(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記メモリには、前記回転の回転軸に沿った前記超音波送受信部と光送受信部との間隔L、又は、前記超音波送受信部が出射する超音波の送信方向と前記光送受信部が出射する光の送信方向における、前記回転の回転方向の角度差θの少なくとも一方の情報が格納されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像診断装置。
前記メモリには、前記回転軸から前記超音波送受信部までの距離r0、前記回転軸から前記光送受信部までの距離r1の情報が格納されていることを特徴とする請求項3に記載の画像診断装置。
前記超音波送受信部による超音波の送信方向及び前記光送受信部による光の送信方向は、前記軸方向に対する仰角が90°に対して所定角度ずれた方向とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下添付図面に従って本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
1.画像診断装置の外観構成
図1は本発明の一実施形態にかかる画像診断装置(IVUSの機能と、OCTの機能とを備える画像診断装置)100の外観構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、画像診断装置100は、プローブ部101と、スキャナ/プルバック部102と、操作制御装置103とを備え、スキャナ/プルバック部102と操作制御装置103とは、信号線104により各種信号が伝送可能に接続されている。
【0016】
プローブ部101は、直接血管等の体腔内に挿入され、パルス信号に基づく超音波を体腔内に送信するとともに、体腔内からの反射波を受信する超音波送受信部と、伝送された光(測定光)を連続的に体腔内に送信するとともに、体腔内からの反射光を連続的に受信する光送受信部と、を備えるイメージングコアが内挿されている。画像診断装置100では、該イメージングコアを用いることで体腔内部の状態を測定する。
【0017】
スキャナ/プルバック部102は、プローブ部101が着脱可能に取り付けられ、内蔵されたモータを駆動させることでプローブ部101に内挿されたイメージングコアの軸方向及び回転方向の動作(体腔内の軸方向の動作及び回転方向の動作)を規定している。また、超音波送受信部において受信された反射波及び光送受信部において受信された反射光を取得し、操作制御装置103に対して送信する。
【0018】
操作制御装置103は、測定を行うにあたり、各種設定値を入力するための機能や、測定により得られたデータを処理し、体腔内の断層画像として表示するための機能を備える。
【0019】
操作制御装置103において、111は本体制御部であり、測定により得られた反射波に基づいて超音波データを生成するとともに、該超音波データに基づいて生成されたラインデータを処理することで、超音波断層画像を生成する。更に、測定により得られた反射光と光源からの光を分離することで得られた参照光とを干渉させることで干渉光データを生成するとともに、該干渉光データに基づいて生成されたラインデータを処理することで、光断層画像を生成する。
【0020】
111−1はプリンタ/DVDレコーダであり、本体制御部111における処理結果を印刷したり、データとして記憶したりする。112は操作パネルであり、ユーザは該操作パネル112を介して、各種設定値及び指示の入力を行う。113は表示装置としてのLCDモニタであり、本体制御部111において生成された断層画像を表示する。
【0021】
2.プローブ部の全体構成及び先端部の断面構成
次に、プローブ部101の全体構成及び先端部の断面構成について
図2を用いて説明する。
図2に示すように、プローブ部101は、血管等の体腔内に挿入される長尺のカテーテルシース201と、ユーザが操作するために血管等の体腔内に挿入されることなく、ユーザの手元側に配置されるコネクタ部202とにより構成される。カテーテルシース201の先端には、ガイドワイヤルーメンを構成するガイドワイヤルーメン用チューブ203が設けられている。カテーテルシース201は、ガイドワイヤルーメン用チューブ203との接続部分からコネクタ部202との接続部分にかけて連続する管腔を形成している。
【0022】
カテーテルシース201の管腔内部には、超音波を送受信する超音波送受信部と光を送受信する光送受信部とが配置された送受信部221と、電気信号ケーブル及び光ファイバケーブルを内部に備え、それを回転させるための回転駆動力を伝達するコイル状の駆動シャフト222とを備えるイメージングコア220が、カテーテルシース201のほぼ全長にわたって挿通されている。
