロキシル末端基を有するポリウレタンを調製する:
【0085】
この場合、NCO/OH基の比は約0.5に等しい。反応は必要に応じて用いる触媒の存在下で60〜90℃の温度で2〜8時間である。
第2段階では式(Va)のイソシアネートシランを用いたシリル化(silylation)反応で、式(IIa)のポリウレタンを式(Ia)のポリウレタンに変換する:
2モルの式(Va)の化合物に対して約1モルの式(II)のポリウレタンを用いる。
【0086】
上記2つの合成段階はアルコキシシラン基の加水分解を避けるために無水条件下で実施する。これらの反応を実行するための典型的な温度範囲は30℃〜120℃、特に60℃〜90℃である。上記の化学量論量に対してわずかにずれても大きな問題はないが、第1段階(式 Haのポリウレタンの合成)は10%を超えてはならず、また、第2段階(式 Iaのポリウレタンの合成)は2%を超えてはならない。
【0087】
アルコキシシランタイプの末端基を有する式(Ia)のポリウレタンの製造に関するさらに詳細な事項は下記文献が参照できる。
【特許文献8】欧州特許出願第EP0931800号
【0088】
他の実施例の接着剤組成物は、23℃で測定した粘度が25〜40Pa.sである下記式(Ib)の2つの加水分解可能なアルコキシシラン型末端基を有するポリエーテルから成る:
【0089】
(ここで、
R
1は1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝したアルキル基で
あり、
R
3は1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐した二価アルキレン基を表し、
R4およびR5は互いに同一でも、異なっていてもよく、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐した二価アルキレン基を表し、複数のR4(またはR5)がある時には、これらは同一でも異なっていてもよく、
nは、式(I)のポリマーの数平均モル重量Mnが20〜40kDaの間となるような整数であり、
pは0、1または2に等しい整数である)
【0090】
本発明組成物に含まれる式(Ib)のポリマーは式(IIb)のポリエーテルジオールを式(IIIb)のイソシアネートシランと反応させて得られる:
【0091】
約1モルの式(IIb)の化合物に対して2モルの式(IIb)のポリエーテルジオールの比率にする。
【0092】
式(IIb)のポリエーテル・ジオールは商業的に入手できる。式(IIIb)のイソシアネートシランも同じである。例えば、γ-イソシアネート−n-プロピル・トリメトキシシラン(Geniosil(登録商標)GF 40で入手可能)またはα−イソシアネート-n-メチル−メチルジメトキシシラン(Geniosil(登録商標)XL42で入手可能)を挙げることができる(両方ともWacker社から市販)。
【0093】
アルコキシシラン族の加水分解を避けるためにこの合成段階は無水条件下で実行される。反応を実行するための典型的な温度範囲は30℃〜120℃、特に60℃〜90℃である。化学量論量に対するマイナーな変化は問題ないが、変化は2%を超えてはならない。
式(Ib)のポリエーテルも市販されている。
【0094】
粘着付与樹脂は200Da〜5kDaの数平均モル重量を有し、下記(i)または(ii)によって得ることができる:
(i) フリーデルクラフツ触媒の存在下でのテルペン系炭化水素とフェノールの重合、
(ii)α−メチルスチレンの重合、必要に応じてフェノールとの反応。
【0095】
本発明組成物に含まれる粘着付与樹脂で、「相溶性を有する粘着付与樹脂」とは、式 (I)のポリマーと50%/50%の割合で混合した時に実質的に均質な混合物となることを意味する。その種の樹脂は市販されており、上記方法(i)および(ii)で得られることができ、下記製品を挙げることができる:
方法(i):
DRT社から入手可能な約870Daのモル質量Mnを有するDertophene(登録商標)1510およそ同じ会社から入手可能な630Daのモル質量Mnを有するDertophene(登録商標)H150、Arizona Chemical社から入手可能な約1200Daのモル質量Mnを有するSylvarez(登録商標)TP95、
方法(ii):
フェノールを作用させずにα−メチルスチレンを重合して得られるCray Valley社から入手可能な900Daの数平均分子量を有する Norsolene(登録商標)W100、また、Arizona Chemical社から入手可能な約1740Daのモル質量Mnを有するSylvarez(登録商標)510。これはフェノールの作用を含む。
【0096】
本発明組成物で使用可能な架橋触媒はシラノール縮合で当業者に公知の任意の触媒にすることができる。触媒の例としてはチタンアセチルアセトネート(DuPont社からTYZOR(登録商標)AA75の名称で市販)のようなチタンの有機誘導体、アルミニウムキレートのようなアルミニウム(King Industries社からK-ICAT(登録商標)5218で市販)、アミン(例えば1,8-ジアゾビシクロ(5.4.0)ウンデセン-7またはDBU)を挙げることができる。
【0097】
本発明の熱架橋可能な接着剤組成物は下記(1)〜(3)の段階を有する方法で製造できる:
(1)空気の不存在下、好ましくは不活性雰囲気下で、50℃〜170℃、好ましくは100℃〜170℃の温度で、式 (I)のポリマーを粘着付与樹脂と混合する段階
