(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両の駐車領域への縦列駐車の支援時に、前記駐車領域における前記車両が入庫する間口の駐車スペース長が、前記車両の全長と所定長の和以上であるか否かを判断する判断部と、
前記駐車スペース長が、前記車両の全長と前記所定長の和以上である場合に、前記車両の切り返し位置において、据え切り制御を行わない経路で前記車両の駐車支援を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、実際に前記車両が前記切り返し位置に到達した際に、さらに、前記切り返し位置における前記車両の偏向角、または走行可能距離に基づいて、据え切り制御を行うか否かを判断する、
駐車支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうちの少なくとも一つを得ることが可能である。
【0013】
本実施形態の車両1は、例えば、不図示の内燃機関を駆動源とする自動車、すなわち内燃機関自動車であってもよいし、不図示の電動機を駆動源とする自動車、すなわち電気自動車や燃料電池自動車等であってもよいし、それらの双方を駆動源とするハイブリッド自動車であってもよいし、他の駆動源を備えた自動車であってもよい。また、車両1は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置、例えばシステムや部品等を搭載することができる。また、車両1における車輪3の駆動に関わる装置の方式や、数、レイアウト等は、種々に設定することができる。
【0014】
図1は、実施形態の車両の車室の一部が透視された状態が示された例示的な斜視図である。
図2は、実施形態の車両の例示的な平面図(俯瞰図)である。
図1に例示されるように、車体2は、不図示の乗員が乗車する車室2aを構成している。車室2a内には、乗員としての運転者の座席2bに臨む状態で、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等が設けられている。
操舵部4は、例えば、ダッシュボード24から突出したステアリングホイールであり、加速操作部5は、例えば、運転者の足下に位置されたアクセルペダルであり、制動操作部6は、例えば、運転者の足下に位置されたブレーキペダルであり、変速操作部7は、例えば、センターコンソールから突出したシフトレバーである。なお、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等は、これらには限定されない。
【0015】
また、車室2a内には、表示出力部としての表示装置8や、音声出力部としての音声出力装置9が設けられている。表示装置8は、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等である。音声出力装置9は、例えば、スピーカである。また、表示装置8は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部10で覆われている。乗員は、操作入力部10を介して表示装置8の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、乗員は、表示装置8の表示画面に表示される画像に対応した位置において手指等で操作入力部10を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。これら表示装置8や、音声出力装置9、操作入力部10等は、例えば、ダッシュボード24の車幅方向すなわち左右方向の中央部に位置されたモニタ装置11に設けられている。モニタ装置11は、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の不図示の操作入力部を有することができる。また、モニタ装置11とは異なる車室2a内の他の位置に不図示の音声出力装置を設けることができるし、モニタ装置11の音声出力装置9と他の音声出力装置から、音声を出力することができる。なお、モニタ装置11は、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されうる。
また、車室2a内には、表示装置8とは別の表示装置12が設けられている。
【0016】
図3は、実施形態の車両のダッシュボードの一例の車両後方からの視野での図である。
