(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記医療器具は、前記アクチュエータシャフトが前記複数のフィンガーより近位の位置まで近位方向に動くと前記複数のフィンガーが内側のラッチ解除位置に倒れて、前記送達カテーテルから切り離されるように構成されている、請求項1に記載の医療器具システム。
前記アンカー部分の前記第2の端部は、ヒンジ機構により、前記閉鎖器部分と結合され、前記アンカー部分が前記アンカー非配備位置と前記アンカー配備位置との間で動かされると、前記アンカー部分が前記閉鎖器部分に対して旋回する、請求項1または2に記載の医療器具システム。
前記アンカー部分の前記第1の端部は、前記アンカー部分を前記アンカー非配備位置と前記アンカー配備位置との間で動かす為に、前記ハブの前記軸に沿って可動である、請求項1から3のいずれか一項に記載の医療器具システム。
前記ハンドルは、前記アンカー非配備位置と前記アンカー配備位置とにそれぞれ対応する第1の位置と第2の位置との間で可動であるプランジャシャフトを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の医療器具システム。
前記アンカー部分は、それぞれがv形延長部分とつながる複数のアンカーアクチュエータアームを備え、前記v形延長部分は、前記LAAの組織と係合するフックを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の医療器具システム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、人体の組織における開口を閉鎖する様々な器具、システム、及び方法を対象としている。例えば、一実施形態では、心臓の左心耳(「LAA」)を修正する医療器具システムが提供される。この医療器具システムは、シース及び送達システムを含む。シースは、ある長さを含み、この長さいっぱいに延びるシース内腔を画定する。送達システムは、近位端と遠位端との間に延びる送達カテーテルと、送達カテーテルの近位端と結合されたハンドルと、ハンドルと作用的に結合され、送達カテーテルの遠位端と結合されている医療器具と、を含む。医療器具は、軸を画定するボアを有するハブと、閉鎖器部分と、アンカー部分とを含む。閉鎖器部分は、ハブと結合されており、シースの遠位部分内にある場合には、閉鎖器非配備位置まで動かされるように構成されており、シースが閉鎖器部分に対して近位方向に動かされたら、閉鎖器配備位置まで動かされるように構成されている。アンカー部分は、第1の端部と第2の端部との間に延びている。第1の端部は、ハンドルと作用的に結合されるように構成され、第2の端部は、閉鎖器部分と結合されるように構成されている。この機構により、アンカー部分は、閉鎖器部分が閉鎖器配備位置に着くと、アンカー非配備位置とアンカー配備位置との間で閉鎖器部分に対して動くように構成されている。
【0009】
一実施形態では、アンカー部分の第2の端部は、ヒンジ機構により、閉鎖器部分と結合され、アンカー部分がアンカー非配備位置とアンカー配備位置との間で動かされると、アンカー部分が閉鎖器部分に対して旋回する。別の実施形態では、アンカー部分の第2の端部は、閉鎖器部分と旋回自在に結合されている。更に別の実施形態では、アンカー部分の第1の端部は、アンカー部分をアンカー非配備位置とアンカー配備位置との間で動かす為に、ハブの軸に沿って可動である。別の実施形態では、ハンドルは、アンカー非配備位置とアンカー配備位置とにそれぞれ対応する第1の位置と第2の位置との間で可動であるプランジャシャフトを含む。
【0010】
別の実施形態では、アンカー部分は、それぞれがv形延長部分とつながる複数のアンカーアクチュエータアームを含み、v形延長部分は、LAAの組織と係合するフックを含む。別の実施形態では、アンカー部分は、閉鎖器部分とヒンジ動作自在に結合されたアンカージグザグ部分を含む。更に別の実施形態では、閉鎖器部分は閉鎖器ジグザグ部分を含み、アンカー部分はアンカージグザグ部分を含む。更に別の実施形態では、閉鎖器部分は、組織成長部材を含み、組織成長部材は、閉鎖器部分の近位面まで延び、且つ、アンカー部分の一部分まで延びる。
【0011】
別の実施形態では、送達カテーテルの遠位端は、医療器具にねじ接続されている。別の実施形態では、送達カテーテルは、アクチュエータシャフト及び複数のフィンガーを含む。アクチュエータシャフトは、ハンドルの操作によってアクチュエートされるように構成されている。更に、複数のフィンガーは、送達カテーテルの遠位端から遠位方向に延び、ラッチ位置をハブに維持するように、アクチュエータシャフトまで延びる。更に、別の実施形態では、医療器具は、アクチュエータシャフトが複数のフィンガーより近位の位置まで近位方向に動くと複数のフィンガーが内側のラッチ解除位置に倒れて、送達カテーテルから切り離されるように構成されている。更に別の実施形態では、シースは、シースの遠位端において、撮像装置を含む。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、心臓のLAAを修正する医療器具が提供される。この医療器具は、軸を画定するハブと、閉鎖器部分と、アンカー部分とを含む。閉鎖器部分は、ハブと結合されている。更に、閉鎖器部分は、閉鎖器非配備位置と閉鎖器配備位置との間でアンカー部分に対して独立に可動である。アンカー部分は、閉鎖器部分とヒンジ動作自在に結合されており、閉鎖器部分が閉鎖器配備位置に着くと、アンカー非配備位置とアンカー配備位置との間で閉鎖器部分に対して旋回可能となる。
【0013】
一実施形態では、アンカー部分は、複数のアンカーアクチュエータアームを含み、アンカーアクチュエータアームは、アンカー部分をアンカー非配備位置とアンカー配備位置との間で動かす為に、ハブの軸にほぼ沿ってアクチュエート可能である部分を有する。別の実施形態では、アンカー部分は、それぞれがv形延長部分とつながる複数のアンカーアクチュエータアームを含み、v形延長部分は、LAAの組織と係合するフックを含む。更に別の実施形態では、アンカー部分は、閉鎖器部分とヒンジ動作自在に結合されたアンカージグザグ部分を含む。別の実施形態では、閉鎖器部分は閉鎖器ジグザグ部分を含み、アンカー部分はアンカージグザグ部分を含み、閉鎖器ジグザグ部分はアンカージグザグ部分とヒンジ動作自在に結合されている。
【0014】
別の実施形態では、閉鎖器部分は、組織成長部材を含み、組織成長部材は、閉鎖器部分の近位面まで延び、且つ、アンカー部分の一部分まで延びる。更に別の実施形態では、医療器具は、閉鎖器部分を閉鎖器非配備構成と閉鎖器配備構成との間で動かすように構成されたシースであって、シースの遠位端において撮像装置を含むシースを更に含む。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、心臓のLAAを修正する方法が提供される。この方法は、送達カテーテルの遠位端と結合された医療器具を、心臓の血管系内に配置されたシースを通して心臓のLAA内へ進めるステップであって、医療器具は閉鎖器部分及びアンカー部分を含み、アンカー部分は閉鎖器部分と結合されている、進めるステップと、医療器具の閉鎖器部分をシースからLAA内に配備するステップであって、アンカー部分は非配備位置に維持される、配備するステップと、医療器具の閉鎖器部分が配備されている間に、医療器具のアンカー部分を非配備位置と配備位置との間でアクチュエートするステップと、を含む。
