特許第6062386号(P6062386)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062386
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】垂直導水管
(51)【国際特許分類】
   E03F 3/04 20060101AFI20170106BHJP
   E03F 5/02 20060101ALI20170106BHJP
   F16L 9/08 20060101ALI20170106BHJP
   F16L 9/22 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   E03F3/04 A
   E03F5/02
   F16L9/08
   F16L9/22
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-40986(P2014-40986)
(22)【出願日】2014年3月3日
(65)【公開番号】特開2015-166521(P2015-166521A)
(43)【公開日】2015年9月24日
【審査請求日】2015年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229128
【氏名又は名称】ゼニス羽田株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100121153
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 嘉高
(74)【代理人】
【識別番号】100133639
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 卓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】竹川 正登
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 良祐
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−073185(JP,A)
【文献】 特開2003−035386(JP,A)
【文献】 特開平11−200467(JP,A)
【文献】 実開昭57−153132(JP,U)
【文献】 特開2006−207158(JP,A)
【文献】 特開平11−050626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 3/04
E03F 5/00−5/06
E03F 5/14−5/16
F16L 9/22
F16L 9/08
F16L 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒部と、この外筒部の内部に設けた螺旋部とを備えた螺旋流方式の垂直導水管において、中央柱の周囲に前記螺旋部を一体に設けた中央部材を積み重ねたコンクリート製の螺旋体と、この螺旋体の周囲に配置したコンクリート製の前記外筒部とを備え、
前記螺旋部は、複数の基本階段部を備え、
前記基本階段部は、板状の平板部と、この平板部の下部で下流側に設けた下段部とを備え、
上流側の前記基本階段部の前記下段部の下流側の下部に、下流側の前記基本階段部の前記平板部の上流側を突き合わせるように配置した複数の前記基本階段部を備えた一体成形品により、螺旋階段式の前記螺旋部を構成し、
複数の前記中央部材の前記中央柱に挿通された連結部材により、前記複数の中央柱が連結され、上下の前記螺旋部が連続することを特徴とする垂直導水管。
【請求項2】
外筒部と、この外筒部の内部に設けた螺旋部とを備えた螺旋流方式の垂直導水管において、中央柱の周囲に前記螺旋部を一体に設けた中央部材を積み重ねたコンクリート製の螺旋体と、この螺旋体の周囲に配置したコンクリート製の前記外筒部とを備え、
前記螺旋部は上,下面が曲面からなる螺旋状をなし、
前記中央部材の前記螺旋部の上流及び下流には半径方向の上縁部及び下縁部を設け、下側の前記中央部材の前記上縁部の上面に、上側の前記中央部材の前記下縁部の下面を重ね合わせて上下の螺旋部が連続した前記螺旋体を構成し、
複数の前記中央部材の前記中央柱に挿通された連結部材により、前記複数の中央柱が連結されていることを特徴とする垂直導水管。
【請求項3】
前記連結部材の両端を両端定着部に定着して前記複数の中央柱を連結したことを特徴とする請求項1又は2記載の垂直導水管。
【請求項4】