図3に例示されるように、表示装置12は、例えば、ダッシュボード24の計器盤部25に設けられ、計器盤部25の略中央で、速度表示部25aと回転数表示部25bとの間に位置されている。表示装置12の画面12aの大きさは、表示装置8の画面8aの大きさよりも小さい。この表示装置12には、主として車両1の駐車支援に関する情報を示す画像が表示されうる。表示装置12で表示される情報量は、表示装置8で表示される情報量より少なくてもよい。表示装置12は、例えば、LCDや、OELD等である。なお、表示装置8に、表示装置12で表示される情報が表示されてもよい。
【0017】
また、
図1及び
図2に例示されるように、車両1は、例えば、四輪自動車であり、左右二つの前輪3Fと、左右二つの後輪3Rとを有する。これら四つの車輪3は、いずれも転舵可能に構成されうる。
【0018】
図4は、実施形態の駐車支援システムの構成の例示的なブロック図である。
図4に例示されるように、車両1は、少なくとも二つの車輪3を操舵する操舵システム13を有している。操舵システム13は、アクチュエータ13aと、トルクセンサ13bとを有する。操舵システム13は、ECU14(electronic control unit)等によって電気的に制御されて、アクチュエータ13aを動作させる。操舵システム13は、例えば、電動パワーステアリングシステムや、SBW(steer by wire)システム等である。操舵システム13は、アクチュエータ13aによって操舵部4にトルク、すなわちアシストトルクを付加して操舵力を補ったり、アクチュエータ13aによって車輪3を転舵したりする。この場合、アクチュエータ13aは、一つの車輪3を転舵してもよいし、複数の車輪3を転舵してもよい。また、トルクセンサ13bは、例えば、運転者が操舵部4に与えるトルクを検出する。
【0019】
また、
図2に例示されるように、車体2には、複数の撮像部15として、例えば四つの撮像部15a〜15dが設けられている。撮像部15は、例えば、CCD(charge coupled device)やCIS(CMOS image sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部15は、所定のフレームレートで動画データを出力することができる。撮像部15は、それぞれ、広角レンズまたは魚眼レンズを有し、水平方向には例えば140°〜190°の範囲を撮影することができる。また、撮像部15の光軸は斜め下方に向けて設定されている。よって、撮像部15は、車両1が移動可能な路面や車両1が駐車可能な領域を含む車体2の周辺の外部の環境を逐次撮影し、撮像画像データとして出力する。
【0020】
撮像部15aは、例えば、車体2の後側の端部2eに位置され、リヤトランクのドア2hの下方の壁部に設けられている。撮像部15bは、例えば、車体2の右側の端部2fに位置され、右側のドアミラー2gに設けられている。撮像部15cは、例えば、車体2の前側、すなわち車両前後方向の前方側の端部2cに位置され、フロントバンパー等に設けられている。撮像部15dは、例えば、車体2の左側、すなわち車幅方向の左側の端部2dに位置され、左側の突出部としてのドアミラー2gに設けられている。ECU14は、複数の撮像部15で得られた画像データに基づいて演算処理や画像処理を実行し、より広い視野角の画像を生成したり、車両1を上方から見た仮想的な俯瞰画像を生成したりすることができる。なお、俯瞰画像は、平面画像とも称されうる。
【0021】
また、ECU14は、撮像部15の画像から、車両1の周辺の路面に示された区画線等を識別し、区画線等に示された駐車区画を検出(抽出)する。
【0022】
また、
図1、2に例示されるように、車体2には、複数の測距部16,17として、例えば四つの測距部16a〜16dと、八つの測距部17a〜17hとが設けられている。測距部16,17は、例えば、超音波を発射してその反射波を捉えるソナーである。ソナーは、ソナーセンサ、あるいは超音波探知器とも称されうる。ECU14は、測距部16,17の検出結果により、車両1の周囲に位置された障害物等の物体の有無や当該物体までの距離を測定することができる。すなわち、測距部16,17は、物体を検出する検出部の一例である。なお、測距部17は、例えば、比較的近距離の物体の検出に用いられ、測距部16は、例えば、測距部17よりも遠い比較的長距離の物体の検出に用いられうる。また、測距部17は、例えば、車両1の前方および後方の物体の検出に用いられ、測距部16は、車両1の側方の物体の検出に用いられうる。
【0023】
また、
