特許第6062374号(P6062374)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6062374水ベース無機材料スラリー表面の白色化の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062374
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】水ベース無機材料スラリー表面の白色化の方法
(51)【国際特許分類】
   C09C 3/10 20060101AFI20170106BHJP
   C09C 1/02 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   C09C3/10
   C09C1/02
【請求項の数】22
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-547834(P2013-547834)
(86)(22)【出願日】2011年12月22日
(65)【公表番号】特表2014-505142(P2014-505142A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】EP2011073801
(87)【国際公開番号】WO2012093039
(87)【国際公開日】20120712
【審査請求日】2014年11月28日
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2011/050187
(32)【優先日】2011年1月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505018120
【氏名又は名称】オムヤ インターナショナル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリ,マテイアス
(72)【発明者】
【氏名】レンチユ,サミユエル
(72)【発明者】
【氏名】プダツク,クラウデイア
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−248497(JP,A)
【文献】 特表2009−537321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 3/10
C09C 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機物スラリー表面白色化の方法であって、前記方法が以下の:
(a)分散および/または粉砕によって、少なくとも1つの水ベース無機物スラリーを調製する段階、
(b)段階a)の間および/または後に、無水無機物に対して0.005重量%から0.5重量%の少なくとも1つのアルキレンオキシドブロックまたはランダムコポリマーを添加する段階であって、少なくとも1つのアルキレンオキシドブロックコポリマーが、バイ−またはトリ−ブロックコポリマーであり、バイ−ブロックコポリマーが、EO/POであり、およびトリ−ブロックコポリマーがEO/PO/EOまたはPO/EO/POブロックコポリマーである、段階
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
無水無機物に対して0.005重量%から5重量%の少なくとも1つの分散助剤および/または粉砕助剤が、段階(a)および/または(b)の間および/または後に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つのアルキレンオキシドブロックコポリマーが、少なくともトリ−ブロックコポリマーである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
トリ−ブロックコポリマーが一般構造:
【化1】
および式中、x、yおよびzはそれぞれ独立して、1と120を含む1から120の間のいずれかの単一の整数を表してもよく、ここでxおよびzは同じまたは異なる整数である、または
【化2】
式中、a、bまたはcはそれぞれ独立して、1と120を含む1から120の間のいずれかの単一の整数を表してもよく、ここでaおよびcは同じまたは異なる整数である、
を有し、ならびに式(I)〜(II)におけるRおよびR’がアルキル残基および/または水素である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
バイブロックが一般構造:
【化3】
または
【化4】
式中、d、e、fまたはgはそれぞれ独立して、1と120を含む1から120の間のいずれかの単一の整数を表してもよく、ここでdおよびeは同じまたは異なる整数であり、ならびにfまたはgは同じまたは異なる整数である、
を有し、ならびに式(III)〜(IV)におけるRおよびR’がアルキル残基および/または水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
分散助剤および/または粉砕助剤が、アニオン性分散助剤および/または粉砕助剤より選択される、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
アニオン性分散助剤および/または粉砕助剤が、有機または無機分散助剤および/または粉砕助剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
有機分散助剤および/または粉砕助剤が、クエン酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウムおよびアクリル酸ナトリウムまたはメタクリル酸ナトリウムのホモポリマーまたはコポリマーおよびこれらの組合せより選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
無機分散助剤および/または粉砕助剤が、ピロりん酸ナトリウムまたはポリりん酸ナトリウムである請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ピロりん酸ナトリウムまたはポリりん酸ナトリウムが、ヘキサメタりん酸ナトリウムおよびトリポリりん酸ナトリウムよりなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アニオン性分散助剤を、ヒドロキシル基、アミド基、カルボキシル基、スルホ基およびホスホノ基から選ばれる少なくとも1つの基ならびにこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩ならびにアンモニウム塩および/またはアミン塩を含むポリマーアクリル系分散剤またはポリマー分散剤から選ぶことができる、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