(2)上記混合物を50℃〜90℃、有利には約70℃の温度で冷却する段階、
(3)上記混合物中に触媒(必要に応じてさらに乾燥剤および他のオプションの構成要素)を入れる段階。
【0098】
コーティング段階は公知のコーティング装置、リップ型またはカーテン型ノズルまたはローラーを用いて標準的方法で実行する。接着剤組成物を単位面積当たり3〜500g/m
2、好ましくは10〜250g/m
2の重量で使用する。支持層として使用可能な材料は例えば紙または一層以上のポリマー材料のフィルムである。
【0099】
架橋に必要な時間は広範囲に変えることができ、例えば1秒〜10分、好ましくは30秒〜5分間にすることができ、それに従って調湿チャンバー内での滞留時間が決まる。
【0100】
この熱架橋段階の結果、湿気の作用でポリウレタンまたはポリエーテルのポリマー鎖間にシロキサン型の結合が形成され、三次元ポリマーマトリックスが形成される。こうして架橋した接着剤組成物は所望の支持体に対する接着性とタックとを有する感圧接着剤となる。
【0101】
本発明は無溶剤の熱架橋性ホットメルト接着剤コーティングに限定されるものではなく、他の分野、例えば紙の接着剤コーティング、一般的にはプロセスのある場所で結合材料を受けるフィルムの形をした支持体の輸送(運搬、移動)の用途で使用できる。これらの分野では接着剤部分と装置との間の接触を避けることはが求められている。キャロル型ドライブを加えてアキュムレータが提供できる。
【0102】
本発明の他の対象は下記から成る装置にある:
(1)フィルム上に接着剤組成物を塗布する手段、
(2)本発明の調湿チャンバ、
(3)接着剤組成物でクレームしたフィルムを調湿チャンバ中へ導く駆動手段。
【0103】
本発明の一実施例では、上記装置は調湿チャンバの出口にリリース・ライナーを付ける手段をさらに有する。
本発明の一実施例では、上記装置は調湿チャンバの出口に接着剤テープのワインディング手段をさらに有する。
【0104】
本発明は、下記の段階から成る、少なくとも一つの基材と接着剤層とを有する自己接着性物品の製造方法を提供する:
(a) 少なくともシリル含有ポリマーから成る接着剤組成物と、粘着付樹脂と、触媒とを含む接着剤組成物を20〜160℃の温度でコンディショニングし、
(b) 上記接着剤組成物を下記の(bl)または(b2)の上に塗布し:
(bl)基材の少なくとも一部、または
(b2)非粘着性支持体、
(c) 段階(b2)で得られたる物品を20〜200℃の温度および大気中の5〜100%が水分子である湿った雰囲気に曝し、
(b2)を選択した場合にはさらに、
(d) 段階(c)の前の接着剤組成物の上またまたは段階(c) の後の接着剤層の上に基材を付ける。
【0105】
「自己接着性物品」という用語は、追加の接着剤を使わずに、手の圧力または装置の作用だけで表面上に結合できる任意の物品を意味する。この「自己接着性物品」は感圧接着剤(Pressure Sensitive Adhesive)とも呼ばれる。これらの物品はPSA表面を露出して閉じるため、維持するため、または、固定のために他の表面に粘着させる用途、フォーム、ロゴ、写真または情報を示すために使用される。これらの物品は多くの分野、例えば医用、包装、自動車または建設分野で使うことができ、最終用途に従って形、テープ、例えば産業用テープ、DIYテープ、単一または複数の担体を有するまたは有しない片面テープ、両面テープ、(特定担体、開放または閉じた発泡体、グリッドまたは複合材料またはテキスタイルまたは押出成形または積層ウエブから成る担体を有するテープ、ラベル、包帯、ワインドドレスシング、PSA被覆パッド、マーキング・テープまたはラベル、グラフィックPSAフィルムの形にすることができる。
【0106】
「基材」とは本発明物品で接着剤組成物によって被覆された支持層を意味する。この基材は任意の形にすることができるが、接着剤層で被覆される少なくとも一つの表面を有し、付着表面に適用可能なほぼ平らな表面を有する。基材は最終用途に応じた多くの自己接着性物品に適用できる化学特性および/または機械特性が同じまたは異なる2つの同じまたは異なる表面を有することができる。
【0107】
基材はPSA物品、例えばテープまたはラベル物品を作るニーズに応じて使うことができる任意の種類の材料にすることができる。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンおよび紙はこの種の担体のストック材料のベースを成し、また、この種の物品を用いて取扱いできる通常のプラスチックまたは繊維のウェブ、いくらかの用途ではテキスタイル、金属ファイバまたはガラス繊維をベースにした材料も使われる。本発明の一実施例では基材はポリエチレンテレフタレート(PET)をベースにした担体である。
【0108】
本発明の一実施例では、基材の片側に接着剤層を付け(前側)、反対側を非粘着剤層、例えばシリコン処理した材料にする(裏側)。この場合に得られる自己接着性物品は非粘着剤層が存在するので基材の裏側上に簡単に巻取ることができる。非粘着剤層は接着剤層に付着せず、非粘着剤層と接着剤層との間で接着剤の移動はない。他の実施例では基材の片側(裏側)を非粘着処理する。この基材は基材を非粘着層で被覆したものと同じ利点を有する。
【0109】