図4に例示されるように、駐車支援システム100では、ECU14や、モニタ装置11、操舵システム13、測距部16,17等の他、ブレーキシステム18、舵角センサ19、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等が、電気通信回線としての車内ネットワーク23を介して電気的に接続されている。
車内ネットワーク23は、例えば、CAN(controller area network)として構成されている。ECU14は、車内ネットワーク23を通じて制御信号を送ることで、操舵システム13、ブレーキシステム18等を制御することができる。また、ECU14は、車内ネットワーク23を介して、トルクセンサ13b、ブレーキセンサ18b、舵角センサ19、測距部16、測距部17、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等の検出結果や、操作入力部10等の操作信号等を、受け取ることができる。
【0024】
ECU14は、例えば、CPU14a(central processing unit)や、ROM14b(read only memory)、RAM14c(random access memory)、表示制御部14d、音声制御部14e、SSD14f(solid state drive、フラッシュメモリ)等を有している。CPU14aは、例えば、表示装置8,12で表示される画像に関連した画像処理や、車両1の移動目標位置の決定、車両1の移動経路の演算、物体との干渉の有無の判断、車両1の自動制御、自動制御の解除等の、各種の演算処理および制御を実行することができる。CPU14aは、ROM14b等の不揮発性の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって演算処理を実行することができる。RAM14cは、CPU14aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。また、表示制御部14dは、ECU14での演算処理のうち、主として、撮像部15で得られた画像データを用いた画像処理や、表示装置8で表示される画像データの合成等を実行する。また、音声制御部14eは、ECU14での演算処理のうち、主として、音声出力装置9で出力される音声データの処理を実行する。また、SSD14fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、ECU14の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。なお、CPU14aや、ROM14b、RAM14c等は、同一パッケージ内に集積されうる。また、ECU14は、CPU14aに替えて、DSP(digital signal processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSD14fに替えてHDD(hard disk drive)が設けられてもよいし、SSD14fやHDDは、ECU14とは別に設けられてもよい。
【0025】
ブレーキシステム18は、例えば、ブレーキのロックを抑制するABS(anti-lock brake system)や、コーナリング時の車両1の横滑りを抑制する横滑り防止装置(ESC:electronic stability control)、ブレーキ力を増強させる(ブレーキアシストを実行する)電動ブレーキシステム、BBW(brake by wire)等である。ブレーキシステム18は、アクチュエータ18aを介して、車輪3ひいては車両1に制動力を与える。また、ブレーキシステム18は、左右の車輪3の回転差などからブレーキのロックや、車輪3の空回り、横滑りの兆候等を検出して、各種制御を実行することができる。ブレーキセンサ18bは、例えば、制動操作部6の可動部の位置を検出するセンサである。ブレーキセンサ18bは、制動操作部6の可動部としてのブレーキペダルの位置を検出することができる。ブレーキセンサ18bは、変位センサを含む。
【0026】
舵角センサ19は、例えば、ステアリングホイール等の操舵部4の操舵量を検出するセンサである。舵角センサ19は、例えば、ホール素子などを用いて構成される。ECU14は、運転者による操舵部4の操舵量や、自動操舵時の各車輪3の操舵量等を、舵角センサ19から取得して各種制御を実行する。なお、舵角センサ19は、操舵部4に含まれる回転部分の回転角度を検出する。舵角センサ19は、角度センサの一例である。
