特許第6062427号(P6062427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6062427階層的に構成されズーム表示可能なメディア群の視覚的表示処理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062427
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】階層的に構成されズーム表示可能なメディア群の視覚的表示処理
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0484 20130101AFI20170106BHJP
   G06F 17/30 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   G06F3/0484 120
   G06F17/30 380F
【請求項の数】10
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2014-515895(P2014-515895)
(86)(22)【出願日】2012年6月10日
(65)【公表番号】特表2014-523014(P2014-523014A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】US2012041800
(87)【国際公開番号】WO2012173904
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2015年5月20日
(31)【優先権主張番号】13/163,353
(32)【優先日】2011年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314015767
【氏名又は名称】マイクロソフト テクノロジー ライセンシング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジェルス,サンダー マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンスタイン,ダニエル
【審査官】 萩島 豪
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−140383(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0162179(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0271297(US,A1)
【文献】 特開2003−281187(JP,A)
【文献】 特表2007−516496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048 − 3/0489
G06F 17/30
H04N 5/225
H04N 5/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有する装置において、少なくとも一つのメディア・オブジェクトを備えるメディア群を提示する方法であって、
命令コードを前記装置に送信するステップを備え、前記命令コードは、前記プロセッサによって実行されると、
それぞれのメディア・オブジェクトについて、前記メディア群内における等級格付けを識別する動作と、
前記メディア群を表示すべき旨の要求を受信すると、前記メディア群内で最も高い等級格付けを有するメディア・オブジェクトのみを含むメディア表示内容を表示する動作と、
選択されたメディア・オブジェクトの近傍において、メディア表示内容の選択を受信すると、前記選択されたメディア・オブジェクトに関係付けられ、かつ前記選択されたメディア・オブジェクトよりも低い等級格付けを有する第2のメディア・オブジェクトを、前記メディア表示内容内の前記選択されたメディア・オブジェクトの近傍の位置に挿入する動作であって、前記第2のメディア・オブジェクトを挿入する動作は、前記第2のメディア・オブジェクトが、最小の拡大表示率を定める閾値を上回って拡大表示されるかどうかに基づく、動作と、
によって前記メディア群を前記装置に表示させる、方法。
【請求項2】
プロセッサを有する装置において、少なくとも1つのメディア・オブジェクトを具備するメディア群を提示する方法であって、
それぞれのメディア・オブジェクトについて、前記メディア群内における等級格付けを識別する動作と、
前記メディア群のメディアセグメントのうち最も高い等級格付けを有するメディア・オブジェクトのみを備えるメディア表示内容を生成する動作と、
ズーム表示操作の対象となるメディア・オブジェクトの近傍においてズーム表示状態へ遷移すると、前記ズーム表示操作の対象となるメディア・オブジェクトと関係付けられており、かつ前記ズーム表示操作の対象となるメディア・オブジェクトよりも低い等級格付けを有する第2のメディア・オブジェクトを、前記メディア表示内容内で前記ズーム表示操作の対象となるメディア・オブジェクトの近傍の位置に提示する動作であって、前記第2のメディア・オブジェクトを提示する動作は、前記第2のメディア・オブジェクトが、最小の拡大表示率を定める閾値を上回って拡大表示されるかどうかに基づく、動作と、
を含む、方法。
【請求項3】
前記第2のメディア・オブジェクトを、前記メディア表示内容内で提示する動作は、前記第2のメディア・オブジェクトの等級格付けに従って前記第2のメディア・オブジェクトを拡大縮小する動作を備える、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
それぞれのメディア・オブジェクトの前記等級格付けを識別する動作は、ユーザからメディア・オブジェクトの等級格付けを受信する動作を備え、
前記ユーザからメディア・オブジェクトの等級格付けを受信する動作は、前記メディア群の複数のメディア・オブジェクトを前記ユーザに提示する動作と、
前記メディア群の複数のメディア・オブジェクトとの前記ユーザの対話をモニタリングする動作と、
各メディア・オブジェクトとの前記ユーザの対話に従って、それぞれのメディア・オブジェクトの等級格付けを選択する動作と、
を備える、請求項2記載の方法。
【請求項5】
それぞれのメディア・オブジェクトの等級格付けを識別する動作は、それぞれのメディア・オブジェクの少なくとも一つのプロパティに従って、それぞれのメディア・オブジェクトの等級格付けを選択する動作を備える、
請求項2記載の方法。
【請求項6】
それぞれのメディア・オブジェクトの等級格付けを選択する動作は、次の(1)〜(4)のうちの少なくとも1つ、すなわち、
(1)前記メディア群のそれぞれのメディア・オブジェクトが、少なくとも一つのメディア・オブジェクト集団の中にグループ化される場合において、
代表的なメディア・オブジェクトに関して高い等級格付けを選択し、
前記メディア・オブジェクト集団の前記代表的なメディア・オブジェクト以外のメディア・オブジェクトに関して、より低い等級格付けを選択する動作と;
(2)それぞれのメディア・オブジェクトの表示品質を識別し、
それぞれのメディア・オブジェクトの表示品質に従って、それぞれのメディア・オブジェクトの等級格付けを選択する動作と;
(3)少なくとも一つの前記メディア・オブジェクトが少なくとも一つの被写体と関係付けられており、前記被写体の各々は、ユーザから見た重要性の度合いをそれぞれ有する場合において、
前記メディア・オブジェクトと関係付けられている少なくとも一つの被写体を識別し、
前記メディア・オブジェクトと関係付けられている前記被写体についての前記ユーザから見た重要性の度合いに従って、それぞれのメディア・オブジェクトの等級格付けを選択する動作と、
(4)前記メディア群のそれぞれのメディア・オブジェクトが、階層構造に従って配列されている場合において、
前記階層構造内のメディア・オブジェクトが位置する階層位置に従って、それぞれのメディア・オブジェクトの等級格付けを選択する動作と;
のうちの少なくとも1つを備える、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記メディア表示内容を提示する動作であって、前記メディア表示内容の内部に、前記最小の拡大表示率を定める前記閾値を上回る拡大表示率で表示されているメディア・オブジェクトだけを表示する動作
を備える、請求項2記載の方法。
【請求項8】
前記メディア表示内容を提示する動作は、
メディア・オブジェクトが前記最小の拡大表示率を定める前記閾値を上回る拡大表示率で表示される、より高いズーム表示レベルに遷移すると、当該メディア・オブジェクトを前記メディア表示内容の中に遷移させる動作と、
メディア・オブジェクトが前記最小の拡大表示率を定める閾値を下回る拡大表示率で表示される、より低いズーム表示レベルに遷移すると、当該メディア・オブジェクトを、前記メディア表示内容の外に遷移させる動作と、
を備える、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記メディア表示内容を提示する動作は:
前記最小の拡大表示率を定める前記閾値を下回る拡大表示率で表示され、隠された状態の少なくとも一つのメディア・オブジェクトと関係付けられているそれぞれのメディア・オブジェクトについて、前記隠された状態の少なくとも一つのメディア・オブジェクトを指し示しているズーム・インジケータを前記メディア・オブジェクトの近傍に提示する動作と、
前記ズーム・インジケータとの対話操作を検出すると、前記最小の拡大表示率を上回って拡大表示される隠された状態の少なくとも一つのメディア・オブジェクトを含むメディア表示内容を、より高いズーム表示レベルへ遷移させる動作と、
を更に備える、請求項7記載の方法。
【請求項10】
プロセッサに請求項2乃至9のいずれかに記載の方法を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはメディア・コンテンツの視覚的表示と関係し、より具体的には、階層的に構成されズーム表示可能なメディア群の視覚的表示処理と関係する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータによる情報処理の分野において実行される数多くのシナリオは、複数のメディア・オブジェクトから成る一組を具備するメディア群を視覚的に表示する処理を伴い、そのようなメディア・オブジェクトには、静止画像、ビデオ、音声録音データ、電子文書、マルチメディア・オブジェクトまたはこれら複数の種類のメディア・オブジェクトを合成したハイブリッド型メディア・オブジェクトなどが含まれる。複数のメディア・オブジェクトのそれぞれがユーザによって生成され、当該複数のメディア・オブジェクトから成るメディア群が当該ユーザに対して視覚的に表示されることが可能である。あるいは、複数のメディア・オブジェクトのそれぞれが別のユーザによって生成され、当該ユーザによって当該メディア群の中に集約されるような場合もありえる(例えば、当該ユーザの友人によってソーシャル・ネットワーク内において投稿された複数の写真画像から成るメディア群など)。あるいは、複数のメディア・オブジェクトのそれぞれは、メディア・ライブラリの中から当該ユーザによって獲得されたものである場合もある(例えば、メディア・ストアから購入したメディア・オブジェクトなど)。
【0003】
メディア・オブジェクトの視覚的表示は様々な形態をとり得る。ユーザは、例えば以下のような視覚的表示内容を生成することが可能である。これらは例えば、収集した複数の画像をユーザが所望の方法で物理的に合成して作成したコラージュ合成画像、またはユーザが選択した画像をユーザが選択した順番で並べて作成した画像の系列を具備するスライド・ショーなどである。代替的に、画像を記憶したり画像にアクセスしたりするデバイスは、複数のメディア・オブジェクトの様々な表示ビューを自動的に生成して表示することが可能であり、このような様々な表示ビューの具体例には、スライド・ショーから構成され、時間の経過と共に画像を順次表示してゆく画像系列、または複数のメディア・オブジェクトそれぞれのプレビュー版(例えば、元の画像を縮小表示するサムネイル画像や音声録音のごく一部の再生内容や電子文書全体の中の冒頭の抜粋部分など)などが含まれる。
【発明の概要】
【0004】
この「発明の概要」の欄の説明は、「発明を実施するための形態」欄においてさらに詳しく後述する実施例の説明の中から選択された発明概念を簡略化された形で紹介するために記述される。この「発明の概要」の欄の説明は、特許請求の範囲において特許請求されている鍵となる動作原理や本質的特徴を識別することを意図するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲を限定することを意図するものでもない。
【0005】
数多くの種類のメディア群の視覚的表示が問題となる可能性がある。第1の例として、メディア群の中に含まれるメディア・オブジェクトの個数が大きい場合、時間の経過と伴に順次画像を表示してゆくスライド・ショーとしてこれら多数のメディア・オブジェクトを自動的に表示する動作は、受容し難いほど長い時間がかかるし、多数のサムネイル画像の集合を一覧表示したものを端からブラウジングしてゆくのは長ったらしくて退屈な作業である。加えて、メディア群に含まれる多数のメディア・オブジェクトはユーザにとってはあまり興味が無かったり冗長であったりする(例えば、ディジタル・カメラのユーザは、休暇中に数百枚から数千枚の画像を撮影するが、それらの画像の大半は撮影品質が良くない(例えば、露光不足や露光過多、焦点ボケ、被写体が障害物によって遮られた画像))場合があり、それ以外の多くの画像は同一の撮影設定条件の下で同一の被写体を写したものであったりする場合がある。従って、メディア群に含まれる全てのメディア・オブジェクトをユーザに視覚表示することは望ましくない場合がある。
【0006】
ユーザは、(例えば、重要な画像を選択し、コラージュ合成画像やフォト・アルバムを生成するなどして)メディア・オブジェクトの視覚的表示内容を生成することが可能であり、その結果、メディア表示内容に関して表示内容の取捨選択の適切さ、品質および物語性などを改良することが可能となる。しかしながら、上記のようなメディア表示内容をユーザが作成することを支援するための既存の数多くの技法は、実行するのに長い時間がかかる場合があり、例えば、ユーザは当該メディア表示内容に含めるべき複数のメディア・オブジェクト及びそれらの表示順序と共に、表示レイアウト内においてそれらを配置する際の並び順、表示サイズおよび配置する位置などを明示的に指定しなくてはならない場合がある。従って、表示すべきメディア群をユーザが作成するために上述した技法が提示する方法は、非効率で大変な労力を要する方法である可能性がある。