前記外筒部の両側に蓋体を設け、これら蓋体は外筒部の端面に当接し、両側の蓋体に前記連結部材の定着部を設けたことを特徴とする請求項3記載の垂直導水管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水道用人孔や雨水流入用の竪管等に用いられる螺旋案内路付きの垂直導水管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水道用人孔において流入管と流出管に落差がある場合、その落差高の大小により落下方式を選択しており、螺旋流(旋回流)方式が知られている。
【0003】
これは断面円形の頭部で接線方向に水流を与えて旋回流を得る方式である。この方式の流線は重力により旋回流からやがて鉛直流に変化していく。この場合、落下量、直径、初期流速、着地深度の要素をその都度試験に求める必要がある。
【0004】
図16に示すように、中空筒(空気抜き)101の周りに、螺旋流を発生させるヘリコロイド面を有する螺旋状の板102を設けた、空気道を備えた螺旋案内路付き垂直導水管である(例えば、特許文献1〜4参照)。これら垂直導水管は、FRPやFRPMなどから形成されており、それ自体は土圧に対する強度を備えていないため、施工においては、コンクリート製からなる壁体によりボックス状などの地下構造物を形成し、この地下構造物の内部空間に前記垂直導水管が配置される。このため垂直導水管の大型化に制約を受け易く、流量を確保するには多量の水を流す必要があるため、上部から内部の空気を外部に排出する中空筒が必要となる。さらに、地下構造物と垂直導水管の二重構造となるため、材料及び施工にコストが掛かる。
【0005】
近年、高落差の場合、壁面摩擦抵抗を多く取り、到達速度を下げ、かつ、空気道を備えた螺旋案内路付きの螺旋流方式が採用されることが多い。
【0006】
また、上記垂直導水管の材質としては、鉄、ステンレススチール等の金属;塩化ビニル樹脂、繊維強化プラスチック樹脂、繊維強化ポリエステル樹脂等の樹脂材料(例えば特許文献2)が例示され、部材の接合には接着などが用いられている。
【0007】
また、上部にマンホール部を備えた大型のものでは、複数の円筒部をその突合せ箇所で継手により連結し、内部に螺旋部を設けた垂直導水管がある(例えば、特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−322729号公報
【特許文献2】特開2001−311483号公報
【特許文献3】特開2001−279798号公報
【特許文献4】特開2001−271414号公報
【特許文献5】特開2004−339922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の垂直導水管では、強度上、外筒部同士の接合が主となり、内部における接合強度が十分に考慮されていなかった。また、部材同士の接合は接着や継手が用いられているが、接合箇所毎に作業が必要になるため、その効率化と全体としての施工性の向上が望まれていた。
【0010】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、連結作業の効率化を図り、施工性を向上することができる垂直導水管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、外筒部と、この外筒部の内部に設けた螺旋部とを備えた螺旋流方式の垂直導水管において、中央柱の周囲に前記螺旋部を一体に設けた中央部材を積み重ねたコンクリート製の螺旋体と、この螺旋体の周囲に配置したコンクリート製の前記外筒部とを備え、前記螺旋部は、複数の基本階段部を備え、前記基本階段部は、板状の平板部と、この平板部の下部で下流側に設けた下段部とを備え、上流側の前記基本階段部の前記下段部の下流側の下部に、下流側の前記基本階段部の前記平板部の上流側を突き合わせるように配置した複数の前記基本階段部を備えた一体成形品により、螺旋階段式の前記螺旋部を構成し、複数の前記中央部材の前記中央柱に挿通された連結部材により、前記複数の中央柱が連結され、上下の前記螺旋部が連続することを特徴とすることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、外筒部と、この外筒部の内部に設けた螺旋部とを備えた螺旋流方式の垂直導水管において、中央柱の周囲に前記螺旋部を一体に設けた中央部材を積み重ねたコンクリート製の螺旋体と、この螺旋体の周囲に配置したコンクリート製の前記外筒部とを備え、前記螺旋部は上,下面が曲面からなる螺旋状をなし、前記中央部材の前記螺旋部の上流及び下流には半径方向の上縁部及び下縁部を設け、下側の前記中央部材の前記上縁部の上面に、上側の前記中央部材の前記下縁部の下面を重ね合わせて上下の螺旋部が連続した前記螺旋体を構成し、複数の前記中央部材の前記中央柱に挿通された連結部材により、前記複数の中央柱が連結されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、前記連結部材の両端を両端定着部に定着して前記複数の中央柱を連結したことを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、前記外筒部の両側に蓋体を設け、これら蓋体は外筒部の端面に当接し、両側の蓋体に前記連結部材の定着部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1及び2に記載の垂直導水管によれば、外筒部内に、中央部材を積み重ねて螺旋体を形成して垂直導水管を形成することができる。