本発明の一実施例では担体がグリッドまたはメッシュまたは不織布材料から成る。この場合、接着剤層は担体の一つの表面上へ存在するが、担体が多孔質であるので塗布中に担体内部まで通ることができ、基材を構成する繊維が完全に接着剤組成物で覆われる。この場合には接着剤層または接着剤組成物上にリリースライナーが存在するのが好ましい。
【0110】
他の具体化では基材はリリース・ライナーである。リリース・ライナーは接着表面上へ付ける前に除去するものである。リリース・ライナー(保護用非粘着層ともよばれる)はシリコン処理したフィルムまたは紙で作るのが好ましく、この層は例えば架橋したポリジメチルシロキサンベースの材料から成る。一般に、このリリース・ライナーは約1マイクロメートルの厚さを有する。本発明の一実施例では、このリリース・ライナーは2つの異なる表面を有することができ、各表面は2つの異なる材料で作ることができる。
【0111】
また、基材に任意の前処理、例えばプラズマ処理、コロナ処理またはブラスト処理、予備コート処理を行って界面張力を変えるか、より一般的には最終表面に任意の特性を付与することができる。
【0112】
「接着剤層」とはプロセスの最後に得られる硬化された接着剤組成物を意味する。本発明の接着剤組成物は50℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上の温度で、有意量の溶剤なし(材料の総重量に対して5重量%以下)で塗布されるホットメルト接着でもあるのが好ましい。このホットメルト接着はシリル基が少なくとも部分的に架橋した後に最低でも0.039N/cmのPSA特性を示すループ・タックを有し、ガラス板上に残りがないのが好ましい。この接着剤組成物は平均分子量が100〜250,000グラム/モル、好ましくは200〜80,000グラム/モル、より好ましくは500〜60,000グラム/モルで、シリル官能基が0.01〜4mol/kg、好ましくは0.1〜3.5mol/kgである化学構造を有するオリゴマー、ポリマーまたは大型分子を少なくとも5重量%含むのが好ましい。
【0113】
「硬化」とは「架橋」することを意味する。
本発明で「接着剤組成物」は溶剤を含まない少なくとも一種のポリマーまたはポリマーと粘着付与樹脂の混合物または粘着付与樹脂と触媒との混合物から成る架橋性感圧接着剤(PSA)である。
【0114】
上記ポリマーは有意量の溶剤を含まない、一般には材料の総重量に対して5重量%以下しか溶剤を含まず、シリル含有ポリマーである。「シリル含有ポリマー」とは平均分子量が200〜80,000グラム/モル、好ましくは500〜60,000グラム/モルで、シリル官能基が0.1〜4 mol/kg含む化学構造を有するオリゴマー、ポリマーまたは大型分子を意味する。シリル官能基はポリマー端またはポリマー鎖の任意の位置でグラフトできる。
【0115】
「シリル官能基」は下記式(I)の基を意味する:
【0116】
(ここで、R
4およびR
5は1〜4つの炭素原子を有する直鎖または分枝したアルキル基を表し、互いに同一でも異なっていてもよく、複数のR
4(またはR
5)がある場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、pは0、1または2の整数である)
【0117】
本発明の一実施例では、本発明の接着剤組成物は下記文献に記載のタイプのものである。
【特許文献9】国際公開第WO 2009/106699号公報
【特許文献10】欧州特許第EP 2 336 208号公報
【0118】
本発明の一実施例では、接着剤組成物は下記の(Ia)を有するシリル-終了を有するポリウレタンから成る:
【0119】
(ここで、
R1は5〜15の炭素原子を有する脂肪族、芳香族の直鎖または分岐鎖または環式でもよい炭化水素ベースの2価ラジカルを表し、
R
2は1〜4つの炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキレン2価ラジカルを表し、
R
3は1〜3つの炭素原子を有する直鎖のアルキレン2価ラジカルを表し、
R
4およびR
5は1〜4つの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を表し、互いに同一でも異なっていてもよく、複数のR
4(またはR
5)がある場合には、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、nは式−[OR
2]n−のポリエーテルブロックの数平均分子量が300Da〜30kDaの間にするような整数であり、
mは式(Ia)のポリマーの数平均分子量が600Da〜60kDaの間となるような整数であり、
pは0、1または2に等しい整数である)
【0120】
本発明の他の具体例では、接着剤組成物下記の式(Ib)を有するシリル末端を有するポリエーテルである:
【0121】
(ここで、
R
1は1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐したアルキレン2価ラジカルを表し、
R
3は1〜6個の炭素原子を有する直鎖アルキレン2価ラジカルを表し、
R
4およびR
5は1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基を表し、互いに同一でも異なっていてもよく、複数のR
4(またはR
5)があるときにはそれらは互いに同一でも異なっていてもよく、
nは式(Ib)のポリマーの数平均分子量が20kDa〜40kDaになるような整数であり、
pは0、1または2に等しい整数である)
【0122】
