特許第6062441号(P6062441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6062441貨幣端末、貨幣端末の制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062441
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】貨幣端末、貨幣端末の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20170106BHJP
   G06Q 20/40 20120101ALI20170106BHJP
   G07F 7/08 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   G06Q20/06
   G06Q20/40
   G07F7/08
【請求項の数】10
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-535342(P2014-535342)
(86)(22)【出願日】2012年9月14日
(86)【国際出願番号】JP2012073747
(87)【国際公開番号】WO2014041700
(87)【国際公開日】20140320
【審査請求日】2015年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】501044116
【氏名又は名称】楽天Edy株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091225
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 均
(74)【代理人】
【識別番号】100096655
【弁理士】
【氏名又は名称】川井 隆
(72)【発明者】
【氏名】赤鹿 秀樹
【審査官】 田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−178105(JP,A)
【文献】 特開2009−282869(JP,A)
【文献】 特開2004−227467(JP,A)
【文献】 特開2004−054628(JP,A)
【文献】 特開2010−198568(JP,A)
【文献】 特開2006−048121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G07F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子バリューの残高を記憶する残高記憶手段と、決済端末を介して取得される残高変更情報を用いて前記残高記憶手段に記憶される残高を変更する残高変更手段と、を具備する貨幣端末であって、
前記決済端末の存在が検知される前に予め外部から入力される予約変更金額と当該予約変更金額を前記残高記憶手段に記憶される残高に適用するための適用条件と当該予約変更金額を前記残高記憶手段に記憶される残高に適用するためのコマンド群とを関連付けて記憶するデータ記憶手段と、
前記決済端末の存在が検知された場合に、前記適用条件の成否を判定する判定手段と、
前記判定手段により前記適用条件が成立すると判定された場合に、前記残高記憶手段に記憶される残高が前記決済端末により参照または更新される前に、前記コマンド群を用いて、前記適用条件に関連付けて前記データ記憶手段に記憶されている予約変更金額だけ前記残高を変更する残高直前変更手段と、
をさらに具備することを特徴とする貨幣端末。
【請求項2】
前記予約変更金額は、その原資の確保が前提とされたものであることを特徴とする請求項1記載の貨幣端末。
【請求項3】
前記残高の全部又は一部を隔離金額として隔離することにより前記残高を減少させる隔離手段を具備し、
前記残高直前変更手段は、前記隔離金額のうち前記予約変更金額分の隔離を解除することにより前記残高を増加させることを特徴とする請求項1記載の貨幣端末。
【請求項4】
前記残高直前変更手段は、前記適用条件が成立しないと判定される場合に、当該適用条件が成立すると判定されたことで解除されていた隔離金額を再び隔離することにより、前記残高を減少させることを特徴とする請求項記載の貨幣端末。
【請求項5】
前記予約変更金額は、予め保持していた前記残高を変更するための残高変更情報に含まれる金額であり、
前記残高直前変更手段は、前記残高変更情報を実行することにより、前記残高を増加させることを特徴とする請求項1記載の貨幣端末。
【請求項6】
前記残高直前変更手段は、前記予約変更金額分の隔離を行うことにより、前記残高を減少させることを特徴とする請求項1記載の貨幣端末。
【請求項7】
前記データ記憶手段は、前記適用条件に関連付けて当該適用条件の有効期限を定めるための情報を記憶し、
前記判定手段は、前記適用条件の有効期限が経過した場合に、当該適用条件の成否を判定しないことを特徴とする請求項1からに記載の貨幣端末。
【請求項8】
前記適用条件は、前記決済端末から取得される情報に関する条件であり、
前記判定手段は、前記決済端末の存在が検知された場合に当該決済端末から取得される情報に基づいて、前記適用条件の成否を判定することを特徴とする請求項1からに記載の貨幣端末。
【請求項9】
電子バリューの残高を記憶する残高記憶手段と、決済端末を介して取得される残高変更情報を用いて前記残高記憶手段に記憶される残高を変更する残高変更手段と、を具備する貨幣端末の制御方法であって、
前記決済端末の存在が検知される前に予め外部から入力される予約変更金額と当該予約変更金額を前記残高記憶手段に記憶される残高に適用するための適用条件と当該予約変更金額を前記残高記憶手段に記憶される残高に適用するためのコマンド群とを関連付けて記憶するデータ記憶ステップと、
前記決済端末の存在が検知された場合に、前記適用条件の成否を判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記適用条件が成立すると判定された場合に、前記残高記憶手段に記憶される残高が前記決済端末により参照または更新される前に、前記コマンド群を用いて、前記適用条件に関連付けて前記データ記憶ステップで記憶した予約変更金額だけ前記残高を変更する残高直前変更ステップと、
をさらに具備することを特徴とする貨幣端末の制御方法。
【請求項10】
電子バリューの残高を記憶する残高記憶手段と、決済端末を介して取得される残高変更情報を用いて前記残高記憶手段に記憶される残高を変更する残高変更手段と、を具備する貨幣端末において、
前記決済端末の存在が検知される前に予め外部から入力される予約変更金額と当該予約変更金額を前記残高記憶手段に記憶される残高に適用するための適用条件と当該予約変更金額を前記残高記憶手段に記憶される残高に適用するためのコマンド群とを関連付けて記憶するデータ記憶機能と、
前記決済端末の存在が検知された場合に、前記適用条件の成否を判定する判定機能と、
前記判定機能により前記適用条件が成立すると判定された場合に、前記残高記憶手段に記憶される残高が前記決済端末により参照または更新される前に、前記コマンド群を用いて、前記適用条件に関連付けて前記データ記憶機能で記憶した予約変更金額だけ前記残高を変更する残高直前変更機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣端末、貨幣端末の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子マネーの使用が広く普及してきている。電子マネーでは、バリューと呼ばれる金額情報を貨幣価値に対応させ、バリュー残高を増減することにより資金決済を行う。
図18は、従来の電子マネーシステムを説明するための図である。
電子マネーカード100は、ユーザが所持しているICカードであり、内蔵又は装着する汎用ICチップ25にバリューの残高、汎用ICチップ25を特定するICチップID、電子マネー番号などが記録されている。また、当該汎用ICチップ25を内蔵又は装着した携帯電話などの携帯端末5も存在する。
このようにユーザ側の汎用ICチップ25でバリューを保持する方式はストアードバリュー型と呼ばれている。
【0003】
非同期決済端末7は、店舗や自動販売機などに設置されており、電子マネーカード100や携帯端末5の汎用ICチップ25と近距離の無線通信を行い、汎用ICチップ25に記憶されたバリュー残高を減額することによりバリューによる決済を実行する。
非同期決済端末7は、電子マネーサーバ2に接続せずに、決済処理をユーザの汎用ICチップ25との間でローカルに完結させ、取引履歴をログデータとして記録しておく。
そして、非同期決済端末7は、後ほど、定期、又は不定期にログデータを一括して電子マネーサーバ2に送信する。
非同期決済端末7が「非同期」と呼ばれる所以は、電子マネーサーバ2に同期せずにローカルに決済処理を完結させる点にある。
このような、ストアードバリュー型電子マネーのシステムでは、予め汎用ICチップ25にバリュー残高を記憶しており、決済時にこれを減額するため、バリューが不足していると、決済が行えないこととなる。そのため、汎用ICチップ25が記憶するバリューの残高を増額するチャージと呼ばれる処理が必要となる。通常は、店頭で貨幣と交換でこのチャージが行われ、バリューの交換価値が担保されている。
【0004】
ところで、この電子マネーは、例えば、ICカードに内蔵又は装着された汎用ICチップ25にバリュー残高を記憶しているため、ユーザが無制限にバリューを使用してしまうことが可能である。例えば、親が子供に交通費や食事代を電子マネーで与えたとしても、事前に電子マネーを使用してしまうと、必要な時に残高不足になってしまうことが想定できる。
そのため、ICカードのバリュー残高の使用を一定の条件の下で制限しようとする要請が存在する。
【0005】
特許文献1には、ICカード自体の使用を制限する技術が開示されている。具体的には、電子マネーの利用可能範囲(電子マネーが利用できる用途、日時または地域、並びに電子マネーを利用できない用途、日時または地域)を、利用可能範囲情報として設定し、店舗等に設置された端末装置が、上記条件が満たされていると判定されない場合には、ICカード自体の使用を一切認めないこととしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−269292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1記載の技術では、決済端末が対応していなければ、ICカードに設定された制限が機能しない。