ポリマーアクリル系分散剤が、1000g/molから30000g/molの分子量を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アニオン性ポリマー分散剤の酸基が、少なくとも1つの1価および/または2価および/または3価および/または4価中和剤によって部分または完全中和されている、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの1価または2価中和剤が、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンおよびこれらの塩、アンモニウム並びにこれらの組合せから選ばれる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
湿潤無機物スラリーの製造方法であって、前記方法が以下の:
(a)分散および/または粉砕によって、少なくとも1つの水ベース無機物スラリーを調製する段階、
(b)段階a)の間および/または後に、無水無機物に対して0.005重量%から0.5重量%の少なくとも1つのアルキレンオキシドブロックまたはランダムコポリマーを添加する段階であって、少なくとも1つのアルキレンオキシドブロックコポリマーが、バイ−またはトリ−ブロックコポリマーであり、バイ−ブロックコポリマーが、EO/POであり、およびトリ−ブロックコポリマーがEO/PO/EOまたはPO/EO/POブロックコポリマーである、段階
を含み、
該スラリーの湿潤表面白色度が段階b)でアルキレンオキシドが存在しない同じスラリーの白色度よりも少なくとも2%高い、方法。
【請求項17】
湿潤無機物スラリーの製造方法であって、前記方法が以下の:
(a)分散および/または粉砕によって、少なくとも1つの水ベース無機物スラリーを調製する段階、
(b)段階a)の間および/または後に、無水無機物に対して0.005重量%から0.5重量%の少なくとも1つのアルキレンオキシドブロックまたはランダムコポリマーを添加する段階であって、少なくとも1つのアルキレンオキシドブロックコポリマーが、バイ−またはトリ−ブロックコポリマーであり、且つバイ−ブロックコポリマーが、EO/POであり、およびトリ−ブロックコポリマーがEO/PO/EOまたはPO/EO/POブロックコポリマーである、段階
を含み、
該無機物がカオリン、天然および沈降炭酸カルシウム、タルク、雲母、ドロマイト、ベントナイト、TiO、Al(OH)ならびにこれらの混合物を含む群より選択される、方法。
【請求項18】
天然炭酸カルシウムが、大理石、石灰石、チョーク、カルサイトまたはこれらの混合物より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
沈降炭酸カルシウムが、カルサイト型沈降炭酸カルシウム、バテライト型沈降炭酸カルシウム、アラゴナイト型沈降炭酸カルシウムまたはこれらの混合物より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
無機物スラリーが、少なくとも5重量%の固形分量を有する、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
固形分量が、50〜80重量%である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
湿潤無機物スラリー表面の白色度を測定する方法であって:
(a)請求項16から21のいずれか一項に記載の方法により湿潤無機物スラリーを製造し、該湿潤無機物スラリーおよび白色標準を提供する段階
(b)湿潤無機物スラリーおよび白色標準のコンピュータによって計算したデジタル表面画像を比較する段階を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本方法は、コンクリート、封止剤、紙、塗料またはプラスチック用途で使用される無機材料スラリーに関するものである。とりわけ天然粉砕炭酸カルシウムスラリーは、塗料および製紙工業において充填剤またはコーティング顔料として使用される。このような顔料の天然源としては、酸化物などの微量の着色不純物、例えば酸化鉄、硫化鉄などの硫化物、長石および雲母などのケイ酸塩だけでなく、結晶性および/またはアモルファス炭素などの炭素源、例えば黒鉛も挙げられる。
【0002】
印刷およびプラスチック産業が今日直面している問題は、極微量の着色不純物、例えば上述したような黒鉛から生じる、スラリー表面におけるかすかな灰色または暗色のベール様の外観であることが多い。
【0003】
天然粉砕無機物が、例えば撹拌および分散剤の添加の際に水ベーススラリー形とされると、表面における灰色または暗色のベール様の外観が観察されることが多く、前記暗色のベール様外観は、微量の天然無機物の暗色不純物、例えば極微量の黒鉛の浮遊から生じている。とりわけ黒鉛および硫化物は、撹拌、ポンプ輸送、投入または取出しの間に導入される多少の量の空気のみによるスラリー表面での浮選によって濃縮される。
【0004】
このような白色無機スラリーであって、これらの表面に灰色から黒色のベールを有する白色無機スラリーの1つの欠点は、使用者にとって外観上の魅力がないことである。別の欠点は、このような微量の不純物がスラリー表面上に二次凝集体を形成することがあり、壁塗装または紙コーティングなどのさらなる用途における、黒縞を含む目視可能なマーキングなどの重大な品質上の問題が後に引き起こされるということである。このため、本発明が解決すべき問題は、水ベース無機物スラリーによって表面白色化を向上させることである。
【背景技術】
【0005】
無機物包含材料およびやや高い分子量(Mw)を特徴とするグリコールポリマーに対して行った公知の方法に関して、各段階が異なるコーティングを使用する2つの特徴的な連続段階によって添加されたコーティングによって、少なくとも部分的に被覆された炭酸カルシウムコアを開示する、WO2005/071003が当業者に知られている。しかし、この発明の目的、即ち分散性が改善され、より低い二次凝集傾向を持つ炭酸カルシウム粒子を提供することは、本発明の目的とは全く異なるだけではなく、この出願は、第1および/または第2コーティング材料を構成し得る一般的な多価アルコールにのみ言及している。さらに、これらのコーティングが粉砕方法によって導入されてもよいことが簡単に1回言及されているが、このような方法の態様は記載も例示もされていない。
【0006】