【0023】
コネクタ部202は、カテーテルシース201の基端に一体化して構成されたシースコネクタ202aと、駆動シャフト222の基端に駆動シャフト222を回動可能に固定して構成された駆動シャフトコネクタ202bとを備える。
【0024】
シースコネクタ202aとカテーテルシース201との境界部には、耐キンクプロテクタ211が設けられている。これにより所定の剛性が保たれ、急激な物性の変化による折れ曲がり(キンク)を防止することができる。
【0025】
駆動シャフトコネクタ202bの基端は、スキャナ/プルバック部102に着脱可能に取り付けられる。
【0026】
次に、プローブ部101の先端部の断面構成について説明する。カテーテルシース201の管腔内部には、超音波を送受信する超音波送受信部と光を送受信する光送受信部とが配置された送受信部221が配されたハウジング223と、それを回転させるための回転駆動力を伝送する駆動シャフト222とを備えるイメージングコア220がほぼ全長にわたって挿通されており、プローブ部101を形成している。
【0027】
送受信部221では、体腔内組織に向けて超音波及び光を送信するとともに、体腔内組織からの反射波及び反射光を受信する。
【0028】
駆動シャフト222はコイル状に形成され、その内部には電気信号ケーブル及び光ファイバケーブル(シングルモードの光ファイバケーブル)が配されている。
【0029】
ハウジング223は、短い円筒状の金属パイプの一部に切り欠き部を有した形状をしており、金属塊からの削りだしやMIM(金属粉末射出成形)等により成形される。ハウジング223は、内部に送受信部221として、超音波送受信部及び光送受信部を有し、基端側は駆動シャフト222と接続されている。また、先端側には短いコイル状の弾性部材231が設けられている。
【0030】
弾性部材231はステンレス鋼線材をコイル状に形成したものであり、弾性部材231が先端側に配されることで、イメージングコア220を前後移動させる際にカテーテルシース201内での引っかかりを防止する。
【0031】
232は補強コイルであり、カテーテルシース201の先端部分の急激な折れ曲がりを防止する目的で設けられている。
【0032】
ガイドワイヤルーメン用チューブ203は、ガイドワイヤが挿入可能なガイドワイヤ用ルーメンを有する。ガイドワイヤルーメン用チューブ203は、予め血管等の体腔内に挿入されたガイドワイヤを受け入れ、ガイドワイヤによってカテーテルシース201を患部まで導くのに使用される。
【0033】
駆動シャフト222は、カテーテルシース201に対して送受信部221を軸方向及び回転方向に動作させることが可能であり、柔軟で、かつ回転をよく伝送できる特性をもつ、例えば、ステンレス等の金属線からなる多重多層密着コイル等により構成されている。
【0034】
3.イメージングコアの断面構成
次に、イメージングコア220の断面構成、ならびに超音波送受信部及び光送受信部の配置について説明する。
図3のaはイメージングコアの断面構成、b及びcは超音波送受信部及び光送受信部の配置を示す図である。
【0035】
図3のaに示すように、ハウジング223内に配された送受信部221は、超音波送受信部310と光送受信部320とを備えており、超音波送受信部310及び光送受信部320は、それぞれ、駆動シャフト222の回転中心軸上(
図3のaの一点鎖線上)において軸方向に沿って配置されている。
【0036】
このうち、超音波送受信部310は、プローブ部101の先端側に、また、光送受信部320は、プローブ部101の基端側に配置されており、超音波送受信部310の超音波送受信位置と光送受信部320の光送受信位置との間の距離がLとなるように、ハウジング223内に取り付けられている。
【0037】
また、超音波送受信部310及び光送受信部320は、駆動シャフト222の軸方向に対する、超音波送受信部310の超音波送信方向(仰角方向)、及び、光送受信部320の光送信方向(仰角方向)が、それぞれ、90°となるようにハウジング223内に取り付けられている。実際には、この角度(角度γ)は90°でなく、それより2乃至4°だけずらしている。理由は、90°にしてしまうと、カテーテルシース201による反射波、反射光を検出してしまうからである。ただし、この角度γは、装置構成等に応じて適宜設定すればよく、あくまで一例であり、これによって本願発明が限定されるものではない点に留意願いたい。更にまた、超音波送受信部310及び光送受信部320は、その超音波の送信方向、及び、光送信方向の回転方向の角度差が0(ただし、0には限らない)となるように、ハウジング223内に取り付けられている。
【0038】