本発明が解決しようとする課題は、電子バリューを使用する場面において、決済端末に依存せず、使用可能なバリュー残高を変更する、という点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明では、電子バリューの残高を記憶する残高記憶手段と、決済端末を介して取得される残高変更情報を用いて前記残高記憶手段に記憶される残高を変更する残高変更手段と、を具備する貨幣端末であって、前記決済端末の存在が検知される前に予め外部から入力される予約変更金額と当該予約変更金額を前記残高記憶手段に記憶される残高に適用するための適用条件と当該予約変更金額を前記残高記憶手段に記憶される残高に適用するためのコマンド群とを関連付けて記憶するデータ記憶手段と、前記決済端末の存在が検知された場合に、前記適用条件の成否を判定する判定手段と、前記判定手段により前記適用条件が成立すると判定された場合に、前記残高記憶手段に記憶される残高が前記決済端末により参照または更新される前に、前記コマンド群を用いて、前記適用条件に関連付けて前記データ記憶手段に記憶されている予約変更金額だけ前記残高を変更する残高直前変更手段と、をさらに具備することを特徴とする貨幣端末を提供する。
請求項2に記載の発明では、前記予約変更金額は、その原資の確保が前提とされたものであることを特徴とする請求項1記載の貨幣端末を提供する。
請求項に記載の発明では、前記残高の全部又は一部を隔離金額として隔離することにより前記残高を減少させる隔離手段を具備し、前記残高直前変更手段は、前記隔離金額のうち前記予約変更金額分の隔離を解除することにより前記残高を増加させることを特徴とする請求項1記載の貨幣端末を提供する。
請求項に記載の発明では、前記残高直前変更手段は、前記適用条件が成立しないと判定される場合に、当該適用条件が成立すると判定されたことで解除されていた隔離金額を再び隔離することにより、前記残高を減少させることを特徴とする請求項記載の貨幣端末を提供する。
請求項に記載の発明では、前記予約変更金額は、予め保持していた前記残高を変更するための残高変更情報に含まれる金額であり、前記残高直前変更手段は、前記残高変更情報を実行することにより、前記残高を増加させることを特徴とする請求項1記載の貨幣端末を提供する。
請求項に記載の発明では、前記残高直前変更手段は、前記予約変更金額分の隔離を行うことにより、前記残高を減少させることを特徴とする請求項1記載の貨幣端末を提供する。
請求項に記載の発明では、前記データ記憶手段は、前記適用条件に関連付けて当該適用条件の有効期限を定めるための情報を記憶し、前記判定手段は、前記適用条件の有効期限が経過した場合に、当該適用条件の成否を判定しないことを特徴とする請求項1からに記載の貨幣端末を提供する。
請求項に記載の発明では、前記適用条件は、前記決済端末から取得される情報に関する条件であり、前記判定手段は、前記決済端末の存在が検知された場合に当該決済端末から取得される情報に基づいて、前記適用条件の成否を判定することを特徴とする請求項1からに記載の貨幣端末を提供する。
請求項に記載の発明では、電子バリューの残高を記憶する残高記憶手段と、決済端末を介して取得される残高変更情報を用いて前記残高記憶手段に記憶される残高を変更する残高変更手段と、を具備する貨幣端末の制御方法であって、前記決済端末の存在が検知される前に予め外部から入力される予約変更金額と当該予約変更金額を前記残高記憶手段に記憶される残高に適用するための適用条件と当該予約変更金額を前記残高記憶手段に記憶される残高に適用するためのコマンド群とを関連付けて記憶するデータ記憶ステップと、前記決済端末の存在が検知された場合に、前記適用条件の成否を判定する判定ステップと、前記判定ステップにより前記適用条件が成立すると判定された場合に、前記残高記憶手段に記憶される残高が前記決済端末により参照または更新される前に、前記コマンド群を用いて、前記適用条件に関連付けて前記データ記憶ステップで記憶した予約変更金額だけ前記残高を変更する残高直前変更ステップと、をさらに具備することを特徴とする貨幣端末の制御方法を提供する。
請求項10に記載の発明では、電子バリューの残高を記憶する残高記憶手段と、決済端末を介して取得される残高変更情報を用いて前記残高記憶手段に記憶される残高を変更する残高変更手段と、を具備する貨幣端末において、前記決済端末の存在が検知される前に予め外部から入力される予約変更金額と当該予約変更金額を前記残高記憶手段に記憶される残高に適用するための適用条件と当該予約変更金額を前記残高記憶手段に記憶される残高に適用するためのコマンド群とを関連付けて記憶するデータ記憶機能と、前記決済端末の存在が検知された場合に、前記適用条件の成否を判定する判定機能と、前記判定機能により前記適用条件が成立すると判定された場合に、前記残高記憶手段に記憶される残高が前記決済端末により参照または更新される前に、前記コマンド群を用いて、前記適用条件に関連付けて前記データ記憶機能で記憶した予約変更金額だけ前記残高を変更する残高直前変更機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の貨幣端末は、決済端末の存在が検知され、適用条件が成立すると判定された場合に、該決済端末を介して取得される残高変更情報を用いて電子バリューの残高が変更される前に、該適用条件に関連付けて記憶されている予約変更金額だけ該電子バリューの残高を変更する。
したがって、本発明によれば、電子バリューを使用する場面において、使用可能なバリュー残高が、貨幣端末側の仕組みだけで変更される。
【0010】
また、本願発明は、適用条件が成立すると判定された場合に、外部から入力される予約変更金額だけ残高を変更する構成を有している。したがって、本願発明によれば適用条件が不成立の場合でも、残高記憶手段に残高が記憶されていれば、その残高の範囲内でバリュー残高を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る電子マネーシステムのネットワーク構成を説明するための図である。
図2】電子マネーカードのハードウェア的な構成を説明するための図である。
図3】CPUで電子マネー処理プログラムを実行した場合に形成される電子マネーカードの機能的な構成を模式的に表したブロック図である。
図4】携帯端末のハードウェア的な構成を説明するための図である。
図5】携帯端末の機能を説明するための図である。
図6】決済端末の構成を説明するための図である。
図7】電子マネーサーバの構成を説明するための図である。
図8】電子マネーサーバの有するユーザDB、チャージ予約の登録DB、隔離の設定DBを説明するための図である。
図9】チャージ予約の設定画面の一例を示した図である。
図10】隔離の設定画面の一例を示した図である。
図11】チャージ及び隔離の登録処理の手順を示したフローチャートである。
図12】チャージ要求の画面の一例を示した図である。
図13】チャージ処理の手順を説明するためのフローチャートである。
図14】第1の実施形態のチャージの条件が成立しているか否か判断の処理手順を示したフローチャートである。
図15】隔離要求の画面の一例を示した図である。
図16】第2の実施形態の隔離の解除の処理手順を示したフローチャートである。
図17】請求項に対応した機能ブロック図である。
図18】従来の電子マネーシステムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)実施形態の概要
PC50又は携帯端末5(図1)から電子マネーサーバ2に直接チャージの要求をする。これを受けて電子マネーサーバ2は、例えば、クレジット会社サーバ300などにアクセスして、原資を確保したうえで、チャージのためのコマンド群を生成する。そして、電子マネーサーバ2は、生成したコマンド群をPC50を介して電子マネーカード100の汎用ICチップ25又は携帯端末5の汎用ICチップ25に送信する。受信されたコマンド群は直ちに実行されず、一旦汎用ICチップ25に保存される。これで、一定の金額(予約変更金額)分のチャージの準備段階が完了する。
ここで、コマンド群に含まれるデータについて説明する。このコマンド群の一例としては、チャージ金額を示すデータ、現在の残高を取得するコマンド、残高を「現在の残高+チャージ金額」に書き換えるコマンド(上書き又は加算)、書換確認コマンド、ログ書込コマンドである。
その後、決済端末6や非同期決済端末7との間で支払処理が行われる際に、一定の条件(適用条件)が成立していれば、汎用ICチップ25の側で、保存していたコマンド群を実行する。こうしてチャージが行われ、バリュー残高が更新される。
ここで、コマンド群の実行処理について説明する。一例としてまず、汎用ICチップ25からバリュー残高を取得し、この取得したバリュー残高+チャージ金額でこのバリュー残高を書き換え、書換後のバリュー残高を確認することである。
このように、チャージの準備を予め行っておくことで、実際にチャージが必要となったとき、直ちにチャージを実行することができる。
【0013】
第2の実施形態では、ユーザからの設定により、ICチップ25に記憶されているバリュー残高の一部(予約変更金額)を隔離する。隔離を行うと、その段階では、当該バリューを決済に用いることができなくなる。
その後、決済端末6や非同期決済端末7との間で支払処理が行われる際に、設定された条件(発動条件)が成立していれば、汎用ICチップ25の側で、隔離を解除して、当該バリューを決済に用いることができるようにする。
こうすることで、必要なバリューを確保しておくことができる。
【0014】
これらの実施形態では、一定金額(予約変更金額)分のバリュー残高の変更(例えば、チャージの実行、隔離の解除)の要否を、所定の決済端末(例えば、決済端末6、非同期決済端末7)との間でバリュー残高の書換処理(すなわち、支払処理)が開始される直前に、ICチップの側で判断することを特徴としている。