US2002/0004541は、低流動点エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー界面活性剤およびこれを調製する方法に関するものである。該発明の目的は、再び本発明の目的から全く外れていて、示されたコポリマーと低分子量グリコール、水およびジアルキルスルホサクシネートを化合することによって達成される。さらに、このようなブロックコポリマーを粉砕助剤として使用してもよいと記載されているが、この粉砕が湿式もしくは乾式であろうと、粉砕された材料の性質についても、粉砕方法の効率についても指摘されていない。
【0007】
US2005/0107493は、コーティングされた微粒子無機固体を製造するための方法であって、その表面が微粒子無機固体で被覆されており、それは炭酸塩であってもよく、少なくとも2つの異なる有機添加剤を含有することを開示している。第2の添加剤がポリエチレングリコールでもよいことが指摘されている。粉砕方法によって行われることもある、修飾を行うことも可能である。しかし再び、粉砕効率に関する情報も与えられず、乾式粉砕方法も一切詳細には例示または議論されていない。さらに該発明の目的、即ち固体表面上に添加剤の均質な分布を得ることは、本発明の目的とは全く異なっている。
【0008】
DE102005043542は、水中に分散された黒鉛粒子を、分散剤として作用する安定剤および添加剤と共に含む、水性黒鉛分散物を開示している。黒鉛粒子は、少なくとも部分的に球状である。良分散剤として、例えばポリエチレングリコールが記載されている。しかし、この環境ではポリエチレングリコールが捕集剤として作用して、最終的にスラリー表面の暗色化をもたらすため、これによって無機材料スラリーの白色化を向上させるための解決策は提供されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2005/071003号
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0004541号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0107493号明細書
【特許文献4】独国特許発明第102005043542号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、このようなスラリー表面暗色化を防止するために、当業者は以下の技術的課題:製品損失および廃棄物沈着をもたらす、高価な浮遊方法によってスラリー表面から1つ以上の濃縮された暗色物質を除去することに直面している。
【0011】
このため、当業者は従来技術によって本発明の解決策に到達するための教示を与えられることも、これらの領域における解決策を探る客観的な理由を有することもなく、さらに有していても、従来技術のどの文書にも、当業者が解決を求めていたものと同様の技術的課題を扱う文書を、または類似の技術的課題を扱う文書さえ見つけることはなかった。
【0012】
このことは結局、該産業が、簡単でエネルギー消費の少ない方法でこのような廃棄物を低減または排除することによって、当分野で公知の方法を改善することになお関心を持っていることを意味する。
【0013】
該産業におけるこのような要求に応じて、出願人は驚くべきことに、白色無機物スラリーの表面への着色無機物の浮遊を防止する添加物の選択的な群を使用し、これにより無機物スラリー表面の白色化を向上させる方法を見出した。
【0014】
本発明の方法のさらなる利点は、本発明の方法によって製造される廃棄物はまったくないか、またはごくわずかであるということである。
【0015】
本発明のさらなる態様は、本発明の方法によって製造された生成物が、無機物スラリー表面に形成された二次凝集体および/または一次凝集体によって壁塗装または紙塗工の間に暗色縞を生じさせないことである。
【0016】
解決すべきさらなる課題は、液体スラリー表面の白色度測定である。液体スラリー表面の白色度測定は、エルレホ粉末白色度測定装置などの現在の一般的な機器では不可能である。
【0017】
驚くべきことに、スラリー表面のデジタル写真の白色度によって、液体スラリー表面の白色度の再現性がある比較可能な形態が与えられることが見出された。「ゼロ白色度」として、対物レンズを閉じてデジタル写真を作成した。白色度100%の場合、BaSO標準(エルレホ白色度測定で使用されるのと同じ)のデジタル写真を作成した。すべての写真をコンピュータのソフトウェアプログラムに電子的に転送して、スラリー表面の湿潤カラーまたはモノクロ階調を計算した。
【課題を解決するための手段】
【0018】
無機物スラリー表面の白色化の方法は、前記方法が以下の:
(a)分散および/または粉砕によって、少なくとも1つの水ベース無機物スラリーを調製する段階、
(b)段階a)の間および/または後に、無水無機物に対して0.005重量%から0.5重量%の少なくとも1つのアルキレンオキシドブロックコポリマーまたはランダムコポリマー、好ましくはブロックコポリマーを添加する段階、
(c)場合により段階(a)および/または段階(b)の間および/または後に、無水無機物に対して0.005重量%から5重量%の少なくとも1つの分散助剤および/または粉砕助剤を添加する段階を含むことを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に関連して、粉砕または粉砕方法は、ミル粉砕またはミル粉砕方法と同意語として理解されるものとし、それは自生型でもよい。
【0020】
本発明の方法で使用する無機物は、カオリン、天然もしくは沈降炭酸カルシウム、タルク、雲母、ドロマイト、ベントナイト、TiO、Al(OH)またはこれらの混合物から選ぶことができる。好ましくは、炭酸カルシウムは天然炭酸カルシウム、例えば大理石、石灰石、チョーク、カルサイトまたはこれらの混合物である。沈降炭酸カルシウム(PCC)を使用する場合、これは好ましくはカルサイト型PCC、バテライト型PCC、アラゴナイト型PCCおよびこれらの混合物を含む群より選択される。概して、本発明の方法で使用される好適な無機物は、暗色の疎水性不純物を含む。このような不純物は、FeS(黄鉄鉱)もしくは黒鉛またはこれらの混合物でもよいが、これらに限定されない。
【0021】
このため好ましい実施形態において、本発明の方法によって得られる水ベーススラリーは無機物スラリーであって、該無機物が炭酸カルシウム、好ましくは天然炭酸カルシウムであり、例えば大理石、石灰石、チョークもしくはカルサイトおよび/またはこれらの混合物である。
【0022】
本発明の方法で使用する水ベース無機物スラリーは、該無機物が約0.2μmから約100μmの、好ましくは約0.3μmから約50μmの、より好ましくは約0.5μmから約30μmの、および最も好ましくは約1μmから約2μmのd50を有するまで、無機物のいずれかの乾式粉砕によって調製される。前記乾式粉砕無機物は、無水無機材料に対する20重量%までの、好ましくは30重量%までの、より好ましくは40重量%までの水による水性懸濁物として提供される。