上記の如く、ハウジング223内に配された送受信部221における超音波送受信部310と光送受信部320は、軸方向に対して相対距離Lだけずれており、超音波送受信部310の超音波の送信方向並びに光送受信部320の光の送信方向における回転方向の角度差は0にしている。それ故、超音波並びに光干渉による血管断層像を再構築する際には、両者の間で軸方向に対する相対距離Lのずれがあるものとし、且つ、回転軸に対して角度のずれが0であるものと見なすアルゴリズムに従って、一方の断層像を他方の断層像に合わせて再構築すればよい。
【0039】
しかしながら、実際の製造段階では、それぞれについてバラツキが発生することも事実である。すなわち、実際に製造した送受信部310における超音波送受信部310と光送受信部320との軸方向の距離はLより長い場合も短い場合もある。また、超音波送受信部310及び光送受信部320は、
図3のb、cに示すように、光送信方向の回転方向を基準にした場合に0とはならず、θだけずれて取り付けられることもある。
【0040】
これらバラツキの許容範囲を狭くすればするほど、上記アルゴリズムで生成される超音波断層像及び光干渉断層像の軸方向並びに回転方向のずれが小さくなり、高い精度で両者の像を同じ軸方向の位置、同じ回転方向での視点で比べることができる。しかし、この場合、製品としての歩留まりが悪くなり、結果的に高いコストが強いられることになる。
【0041】
一方、製造段階でのバラツキの許容範囲を広くすればするほど、歩留まりは良くなり、コスト上の問題は解消する。しかし、逆に超音波断層像及び光干渉断層像に対する、同じ軸方向の位置、同じ回転方向での視点で比較する際の信憑性は低いものとなってしまう。
【0042】
本発明は上記の問題を解消する。このため、実施形態においては、以下のように対処した。
・第1には、超音波断層像、及び、光干渉断層像を再構築するアルゴリズムでは、超音波送受信部310と光送受信部320と間の軸方向の距離L、及び、それらの送信する方向間の回転方向の角度差θを固定として処理するのではなく、それらを「引数(パラメータ)」として外部から適宜変更できるようにする。
・第2には、現実に製造されたハウジング223を検査した際の、超音波送受信部310と光送受信部320と間の軸方向の実測距離L、及び、それらの回転方向の実測角度差θをRFIDチップに書込み、そのRFIDチップ(RFIDタグとも言う)を、プローブ101における、スキャナ/プルバック部102に装着する側の適当な部位に張り付け固定する。
図2に示す参照符号250が、このRFIDチップである。
・第3には、スキャナ/プルバック部102には、本体制御部111からの制御の下で動作し、このRFIDチップをアクセスし、内部記憶された距離L、角度差θに係る情報を読み出すRFIDリーダ(以下、読取部)を設ける(後述する
図4の参照符号570)。なお、RFID通信技術による通信可能な距離は少なくとも数cmはあるので、プローブ101をスキャナ/プルバック部102にセットした際の、RFIDチップとRFID読取部との距離はその範囲内にあれば良い。すなわち、スキャナ/プルバック部102に設置する読取部の設置位置に高い精度は必要ない。
【0043】
なお、説明が前後するが、検査の度に、距離L、及び、角度差θをRFIDチップに書込むとすると、RFIDチップに書込みのための装置が別途必要になり、コスト面、製造に係る時間の面で不利である。そこで以下の様にしても構わない。
【0044】
予め、微細距離ΔL、微細角度差Δθを決め、目標距離Lに対して{L−n・ΔL、L−(n−1)・ΔL、…、L、…、L+(n−1)・ΔL、L+nΔL}、目標角度差θ(実施形態ではθ=0)に対して{θ−m・Δθ、θ−(m−1)・Δθ、…、θ、…、θ+(m−1)・Δθ、θ+mΔθ}の組合わせが示す情報が既に書込まれた多種類のRFIDチップを事前に用意しておき、検査で得られた値からその中の1つを選択し、プローブ101の予め設定された位置に張り付ける。係る手順にすれば、コスト面、製造に係る時間短縮が期待できる。ただし、上記以外は一例であり、これによって本願発明が限定されるものではない点に留意願いたい。
【0045】
そして、実際の診断の際には、血管断層像を得るためのスキャン開始するタイミングあるいはそれ以前の適当なタイミング(例えば、プローブ101をスキャナ/プルバック部102に固定した際)、そのプローブ101上の、スキャナ/プルバック部102に接続する近傍に張り付けられたRFIDチップを、上記のRFID読取部が読み取り、この読み取った距離L、角度差θを決定し、それらを引数として断層像再構成に係る処理に設定し、超音波断層像、光干渉断層像の再構成させることになる。
【0046】
4.画像診断装置の機能構成
次に、画像診断装置100の機能構成について説明する。