【0007】
本明細書においては、メディア群を表示するためのメディア表示内容を生成するための技術が開示される。これらの技術に従うならば、多種多様なメディア・オブジェクトには、(例えば1から10までの)等級格付けを割り当てることにより、当該メディア群に含まれるメディア・オブジェクトの重要性を表すことが可能である。上記のような等級格付けの割り当ては、ユーザによって生成される(例えば、複数のメディア・オブジェクトのそれぞれに割り当てる等級格付けをユーザが選択したり、ユーザとの間の対話に基づく単純な方法(例えば、ユーザが閲覧するために選択したメディア・オブジェクトや閲覧に費やした時間がより長いメディア・オブジェクトや友人との間で共有されているメディア・オブジェクトに割り当てる等級格付けを高くするなど)を使用したりする)。代替的に又は追加的に、上記のような等級格付けの割り当てを、自動的に生成することも可能である(例えば、各画像の視覚的品質(例えば、鮮明度、焦点ボケの度合い、被写体が中心からどれだけずれているかなど)を識別するために、画像の集合に対して画像評価処理を適用し、画像の視覚的品質が高くなるほど当該画像に高い等級格付けを割り当てるようにすることが可能である)。
【0008】
続いて、ズーム表示可能なメディア表示内容が生成され、その際、初期状態において低いズーム表示レベルが選択され、メディア群の中で高い等級格付けを有するメディア・オブジェクトが当該ズーム表示可能なメディア表示内容の中で表示される。特定のメディア・オブジェクトの近傍部分において当該メディア表示内容をズーム操作により拡大表示すべき旨の要求を受信した際、ズーム操作により拡大表示されるメディア・オブジェクトと関係しているが、これよりも低い等級格付けを有している他のメディア・オブジェクト(例えば、複数の画像から成るコレクションの中で、ズーム操作により拡大表示される画像と撮影場所又は被写体が同じであり特定の日に撮影された他の画像など)がさらに選択された上で、当該ズーム表示可能なメディア表示内容のうち、当該ズーム操作により拡大表示されるメディア・オブジェクトの近傍領域の中に、当該選択された他のメディア・オブジェクトが挿入される。さらに、複数のメディア・オブジェクトのそれぞれは、当該ズーム表示可能なメディア表示内容の中で、ズーム表示レベルに従って拡大縮小表示されるのみならず、さらにメディア・オブジェクト毎の等級格付けに従って拡大縮小表示されることが可能である。例えば、一つの画像集合を表示するズーム表示可能なメディア表示内容は、まず最初に低いズーム表示レベルで表示され、このとき、当該ズーム表示可能なメディア表示内容は、メディア群の中で最も高い等級格付けを持つ画像だけを具備している。特定の画像をズームイン操作により拡大表示することがユーザにより選択された際、当該ズーム表示可能なメディア表示内容のズーム表示状態は、当該選択された特定の画像の近傍部分において、相対的に高いズーム表示レベルへと遷移することが可能であり、当該選択された特定の画像と関係付けられており、中くらいの等級格付けを持つ複数の画像は、当該ズーム表示可能なメディア表示内容のうち、当該選択された特定の画像の近傍領域内に挿入されることが可能である。これらの画像の中に何れか一つを再度のズームイン操作により再び拡大表示すると、当該画像集合内に含まれる画像のうち、当該再度のズームイン操作により再び拡大表示された画像と関連し、低い等級格付けを有するさらなる追加の画像が、(当該再度のズームイン操作の際に選択された画像の近傍領域に)さらに挿入される結果となり得る。これとは逆に、ズームアウト操作は、拡大倍率を低下させる結果となり、現在表示中の複数の画像の中で相対的に低い等級格付けを持つ画像を当該ズーム表示可能なメディア表示内容の中から取り除く結果となり得る。
【0009】
上記のような方法により、当該メディア表示内容は、初期状態においてメディア群の中で最も高い等級格付けを持つメディア・オブジェクトを表示することが可能であり、ズーム表示レベルと拡大表示位置は、メディア群の中での段階的なドリル・ダウン操作による表示要求であると考えることが可能であり、当該ドリル・ダウン操作により、ズームイン表示対象となったメディア・オブジェクトと関連した(より等級格付けの低い)メディア・オブジェクトを追加的に表示してゆくことが可能である。複数のメディア・オブジェクトを上記のように階層的に表示してゆく仕組みは、ユーザによる関与の必要性を減らし、場合によっては、ユーザによる関与を一切必要とせずに実現することが可能である。すなわち、例えば、メディア表示内容に含まれる複数のメディア・オブジェクトの表示レイアウトや表示順序を指定する必要が無く、ユーザはメディア群と単に対話するための操作をするだけで良く、ユーザによる上記対話操作は、モニタリングされ、メディア群に含まれるメディア・オブジェクトの相対的な重要性を表すものとして解釈されることが可能である。
【0010】
本発明に係る上述した仕組みとこれに関連する事項を当業者にとって実施可能とするために、本明細書の以下の記述と添付図面において、本発明に関する例示的な幾つかの技術的側面と実施形態が説明される。これらは、本発明に関する一つ以上の技術的側面において採用することが可能な多種多様な実施手段の中のほんの幾つかを例示しているだけである。当業者であれば、本明細書に開示されたその他の技術的側面、技術的優位性、および新規な特徴は、添付図面を参照しながら以下の「発明を実施するための形態」欄の記述内容を理解することにより自明なものとなるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】スライド・ショー又はサムネイル画像配列としてユーザに提示されるメディア群の特徴を示している例示的な表示処理シナリオを図示する図
図2】ユーザによってコラージュ合成画像としてデザインされたメディア群の特徴を示している例示的な表示処理シナリオを図示する図
図3】メディア群に含まれる複数のメディア・オブジェクトのそれぞれに関する等級格付けをユーザによって識別する処理動作の特徴を示している例示的な表示処理シナリオを図示する図
図4】本明細書中で開示される技法に従って、メディア群に関するズーム表示可能なメディア表示内容の特徴を示している例示的な表示処理シナリオを図示する図
図5】本明細書中で開示される技法に従って、少なくとも一つのメディア・オブジェクトを具備しているメディア群を視覚的に表示するための例示的な方法を説明するフローチャート
図6】本明細書中で開示される技法に従って、少なくとも一つのメディア・オブジェクトを具備しているメディア群を生成するための例示的な方法を説明するフローチャート
図7】本明細書中が開示する一つ以上の技術内容を実装するように構成されているプロセッサ実行可能な命令コードを具備しているコンピュータ読み出し可能媒体の具体例を示す図
図8】メディア群に関するズーム表示可能なメディア表示内容において、ズーム操作による拡大表示が行われた際の効果についての特徴を示している例示的な表示処理シナリオを図示する図
図9】メディア群に関するズーム表示可能なメディア表示内容において、ズーム操作による拡大表示が行われた際のさらに別の効果についての特徴を示している例示的な表示処理シナリオを図示する図
図10】ビデオ・クリップを含むメディア群に関するズーム表示可能なメディア表示内容において、ズーム操作による拡大表示が行われた際の効果についての特徴を示している例示的な表示処理シナリオを図示する図
図11】メディア群に関するメディア群コンテキスト情報を使用して、メディア群に含まれる複数のメディア・オブジェクトの配列状態についての特徴を示している例示的な表示処理シナリオを図示する図
図12】メディア群に含まれる複数のメディア・オブジェクトについての互いに異なるプロパティを表現している2つの軸を使用してメディア群に含まれる複数のメディア・オブジェクトの配列状態についての特徴を示している例示的な表示処理シナリオを図示する図
図13】本明細書中が開示する一つ以上の技術内容を実装する基盤となる例示的なコンピューティング環境を図示する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に添付した特許請求の範囲に記載された発明の主題は、以下において添付図面を参照しながら説明され、添付図面および本明細書の全体を通して同様の符号番号は、同様の構成要素を意味するものとして使用されている。本明細書の以下の説明においては、本発明の技術内容を理解することを目的として、特許請求の範囲に記載された発明の主題についての包括的な理解を可能とするための数多くの具体的詳細内容が記述される。しかしながら、当該技術分野における当業者であれば、これらの具体的詳細内容が無くとも特許請求の範囲に記載された発明の主題を実施することが可能であることが理解できよう。その他の事例においては、特許請求の範囲に記載された発明の主題を説明し易いようにするために、構造や装置などはブロック図の形で示されている。
【0013】
<A.導入部>
コンピュータによる情報処理の分野において実行される数多くのシナリオは、複数のメディア・オブジェクトから成る一組を具備するメディア群をユーザに対して視覚的に表示する処理を伴い、そのようなメディア・オブジェクトには、写真画像や図面のような静止画像;アニメーションや実世界または仮想世界をビデオ映像として記録したもの;音楽や会話や環境音をオーディオ・コンテンツとして記録したもの;テキスト内容、図式的な作業内容、新聞または漫画のような電子文書;映像と音声の両者を記録したコンテンツ、アニメーションが埋め込まれた電子文書類;または多種多様なタイプのオブジェクトを具備する混合型のオブジェクト群が含まれる。これらのオブジェクトは、以下のようにして生成されたオブジェクトである。例えば、ユーザによって旅行中に撮影されたもの;当該ユーザの知人であって、写真のコレクションを作成するためにメディア・オブジェクトを選択する人によって生成されたもの(例えば、他のユーザによって撮影され、ソーシャル・ネットワークや写真データ共有サービスを介して当該ユーザとの間で共有される写真画像など);または独立して提供されるサービス(例えば、収録されている写真の一部をユーザが取得した際の取得元である画像蓄積データベースなど)によってユーザに配信されたメディア・オブジェクトなどである。
【0014】
上記のようなシナリオにおいては、ユーザは様々な方法を介してメディア群の表示内容を閲覧するための要求を発する。第1の例として、メディア群に含まれる複数のメディア・オブジェクトは、例えば、モンタージュ画像のように任意の(例えば、ランダム化された)並び順のオブジェクト系列として順序付けられた状態で表示されたり、コラージュ合成画像のように同時並列的に表示されたりすることが可能である。第2の例として、例えば、ユーザがデザインした写真アルバム等のように、メディア群の組織化態様は、ユーザから与えられる入力操作内容によって決定される場合があり、あるいはそれ以外の多種多様な基準に従って自動的に生成される場合もある。第3の例として、複数のメディア・オブジェクトは、非対話型の方法または対話的方法に従って表示されることが可能であり、例えば、ユーザとの間の対話内容に依存しない非対話型の方法とは、静的に定まった画像の集合を表示する場合に対応し、また、ユーザとの間の対話内容に応じた対話的方法とは、ユーザが所望の表示切り替えレートや表示順序でナビゲート操作することが可能なスライド・ショーなどを表示する場合に対応する。
【0015】
図1は、ユーザ106に視覚的に提示されるべき多種多様なメディア・オブジェクト104(ここでは、複数の画像として図示されている)を具備したメディア群102の特徴を示している例示的な表示処理シナリオ100を図示している。数多くの種別のメディア表示内容がユーザ106に対する提示のためにメディア群102からレンダリング処理(描画処理)される。図1に示す例示的なシナリオ100は、自動的に生成されるメディア表示内容の幾つかの具体例を示しており、この場合、ユーザ106による介入操作を伴わずに、例えばワークステーション、サーバ装置、タブレット型端末、スマートフォンまたはカメラ等の装置によってメディア群102から自動的に生成される。第1の例として、メディア群102はスライド・ショー108として視覚的に表示され、スライド・ショー108は、各々が短時間の間だけ表示される複数の画像を順番に表示するための系列を具備する。スライド・ショー108内における各画像の表示順序は、多種多様な方法で(例えば、ファイル作成時刻に従って時系列的な順序で、またはファイル名をアルファベット順に並べた順番で)ソート処理することが可能であり、ユーザ106は、スライド・ショー108の表示を受動的に閲覧するか又は画像表示を所望のレートで切り替えることを選択することが可能である。第2の例として、メディア群102は、サムネイル画像の配列110として表示されることが可能であり、サムネイル画像配列110は、メディア群102複数の画像サムネイル版の画像112集合を具備しており、サムネイル版画像112とは、それぞれの画像をフル解像度で閲覧した際の画像のコンテンツを縮小して表示する縮小版画像などである。ユーザ106は、サムネイル画像の配列110をスクロールし、対応するサムネイル版の画像112を選択することにより任意の画像をフル解像度で見ることが可能である。
【0016】
図1に示す例示的なシナリオ100における自動的に生成されるメディア表示内容は、ユーザ106、メディア群102に含まれる複数のコンテンツの一覧をレビューすること可能にする一方で、自動的に生成されるメディア表示内容についての上述した具体例は、特にメディア群102の規模が大きな場合に、ユーザ106幾つかの問題を提示する可能性がある。例えば、図1に示す例示的なシナリオ100におけるメディア群102は、1352個の画像を含んでおり、この事は、これらの画像をレビューするユーザ106にとって退屈な又はうんざりするものである可能性がある。さらに、メディア群102に含まれる多数のメディア・オブジェクト104の一部だけが、ユーザ106にとって特に興味があるか、又はユーザ106と特に関連している可能性がある。例えば、メディア群102に含まれる最初の4個の画像は、晴れた日の水面近くに立っている2人の人物を含んでいる同じ風景を写している場合がある。第1の画像はユーザ106にとって興味ある画像であるかも知れない。例えば、第1の画像は、全体が傾いて写っている第2の画像全体がぼやけた状態で写っている第3の画像ハッキリとした傷がついている以外は第1の画像と重複する冗長な画像であるような第4の画像よりも高品質なバージョンの風景を含んでいるかも知れない。メディア群102は、上記のような不適切な又は冗長なメディア・オブジェクト104を数多く含んでいる可能性があり、従って、メディア群102の全体をユーザ106に提示することは望ましくない場合がある。例えば、各画像毎の表示期間が5秒であったとしても、メディア群102全体のスライドショー108は2時間近くの時間を要し、メディア群102サムネイル画像配列110は、1352個のサムネイル版画像112を含むことがあり、これは、ユーザ106うんざりさせる可能性がある。