【0023】
または前記乾式粉砕無機物はさらに、d50が約0.2μmから約10μmの範囲まで、好ましくは約0.3μmから約5μmの範囲まで、最も好ましくは約0.5μmから約2μmの範囲まで湿潤粉砕を受ける。
【0024】
湿潤粉砕は、ミル内の水中で、無水無機物に対して約5重量%から約80重量%の範囲で、好ましくは約30重量%から約75重量%の範囲で、より好ましくは約40重量%から約70重量%の範囲で、最も好ましくは約50重量%から約60重量%の固形分で行う。
【0025】
前記ミル粉砕方法は、バッチ式でまたは連続で行うことができる。前記無機材料のミル粉砕に好適なビーズは当業者に公知であり、例えば0.2mmから4mmの範囲の、特に1mmから1.5mmの範囲のケイ酸ジルコンビーズが例示されるが、これに限定されるわけではない。ミル粉砕はまた自生型でもよい。
【0026】
本発明の方法で使用する水ベース無機物スラリーは、少なくとも1つのアニオン性分散剤または粉砕助剤を場合により含む。前記アニオン性分散助剤および/または砕助剤は、有機または無機分散助剤および/または粉砕助剤である。有機分散助剤および/または粉砕助剤は、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、イタコン酸塩、ポリアクリル酸塩およびアクリル酸またはメタクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーならびにこれらの組合せより選択できる。無機分散助剤および/または粉砕助剤は、ピロりん酸塩またはポリりん酸塩、例えばヘキサメタりん酸塩、トリポリりん酸塩、炭酸ジルコニウムアンモニウムまたは炭酸ジルコニウムカリウムより選択される。
【0027】
分散剤は、少なくとも1つの1価および/または2価および/または3価および/または4価中和剤によって部分または完全中和されている。
【0028】
本発明に関連して、部分中和されているとは、少なくとも1つのアニオン性ポリマー分散剤が少なくとも1つの1価および/または2価中和剤によって、100mol%まで中和されていることを意味する。例えば少なくとも1つのアニオン性ポリマー分散剤は、少なくとも1つの1価および/または2価および/または3価中和剤によって、90%、または80%、または70%、または60%、または50%、または40%、または30%、または20%、または10%から約10%、または20%、または30%、または40%、または50%、または60%、または70%、または80%、または90%までのレベルで中和されてもよい。少なくとも1つの1価または2価中和剤は、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンおよびこれらの塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウムおよびこれらの組合せから選ぶことができる。分散剤の好適な中和度(neutralisation of dispersant)は、FR2683537およびFR2683538からも公知である。
【0029】
従って、前述のアニオン性分散助剤および/または粉砕助剤も、クエン酸トリナトリウム(クエン酸ナトリウム) マレイン酸ジナトリウム(マレイン酸ナトリウム)、フマル酸ジナトリウム(フマル酸ナトリウム)、イタコン酸ジナトリウム(イタコン酸ナトリウム)のポリマーおよびアクリル酸ナトリウムまたはメタクリル酸ナトリウムのホモポリマーまたはコポリマーならびにこれらの組合せから、ならびにピロりん酸テトラナトリウム(ピロりん酸ナトリウム)またはポリりん酸ナトリウム、例えばヘキサメタりん酸ナトリウムまたはトリポリりん酸ナトリウムより選択できる。炭酸ジルコニウムカルシウムカリウム(KZC)または炭酸ジルコニウムカルシウムアンモニウム(AZC)がさらに存在していてもよい。
【0030】
本明細書で開示するような少なくとも1つのアニオン性ポリマー分散剤は、例えばヒドロキシル基、アミド基、カルボキシル基、スルホ基およびホスホノ基から選ばれる少なくとも1つの基ならびにこれらのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩を含むポリマー分散剤から選ぶことができる。例えば、アクリル酸もしくはメタクリル酸の部分もしくは完全アルカリまたはアルカリ土類中和ポリマーまたはアクリル酸もしくはメタクリル酸とアクリル酸アルキルもしくはメタクリル酸アルキル、または無水(メタ)アクリル酸、アクリルアミド−2−メチル−2−プロパンスルホン酸、ポリアクリルアミドまたはアクリルアミドとのコポリマー。さらなる好適なアニオン性ポリマー分散剤は、WO2005/063371より公知である。
【0031】
特に好適なアニオン性ホモポリマーまたはコポリマー分散剤およびこれらの部分または完全中和物は、FR2539137A1、FR2683536A1、FR2683537A1、FR2683538A1、FR2683539A1およびFR2802830A1、FR2818165A1、EP0850685A1、FR2903618A1、FR2940141、ならびにWO2010/063757にさらに記載されている。
【0032】
ポリマーアクリル系分散剤は、例えば約1000g/molから30000g/molの、好ましくは約1300g/molから20000g/molの、より好ましくは約1500g/molから17000g/molの、なおより好ましくは約2500g/molから16000g/molの、なおより好ましくは約3100g/molから15000g/molの、なおより好ましくは約3200g/molから13000g/molの、なおさらに好ましくは約3300g/molから7500g/molの範囲の、なおさらに好ましくは約3500g/molから約6000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有することができる。また別の範囲は、約1800g/molから約4800g/molである。特に、上で言及した範囲の好適なポリマー分散剤はポリアクリル系分散剤である。
【0033】
各種のアクリルポリマーのすべての重量分子量(Mw)、数分子量(Mn)および対応する多分散性は、ポリマー・スタンダード・サービスによって基準PSS−PAA18K、PSS−PAA8K、PSS−PAA5K、PSS−PAA4KおよびPSS−PAA3Kと共に供給される、一連の5つのポリアクリル酸ナトリウム標準によって較正された、水性ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法に従って、pH8における100mol%ナトリウム塩として測定される。