ICチップは、決済端末に付属するリーダライタ装置の存在を検知した場合に、バリュー残高の変更の要否を判定するとよい。例えば、ICチップが非接触式であれば、近距離無線通信に用いられる所定周波数の電波が検出された場合に、近接するリーダライタ装置の存在が検知されるものとする。特に、非接触式ICチップが電源を備えないものであれば、近接するリーダライタ装置が発する電波を用いてチップ内で発電がなされチップが通電した場合に、バリュー残高の変更の要否を判定するとよい。一方、例えば、ICチップが接触式であれば、リーダライタ装置の接触端子がICチップの端子に接触し制御信号等のやり取りが開始された場合に、接触するリーダライタ装置の存在が検知されるものとする。
【0015】
(2)実施形態の詳細
図1は、第1の実施形態に係る電子マネーシステム1のネットワーク構成を説明するための図である。
電子マネーシステム1は、電子マネーサーバ2、インターネット3、携帯端末5、決済端末6、非同期決済端末7、通信回線8、PC(パーソナルコンピュータ)50、クレジット会社サーバ300などを用いて構成されている。
【0016】
電子マネーサーバ2は、バリューによる貨幣価値の移動を管理するサーバである。ここで、バリューとは、貨幣価値に対応させた電子情報であり、電子マネーシステム1は、バリューの残高(以下、バリュー残高)を増減することにより貨幣価値を移動させる。
そして、電子マネーシステム1の事業体は、バリューの移動に対応させて実際の貨幣を移動させることによりバリューと実際の貨幣の移動を対応させる。
【0017】
電子マネーサーバ2は、管理のため、携帯端末5に対応づけてバリュー残高の管理値を記憶している。後述するように携帯端末5は、携帯端末5に内蔵又は装着された汎用ICチップ25にバリュー残高を記憶している。
両者は、常に同期を取って、同一の値であることが望ましい。しかし、現実には電子マネーサーバ2とリアルタイムで接続できない、非同期決済端末7も多数存在する。そのため、生成したログデータを後にバッチ処理で電子マネーサーバ2に送り、事後的に同期を取るようにしている。
この実施形態では、電子マネーカード100又は携帯端末5側でバリューを管理するストアードバリュー型の電子マネーシステムについて説明するが、電子マネーサーバ2の側でバリューを管理するサーバ管理型電子マネーも存在している。
【0018】
携帯端末5は、例えば、スマートフォン、携帯電話、ゲーム機、タブレット型コンピュータなどで構成された携帯端末であって、インターネット3に接続する機能と、決済端末6や非同期決済端末7と近距離無線通信により接続する機能とを備えている。
携帯端末5は、汎用ICチップ25を内蔵又は装着しており、これに電子マネー番号とバリュー残高を記憶している。
また、電子マネーカード100も汎用ICチップ25を内蔵又は装着しており、これに電子マネー番号とバリュー残高を記憶している。
【0019】
決済端末6は、携帯端末5と近距離無線通信を行うと共に通信回線8を介して電子マネーサーバ2とも通信し、電子マネーサーバ2に決済金額などの情報を送信したり、電子マネーサーバ2と携帯端末5の通信を中継したりする。決済端末6は、携帯端末5を用いた決済時にリアルタイムで電子マネーサーバ2とオンライン通信する同期決済端末である。
決済端末6は、コンビニエンスストアなどのリアル店舗(不動産店舗などで物理的に営業している実店舗)の会計カウンタや自動販売機などに設置されている。
通信回線8は、電子マネーサーバ2と決済端末6又は非同期決済端末7を接続する回線である。通信回線8として専用回線を用いることもできるし、インターネット3などの汎用の回線を用いてもよい。
PC50は、電子マネーサーバ2とインターネットを介して接続されており、且つ電子マネーカード100と専用リーダ・ライタ90を介して汎用ICチップ25とデータの書き込みが可能に接続されている。
【0020】
非同期決済端末7は、例えば、ネットワーク設備の不便な店舗や自動販売機などに設置されており、携帯端末5と近距離無線通信を行う機能を備えている。
非同期決済端末7は、携帯端末5と近距離無線通信を行って、バリュー残高により決済を行う。非同期決済端末7は、通常は電子マネーサーバ2と接続しておらず(そのため、サーバ管理型電子マネーの決済ができない)、携帯端末5との決済内容を一時的にログデータとして記憶しておく。
そして、非同期決済端末7は、1日に一回程度、通信回線8を用いて電子マネーサーバ2に接続し、電子マネーサーバ2にログデータを送信する。ネットワーク通信設備がない環境では、ログデータを記録した記録媒体を担当者が手動で収集する場合もある。
電子マネーサーバ2は、バリュー残高に関しては決済端末6や非同期決済端末7でのログデータによって資金移動を管理する。
クレジット会社サーバ300は、クレジット会社がクレジットカードによる支払を管理するためのサーバである。このクレジット会社サーバ300は、電子マネーサーバ2が汎用ICチップ25にチャージする際に、その代金をユーザのクレジット番号にて決済する。
【0021】
図2は、電子マネーカード100のハードウェア的な構成の一例を示したブロック図である。
電子マネーカード100は、CPU(Central Processing Unit)121、高周波回路122、アンテナ126、ROM(Read Only Memory)123、RAM(Random Access Memory)124、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)125などを備えている。
これらの素子は、汎用ICチップ25上に形成されており、この汎用ICチップ25は、貨幣価値(バリュー)の残高(バリュー残高)を記憶した貨幣端末として機能している。
ただし、アンテナ126は、電子マネーカード6内部の外縁部付近、又は電子マネーカード6の対角線を軸とする楕円曲線上に張り巡らされた空中線により構成され、端部が汎用ICチップ25に接続されている。
【0022】
CPU121は、ROM123やEEPROM125に記憶されている各種プログラムに従って情報処理を行う中央処理装置であり、決済処理、チャージなど、記憶されているバリュー残高の金額を変更する金額変更処理を行う。
CPU121は、アンテナ126、高周波回路122を介して、決済端末6(非同期決済端末7)と近距離の無線通信を行うことができる。
アンテナ126は、決済端末6のリーダライタ部に内蔵されたアンテナと電波による送受信を行うためのアンテナであり、各種情報の送受信を行うほか、リーダライタ部からの電波により汎用ICチップを駆動するための電力を発電する。
【0023】
高周波回路122は、リーダライタ部からアンテナ126に送信されてきた高周波をデジタル信号に変換してCPU121に出力したり、逆にCPU121が出力したデジタル信号を高周波に変換してアンテナ126からリーダライタ部に送出する。
RAM124は、CPU121が情報処理を行う際のワーキングメモリを提供する随時書き込み読み出し可能なメモリである。
本実施の形態では、CPU121が金額変更処理を行う際に、一時的な記憶領域として使用される。
ROM123は、電子マネーカード100を機能させるための基本的なプログラムやパラメータ、データなどを記憶した読み出し専用メモリである。
【0024】
EEPROM125は、情報の書込消去が可能なROMである。EEPROM125に記憶してある情報は、電子マネーカード100への電力の供給がない場合でも保たれる。
EEPROM125には、電子マネーカード100に電子マネーカードとしての機能を発揮させるための電子マネー処理プログラムが記憶されているほか、バリュー残高やログデータ、汎用ICチップ25を識別するID情報である電子マネー番号などの各種データを格納する電子マネー記憶部129が形成されている。
この電子マネー記憶部129には、電子マネー番号、バリュー残高、隔離金額、コマンド群及びログデータなどが記憶されている。隔離金額及び仮残高については、後述する。
【0025】
図3は、CPU121で電子マネー処理プログラムを実行した場合に形成される電子マネーカード100の機能的な構成を模式的に表したブロック図である。
EEPROM125に形成された電子マネー記憶部129には、電子マネー番号、バリュー残高、コマンド群、ログデータなどを記憶している。
バリュー残高は、現在記憶しているバリューの残高であり、電子マネーカード100は、このバリュー残高を減額することにより決済処理を行うことができる。
このように、電子マネー記憶部129は、貨幣価値の金額を電子データ(バリュー)として残高を記憶する機能を有している。
ログデータは、決済端末6や電子マネーサーバ2と通信を行った処理内容を記録したデータであり、処理した日時分秒、チャージ金額、決済金額、処理した決済端末6のID情報である端末IDなどから構成されている。
【0026】
端末通信部127は、アンテナ126や高周波回路122などを用いて構成され、決済端末6のリーダライタ部139から金額変更情報やその他のコマンドなどを受信してバリュー処理部128に入力するなど、決済端末6とバリュー処理部128の通信を仲介する。
バリュー処理部128は、各種コマンドを実行する情報処理部である。
コマンドには、金額変更情報、ID参照コマンド、残高参照コマンドなどがある。
金額変更情報は、バリュー処理部128に金額変更処理を行わせるコマンドである。
バリュー処理部128は、金額変更処理を実行すると、金額変更情報で指定された金額分だけバリュー残高を増減させ、決済端末6に対して完了応答(決済処理の場合は決済完了通知の送信、チャージの場合はチャージ完了通知の送信)を行い、更にログデータの作成を行う。
このように、バリュー処理部128は、決済端末6から受信した金額変更情報を用いて電子マネー記憶部129に記憶した金額に対して金額変更処理を行い、金額変更処理が完了した旨の応答を行う機能を有している。
【0027】
ところで、金額変更情報は、例えば、加算コマンド、減算コマンド、上書きコマンドなどを用いて構成することができる。
加算コマンドは、バリュー残高を加算コマンドに付随するパラメータで指定される金額分だけ増額させるコマンドである。
一方、減算コマンドは、バリュー残高を減算コマンドに付随するパラメータで指定される金額分だけ減額させるコマンドである。
例えば、バリュー残高が5000円で決済金額が1000円の場合、決済端末6は、1000円を減額する減算コマンドを生成して電子マネーカード100に送信する。