【0016】
また、本発明の請求項1及び2に記載の垂直導水管によれば、中央柱に連結部材を挿通し、この連結部材により外筒部内で積み重ねた複数の中央部材を一体化することができる。
【0017】
また、本発明の請求項3に記載の垂直導水管によれば、連結部材の両端を定着して複数の中央部材を一体化することができる。
【0018】
また、本発明の請求項4に記載の垂直導水管によれば、連結部材の両端を定着して複数の中央材を一体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例1を示す上蓋体と上段の分割外筒部と横仕切り板の分解斜視図である。
図2】同上、中央部材の斜視図である。
図3】同上、中央部材の正面図である。
図4】同上、中央部材の平面図である。
図5】同上、下段の分割外筒部と下蓋体の斜視図である。
図6】同上、全体斜視図である。
図7】同上、平面図である。
図8】同上、図7のA−A線断面図である。
図9】本発明の実施例2を示す上蓋体と上段の分割外筒部と横仕切り板の分解斜視図である。
図10】同上、中央部材の斜視図である。
図11】同上、複数の中央部材を組み立てた中央部材の斜視図である。
図12】同上、複数の中央部材を組み立てた中央部材の正面図である。
図13】同上、下段の分割外筒部と下蓋体の斜視図である。
図14】同上、平面図である。
図15】同上、全体正面図である。
図16】従来例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる新規な構成を採用することにより、従来にない機能を付加した垂直導水管が得られ、その垂直導水管を夫々記述する。
【実施例1】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施例1について説明する。図1図8に示すように、本実施例の垂直導水管1は、土圧を受ける外筒部2と、上下方向の中央柱3の周囲に螺旋部4を一体に設けた中央部材5を積み重ねた螺旋体6とを備え、この螺旋体6の周囲に前記外筒部2が配置され、この外筒部2の中心に前記中央柱3が位置し、この中央柱3には上下方向に貫通する透孔7が穿設されている。また、垂直導水管1はコンクリート製のものを用いることができる。また、透孔7の直径は中央柱3の直径の2分の1未満である。なお、透孔7及び/又は中央柱3が角型の場合は、透孔7の断面積は、透孔7を含んだ中央柱3の断面積の2分の1未満である。尚、中央柱3には、その内部において下から上に空気を逃がす空気抜きの効果は備えていない。
【0022】
前記垂直導水管1は、前記外筒部2を長さ方向に分割した分割外筒部8を複数備え、前記分割外筒部8は円筒形又は角筒型をなし、この例では多角形のものを図示し、具体的には12角形である。
【0023】
図2などに示すように、前記中央柱3は前記外筒部2と同一のN角形(Nは6以上の自然数)、この例では12角形である。また、前記螺旋部4は階段式であって、外面が全て平面により構成されている。具体的には、図2などに示すように、最上段と最下段以外は同一構成の複数の基本階段部11により形成され、この基本階段部11は、平面が台形で、断面がL字形をなし、平面が台形で板状の平板部12と、この平板部12の下部で下流側に設けた下段部13とを一体に備え、平板部12の角度は360度をN=12で割った30度であり、30度が外筒部2が12角形の場合の基本角度であり、Nが基本数である。
【0024】
また、前記下段部13の平面形状は前記平板部の略2分の1の台形形状をなし、平板部12と下段部13の厚さはほぼ同一である。また、基本階段部11の内端面11Nは、L字型をなし、前記中央柱3に連結され、基本階段部11の外端面11Gは、L字型をなし、前記分割外筒部8の内周に連結又は近接して配置される。なお、平板部12の上,下面と下段部13の下面は、相互に平行であって、横方向の面(水平面)であり、残りの面は縦方向の面(垂直面)により構成されている。また、隣り合う基本階段部11の外端面11G,11G同士は基本角度θである30度の角度をなす。
【0025】
そして、上流側(上側)の基本階段部11の下段部13の下流側の側面に、下流側(下側)の基本階段部11の平板部12の上流側の側面を突き合わせるように配置されており、複数の基本階段部11,11・・・が一体成形されている。また、最下段の基本階段部11Aは、平板部12のみから構成され、最上段の基本階段部11Bは平板部12の上流側に張出部14を一体に設け、この張出部14は平板部12の略2分の1の大きさを有し、最上段の基本階段部11Bの外端面11Gと張出部14の外端面11Gは基本角度θである30度の角度をなす。