【0034】
各種のアルコキシポリマーのすべての重量分子量(Mw)、数分子量(Mn)および対応する多分散性は、一連の各種のポリエチレングリコールによって較正された、水性ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法に従って、pH8にて測定される。フルカによる、ポリエチレングリコール標準、分析標準セットM400−40000(製品番号81396)。
【0035】
上記の粉砕方法からの水ベース無機スラリーの調製に好適な分散剤は、約2000g/molから30000g/molの範囲の、好ましくは約3000g/molから20000g/molの範囲の、最も好ましくは約4000g/molから10000g/molの範囲の、なおさらに好ましくは約5000g/molから9000g/molの範囲の分子量(Mw)、および約1.2から5.0の、好ましくは約1.5から3.0の、最も好ましくは約1.8から2.7の範囲の分散指数PDIを有するポリアクリル酸ナトリウム/カルシウムであり、固形分量は1重量%から100重量%、好ましくは約30重量%−45重量%の範囲である。
【0036】
水性無機物スラリー中に存在するポリアクリル酸塩は、無水無機物に対して、水性無機物スラリーの固形分ならびに無機物粒子の粉末度および比表面に応じて、固形分が約0.01重量%から2重量%の範囲に、好ましくは約0.1重量%から1.5重量%の範囲に、より好ましくは約0.15重量%から1.2重量%の範囲にある。
【0037】
本発明のアルキレンオキシドブロックまたはランダムコポリマーは、エチレンオキシドおよび/もしくはプロピレンオキシドもしくはブチレンオキシドブロックコポリマー;またはプロピレンオキシドおよび/もしくはエチレンオキシドもしくはブチレンオキシドブロックコポリマー;またはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドおよびエチレンオキシド、もしくはプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドブロックコポリマー、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドまたはブチレンオキシドとのランダムコポリマーである。さらに、上述のポリマーの組合せも本発明を行うのに好適である。
【0038】
このようなブロックコポリマーはトリブロックまたはバイブロックコポリマー、例えばEO/PO/EOとも呼ばれ、ここでプロピレンオキシド単位は2個のエチレンオキシド単位の間に配置されるか、またはこれらの反対、例えばPO/EO/POであり、ここでエチレンオキシド単位は2個のプロピレンオキシドの間に位置するか、またはEO/POもしくはPO/EOであり、これらの合成は従来技術に詳細に記載されている。
【0039】
本発明のブロックコポリマーは、一般構造
【0040】
【化1】
(式中、x、yおよびzはそれぞれ独立して、1から120の間の(1と120を含む)、好ましくは1から80の間の(1と80を含む)、より好ましくは3から70の間の(3と70を含む)、なおより好ましくは5から34の間の(5と34を含む)いずれかの単一の整数を表してもよく、ここでxおよびzは同じまたは異なる整数である。)、または
【0041】
【化2】
(式中、a、bまたはcはそれぞれ独立して、1から120の間の(1と120を含む)、好ましくは1から80の間の(1と80を含む)、より好ましくは3から70の間の(3と70を含む)、なおより好ましくは5から34の間の(5と34を含む)いずれかの単一の整数を表してもよく、ここでaおよびcは同じまたは異なる整数である。)、または
【0042】
【化3】
または
【0043】
【化4】
(式中、d、e、fまたはgはそれぞれ独立して、1から120の間の(1と120を含む)、好ましくは1から80の間の(1と80を含む)、より好ましくは2から70の間の(2と70を含む)、なおより好ましくは4から40の間の(4と40を含む)いずれかの単一の整数を表してもよく、ここでdおよびeは同じまたは異なる整数であり、ならびにfまたはgは同じまたは異なる整数である。)を有する。
【0044】
上述の式中のRおよびR’は、アルキル残基および/または水素を表していてもよい。
【0045】
このようなブロックコポリマーはEO/PO/EOまたはトリブロックコポリマーとも呼ばれ、このためプロピレンオキシド単位は2個のエチレンオキシド単位の間に配置されるか、またはこれらの反対、PO/EO/POであり、ここでエチレンオキシド単位は2個のプロピレンオキシド単位の間に位置するか、またはEO/POもしくはPO/EOであり、これらの合成は従来技術に詳細に記載されている。
【0046】
エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドは、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールとも呼ばれ、省略形はPEGまたはPPGである。このため、ある分子量のポリエチレングリコールはPEG[250]と示され、これは250g/molのモル質量を有するポリエチレングリコールを意味する。このため、本発明のブロックコポリマーは、簡潔にするために、以下の方法で呼んでもよい:
PEG[44−3,520]−PPG[58−4,640]−PEG[44−3,520]
ここで、上述の命名規則により、PPG単位の左右のPEG単位は分子量が等しくても、または等しくなくてもよく、しかし該分子量はPEG単位では44−3’520g/molの、およびPPG単位では58−4,640g/molの範囲内である。
【0047】
さらなるブロックコポリマーの配置は:
PPG[58−4,640]−PEG[44−3,520]−PPG[58−4,640]
または
PPG[58−4,640]−PEG[44−3,520]
または
PEG[44−3,520]−PPG[58−4,640]
である。
【0048】