電子マネーカード100では、バリュー処理部128がこの減算コマンドを実行して、バリュー残高を5000円−1000円=4000円に更新する。加算コマンドの場合も同様である。
【0028】
上書きコマンドは、バリュー残高を上書きコマンドに付随するパラメータで指定される金額で上書きさせるコマンドである。
金額変更情報として上書きコマンドを使用する場合は、決済端末6が決済・チャージ後のバリュー残高を計算し、この金額でバリュー処理部128に電子マネー記憶部129のバリュー残高を上書きさせる。
例えば、バリュー残高が5000円で決済金額が1000円の場合を考える。
決済端末6は、電子マネーカード100から現在のバリュー残高5000円を読み取り、決済後の残高5000円−1000円=4000円を計算する。
そして、決済端末6は、バリュー残高を4000円に上書きさせる上書きコマンドを生成して電子マネーカード100に送信する。
電子マネーカード100では、バリュー処理部128がこの上書きコマンドを実行してバリュー残高を4000円に更新する。
【0029】
金額変更情報は、加算コマンドと減算コマンドによって構成してもよいし、チャージの場合は上書きコマンドを用い、決済の場合は減算コマンドを用いて構成してもよいし、チャージの場合は加算コマンドを用い、減算の場合は上書きコマンドを用いて構成してもよいし、あるいは、チャージ、決済の何れも上書きコマンドを用いるように構成してもよい。
【0030】
ID参照コマンドは、バリュー処理部128に電子マネー番号を読み出させるコマンドであり、バリュー処理部128は、ID参照コマンドが入力されると、電子マネー記憶部129から電子マネー番号を読み出して出力する。
残高参照コマンドは、バリュー処理部128にバリュー残高を読み出させるコマンドであり、バリュー処理部128は残高参照コマンドが入力されると電子マネー記憶部129からバリュー残高を読み出して出力する。
以上、電子マネーカード100の構成について説明したが、電子マネーカード100に組み込んだ汎用ICチップ25と同様の汎用ICチップを携帯電話やその他の携帯端末に搭載したものも一般に広く用いられている。これら携帯端末は、電子マネーカード100と同様に決済端末6を用いて決済処理やチャージを行うことができる。
ここでは、これら携帯端末のうち、汎用ICチップを携帯電話に組み込んだ場合について説明する。
【0031】
図4は、携帯端末5のハードウェア的な構成を示した図である。ここでは、一例として携帯端末5をスマートフォンであるとするが、携帯電話やその他の携帯端末も同様である。
携帯端末5は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、入力部14、出力部15、通信制御部16、近距離通信制御部17、記憶部18、汎用ICチップ25などがバスライン19によって接続している。
【0032】
CPU11は、ROM12や記憶部18に記録したプログラムを実行して各種の情報処理や携帯端末5全体の制御を行う。本実施形態では、例えば、後述の電子マネーアプリケーションプログラムが提供する機能により電子マネーサーバ2と協働してバリュー残高による決済処理を支援する。
ROM12は、読み取り専用のメモリであって、携帯端末5が動作するための基本的なプログラム、パラメータ、データなどが記録されている。
RAM13は、読み書きが可能なメモリであって、CPU11が情報処理を行う際のワーキングメモリを提供する。
【0033】
出力部15は、ユーザに対して情報を出力する機能部であって、例えば、画面表示用の液晶ディスプレイ、音声を出力するスピーカなどを備えている。液晶ディスプレイには、例えば、電子マネーアプリケーションプログラムを起動するためのアイコンなどが表示される。
入力部14は、外部からの情報を入力する機能部であって、例えば、液晶ディスプレイ上に設置されたタッチパネル、音声を入力するマイクロフォン、被写体を撮影するカメラなどを備えている。ユーザは、液晶ディスプレイ上の表示に対応してタッチパネルにタッチすることにより情報を入力することができる。
【0034】
記憶部18は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)やハードディスクなどの記録媒体を用いて構成されており、携帯端末5を制御する基本的なプログラムであるOS(Operating System)やバリューによる決済を支援する電子マネーアプリケーションプログラム、その他のプログラムやデータを記録している。
通信制御部16は、携帯電話網の基地局アンテナと無線通信するためのアンテナを備えており、携帯端末5をインターネット3や電話回線に接続する。携帯端末5は、通信制御部16を介してインターネット3経由で電子マネーサーバ2と通信することができる。
近距離通信制御部17は、決済端末6や非同期決済端末7のリーダライタと近距離無線通信するためのアンテナを備えており、汎用ICチップ25を決済端末6や非同期決済端末7に接続する。汎用ICチップ25は、近距離通信制御部17を介して決済端末6と通信する他、携帯端末5を経由して電子マネーサーバ2と通信することができる。
【0035】
汎用ICチップ25は、汎用のアプリケーションを記憶したICチップであり、携帯端末5に内蔵又は装着されている。汎用ICチップ25には、ユーザがダウンロードしたアプリケーションを記憶することができる。
汎用ICチップ25は、CPU、RAM、ROMなどによって構成され、各種プログラムに従って情報処理を行う情報処理部26と不揮発性のメモリで構成された記憶部27を備えている。
記憶部27には、電子マネー番号とバリュー残高、図示しないが、情報処理部26によってバリュー残高を操作するためのバリュー操作プログラム、及び電子マネーサーバ2が汎用ICチップ25を認証する認証データなどが記憶されている。
電子マネー番号は、電子マネーサーバ2が何れのユーザのものであるかを識別するための口座番号である。
【0036】
汎用ICチップ25におけるバリュー残高に関する決済処理、及び増額処理は外部からの命令により汎用ICチップ25内の情報処理部26に形成されたバリュー操作プログラムが行う。これは、バリュー残高の処理を汎用ICチップ25内に限定することによりセキュリティを高めるためである。
【0037】
なお、バリュー残高の処理に関しては、汎用ICチップ25に入力される情報は暗号化されており、汎用ICチップ25の内部で復号され、汎用ICチップ25から出力される情報は、チップ内で暗号化してから出力される。
【0038】
図5は、携帯端末5の機能を説明するための図である。
電子マネーアプリケーションプログラムを実行すると携帯端末5に電子マネーアプリケーション29が形成される。
決済端末6を備えたリアル店舗での決済の場合は、近距離通信制御部17は、決済端末6と通信すると共に決済端末6を介して電子マネーサーバ2と通信する。
非同期決済端末7を備えたリアル店舗での決済の場合は、近距離通信制御部17は、非同期決済端末7と通信する。
また、電子マネーアプリケーション29は、汎用ICチップ25にアクセスすることができる。
【0039】
リアル店舗での決済の場合、近距離通信制御部17は、汎用ICチップ25でバリュー操作プログラムを動作させて、バリュー残高を増減させたり、電子マネー番号を読み出したりすることができる。
そして、決済処理を行う際、汎用ICチップ25は、近距離通信制御部17を介して、非同期決済端末7からバリュー残高を更新(減額)するようにとの要求を受けて、端末側バリュー残高を更新(減額)する。
ここで行うバリュー残高更新処理には、次のような方式が考えられる。
(方式1)バリュー残高更新要求として上書き命令を送信する場合。
この場合、電子マネーサーバ2は、携帯端末5の汎用ICチップ25のCPUから受信したバリュー残高に対して不足金額による減算を行い、減算後の残高を算出する。そして、非同期決済端末7は、バリュー残高更新要求として、当該算出後の残高に上書きする上書き命令を送信する。携帯端末5の汎用ICチップ25のCPUは、当該上書き命令に従ってバリュー残高を上書きして更新する。
(方式2)バリュー残高更新要求として減算命令を送信する場合。
この場合、非同期決済端末7は、不足金額分だけバリュー残高を減算する減算命令をバリュー残高更新要求として携帯端末5の汎用ICチップ25のCPUに送信する。携帯端末5の汎用ICチップ25のCPUは、当該命令に従ってバリュー残高から不足金額を減算してバリュー残高を更新する。
その後、汎用ICチップ25は、バリュー残高を更新した旨を非同期決済端末7に通知する。
【0040】
次に、リアル店舗でのチャージを説明する。
このチャージを行うのは、前提として、チャージを行うバリューに相当する貨幣を非同期決済端末7を操作する店員が受け取っていることである。そして、チャージ処理を行う際、汎用ICチップ25は、近距離通信制御部17を介して非同期決済端末7からバリュー残高を更新(増額)するようにとの要求を受けて、バリュー残高を更新(増額)する。
その後、汎用ICチップ25は、バリュー残高を更新した旨を非同期決済端末7に通知する。
【0041】
このチャージでは、非同期決済端末7を介さずに、直接電子マネーサーバ2からチャージを行うこともできる。この場合、携帯端末5の通信制御部16を介して電子マネーサーバ2にアクセスし、ユーザの認証処理、クレジット会社サーバ300などの認証機関サーバの許可などの手順を経る。そして、電子マネーサーバ2から、金額変更(増額)情報を携帯端末5が受信し、汎用ICチップ25は、バリュー残高を更新(増額)する。
この電子マネーサーバ2からのチャージは一連の処理として行われる。
この電子マネーサーバ2からのチャージを一定の条件(例えば、バリュー残高が所定値以下となった場合)のもとに自動的に行うよう設定することをチャージ予約と呼ぶ。このチャージ予約を設定しておくことで、必要な時に、決済時バリュー不足で決済ができないということを防止することができる。
【0042】
図6は、決済端末6のハードウェア的な構成の一例を示した図である。
決済端末6は、CPU131、ROM133、RAM134、通信制御部135、記憶部136、入力部137、出力部138、リーダライタ部139などがバスラインで接続されて構成されており、決済処理装置としての機能を有している。