図4は、IVUSの機能とOCT(ここでは、例として波長掃引型OCT)の機能とを組み合わせた画像診断装置100の機能構成を示す図である。なお、IVUSの機能と他のOCTの機能とを組み合わせた画像診断装置についても、同様の機能構成を有するため、ここでは説明を省略する。
【0047】
図示の如く、プローブ101に張り付けられたRFIDチップ250をアクセスし、記憶された情報を読み取る読取部570が、スキャナ/プルバック部102に設けられている。そして、この読取部570は操作制御装置103内の信号処理部528に接続されていることに注意されたい。
【0048】
(1)IVUSの機能
イメージングコア220は、先端内部に超音波送受信部310を備えており、超音波送受信部310は、超音波信号送受信器552より送信されたパルス波に基づいて、超音波を生体組織に送信するとともに、その反射波(エコー)を受信し、アダプタ502及びスリップリング551を介して超音波エコーとして超音波信号送受信器552に送信する。
【0049】
なお、スリップリング551の回転駆動部側は回転駆動装置504のラジアル走査モータ505により回転駆動される。また、ラジアル走査モータ505の回転角度は、エンコーダ部506により検出される。更に、スキャナ/プルバック部102は、直線駆動装置507を備え、信号処理部528からの信号に基づいて、イメージングコア220の軸方向動作を規定する。
【0050】
超音波信号送受信器552は、送信波回路と受信波回路とを備える(不図示)。送信波回路は、信号処理部528から送信された制御信号に基づいて、イメージングコア220内の超音波送受信部310に対してパルス波を送信する。
【0051】
また、受信波回路は、イメージングコア220内の超音波送受信部310より超音波信号を受信する。受信された超音波信号はアンプ553により増幅された後、検波器554に入力され検波される。
【0052】
更に、A/D変換器555では、検波器554より出力された超音波信号を30.6MHzで200ポイント分サンプリングして、1ライン(回転中心位置から放射線上に延びるライン)のデジタルデータ(超音波データ)を生成する。なお、ここでは、30.6MHzとしているが、これは音速を1530m/secとしたときに、深度5mmに対して200ポイントサンプリングすることを前提として算出されたものである。したがって、サンプリング周波数は特にこれに限定されるものではない。
【0053】
A/D変換器555にて生成されたライン単位の超音波データは信号処理部528に入力される。信号処理部528では、超音波データをグレースケールに変換することにより、血管等の体腔内の各位置での超音波断層画像を形成し、所定のフレームレートでLCDモニタ113に出力する。
【0054】
なお、信号処理部528はモータ制御回路529と接続され、モータ制御回路529のビデオ同期信号を受信する。信号処理部528では、受信したビデオ同期信号に同期して超音波断層画像の構築を行う。
【0055】
また、このモータ制御回路529のビデオ同期信号は、回転駆動装置504にも送られ、回転駆動装置504はビデオ同期信号に同期した駆動信号を出力する。
【0056】
(2)波長掃引型OCTの機能
508は波長掃引光源(Swept Laser)であり、SOA515(semiconductor optical amplifier)とリング状に結合された光ファイバ516とポリゴンスキャニングフィルタ(508b)よりなる、Extended−cavity Laserの一種である。
【0057】
SOA515から出力された光は、光ファイバ516を進み、ポリゴンスキャニングフィルタ508bに入り、ここで波長選択された光は、SOA515で増幅され、最終的にcoupler514から出力される。
【0058】
ポリゴンスキャニングフィルタ508bでは、光を分光する回折格子512とポリゴンミラー509との組み合わせで波長を選択する。具体的には、回折格子512により分光された光を2枚のレンズ(510、511)によりポリゴンミラー509の表面に集光させる。これによりポリゴンミラー509と直交する波長の光のみが同一の光路を戻り、ポリゴンスキャニングフィルタ508bから出力されることとなる。つまり、ポリゴンミラー509を回転させることで、波長の時間掃引を行うことができる。
【0059】
ポリゴンミラー509は、例えば、32面体のミラーが使用され、回転数が50000rpm程度である。ポリゴンミラー509と回折格子512とを組み合わせた波長掃引方式により、高速、高出力の波長掃引が可能である。
【0060】
Coupler514から出力された波長掃引光源508の光は、第1のシングルモードファイバ540の一端に入射され、先端側に伝送される。第1のシングルモードファイバ540は、途中の光カップラ部541において第2のシングルモードファイバ545及び第3のシングルモードファイバ544及び第6のシングルモードファイバ546と光学的に結合されている。