【0026】
また、図3に示すように、中央部材5において、中央柱3は接合部3Tにより3分割されており、基本階段部11,11A,11Bも3分割され、3分割された中央部材5に対応して分割外筒部8がそれぞれ形成されている。尚、この例では、中央部材5は4つの基準階段部を有するが、複数の基本階段部を備えていればよい。言い換えれば、図3では3個の中央部材5,5,5を積み重ねて螺旋体6を形成している。
【0027】
さらに、下段の中央部材5の張出部14の上面に、上段の中央部材5の基本階段部11Aの下面を重ね合わせるようにして中央部材5,5が上下に重ね合わされ、螺旋体6が形成されている。
【0028】
図1に示すように、前記垂直導水管1の上部には、中央部材の無い上段の分割外筒部8が設けられる。この上段の分割外筒部8内には、縦仕切り体16が設けられている。この縦仕切り体16は半径方向に設けた一対の仕切り板17,17Aを備え、これら一対の仕切り板17,17Aは、略60度の角度を有し、それらの外端を分割外筒部8の内面に連結し、それらの内端を中央柱3に連結している。
【0029】
また、上段の分割外筒部8の上部には板状の上蓋体21が配置され、この上蓋体21の中央には、流入部たる開口部22が設けられ、この開口部22には開口部蓋(図示せず)が開閉可能に設けられている。前記開口部22は人が出入り可能であり、直径が600mm以上である。また、図6に示すように、縦仕切り体16の仕切り板17の下流側に開口部22が設けられており、このように導水管1の上部には開口部22が設けられている。
【0030】
上段の分割外筒部8と下段の分割外筒部8との間には、横仕切り板23が挟まれて設けられる。この横仕切り板23は12角形であり、中央に上下の中央柱3,3に挟まれる挟持部分24を有し、この挟持部分24は中央柱3の断面形状と略同一であって、前記透孔7が穿設されている。また、横仕切り板23は角型の仕切り開口部25を有し、この仕切り開口部25は、半径方向の上流側縁部25Jと下流側縁部25Kとを有し、上流側縁部25J側は、下段の基本階段部11Aの張出部14上に載置される。尚、上流側縁部25J側は、平板部12と張出部14の境目に位置する。また、上流側縁部25Jと下流側縁部25Kとのなす角度は180度以上270度以下、この例では240度であり、下流側縁部25Kを仕切り板17に合わせて上段の分割外筒部8の下に横仕切り板23が配置され、横仕切り板23により縦仕切り体16の下部が塞がれる。
【0031】
図5に示すように、前記垂直導水管1の下部には、排出部31を有する下段の分割外筒部8が設けられ、この下段の分割外筒部8内には中央部材5が設けられている。前記排出部31は角型をなす。また、下段の分割外筒部8の下部には板状の下蓋体32が設けられている。そして、最下段の基本階段部11Aの下流側に前記排出部31が設けられている。
【0032】
前記上蓋体21の上面中央及び前記下蓋体32の下面中央には、前記透孔7に対応して、凹部状の定着部35を設け、この定着部35の底部に金属などからなる定着板36を設け、この定着板36及び上,下蓋体21,32に前記透孔7に連通する透孔(図示せず)を穿設している。そして、積み重ねた中央柱3,3・・・と上下の定着部35に鋼材などからなる連結部材37を挿通し、連結部材37の両端を定着具により上下の定着部35に定着する。この場合、鋼棒などからなる連結部材37の端部に雌螺子部を設け、この雌螺子部に定着具たるナットを螺合して定着したり、PC鋼材などの連結部材37を緊張した状態で定着具により定着したりしてもよい。また、図8に示すように、複数の連結部材37,37・・・を連結具たるカプラー38により連結してもよく、カプラー38は中央柱3の接合箇所に設けられる。
【0033】
次に、前記垂直導水管1の施工方法について説明する。まず、地中に外筒部2を埋設する掘削孔(図示せず)を形成し、この掘削孔の内部において、二次製品から構成する垂直導水管1を組み立てた後、周囲を埋戻し、外筒部2には土圧が加わり、垂直導水管1は土圧に対抗する強度を有する。具体的には、下段の分割外筒部8の下部に下蓋体32を固定し、分割外筒部8と下蓋体32との目地部には防水加工を施して水密性を確保する。この場合、部材同士はボルトなどにより連結固定する。同様に各連結及び接続箇所には防止加工を施す。
【0034】
下段の分割外筒部8の上に、中央部材5を備えた中央の分割外筒部8を重ね合わせて連結し、下段の螺旋部4と上段の螺旋部4とは、下段の基本階段部11Aを、その上面の一部、この例では張出部14上に載置するようにして重ね合わせて連結し、連続した螺旋体6を形成すると共に、下段の分割外筒部8と中央の分割外筒部8を連結する。また、下段の中央柱3に上段の中央柱3を合わせ、上下に連続する透孔7,7・・・に連結部材37を挿通する。尚、実際の施工においては、外筒部2を形成した後、外筒部2の内部に中央部材5を配置する。