CPU131は、所定のプログラムに従って情報処理を行うほか、決済端末6全体の制御などを行う。本実施の形態では、CPU131は、金額変更情報をバリュー処理部128に送信して、バリュー処理部128に金額変更処理を行わせる。
ROM133は、決済端末6を動作させるための基本的なプログラムやパラメータなどを記憶した読み出し専用メモリである。
RAM134は、CPU131のワーキングメモリを提供したり、記憶部136に記憶されたプログラムやデータをロードして記憶したりなどする随時書き込み読み出し可能なメモリである。
通信制御部135は、ネットワークを介して決済端末6を電子マネーサーバ2に接続する接続装置である。
【0043】
入力部137は、決済端末6が店舗に設置されたものである場合、例えば、キーボード、バーコードリーダなどの入力装置を備えており、操作担当者が商品コードや決済金額やチャージ金額などを入力できるようになっている。
また、決済端末6が、通過ゲートに設置されたものである場合、入力部137は、例えば、通過ゲートの制御装置に接続されており、通過ゲートの制御装置から決済金額の入力を受け付けるようになっている。
【0044】
出力部138は、決済端末6が店舗に設置されたものである場合、例えば、液晶表示装置、プリンタ、音声出力装置などに接続されており、顧客や加盟店の操作担当者に情報を提示するようになっている。
また、決済端末6が、通過ゲートに設置されたものである場合、例えば、出力部138はゲート扉を駆動する駆動装置や、通過ゲートに設置された警告灯や音声出力装置などに接続されており、ゲート扉を開閉したり、ゲート扉の開閉に同期して警告灯を点滅させたり警告音を発生させたりする。
リーダライタ部139は、アンテナを内蔵しており、電子マネーカード100の汎用ICチップ25と無線通信を行う。
決済端末6が、店舗に設置されるものである場合、リーダライタ部139は、キャッシュレジスタ近辺に設置され、ユーザが商品の決済時に、電子マネーカード100をリーダライタ部139に近接させることができるようになっている。
また、決済端末6が、通過ゲートに設置されるものである場合、リーダライタ部139は、通過ゲート上面の、ゲート扉よりも手前側に設置され、ユーザが通過ゲートを通過する際に、電子マネーカード100をリーダライタ部139に近接させることができるようになっている。
【0045】
記憶部136は、例えばハードディスクやその他の記憶媒体と、これらを駆動する駆動装置から構成されており、各種プログラムを格納したプログラム格納部142、データを格納したデータ格納部144などから構成されている。
プログラム格納部142には、決済端末6を機能させるための基本的なプログラムであるOSや、電子マネーカード100に金額変更処理を行わせたり、不足金額を電子マネーサーバ2にチャージさせるためのプログラムなどが記憶されている。
データ格納部144には、決済端末6のID情報である端末IDや、電子マネーカード100との取引履歴である使用ログデータなどを記憶している。この使用ログデータは、CPU131が行うバッチ処理にて電子マネーサーバ2に送信される。
【0046】
図7は、電子マネーサーバ2の構成を説明するための図である。
電子マネーサーバ2は、CPU31、ROM32、RAM33、通信制御部34、記憶部35などがバスライン36によって接続している。
CPU31は、ROM32や記憶部35に記録したプログラムを実行して各種の情報処理や電子マネーサーバ2全体の制御を行う。例えば、携帯端末5からチャージの要求を受けてチャージの実行をする。
非同期決済端末7での決済では、電子マネーサーバ2は、非同期決済端末7がバリュー残高を更新したログデータを後ほど非同期決済端末7から受信して処理する。
なお、電子マネーサーバ2とオンラインで接続できる決済端末6の場合、通信しながらバリュー残高をリアルタイムで更新することによりバリューによる決済処理を行うことができる。
【0047】
ROM32は、読み取り専用のメモリであって、電子マネーサーバ2が動作するための基本的なプログラム、パラメータ、データなどが記録されている。
RAM33は、読み書きが可能なメモリであって、CPU31が情報処理を行う際のワーキングメモリを提供する。
通信制御部34は、電子マネーサーバ2が通信回線8を介して決済端末6、非同期決済端末7、携帯端末5と通信したり、インターネット3を介して携帯端末5と通信する。
記憶部35は、例えば、大容量のハードディスクで構成されており、CPU31がバリューによる決済処理を行ったり、チャージを行うための電子マネー管理プログラムやその他のプログラム、ユーザのバリュー残高を管理したり、チャージの履歴を管理するユーザDB(データベース)、チャージ予約の登録DB、加盟店のバリュー決済を管理する加盟店DB、各決済処理を記録したログデータを格納するログデータDBなどを記録している。
なお、この図7の例では、単一の電子マネーサーバ2を説明したが、この電子マネーサーバ2が、機能を分散することにより複数のサーバから構成されるようにしてもよい。
【0048】
次に、図8の各図を用いて電子マネーサーバ2の有するデータベースについて説明する。
図8(1)は、ユーザDBの論理的な構成を説明するための図である。
本実施形態では、ユーザIDに対応して、電子マネー番号が記憶されている。なお、ユーザDBに記憶されているレコードを一意に特定できる項目が他にあれば、ユーザIDや電子マネー番号は必ずしも必要はない。図示しないが汎用ICチップ25の認証データなどの項目も記憶されている。
項目「ユーザID」は、ユーザの識別情報である。
項目「電子マネー番号」は、バリュー残高を他のユーザのバリュー残高から識別するための口座番号である。
項目「バリュー残高の管理値」は、項目「電子マネー番号」で特定される口座のバリュー残高である。このバリュー残高は、ログデータをバッチ処理で受信して更新する。
【0049】
項目「チャージ予約の設定」は、電子マネーサーバ2からのチャージ予約の設定を行っているか否かを登録する項目である。
項目「隔離の設定」は、一定の金額を隔離して、所定の条件が成立するまで、当該バリューを使用不可とする設定である。
「氏名」、「住所」、「生年月日」、「電話番号」、「メールアドレス」の項目は、各々ユーザを特定するための情報である。これらの全ての事項が必須登録項目でなく、場合によっては、設けなくともよい。
【0050】
図8(2)は、チャージ予約の登録DBの論理的な構成を説明するための図である。
チャージ予約の登録DBは、「電子マネー番号」、「チャージ予約の設定」、「金融機関の口座番号」、「1回のチャージ金額」、「日額限度」、「月額限度」、「チャージを行う日時」、「基準バリュー残高」、その他の項目から構成されている。
項目「電子マネー番号」は、ユーザDBに登録されているユーザを検索するキーとなる。
項目「チャージ予約の設定」は、当該ユーザが電子マネーサーバ2からの手動のチャージだけでなく、「チャージ予約」の設定も行っていることを登録する項目である。
「クレジットカード番号」は、チャージ原資の調達先を示す項目である。そのため、場合によっては、「金融機関の口座番号(銀行の口座番号)」や「電話料金を請求する電話会社が決定したID」の場合もある。
また、複数の決済手段(クレジットカード、預貯金口座など)を用いる場合は、決済手順を記憶することもできる。
銀行口座からの引落の場合、当該ユーザと銀行との間で、電子マネーサーバ2からの請求に対して引落を行う旨の契約がなされることが前提である。
「1回のチャージ金額」、「日額限度」、「月額限度」、「チャージを行う日時」、「 基準バリュー残高」は、任意的設定項目である。ユーザから設定の要求があった場合、項目に記録する。
ここで、1回のチャージ金額とは、1回のチャージで携帯端末5の汎用ICチップ25にチャージする金額である。これを設定しておけば、チャージの都度金額を設定する必要がなくなる。
【0051】
日額限度額は、チャージによる1日当たりのチャージ合計値の上限値である。
月額限度額は、チャージによる1ヶ月当たりのチャージ合計値の上限値である。また、1日当たりの限度回数、1ヶ月当たりの限度回数を設定するように構成してもよい。
チャージを行う日時とは、チャージ可能な時刻を設定したい場合、設定した日時である。
チャージを行う場所は、チャージ可能な場所を設定したい場合、設定した場所である。この例では、「京都市」、「立川駅」が設定されているが、例えば、「東京都以外」といった消極的な条件を設定するようにしてもよい。
基準バリュー残高とは、この基準バリュー残高を下回ったら新たなチャージを実行するバリュー残高である。例えば、この基準バリュー残高を下回ったら電子マネーサーバ2から電子メールでチャージの処理を促すようにすることもできる。
【0052】
ここで、チャージ原資を電話料金に合算する場合を説明する。
携帯端末5が電話機能を備えており、ユーザが携帯電話会社と契約を結んでいる場合、チャージ金額を電話料金と合算してユーザに請求することも可能である。
この手法は、例えば、デジタルコンテンツの購入代金を電話料金と合算する場合と同様である。
この場合、電子マネーサーバ2は、クレジット会社サーバ3の代わりに携帯電話事業者のサーバにアクセスし、チャージ予約で設定された金額の徴収を依頼する。このとき、携帯電話事業者から予め通知されていたIDも通知するようにする。
【0053】
図8(3)は、隔離の設定DBの論理的な構成を説明するための図である。
「隔離の設定DB」は、「電子マネー番号」、「隔離する金額」、「隔離を解除する条件」、その他の項目から構成されている。
項目「電子マネー番号」は、ユーザDBに登録されているユーザを検索するキーとなる。
項目「隔離する金額」は、汎用ICチップ25に蓄積されているバリューの中で、一定の条件が満たされるまで使用を不可とする金額である。
項目「隔離を解除する条件」とは、隔離された金額を使用できるようになる条件である。具体的には、時期的条件、使用場所の条件、バリューの残高の条件などがあげられる。これらの条件を組み合わせて設定するようにしてもよい。
なお、ここでは、隔離の設定DBを電子マネーサーバ2に設ける例を説明したが、これは必ずしも必須ではなく、電子マネーサーバ2にアクセスしないでICチップ25のみに隔離の設定DBを設定するようにしてもよい。
【0054】