【0017】
ユーザ106からの介入操作を伴うことにより、メディア群102のレンダリングを上記のように選択的に実行する処理を一層改善することが可能である。例えば、ユーザ106は、メディア表示内容に含めるべきメディア・オブジェクト104から成るサブセットを明示的に定義することが可能である。ユーザ106によるこの作業を支援するために、メディア表示内容のデザイン・ツールを提供することが可能であり、このようなツール類には、メディア・アルバム生成用ユーティリティなどがあり、当該ユーティリティは、ユーザ106が、メディア群102の中から幾つかのメディア・オブジェクト104を選択し、これらのメディア・オブジェクト104から成るサブセット内の表示オブジェクト配列方法(例えば、表示する順序など)を指定し、当該選択した複数のメディア・オブジェクト104を編成したアルバム(オーディオ・ディスクや写真ディスクなど)を生成することを可能にする。
【0018】
図2は、メディア群102からユーザによってコラージュ合成画像202の形で生成されたメディア表示内容の特徴を示している例示的な表示処理シナリオ200を示している。例えば、ユーザ106は、一つ以上のコラージュ合成画像のページ202を生成することが可能であり、各ページは、選択された複数の画像の各々に所望の見出しを付け、所望の比率で拡大縮小し、所望の位置に配置して成る画像から構成される。従って、コラージュ合成画像202は、選択された複数のメディア・オブジェクトを、ユーザ106によって所望される態様で組織化したものを表示するページであり、例えば、要約した表示内容や一定のテーマで統一された表示内容や物語性のある表示内容などのように選択された複数のメディア・オブジェクト104とメディア群102に何らかの意味のある文脈を持たせることが可能な表示内容である。しかしながら、コラージュ合成画像202を生成する作業は、作業中のユーザ106による過度な集中力を必要とし、これには例えば、基準を満たさない画像を除外し、互いに冗長な内容の画像同士を比較して選択するなどして、メディア群102全体の中身を選別してゆくために必要な集中力などが含まれる。特にメディア群102の規模が大きな場合(例えば、1352個の画像により構成されるメディア群102から画像を選択して写真アルバムを編成することを試みる作業など)、ユーザ106は、コラージュ合成画像202などの生成作業のために上記のような集中力を割くことに興味を示さないか、又はそこまでのことは出来ない。
【0019】
<B.本発明が提案する技法>
以下の説明において開示されるのは、メディア群102の適切なメディア表示内容を生成する際に、ユーザ106による作業の複雑さや必要とされる集中力を低減させることを目的として、メディア群102の生成を容易にする技法である。これらの技法に従って、メディア群102に含まれる複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれについて、メディア群102の中の他のメディア・オブジェクト104と比較した場合の各メディア・オブジェクト104の相対的な等級格付け(例えば、表示品質、ユーザ106との間の関連性の程度および/またはユーザ106がどの程度興味を示すかなどを示す指標)を識別することが可能である。これらの等級格付けは、ユーザ106によって明示的に特定することも可能であり;ユーザ106のアクティビティの高さ(例えば、ユーザ106が各画像を閲覧した時間の長さ)に基づいて特定されることも可能であり;および/または自動的に特定する(例えば、メディア群102に含まれるそれぞれの画像の品質を推定するために画像品質評価アルゴリズムを適用するなど)ことも可能である。さらに、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれはメディア群102に含まれる他のメディア・オブジェクト104との間で何らかの関連性を持っていると識別される場合があり、例えば、メディア群102に含まれる他の複数の画像のサブセットとして、これらと同じ日に撮影された第1の画像が含まれていたり、メディア群102に含まれる他の複数の画像のサブセットとして、同じ場所で撮影されたり同じ被写体を写していたりする第1の画像が含まれていたりする。これらの関連性は、ユーザ106によって明示的に識別される(例えば、ユーザがこれらの画像をファイル・システム内の複数の異なるフォルダに明示的に仕分けするなど)ことも可能であるし、ユーザ106の操作に基づいて暗黙的に識別される(例えば、各画像に写っている被写体を表すような方法で各画像毎に名前やタグを付け、同じ被写体が写っている画像を見分けるために、名前やタグを比較する)ことも可能であるし、および/または上記関連性を自動的に識別する(例えば、顔画像認識アルゴリズムを使用して各画像に写っている人物を識別するなど)ことも可能である。
【0020】
これらの技法に従って、メディア群102はズーム表示可能なメディア表示内容としてレンダリング(描画)され、この際、ユーザ106は当該メディア表示内容を異なる詳細表示レベルで閲覧するために、当該メディア表示内容の一部をズームイン操作により拡大表示したり、ズームアウト操作により縮小表示したりする動作を選択可能である。さらに、ユーザ106がメディア群102に含まれる特定のメディア・オブジェクト104についてより詳細化した内容またはより概略化した内容を閲覧することを可能とすることに加えて、当該メディア表示内容のズーム表示状態は、メディア群102の特定の部分についてより詳細化した内容またはより概略化した内容を閲覧するための「ドリルダウン操作」を表すメタファーとして使用することが可能である。例えば、メディア群102は、まず最初に低いズーム表示レベルで表示され、このとき、メディア群102の中で高い等級格付けを持つメディア・オブジェクト104だけが表示されている。特定のメディア・オブジェクト104の近傍部分において、初期状態とは異なるズーム表示状態(ズーム表示可能なメディア表示内容の中の特定の箇所において、もっと高いズーム表示レベルへとズームインすること)がユーザにより選択された際、当該ズーム表示可能なメディア表示内容は、当該特定のメディア・オブジェクト104の近傍領域内にズーム操作の対象となったメディア・オブジェクト104と関係付けられる(例えば、撮影された日が同じだったり被写体が同じだったりする)がズーム操作の対象となったメディア・オブジェクト104よりも低い等級格付けを持っている一つ以上の追加的なメディア・オブジェクト104を挿入することが可能である。さらに、これらのメディア・オブジェクト104は、各メディア・オブジェクト104毎の等級格付け及びズーム表示レベルに従って、拡大縮小されることが可能であり例えば、特定のズーム表示レベルにおいて、高い等級格付けを持つメディア・オブジェクト104は、大きい表示サイズで表示され、中くらいの等級格付けを持つメディア・オブジェクト104は、中くらいの表示サイズで表示され、低い等級格付けを持つメディア・オブジェクト104は、小さい表示サイズで表示される(またはユーザ106がこれらのメディア・オブジェクト104の近傍部分においてさらに高いズーム表示状態に遷移させるまで表示が隠される)などのことが可能である。このようにして、ズーム表示可能なメディア表示内容に関するズーム表示レベルは、メディア群102の中において、ズーム操作の対象となったメディア・オブジェクト104と関係したより多くのメディア・オブジェクト104を閲覧するため、ユーザ106によって出される要求として解釈することが可能である。従って、メディア群102は階層構造として表示され、その初期状態においては、メディア群102の中で最も高い等級格付けを持つメディア・オブジェクト104の小さなサブセットだけを表示するが、その他のメディア・オブジェクト104へのアクセスは、文脈上「ドリルダウン操作」メタファーとして親しまれているズーム表示操作を使用することによって直ちに可能となる。
【0021】
図3および図4は共に、本明細書に開示される技法に従ってメディア群のメディア表示内容を視覚的に提示する処理動作の特徴を示している例示的なシナリオを図示する。図3に示す例示的なシナリオ300においては、メディア群102はユーザ106によってアクセス可能な1352個のメディア・オブジェクト104を具備しており、ユーザ106は、そのメディア表示内容を閲覧したいと望んでいるものとする。ユーザ106は複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれに関する等級格付け302を星無しから五つ星までの五段階の尺度の上で特定することが可能であり、五つ星の等級格付け302は、画像の品質が高い、またはユーザ106と画像との間の関連性のレベルやユーザ106にとっての興味のレベルが高いことを表しており、一つ星の等級格付け302は、画像の品質が低い、またはユーザ106と画像との間の関連性のレベルやユーザ106にとっての興味のレベルが低いことを表している。ユーザ106は、メディア群102に含まれるこれらの画像の幾つか又は全てについて等級格付けを明示的に決定することが可能である。例えば、最初の3個の画像の中において、ユーザ106は、最初の画像における撮影シーンの表現に訴求力があるとして当該最初の画像に4つ星の等級格付け302を割り当て、第2の画像においては同じ撮影シーンが斜めに偏った方向から写っているとして当該第2の画像に2つ星の等級格付け302を割り当て、第3の画像においては同じ撮影シーンが焦点ボケの状態で写っているとして当該第3の画像に1つ星の等級格付け302を割り当てることが可能である。代替的に、または追加的に、ユーザ106にメディア群102を提示している装置は、ユーザ106からのメディア・オブジェクト104に対する対話操作308をモニタリングしながら、その結果に基づいて画像毎の等級格付けを推測することが可能である。例えば、メディア群102を閲覧している間に、ユーザ106は特定のメディア・オブジェクト104を選択することが可能であり;特定のメディア・オブジェクト104を長時間にわたって閲覧し続けることが可能であり;特定のメディア・オブジェクト104のサイズを変更する(例えば、より詳細な内容を閲覧するためにメディア・オブジェクト104を拡大表示したり、逆にメディア・オブジェクト104のサイズを縮小表示させたりする)ことが可能であり;および/または別のユーザ106との間でメディア・オブジェクト104を共有したりする(例えば、メディア・オブジェクト104を添付したメッセージ310を友人312に送信する等)ことが可能である。上記のような対話操作308から、当該装置は、当該メディア・オブジェクト104の等級格付け302を推測することが可能となる例えば、ユーザ106が第1のメディア・オブジェクト104を閲覧している時間が、より低い等級格付け302を有する第2のメディア・オブジェクト104を閲覧している時間よりも長い場合、第1のメディア・オブジェクト104に対しては等級格付け302をより高く特定し、ユーザ106が拡大表示することを選択した画像に対しては、当該画像の等級格付けをより高く特定、ユーザ106が縮小表示することを選択した画像や表示を隠すことを選択した画像に対しては、当該画像の等級格付けをより低く特定する。加えて、当該装置は、複数のメディア・オブジェクト104同士の間に存在する一つ以上の関係性を特定することが可能である(例えば、メディア・オブジェクト104同士が同じ日に作成されていたり、同じ被写体を写していたり、メディア・オブジェクト104同士がユーザ106によって一纏めにされたりしている場合など)。
【0022】
本明細書中に開示されている技術内容に従うならば、上記のような等級格付け302と関連性は、メディア群102のズーム表示可能なメディア表示内容を生成するために使用することが可能であり、上述したズーム表示レベルは、「ドリルダウン操作」によりメディア群102内部の詳細表示レベルを変化させるよう調整することが可能である。4は、様々な表示状態における上述したズーム表示可能なメディア表示内容402の特徴を説明するための例示的なシナリオ400を図示している。第1の状態406(例えば、初期状態)において、ズーム表示可能なメディア表示内容402は、低いズーム表示レベル404において視覚的に表示され、メディア群102内において他者と比較して高い等級格付け302を有するメディア・オブジェクト104だけをフィーチャーしている(例えば、メディア群102の中で等級格付けが上位10%に入るメディア・オブジェクト104だけ、または等級格付けが4つ星や5つ星のメディア・オブジェクト104だけをフィーチャーする)。第2の状態408においては、(例えば、ユーザ106によって与えられ、又はアプリケーションによって指定される)ズームイン操作410が検出されることが可能であり、当該ズームイン操作は、ズーム表示可能なメディア表示内容402の中の特定の場所において相対的に高いズーム表示レベル404を要求する。さらに、ズーム表示可能なメディア表示内容402の中の当該特定の場所は、高い等級格付け302を有するメディア・オブジェクト104の近傍とすることが可能である。本明細書中に開示されている技術内容に従うならば、第3の状態412においては、ズーム表示可能なメディア表示内容402は、ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414の近傍部分において相対的に高いズーム表示レベルにおいて視覚表示されており、中くらいの等級格付け302を有し、かつズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414と関連付けられ第2のメディア・オブジェクト104もズーム表示可能なメディア表示内容402の中に視覚表示されることが可能である。第2のメディア・オブジェクト414の近傍部分において追加のズーム表示操作410がされた結果として、ズーム表示可能なメディア表示内容402は高いズーム表示レベル404において表示がされる第4の状態416となり、低い等級格付け302を有し、かつ第2のメディア・オブジェクト104と関連付けられ第3のメディア・オブジェクト104もまた、ズーム表示可能なメディア表示内容402の中における第2のメディア・オブジェクト104の近傍領域内に視覚表示されることが可能である。この第4の状態416においてズームアウト操作418がされた結果として、表示状態は、第3の状態412へと逆戻りし、それに伴う任意付加的な動作として、低い等級格付け302を有するメディア・オブジェクト104が表示内容から除外される。加えて、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれは、ズーム表示レベル404およびメディア・オブジェクト104毎の等級格付け302に従って、ズーム表示可能なメディア表示内容402の中で拡大縮小表示がされる(例えば、高い等級格付け302を持つメディア・オブジェクト104は、相対的に大きい表示サイズで表示されるように拡大表示され、低い等級格付け302を持つメディア・オブジェクト104は、相対的に小さい表示サイズで表示されるように縮小表示される)。このようにして、メディア群102のズーム表示可能なメディア表示内容402は、本明細書中に開示されている技術内容に従って、ズーム表示操作として親しまれている操作を使用して階層構造的な態様でユーザ106がメディア群102と対話することを可能にする。