本発明の精神の範囲内でのブロックコポリマーのなおさらなる配置は、以下の方法で構成されるブロックコポリマー:PPG−PEG−PPG−PEGもしくはPPG−PEG−PPG−PEG−PPG、もしくはPEG−PPG−PEG−PPE、および当業者がただちに導き出すことができるさらなるこれらの順列、またはこれらの倍数、例えば(PPG−PEG)、もしくは(PEG−PPG)、もしくは(PPG−PPG−PEG)もしくは(PPG−PEG−PPG)もしくは(PEG−PPG−PPG)もしくは(PPG−PEG−PEG)もしくは(PEG−PPG−PEG)もしくは(PEG−PEG−PPG)もしくは(PPG−PPG−PEG−PEG)もしくは(PPG−PEG−PPG−PEG)もしくは(PEG−PEG−PPG−PPG)もしくは(PEG−PPG−PEG−PPG)もしくは(PPG−PEG−PEG−PPG)もしくは(PEG−PPG−PPG−PEG)および/または当業者がただちに導き出すことができる他の考えられる順列、例えば3個のPEG単位を有する1個のPGG単位または3個のPPG単位を有する1個のPEG単位であり、該PPGおよび/もしくはPPE単位は、同じまたは異なる分子量を有し、もしくはPPGは同じ分子量を有し、これに対して該PEGは異なるか、またはこの反対であり、ここでi、j、k、l、m、n、o、p、q、r、s、t、u、v、wは、1から120の間の(1と120を含む)、好ましくは5から100の間の(5と100を含む)、より好ましくは10から80の間の(10と80を含む)、なおより好ましくは25から70の間の(25と70を含む)、最も好ましくは30から60の間の(30と60を含む)、とりわけ40から50の間の(40と50を含む)いずれかの単一の整数を表す。
【0049】
本発明に関連して、1から120の間の(1と120を含む)いずれかの単一の整数は、1、2、3、4、5、6、7、....20、21、....30、31、....40、41、..50、51、...60、61、..70、71、..80、81、....90、91、...100、101、...110、111、....120を意味する。
【0050】
当業者は、プロピレンオキシド単位が構造的に関連するアルキレンオキシド、例えばブチレンオキシド、またはC5、C6、C7、C8、C9、C10以上の含有する炭素原子主鎖を有する他のアルキレンオキシドによって置換可能であることも認識し、前記炭素原子主鎖はさらに分枝していることも、または分枝していないこともある。当業者によって認識されるように、プロピレンオキシド単位だけではなく、エチレンオキシド単位も、前述したアルキレンオキシドによって置換することができる。
【0051】
特に代表的なこのようなアルキレンオキシドブロックコポリマーは、これに限定されるわけではないが:
トリブロックPEG[250]−PPG[1800]−PEG[250](31PO/11EO、ここで31POは31個のプロピレンオキシド単位を示し、11EOは11個のエチレンオキシド単位を指す。)、どちらもダウ・ケミカル・カンパニーによる直鎖EO/POブロックコポリマーであるダウファックス63N30、ダウファックス63N40 BASFによるEO/POブロックコポリマーであるルミテン(Lumiten)P−T トリブロックPEG[300]−PPG[1200]−PEG[300]、トリブロックPPG[2100]−PEG[600]−PPG[2100]、またはこれらのブレンドである。このようなブレンドは、約1:100(重量/重量)から100:1(重量/重量)の比の範囲に、好ましくは約1:50(重量/重量)から50:1(重量/重量)の範囲に、より好ましくは約1:30(重量/重量)から30:1(重量/重量)の範囲に、最も好ましくは約1:10(重量/重量)から約10:1(重量/重量)の範囲にある。なおさらなる範囲は、約1:5(重量/重量)から約5:1(重量/重量)、好ましくは約1:3(重量/重量)から約3:1(重量/重量)、より好ましくは約1:2(重量/重量)から約2:1(重量/重量)であり:特定のブレンドは1:1(重量/重量)である。当業者には、このようなブレンドは上述の構成要素のうち2つからだけではなく、上述のアルキレンオキシドの少なくとも3つをブレンドするなど、より多くの構成要素から作製できることが明らかであり、少なくとも3つのブレンドされたアルキレンオキシドの範囲は、少なくとも3つのアルキレンオキシドそれぞれについて、1:(100−1)の範囲にある。
【0052】
本発明に関連して、トリブロックコポリマーは、上述したような異なるクラスのアルキレンオキシドの重合生成物を示す。用いられる重合方法は、当業者に周知である。
【0053】
これに加えてさらに、上述のアルキレンオキシドをなお他のアルキレンオキシド、例えばケミラケミー(Kemira Chimie)SAによるプロピレンオキシドエチレンオキシドブロックコポリマーであるベバロイド(Bevaloid)2565と組合せることもできる。特に好ましい組合せは、これに限定されるわけではないが、ルミテン(Lumiten)−P−T/ベバロイド(Bevaloid)2565(2:1重量/重量)である。
【0054】
本発明のアルキレンオキシドは、無機物スラリー中で単一の構成要素として、または予備調合ブレンドと用いることができるか、またはミル粉砕方法の間もしくは後に連続して添加することができる。
【0055】
用いられるアルキレンオキシドの、即ち本発明の添加剤の全量は、約200ppmから10000ppmの、好ましくは約300ppmから約7500ppmの、より好ましくは約400ppmから約5000ppmの、最も好ましくは約500ppmから約2500ppmの範囲にある。本発明で用いられるアルキレンオキシドの他の全量は、これに限定されるわけではないが、無水無機物に対して約150ppmから約1000ppmのより低いppm範囲に、好ましくは約250ppmから約850ppmの、より好ましくは約350ppmから約750ppmの、最も好ましくは約450ppmから約650ppmの範囲にある。
【0056】
全量中の用いられるアルキレンオキシドのなおさらなる範囲は、無水無機物に対して約10ppmから約100ppm、好ましくは約30ppmから約80ppm、より好ましくは約40ppmから約60ppm、なおより好ましくは約45ppmから約55ppmである。このため当業者は、ppm値が重量%値に変換可能であることを認識する。このため本発明のアルキレンオキシドの使用可能な範囲、例えば50ppmから5000ppmは、0.005重量%から0.5重量%の範囲と同等である。
【0057】
本発明の無機物のスラリーを調製する方法は、約5℃から約100℃の範囲の、好ましくは約15℃から約80℃の範囲の、より好ましくは約20℃から約60℃の範囲の、最も好ましくは約25℃から約50℃の温度で行われる。好ましい周囲温度は23℃であり、考えられる許容差±3℃が該周囲温度ならびに上述したばかりの範囲に適用できる。
【0058】
本発明のアルキレンオキシドの分子量は例えば、WO/2010/072769に記載されている、およびDIN55672−1によるゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用して、当業者がただちに決定することができる。較正のために、フルカによるポリエチレングリコール標準、分析標準セットM400−40000(製品番号81396)を使用した。EO/POの比は、WO/2010/072769に記載されているように、H−NMR(プロトン核磁気共鳴)に従って決定することができる。