図9は、携帯端末5(又はPC50の表示画面55)に表示される電子マネーサーバ2からのチャージ予約の設定画面を示した図である。本実施形態に係る電子マネーサーバ2からのチャージは、電子マネーサーバ2に事前にユーザ登録をしておくことが前提である。店頭での現金(貨幣)に基づくチャージと異なり、チャージの原資をどのように調達するのかを予め明らかにしておく必要があるからである。
この電子マネーサーバ2からのチャージ予約の設定画面は、電子マネーアプリケーション29が電子マネーサーバ2から受信して表示したものである。PC50の表示画面55に表示する場合は、電子マネーアプリケーション29に相当するアプリケーションが、PC50にインストールされていることが前提となる。以下では、PC50にインストールされたアプリケーションをも、説明の便宜上「電子マネーアプリケーション29」と呼ぶものとする。
なお、電子マネーサーバ2が携帯端末5(又はPC50の表示画面55)に提供する画面には、この他に、ユーザ登録画面、チャージ要求画面、隔離の設定画面など各種のものがある。
【0055】
電子マネーサーバ2からの「チャージ予約の設定」画面では、「1.チャージ資金の調達先を設定してください」との表示の下に、「a.クレジットカード」、「b.銀行口座引落」、「c.電話料金に合算」が表示されている。
これ以外に原資を確保する方法があれば、それも表示する。そして、この中からユーザの選択を受信する。この中から複数を選択させて、優先順位を設定するようにしてもよい。
次に、「2.1回のチャージ金額を設定する場合には設定してください」が表示される。
これは任意の設定事項である。設定しておけば、電子マネーサーバ2にチャージを要求する都度、チャージ金額を入力する手間を省くことができる。
この欄(以下の3、4も同様)はドロップダウンメニューとなっており、ユーザがそれぞれ、金額を選択するようになっている。なお、ユーザが任意の金額を入力するように構成することもできる。
【0056】
次に、「3.所定の期間内のチャージ金額の上限を設定する場合は設定してください」が表示される。これも任意の設定事項である。例えば、1日、10,000円、又は1月、50,000円と設定することができる。
この設定をしておくことで、携帯端末5を盗取されたとしても、次々とチャージをされて被害が拡大することを防止することができる。
次に、「4.チャージを開始するバリュー残高の下限値を設定してください」が表示される。これも任意の設定事項である。
バリュー残高が設定した下限値を下回ったら、例えば、電子マネーサーバ2から電子メールで通報するようにしてもよいし、電子マネーアプリケーション29が携帯端末5の表示画面にその旨の通知を表示するようにしてもよい。
更に、上記各欄の下側には、設定ボタン234と戻るボタン235が表示されている。
設定ボタン234は、ユーザが選択した内容を電子マネーサーバ2に通知するためのボタンであり、設定ボタン234が選択されると、電子マネーアプリケーション29は、ユーザが設定した内容を電子マネーサーバ2に送信する。
戻るボタン235は、チャージ予約の設定画面を表示する前に表示していた画面に戻るためのボタンである。
【0057】
図10は、携帯端末5(又はPC50の表示画面55)に表示される、電子マネーサーバ2からの隔離の設定画面を示した図である。本実施形態に係る隔離の設定は、電子マネーサーバ2に事前に登録をしておくこととしているが、必ずしも必須でなく、当該ICチップ25には、事前に設定しておいてもよい。
まず、電子マネーサーバ2からの「隔離の設定」画面では、「1.隔離の金額を設定してください」との表示の下に、金額を入力するようになっている。また、都度金額を設定するようにしておいてもよい。
【0058】
次に、「2.隔離を解除する条件を設定してください」が表示される。
隔離を解除する条件として「時期的条件」、「場所に関する条件」、「その他」が表示されている。
「時期的条件」としては、当該日の午後6時以降、毎週月曜日の午前8時、毎月1日の正午といった条件があげられる。
「場所に関する条件」としては、所定の店舗内、遊園地やスタジアムの内部、出張で訪れる予定の「北海道」といった条件があげられる。
「その他」の条件としては、バリュー残高が所定以下となった場合といった条件があげられる。
続いて、「3.隔離条件を複数設定する場合は、その旨及び両者がAND条件かOR条件かを設定してください」が表示される。
具体的には、「○○駅構内で且つ午後6時以降(AND条件)」、「○○大学の構内かバリュー残高が3000円以下(OR条件)」があげられる。
そして、設定ボタン234が選択されると、電子マネーアプリケーション29は、ユーザが設定した内容を電子マネーサーバ2に送信する。
【0059】
図11は、電子マネーサーバ2からのチャージ使用の登録及び隔離の設定を行う手順を説明するためのフローチャートである。
以下の処理は、電子マネーカード100又は携帯端末5の汎用ICチップ25の情報処理部26に実装されたCPU、PC又は携帯端末5に実装されたCPU11、電子マネーサーバ2のCPU31が、それぞれ、電子マネー処理用のアプリケーションプログラム、電子マネーアプリケーション29のプログラム、及び電子マネーサーバ用のプログラムに従って行うものである。
なお、ここで説明する例では、電子マネーカード100の汎用ICチップ25とPC50とが、専用のリーダ・ライタ90を介して、データの送受信可能に接続されている。
【0060】
まず、PC50にインストールされた電子マネーアプリケーション29は、ユーザの操作により、電子マネーサーバ2にアクセスする。すると、電子マネーサーバ2は、電子マネーアプリケーション29にトップ画面データを送信し、電子マネーアプリケーション29は、これを用いてPC50の表示画面55にトップ画面を表示する。トップ画面には、チャージ予約の設定用又は隔離の設定用のボタンが表示されている。
【0061】
ユーザがいずれかの設定用のボタンを選択すると、電子マネーアプリケーション29は、ディスプレイに認証画面を表示する(ステップ5)。
なお、PC50が電子マネーサーバ2に認証画面データを要求し、これに対して電子マネーサーバ2が送信してきた認証画面データを用いて認証画面を表示するように構成することもできる。
認証画面には、パスワード入力欄と送信ボタンが設けられており、ユーザがパスワード入力欄にパスワードを入力すると(ステップ10)、電子マネーアプリケーション29は、当該パスワードを受け付けてRAMなどに一時記憶する。
【0062】
そして、ユーザが送信ボタンを選択すると電子マネーアプリケーション29は、汎用ICチップ25にID参照コマンドを入力して汎用ICチップ25から電子マネー番号を読み出し、RAMに記憶しておいたパスワードと電子マネー番号を認証情報として電子マネーサーバ2に送信する(ステップ20)。
【0063】
電子マネーサーバ2は、電子マネーアプリケーション29から認証情報を受信すると、これをユーザDBに記憶してあるパスワードと電子マネー番号とを対比することにより認証を行い(ステップ25)、電子マネーアプリケーション29に認証結果を送信する(ステップ30)。
電子マネーアプリケーション29は、電子マネーサーバ2から認証結果を受信すると、これを用いて認証結果画面を表示する。
【0064】
電子マネーサーバ2がユーザの認証に失敗した場合、認証結果画面には、認証エラーを通知する内容が表示され、ユーザは、設定を行うことができない。
一方、電子マネーサーバ2がユーザの認証に成功した場合、認証結果画面には、チャージ又は隔離の設定のサービスを受けるに際しての規約と、当該規約に同意する旨を入力する同意ボタンが表示される。
なお、規約表示とその同意は、初回時や規約改訂時に行うように構成することができる。
【0065】
ユーザが同意ボタンを選択すると、電子マネーアプリケーション29は、図9又は図10に示した設定画面を表示する(ステップ35)。
なお、携帯端末5が電子マネーサーバ2にチャージ予約の設定画面データを要求し、これに対して電子マネーサーバ2が送信してきたチャージ予約の設定画面データを用いてチャージ予約の設定画面を表示するように構成することもできる。
【0066】
電子マネーアプリケーション29は、ユーザが設定画面から各種条件を選択することにより登録情報の入力を受け付ける(ステップ40)。
ユーザが、設定ボタン234を選択すると電子マネーアプリケーション29は、登録情報を電子マネーサーバ2に送信する(ステップ45)。この際に、電子マネーアプリケーション29は、後にバリュー残高の確認で用いるためにバリュー残高の下限値をROMなどに記憶する。
【0067】
電子マネーサーバ2は、電子マネーアプリケーション29から登録情報を受信し、これをチャージ予約の登録DB又は隔離の設定DBに記録することにより登録処理を行う(ステップ50)。以上のようにして、電子マネーサーバ2におけるチャージ予約又は隔離の設定に関する登録処理が完了する。
次に、ユーザは、PC50からリーダ・ライタ90を介して、電子マネーカード100の汎用ICチップ25に電子マネーサーバ2に登録した内容と同一の内容を送信する(ステップ55)。これを受けて、汎用ICチップ25は、EEPROM125に送信されてきた内容を登録する(ステップ60)。この登録は、電子マネーアプリケーション29が、自動で行うようにしてもよい。
この登録をしておくことで、後に、ユーザの設定によりバリューの隔離を行うことができるようになる。
【0068】
次に、電子マネーサーバ2からのチャージを行うに際し、直ちにチャージを行わず、汎用ICチップ25にチャージの準備を行い、後に一定の条件に該当したとき、チャージを行う(チャージ予約)第1の実施形態を説明する。この実施形態では、後に一定の条件に該当したか否かを汎用ICチップ25の側で判断することを特徴としている。
図12は、PC50の表示画面55に表示されるチャージ要求の画面の一例を示した図であり、図13は、チャージ予約の処理の手順を説明するためのフローチャートである。
まず、PC50にインストールされた電子マネーアプリケーション29は、ユーザからの要求に応じて、図12に示すようなチャージ要求画面を表示する。ここで、ユーザが「とりあえずチャージの準備をしてください」を選択したとする。このとき「チャージ金額(X円)」と同時に、「チャージの実行の条件」及び「チャージの実行の条件を複数設定する場合は、その旨及び両者がAND条件かOR条件か」の設定も受信する(ステップ100)。但し、予め1回のチャージ金額が設定されている場合は、受信する必要はない。