【0023】
<C.例示的な実施例>
図5は、本明細書中で開示される技法に関する第1の実施例に従って、少なくとも一つのメディア・オブジェクト104を具備しているメディア群102を視覚的に表示するための例示的な方法500を説明するフローチャートである。当該方法500は、本明細書中で開示される技法に従ってメディア群102を視覚的に表示する処理を、命令コードにより処理装置に実行させることが可能であり、当該命令コードは、処理装置上のプロセッサにより実行された際に、プロセッサによる実行が可能な命令コードである。当該例示的な方法500は、処理ステップ502において一連の処理の実行を開始し、処理ステップ504において当該装置に命令を送信する動作を伴う。特に、上述した命令は、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれについて、メディア群102内における等級格付け302を識別(処理ステップ506)するように設定されている。当該命令はさらに、メディア表示内容を視覚的に表示すべき旨の要求を受信した際に、低いズーム表示レベルにおいて、高い等級格付け302を有するメディア・オブジェクト104を備えるの低いズーム表示レベルでは、メディア群102の中で他者と比較して低い等級格付け302を有するメディア・オブジェクト104は含まない)ズーム表示可能なメディア表示内容402を視覚的に表示する(処理ステップ508)ように設定されている。当該命令はさらに、ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414の近傍部分においてズーム表示可能なメディア表示内容402をズーム表示すべき旨の要求を受信した際に、ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414と関連付けられ、かつズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414よりも低い等級格付けを有するメディア・オブジェクト104を、ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414の近傍領域内に挿入する(処理ステップ510)ように設定されている。このようにして、プロセッサ上に実行可能な命令コードの設定内容は、本明細書中に開示されている技術内容に従って、メディア群102に関するズーム表示可能なメディア表示内容402を当該装置に視覚的に表示させ、その結果、当該例示的な方法500は処理ステップ512において実行を終了する。
【0024】
図6は、本明細書中で開示される技法に関する第1の実施例に従って、少なくとも一つのメディア・オブジェクト104を具備しているメディア群102のズーム表示可能なメディア表示内容を生成するための例示的な方法600を説明するフローチャートである。当該方法600は、例えば、本明細書中で開示される技法に従ってメディア群102を視覚的に表示する処理を、処理装置に実行させるように設定された命令コードのセットを具備することが可能であり、当該命令コードのセットは、当該処理装置上のメモリ部品(メモリ回路、ハード・ディスク・ドライブ装置内の記録メディア、半導体ストレージ機器、磁気ディスクまたは光学ディスクなど)の中に記憶されている命令コードのセットであって、処理装置上のプロセッサにより実行された際に、プロセッサによる実行が可能な命令コードのセットである。当該例示的な方法600は、処理ステップ602において一連の処理の実行を開始し、処理ステップ604において、当該処理装置内のプロセッサにより命令コードを実行する動作を伴う。特に、上述した命令コードは、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれについて、メディア群102内における等級格付け302を識別(処理ステップ606)するように設定されている。当該命令コードはさらに、ズーム表示可能なメディア表示内容402を、低いズーム表示レベル404において視覚的に表示する(処理ステップ608)ように設定され、この場合、ズーム表示可能なメディア表示内容402は、(比較的)高い等級格付け302を有するメディア群102のメディア・オブジェクト104を備える(この低いズーム表示レベルでは、メディア群102の中で他者と比較して低い等級格付け302を有するメディア・オブジェクト104は含まない)。当該命令コードはさらに、ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414の近傍部分ズーム表示状態へと遷移した際に(処理ステップ610)、ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414と関連付けられ、かつズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414より低い等級格付け302を有するメディア・オブジェクト104を、ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414の近傍領域に表示する(処理ステップ612)し、ズーム表示状態とメディア・オブジェクト104毎の等級格付け302に従って、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれを拡大縮小表示する(処理ステップ614)ように設定されている。このようにして、当該処理装置に対して送信された命令コードの設定内容は、プロセッサ上で実行された際に、本明細書中に開示されている技術内容に従って、メディア群102に関するズーム表示可能なメディア表示内容402を当該装置に生成させ、その結果、当該例示的な方法600は処理ステップ616において実行を終了する。
【0025】
さらに別の実施例は、本明細書中で開示される技法を適用するように設定されたプロセッサ実行可能命令コードを具備したコンピュータ読み出し可能記録媒体を伴う。そのようなコンピュータ読み出し可能記録媒体は、例えば、メモリ半導体(SRAM(スタティック型のランダム・アクセス・メモリ)、DRAM(ダイナミック型のランダム・アクセス・メモリ)および/または(SDRAM)同期型でダイナミック型のランダム・アクセス・メモリなどを利用した半導体メモリ・デバイス)、ハード・ディスク・ドライブ装置内の記憶メディア、フラッシュ・メモリ・デバイス、フラッシュ・メモリ・デバイスまたは磁気的/光学的なディスク(例えば、CD−R、DVD−Rまたはフロッピ・ディスクなど)などであって、そのようなコンピュータ読み出し可能媒体はさらに、(コンピュータ読み出し可能記録媒体とは異なる別個の技術類型として)多種多様な種類の通信媒体を含むことが可能であり、そのような通信媒体の具体例としては、様々な物理現象を介して伝搬することが可能な信号(例えば、電磁気的な信号、音響波の信号または光学的な信号など)、有線伝送を使用した(例えば、Ethernet(登録商標)や光ファイバ・ケーブルを介した)シナリオによって伝搬する信号、または無線伝送を使用した(例えば、WiFiのような無線LAN、Bluetooth(登録商標)等のようなPAN(パーソナル・エリア・ネットワーク)、携帯電話網または無線網などを介した)シナリオによって伝搬する信号などが含まれ、当該通信媒体を介して伝搬する信号は、処理装置のプロセッサによって実行された際に、本明細書中で開示される技法を当該処理装置に実施させるように設定されたコンピュータ読み取り可能命令コードのセットを符号化することが可能である。
【0026】
図7は、本明細書中で開示される技法に関する第3の実施例に従って、コンピュータ読み出し可能なデータ704が符号化される媒体である例示的なコンピュータ読み出し可能媒体700(例えば、CD−R、DVD−Rまたはハード・ディスク・ドライブ装置内の記憶メディアなど)を図示している。上述したコンピュータ読み出し可能なデータ704はさらに、処理装置712上のプロセッサ710によって実行された際に、本明細書中において上述した一群の動作原理に従って、処理装置712を動作させるコンピュータ実行可能な命令コードのセット706を具備している。そのような実施例においては、コンピュータ実行可能な命令コードのセット706は、例えば、図5に関して上述した方法500のように、少なくとも一つのメディア・オブジェクト104を具備しているメディア群102を視覚的に表示するための方法708を実行するように設定されることが可能である。そのような実施例のさらに別の変形例においては、コンピュータ実行可能な命令コードのセット706は、例えば、図6に関して上述した方法600のように、少なくとも一つのメディア・オブジェクト104を具備しているメディア群102のメディア表示内容を生成するための方法708を実行するように設定されることが可能である。このようなコンピュータ読み出し可能媒体700に係る幾つかの実施例は、上記のような態様で設定されたプロセッサ実行可能な命令コードを記録するように構成され、伝送媒体とは異なる類型のコンピュータ読み出し可能記録媒体(例えば、ハード・ディスク・ドライブ装置、光学ディスクまたはフラッシュ・メモリ・デバイスなど)を具備することが可能である。当該技術分野における当業者の工夫により作成されることが可能な数多くのそのようなコンピュータ読み出し可能媒体700は、本明細書において開示された技術内容に従って処理装置712を動作させるように設定されている。
【0027】
<D.変形実施例>
本明細書中において上述した技術内容を基にして、当業者の工夫により数多くの技術的側面における様々な変形実施例を考えることが可能であり、そのような変形実施例の中の幾つかは、本明細書において上述した技法またはそれ以外の技法と比較して、より優れた技術的利点を実現したり、技術的に不利となる問題をより軽減したりすることが可能である。加えて、そのような変形実施例の中の幾つかは、互いに組み合わせて実施することが可能であり、そのような組み合わせの中の幾つかは、組み合わされた変形実施例同士の相乗効果により、一層優れた技術的利点を実現したり、技術的に不利となる問題を一層軽減したりすることが可能である。これらの変形実施例は、個別の技術的利点や相乗効果により利点を上述した様々な実施例(例えば、図5に関して上述した例示的な方法500や図6に関して上述した例示的な方法600など)に対して与えるために、上述した様々な実施例の中に組み込むことも可能である。
【0028】
<D(1):シナリオ>
本明細書に開示された技法に係る複数の実施例の中で様々に異なることが可能な第1の技術的側面は、そのような技法が利用される幾つかのシナリオと関係している。この第1の技術的側面の第1の変形例として、これらの技法は数多くの種類の装置の上で実装することが可能であり、そのような装置は、メディア群102のメディア表示内容をレンダリング処理(描画処理)するように構成設定されたクライアント装置や別の装置の上でレンダリング処理される表示内容としてメディア表示内容を提示するように構成されたサーバ装置など(例えば、クライアント装置のWebブラウザ画面においてレンダリング処理されるWebページとしてメディア表示内容を生成するWebサーバなど)を含んでいる。そのような装置はさらに、ワークステーション、サーバ装置、ノートブック型端末、タブレット型端末および/またはパームトップ型コンピュータ、携帯電話、メディア再生装置、ゲーム操作用端末、テレビ受信機、スチル・カメラや動画撮影カメラ、パーソナル・データ・アシスタント(PDA)およびGPS(全地球測位システム)受信機などを含むことが可能である。そのような装置はさらに、キーボードやポインティング・デバイス(マウス等)からの入力操作、タッチ操作による入力操作、身振り手振りや視覚的な入力(例えば、ユーザの身体の位置や状態を認識するように設定された動画撮影カメラなどを介した入力)による入力操作、または音声による入力操作を含む様々な入力手段を介してユーザからの入力操作内容を受信し、ディスプレイ装置部品、スピーカー部品または触覚デバイスなどを含む様々な出力手段を介してユーザに出力を提供することが可能である。加えて、そのような装置は、同じ装置の上にローカルに記憶されているメディア群102を視覚的に表示したり、別の装置(同じネットワーク内に設けられたファイル・サーバなど)の上でローカルに利用可能なメディア群102またはメディア群102を格納するために遠隔に設置されたサーバ装置上で利用可能なメディア群102を視覚的に表示したりすることが可能である。
【0029】
この第1の技術的側面の第2の変形例として、上述した技法は、数多くの種類のメディア群102と共に利用することが可能であり、そのようなメディア群の具体例には、複数の画像(例えば、写真画像、絵画や図面の画像など)の集合、ビデオ録画内容(例えば、アニメーションまたは現実世界や仮想世界をキャプチャしたもの)、音声録音(例えば、実際の会話や合成音声を録音したものや音楽や環境音を録音したものなど)および/または電子文書データ(テキスト内容、図解を含む文書、新聞または漫画などを内容とする文書データ)が含まれる。メディア群102はさらに、混合型のメディア・オブジェクト104(例えば、ビデオ録画内容が埋め込まれた電子文書データなど)を一つ以上含む場合があり、当該混合型のメディア・オブジェクト104は、複数の異なる種別のメディア・オブジェクト104を含むことが可能である。メディア群102および/またはメディア・オブジェクト104はさらに、デジタル著作権管理技術(DRM)によってプロテクト(アクセス保護機能)がかけられている場合があり、および/またはライセンス許諾に関わる様々な利用制限が課せられていたり、上記のようなプロテクトやライセンス上の利用制限が無い場合もある。