【0027】
アクセルセンサ20は、例えば、加速操作部5の可動部の位置を検出するセンサである。アクセルセンサ20は、可動部としてのアクセルペダルの位置を検出することができる。アクセルセンサ20は、変位センサを含む。
【0028】
シフトセンサ21は、例えば、変速操作部7の可動部の位置を検出するセンサである。シフトセンサ21は、変速操作部7の可動部としての、レバーや、アーム、ボタン等の位置を検出することができる。シフトセンサ21は、変位センサを含んでもよいし、スイッチとして構成されてもよい。
【0029】
車輪速センサ22は、車輪3の回転量や単位時間当たりの回転数を検出するセンサである。車輪速センサ22は、検出した回転数を示す車輪速パルス数をセンサ値として出力する。車輪速センサ22は、例えば、ホール素子などを用いて構成されうる。ECU14は、車輪速センサ22から取得したセンサ値に基づいて車両1の移動量などを演算し、各種制御を実行する。なお、車輪速センサ22は、ブレーキシステム18に設けられている場合もある。その場合、ECU14は、車輪速センサ22の検出結果をブレーキシステム18を介して取得する。
【0030】
なお、上述した各種センサやアクチュエータの構成や、配置、電気的な接続形態等は、一例であって、種々に設定(変更)することができる。
【0031】
本実施形態では、ECU14は、ハードウェアとソフトウェア(制御プログラム)が協働することにより、駐車支援装置としての機能の少なくとも一部を実現している。
図5は、ECUの機能構成ブロック図である。
ECU14は、
図5に示すように、検出部141、操作受付部142、目標位置決定部143や、移動経路決定部144、移動制御部145、出力情報決定部146、判断部148及び記憶部147として機能する。
【0032】
上記構成において、検出部141は、他の車両、柱等の障害物や、駐車区画線等の枠線等を検出する。
操作受付部142は、操作部14gの操作入力による操作信号を取得する。ここで、操作部14gは、例えば、押しボタンやスイッチ等で構成され、操作信号を出力する。
目標位置決定部143は、車両1の移動目標位置(駐車目標位置)を決定する。
移動経路決定部144は、車両1の移動目標位置への移動経路を決定する。
移動制御部145(制御部)は、車両1が移動経路に沿って移動目標位置(駐車目標位置)へ移動するよう、車両1の各部を制御する。
出力情報決定部146は、表示装置12,8や、音声出力装置9等で出力する情報や、当該情報の出力態様等を決定する。
判断部148は、駐車可能領域における車両1が入庫する間口の駐車スペース長Lが、車両1の全長と所定長αとの和以上であるか否かを判断する。
記憶部147は、ECU14での演算で用いられるあるいはECU14での演算で算出されたデータを記憶する。
【0033】
次に実施形態の動作を説明する。
図6は、実施形態の概要処理フローチャートである。まず、ECU14は、駐車可能領域検出(障害物検出)を行う(ステップS11)。
図7は、駐車可能領域検出の説明図である。具体的には、測距部16c,16dは、所定のサンプリングタイミングごとに他車両300等の障害物までの距離を算出し、障害物の反射部(音波等の反射点の集合)に対応するデータとして出力する。出力されたデータは、たとえば、出力周期毎にRAM14cに記憶される。
【0034】
そして、ECU14は、検出部141として機能し、測距部16dの出力データに基づいて、車両1の側方に位置する駐車可能領域201を検出する。より具体的には、検出部141は、障害物に対応する出力データが第一の所定長さに相当する期間以上出力され、且つ、その後、車両1が駐車可能な領域として必要な最小幅に相当する第二の規定長さ以上の期間、障害物が存在しない(障害物までの距離が、車両の駐車に必要な車両前後方向の長さ、すなわち全長以上の場合を含む)場合に対応する出力データが出力された場合、駐車可能領域201が存在すると判断する。
【0035】
また、検出部141は、車両1の左側方を撮像する撮像部15dの出力した撮像データに基づいて、地面、路面等の走行面に設けられた白線等の駐車区画線等の撮像データを用いてエッジ抽出を行うことで駐車可能領域201を検出することもできる。
【0036】
続いて、ECU14は、操作受付部142として機能し、操作部14gを介して駐車支援モードへの移行指示がなされたか否かを判別する(ステップS12)。
ステップS12の判別において、未だ操作部14gを介して駐車支援モードへの移行指示がなされていない場合には(ステップS12;No)、待機状態となる。