【0016】
別の実施形態では、アンカー部分をアクチュエートする方法ステップは、アンカー部分を、アンカー部分と閉鎖器部分との間のヒンジ結合箇所において旋回させることを含む。別の実施形態では、アンカー部分をアクチュエートする方法ステップは、アンカー部分の複数のアクチュエータアームを医療器具の軸にほぼ沿ってアクチュエートすることを含む。更に別の実施形態では、閉鎖器部分を配備する方法ステップは、医療器具の閉鎖器部分の上からシースを手動で引き抜くことを含む。別の実施形態では、この方法は更に、送達カテーテルの遠位端から延びるフィンガーから医療器具を切り離すことを、アクチュエータシャフトを医療器具から近位方向に動かしてフィンガーを医療器具のハブから倒すことによって行うステップを含む。更に別の実施形態では、この方法は更に、シースの遠位端から、LAAを基準として医療器具を撮像するステップを含む。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、心臓のLAAを修正する医療器具が、閉鎖器フレーム及びアンカー部分を含む。閉鎖器フレームは、近位端及び遠位端を含み、近位端はハブと結合されている。アンカー部分は、第1の端部及び第2の端部を含む。第2の端部は、閉鎖器フレームの遠位端とヒンジ動作自在に結合されており、第1の端部は、カラー機構と結合されている。カラー機構は、アンカー部分をアンカー配備構成とアンカー非配備構成との間で動かす為に、ハブの軸に対して同軸方向に可動である。
【0018】
一実施形態では、アンカー部分は、ジグザグアンカー部分を含む。別の実施形態では、ジグザグアンカー部分は、そこから延びる歯を含み、それらの歯は、LAA内で組織と係合するように構成されている。別の実施形態では、アンカー部分は、ループ延長部分を含む。
【0019】
別の実施形態では、閉鎖器フレームは、ジグザグ閉鎖器部分を含む。一実施形態では、ジグザグ閉鎖器部分は、そこからハブに向かって近位方向に延びる面ストラットを含む。別の実施形態では、医療器具は、閉鎖器フレームに取り付けられた組織成長部材を含む。一実施形態では、組織成長部材は、閉鎖器フレームの遠位端より遠位まで延びる。
【0020】
別の実施形態では、アンカー配備構成とアンカー非配備構成との間でアンカー部分を閉鎖器部分に対して旋回させることを容易にする為に、アンカー部分は、閉鎖器部分とヒンジ動作自在に結合されている。別の実施形態では、アンカー部分は、第1のヒンジ機構及び第2のヒンジ機構を含む。一実施形態では、アンカー部分は、ジグザグアンカー部分より遠位にあるたわみ部分を含む。
【0021】
別の実施形態では、カラー機構は、スプラインスリーブである。別の実施形態では、医療器具は更に、ハブの近位端と結合されたばねを含み、ハブ内で画定されている開口を閉鎖するように構成されている。そのようなばねは、クローバ構成を含んでよい。別の実施形態では、医療器具は更に、ハブと着脱自在に結合されるように構成された送達カテーテルを含む。送達カテーテルは、ねじ山付きコネクタ及びコレットを含む。ねじ山付きコネクタは、カラー機構にねじ接続されるように構成されている。コレットは、コレットから遠位方向に延びるコレットフィンガーを含む。コレットフィンガーは、ハブと係合可能である。ねじ山付きコネクタは、ねじを緩めてカラー機構から取り外されると、コレットを通って近位方向に可動になり、コレットフィンガーが倒れてハブから切り離される。
【0022】
これらの各種実施形態は、以下で行われる詳細説明から明らかになるであろう他の構成要素、特徴、又は動作を含んでよい。更に、他の実施形態、構成、及びプロセスが、以下の本発明の詳細説明において示される。
【0023】
本発明の前述の利点及び他の利点は、以下の詳細説明を読み、以下の図面を参照することにより、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態による、医療器具と送達システムの遠位部分との斜視図である。
【
図1A】本発明の別の実施形態による、
図1の切断線1Aにおける、医療器具の部分断面図である。
【
図1B】本発明の別の実施形態による、
図1Aの細部1Bにおける、閉鎖器部分の拡大断面図である。
【
図2】本発明の別の実施形態による、
図1の医療器具の斜視図であり、組織成長部材を除いたフレームを示す図である。
【
図3】本発明の別の実施形態による、
図2の医療器具の閉鎖器部分及びアンカー部分のフレーム部品の上面図であり、組み立て前に平板からレーザで切り出されたフレーム部品を示す図である。
【
図3A】本発明の別の実施形態による、
図3に示されたアンカー部分の部分拡大図である。
【
図3B】本発明の別の実施形態による、医療器具の閉鎖器部分とアンカー部分との間のヒンジ結合箇所の拡大図である。
【
図4】本発明の別の実施形態による、医療器具送達システムの斜視図である。
【
図5】本発明の別の実施形態による、送達カテーテルの端部部分の側面図である。
【
図5A】本発明の別の実施形態による、
図5の送達カテーテルの長手軸に沿った、送達カテーテルの端部部分の断面図である。
【
図5B】本発明の別の実施形態による、送達カテーテルの端部部分の拡大図である。
【
図6C】本発明の別の実施形態による、ローダの斜視図であり、それぞれ、ローダが押されて医療器具の閉鎖器部分を覆う様子、医療器具がシースに挿入される様子、及び医療器具がシースの遠位端まで押される様子を示す図である。
【
図7】本発明の別の実施形態による、シースの遠位部分の側面図であり、LAA内で医療器具の一部分がシースの遠位端から露出している様子を示す図である。
【
図8】本発明の別の実施形態による、送達システムの遠位部分及び医療器具の側面断面図であり、シースが引き抜かれて医療器具の閉鎖器部分がLAA内に配置されている様子と、アンカー部分がアンカー非配備位置にある様子とを示す図である。
【
図8A】本発明の別の実施形態による、ハンドルの側面図であり、ハンドルが、アンカー非配備位置に対応する第1の位置にある様子を示す図である。
【
図9】本発明の別の実施形態による、送達システムの遠位部分及び医療器具の側面断面図であり、LAA内で閉鎖器部分及びアンカー部分の両方がアンカー配備位置にある様子を示す図である。
【
図9A】本発明の別の実施形態による、ハンドルの側面図であり、ハンドルが、アンカー配備位置に対応する第2の位置にある様子を示す図である。
【
図10】本発明の別の実施形態による、送達システムの遠位部分及び医療器具の側面断面図であり、LAA内で送達システムが医療器具から切り離される様子を示す図である。
【
図10A】本発明の一実施形態による、ハンドルの側面図であり、ハンドルの一部分を回して医療器具を切り離す様子を示す図である。
【