【0030】
この第1の技術的側面の第3の変形例として、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれについて、多種多様なタイプの等級格付けを特定することが可能である。例えば、等級格付けの数値的な範囲を定めるスペクトルやスケールがメディア群102に関して設定され、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれについての等級格付け302は、当該スペクトルやスケール(例えば、星の数が1個から10個までの範囲にわたる等級格付けなど)の中での各メディア・オブジェクト104の座標位置を識別することが可能である。代替的に、等級格付け302は、例えば、各メディア・オブジェクト104に関して上限や下限の定めの無い評価指標等のような任意の指標により識別することが可能であり、このような指標の具体例としては、各メディア・オブジェクト104をユーザ106が閲覧するのに費やした時間の秒単位での長さなどがある。さらに別の代替例として、第1のメディア・オブジェクト104の等級格付け302は、メディア群102に含まれる第2のメディア・オブジェクト104から見て相対的な等級格付けとすることが可能であり、例えば、複数のメディア・オブジェクト104は、メディア群102内においてリスト構造やツリー構造などの構造を成すように組織化することが可能であり、このようなリスト構造やツリー構造は、メディア群102内で、他のメディア・オブジェクト104と比較した場合における各メディア・オブジェクト104に関するユーザとの間の関連性の相対的な度合いやユーザが示す興味の相対的な度合い等を表している。
【0031】
この第1の技術的側面の第4の変形例として、メディア群102は様々な方法で組織化することが可能である。第1の例として、複数のメディア・オブジェクト104は、順序が定められていない集合、順序が定められたリスト構造(順番に番号が付けられたファイル名やその他の識別子を有する複数のメディア・オブジェクト104から成る集合)などのような任意の方法で構成されるコレクションとして表示されることが可能であり、また、データベース内の複数のリレーションから成る組や(ツリー構造や階層構造を持つファイル・システムなどのような)階層的な組織構造内におけるそれぞれのメディア・オブジェクト104の位置などの様々な表現手段により階層的な方法で表示されることも可能である。このような組織化は、本明細書で開示される技法の数多くの技術的側面において利用することが可能である(例えば、複数のメディア・オブジェクト104同士の間の関係性(例えば、階層的なファイル・システムにおいてフォルダ毎にグループ化されたメディア・オブジェクト同士の間の関係性など)を表したり、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれについての等級格付け302を識別したりするなど)。代替的に又は追加的に、第1のメディア群102は、実際には第2のメディア群102に含まれている複数のメディア・オブジェクト104を含んでいることが可能であり、その結果、あるメディア・オブジェクト104の上でズームイン操作を実行すると、第2のメディア群102内において高い等級格付け302を有するメディア・オブジェクト104がまず最初に表示され、表示中のメディア・オブジェクト104の近傍において続けてさらにズームイン操作を実行すると、ズーム表示操作の対象となっているメディア・オブジェクト414よりも低い等級格付け302を有する他のメディア・オブジェクト104を、ズーム表示操作の対象となっているメディア・オブジェクト414の近傍領域内に表示される。当該技術分野における当業者であれば、本明細書が開示する技法を利用することが可能な数多くのシナリオを工夫することが可能であろう。
【0032】
<D(2):メディア群内における等級格付けとオブジェクト間の関係性を識別する処理>
本明細書に開示された技法に係る複数の実施例の中で様々に異なることが可能な第2の技術的側面は、メディア群102に関して、メディア・オブジェクト104毎の等級格付け302やオブジェクト同士の間の関係性を含み、ズーム表示が可能なメディア表示内容を実現可能にするための情報を識別する方法と関係している。第1の変形例として、メディア群102に含まれる複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれに関する等級格付け302がユーザ106によって識別されることが可能であり、装置712は、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれに関する等級格付け302をユーザ106から受信し、当該受信した等級格付け302を記憶し、メディア群102に関するズーム表示可能なメディア表示内容402を生成する際に、当該等級格付け302を利用するように構成されることが可能である。例えば、図3に図示した例示的なシナリオにおいて例示されているように、メディア群102内に含まれる複数のメディア・オブジェクト104は、メディア・オブジェクト104毎の等級格付けをユーザ106が選択することを可能にするためのビジュアル表示された制御操作手段と一緒に視覚的に表示される。代替的に、メディア・オブジェクト104毎の等級格付けは、例えば、ユーザ106に対して一つ以上のメディア・オブジェクト104を表示している間に、当該表示されているメディア・オブジェクト104に対するユーザ106からの対話操作308をモニタリングすることにより、自動的に推測されることが可能である。例えば、複数のメディア・オブジェクト104の中で、ユーザ106が閲覧するために選択したり、ユーザ106が長時間にわたって閲覧したもの、(メディア・オブジェクト104をより大きな表示サイズのバージョンに拡大表示する等して)ユーザ106が表示サイズを拡大したもの、ユーザ106がストレージに保存したり、ブックマークしたり、ユーザ自身と関連性があるとしてタグ付けをしたりしたもの、および/または他のユーザや友人と共有したりしたものなどに関しては、識別される等級格付けを高くすることが可能である。これとは反対に、複数のメディア・オブジェクト104の中で、ユーザ106が関心を示さなかったことによりユーザ106により選択されなかったり、短時間だけしか閲覧しなかったりしたもの、(メディア・オブジェクト104の表示サイズをもっと小さなサイズに縮小表示する等して)表示サイズを縮小したもの、ユーザ自身と無関係であるとしてタグ付けしたもの、および/またはコレクションから除外されたものなどに関しては、識別される等級格付けを低くすることが可能である。加えて、ズーム表示可能なメディア表示内容を提示されているユーザ以外の別のユーザ106からの対話操作308によっても、等級格付け302を明示的に特定したり自動的に推測したりすることが可能であり、例えば、ソーシャル・メディア・ネットワークの内部においては、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれについて、多種多様なユーザ106が等級格付け302を識別することが可能であり、さらに、メディア群102に関するズーム表示可能なメディア表示内容402を生成するために、複数のメディア・オブジェクト104全体に関する集約的な等級格付け302を使用することも可能である。ユーザ106に対するメディア群102の表示内容は、ユーザ106によるメディア・オブジェクト104への等級格付け302の割り当てに応じて変化する場合もある。例えば、あるメディア・オブジェクト104にユーザ106がより高い等級格付け302を割り当てると、ユーザ106に対して表示中の表示内容において、当該メディア・オブジェクト104は拡大表示され、あるメディア・オブジェクト104にユーザ106がより低い等級格付け302を割り当てると、ユーザ106に対して表示中の表示内容において、当該メディア・オブジェクト104は縮小表示される。
【0033】
この第2の技術的側面に関する第2の変形例として、メディア群102に含まれる複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれに関する等級格付け302は、メディア群102に含まれる複数のメディア・オブジェクト104に対してユーザ106が注意を向けたり指示を与えたりする必要は無いけれども、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれに関するプロパティに基づいて、自動化された方法により決定することが可能である。この第2の変形例に関する第1の具体例として、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれに関して、メディア・オブジェクト毎の表示品質が評価され、当該評価されたメディア・オブジェクト毎の表示品質に比例する形で、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれに関する等級格付け302を選択することが可能である。例えば、画像を具備しているメディア・オブジェクト104については、画像品質評価技術を利用して、当該画像の画像品質(例えば、鮮明度、焦点ボケの程度、コントラストおよび撮影方向)を評価し、当該評価された画像毎の画像品質に比例する形で各画像の等級格付け302を識別することが可能である。
【0034】
この第2の変形例に関する第2の具体例として、メディア群102に含まれる複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれは、ユーザ106にとって重要である可能性がある一つ以上の被写体と関係している場合があり、各メディア・オブジェクト104についての等級格付け302は、当該メディア・オブジェクト104に関連付けられている複数の被写体の中で特定の被写体がユーザ106にとって重要である度合いに比例する形で選択することが可能である。例えば、ユーザ106は、ソーシャル・メディア・ネットワーク内において複数の個人との間で何らかの関係や人間的繋がりを持っており、そのような関係の幾つかは、近しい関係(ユーザ自身やその家族の一員、または親友など)であり、他の関係は平均的な関係(親友よりも疎遠な友人)であり、さらに別の関係として、単なる一時的な知人のような疎遠な人との関係などがある。一人以上の個人が写っている画像のようなメディア・オブジェクト104においては、当該画像内に写っている個人の生体的特徴を利用して、当該画像内に写っている個人を識別することが可能であり、当該画像に関する等級格付け302は、画像内に写っている各個人に対してユーザ106が持っている興味の程度に基づいて選択することが可能である。
【0035】
この第2の変形例に関する第3の具体例として、例えば階層構造のような、メディア群102の組織的な構造を利用してメディア群102に含まれる複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれに関する等級格付け302を識別することが可能である。例えば、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれに関するそのような等級格付け302は、当該階層構造内におけるメディア・オブジェクト104毎の階層位置との相対関係で選択することが可能である(例えば、ファイル・システムの一部に格納されたメディア群102に関しては、当該ファイル・システムのルートの近くに格納されているメディア・オブジェクト104ほど高い等級格付け302を割り当てられ、ファイル・システム階層構造の深い部分に格納されているメディア・オブジェクト104ほど低い等級格付け302を割り当てられるようにするなど)。代替的に又は追加的に、複数のメディア・オブジェクト104から成る特定のメディア・オブジェクト集団(例えば、ファイル・システム内の同じフォルダや同じ階層にファイルとしてそれぞれ格納されている一群のメディア・オブジェクト104など)に関しては、当該メディア・オブジェクト集団を代表する一つのメディア・オブジェクト104が選択され、当該集団を代表するメディア・オブジェクト104に関して、同じ集団に属するその他のメディア・オブジェクト104よりも高い等級格付け302を選択することが可能である。
【0036】
この第2の技術的側面に関する第3の変形例として、複数のメディア・オブジェクト104同士の間の複数の関係性(そのような関係性は、例えば、ズーム表示可能なメディア表示内容402において、ズーム表示操作の対象とされているメディア・オブジェクト414の近傍領域内に挿入されるべきメディア・オブジェクト104の候補を選択するために使用することが可能である)のそれぞれは、多種多様な方法により識別されることが可能である。例えば、上記のような関係性は、ユーザ106によって明示的に特定される(例えば、メディア・オブジェクト104同士の間において直接的な関係性が指定されたり、上記のような関係性によって互いに関係付けられているメディア・オブジェクト104同士の間で共有されているプロパティを識別するためのタグ情報を付加することによって特定する)ことが可能である。代替的に又は追加的に、上記のような関係性は、メディア・オブジェクト104同士の間で共有されているデータやメタデータ形式のプロパティに基づいて自動的に識別されることも可能である(例えば、同じ日に作成されたり同じ種別のメディア・オブジェクト同士、同じ装置や同じゆーっざによって生成されたメディア・オブジェクト同士、またはファイル・システム内の同じ格納場所に格納されているメディア・オブジェクト同士などを自動的に識別するなど)。当該技術分野における当業者であれば、本明細書が開示する技術内容を実施しながら、メディア群102内におけるメディア・オブジェクト104毎の等級格付け302やメディア・オブジェクト104同士の間の関係性を識別するための多種多様な方法を工夫することが可能であろう。
【0037】
<D(3):ズーム表示可能なメディア表示内容を生成する処理>