ステップS12の判別において、操作部14gを介して駐車支援モードへの移行指示がなされた場合には(ステップS12;Yes)、ECU14は、目標位置決定部143として機能し、車両1の移動目標位置(駐車目標位置)を決定する(ステップS13)。
続いて、ECU14は、移動経路決定部144として機能し、車両1の移動目標位置への移動経路を決定する(ステップS14)。
【0037】
図8は、移動経路の設定例の説明図である。
図8においては、操舵部4としてのステアリングホイールの切り返し位置がP1,P2の2カ所の移動経路である場合について説明する。
【0038】
図8の移動経路RTPは、車両1の駐車支援制御処理開始時の初期位置PSから、操舵部4としてのステアリングホイールを左に所定量切って、後進し、操舵部4としてのステアリングホイールの切り返し位置P1に向かう。そして、移動経路RTPでは、ドライバーが切り返し位置P1で制動操作部6としてのブレーキペダルを踏んで、車両を停車させ、ギアを前進にチェンジし、操舵部4としてのステアリングホイールをわずかに右に切りつつ、操舵部4としてのステアリングホイールの切り返し位置P2に向かう。そして、移動経路RTPでは、ドライバーは切り返し位置P2で制動操作部6としてのブレーキを踏んで、車両1を停車させ、ギアを後進にチェンジし、駐車目標位置PTに向かう構成となっている。
【0039】
ここで、
図8において、Lは、車両1が駐車可能領域201に入庫する間口の駐車スペース長である。検出部141が駐車可能領域201を検出する際に、駐車スペース長Lを算出する。
【0040】
本実施形態では、さらに、以下のように移動経路RTPを決定している。
図9は、本実施形態の経路決定処理の手順を示すフローチャートである。
【0041】
ECU14は、判断部148として機能し、駐車可能領域201の駐車スペース長Lが、車両1の全長(車両1の前後方向の長さ)と所定長αとの和以上であるか否かを判断する(ステップS31)。
【0042】
そして、駐車スペース長Lが、車両1の全長と所定長αとの和未満である場合には(ステップS31:No)、ECU14は、移動経路決定部144として機能し、駐車可能領域201のスペースが狭いと判断して、据え切りフラグをオンに設定する(ステップS32)。ここで、据え切りフラグは、切り返し時に据え切りを行うか否か示すフラグであり、RAM14c等に保存される。据え切りフラグは、移動制御部145による駐車支援制御の際に参照される。据え切りフラグがオンの場合には切り返し時に据え切りが行われ、オフの場合には切り返し時に据え切りは行われない。
【0043】
そして、経路決定部144は、切り返し時に据え切り有の移動経路RTPを生成し決定する(ステップS33)。
【0044】
一方、ステップS31において、駐車スペース長Lが、車両1の全長と所定長αとの和以上である場合には(ステップS31:Yes)、移動経路決定部144は、駐車可能領域201のスペースが充分広いと判断して、据え切りフラグをオフに設定する(ステップS34)。そして、経路決定部144は、切り返し時に据え切り無しの移動経路RTPを、クロソイド曲線の経路(クロソイド経路)となるように生成し決定する(ステップS35)。
【0045】
この場合、移動経路決定部144は、移動経路RTPの曲率勾配を、駐車スペース長Lに応じて決定する。より具体的には、移動経路決定部144は、駐車スペース長Lが長くなるに従って、移動経路RTPの曲率勾配が緩やかになるように決定する。
【0046】
なお、駐車スペース長Lが狭い場合(所定の基準長より短い場合)には、駐車可能領域201の
図8における最下部の縁石に乗り上げるように移動経路RTPを決定するように移動経路決定部144を構成してもよい。
【0047】
図6に戻り、移動経路RTPが決定されると、ECU14は、駐車支援制御に移行する(ステップS15)。
【0048】
図10は、駐車支援制御処理の処理フローチャートである。まず、ECU14は、移動制御部145として機能し、車両1が移動経路に沿って移動目標位置である駐車目標位置へ移動するよう、車両1の各部を制御するために、自動操舵を行う自動操舵モードを開始する(ステップS51)。
【0049】
この自動操舵モードにおいて、ドライバーは、操舵部4の操作、具体的には、ステアリングホイールの操作は行う必要は無い。また、駐車支援制御処理時の車両1の前進駆動力及び後進駆動力は、加速操作部5の操作であるアクセルペダルの踏み込み操作を行うことなく、エンジンの駆動力が伝達されるクリーピングを利用している。