図10B】本発明の一実施形態による、ハンドルの側面図であり、ハンドルの一部分が第2の位置から第1の位置へアクチュエートされる様子を示す図である。
【
図11】本発明の別の実施形態による、送達システムの遠位部分及び医療器具の側面断面図であり、送達カテーテルが医療器具から完全に切り離された様子を示す図である。
【
図12】本発明の別の実施形態による、送達システムと結合された医療器具の近位側の部分斜視図である。
【
図13B】本発明の別の実施形態による、ハンドルの側面断面図であり、プランジャシャフトの操作を容易にするリリースボタンが第1の位置及び第2の位置にある様子をそれぞれ示す図である。
【
図14B】本発明による、医療器具の別の実施形態の過度に単純化された側面外形図であり、医療器具がアンカー非配備位置及びアンカー配備位置にある様子をそれぞれ示す図である。
【
図15】本発明の別の実施形態による、
図14A及び
図14Bの医療器具の閉鎖器部分及びアンカー部分の上面図であり、平板から切り出されたフレーム部品を示す図である。
【
図16B】本発明による、医療器具の別の実施形態の過度に単純化された側面外形図であり、医療器具がアンカー非配備位置及びアンカー配備位置にある様子をそれぞれ示す図である。
【
図17】本発明の別の実施形態による、
図15A及び
図15Bの医療器具の閉鎖器部分及びアンカー部分の上面図であり、平板から切り出されたフレーム部品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
まず、
図1及び
図1Aを参照すると、医療器具20と、送達システム22の遠位端部分とが示されている。医療器具20及び送達システム22は、開口又は腔を経皮的に閉鎖又は修正する為の介入手順に使用されてよく、開口又は腔は、例えば、心臓内の左心耳(「LAA」)等である(図示せず)。医療器具20は、閉鎖器部分24及びアンカー部分26のフレーム部品を含んでよく、閉鎖器部分24は更に、組織成長部材28が取り付けられていてよい。更に、アンカー部分26は、閉鎖器部分24とヒンジ動作自在に結合されてよく、これによって、閉鎖器部分24の配備後に、送達システム22のハンドル(図示せず)におけるアクチュエーション機構によってアンカー部分26が配備位置と非配備位置(図示せず)との間でアクチュエートされるようになっていてよい。この機構により、医療器具20及び送達システム22は、閉鎖器部分24の配備手順とアンカー部分26の配備手順とを分離する機能性を提供することが可能であり、これによって、医療器具20をLAA内に適正に配置して埋め込む為の強化された機能性を医師に対して追加提供することが可能である。
【0026】
前述のように、閉鎖器部分24は、閉鎖器材料又は組織成長部材28が取り付けられてよい。組織成長部材28は、それを覆う内皮化及び組織成長を促進するように構成された多孔質材料、又は他の細胞付着性の材料又は基材であってよい。組織成長部材28は、医療器具20の近位側まで延びてよく、特に、閉鎖器部分24まで延びてよく、且つ、アンカー部分26の一部分とアンカー部分26を閉鎖器部分24と結合しているヒンジとに延びてよい。従って、閉鎖器部分24のフレーム部品の形状により、組織成長部材28は、外側表面40を形成する略凸状の近位面を含んでよい。組織成長部材28は又、その遠位側において、略凹状の内側表面42を含んでよい。一実施形態では、組織成長部材28は、主に閉鎖器部分24のフレーム部品の外側表面に広がってよく、組織成長部材28の一部分は、閉鎖器部分24のフレーム部品の外側表面及び内側表面の両方に広がってよい。別の実施形態では、組織成長部材28は、主に、医療器具20の閉鎖器部分24のフレーム部品の外側表面及び内側表面の両方に広がってよい。別の実施形態では、組織成長部材28は、閉鎖器部分24のフレーム部品の外側表面にのみ広がってよい。
【0027】
図1A及び
図1Bによれば、組織成長部材28は、1種類以上の材料及び/又は層を含んでよい。一実施形態では、組織成長部材28は、第1の材料層30及び第2の材料層32を含んでよい。第1の材料層30は、主に、組織成長部材28の裏面層又は基層であってよい。第1の材料層30は、多孔質特性及び適合性構造特性を含んでよい。例えば、第1の材料層30は、フォームタイプの材料、例えば、ポリウレタンフォーム、或いは、他の任意の好適なポリマー材料、例えば、ポリマーファブリック(織布又は編物)を含んでよい。第2の材料層32は、1つ以上の層を含んでよく、これらの層は、例えば、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)材料の層であってよい。第2の材料層32は、第1の材料層30の外側表面に、例えば、接着剤で貼り付けられてよい。一実施形態では、第2の材料層32は、第1の層32A、第2の層32B、及び第3の層32Cを含んでよく、第1の層32Aは第1の材料層30に直接貼り付けられてよく、第3の層32Cは医療器具20の近位側を覆う最外層であってよく、これらの間に第2の層32Bが延びてよい。第2の材料層32の各層は、接着剤、且つ/又は、熱接合熱加工又は他の適切な、当該技術分野において周知の加工により、互いに接着されてよい。一具体例では、最外層、例えば、第2及び第3の層32B、32Cは、(細孔径と称されることもある)節間距離が約70μmから約90μmであるePTFE材料で形成されてよい。第1の材料層30に隣接する、第2の材料層32の第1の層32Aは、節間距離が第2及び第3の層32B、32Cより小さいePTFE材料で形成されてよい。例えば、第1の層32Aの節間距離は、約10μmであってよい。第1の層32Aは、接着材料により、第1の材料層30に接合又は接着されてよい。他の任意の好適なサイズのePTFE層も用いられてよく、例えば、節間距離が最大約250μmであるePTFEが用いられてよい。更に、(「X」字形状の輪郭で示された)フラップ36を有するハブ端部34まで延びる、第1の層32Aと同等サイズの1つ以上の層が追加されてよく、フラップ36において、送達システム22と医療機器20とが相互接続される(
図1を参照)。
【0028】
ePTFEで作られた第2の材料層32は、第1の層32Aの節間距離及び細孔径が小さいことによって血液の通過を効果的に防ぐ一方、他の層(例えば、32B及び32C)の節間距離がより大きいことにより、組織の内部成長及び内皮化が起こることを可能にしている。更に、ポリウレタンフォームで形成されている第1の材料層30は、医療器具20の内側又は凹側において、組織がLAA壁から組織成長部材28内へ積極的に成長することを可能にしている。更に、第1の材料層30は、組織成長部材28の外周及び遠位端部分の周囲の外側表面40上に露出棚38を設けており、これによって、線維芽細胞及び組織の積極的成長が促進されて、第2の材料層32の外側表面40を覆う内皮化が更に開始される。第1の材料層30と隣接層32Aとの間に適切な接着材料を使用することが、隣接層32Aの細孔を埋めて、血液が組織成長部材28を通って流れる可能性を更に抑制することに資するものにもなりうることに注目されたい。ePTFEの追加層も、組織成長部材28の第2の材料層32に含まれてよい。