【0059】
このため、本発明の無機物スラリー表面の白色化の方法は、前記方法が以下の:
(a)分散および/または粉砕によって、少なくとも1つの水ベース無機物スラリーを調製する段階、
(b)段階a)の間および/または後に、無水無機物に対して0.005重量%から0.5重量%の少なくとも1つのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドブロックコポリマーを添加する段階、
(c)場合により、段階(a)および/または段階(b)の間および/または後に、無水無機物に対して0.005重量%から5重量%の少なくとも1つの分散助剤および/または粉砕助剤を添加する段階を含むことを特徴とする。
【0060】
本発明の無機物スラリーは、無水無機物を基準として少なくとも5重量%の、好ましくは50−80重量%の、より好ましくは70−79重量%の、最も好ましくは72−78.5重量%の固形分量を有する。無水無機物を基準としたより高い固形分量、例えば82重量%は、水性ベース無機物スラリーの濃度を上昇させることによって達成できる。このような濃度上昇、例えば熱または機械的濃縮上昇は、当業者に公知である。
【0061】
本発明はここで、例証することを特徴とするが、決して本発明を例示されている実施形態に限定するものではない、以下の実施例によってさらに説明される。実施例は、従来技術と比較した、本発明の方法による無機物スラリーの表面の白色化を示す。
【実施例】
【0062】
以下の非限定的な実施例は、本発明のある実施形態を例証するものであり、請求項で述べるような本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0063】
実験装備
試料の調製 500mlボトル
スラリー量 500g
振とう時間(分) 5分
表面を作製するための容器 結晶皿60mm×115mm
写真 (高さ×直径)
照明
電気(Eclectic)照明 カイザーリプロRB 5055HF
角度(液体表面に対して空気中で) 液体面から40°
出力 レベル4
スラリー表面までの距離 40cm
撮影
カメラ キヤノンパワーショットA640
(1/1.8インチCCDセンサ)
カメラ対物レンズ 焦点距離7.3−29.2mm、絞り範囲1:2.8−4.1
解像度(画素×画素×ビット深度) 2,272×1,704×24
ズーム(×倍率) 1
スラリー表面までの距離 11cm
シャッター速度 1/50秒
画像フォーマット JPEG
画像取り込み スラリー表面の平面に対して90°(垂直)
ソフトウェア
フレームグラバー Imagic Bildverarbeitung AGのImageAccess Performance class:Enterprise、バージョン8
画像解析 オリンパス・ソフト・イメージ・ソリューションズGmbHによるanalySIS バージョン3.1(ビルド540)
画像編集ツール コーレルX4フォトペイント
編集後解像度(画素×画素×ビット深度) l,500×l,200×24
【0064】
材料
添加剤
従来技術
1)ポリエチレングリコール分子量600、CAS25322−68−3
2)2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、CAS124−68−5
発明
3)トリブロックPEG250−PPG1800−PEG250(31PO/11EO)
4)ダウファックス63N30、ダウ
5)ダウファックス63N40、ダウ
6)ルミテン(Lumiten)P−T、BASF
7)トリブロックPEG300−PPG1200−PEG300
8)トリブロックPPG2100−PEG600−PPG2100
9)ブレンドルミテン(Lumiten)P−T/ベバロイド(Bevaloid)2565(2:1重量/重量):
【0065】
【表1】
【0066】
無機物
中国産/ベトナム産/マレーシア産大理石のブレンド(乾燥重量でおよそ50:25:25)
HCl不溶分:0.25重量%
HCl不溶分の鉱物学的特徴:
黒鉛、白雲母、緑泥石、長石、タルク、角閃石、石英
すべての粒度分布値は、マイクロメトリクス(米国)によるセディグラフ5100粒径分析装置によって、高速撹拌機および超音波を使用して試料を分散させた0.1重量%NaPOの水溶液中で測定した。値dは、沈降時の等価の球径として定義され、材料粒子のN重量%がこの球径よりも細かい。このためd50を重量平均粒径と見なす。
【0067】
無機スラリーの調製
50が45μmの乾式粉砕済み大理石ブレンドを、d50が1.4μmになるまで湿式粉砕する。湿式粉砕は、容積1,500リットルを有する垂直磨砕ミル内で水道水中で固形分78重量%にて連続モードで、直径1−1.5mmのケイ酸ジルコンビーズを使用して、および分子量(Mw)5,500および多分散性2.7を有するポリアクリル酸ナトリウム/カルシウム分散剤を0.63重量%使用して行う。最終生成物はさらに、ISO規格9277に従って決定した、7μmのd98および6.7m/gのBET比表面積を有していた。使用した試験方法は、多点測定を用いた静的体積測定法であった。脱気条件は250℃/30分であった。2μm未満の割合は62重量%であり、1μm未満の割合は37重量%であった。最終固形分は77.4重量%であった。
【0068】
試料1−9の調製
各試料について、スラリー500gを500mlPEボトルに導入して、500mg/kgの添加剤(添加剤1−9)をスラリーに対して添加し、密閉したボトルを周囲温度(23℃±3℃)にて5分間振とうした。
【0069】
試料の測定
着色度は、スラリーを高さ60mmおよび直径115mmの容器に注入して、スラリーのガラス容器への注入後、5分から15分の間にスラリー表面の写真を撮影することによって測定した。撮影は、ただちに入手可能なデジタル・カメラ・デバイス、例えばキヤノンパワーショットA640(1/1.8インチCCDセンサ)を使用して行った。写真は、カラーモードで、解像度2272×1704画素、ビット深度24、対物レンズからスラリー表面までの11cmの距離でズーム1、シャッター速度1/50秒で撮影した。照明条件は実験装備の表に記載したように下記の通りであった。写真撮影装備は、周囲光から保護した。
【0070】
解像度2272×1704×24およびビット深度を用いて撮影した画像から、解像度1500×1200×24の画像部分を選択して、コンピュータによる計算を行って、白色度値を決定した。「ゼロ白色度」値は、対物レンズを閉じて、即ち保護遮光蓋を閉めて撮影した写真から決定した。
【0071】