【0035】
中央の分割外筒部8の上に、横仕切り板23を重ね合わせて連結し、その横仕切り板23の上に上段の分割外筒部8を重ね合わせて連結する。
【0036】
また、中段の中央柱3と挟持部分24と上段の中央柱3に連結部材37を挿通し、この連結部材37の上端を上蓋体21の定着部35に挿通し、連結部材37の両端を上,下蓋体21,32の定着部35,35において定着することにより、複数の中央柱3,3、挟持部分24及び上,下蓋体21,32を連結部材37により一体化する。
【0037】
そして、開口部22から流れ込んだ水は、仕切り開口部25から中段の分割外筒部8の螺旋部4上に落下し、螺旋体6に案内されて螺旋流となって排出部31から外部に排出される。この場合、コンクリート製の外筒部2が土圧を受けるため、水が流れる外筒部2の内部の断面積を大きく取ることができ、流量に比べて大きな断面積を備えた垂直導水管1を構成することができるため、従来のような空気抜きが不要となる。また、垂直導水管1を埋め戻すから、コストの削減が可能となる。
【0038】
尚、内部に水が無い状態では、作業者は、開口部22から内部に入り、階段状の螺旋体6上を用いて上り下りすることができる。
【0039】
このように本実施例では、請求項1に対応して、外筒部2と、この外筒部2の内部に設けた螺旋部とを備えた螺旋流方式の垂直導水管において、中央柱3の周囲に螺旋部4を一体に設けた中央部材5を積み重ねたコンクリート製の螺旋体6と、この螺旋体6の周囲に配置したコンクリート製の外筒部2とを備え、螺旋部4は、複数の基本階段部11を備え、基本階段部11は、板状の平板部12と、この平板部12の下部で下流側に設けた下段部13とを備え、上流側の基本階段部11の下段部13の下流側の下部に、下流側の基本階段部11の平板部12の上流側を突き合わせるように配置した複数の基本階段部11を備えた一体成形品により、螺旋階段式の螺旋部4を構成し、複数の中央部材5の中央柱3に挿通された連結部材37により、複数の中央柱3が連結され、上下の螺旋部4が連続するから、外筒部2内に、中央部材5を積み重ねて螺旋体6を形成して垂直導水管1を形成することができる。
【0040】
また、このように本実施例では、請求項1及び2に対応して、中央柱3に連結部材37を挿通し、この連結部材37により外筒部2内で積み重ねた複数の中央部材5,5を一体化することができる。
【0041】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、連結部材37の両端を両端定着部35,35に定着して複数の中央柱3を連結したから、連結部材37の両端を定着して複数の中央部材5,5を一体化することができる。
【0042】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、外筒部2の両側に蓋体たる上,下蓋体21,32を設け、これら上,下蓋体21,32は外筒部2の端面に当接し、両側の上、下蓋体21,32に連結部材37を定着する定着部35,35を設けたから、連結部材37の両端を定着して複数の中央部材5,5を一体化することができる。
【0043】
また、実施例上の効果として、螺旋部4は外面が全て平面により構成されているから、型枠を用いたコンクリートの成型により容易に製造することができる。この場合、螺旋部4の単数又は複数の基本階段部11,11A,11Bを成型した後、一体化してもよい。また、下の中央部材5の張出部14の上面に、上の中央部材5の基本階段部11Aの下面を重ね合わせるようにして連結し、複数の螺旋部4,4が連続した螺旋体6を構成することができる。さらに、上段の分割外筒部8と下段の分割外筒部8との間には、横仕切り板23を設けると共に、この挟持部分24に角型の仕切り開口部25を設け、最上段の分割外筒部8に縦仕切り体16を設けたから、開口部22から流入した水を、仕切り開口部25により下方の螺旋部4に導くことができる。また、上段の分割外筒部8と下段の分割外筒部8との間には、横仕切り板23を設け、この横仕切り板23には仕切り開口部25が設けられているから、開口部22から流入した水を所定の範囲で下段の分割外筒部8に流すことができる。
【実施例2】
【0044】
図9図15は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、螺旋体の変形例を示し、螺旋体6は、螺旋部たる上部材41と中部材42と下部材43を連結することにより360度の螺旋を形成する。それら上,中,下部材41,42,43は同一構成をなし、それらの上,下面は曲面からなる螺旋状をなし、それぞれの中央に前記中央柱3を一体に有する中央部材5,5,5が形成される。また、外筒部2及び中央柱3は円形である。