本明細書に開示された技法に係る複数の実施例の中で様々に異なることが可能な第3の技術的側面は、メディア群102に関して、ズーム表示可能なメディア表示内容402を生成するための方法と関係している。この第3の技術的側面に関する第1の変形例として、ズーム表示可能なメディア表示内容402は任意の方法によりズーム表示可能とすることが可能であり、例えば、ユーザ106は、ズーム表示可能なメディア表示内容402内における任意の場所に焦点を絞って任意のズーム表示レベルを選択することが可能である。代替的に、ズーム表示可能なメディア表示内容402は、離散的/段階的なズーム表示操作のみ可能なものとして表示することが可能であり、例えば、ユーザ106は、選択可能なズーム表示レベルやズーム操作を実行可能な場所が、事前に定義された一組に含まれる候補に制約されているズーム表示可能なメディア表示内容402を閲覧することが可能である。
【0038】
この第3の技術的側面に関する第2の変形例として、ズーム表示可能なメディア表示内容402において、複数の異なるタイプのズーム表示メカニズムによる視覚的効果を提示することが可能である。そのようなケースの第1の具体例として、ズーム表示可能なメディア表示内容402においてズーム表示レベルを変更することにより、メディア表示内容402の中に表示されている複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれに関する様々なプロパティ(メディア・オブジェクト104を表示する際のサイズ、表示品質、表示される内容の詳細さの程度などを含む)が変更され得る。例えば、電子文書データを表示しているメディア・オブジェクト104に対してズームイン操作を実行した結果として、電子文書がより大きい表示サイズに拡大されて提示され、このときの表示状態は、電子文書内のテキスト内容を描画するために使用されるフォントがより高い品質でレンダリング表示されたり、当該電子文書に関するより詳細なデータが表示されたり、当該電子文書の抜粋がより長いバージョンで表示されたり、当該電子文書の全ての内容がより大きいサイズに拡大されて表示されることなどを特徴としている。
【0039】
上記のようなケースの第2の具体例としては、ズームイン操作がされたことに応答して、ズーム表示可能なメディア表示内容402の中に追加的なメディア・オブジェクト104を挿入することにより、メディア群102の表示内容が様々な方法で変更される。図8は、メディア群102としてスライド・ショーを具備しているズーム表示可能なメディア表示内容402を実装する方法の特徴を示している例示的な表示処理シナリオ800を図示する。このスライド・ショーは、例えば、高い等級格付け302を有し、任意付加的に見出しを含む一連のメディア・オブジェクト104を時間的に並べた系列であって、構成要素となるメディア・オブジェクト間で表示を視覚的に切り替えられるようになっている一連のメディア・オブジェクト104の系列を表示し、切り替え表示中のスライド・ショーの閲覧を一時停止したり、切り替え表示の速度を速めたり遅くしたり、スライド・ショー内のメディア・オブジェクト104の並び順を変更したり各オブジェクトを編集したりする操作をユーザ106が行うことを可能にする。しかしながら、本明細書中で開示される技術内容に従うならば、当該スライド・ショーは、ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414と関連付けられた追加的なメディア・オブジェクト104を挿入したり除外したりすることにより、スライド・ショー内で順次表示されるメディア・オブジェクト104の系列(オブジェクトの並び方)を変更するズーム表示操作をさらに可能とする。例えば、図8に示した例示的シナリオ800の中の第1の状態802においては、メディア群102内において高い等級格付け302を有する第1のメディア・オブジェクト104は、短い期間の間だけ表示されることが可能である。ユーザ106によるユーザ入力操作が無ければ、図8に示したスライド・ショーの表示シナリオは、第2の状態804へと進み、メディア群102内において高い等級格付け302を有する第2のメディア・オブジェクト104が、短い期間の間だけ表示される。第2の状態804の期間内において、ズーム表示可能なメディア表示内容402の中でズームイン操作410が検出されたならば、図8の表示シナリオは第3の状態806に進み、ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト402(ズームイン操作が検出された際に、画面表示される第2のメディア・オブジェクト104)をより大きく拡大表示したサイズで描画しているズーム表示可能なメディア表示内容402を表示し、当該ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト402と関連付けられ、当該ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト402よりも相対的に低い等級格付け302を有する一つ以上のメディア・オブジェクト104を挿入することが可能である。続けてさらにズームイン操作を実行した結果として、本明細書中で開示される技術内容に従って、さらに追加のメディア・オブジェクト104が挿入されることが可能である。これとは反対に、第3の状態806の期間内において、ズーム表示可能なメディア表示内容402の中でズームアウト操作が受信されたならば(または、事前に指定された時間期間内にユーザ106によるユーザ入力操作が全くされない場合には)、図8のシナリオは第4の状態808へと進む結果となり、ズーム表示レベル404を当初のズーム表示レベルへと戻すためにズーム表示状態をリセットした内容が表示され、高い等級格付け302を有するメディア・オブジェクト104だけが並んでいるオブジェクト系列に含まれる後続のメディア・オブジェクト104からスライド・ショーの切り替え表示動作が再開される。このようにして、ズーム表示可能なメディア表示内容402のズーム操作可能な側面は、さらに詳細な内容を(例えば、より低い等級格付け302を有する追加的なメディア・オブジェクト104を挿入したり除外したりする形で)表示内容に追加したり除外したりするために使用することが可能である。
【0040】
図9は、メディア群102のズーム表示可能なメディア表示内容402を実装する方法の特徴を示している第2の例示的な表示処理シナリオ900を図示する。図9に示した例示的シナリオ900の中の第1の状態902においては、メディア群102に含まれる一群のメディア・オブジェクト104を、特定のズーム表示レベル404において、ズーム表示可能なメディア表示内容402の中に表示することが可能である。ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト404の近傍部分においてズームイン操作410が検出されたならば、ズーム表示可能なメディア表示内容402は、当該ズームイン操作410によって指示されたズーム表示レベルへの状態遷移を開始する。例えば、ズーム表示レベル404の変更操作が可変量の入力操作を実行可能な入力手段(例えば、速く回したり遅く回したりすることが可能なマウスのホイール部分や身振り手振りを大きくしたり小さくしたりして身振り手振りによる入力操作が実行可能なタッチパッドなど)により実行された場合、上述した状態遷移の程度は、当該可変量の入力操作により入力された量と関係付けられることが可能である(例えば、当該可変量の入力操作により入力された量が大きければ、ずっと高いズーム表示レベル404へと状態遷移し、当該可変量の入力操作により入力された量が小さければ、少しだけ高いズーム表示レベル404へと状態遷移する)。この第1の例示的シナリオ900においては、当該状態遷移は、第1の遷移状態904に続いて第2の遷移状態906へと進み、最後に、所望のズーム表示レベルでの表示が行われる目的とする遷移状態908に到達することが可能である。例えば、第1の遷移状態904においては、ズームイン操作410が実行された箇所の近傍に位置しておらず、ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414と関係付けられていないメディア・オブジェクト104は、当該状態遷移によってズーム表示可能なメディア表示内容402の中から(例えば、表示のスライド動作、フェード動作または縮小動作などによって)除外され、他方、当該ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414と関係付けられ、当該ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414よりも低い等級格付け302を有するメディア・オブジェクト104は、当該状態遷移によってズーム表示可能なメディア表示内容402の中に(例えば、ズーム表示可能なメディア表示内容402の表示領域内へとスライドさせることによって)挿入される。加えて、ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414の少なくとも一つの寸法が縮小されることにより、表示スペース内において背景が露出した部分を露出させることが可能であり、新たに挿入されるメディア・オブジェクト104は、当該表示スペース内の当該背景が露出した部分に配置することが可能である。状態遷移に関するこれらのアニメーション動作は、第2の遷移状態906を経由し、場合によってはさらに別の遷移状態を経由して継続し、最後に、目的とする遷移状態908に到達し、この場合、ズームアウト操作418が実行された結果として、上述した状態遷移とは逆方向の遷移により、シナリオ900の中の第1の状態902に戻ることとなる。このようにして、ズームイン操作410は、メディア群102内においてズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414と関係付けられている追加のメディア・オブジェクト104をさらに表示するための「ドリルダウン操作」を表すメタファーとして利用することが可能である。当該ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414は、ズーム表示可能なメディア表示内容402の第1の状態802に関連して実際に表示サイズを縮小する縮小表示をすることが可能であるが、ズーム表示操作を表すメタファーは、多種多様な方法で保存することが可能である(例えば、上述したズームイン操作410は、マルチタッチ式のスプレッド・ジェスチャーやマウスのホイール部分を上方向に回転させる操作のようなユーザが馴れ親しんだ「ズームイン操作」および上記「ズームイン操作」と正反対の操作、さらに拡大縮小率に比例して背景画像を拡大縮小表示してズーム表示レベル404を反映させる操作により起動することが可能である)。
【0041】
図10は、メディア群102としてメディア・ストリームを具備しているズーム表示可能なメディア表示内容402を実装する方法の特徴を示している第3の例示的な表示処理シナリオ1000を図示しており、当該メディア・ストリームの具体例には、ズーム表示操作による例示的な視覚的効果を伴うビデオ・プレゼンテーションなどが含まれる。この第3の例示的な表示処理シナリオ1000においては、複数のメディア・オブジェクト104は、様々な日付で作成された複数のビデオ・クリップ(例えば、複数日にわたる日程のイベントの期間中の様々な日に撮影された各イベントを動画再生するもの)を表現しており、当該複数のビデオ・クリップの各々は、等級格付け302を有している。例えば、ビデオ・クリップ1〜2は、第1日目に撮影され、ビデオ・クリップ3〜5は、第2日目に撮影され、ビデオ・クリップ6〜7は、第3日目に撮影されたとする。この例示的なシナリオ1000においては、メディア群102は、選択された複数のビデオ・クリップを繋ぎ合わせたビデオ・コンテンツ(例えば、上述した複数日にわたる日程のイベントを要約したものを動画再生するビデオ)として表示され、ズーム表示可能なメディア表示内容402に関するズーム表示メカニズムは、個々のビデオ・クリップを追加的に含めたり除外したりする処理を通して、当該複数のビデオ・クリップを繋ぎ合わせたビデオ・コンテンツ内の特定の構成部分における詳細内容の量を調節するために実装される。例えば、図10のシナリオにおける第1の状態1002において、ズーム表示可能なメディア表示内容402は、各日の出来事を代表するようなビデオ・クリップ(例えば、各日に撮影されたビデオ・クリップのうち最も高い等級格付け302を有するもの(例えば、ビデオ・クリップ1、3および7))を繋ぎ合わせたビデオ・コンテンツをメディア群102として表示する。しかしながら、複数のビデオ・クリップを繋ぎ合わせた当該ビデオ・コンテンツの中の第2のビデオ・クリップ(ビデオ・クリップ2)の再生箇所の近傍でズームイン操作410が実行された結果として、図10のシナリオは第2の状態1004に進み、ズーム操作の対象となったビデオ・クリップと同じ日に撮影され、第1の状態1002においては表示内容に含まれていなかったビデオ・クリップの中から最も高い等級格付け302を有する追加のビデオ・クリップが当該繋ぎ合わせたビデオ・コンテンツの中に挿入されることが可能である。同様に、第2の状態1004において、ビデオ・クリップ3からビデオ・クリップ5までを動画再生している期間内にさらに続けてズームイン操作410が実行されると、その結果として、まだ表示内容に挿入されておらず、ビデオ・クリップ3からビデオ・クリップ5までの間のビデオ・クリップの中から最も高い等級格付け302を有する追加のビデオ・クリップ(例えば、ビデオ・クリップ4)がビデオ・クリップ3からビデオ・クリップ5までの間に挿入されることが可能である。最後に、第3の状態1006において、ビデオ・クリップ5からビデオ・クリップ7までを動画再生している期間内にさらに続けてズームイン操作410が実行されると、その結果として、まだ表示内容に挿入されておらず、ビデオ・クリップ5からビデオ・クリップ7までの間のビデオ・クリップの中から最も高い等級格付け302を有する追加のビデオ・クリップ(例えば、ビデオ・クリップ6)がビデオ・クリップ5からビデオ・クリップ7までの間に挿入されることが可能である。従って、ズームイン操作は、イベントを撮影して成るビデオ要約の内容を順次拡張しながら表示することを可能にし、特に、ビデオ要約中の選択された構成部分からのさらに詳細な内容を、ビデオ要約中の他の構成部分に余計な詳細内容を追加することなく、リアルタイムな態様で追加する動作を伴う。これとは反対に、ズームアウト操作418は、相対的に低い等級格付け302を有するビデオ再生セグメントを除去することを可能にし、その結果として、イベントに関連した日に撮影された内容をさらに簡潔に要約したビデオ要約を作成することを可能にする。
【0042】