【0069】
次に、電子マネーアプリケーション29は、電子マネーサーバ2にアクセスしてステップ100で受信した金額(X円)のチャージを要求すると共に受信したチャージの実行の条件及び電子マネー番号を電子マネーサーバ2に送信する(ステップ105)。この電子マネー番号は、図9に示すチャージ予約の設定の際、汎用ICチップ25から予め取得しておく。
なお、本実施形態では、チャージ予約の登録の際に認証処理を行っているため、実際にチャージ予約を行う際には認証を行わないが、チャージ予約の度にパスワードの入力を求めて認証するように構成してもよい。
【0070】
チャージ予約の要求を受信した電子マネーサーバ2は、受信した電子マネー番号をキーとしてチャージ予約の登録DBからユーザが設定した対応クレジットカード番号を特定する(ステップ110)。
次いで、電子マネーサーバ2は、特定した対応クレジットカード番号からチャージのための原資を確保する(ステップ115)。具体的には、登録されているクレジットカード番号をもとに、クレジット会社サーバ300から与信の承諾を得る。また、チャージの原資を銀行口座からの引き落としとする場合は、銀行口座からチャージ金額分の口座振替を行う。
そして、チャージのためのコマンド群(設定されたチャージの条件も含んだコマンド群)を生成し、電子署名を行う(ステップ120)。
ここで、電子署名を行うのは、当該コマンド群が電子マネーサーバ2で生成されたものであること、及び改竄がなされていないことを証明するためである。
【0071】
次に、電子マネーサーバ2は、生成した署名付きのコマンド群をPC50の電子マネーアプリケーション29に送信する(ステップ125)。
PC50の電子マネーアプリケーション29は、電子マネーサーバ2からチャージの署名付きのコマンド群を受信して、これを汎用ICチップ25に送信(入力)する。同時に、ステップ100で受信したチャージの条件も送信する(ステップ130)。
汎用ICチップ25は、電子マネーアプリケーション29からチャージのコマンド群の入力を受けると、それらに付されている電子署名を検証する(ステップ135)。この検証後、当該コマンド群をEEPROM125に保存する。同時に受信したチャージの条件もEEPROM125に保存する(ステップ140)。
【0072】
この段階で、本実施形態の処理は、一旦終了する。すなわち、この時点でのチャージは行わないが、汎用ICチップ25がチャージの条件が成立すると判断すれば、直ぐにチャージが実行可能な状態となっている。そして、チャージの条件が成立するならば、チャージのための一連の前段階の手順を省いて、直ちにチャージを行えるようになっている。
電子マネーアプリケーション29から一旦当該コマンド群を保存するように要求されていない場合、すなわち、図12の画面で「すぐにチャージしてください」が選択されているときは、直ちに当該コマンドを実行し、バリュー残高を更新(増額)する。
なお、上記実施の形態では、PC50を介してチャージの準備を行う例を説明したが、図4に示すような携帯端末の通信機能を用いて汎用ICチップ25にチャージのコマンド群を保存するようにしてもよい。
【0073】
次に、チャージの条件が成立している否かの判断の処理手順を図14のフローチャートを参照して説明する。
まず、ユーザが、例えば店舗で商品を購入して電子マネーカード100を使用して決済の依頼を行う。そして、電子マネーカード100を決済端末6に近接させる。すると、決済端末6のリーダライタ部139は、電子マネーカード100に対して給電を行う(ステップ200)。具体的には、電子マネーカードのアンテナ126は、リーダライタ部からの電波により汎用ICチップ25を駆動するための電力を発電する。
そして、汎用ICチップ25は、その時点でチャージの条件が成立しているチャージのコマンド群が存在するか否かを判断する(ステップ205)。このとき、時期的条件を判断する場合は、決済端末6から時刻も取得する(汎用ICチップ25が計時手段を備えているときはその手段を使用してもよい)。
また、場所に関する条件の場合は、決済端末6から位置情報を取得する。また、決済端末6から決済端末IDを取得して、それをもとに位置情報を取得するようにしてもよい。
さらに、汎用ICチップ25がGPS(Global positioning system)を搭載している場合は、自ら位置情報を取得して判断するようにしてもよい。
【0074】
この判断の結果、条件が成立しているチャージのコマンド群が存在した場合は(ステップ205;Y)、当該コマンド群に基づくチャージを実行する(ステップ210)。一方、条件が成立しているチャージのコマンド群が存在しない場合は(ステップ205;N)、チャージを行わず、次の処理に進む。
その後、決済端末6から電子マネー番号の送信要求があると(ステップ215)、汎用ICチップ25は、電子マネー番号を送信し(ステップ220)、決済端末6からバリュー残高の送信要求があると(ステップ225)、汎用ICチップ25は、バリュー残高を送信する(ステップ230)。
そして、決済端末6から金額変更情報が送信されてくると(ステップ235)、汎用ICチップ25は、バリュー残高を更新し(ステップ240)、更新が完了した旨を決済端末6に通知する(ステップ245)。
その後、決済端末6は、決済が完了した旨をユーザに通知する決済完了音を鳴らして処理を終了する(ステップ250)。
【0075】
次に、第2実施形態に係るバリューの隔離を要求する処理について説明する。この要求を行うのは、図10に示す隔離の設定が行われていることが前提となる。
図15は、PC50の表示画面55に表示される隔離要求の画面の一例を示した図である。
そして、ユーザが隔離の要求を出すと、図2に示す電子マネー記憶部129の隔離金額が設定される。そして、この隔離が設定されるとバリュー残高から隔離金額を差し引いた仮残高が外部に対して表示される残高となる。そのため、ユーザは、隔離が解除されるまでは、この仮残高の範囲でのみ決済が可能となる。
なお、図15の画面に従って、隔離を要求する際、図10の隔離の設定の際に設定した隔離金額、隔離を解除する条件に変更がある場合は、各々再度設定を行う。
ここでは、現存するバリュー(既にチャージされているもの)を隔離する例を説明したが、例えば、図9図12に示すようなオンラインでのチャージを行う際に、この隔離の設定を行うようにしてもよい。
【0076】
次に、隔離金額の解除の条件が成立しているか否かの判断の処理手順を図16のフローチャートを参照して説明する。
まず、ユーザが、例えば電車に搭乗する際、電子マネーカード100を駅の改札に設置された決済端末6に近接させる。すると、決済端末6のリーダライタ部は、電子マネーカード100に対して給電を行う(ステップ300)。
そして、汎用ICチップ25は、その時点で解除の条件が成立している隔離金額が存在するか否かを判断する(ステップ305)。このとき、時期的条件を判断する場合は、決済端末6から時刻も取得する(汎用ICチップ25が計時手段を備えているときはその手段を使用してもよい)。
また、場所に関する条件の場合は、決済端末6から位置情報を取得する。また、決済端末6から決済端末IDを取得して、それをもとに位置情報を取得するようにしてもよい。 さらに、汎用ICチップ25がGPS(Global positioning system)を搭載している場合は、自ら位置情報を取得して判断するようにしてもよい。
【0077】
この判断の結果、解除の条件が成立している隔離金額が存在した場合は(ステップ305;Y)、当該隔離金額の解除を実行する(ステップ310)。解除の実行は、隔離金額を0円とすることにより行う。そのため、解除が実行されれば、解除実行前の仮残高に隔離金額を加えた残高が解除実行後の仮残高となる。
【0078】
一方、解除する条件が成立している隔離金額が存在しない場合は(ステップ305;N)、解除を行わず、次の処理に進む。
隔離が解除された場合は、その後、決済端末6から電子マネー番号の送信要求があると(ステップ315)、汎用ICチップ25は、電子マネー番号を送信し(ステップ320)、決済端末6からバリュー残高の送信要求があると(ステップ325)、汎用ICチップ25は、隔離が解除された後の仮残高を送信する(ステップ330)。そのため、決済可能なバリュー残高が増額されている。
そして、決済端末6から金額変更情報が送信されてくると(ステップ335)、汎用ICチップは、バリュー残高を更新し(ステップ340)、更新が完了した旨を決済端末6に通知する(ステップ345)。
その後、決済端末6は、決済が完了した旨をユーザに通知する決済完了音を鳴らして処理を終了する(ステップ350)。
【0079】
次に、第1の実施形態に係るチャージ実行の条件、第2の実施形態に係る隔離金額の解除の条件について説明する。
ここで、塾に通う子供に親が電子マネーカード100を持たせる例を想定する。仮に帰りの交通費が400円とすると、この400円分をチャージ準備状態(第1の実施形態)又は隔離(第2の実施形態)としておく。そして、チャージ実行の条件又は隔離金額の解除の条件を塾での授業が終了する午後6時以降又は塾の最寄りの駅の改札に設置された決済端末に当該電子マネーカード100をかざした時としておく。
こうすることで、午後6時以降又は駅に電子マネーカード100をかざした時に帰りの交通費分400円がチャージ又は隔離が解除され、使用可能となる。
そのため、仮に子供が飲食などに無駄使いをしたとしても、確実に交通費分を確保することができる。
【0080】
上記で説明した第1の実施形態及び第2の実施形態では、決済端末6から給電を受けた際に、チャージ実行の条件、隔離金額の解除の条件についての判断を行うための情報を当該決済端末6から取得していたが、これに限定されることはなく、電子マネーカード100から取得できるもの、例えば時刻は、電子マネーカード100(すなわち汎用ICチップ25)から取得して判断するようにしてもよい。
上記で説明した第1の実施形態及び第2の実施形態でのチャージ実行の条件、隔離金額の解除の条件の判断は、常に汎用ICチップ25の側で行っている。また、チャージ実行の条件、隔離金額の解除を行う前であっても、使用可能なバリュー残高が記憶されていれば、そのバリューで決済を行うことは何ら問題はない。よって、電子マネーカード100自体は、通常の電子マネーカードとして使用を継続できる。