【0045】
上,中,下部材41,42,43の上流(上端)及び下流(下端)には半径方向の上縁部51及び下縁部52を設け、これら上,下縁部51,52は断面角型をなす。また、上縁部51の上面51Jは水平面であり、下縁部52の下面52Kは水平面であり、上縁部51の上面51Jの内端部51Nから下縁部52の外端部52Gまで連続した曲面が形成されている。また、中央柱3の上端面は上縁部51の上面51Jと面一であり、中央柱3の下端面は下縁部52の下面52Kと面一である。また、上,中,下部材41,42,43の外周には前記分割外筒部8が設けられ、分割外筒部8内に上,中,下部材41,42,43を配置したものが基本分割体である。
【0046】
また、この例では、上蓋体21には開口部を設けずに、最上段の分割外筒部8に、流入部となる開口部22を設けている。また、最下段の分割外筒部8には円形の排出部31が穿設されている。尚、最下段の分割外筒部8には螺旋部を設けていない。このため、最下段の分割外筒部8においては、下蓋体32の上面に中央柱3を一体的に立設したり、別体の中央柱3を用いたりすることができ、この例で中央柱3は下蓋体32と別体である。
【0047】
そして、実施例1と同様に、下蓋体32に、排出部31を有する分割外筒部8を連結し、この上に、上,中,下部材41,42,43を備えた分割外筒部8,8,8を連結する。
【0048】
この場合、下部材43の下縁部52が排出部31の上流側に位置するように重ね合わせ、且つ、最下段の分割外筒部8において、別体の中央柱3を用いる場合などには、下部材43の中央柱3と下蓋体32との間に中央柱3を配置する。また、上,中,下部材41,42,43においては、上,中部材41,42の下縁部52の下面52Kに、中,下部材42,43の上縁部51の上面51Jを重ね合わせ、このように上側の部材の下縁部52の下面52Kに、下側の部材の上縁部51の上面51Jを重ね合わせることにより、同一構成の複数の部材41,42,43を連結又は位置あわせして連続した螺旋体6を形成する。
【0049】
次に、上部材41の上縁部51に、仕切り開口部25の上流側縁部25Jを略合わせて、上部材41を備える分割外筒部8の上に横仕切り板23を重ね合わせて連結し、さらに、この横仕切り板23の上に最上段の分割外筒部8を重ね合わせる。この場合、縦仕切り体16の仕切り板17を上流側縁部25Jに略合わせて、横仕切り板23の上に上段の分割外筒部8を重ね合わせて連結する。
【0050】
また、実施例1と同様に、分割外筒部8,8・・・の連結と同時に、中央柱3の透孔7に連結部材37を挿通し、この連結部材37の端部を上下の定着部35,35において定着する。
【0051】
このように本実施例においては、請求項2に対応して、外筒部2と、この外筒部2の内部に設けた螺旋部たる上部材41と中部材42と下部材43とを備えた螺旋流方式の垂直導水管において、中央柱3の周囲に上部材41と中部材42と下部材43を一体に設けた中央部材5を積み重ねたコンクリート製の螺旋体6と、この螺旋体6の周囲に配置したコンクリート製の外筒部2とを備え、上部材41と中部材42と下部材43は上,下面が曲面からなる螺旋状をなし、中央部材5の上部材41と中部材42と下部材43の上流及び下流には半径方向の上縁部51及び下縁部52を設け、下側の中央部材5の上縁部51の上面51Jに、上側の中央部材5の下縁部52の下面52Kを重ね合わせて上下の上部材41と中部材42と下部材43が連続した螺旋体6を構成し、複数の中央部材5の中央柱3に挿通された連結部材37により、複数の中央柱3が連結されているから、外筒部2内に、中央部材5を積み重ねて螺旋体6を形成して垂直導水管1を形成することができる。
【0052】
また、この例では、分割外筒部8内に上,中,下部材41,42,43を配置した基本分割体が、共通(同一)構成をなすから、複数の基本分割体を積み重ねることにより、分割外筒部8で囲まれた螺旋体6を構成することができる。
【0053】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、中央部材と分割外筒部とは一体でも別体でもよい
【符号の説明】
【0054】
1 垂直導水管
2 外筒部
3 中央柱
4 螺旋部
5 中央部材
6 螺旋体
11 基本階段部
12 平板部
13 下段部
21 上蓋体(蓋体)
32 下蓋体(蓋体)
35 定着部
37 連結部材
41 上部材(螺旋部)
42 中部材(螺旋部)
43 下部材(螺旋部)
51 上縁部
51J 上面
52 下縁部
52K 下面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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