【0061】
第1のシングルモードファイバ540の光カップラ部541より先端側には、非回転部(固定部)と回転部(回転駆動部)との間を結合し、光を伝送する光ロータリジョイント(光カップリング部)503が回転駆動装置504内に設けられている。
【0062】
更に、光ロータリジョイント(光カップリング部)503内の第4のシングルモードファイバ542の先端側には、プローブ部101の第5のシングルモードファイバ543がアダプタ502を介して着脱自在に接続されている。これによりイメージングコア220内に挿通され回転駆動可能な第5のシングルモードファイバ543に、波長掃引光源508からの光が伝送される。
【0063】
伝送された光は、イメージングコア220の光送受信部320から生体管腔内の生体組織に対してラジアル走査しながら照射される。そして、生体組織の表面あるいは内部で散乱した反射光の一部がイメージングコア220の光送受信部320により取り込まれ、逆の光路を経て第6のシングルモードファイバ546側に戻る。さらに、光カップラ部541によりその一部が第2のシングルモードファイバ545側に移り、第2のシングルモードファイバ545の一端から出射された後、光検出器(例えばフォトダイオード524)にて受光される。
【0064】
なお、光ロータリジョイント503の回転駆動部側は回転駆動装置504のラジアル走査モータ505により回転駆動される。また、ラジアル走査モータ505の回転角度は、エンコーダ部506により検出される。更に、スキャナ/プルバック部102は、直線駆動装置507を備え、信号処理部528からの指示に基づいて、イメージングコア220の軸方向動作を規定する。
【0065】
一方、第3のシングルモードファイバ544の光カップラ部541と反対側の先端には、参照光の光路長を微調整する光路長の可変機構532が設けられている。
【0066】
この光路長の可変機構532はプローブ部101を交換して使用した場合の個々のプローブ部101の長さのばらつきを吸収できるよう、その長さのばらつきに相当する光路長を変化させる光路長変化手段を備えている。
【0067】
第3のシングルモードファイバ544およびコリメートレンズ518は、その光軸方向に矢印523で示すように移動自在な1軸ステージ522上に設けられており、光路長変化手段を形成している。
【0068】
具体的には、1軸ステージ522はプローブ部101を交換した場合に、プローブ部101の光路長のばらつきを吸収できるだけの光路長の可変範囲を有する光路長変化手段として機能する。さらに、1軸ステージ522はオフセットを調整する調整手段としての機能も備えている。例えば、プローブ部101の先端が生体組織の表面に密着していない場合でも、1軸ステージにより光路長を微小変化させることにより、生体組織の表面位置からの反射光と干渉させる状態に設定することが可能である。
【0069】
1軸ステージ522で光路長が微調整され、グレーティング519、レンズ520を介してミラー521にて反射された光は第3のシングルモードファイバ544の途中に設けられた光カップラ部541で第6のシングルモードファイバ546側から得られた光と混合されて、フォトダイオード524にて受光される。
【0070】
このようにしてフォトダイオード524にて受光された干渉光は光電変換され、アンプ525により増幅された後、復調器526に入力される。この復調器526では干渉した光の信号部分のみを抽出する復調処理を行い、その出力は干渉光信号としてA/D変換器527に入力される。
【0071】
A/D変換器527では、干渉光信号を例えば180MHzで2048ポイント分サンプリングして、1ラインのデジタルデータ(干渉光データ)を生成する。なお、サンプリング周波数を180MHzとしたのは、波長掃引の繰り返し周波数を40kHzにした場合に、波長掃引の周期(12.5μsec)の90%程度を2048点のデジタルデータとして抽出することを前提としたものであり、特にこれに限定されるものではない。
【0072】
A/D変換器527にて生成されたライン単位の干渉光データは、信号処理部528に入力される。測定モードの場合、信号処理部528では干渉光データをFFT(高速フーリエ変換)により周波数分解して深さ方向のデータ(ラインデータ)を生成し、これを座標変換することにより、血管等の体腔内の各位置での光断層画像を構築し、所定のフレームレートでLCDモニタ113に出力する。
【0073】
信号処理部528は、更に光路長調整手段制御装置530と接続されている。信号処理部528は光路長調整手段制御装置530を介して1軸ステージ522の位置の制御を行う。