【0029】
次に、
図2及び
図3を参照して、医療器具20とそのフレーム部品について説明する。
図2は、組み立てられて完全に配備された状態のフレーム部品を示し、
図3は、平板から切り出されたフレーム部品を示す。前述のように、医療器具20は、閉鎖器部分24及びアンカー部分26を含む。閉鎖器部分24は、相互接続されて閉鎖器部分24を形成することが可能な複数の閉鎖器フレームセグメントを含んでよい。閉鎖器部分24は、面ストラット50及び閉鎖器ジグザグ部分52を間に挟む第1の端部44と第2の端部46との間に広がってよい。更に、閉鎖器部分24は、第1の端部44から延びる基部延長部分48を含む。基部延長部分48は、内径部分にノッチが設けられたリング56を介してハブ54と結合されてよい。各基部延長部分48は、閉鎖器部分24の最近位部分、即ち、第1の端部44から延びてよく、第1の端部44は、各基部延長部分48及び面ストラット50の一端部である。各基部延長部分48は、ハブ54の周囲に配置され、1つ以上のリング56で保持されるようにサイズ調整及び構成されてよい。各基部延長部分48は、第1の端部44において、閉鎖器部分54の一面ストラット50とつながってよく、この面ストラット50は、第1の端部44から半径方向及び遠位方向に延びている。各面ストラット50は、その背面において、延長部分58を含んでよく、延長部分58は、組織成長部材(図示せず)の一部分を保持するようにサイズ調整及び構成されたフック構成を有する。更に、各面ストラット50は、閉鎖器ジグザグ部分52のv形延長部分60とつながっており、各v形延長部分60の遠位端が、隣接するv形延長部分60の遠位端と(隣り合わせに並んで)結合されて閉鎖器ジグザグ部分52が形成されるようになっていてよい。閉鎖器ジグザグ部分52は、面ストラット50から閉鎖器部分24の遠位端、即ち、第2の端部46にかけて半径方向及び遠位方向に広がってよい。第2の端部46においては、閉鎖器部分24は、アンカー部分26とヒンジ動作自在に結合されるようにサイズ調整及び構成された閉鎖器鳩目62を含んでよい。
【0030】
アンカー部分26は、相互接続されてアンカー部分26を形成することが可能な複数のアンカーフレームセグメントを含んでよい。アンカー部分26は、アンカーアクチュエータアーム68及びアンカージグザグ部分70を間に挟む第1の端部64と第2の端部66との間に広がってよい。アンカーアクチュエータアーム68は、第1の端部64とアンカージグザグ部分70との間に広がってよい。各アンカーアクチュエータアーム68は、アンカー部分26の第1の端部64が、カラー機構、即ち、スプラインスリーブ72と結合されるように構成されてよく、アンカーアクチュエータアーム68同士が一体として、即ち、スプラインスリーブ72によってまとめられて結合するように構成されてよい。スプラインスリーブ72は、アンカー部分26をアンカー配備位置とアンカー非配備位置(図示せず)との間で動かすように、医療器具20の軸74に沿ってアクチュエートされるように構成されてよい。これについては、後で詳述する。
【0031】
次に、
図2、
図3、及び
図3Aを参照すると、アンカーアクチュエータアーム68は、たわみ部分76も含んでよい。たわみ部分76は、アンカージグザグ部分70に向かって、たわみ部分76の半径の長さ方向に延びる先細形状82及び半径を有しており、アンカージグザグ部分70では再び幅が広くなる。そのような、たわみ部分76の半径の長さ方向の先細形状82は、アンカー部分26が配備位置と非配備位置との間で繰り返し動くことを容易にするとともに、アンカー部分26の構造的完全性を維持し、狭い半径又はループを促進しながら、たわみ部分76内の応力及び歪みを最小化する。一実施形態では、アンカーアクチュエータアーム68は、それぞれがコイル(図示せず)を含んでよく、このコイルは、アクチュエータアームの一部分の周囲、及びたわみ部分76の上に巻き付けられてよく、コイルの端部はアンカーアクチュエータアーム68に固定されている。そのようなコイルは、万一アンカーアクチュエータアーム68に割れや破れがあった場合でも、アンカーアクチュエータアーム68がLAA内の望ましくない場所に延びることを実質的に抑えることが可能である。
【0032】
アンカーアクチュエータアーム68の各たわみ部分76は、アンカーv形延長部分78とつながってよく、各アンカーv形延長部分78の近位端が、(閉鎖器ジグザグ部分52と同様に)隣接するアンカーv形延長部分78の近位端と結合されてアンカージグザグ部分70が形成されるようになっていてよい。アンカーv形延長部分78の近位端同士の相互接続箇所、即ち、アンカー部分26の第2の端部66においては、そのような近位端同士がアンカー鳩目80を形成している。アンカー鳩目80は、点線84(
図3を参照)で示されるように、閉鎖器部分24の対応する閉鎖器鳩目62とヒンジ動作自在に結合されるようにサイズ調整及び構成されてよい。
【0033】
図3Aを参照すると、アンカージグザグ部分70のアンカーストラット、即ち、アンカーv形延長部分78は、1つ以上のフック86、即ち、逆とげを含んでよく、フック86は、アンカー部分26又はアンカーv形延長部分から鋭角88に、閉鎖器部分24から離れる方向に延びてよい。このような鋭角88は、約45度から約60度の範囲であってよい。更に、フック86は、アンカーv形延長部分78から所定高さ90で延びてよく、これは、LAA内で組織壁と効果的に係合する為であるが、所定高さ90は、組織壁に貫通穴を開けてLAA内での滲出を引き起こすほどではない。これらのフックは又、厚さ92を含んでよい(
図2を参照)。このような厚さ92は、医療器具20のフレーム部品(即ち、閉鎖器部分24及びアンカー部分26)が切り出される板材の厚さとほぼ同等であってよい。
【0034】
図3では、閉鎖器部分24及びアンカー部分26は、平板又は板材、例えば、ニチノールのような超弾性材料の平板又は板材からレーザで切り出された後に事前形成された状態で描かれている。従って、閉鎖器部分24及びアンカー部分26は、事前形成された状態では、ほぼ平面且つ平坦であってよく、その後、閉鎖器部分24及び/又はアンカー部分26のフレーム部品が、当業者には周知のように、加熱処理によって所与の形状及び構成にされてよく、これは、完全に配備された構成(
図2を参照)とほぼ同等である。更に、当業者には周知のように、他の処理が行われてよく、例えば、フレーム部品の化学エッチング及び電解研磨が行われてよい。閉鎖器部分24は、10個の面ストラット50と10個の基部延長部分48とを含んでよく、10個の閉鎖器鳩目62が閉鎖器ジグザグ部分52から延びている。同様に、アンカー部分26は、10個のアンカーアクチュエータアーム68を含んでよく、10個のアンカー鳩目80がアンカージグザグ部分70から延びている。なお、閉鎖器部分24及びアンカー部分26に含まれるフレーム部品、例えば、面ストラット50及びアンカーアクチュエータアーム68のそれぞれの数は、より多くても、より少なくてもよく、これは当業者には周知のとおりである。点線84で示されるように、閉鎖器鳩目62は、対応するアンカー鳩目80と、ヒンジ状結合機構によって結合されるように構成されてよい。そのような結合は、