白色度標準として、BaSO錠剤(BaSO粉末10gを使用して、市販のプレス機であるオミヤプレス(Omyapress)2000で錠剤をプレスした。)の画像部分を、カラーモードで解像度2,272×1,704画素、ビット深度24、対物レンズからスラリー表面までの11cmの距離でズーム1(倍率1×)およびシャッター速度1/50秒で撮影して、解像度1,500×1,200×24の画像部分を選択して、任意の100%白色度定義を行うために同じコンピュータ計算を行った。
【0072】
試料1−9の湿潤表面色について、撮影およびコンピュータによる計算を行った。コンピュータによる計算値202を有するBaSO標準を白色度100%として、「ゼロ白色度」値0とした。比較例として、未処理の湿潤スラリー表面を写真撮影した。
【0073】
試料1−9からの画像、未処理スラリーの画像ならびに「ゼロ白色度」および100%白色度の結果を、これらのコンピュータによる計算値および正規化値と共に表1に示す。
【0074】
表1:スラリー表面の湿潤表面色
【0075】
【表2】
表1の結果は、本発明の添加剤である、500ppmで存在する本明細書に記載するアルキレンオキシドが、湿潤スラリー表面の表面白色度を従来技術よりも7−8ポイント、未処理スラリーよりも少なくとも4ポイント改善することを明確に示している。正規化値を100%とする場合、ここで湿潤スラリー表面値はそれぞれ、湿潤スラリーの改善された白色度の7−8%であり、未処理スラリーよりも4%高い。
【0076】
このためスラリーの湿潤表面白色度は、上で開示した方法の段階b)でアルキレンオキシドが存在しない同じスラリーの白色度よりも少なくとも2%高い。好ましくは、湿潤表面白色度は、段階b)でアルキレンオキシドが存在しない同じスラリーの白色度よりも3%高く、より好ましくは湿潤表面白色度が、段階b)でアルキレンオキシドが存在しない同じスラリーの白色度よりも4%高い。
【0077】
このため本発明は、BaSO標準と比べて、96%を超える、好ましくは97%以上の、より好ましくは98%以上の、なおより好ましくは99%以上の、最も好ましくは100%の湿潤スラリー表面白色度を有する水ベース無機物スラリーを提供し、このため、本発明の測定方法によって測定した場合に、本発明の湿潤スラリー表面白色度が、100%白色度を表すBaSOの標準白色度基準と比べて、96%を超えて100%以下の間を構成することを意味する。
【0078】
このため、本発明の測定方法によって測定した場合に、本発明の湿潤スラリー表面白色度は、100%白色度を表すBaSOの標準白色度基準と比べて、96%を超えて100%以下の間で構成されることを意味する。このためこのような値は、0%から100%のスケールの絶対値である。
【0079】
しかし、白色度レベルの上昇は、2%、3%または4%に限定されていない。当業者によって、無機材料の処理済みおよび未処理湿潤スラリー表面が、BaSOの標準白色度基準と比べて、表1に記載した91%よりも低い白色度レベルを有する可能性があることが容易に理解される。このため処理済みおよび未処理無機物スラリーの白色度レベルの差は、4%を超え、例えば5%−10%となる可能性もある。
【0080】
本発明による湿潤無機物スラリー表面の白色度を測定する方法は:
(a)本発明の湿潤無機物スラリーおよび白色標準を提供する段階
(b)湿潤無機物スラリーの計算したデジタル表面画像を白色標準と比較する段階を含む。
【0081】
しかし、湿潤無機物スラリー表面の白色度を測定するための本実施形態は、特徴を限定するとして解釈されるべきではない。コンピュータによる計算での比較のための白色度値を提供する代わりの撮影システム、例えばアナログ撮影およびこれに続く画像のデジタル化、ビデオ取り込みおよびこれに続く白色度値のコンピュータによる計算比較解析を選択することは、当業者の裁量内にとどめられている。
【0082】
「比較すること」は、本発明の方法に関連して、白色標準が選択されることを意味し、該白色標準は必ずしもBaSOなどの特定の標準である必要はないが、標準白色材料として適切であることが当業者に公知であるいずれの標準でもよく、ただし該標準白色は公知であり、相互に比較される試料のいずれか1つと同じである。
【0083】
「白色度」という用語に関して、当分野ではCIE白色度、Tappi白色度などの幾つかの白色度の定義があり、本発明の方法によってこれらのいずれか1つを測定してもよく、ただし相互に比較される試料に関しては同じ白色度が測定される。
【0084】
本発明によって湿潤無機物スラリー表面の白色度を測定する方法の特定の実施形態は:
(a)湿潤無機物スラリーを調製する段階
(b)段階(a)の湿潤無機物スラリーを保持する好適な容器を提供する段階
(c)湿潤スラリー表面の写真を撮影する段階
(d)湿潤スラリー表面の撮影写真の、または該写真の部分の白色度値をコンピュータにより計算する段階
(e)白色標準の写真を撮影する段階
(f)白色標準の撮影写真の、または該写真の部分の白色度値をコンピュータにより計算する段階
(g)ゼロ白色値をコンピュータにより計算する段階
(h)該白色標準のコンピュータによる計算値を100%白色度として、ゼロ白色値を0%白色度とするスケールを提供する段階と
(i)段階(d)のコンピュータによって計算した白色度値を段階(h)で提供されたスケールと比較する段階を含む。
【0085】
これに加えてさらに、本方法の段階の順序が固定でも、強制でもないことは、なお当業者の裁量下にある。もちろん、最初に白色標準を写真撮影およびコンピュータによって計算して、湿潤無機物スラリー表面を写真撮影およびコンピュータによって計算して、続いて白色標準との比較を行うような方法で、段階(c)から(h)を再配列することが可能である。
【0086】
なお、該方法は、撮影に続いてコンピュータによる計算解析を行うことに限定されない。当業者には、撮影および計算解析が本明細書で開示したものとは異なる、時間および場所を隔てた順序で実行可能であることが明白となる。
【0087】
このため、本発明によって湿潤無機物スラリー表面の白色度を測定する方法の代わりの実施形態は:
(a)湿潤無機物スラリーを調製する段階
(b)段階(a)の湿潤無機物スラリーを保持する好適な容器を提供する段階
(c)湿潤スラリー表面および白色標準の写真を撮影する段階
(d)(i)湿潤スラリー表面および(ii)白色標準の撮影写真の、または該写真の部分の白色度値をコンピュータにより計算する段階であって、(ii)が(i)に先行することも可能である段階
(e)ゼロ白色値をコンピュータにより計算する段階であって、(e)が段階(a)−(d)に先行することが可能である段階(f)該白色標準のコンピュータによる計算値を100%白色度として、ゼロ白色値を0%白色度とするスケールを提供する段階と
(g)段階(d)のコンピュータによって計算した白色度値(i)を段階(h)で提供されたスケールと比較する段階を含む。