【0074】
5.信号処理部の機能構成
次に、画像診断装置100の信号処理部528において、断層画像を構築するための、信号処理部528の機能構成について
図5を用いて説明する。なお、以下に説明する構築処理は、専用のハードウェアを用いて実現されてもよいし、ソフトウェアにより(コンピュータがプログラムを実行することにより)実現されてもよい。
【0075】
図5は、画像診断装置100の信号処理部528における構築処理を実現するための機能構成ならびに関連する機能ブロックを示した図である。
【0076】
制御部605は、スキャンに先立ち、読取部570を制御し、スキャナ/プルバック部102の読取部570を制御し、プローブ部101に設けられたRFIDチップに格納されたセンサ間距離L、並びに、それぞれのセンサの回転方向の送信方向の角度差θを読み取り、超音波断層構築部613、光断層像構築部603の一方にそれらをパラメータとして設定する。例えば、光断層像構築部603で構築する断層像を基準とするのであれば、超音波断層像613に対して、生成する断層像はLだけ軸方向にずらし、θだけ血管の軸を基準に回転させた断層像を作成するように設定する。
【0077】
図5に示すように、A/D変換器527で生成された干渉光データ621は、信号処理部528内のラインデータ生成部601において、モータ制御回路529から出力されるラジアル走査モータ505のエンコーダ部506の信号を用いて、ラジアル走査1回転あたりのライン数が512本となるように処理される。
【0078】
なお、ここでは一例として、512ラインから光断層画像を構築することとしているが、このライン数に限定されるものではない。
【0079】
ラインデータ生成部601より出力されたラインデータ622は、制御部605からの指示に基づいて、ラジアル走査1回転分ごとに、ラインデータメモリ602に格納される。このとき、制御部605では、直線駆動装置507の移動量検出器より出力されたパルス信号641をカウントしておき、ラインデータ622をラインデータメモリ602に格納する際、それぞれのラインデータ622を生成した際のカウント値を対応付けて格納する。
【0080】
カウント値と対応付けて格納されたラインデータ623は、制御部605からの指示に基づいて、光断層画像構築部603にて各種処理(ライン加算平均処理、フィルタ処理等)が施された後、順次光断層画像624として出力される。
【0081】
更に、画像処理部604において、LCDモニタ113に表示するための画像処理が施された後、光断層画像625としてLCDモニタ113に出力される。
【0082】
同様に、A/D変換器555で生成された超音波データ631は、信号処理部528内のラインデータ生成部611において、モータ制御回路529から出力されるラジアル走査モータ505のエンコーダ部506の信号を用いて、ラジアル走査1回転あたりのライン数が512本となるように処理される。
【0083】
ラインデータ生成部611より出力されたラインデータ632は、制御部605からの指示に基づいて、ラジアル走査1回転分ごとに、ラインデータメモリ612に格納される。このとき、制御部605では、直線駆動装置507の移動量検出機より出力されたパルス信号641をカウントしておき、ラインデータ632をラインデータメモリ612に格納する際、それぞれのラインデータ632を生成した際のカウント値を対応付けて格納する。
【0084】
カウント値と対応付けて格納されたラインデータ633は、制御部605からの指示に基づいて、超音波断層画像構築部613にて各種処理(ライン加算平均処理、フィルタ処理等)が施された後、軸方向に対する距離Lだけのシフト、並びに、Rθ変換した超音波断層画像634として、画像処理部604に順次出力する。画像処理部604では、LCDモニタ113に表示するための画像処理を施した後、超音波断層画像635としてLCDモニタ113に出力する。
【0085】
上記を踏まえ、制御部605の処理は結局のところ、
図6に示すフローチャートに従った処理を行うことなる。
【0086】
先ず、ステップS101にいて、スキャンの指示があるか否かを判定する。スキャン指示があると判定した場合、ステップS102において、制御部605は読取部570を制御し、プローブ部101のRFIDチップに記憶されたセンサ間距離L、並びに、それぞれのセンサの回転方向の送信方向の角度差θを取得する。この後、ステップS103にて、超音波断層像、光干渉断層像の構築処理に、取得したL、θをパラメータとして設定する。この後は、それぞれの断層像再構成処理を実行し、表示処理を行う。
【0087】