図2に示されるように、閉鎖器鳩目62をアンカー鳩目80と直接連結することによって行われてよい。
【0035】
別の実施形態では、閉鎖器部分24及びアンカー部分26の各フレーム部品が、平板ではなく管材からレーザで切り出されてよい。この実施形態では、フレーム部品は、レーザで切り出されてから、加熱処理されることにより、
図2に示されているものと同様の所与の構成にされてよい。当業者であれば容易に理解されるように、閉鎖器部分24及びアンカー部分26の各種フレーム部品は、修正が必要になる場合がある。
【0036】
図3Bを参照すると、別の実施形態では、閉鎖器鳩目62とアンカー鳩目80とを一直線上に並べ、並べられた各鳩目62、80のそれぞれの中に単体の連結片94(輪郭で図示)を配置し、それぞれを貫通させることにより、閉鎖器部分24とアンカー部分26とがヒンジ動作自在に結合されてよい。そのような連結片94は、ポリマーフィラメント等であってよい。連結片94の各端部96を加熱することにより、各端部96において球形状(図示せず)を形成してよく、各端部96は、冷却されると硬化して球形状を維持し、これによって、並んだ鳩目同士の結合が外れなくなる。このようにして、閉鎖器鳩目62及びアンカー鳩目80は、連結片94によって連結されてよく、これによって、アンカー部分26が閉鎖器部分24に対して旋回するヒンジ結合機構が与えられ、より具体的には、アンカー部分26が閉鎖器鳩目62を中心にして旋回するヒンジ結合機構が与えられる。別の実施形態では、連結片94は、一直線に並んだ鳩目に圧入されて貫通することによってヒンジ結合機構を与える金属リベットであってよい。
【0037】
次に、
図4を参照すると、医療器具20を、例えば、LAAに送達する為の医療器具送達システム100が示されている。医療器具送達システム100は、前述の送達システム22、医療器具20、及びシース102を含んでよい。送達システム22は、ハンドル106と結合された送達カテーテル104を含んでよく、医療器具20は、送達カテーテル104の遠位端において、ハンドル106と作用的に結合されている。送達カテーテル104は、シース102内に挿入されて、医療器具20がシース102内を通って送達カテーテル104の遠位端に到達するまで医療器具20を押すことが可能なように、サイズ調整及び構成されてよい。医療器具20は、図示されているように、送達の特定段階において、部分的に露出されてよい。医療器具送達システム100の各種構成要素の機能性及び詳細については、後で詳述する。
【0038】
次に、
図5、
図5A、及び
図5Bを参照して、送達カテーテル104の遠位部分について説明する。
図5Aは、
図5に示された、送達カテーテル104の軸106に沿っての送達カテーテル104の遠位部分の断面図であり、
図5Bは、その遠位部分の一部分の拡大断面図である。送達カテーテル104は、送達カテーテル104の近位端(図示せず)と遠位端110との間で送達カテーテル104内を長手方向に延びる内腔108を画定してよい。一実施形態では、送達カテーテル104は、シャフト(図示せず)、らせん状刻み目部分112、内部遠位管114、及びコレット116を含んでよい。送達カテーテル104のそのような遠位部分は、らせん状刻み目部分112の領域に沿って、強化された横方向の柔軟性を含んでよい。即ち、送達カテーテル104の遠位部分は、送達カテーテル104の、らせん状刻み目部分112より近位の部分より柔軟であってよい。らせん状刻み目部分112は、図示されているように、スリットを渦巻き状又はらせん状にカットすることにより、送達カテーテル104の遠位部分の周辺構造物として形成されてよい。内部遠位管114は、送達カテーテル104と結合されてよく、送達カテーテル104の遠位部分の内腔108内にあってよい。コレット116は、送達カテーテル104の遠位端110に位置して、これと熱的に結合されてよく、内部遠位管114内にあってよく、コレットフィンガー118がコレット116から遠位方向に延びている。コレットフィンガー118は、小突起120、即ち、コレットフィンガー118の自由端から延びる突起物により、医療器具(図示せず)のハブをラッチするようにサイズ調整及び構成されてよい。コレットフィンガー118は、矢印122で示されるように外向きに動くことが可能であり、図示されているように内向きの位置に付勢されている。コレット116及びコレットフィンガー118は、金属材料で作られてよく、例えば、ステンレス鋼やニチノール、又は他の任意の好適な、付勢力を維持できる金属材料で作られてよい。コレットフィンガー118のそのような内向きの付勢については、後で詳述する。らせん状刻み目部分112に沿っての送達カテーテル104の強化された柔軟性に着目すると、そのような強化された柔軟性は、医療器具の、LAA内に配備された際の自動調心を容易にする。言い換えると、医療器具(図示せず)の半径方向強度は、らせん状刻み目部分112に沿っては、送達カテーテル104の横力より大きくてよく、これによって、医療器具の送達及び配備時に送達カテーテルの軸106をLAA口と同心にすることができない状況で医療器具がLAA内で自動調心することが可能になる。
【0039】
次に、
図6A、
図6B、及び
図6Cを参照して、医療器具20をシース102内にロードする為に用いうる手順を説明する。例えば、送達カテーテル104は、医療器具20の閉鎖器部分24をシース102内にロードすることを容易にするようにサイズ調整及び構成されたローダ124を含んでよく、これによって、送達カテーテル104は、閉鎖器部分24がシース102内を通って送達カテーテル104の遠位部分に到達するまで、閉鎖器部分24を押すことが可能である。
図6Aを参照すると、ローダ124は、管部分126及びハンドル部分128を含んでよい。ローダ124は、送達カテーテル104の上に摺動自在に配置されてよく、送達カテーテル104は、ローダ124内に画定された内腔を通って延びる。ローダ124は、送達カテーテル104の遠位端の上を動かされてよく、医療器具20の閉鎖器部分24が管部分126で囲まれて締め付けられた位置になるまで動くように、ローダ124を、閉鎖器部分24の上まで、手動で、即ち、力ずくで動かしてよい。しかしながら、ローダ124を閉鎖器部分24の上まで動かす前に、ハンドル106のアクチュエータノブ及びプランジャシャフトを、
図8及び
図8Aに示されるように、近位位置まで動かす為に、アンカー部分を非配備位置にしなければならない。
図6Aを再度参照すると、ローダ124を完全に閉鎖器部分24の上まで動かしてから、シース102内で医療器具20を前に進めてよい。この時点では、シース102は、当該技術分野で知られている典型的な技術により、既に循環系内を心臓まで進んでおり、シース102の遠位部分は、LAA(図示せず)内に位置している。
【0040】
図6B及び