本発明組成物に含まれる粘着付与樹脂で「相溶性を有する粘着付与樹脂」とは、ポリマーに粘着付与樹脂を50%/50%重量割合で混合したときに実質的に均一なブレンド物となるものを意味する。
この粘着付与樹脂は下記の中から選択するのが有利である:
(i) フリーデルクラフツ触媒の存在下でのテルペン炭化水素およびフェノールの重合によって得られる樹脂、
(ii) α-メチルスチレンの重合方法で得られる樹脂(この重合方法にはフェノールとの反応を含むことができる)、
(iii) 天然または変成した松脂、例えば松ガムから抽出した松脂、草木から抽出したウッドロジンおよびこれらの水素化、ダイマー化、重合またはモノアルコールまたはポリオール(例えばグリセロール)とエステル化誘導体、
(iv) 石油留分から得られる約5、9または10個の炭素原子を有する不飽和脂肪族炭化水素の水素化、重合または合(芳香族炭化水素との)共重によって得られる樹脂、
(v) テルペン樹脂、例えば一般にテルペン炭化水素(例えばフリーデルクラフツ触媒の存在下でのモノテルペンまたはピネンの重合で得られるもの)、
(vi) スチレン/テルペン、α−メチルスチレン/テルペンおよびビニルトルエン/テルペンのような天然テルペンをベースにしたコポリマー、
(vii) 100℃で10 Pa.s以下の粘度を有するアクリル樹脂。
【0123】
これらの樹脂は市販されている。特に、タイプ(i)、(ii)および (iii)で定義されるものとしては下記製品が挙げられる:
タイプ(i)の樹脂:約870Daの分子量Mnを有するDRTから入手可能なDERTOPHENE(登録商標)1510、約630Daの分子量Mnを有する同じ会社から入手可能なDERTOPITENE(登録商標) H150、Arizona Chemicalから入手可能なSY.I.VAREZ(登録商標)TP2040IIME、約1200Daの分子量Mnを有するArizona Chemicalから入手可能なSYLV AREZ(登録商標)TP95、
タイプ(ii)の樹脂:フェノールの作用がないα-メチルスチレンの重合によって、得られる900Daの数平均分子量を有するCray Valley社から入手可能なNORSOLENE(登録商標)W100、または、フェノールを追加する、約1740Daの分子量Mnを有するArizona Chemicalから入手可能なSYLVAREZ(登録商標)510、
タイプ(iii)の樹脂:Arizona Chemicalから入手可能な約1700Daの分子量Mnを有するペンタエリスリトール・エステルガムであるSYLVALITEU RE 100。
【0124】
本発明の一つの好適な実施例では、タイプ(i)または(ii)から選ばれる樹脂が、使用される。本発明の他の好適な実施例では、タイプ(iii)、好ましくはエステルガム樹脂が使用される。
【0125】
本発明組成物で使用可能な硬化触媒はシラノール縮合で当業者に公知の任意の触媒にすることができる。この触媒の例としてはチタン・アセチルのようなチタンの有機誘導体(工業的にはデュポン社からTYZOR(登録商標) AA75の名称で市販)、アルミニウム・キレートのようなアルミニウム(K-KAT(登録商標)5218で市販)、アミン(例えば1,8-ジアゾビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンまたはDBU)が挙げられる。
【0126】
本発明の一つの好適な実施例では、硬化性接着剤組成物は40〜60%のシリル含有ポリマーと、35〜65%の粘着付与樹脂とを含む。
【0127】
また、本発明の接着剤組成物は任意成分として、シリル含有ポリマーの他に、HMPSAの製造でよく使われる熱可塑性ポリマー、例えばエチレン酢酸ビニール(EVA)またはスチレン・ブロック共重合体を含むことができる。
【0128】
また、本発明の硬化性接着剤組成物は、乾燥剤としての加水分解なアルコキシシラン誘導体、好ましくはトリメトキシシラン誘導体を最大で3%含むことができる。この種の薬剤は使用前の貯蔵および運搬時の本発明組成物の貯蔵安定性を延ばすという硬化がある。例としてはγ−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる(US Momentive Performance Materials IncからSILQUEST (登録商標)A-174で市販)。
【0129】
また、本発明接着剤組成物は可塑剤、例えばフタレートまたは安息香酸エステル、パラフィンオイルおよびナフテン系油(例えばEsso 社のPRLMOL(登録商標)352)またはポリエチレン・ホモポリマーのワックス(例えばHoneywell 社のA−C(登録商標)617)またはポリエチレン/酢酸ビニール・コポリマー、さらには顔料、染料または充填剤を含むことができる。
【0130】
最後に、本発明組成物には0.1〜2%の一種以上の安定剤(抗酸化剤)が好ましく含まれる。組成物を酸素との反応で生じている劣化から保護するために導入されるこれらの化合物は熱または光りの作用手形成できる。これらの化合物はフリーラジカルを閉じ込める一次抗酸化剤を含むことができ、特にCiba社の IRGANOX(登録商標)1076のような置換フェノールにすることができる。一次抗酸化剤は単独または他の二次抗酸化剤または紫外線安定剤と一緒に使うことができる。
【0131】
上記接着剤組成物は20〜160℃の温度でコンディショニングされる。この段階は公知の任意の方法、例えば、混合、必要な場合にはドラム-アンローダで接着剤組成物を加熱することによって実行できる。