【0050】
従って、ドライバーは、表示装置12の表示に従って、制動操作部6としてのブレーキペダル及び変速操作部7としてのシフトレバーの操作を行うだけとなる。
【0051】
続いて、移動制御部145は、自車位置を検出する(ステップS52)。具体的には、移動制御部145(ECU14)による自車位置の検出は、舵角センサ19により検出された操舵部4の操舵量及び車輪速センサ22により検出された車速に基づいて初期位置PSからの移動量である距離及び方向を算出して検出することとなる。
【0052】
これにより、ECU14は、設定経路と自車位置との比較を行い(ステップS53)、出力情報決定部146として、車両の状態情報及びドライバーに対する操作指示を決定し、表示装置12に表示する(ステップS54)。
【0053】
図11は、駐車支援制御処理開始時の表示例の説明図である。表示装置12の表示画面は、大別すると、駐車支援に関する各種情報を表示する駐車支援情報表示領域12Aと、予め選択された各種情報を表示する選択情報表示領域12Bと、オドメータあるいはトリップメータの情報を表示可能な走行距離情報表示領域12Cと、を備えている。
【0054】
駐車支援情報表示領域12Aは、駐車支援(Intelligent Parking Assist:IPA)が作動している場合にその旨を表示する駐車支援表示領域12A1、自動操舵モード中に自動操舵モードであることを示すシンボルが表示される自動操舵シンボル表示領域12A2と、ドライバーに対する操作指示を表示する操作指示表示領域12A3と、測距部16,17により車両1の周囲の所定距離範囲内に障害物が位置している場合に当該障害物の位置する方向を表す障害物表示領域12A4と、を備えている。
【0055】
上記構成において、
図11に示すように、操作指示表示領域12A3には、制動操作部6としてのブレーキペダルの操作指示を行う際に点灯状態とされる制動操作シンボル12A31が表示され、操舵部4としてのステアリングホイールの切り返し位置までの距離の目安、あるいは、移動目標位置までの距離の目安を全点灯状態から段階的に消灯状態に移行して表示する距離目安シンボル12A32が表示され、ドライバーへの指示内容を表示する指示表示領域12A33が表示される。
【0056】
すなわち、
図11の場合においては、駐車支援が作動し、自動操舵モードで有り、操舵部4としてのステアリングホイールの切り返し位置、あるいは、移動目標位置としての駐車目標位置PTまでの距離がまだ100%近く残っており、ドライバーに対して、制動操作部6としてのブレーキペダルの踏み込みを止めて、クリーピングによる後退を行うようにという指示内容が表示されている。
【0057】
また、別の例として、移動制御部145が、自車位置を検出し(ステップS52)、設定経路と比較した結果(ステップS53)、自車位置が操舵部4としてのステアリングホイールの切り返し位置P1,P2に到達したと判断した場合には、出力情報決定部146は、切り返し位置における車両の状態情報及びドライバーに対する操作指示を決定し、表示装置12に表示する(ステップS54)。
【0058】
図12は、自車位置が切り返し位置に到達した場合の表示例の説明図である。自車位置が切り返し位置に到達した場合には、ECU14は、制動操作シンボル12A31を点灯状態とし、指示表示領域12A33に例えば「停車してください」という表示を行い、ドライバーに対し、制動操作部6としてのブレーキの操作指示を行う。
【0059】
続いてECU14は、移動制御部145として機能し、自車位置が目標位置としての駐車目標位置PTに至ったか否かを判別する(ステップS55)。
【0060】
そして、未だ自車位置が目標位置としての駐車目標位置PTに至っていない場合(ステップS55:No)、車両1が切り返し位置で停止したかを判別する(ステップS56)。
【0061】
そして、車両1が未だ切り返し位置で停止していない場合(ステップS56:No)、ECU14は、再び、移動経路決定部144として機能し、移動経路の再計算を行い、移動経路を再設定する(ステップS59)。具体的には、
図9で説明した経路決定処理が実行される。これは、車両1は、路面状況等により必ずしも設定した移動経路に従って進める訳ではないので、実際の状況に合わせてより最適な移動経路を保つためである。
【0062】
そして、ECU14は、処理を再びステップS52に移行し、以下、同様の処理を繰り返す。
【0063】