図6Cに示されるように、ローダ124は、シース102に挿入されてよく、より具体的には、シースハブ130に挿入されてよい。シースハブ130は、シース102の近位端においてシース102と結合されてよい。シースハブ130の構成要素は、弁132及びシース流体ポート134を含んでよい。弁132は、弁132の回転時にシース102からの血液の逆流を抑制又は制限するように構成された、チューヒーボースト(Touhy Borst)弁などのような回転止血弁であってよい。シース流体ポート134は、シースハブ130から延びてよく、医療器具20をシース102にロードする際に混入しうる空気をシース102から排出又は吸引するようにサイズ調整及び構成されてよい。別の実施形態では、ローダ124は、送達カテーテル104の周囲に配置されて、シースハブ130に挿入されながら止血を維持する弁も含んでよい。
【0041】
前述のように、ローダ124は、管部分126の遠位端にある小突起136と、シースハブ130内に画定されたボア138の内部リブ(図示せず)とによるスナップ又はクリックフィットにより、シースハブ130と係合、又はシースハブ130に挿入されてよい。ローダ124がシースハブ130内に配置されると、送達カテーテル104は、シース102内に長手方向に画定された内腔を通って前に進められてよく、これにより、送達カテーテル104の遠位端は、シース102の遠位部分に向かって動いて、医療器具20の閉鎖器部分24の遠位先端をシース102の遠位端から露出させる。この機構により、閉鎖器部分24の遠位先端は、シース102の遠位端において露出されてよく、閉鎖器の材質により、金属フレーム部材が露出していない、クッション性のある先端140を提供しており、これによって、組織を傷つけずにLAA内に入っていくことが容易になって、LAA内での滲出の可能性が低減される。
【0042】
次に、
図7乃至
図11を参照して、送達システム22から見た、(輪郭で示されている)LAA5における医療器具20の配備及び切り離しについて説明する。
図7及び
図8を参照すると、医師がシース102の遠位部分をLAA5内に配置し、医療器具20がシース102の遠位部分に配置され、閉鎖器部分24のクッション性のある先端140がシース102の遠位端において露出している場合、医師は、組織を傷つけずに、シース102の遠位部分をLAA5内の所望の場所に配置することが可能である。所望の場所が確定したら、医師は、医療器具20の閉鎖器部分24を配備することが可能である。そのような配備を行うには、シース102を引き抜く、即ち、シース102を近位方向に手動で動かすだけでよい。シース102が引き抜かれると、
図8に示されるように、閉鎖器部分24が自己拡張して閉鎖器配備位置になり、アンカー部分26はアンカー非配備位置のままである。
【0043】
図8を参照すると、医療器具20と結合された、送達カテーテル104の遠位部分が示されている。この実施形態の送達カテーテル104は、閉鎖器ハブナット142及びコレット116の機構により、医療器具20と結合されている。例えば、送達カテーテル104の遠位部分は、内部遠位管114及びアクチュエータシャフト144を含む。アクチュエータシャフト144は、その遠位端部分において、層状コイル、例えば、速度計ケーブルを含んでよく、これは、コレット116内で移動自在な内部遠位コネクタ146と結合されてよい。前述のように、コレット116は、コレット116から遠位方向に延びるコレットフィンガー118を含んでよい。内部遠位コネクタ146は、閉鎖器ハブナット142、より具体的には、閉鎖器ハブナット142内で画定されたねじ穴148と結合されるようにサイズ調整及び構成されたねじ山を含んでよい。閉鎖器ハブナット142は、その遠位端においては、スプラインスリーブ72を含んでよい。前述のように、スプラインスリーブ72は、アンカーアクチュエータアーム68のそれぞれの端部部分と結合されるようにサイズ調整及び構成されてよい。別の実施形態では、内部遠位コネクタ146がナット構成を含み、閉鎖器ハブナット142がねじ構成を含むように、内部遠位コネクタ146と閉鎖器ハブナット142とが逆であってよい。いずれの場合も、医療器具20は、ねじで送達カテーテル104と結合されてよい。
【0044】
図8Aを参照すると、ハンドル106の一実施形態が示されている。ハンドル106は、ハンドルハウジング150、アンカーアクチュエータリリースボタン152、プランジャシャフト154、及びアクチュエータノブ156を含んでよい。ハンドルハウジング150は、送達カテーテル104の近位部分と結合されてよい。図示されているプランジャシャフト154及びアクチュエータノブ156は、アンカー部分26が非配備位置(
図8を参照)にあることに相互に関連する第1の位置にある。プランジャシャフト154及びアクチュエータノブ156は、アンカーアクチュエータリリースボタン152が押し下げられている間、第1の位置と第2の位置との間で双線形的に動かされることが可能である。ハンドル106の機能及び各種構成要素については、後で詳述するが、当業者であれば明らかであろう。
【0045】
図8及び
図8Aに示されるように、医療器具20のアンカー部分26は、アンカー非配備位置にある。アクチュエータノブ156及びプランジャシャフト154は、矢印155で示されるように、第1の位置まで動かされる。第1の位置は、医療器具20がローダ124内にロードされてシース102内にロードされる(
図6A及び6Bを参照)前のアンカー非配備位置に対応している。アンカー非配備位置では、内部遠位コネクタ146は、ねじで閉鎖器ハブナット142と結合されており、且つ、ハブ54より近位に位置しており、アンカー部分26は、第1の位置、即ち、アンカー非配備位置、言い換えると、アンカーイン位置にあり、アンカーアクチュエータアーム68の一部分がハブ54より近位にあり、且つ、ハブ54内に画定されたボア158の中にある。更に、アンカー非配備位置では、ハンドル106のプランジャシャフト154及びノブ156も、近位位置、即ち、第1の位置にあってよい。医師は、この機構を用いて、閉鎖器部分24がアンカー部分26の配備前に配備位置にある状態で、LAA5内での医療器具20の最適な位置を決定してよい。
【0046】
次に、
図9及び
図9Aを参照すると、配備された閉鎖器部分24がLAA5内の所望の位置にあることを医師が確認したら、医療器具20のアンカー部分26は、アンカー配備位置、即ち、アンカーアウト位置、言い換えると、アンカーの第2の位置まで動かされてよい。そのようなアンカー配備位置は、やはりリリースボタン152を押し下げながら、矢印160で示されるようにアクチュエータノブ156を遠位方向に手動で動かすことによって、用いられてよい。アンカー配備位置では、内部遠位コネクタ146及び閉鎖器ハブナット142もコレット116より遠位方向に動かされてハブ54に入るか、ハブ54を通り抜けてよい。そのような遠位方向への直線的な動きによって、スプラインスリーブ72と結合されているアンカーアクチュエータアーム68も、送達カテーテル104の遠位部分から、ハブ54を通り抜けて、外転された配備位置、即ち、展開位置まで動き、それによって、アンカー部分26が、閉鎖器部分24とアンカー部分26との間のヒンジ接続場所(即ち、閉鎖器鳩目62及びアンカー鳩目80)において旋回又は回転することによって、折りたたまれた状態から半径方向に展開される。アンカー配備位置においては、LAA5内で医療器具20を効果的に固定すべく、組織をつかんで動きを阻止するように、アンカー部分26のフック86、又は、歯がサイズ調整及び構成されている。アンカー部分26が配備された後、医師は、撮像技術を通して医療器具20を目視して、LAA内での医療器具20の配置が適正であることを確認することが可能であるとともに、ハンドル106を近位方向に引っ張って医療器具20がLAA5と効果的に係合していることを確認する安定性試験を行うことも可能である。そのような撮像技術は、医療器具20上に戦略的に配置されるマーカと、撮像情報を医師に提供する送達カテーテル104とによって強化されることが可能である。そのようなマーカは、X線不透過性材料で作られてよく、例えば、白金、金、タンタル、又はこれらの合金、或いは他の任意の好適な、生体適合性のあるX線不透過性材料で作られてよい。