【0132】
コンディショニングされた接着剤組成物は基材の少なくとも一部の上または非粘着性支持体上に塗布される。
【0133】
非粘着性支持体は接着剤組成物を循環させるワインディング/アンワインディングシステムのベルトコンベヤまたは自己接着性物品の生産中に接着剤組成物を粘着なしに一時的に支持する非粘着性支持体でもよい。
【0134】
(b2)のオプションでは、最終基材を接着剤組成物/層と接触させる前の接着剤組成物/層の仮支持体として非粘着性支持体を使用することができる。
【0135】
非粘着性支持体上への塗布を行う場合には、架橋段階の前または後に、少なくとも一つの基材を接着剤組成物または接着剤層上へ堆積させる。
【0136】
基材上へコーティングを実行する場合には、コーティングは基材の少なくとも一部の上、好ましくは基材の少なくとも50%、好ましくは、基材の少なくとも75%、より好ましくは基材の少なくとも95%の上に行うことができる。
【0137】
基材を接着剤組成物または接着剤層上へ堆積する場合(段階d)には、接着剤組成物または接着剤層は基材の少なくとも50%、好ましくは基材の少なくとも75% さらに好ましくは基材の少なくとも95%を覆う。
【0138】
コーティング段階は公知のコーティング装置、例えばリップダイまたはカーテンコーティング・タイプのダイまたはロールを使用して実行される。本発明の一実施例では、基材上または非粘着性支持体を覆う接着剤組成物の量は10〜1500g/m
2、好ましくは50〜1400g/m
2、より好ましくは600〜1300 g/m
2である。
【0139】
本発明の一実施例では、接着剤組成物をリリース・ライナーの少なくとも一部の上へ塗布する。この具体例では、硬化後に得られる接着剤層は内部に何の担体を用いなくても十分な機械的強度を有する。すなわち、付着表面上へ移し、リリース・ライナーを外した後には単に接着剤層だけが残るので、基材の存在なしで接着機能を確実に果たすのに十分な機械強度を接着剤層が有する。
本発明の一実施例では、基材はグリッドまたはメッシュまたは不織布材料のようなディスクリートな形をしている。この場合、基材が軟らかい液体の接着剤組成物と接触し硬化した接着剤層で覆われる。グリッドまたはメッシュまたは不織布材料のようなディスクリートな形の基材を使用すると特別な切断装置を用いずに簡単に切断できる自己接着性物品を製造することができる。
【0140】
塗工量は物品の所望用途に応じて変わる。低塗工量の場合には必要な硬化時間が短いので、非常に速く製造できる。それに対して、結合表面が不均一または不規則な場合、高塗工量にするのが好ましく、また、平らな接合を高塗工量の接着膜で代償することもできる。
【0141】
本発明は不均質または不規則な表面を接着できる点で特に注目に値する。接着剤を高塗工量で基材または非粘着支持体に塗布できるので、不規則な表面、閉じたまたは開いたセルの発泡体表面、メッシュまたはグリッド表面、構造化された繊維のテキスタイルシート、不織布のような構造化されていない/ランダムな繊維表面、メッキ金属、エンボス表面、湾曲面、プラスチックまたは金属または複合材料で作られた表面、表面光沢を下げた表面、塗装面、ニス塗装面または印刷面に接着剤を塗布できる。基材材料または表面状態は上記のものに限定されるものではない。物品に圧力を加えることで接着剤層が穴の容積または表面の不規則性を補正する。コーティングは基材または非粘着性支持体上に均一に行うのが好ましいが、コーティングは最終物品の所望形状に適したものにすることができる。
【0142】
本発明の一実施例では、基材の両側の少なくとも一部の上に接着剤組成物のコーティングを実行する。基材の両側を被覆する場合、両側同じ接着剤組成物を塗布するか、両側に別の組成物を塗布することができ、塗工量も同じまたは変えることができる。
【0143】
本発明の他の具体例では、自己接着性物品が基材の一方または両方の少なくとも一部に接着剤層を有し、オプションとして接着剤層はリリース・ライナーで被覆されている。リリース・ライナーはシリコン処理したフィルムまたは紙で作られているのが好ましく、例えばポリジメチルシロキサン-ベースの材料が好ましい。一般に、リリース・ライナーは約1マイクロメートルの厚さを有する。本発明の一実施例では自己接着性物品は接着剤組成物を覆った2つのリリース・ライナーを有する。この場合、両方のリリース・ライナーは類似または異なる材料で作ることができ、および/または、同じまたは異なる厚さを有することができる。
【0144】
本発明の一実施例では、基材をワインディング/アンワインディング・システムにセットできる。使用するワインディング/アンワインディング・システムはピンチングポイントを有し、ワインディング/アンワインディングロールに沿ってフィルムを正しく修正し、フィルムの平行性を保持し、エッジをマッチングし、アンワインディングロールは完全なテンションおよび外観を維持し、トンネリングやウインクリング、不必要な欠陥を無くすもので好ましい。
【0145】
コーティングは40〜150℃の温度で実施するのが好ましい。
【0146】
塗布後の接着剤組成物は20〜200℃、好ましくは30〜180℃、より好ましくは40〜160℃の温度で且つ分子の5〜100%、好ましくは分子の10〜90%、より好ましくは15〜70%が水分子である湿気のある雰囲気中に入れて、接着剤組成物の架橋を実行する。硬化時間は接着剤組成物の種類に応じて決まる。
【0147】