この第3の技術的側面に関する第2の変形例として、ズーム表示可能なメディア表示内容402にメディア・オブジェクト104を挿入したり、ズーム表示可能なメディア表示内容402からメディア・オブジェクト104を除外したりする方法をユーザの閲覧に過度に介入しない形で実現することも可能である(例えば、図10に示す例示的なシナリオ1000におけるビデオ要約の内容を即座に拡張するなどして、メディア・オブジェクト104を即座に挿入することにより実現する)。例えば、深いズーム表示レベルまでズーム表示が可能なメディア表示内容402において、低い等級格付け302を有するメディア・オブジェクト104を含めることが可能であるが、ズーム表示可能なメディア表示内容402が低いズーム表示レベルで表示されている初期の段階においては、当該含められるメディア・オブジェクト104は、視認困難なほど小さい表示サイズ又は見分けがつかないほど小さい表示サイズに縮小しり、表示画面から完全に隠したりすることが可能である。例えば、ズーム表示可能なメディア表示内容402が最も低いズーム表示レベルで表示されている段階においては、等級格付け302が低いメディア・オブジェクト104を、1ピクセル幅や2ピクセル幅のように簡単に見過ごされてしまうほど小さな表示サイズに縮小化することが可能であり、1ピクセル幅よりさらに小さく縮小化して、表示装置のディスプレイ画面上で見えなくしてしまうことさえも可能である。代替的に、本明細書に開示されたこれらの技術内容の一実施例においては、最低限の拡大表示率を定めた閾値よりも大きな拡大表示率で表示されたメディア・オブジェクト104だけをズーム表示可能なメディア表示内容402の中に含め、さらにズーム表示可能なメディア表示内容402の中において、当該閾値よりも小さな拡大表示率で表示されたメディア・オブジェクト104の表示を省略することも可能である。追加的に、ズーム表示可能なメディア表示内容402のズーム表示レベル404が変化するにつれて、上記のような状態遷移を利用して、メディア・オブジェクト104の追加動作や除外動作を表すことが可能である。例えば、一つの実施例は、以下のように構成されることが可能である。より高いズーム表示レベル404であって、特定のメディア・オブジェクト104が最低限の拡大表示率を定めた閾値よりも大きな拡大表示率で表示されるレベルへと状態遷移した際、当該状態遷移により、当該メディア・オブジェクト104をズーム表示可能なメディア表示内容402の中に挿入し;より低いズーム表示レベル404であって、特定のメディア・オブジェクト104が最低限の拡大表示率を定めた閾値よりも小さな拡大表示率で表示されるレベルへと状態遷移した際、当該状態遷移により、当該メディア・オブジェクト104をズーム表示可能なメディア表示内容402から除外する。そのような状態遷移は、メディア・オブジェクト104をフェードイン/フェードアウト効果、ポップアップ表示、拡大縮小表示などにより描画したり、ズーム表示可能なメディア表示内容402の外から内部の位置へとスライドさせたりすることによって実現することが可能である。
【0043】
この第3の技術的側面に関する第3の変形例として、特定のズーム表示レベル404におけるズーム表示可能なメディア表示内容402は、メディア群102に含まれる一つ以上のメディア・オブジェクト104の表示を画面上から隠す。このような技法の一実施例においては、ズーム表示可能なメディア表示内容402は、一つ以上の追加的なメディア・オブジェクト104が利用可能であるか否か、すなわち、「より高いズーム表示レベル404において可視状態となるか否か」を表しているズーム・インジケータを含むことが可能である。例えば、最低限の拡大表示率を定めた閾値よりも小さな拡大表示率で表示されていることにより画面上から隠された状態の少なくとも一つのメディア・オブジェクト104と関係付けられているメディア・オブジェクト104のそれぞれに関して、上記実施例では、ズーム表示可能なメディア表示内容402内のメディア・オブジェクト104の近傍領域において、画面上から隠された状態のメディア・オブジェクトが少なくとも一つ存在することをズーム・インジケータが示すことが可能である。当該ズーム・インジケータは、追加的なメディア・オブジェクト104についての上述した利用可能性や当該追加的なメディア・オブジェクト104が可視化されることが可能なズーム表示レベルを示す非対話型の視覚的なインジケータとして表示される。代替的に、当該ズーム・インジケータは、制御操作を入力するための対話型の入力手段として表示されることも可能である。例えば、本実施例において、ユーザ106とズーム・インジケータとの間の対話操作を検出した際に、それまで画面上から隠されていた少なくとも一つのメディア・オブジェクトが最低限の拡大表示率を定めた閾値よりも大きな拡大表示率で拡大表示され、その結果、ユーザ106から見える状態とされる上位のズーム表示レベル404へとズーム表示可能なメディア表示内容402を状態遷移させる。さらに、当該ズーム・インジケータは、ズーム表示可能なメディア表示内容402の現在のズーム表示レベル404を示したり、制御操作の入力手段(ズーム表示可能なメディア表示内容402のズーム表示レベル404をユーザ106が選択することを可能にするスライダー・コントロールなど)を含んでいたりすることも可能である。
【0044】
この第3の技術的側面に関する第4の変形例として、ズーム表示可能なメディア表示内容402は、メディア群102の表示スペース内(例えば、ウィンドウ、ペイン、タブ、コントロール、またはメディア群102を表示可能なその他の表示領域)において、複数のメディア・オブジェクト104を任意の方法で配置することが可能である。例えば、初期の段階において表示されている複数のメディア・オブジェクト104は、表示スペース内において互いに等間隔に配置された状態であり、ズーム表示可能なメディア表示内容402に対して追加のメディア・オブジェクト104が挿入された際に、当該追加のメディア・オブジェクト104が挿入されるべき場所は(挿入されるメディア・オブジェクト104がズーム表示操作の対象とされたメディア・オブジェクト414の近傍に位置している限り)任意の方法で選択することが可能である。代替的に、上述した技術内容に係る一実施例は、複数のメディア・オブジェクト104が特定の配列方法で配列される状態を達成するために、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれの位置を選択することが可能である。そのような実施例の第1の具体例として、ズーム表示可能なメディア表示内容402は、(例えば、所定の領域と関係する)メディア群コンテキストを含むことが可能であり、当該複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれは当該メディア群コンテキスト(例えば、当該所定の領域内において複数の画像がそれぞれ配置される地理的な場所)と関係している。従って、ズーム表示可能なメディア表示内容402の表示は、メディア群コンテキスト(例えば、当該所定の領域内のマップ情報)に基づくコンテキストに依存した描画処理を含み、ズーム表示可能なメディア表示内容402の表示スペース内部において複数のメディア・オブジェクト104が配置される位置は、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれの位置に関係するメディア群コンテキストに基づいて選択され得る。
【0045】
そのような実施例の第2の具体例として、メディア群102に含まれる複数のメディア・オブジェクト104は、ユーザ106によって選択された順序付け基準(例えば、メディア・オブジェクトの作成日の日付順やオブジェクト名のアルファベット順を基準とする順番、または等級格付けを基準とする順番)に従って順序付けされることが可能である。ズーム表示可能なメディア表示内容402内の複数のメディア・オブジェクト104の配列順序を決定することは、当該順序付け基準に従って複数のメディア・オブジェクト104の各々の並び順を識別し、複数のメディア・オブジェクト104の各々の並び順に従って、表示スペース内に複数のメディア・オブジェクトを配置する動作を伴うことが可能である。例えば、ズーム表示可能なメディア表示内容402の当該表示スペースは、一つ以上の軸を含んでおり、当該一つ以上の軸の各々は、メディア群102を異なる基準で順序付けするためのプロパティを表現していることに加え、メディア群102に含まれる複数のメディア・オブジェクト104同士の間の関係性の観点から、メディア群102内の複数のメディア・オブジェクト104の配置を決定する。当該技術分野における当業者であれば、ここで説明した技術内容に従って、ズーム表示可能なメディア表示内容402の表示方法に関する数多くの技術的側面を工夫することが出来るだろう。
【0046】
図11は、ズーム表示可能なメディア表示内容402と関係した幾つかの技術的特徴をフィーチャーしている例示的な表示処理シナリオ1100を図示している。この例示的なシナリオ1100においては、ズーム表示可能なメディア表示内容402は、(例えば、メディア群102が具備している複数の画像を表示するための表示領域と関係した)メディア群コンテキストを含んでいる。従って、図11に示すシナリオ1100の第1の状態1104において、ズーム表示可能なメディア表示内容402は、例えば、上述した表示領域のようなメディア群コンテキストの描画内容1102を表示することが可能である。図11に示すシナリオ1100の第2の状態1106(例えば、初期状態)において、ズーム表示可能なメディア表示内容402は、メディア群102の中で高い等級格付け302を有する3つのメディア・オブジェクト104だけを提示することが可能であり;上述した技法に係る一実施例では、上述した表示領域内で画像が配置される地理的な座標位置に従って定義される描画内容1102の上にこれらのメディア・オブジェクト104を配列することが可能である。さらに、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれは、ズーム表示可能なメディア表示内容402のズーム表示レベル404とメディア・オブジェクト104毎の等級格付け302に従って、表示サイズを拡大縮小されることも可能である。加えて、図11に示すシナリオ1100の第2の状態1106においては、第4のメディア・オブジェクト104は(第4のメディア・オブジェクト104の等級格付け302が低い上に、ズーム表示可能なメディア表示内容402の現在のズーム表示レベル404が低いことに起因して)表示画面上から隠された状態である場合があり、その場合、ズーム表示レベル404をもっと高くすることにより、第4のメディア・オブジェクト104が利用可能になることを示すために、ズーム・インジケータ1108を表示することが可能である。ユーザ106がズーム・インジケータ1108を選択する操作を実行した際、本実施例は、ズーム表示可能なメディア表示内容402の表示状態を第4のメディア・オブジェクト104が可視状態となる上位のズーム表示レベルへと状態遷移させることが可能である。加えて、もっと上位のズーム表示レベルに到達することによって第4のメディア・オブジェクト104の詳細内容が閲覧可能な表示状態になると(例えば、第4のメディア・オブジェクト104の拡大表示率が最低限の拡大表示率を定める閾値を上回ると)、本実施例は、状態遷移により、第4のメディア・オブジェクト104をズーム表示可能なメディア表示内容402の中に挿入することが可能である。例えば、第3のズーム表示状態1110において、新たに挿入された第4のメディア・オブジェクト104は、まず小さい表示サイズで半透明に画面表示されるが、そのすぐ後に、(例えば、第4の状態1112に進み、)当該新たに挿入された第4のメディア・オブジェクト104は、不透明かつフルサイズで表示されるようになる。このようにして、図11に示す例示的なシナリオ1100は、この第3の技術的側面に関して上述した幾つかの変形実施例に基づく表示処理を実施する。
【0047】
図12は、メディア・オブジェクト104の様々なプロパティに従って、ズーム表示可能なメディア表示内容402内において複数のメディア・オブジェクト104を配列する方法をフィーチャーしたさらに別の例示的シナリオ1200の具体例を図示している。この例示的シナリオ1200においては、メディア群102に含まれる複数のメディア・オブジェクト104の各々は、長期の期間に含まれる一日とそれぞれ関係付けられており、ズーム表示可能なメディア表示内容402は、第1の軸1204として、上述した期間内に含まれる各日の日付を含んでいる。従って、ズーム表示可能なメディア表示内容402は、複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれを、メディア・オブジェクト104毎の日付に従う第1の軸1204に沿って配列する。図12に示す例示的シナリオ1200の第1の状態1202において、ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414の近傍部分でズームイン操作410が検出されたならば、例示的シナリオ1200は、第2の状態1206に移り、ズーム表示可能なメディア表示内容402は、ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414の近傍部分に、ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414よりも低い等級格付け302を有し、ズーム表示操作の対象となったメディア・オブジェクト414と関係付けられた2つのメディア・オブジェクト104を挿入する。加えて、第2の状態1206において、ズーム表示可能なメディア表示内容402は、複数のメディア・オブジェクト104の並び順によって描かれる日付の時系列を表す第2の軸1208を表示することが可能である(例えば、画像が撮影された日付が早いほど、撮影日がそれよりも遅い他の画像と比べて表示位置を上にする等)。ズーム表示操作がさらに続けて実行されたとしても、上述した配列方法がそのまま維持される(例えば、第2の状態1206においてさらに続けてズームイン操作410が検出された結果、第3の状態1210に進み、メディア・オブジェクト104はズーム表示レベルに応じた拡大表示率で表示されるが、第1の軸1204と第2の軸1208に沿ってこれらの軸の基準に基づく並び順や表示位置が保たれる)。このようにして、メディア群102に含まれる複数のメディア・オブジェクト104は、表示スペース内で所定の配列方法で配列されると共に、ここで説明した技術内容に従って、ズーム表示可能なメディア表示内容402に対して実行可能な「ドリルダウン操作」に関する技術的側面を視覚的表示処理として実装することが出来る。