また、決済金額を0円とする決済(汎用ICチップ25から取得したバリュー残高と同一の金額にバリュー残高を書き換えるコマンドを汎用ICチップ25に送る決済)を行えば、バリューの決済の場面でなくても、リーダライタ部から、条件を判定するための情報を取得することも可能である。
【0081】
第1の実施形態に係るチャージ実行の条件、第2の実施形態に係る隔離金額の解除の条件については、時期(時刻)に関する条件、場所に関する条件、決済端末に関する条件、バリュー残高に関する条件などがあげられる。
まず、時期に関する条件としては、段階的に複数設定する例をあげることができる。例えば、第1の実施形態の場合は、8月1日に5,000円、9月1日に5,000円、10月1日に5,000円といったように定期的にバリューをチャージするようにする。また、第2の実施形態の場合は、15,000円が隔離されている状態で、8月1日に5,000円、9月1日に5,000円、10月1日に5,000円といったように定期的にその隔離を部分的に解除する。こうすることで、毎月適切に小遣いや奨学金を給付することができるので子供や奨学生が短期間に使い切ってしまうことも防止できる。
なお、この例の場合、8月1日に5,000円のバリューをチャージするという条件あるいは8月1日に5,000円の隔離を解除するという条件に関連付けて1ヶ月間という有効期限を設定しておくことで、8月1日から9月1日まで一度も当該電子マネーカード100が決済等に使用されなかった場合、当該条件は以後判定しないものとして処理する。第1の実施形態のチャージの場合、原資は電子マネーサーバ2へ返却する処理をするようにしてもよいし、翌月分に繰り越すようにしてもよい。
【0082】
また、時期に関する条件とバリュー残高に関する条件とを組み合わせて、8月1日、9月1日、10月1日にバリュー残高を取得し、バリュー残高が所定値以下、例えば10,000円以下の場合、5,000円分をチャージ実行、隔離金額の解除とすることもできる。
このように、条件は、複数のものを組み合わせて設定することができる。この組み合わせの条件として、AND条件だけでなく、OR条件とすることもできる。
例えば、上記した子供の交通費を確保する例では、塾が終了する午後6時以降、OR駅の改札に設置された決済端末とすることで、仮に授業が早めに終了して帰宅するときも、帰りの交通費として使用することができる。
【0083】
次に、場所に関する条件として、所定の場所から半径1km以内、例えば、修学旅行で訪れる京都府での決済、学校の購買部での決済などがあげられる。
位置情報の取得は、通電を受けた決済端末6の決済端末IDを用いて判断する他、搭載しているGPSを用いて判断するようにしてもよい。
【0084】
決済端末IDに関する条件を設定することも可能である。例えば、社員に交通費を支給するために、駅の改札に設けられた決済端末である場合にチャージ実行、隔離金額の解除という条件を設定してある電子マネーカード100を渡せば、確実に交通費にのみ使用され、且つ後に立替金の精算を行う手間も省くことができる。
【0085】
支払対象に関する条件を設定することも可能である。例えば、テレビ放送や衛生放送等の受信料、新聞の購読料、各種会費、教科書、文房具等の支払の際にはチャージ実行、隔離金額の解除とする。
これらの支払いか否かを判断するには、例えば、請求書のバーコードを読み取り、その情報を決済端末6を介して取得することで行う。
このような条件を設定することで、浪費とは関係のない支払を滞りなく行うことができる。
【0086】
現在のバリュー残高に関する条件を設定することも可能である。例えば、現在のバリュー残高が10,000円を下回っている場合、チャージ実行、隔離金額の解除とする。こうすることで、バリュー残高が少なくなり、決済に支障がでることを防止できる。
また、前回の決済から一定時間以上経過していることを条件として設定することも可能である。例えば、前回の決済から3時間以上経過していることを条件とすれば、頻繁に電子マネーが使用されることを防止できる。
【0087】
第1の実施形態に係るチャージ実行の条件、第2の実施形態に係る隔離金額の解除の条件は、積極的に設定する場合だけでなく、消極的に設定することもできる。
まず、時期(時刻)に関する条件では、例えば、午後6時以降になっていないこと、すなわち午後6時前であることである。このように条件を設定することで、午後6時以降はチャージの実行、隔離金額の解除ができなくなり、当該バリューを使用できなくすることができる。
場所に関する条件としては、例えば、「東京都以外」、「本州以外」である。このように条件を設定することで、東京都から出た場合、又は本州から出た場合にチャージの実行、隔離金額の解除が可能となる。換言すれば、「東京都」「本州」という条件を満たさなかった時にチャージ実行、隔離金額の解除とするのと同一の効果を得ることができる。
バリュー残高に関する条件としては、例えば、バリュー残高が5,000円以上でないことである。このように設定することで、「5,000円以上」という条件を満たさなかった時にチャージ実行、隔離金額の解除とするのと同一の効果を得ることができる。
また、決済端末に関する条件としては、例えば、小田急線以外の改札に設けられた決済端末があげられる。このような設定とすることで、普段小田急線のみで通学している子供が他の場所へ行く場合、その分の交通費を確保することができる。
【0088】
第2の実施形態において、一旦隔離を解除して、後に一定の条件の下再度隔離を設定するとすることも可能である。
例えば、駅の構内やテーマパーク内にいると判断された場合は、隔離金額の解除とし、そこを出たと判断された場合は、再度隔離を設定する。こうすることで、特定のバリューを特定の場所でのみ使用するように仕向けることができる。
ここで、特定の場所の中にいるか否かの判断は、入場時に入場フラグを立て、退場時に入場フラグを下ろすという前提で、入場フラグが立っていれば入場していると見なすや、入場ゲートと退場ゲートの通過履歴を取り、前者の数が後者の数より1多ければ、入場していると見なすなどの方法が考えられる。
【0089】
第2の実施形態において、一旦隔離を解除して、後に当該条件が満たされなくなったら再び隔離を行うように設定するとすることも可能である。
例えば、子供に電子マネーカード100を持たせている場合に、塾の最寄りの駅の改札に設置された決済端末に6時以降に電子マネーカード100がかざされたときには隔離を解除すると設定されているとする。そして、当該駅改札の決済端末に6時以降に電子マネーカード100がかざされた後、コンビニの決済端末に電子マネーカード100がかざされたときには、「最寄りの駅の改札」という条件が満たされていないため再び隔離を行うように設定する。
このような設定することで、隔離が解除されたままになってしまい使用制限を行うという目的が達成されなくなることを防止できる。すなわち、隔離の条件が満たされていなければ再び隔離を行うように設定することで、一定のバリューは交通費にのみ使用させるとする目的を達成することができる。
【0090】
一旦設定した隔離を、解除の条件が成立するようになる前に、解除できるように構成することもできる。
具体的には、前記例で親が子供に、交通費を隔離した電子マネーカード100を渡していた場合、午後6時以降に隔離を解除する設定をしていたとすると、早期に帰宅する必要が生じたとき、PC50からインターネットを介して電子マネーサーバ2に隔離の解除の要請を送付しておく。そして、当該電子マネーカード100が駅の改札に設置された決済端末6にかざされたとき、隔離を解除する情報を決済端末6を介して電子マネーサーバ2から取得して、隔離を解除する。
また、汎用ICチップ25が、携帯端末5に搭載されている場合は、親からの電子メールにより設定を書き換えることにより、隔離を解除できるようにしてもよい。
【0091】
図17は、本請求項に対応した機能ブロック図である。
この図に示すデータ記憶部は、請求項1のデータ記憶手段に相当する。また、判定部は請求項1の判定手段、残高直前変更部は、請求項1の残高直前変更手段、残高記憶部は、請求項1の残高記憶手段、残高変更部は請求項1の残高変更手段に相当する。
また、隔離部は、請求項2の隔離手段に相当する。
ICチップ25が、データ記憶部、判定部、残高直前変更部、残高記憶部、残高変更部及び隔離部を備えている。
【0092】
データ記憶部は、外部から入力される予約変更金額と当該予約変更金額を残高記憶部に記憶される残高に適用するための適用条件とを関連付けて記憶している。判定部は、決済端末の存在が検知された場合に、適用条件の成否を判定する。
残高直前変更部は、判定部により適用条件が成立すると判定された場合に、残高記憶部に記憶される残高が決済端末により参照または更新される前に、適用条件に関連付けてデータ記憶部に記憶されている予約変更金額だけ残高を変更する。
残高記憶部は、電子バリューの残高を記憶している。残高変更部は、決済端末を介して取得される残高変更情報を用いて残高記憶部に記憶される残高を変更する。
隔離部は、残高の全部又は一部を隔離金額として隔離することにより残高を減少させる。
ICチップ25の機能は、データ記憶部、判定部、残高直前変更部、残高記憶部、残高変更部及び隔離部により実現される。
【符号の説明】
【0093】
1 電子マネーシステム
2 電子マネーサーバ
3 インターネット
4 電子マネーカード
5 携帯端末
6 決済端末
7 非同期決済端末
8 通信回線
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 入力部
15 出力部
16 通信制御部
17 近距離通信制御部
18 記憶部
19 バスライン
25 汎用ICチップ
26 情報処理部
27 記憶部
31 CPU
32 ROM
33 RAM
34 通信制御部
35 記憶部
36 バスライン
90 リーダ・ライタ
100 電子マネーカード
121 CPU
122 高周波回路
123 ROM
124 RAM
125 EEPROM
126 アンテナ
129 電子マネー記憶部
300 クレジット会社サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18