本発明の他の具体例では、本発明方法は、接着剤組成物を20〜200℃、好ましくは30〜180℃、より好ましくは40〜160℃の温度に曝すだけの段階(e)を有する。この段階(e)の温度は段階(c)の温度と同じでも異なっていてもよい。
【0148】
基材の少なくとも一部の上にコーティング(b)を実行する場合、オプションの段階(e)は段階(c)の後に実行する。非粘着支持体上にコーティング(b)を実行する場合もオプションの段階(e)は段階(c)の後に実行するが、この段階(e)は接着剤層上へ基材を載せる段階(d)の前または後に実行できる。
【0149】
湿度レベルは水の体積パーセンテージで表され、それは水の分子数を単位体積中の全分子数で割ったものに対応する。このスケールはリニアー関係であるので、湿度レベルは容易に表示でき、比例積分微分制御P.I.D(Proportional-Integral-Derivative)を使用して制御できる。重量パーセンテージは標準空気について全分子数をベースにした水分子のパーセンテージに0.622のファクタを掛けて計算できる。各種環境での湿度レベルついてのアカデミックおよび一般情報は下記文献に記載されている。
【非特許文献1】W.Wagner et al.,"International Steam Tables -roperties of Water and Steam based on the Industrial formula GAPWS-IF97"
【0150】
架橋を実行するのに用いる装置は公知の任意のオーブンで、最初に脱気して全ての溶剤を除去し、コーティングを乾燥させ、コーティングと被覆基材または支持体を加熱して本発明のコーティング組成物を架橋するのに必要な温度および湿気条件に設計、変更したものである。
【0151】
この装置は湿気含有加熱空気流を被覆された材料と一定時間の間、接触させ、それによって材料を加熱でき、湿気を有効に受けることができ、目標の架橋状態、従って性能を達成できるものを意味する。この装置は開放型でも密閉型でもよい。
【0152】
本発明の一実施例ではた架橋段階を換気された装置で実行する。この換気された装置は外部ベンチレーション回路を有するのが好ましく、外部ベンチレーション回路は熱交換器から成るのが好ましい。
【0153】
湿度レベルはスチームの導入で制御し、外部ベンチレーション回路で制御するのが好ましい。本発明の一実施例ではスチームは乾燥蒸気である。
【0154】
本発明の一実施例では、上記装置は温度および湿気が管理されたトンネルである。この種の装置は低塗工量の接着剤を作るのに使うのが好ましい。
【0155】
本発明の一実施例では、上記装置は強制対流式オーブンで、好ましくは熱交換器を有する外部回路で加熱を行うのが好ましい。オーブンの外部換気回路に乾燥蒸気を注入して、接着剤組成物が通るオーブン容積内に湿気を導入するのが好ましい。空気の流速、オーブン中に空気の層流と充分な換気が維持されるように管理するのが好ましい。
【0156】
オーブンの目的は、被覆された材料への水分子の移動または拡散を促進して、硬化をできるだけ速く開始させることにある。
【0157】
本発明の一実施例では、水蒸気噴射はP.I.D (Proportional-Integral-Derivative)で制御される。例えば、分子の60%が水分子である湿気のある雰囲気の場合、湿度レベルがこの値以下である限り噴射を続け、測定湿気含有量が60%の水分子の値以上になったときに停止する。
【0158】
本発明方法を実行するのに用いるオーブンは温度および含水比を制御できる公知の任意のオーブンにすることができる。そうしたオーブンは食品産業または減菌プロセス等の多くの工業で使われている。
【0159】
本発明の一実施例ではオーブンが第1セクションを有し、そこの温度および含水比を管理し、第2のセクションでは温度だけを管理する。湿気管理されたオーブンは下記文献に記載されており、このオーブンは食品産業で使用され、温度は100℃以上になる。
【特許文献10】米国特許第US 5,694,835号明細書
【0160】
本発明の一実施例では、オーブンはキャロル型(Caroll-type)」のガイドを有する。
【0161】
スチームを注入する各セクション中で、基材または非粘着性支持体の被覆表面の近くに湿気-制御センサーを設置するのが好ましい。例えば、Machine Applications Company Instruments社から市販の「MAC125湿度計」をP.I.Dを組み合わせてシステムを制御し、各セクション中の湿度を制御およびモニターすることができる。
本発明方法はバッチプロセスまたは連続プロセスな実行できる。
本発明の一実施例では、プロセスで使用する基材がテープである。
【0162】
本発明の一実施例では、自己接着性物品はラベル、移し絵またはレタリング物品の製造で使用される。この場合、本発明方法で得られた自己接着性物品を一つ以上の加工法、スリッティング、ダイ-切断またはマトリックス-ストリッピングで変形する必要がある。
【0163】
[
図5]は本発明方法の一実施例を示し、接着剤組成物8はドラム・アンローダ9内で所定温度でコンディショニングされる。それから接着剤組成物はベルトコンベヤ10と一緒に移動するPETテープ上に塗布される。次いで、被覆済み基材はオーブン11に入り、そこで被覆済み基材は特定温度および湿気条件したに曝される。オーブン出口で接着剤層上へリリース・ライナー12を載せて自己接着性物品13を得る。それをさらに巻き取ることができる。本発明方法の最終端で得られる自己接着性物品は種々の異なる形状にすることができる。