ステップS56で、車両1が切り返し位置で停止していると判断された場合(ステップS56:Yes)、移動制御部145は、RAM14cに保存されている据え切りフラグがオンか否かを判定する(ステップS57)。そして、オンの場合には(ステップS57:Yes)、移動制御部145は、車両1が停止状態のままステアリングホイールを回転駆動させて、据え切りを行う(ステップS58)。一方、ステップS57で、据え切りフラグがオフである場合には(ステップS57:No)、移動制御部145は、ステップS58の据え切りを行わない。
【0064】
その後、移動制御部145は、ステップS59で経路の再設定を行って、ステップS52へ戻る。
【0065】
ステップS55で、自車位置が目標位置としての駐車目標位置PTに至っていると判断された場合(ステップS55:Yes)、移動制御部145は、自動操舵モードを解除し(ステップS60)、ECU14は、駐車支援処理の終了を指示表示領域12A33に表示して駐車支援処理を終了する。
図13は、駐車支援終了時の表示例の説明図である。
【0066】
このように、本実施形態では、車両の駐車可能領域201への縦列駐車の支援時に、駐車可能領域における車両1が入庫する間口の駐車スペース長Lが、車両1の全長と所定長αの和以上である場合に、車両1の切り返し位置において、据え切り制御を行わない経路で車両1の駐車支援を行っている。このため、駐車スペースが広い場合には切り返し時に据え切りが行われなくなるので、本実施形態によれば、切り返し回数の増加による車両に対する過負荷を軽減することができる。これにより、本実施形態によれば、ドライバーの心理的負担を軽減することができ、また、ステアリングシステムに対する過負荷を軽減することができ、これにより駐車支援制御を最後まで行うことができる。
【0067】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0068】
例えば、本実施形態では、移動経路RTPの決定時に、切り返し時の据え切りの有無を判断しているが、実際に車両1が切り返し位置P1,P2に到達した際に、切り返し時の据え切りの有無を判断するように構成してもよい。
【0069】
この場合において、移動制御部145は、車両1の状況に応じて据え切りの有無を判断することができる。
【0070】
例えば、操舵システム13内の電動パワーステアリグシステム(EPS)の近傍に温度センサを設けて、車両1の状況として当該温度センサによりEPSの温度を検出し、駐車スペース長Lの長さに基づく判断に加え、当該検出された温度が所定の基準温度以上であるか否かを判断し、検出された温度が所定の基準温度以上である場合には、据え切りを行わず、検出された温度が所定の基準温度未満である場合には、据え切りを行うように移動制御部145を構成してもよい。この場合には、EPSに対する過負荷をより的確に防止することができる。
【0071】
また、車両1が切り返し位置P1,P2に到達したときの車両1の状況として、車両1の傾き(偏向角)や走行可能距離に基づいて、据え切りを行うか否かを判断するように移動制御部145を構成してもよい。例えば、車両1の偏向角が所定角度以上の場合には据え切りを行い、偏向角が所定角度未満の場合には据え切りを行わないように移動制御部145を構成することができる。また、車両1の走行可能距離が所定距離以上である場合には据え切りを行い、走行可能距離が所定距離以上である場合には据え切りを行わないように移動制御部145を構成することができる。これにより、車両1に対する過負荷を軽減することができる。
【0072】
また、車両1が切り返し位置P1,P2に到達した際に、ドライバーにより据え切りを行うか否かを判断するように移動制御部145を構成してもよい。例えば、車両1が切り返し位置P1,P2に到達して停止した際に、ドライバーがステアリングホイールを操作した場合には据え切りを行ったことになるが、車両1が停止状態のままステアリングホイールのドライバーによる操作がないまま一定時間経過した場合には、据え切りを行わないと判断するように移動制御部145を構成することができる。これにより、ドライバーの心理的負担をより的確に軽減することが可能となる。
【0073】
なお、駐車支援制御において、通常、ドライバーがステアリングホールを操作した場合には、自動操舵モードを解除するような構成となっている場合でも、切り返し位置でドライバーはステアリングホイールを操作した場合には、自動操舵モードを解除しないように移動制御部145を構成すればよい。