【0048】
この第3の技術的側面に関する第5の変形例として、メディア群102の表示処理は、複数の異なるユーザ106の間で互いに異なる調整方法で調整することが可能である。そのような実施例の第1の具体例として、特定のメディア群102に関して、第1のユーザ106は、第1の等級格付け302の組をメディア群102に含まれる複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれに割り当てることが可能であり、上述した技術内容に関する一実施例は、当該第1の等級格付け302の組を使用して、メディア群102を第1のズーム表示可能なメディア表示内容402として表示することが可能である。しかしながら、第2のユーザ106は、第1の等級格付け302の組とは異なる第2の等級格付け302の組をメディア群102に含まれる複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれに割り当てることが可能であり、上述した技術内容に関する一実施例は、当該第2の等級格付け302の組を使用して、メディア群102を第1のズーム表示可能なメディア表示内容402として表示することが可能である(例えば、等級格付け302の明示的な割り当て方法により、メディア群102に含まれる複数のメディア・オブジェクト104との間の対話操作を介して等級格付け302を推測する方法により、当該複数のメディア・オブジェクト104のそれぞれに写っている被写体を自動識別し、当該写っている被写体に対してユーザ106が持っている興味の度合いを特定する方法により上記のような割り当てを実施可能である)。加えて、複数の異なるユーザ106により割り当てられる等級格付け302の組は永続的なものとする(例えば、ユーザ106にメディア群102を表示するサービスの提供元システム内に格納されているユーザ106毎のユーザ・プロファイルの一部として、またはユーザ106が閲覧に使用する各ユーザ装置の上に一時保存されるクッキーとして永続化する)ことが可能であり、その結果、ユーザ106がメディア群102の表示画面を再度訪問した場合、当該ユーザ106によって以前に行われた等級格付け302の割り当て結果は、ズーム表示可能なメディア表示内容402を再度生成するために再利用されることが可能である。そのような実施例の第2の具体例として、第1のユーザ106(第1のユーザ群を含む)によって割り当てられる複数のメディア・オブジェクト104の等級格付け302を使用して、第2のユーザ106に当該複数のメディア・オブジェクト104を表示することが可能である(例えば、広く一般に人気があると他のユーザが感じているメディア群102に含まれる複数のメディア・オブジェクト104を表示したり、第2のユーザ106の代理として第1のユーザ106が等級格付け302を割り当てた複数のメディア・オブジェクト104を表示したりするなど)。そのような実施例の第3の具体例として、第1のユーザ106によって生成されたズーム表示可能なメディア表示内容402を第2のユーザ106が変更することが可能であり(例えば、第1のユーザ106がメディア群102に初期の等級格付け302の組を割り当てた後に、第2のユーザ106が等級格付け302の再割り当てを行う場合など)、それにより、ズーム表示可能なメディア表示内容402を、第2のユーザ106専用にカスタマイズされたものとして生成することが可能である。当該技術分野における当業者であれば、本明細書中で説明した技術内容と整合可能な形で、複数の異なるユーザが、ズーム表示可能なメディア表示内容402を、自分専用にカスタマイズされたものとして生成することを可能にするための数多くの実現手段を工夫することが出来るであろう。
【0049】
<E.コンピューティング環境>
図13は、本明細書中が開示する一つ以上の技術内容を実装する基盤となるコンピュータ装置1302内の例示的なコンピューティング環境を図示する。そのような例示的なコンピュータ装置1302は、パーソナル・コンピュータ、サーバ・コンピュータ、ハンドヘルド型またはラップトップ型のデバイス、モバイル型のデバイス(携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、メディア再生装置など)、マルチプロセッサ・システム、コンシューマ向け電子機器、ミニ・コンピュータ、メインフレーム型コンピュータおよび上述した任意のシステム類や装置類から構成される分散型コンピューティング環境などを含んでいるが上記したものだけに限定はされない。
【0050】
図13は、本明細書中で上述した一つ以上の実施例を実装するように構成されるコンピュータ装置1302を具備する例示的なシステム1300を図示する。一つの構成においては、コンピュータ装置1302は、少なくとも一つのプロセッサ1306と少なくとも一つのメモリ部品1308とを含んでいる。コンピュータ装置の厳密な構成や設定内容と装置の機種に依存して、メモリ部品1308は、揮発性メモリ(例えば、RAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROMやフラッシュ・メモリなど)または中間のタイプやハイブリッド型のメモリ部品などとすることが可能である。この装置構成は、図13において、破線1304によって示されている。
【0051】
本発明に係る幾つかの実施例においては、装置1302は、追加の特徴や機能を含むことが可能である。例えば、装置1302は、一つ以上の追加的なストレージ部品1310を含むことが可能であり、そのようなストレージ部品1310は、ハード・ディスク・ドライブ、半導体ストレージ・デバイスおよび/またはその他の取り外し可能な又は内蔵型の磁気記録メディアや光学記録メディアを含むがこれらだけに限定はされない。一実施例においては、本明細書に開示された一つ以上の実施例を実装するためのコンピュータ読み出し可能かつプロセッサ実行可能な命令コードが、ストレージ部品1310の中に記憶されている。ストレージ部品1310はさらに、他のデータ・オブジェクト(例えば、オペレーティング・システムのコンポーネント、一つ以上のアプリケーションが具備している実行可能バイナリ、API(Application Programming Library)などのプログラミング用ライブラリ、メディア・オブジェクト、電子文書データなど)を記憶することも可能である。コンピュータ読み取り可能な命令コードは、プロセッサ1306による実行のために、メモリ部品1308の上にロードされることが可能である。
【0052】
コンピュータ装置1302はさらに、コンピュータ装置1302が他の装置と通信することを可能にする一つ以上の通信用コンポーネント1316を含むことも可能である。当該一つ以上の通信用コンポーネント1316は、モデム装置、ネットワーク・インターフェース・カード(NIC)、無線周波数送受信機、赤外線通信ポート、USB接続などを具備することが可能である。そのような通信用コンポーネント1316は、(物理的なコードやケーブルや配線を介した)有線接続や(可視光や赤外線や一つ以上の無線周波数などを介してネットワーク装置と無線により通信する)無線接続を具備することが可能である。
【0053】
コンピュータ装置1302は、一つ以上の入力コンポーネント1312(例えば、キーボード、マウス、ペン、音声入力装置、タッチ式入力装置、赤外線カメラ、ビデオ入力装置など)を具備し、一つ以上の出力コンポーネント1314(一つ以上のディスプレイ装置、スピーカー、プリンタ装置等)を含むことが可能である。一つ以上の入力コンポーネント1312と一つ以上の出力コンポーネント1314とは、有線接続、無線接続または両者の組み合わせを介してコンピュータ装置1302に接続されることが可能である。一実施例においては、別のコンピュータ装置からの入力コンポーネント1312または出力コンポーネント1314がコンピュータ装置1302の入力コンポーネント1312または出力コンポーネント1314として使用される場合もある。
【0054】
コンピュータ装置1302の複数のコンポーネントは、様々な相互接続手段(例えば、バスのような)によって互いに接続されることが可能である。そのような相互接続手段には、PCI ExpressのようなPCI(Peripheral Component Interconnect)、USB(Universal Serial Interface)、Firewire(IEEE1394)、光学的なバス構造などが含まれ得る。さらに別の実施例においては、コンピュータ装置1302の複数のコンポーネントは、通信ネットワークによって相互接続され得る。例えば、メモリ部品1308は、異なる物理的な場所に置かれ、通信ネットワークを介して相互接続される複数の物理的な記憶装置によって構成されることが可能である。
【0055】
当該技術分野における当業者であれば、コンピュータ読み取り可能な命令コードを記憶するのに利用されるストレージ装置は、ネットワーク内に分散配置されることが可能であることを理解するだろう。例えば、ネットワーク1318を介してアクセス可能なコンピュータ装置1320は、本明細書中で上述した一つ以上の実施例を実装するためのコンピュータ読み取り可能な命令コードを記憶することが可能である。コンピュータ装置1302は、コンピュータ装置1320をアクセスして実行のためのコンピュータ読み取り可能な命令コードの一部または全てをダウンロードすることが可能である。代替的に、コンピュータ装置1302は、必要に応じて、コンピュータ読み取り可能な命令コードの一塊をダウンロードすることが可能であり、命令コードの幾つかは、コンピュータ装置1302で実行され、それ以外の命令コードは、コンピュータ装置1320で実行され得る。
【0056】
<用語の使用>
本特許出願において使用されている通り、用語「コンポーネント」、「モジュール」、「システム」、「インターフェース」などは一般に、コンピュータと関連したハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアの何れか一つであるエンティティを意味するように意図されている。例えば、用語「コンポーネント」は、プロセッサ上で実行中のプロセス、プロセッサ、オブジェクト形式ファイル、実行可能ファイル、実行中のスレッド、プログラムおよび/またはコンピュータ装置であっても良いがこれらだけに限定はされない。例示目的のために、コントローラの上で実行中のアプリケーションとコントローラ自体の両者は、一つの「コンポーネント」とすることが可能である。一つ以上の「コンポーネント」は、実行中のプロセスやスレッドの内部に存在することが可能であり、また、「コンポーネント」は、一つのコンピュータ上に局所化されたり、2つ以上のコンピュータ間に分散配置されたりすることが可能である。
【0057】
複数の実施例の多種多様な処理動作が本明細書中で開示された。一実施例においては、上述した一つ以上の処理動作は、一つ以上のコンピュータ読み取り可能媒体上に記録され、コンピュータ装置によって実行された際に、上述した処理動作をコンピュータ装置に実行させるための一つ以上のコンピュータ読み取り可能な命令コードによって構成されている。上述した処理動作の全て又は一部が本明細書中で説明されている順番は、これらの処理動作が特定の実行順序に制約されて実行される必要があると考えるべきではない。本明細書において教示された内容の利益を享受するために、当業者によって代替的な実行順序が考えられても良い。さらに、本明細書中の実施例において説明された全ての処理動作が必須ものというわけではない。
【0058】
加えて、用語「例示的な」は、本明細書中において、具体例、事例、または例示を意味する役割を果たしている。本明細書中で「例示的である」として上述された任意の技術的側面や設計は、その他の技術的側面や設計と比較して技術的に優れていると解釈すべきではない。むしろ、、用語「例示的な」は、本発明に関する発明概念を具体的な形で提示することを意図して使われている。本明細書中で使用されている用語「または」は、包含的な意味での「または」であり、排他的な意味での「または」ではない。すなわち、そうではないとの特段の明示が無い限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを採用する」は、本来の意味で包含的な任意の置換を意味するように意図され、「XがAを採用する」「XがBを採用する」「XがAとBの両者を採用する」の何れもが「XはAまたはBを採用する」の意味する条件を充足する。加えて、そうではないとの特段の明示が無い限り、または単数形を意味することが文脈から明らかでない限り、本明細書中で使われている冠詞「a」「an」は、「一つ以上のもの」を意味すると解釈することが可能である。
【0059】
本明細書中の開示は、一つ以上の実装形態に関して記述され図示されてきたが、本明細書の記述内容と添付図面を読んで理解することにより他の当業者は、これらの実装形態と均等な代替物および変形例を考え付くことが可能である。本明細書の開示内容はそのような均等な代替物および変形例の全てを網羅している訳ではなく、本発明の技術的範囲は、本明細書に添付した特許請求の範囲の記載によって定められる。特に、上述したコンポーネント類によって実行される様々な機能に関連して、そのようなコンポーネント類を記述するために使用された用語は、そうではないと明記された場合を除いて、本明細書中で上述された実施態様における機能を実行するための開示された構造と構造的に均等でなかったとしても、記述されたコンポーネントの特定の機能を実行可能な任意のコンポーネントに対応する(すなわち、機能的な意味で均等である)ものである。本開示の特定の技術的特徴は、幾つかある実装形態の中と一つだけとの関連で説明されてきたけれども、本発明を応用すべき任意の特定用途にとって望ましい又は技術的利点があるならば、そのような技術的特徴は、他の技術的特徴や他の実装形態の一つ以上を組み合わせて実施することが可能である。さらに、本明細書の全体および特許請求の範囲の記載において使われている「含む」、「有する」、「伴う」などの用語が意味する範囲は、用語「具備する」と同様に包含的な意味合いを有する。

図5
図6
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図13
図1
図2
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図4
図7
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図9
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図12