【0164】
本発明の一実施例では、接着剤層14は基材15(
図6)上に塗布される。他の具体例では、リリース・ライナー12が接着剤層14上に配置できる。基材15(
図7)上には上記接着剤層14がある。本発明の一実施例では、基材の片側17に接着剤層14が付き、基材の反対側18に非粘着剤層、例えばシリコン処理した材料からなる層がある。この場合、接着剤層14は基材の接着剤側17上(
図8a)に塗布される。この具体例では自己接着性物品はロール(
図8b)に巻き取られる。
【0165】
本発明の他の具体例では接着剤層14が2つのリリース・ライナー12(
図9)に挟まれている。
【0166】
本発明方法では、得られた自己接着性物品を十分に架橋して、生産ラインの出口で切断ができ、接着剤コーティングがブリーディングしないようにする。
【0167】
本発明方法を用いると、一回のコーティングパスだけで接着剤を極めて高い塗工量で有する自己接着性物品を得ることができる。
【0168】
本発明のさらに他の対象は、少なくとも1つの基材と、接着剤層の塗工量が600〜1.500g/m
2、好ましくは800〜1300g/m
2である接着剤層とから成る本発明方法で得られる自己接着性物品にある。
【0169】
本発明の一実施例では、自己接着性物品の基材はテープである。本発明の一実施例では、接着剤層はさらにリリース・ライナーで被覆されている。本発明の一実施例ではテープの片側が上記接着剤層で覆われ、テープの反対側(裏側)が接着剤層と接着しない非粘着剤層で処理されている。この場合、自己接着性物品は接着剤およびテープの裏側層との間での移動無しに簡単に巻き取ることができる。
【0170】
本発明はさらに、下記(a) (c)の段階から成る表面上へ請求項37〜4つのいずれか一項に記載の自己接着性物品を結合させる方法にも関するものである。
(a) 非粘着層がある場合にはその非粘着層が除去し、
(b) 上記物品を上記表面上に押し当て、
(c) 上記物品に圧力を加える。
【0171】
本発明方法で結合される表面は規則的な表面でも不規則な表面でもよく、孔または凹凸を有していてもよい。この表面は任意タイプの材料、例えばプラスチック、紙、金属、コンクリート、木、ブラスタまたはセラミックにすることができ、メッシュまたはグリッド表面、発泡体または織物シート、構造化された繊維表面、構造化されていない/ランダムな繊維からなる不織布ウェブ表面、メッキ金属、エンポス表面、曲面にすることができ、プラスチック、金属または複合材料、半光沢面、金属面、印刷済みまたはニス塗りまたは印刷面にすることができる。これらは単なる例で、基材材料または表面状態がこれらに限定されものではない。
【0172】
また、基材は任意の方法、例えば、プラズマ処理.コロナ処理、サンドブラスト等で予め処理しておくことができ、また、界面張力を変える、より一般的には、最終組立品に所定の特性を与えるための予備被覆をすることができる。また、それと同じ種類の処置を、硬化後の接着剤表面に行うこともできる。
【0173】
本発明の一実施例では、表面への自己接着性物品の接着性は、室温、1kg荷重下で10分以上、好ましくは1日以上、より好ましくは10日以上の耐剪断性によって特徴づけられる。
【0174】
本発明の自己接着性物品は非常に優れた性能を有する。この性能は生産ラインの出口の直後に得られる。自己接着性支持体の性能はその剥離強度、そのループ・タック、その剪断強度によって評価できる。工業的用途では生産ラインの出口で製品が得られ、例えば生産後、1時間以内に簡単にハンドリングできることが重要である。
【実施例】
【0175】
(1)
組成物の製造
下記の[表]に示した組成物は、先ず最初にガラス反応装置中に真空下に粘着付与樹脂(SYLVAREZ(登録商標)TP204OHME)を導入し、約160℃に加熱して製造した。粘着付与樹脂が完全に溶解してからシラン−含有ポリマー(DESMOSEAL(登録商標)S XP 2636またはGENIOSIL(登録商標)STP-E30)を加えた。混合物を真空下で15分間攪拌した後、70℃に冷却した。次いで、触媒(K-KAT(登録商標)5218またはTIB-KAT(登録商標)223)を導入する。混合物を真空下に維持し、10分間攪拌する。実施例1〜13に対応する組成物を[表1]に示す。
【0176】
【表1】
【0177】
(2)
上記組成物を50〜700g/m2の塗工量で塗布したPET 支持体層の製造
上記(1)で得た組成物をドラム-アンローダで100℃近くの温度に予熱した後、100℃近くに加熱したノズルを有する加熱した圧力ホースから放出した。この加熱したホースはノズル/塗布器に接続し、ノズルは基材表面と接触している。接着剤組成物をノズル出口から放出して、ゲル化または固化した粒子のような不均一材料のない均一なフローを塗布した。
基材としてはドライビング機械上に設置した厚さが50μmで、寸法が40cm×20cmのポリエチレンテレフタレート(PET)製矩形シートを使用した。あるいは、アンワインディング機械にPETフィルムのロールをセットすることもできる。
機械のノズル位置から2メートル以下だけ離れた距離に機械の第1セクションを配置し、組成物の硬化を実行した。
【0178】
実施例で使用した装置は下記である:
(1)標準換気オーブン(比較例1、2、5および6)、または、
(2)蒸気発生器に接続され、排気口を備えた温度/湿気を制御したトンネル(実施例3および4)、または、