なお、スキャンして得られたデータを、将来再使用することも有り得る。この場合には、スキャン時に設定した設定情報、A/D変換527、555で得られたデジタルデータに加え、設定したL、θは勿論のこと、場合によっては角度γを含むファイルを外部記憶装置(ハードディスク等)に格納すれば良い。
【0088】
以上説明したように、実施形態によれば、プローブにおける超音波の送受信部及び光の送受信部について高い位置決め精度を要求しないで、超音波の送受信部及び光の送受信部の相対位置に基づくズレを補正した超音波断層像、光断層像を生成することが可能になる。しかも、操作者には格別な作業を強いることもない。
【0089】
なお、上記実施形態では、センサ間距離L、センサの回転方向の送信方向の角度差θの両方をRFIDチップに格納しているものとして説明したが、いずれか一方がコスト面での十分に高い精度で位置決めでき、もう一方がそうはならない場合、後者の値をRFIDチップに格納するようにしても良い。
【0090】
また、場合によっては、RFIDチップに、L、θだけでなく、角度γをも書込んでも良い。角度γをRFIDに書込んだ場合には、その角度γを読み込んだ際に、その角度γを加味できるので、より精度の高い断層像を作成することができる。
【0091】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、超音波送受信部310及び光送受信部320を回転中心軸上において軸方向に沿って配置するものとした。しかし、ハウジング233に超音波送受信部310、光送受信部320を収容・固定する際に、回転中心位置から多少のズレを許容しても良い。
図7の7Aは、超音波送受信部310における超音波を送受信する位置が、回転軸からr0だけズレた状態を示している。
図7の7Bは光送受信部320における光を送受信する位置が、回転軸からr1だけズレた状態を示している。これら
図7の7A及び7Bは、第1の実施形態で示した
図3のb及びcに対応するものとして理解されたい。従って、図示のθは、第1の実施形態と同じ意味を持つ。
【0092】
超音波並びに光によるそれぞれの断層像は、それぞれの送受信部からの距離として再構成して得られるものであるから、図示のr0、r1が判明した場合には、そのズレに見合った補正を行うことで、正しい断層像を得ることができるのは理解できよう。
【0093】
従って、ハウジング233に超音波送受信部310、光送受信部320を収容・固定する際に、回転中心位置から多少のズレを許容する場合には、製造して得られたプローブの図示のr0、r1を実測し、そのr0、r1と共に先に示したθ、Lを記憶保持したRFIDチップをそのプローブに張り付ければ良い。当然、
図6のステップS102では、L、θだけでなく、r0、r1をも取得する処理を行なう。そして、ステップS103では、L、θに加えて、r0、r1をも含めて、断層像再構成処理を行うようにすればよい。
【0094】
以上のように、本第2の実施形態によれば、ハウジング233に超音波送受信部310、光送受信部320を収容・固定する際に、回転中心位置から多少のズレを許容するものとしたので、高い精度の断層像を再構成することを維持しながらも、先に説明した第1の実施形態と比較し、更に歩留まりが良くすることが可能になる。
【0095】
また、上記第1、第2の実施形態では、情報記憶媒体としてRFIDチップを例に示した。RFIDチップは非常に小さくでき有用であるので望ましい形態ではあるが、例えば、L、θ(第2のの実施形態に適用するのであれば、更に、ro,r1)の値を含む2次元バーコードのシールをプローブ部101の適当な位置に張り付けても良い。この場合、読取部570はバーコードを読み取ることになる。
【0096】
また、上記第1、第2の実施形態では、RFIDチップ内の情報を読み取るタイミングとして、スキャン開始指示があった場合としたが、本体制御部111の電源ON時、或いは、スキャナ/プルバック部102にプローブ部101を装着したことを検出したタイミングでも構わない。
【0097】
さらにまた、信号処理部528の処理は、幾つかのハードウェアを必要とするものの、その多くは、信号処理部528における制御部605が実行するアプリケーションで実現できる。従って、本願発明は、コンピュータに実行させるためのプログラム、並びに、そのプログラムを格納したコンピュータ可読記憶媒体をその範疇とすることは明らかである。
【0098】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の要旨及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【0099】
本願は、2012年3月26日提出の日本国特許出願特願2012−069144を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。