【0047】
アンカー部分26のフック86は、医療器具20がLAA5に対して近位方向にも遠位方向にも実質的に動かないようにするように、遠位方向及び近位方向の両方に延びてよい。一実施形態では、フック86は、医療器具20の軸74、又はアンカージグザグ部分70のストラットに対する鋭角88(
図3A)を含んでよい。フック86は、LAA5の組織をつかむように構成されており、組織に食い込んでよい。そのようなフック86は、フック86がLAA5の組織に刺さって貫通穴が開くことを阻止する一方で、組織に効果的に、且つ、むしろ積極的に係合してLAA5内で医療器具20を安全に固定するように、サイズ、方向、及び構成が決められてよい。
【0048】
医師がLAA内での医療器具の位置又は係合に満足でない場合、医師は、アンカー部分26とLAAの組織との係合を容易に解除することが可能であり、これは、アクチュエータノブ156を近位方向に第1の位置(
図8A)まで動かすだけで、アクチュエータシャフト144が近位方向に同時に動いて、アンカー部分26が非係合位置、即ち、アンカー非配備位置まで旋回することによって行われる。次に医師は、閉鎖器部分24をLAA5内で再配置することが可能であり、LAA5内での閉鎖器部分24の位置が満足のいくものになったら、医師は、アクチュエータノブ156を前方、即ち、遠位方向に動かしてアンカー部分26を旋回させ、LAA5の組織と再係合させることが容易に可能である。次に医師は、再度、撮像及び安定性試験を通じて、医療器具20が、医師が満足できるように効果的且つ安全にLAA内に配置されているかどうかを確認することが可能である。容易に理解されるように、医療器具20の閉鎖器部分24を再配置し、アンカー部分26を再係合させる手順は、医師が満足するまで繰り返されてよい。
【0049】
次に、
図10、
図10A、及び
図10Bを参照して、医療器具20を切り離す機能について説明する。医療器具20の切り離し、即ち、解放は、内部遠位コネクタ146を、閉鎖器ハブナット142内に設けられているねじ穴148から、ねじをゆるめて取り外すことにより、行うことが可能である。そのような切り離しは、内部遠位コネクタ146が閉鎖器ハブナット142のねじ穴148から外れるまで、ハンドル106のアクチュエータノブ156を、矢印162で示されるように反時計回りに数回回すことによって可能である。次に、リリースボタン152を押し下げながら、アクチュエータノブ156を、矢印164で示されるように、近位方向に第1の位置まで引き戻すと、内部遠位コネクタ146の近位方向への動きが容易になる。内部遠位コネクタ146が近位方向に動いてコレット116を通り抜けるか、コレット116の中に入ると、コレット116から遠位方向に延びているコレットフィンガー118が内側に倒れる。これは、コレットフィンガー118が内側位置に向かって付勢されていてよい為である。言い換えると、内部遠位コネクタ146がねじ穴から外される前は、コレットフィンガー118は、医療器具20の軸74と実質的に同心の外側位置に保持されていてよく、これにより、送達カテーテル104は、医療器具20にロックされたままとなっている。コレットフィンガー118は、外側に広がる小突起120を含んでおり、小突起120は、ハブ52内で(
図9にも示されている)当接部166に対して保持されている。このように、内部遠位コネクタ146が閉鎖器ハブナット142から外され、コレットフィンガー118から離れて近位位置へ動くと、コレットフィンガー118が付勢によって弾力的に内側位置に倒れて、ハブ内で小突起120が動いて当接部166から離れ、これによって、送達カテーテル104が医療器具20からロック解除、即ち、ラッチ解除される。この時点で、送達カテーテル104が、医療器具20から切り離されてよく、
図11に示されるように、コレットフィンガー118は倒れており、小突起120は、ハブ54内の当接部166から近位方向に動いている。
【0050】
図2及び
図12を参照すると、送達カテーテル104が医療器具20から切り離された後にハブ54のボア158を閉鎖するようにサイズ調整及び構成されたばね170が示されている。ばね170は、ハブ54を効果的に閉鎖するために、クローバ構成又は他の任意の好適な構成を含んでよい。ばね170は、第1の位置(付勢位置)と第2の位置(弛緩位置)との間を動いてよい。
図12には、ばね170の(輪郭形式で示された)第1の位置(付勢位置)が示されており、これは、送達カテーテル104がハブ54と結合されている場合のばね170の位置である。送達カテーテル104がハブ54から切り離されると、ばね170が第2の位置(弛緩位置)(
図2を参照)に動いて、閉鎖器フラップ36(
図1も参照)が、ハブ54につながる貫通穴(開いていれば)を実質的に最小化する。ばね170の第2の位置(弛緩位置)では、ハブ54内で画定されているボア158が実質的に閉鎖され、閉鎖器フラップ36は、単なるX字形スリット(
図1)として残る。前述のように、ばね170は、閉鎖器材料又は組織成長部材28に埋め込まれてよく、或いは、内部閉鎖器材料の表面に取り付けられてよく、その際、ばね170は、いくつかの、例えばePTFEで作られた、層及び/又は折り重なりを含んでよく、フラップ36を形成している1つ以上のスリットは、ばね170が第1の位置(付勢位置)にある場合には、送達カテーテル104とハブ54との相互接続を容易にする一方、ばね170が第2の位置(弛緩位置)にある場合には、ハブ54内で画定されているボア158を実質的に閉鎖することが可能である。このような機構は、有利なことに、医療器具20がLAA内に配置された場合に、ハブ54を通る血流を実質的に阻止するか、ハブ54自体から塞栓又は血栓が移動する可能性を実質的に排除する。
【0051】
次に
図13A及び
図13Bを参照すると、ハンドル106のリリースボタン152の操作が示されている。ハンドルハウジング150は穴172を画定しており、穴172は、ハンドルハウジング150の長手軸に沿って延びてよく、その穴の中を双線形的に動くプランジャシャフト154を保持するようにサイズ調整されてよい。ハンドルハウジング150は更に、その中に中空部分174を画定してよい。プランジャシャフト154は、ハンドルハウジング150内を通って延びてよく、送達カテーテル104の遠位部分(