(3)再循環空気を用いた湿気含有換気オーブン(実施例7〜13)。
テスト条件は[表2]に記載した。
【0179】
【表2】
【0180】
得られた接着剤層に下記のテストを行った。
ステンレス鋼板上での20分の180°剥離テスト
接着強度はFINAT Technical Manual、第6版、2001に記載のFINAT法No.1でステンレススチール上での20分間の180°剥離テストで評価した。FINATは自己接着性ラベル製造メーカおよびコンバータのための国際連合である。このテスト法の基本は以下である。
【0181】
上記で得た硬化組成物で被覆されたPET担体から矩形ストリップ(25mm×175mm)の形をした試験片を切断する。この試験片は、その製造後、23'Cの温度、50%湿度雰囲気内で24時間保存する。その長さの3分の2以上をステンレス鋼板から成る基材に固定する。得られた組立体を20分間室温に放置する。それから、矩形ストリップを引張試験機にセットし、その自由端から300mm/分の剥離速度で180°の角度で剥離テストを開始する。この機械でこの条件下でストリップを脱着するのに必要な力を測定する。
結果はN/cmで表され、[表3]に示した。実施例2、5および6は接着剤組成物内で破断する凝集力破断(CF)であることが分かる。これに対して実施例1、3、4および7〜13は清潔なパネル(CP)を示し、これは接着結合部での破断を避けるのに十分な高さの架橋であることを意味している。
【0182】
ステンレス鋼板上での24時間の180°剥離テスト
上記と同じテストを実施例1、3、4および7〜13の接着剤で実行したが、試験片を室温に24時間放置し、テストは作成から2日後に実施した。結果はN/cmで表され、破断プロファイルと一緒に[表3]に示した。
【0183】
タック・テスト(ループテストともいう):
タックはFINAT法No.9に記載のループ・タック・テストで評価した。その原理は以下である:上記で得た硬化した組成物で被覆したPET担体から矩形ストリップ(25mm×175mm)の形の試験片をカットする。この試験片を準備した後、23℃の温度かつ50%湿度雰囲気中で24時間保存する。このストリップの両端を接続してループを形成する(接着剤層が外側表面)。接続した2つの端を引張試験機の可動ジョーにセットする。この可動ジョーと鉛直軸に沿って、300mm/分の移動速度で前後移動できる。下側位置にセットしたループ下部を25mm×30mmの水平なガラス板と一辺が約25mmの正方形区域で接触させる。接触後、ジョーの移動を反転させる。タックはループがプレートから完全に離れるのに必要な力の最高値である。
【0184】
結果はN/cmで表され、[表3]に示を出した。[表3]には破断プロファイルも記載した。実施例2、5および6の方法で得られる物品で実行した場合にプレート上への接着が当然持続する。この接着力は例えば保存時および輸送時に物品からフィンガーまたは環境表面へ接着剤の残りが移動するため、有用ではない。これに対して、実施例1、3、4および7〜10ではテスト端部がガラス上に残る(CP)ことがない。
【0185】
23℃で静的剪断に対する接着部の抵抗時間:
製造後1時間以後に、静止剪断に対する接着部の抵抗時間を23℃で決定するテストによって硬化した組成物で被覆されたPET担体の接着力の安定製を評価した。このテストはFINAT法のNo.8を参照した。その原理は以下である。製造後の最大で1時間以内に、硬化した組成物で被覆されたPET支持層から切断した矩形ストリップ(25mm×75mm)の形をした試験片を切り取る。接着剤ストリップの端部に位置した一辺が25mmの正方形の部分をガラス板に固定する。得られたテスト・プレートを立てた状態に維持し、ストリップの重端に1kgの重さを接続する。この重さの影響でストリップを固定しているプレートの接着部には剪断力が加わる。この応力を制御するために、テストプレートは垂直に対して2°角度を付けて配置する。
このストレス影響でプレートからストリップの接着部が分離するまでの時間を記録し、その時間を[表3]に示した。
【0186】
[表3]の結果は、物品製造後、1時間以内にテストを実行した場合でも、実施例1、3、4、7〜13の自己接着性物品は優れた耐応力性を示すことが分かる。この耐応力性は10日以降でも同然維持される。これに対して比較例2、5、6の方法で得られた物品の静的応力抵抗性は1分しかない。このテストは、無湿気装置では架橋後に得られた接着剤層は十分に架橋されないことを証明している。
【0187】
90℃での静的剪断に対する接着部の抵抗時間:
接着剤に上記と同じテストを実行したが、接着剤の製造後1日後にテストし、テスト・プレートに1kgの重さを加え、90℃の温度を維持した。結果は[表3]に示した。このテスト結果から湿気を含む装置は接着剤層を良く架橋することが確認される(実施例3、4、7〜13)。
【0188】
【表3】
【0189】
比較例1は、2%の分子が水分子である大気中の湿気で架橋を実行した場合、より長い滞留時間、この例では30秒、を必要とすることを明らかに示している。これに対して、実施例3、4のように60%の分子が水分子である湿気のある雰囲気内で硬化を実行した場合の滞留時間は20秒である。
比較例6は、より高い温度、例えば140℃、では十分に硬化された物品を得ることができないことを示している。比較例6の23℃での剪断抵抗時間は1分であり、180℃での破断テストでは凝集破断に至る。