図9を参照)においてアクチュエータシャフト144及び内部遠位コネクタ146と結合されている構成要素と結合されてよい。ハンドル106は又、リリースボタン152に付勢するように構成されたリーフばね176を含んでよい。リリースボタン152は、ボタンポスト178を含んでよい。リーフばね176は、リリースボタン152を、非押し下げ位置、即ち、第1の位置に付勢する為に、ボタンポスト178と結合されてよい。又、プランジャシャフト154には、2つの移動止め180が固定されていてよい。リリースボタン152を、押し下げ位置、即ち、第2の位置まで押し下げると、ボタンポスト178がリーフばね176を押し下げて、キャビティ182内に動く。ボタンポスト178がキャビティ182内に動いたら、プランジャシャフト154と結合されている移動止め180が、ハンドルハウジング150によって画定されている中空部分174の中で、移動止め180によって正確に計られる所定距離だけボタンポスト178を通り過ぎて遠位方向に自由に動く(そして近位方向に戻る)ことが可能になる。このように、プランジャシャフト154が動くことが可能な所定距離は、医療器具20のアンカー部分の、アンカー非配備位置とアンカー配備位置(
図8及び
図9を参照)との間でのアクチュエーションの為にアクチュエータシャフト144が動く距離又は長さと一致する。
【0052】
図8を再度参照すると、別の実施形態では、シース102は、撮像装置190を含んでよい。撮像装置190は、シース102の遠位端に配置されるようにサイズ調整及び構成されてよく、撮像装置190から近位方向にシースハブ130(
図6C)に向かって延びる1つ以上の線192を含んでよい。これらの線は、当業者には知られているように、撮像情報を撮像装置190からコンピュータ及びディスプレイ(図示せず)に転送する為のものであり、医師はこの撮像情報をリアルタイムで目視できる。シース102は、閉鎖器部分24から引き抜かれると、医療器具20と実質的に同心の位置、或いは、医療器具20より近位の位置にあって、他の方法では医師にとって入手が容易ではない詳細な撮像情報を医師に提供する為に、左心房内でLAAの近傍の見晴らしのきく地点及び場所にあってよい。撮像装置190は、超音波撮像装置、又は他の任意の好適な、当該技術分野で知られている撮像装置であってよい。
【0053】
次に、
図14A及び
図14Bを参照すると、別の実施形態の、送達カテーテル202の遠位部分と結合された医療器具200が示されており、(過度に単純化された外形図で示された)医療器具200が、それぞれ、部分的配備位置及び完全配備位置にある。前述の実施形態の場合と同様に、医療器具200は、個別配備可能な閉鎖器部分204及びアンカー部分206を含んでよい。例えば、シース208がLAA(図示せず)内に配置され、医療器具200がシース208の遠位端部分にある場合、シース208を引き抜くことによって、医療器具200の閉鎖器部分204が配備されるか、医療器具200が部分的に配備される。閉鎖器部分204が配備されたら、アンカー部分206が配備されてよく、それによって、医療器具200が完全に配備される。
【0054】
この実施形態では、閉鎖器部分204は、前述の実施形態とほぼ同様であり、異なるのは、組織成長部材210が閉鎖器部分204のフレーム部品の外側表面に取り付けられている点である。この実施形態の組織成長部材210は、
図1Bに関して詳述された組織成長部材に関して説明されたものと同様の、1つ以上の材料からなる層が形成されていてよい。更に、アンカー部分206は、ヒンジ機構212によって、閉鎖器部分204と、ヒンジ動作自在に結合されていてよく、多くの点で前述の実施形態と同様に動作するが、この実施形態のアンカー部分206は、それぞれ独立した別個の、複数のアンカーフレームセグメント214を含んでおり、これは
図15に最もよく示されている。
【0055】
図15を参照すると、閉鎖器部分204及びアンカー部分206のフレーム部品が、例えば、ニチノールのような超弾性材料の平板からレーザで切り出された後に事前形成された状態で示されている。簡潔さの為に、図示されているアンカーフレームセグメント214は1つだけであるが、この実施形態では、例えば、閉鎖器部分204の閉鎖器フレームアパーチャ216に対応する為に、且つ、これと結合される為に、アンカーフレームセグメント214が5つあってよい。図示されているように、閉鎖器部分204のフレーム部品は、
図3に関して前述の実施形態で説明された閉鎖器部分
24のフレーム部品とほぼ同様であってよい。
【0056】
アンカーフレームセグメント214に着目すると、各アンカーフレームセグメント214は、第1の端部218と第2の端部220との間に延びてよく、その間に2つのアクチュエータアーム222が延びてよく、各アンカーフレームセグメント214は、事前形成された状態では「Y」字形又は「V」字形であってよい。各アクチュエータアーム222は、第2の端部220において、アンカーヒンジアパーチャ224を含んでよく、第1の端部218においては、アクチュエータアーム222は、前述の実施形態のそれと同様に、カラー機構226、即ち、スプラインスリーブと結合されてよい。この機構により、アクチュエータアーム222は、
図14A及び
図14Bに示されるように、ヒンジ機構212の場所において、閉鎖器部分204のまわりを旋回することが可能である。更に、アクチュエータアーム222は、アンカー配備位置においてループ構成又はループ延長部分を形成することが可能であり、アクチュエータアーム222の第1の端部218は、医療器具200のハブ228の中で可動、又はアクチュエート可能である。
【0057】
次に、
図16A、
図16B、及び
図17参照すると、別の実施形態の医療器具250が示されており、前述の実施形態と同様に、部分的配備位置(
図16A)及び完全配備位置(
図16B)において示されている。この実施形態では、閉鎖器部分252は前述の実施形態と同様であってよいが、アンカー部分254は、アンカージグザグ部分256と、ループ延長部分258、即ち、アクチュエータアームとを、独立したアンカーフレーム部品として含んでよい。この実施形態では、医療器具250は、デュアルヒンジ機構を含んでよい。例えば、閉鎖器部分252は、第1のヒンジ機構260により、アンカージグザグ部分256とヒンジ動作自在に結合されてよく、アンカージグザグ部分256は、第2のヒンジ機構262により、ループ延長部分258とヒンジ動作自在に結合されてよい。医療器具250の外形及び機能性は、前述の実施形態と同様であってよく、異なるのは、ループ延長部分258が、アンカージグザグ部分256から、より直接内側に向かう角度となりうる点であり、これは、それらの間の第2のヒンジ機構262に起因するものである。
図15の実施形態と同様に、この実施形態は10個のループ延長部分258、即ち、アクチュエータアームを含んでよいが、簡潔さのために、
図17に示されている(単一ループ延長セグメントとしての)ループ延長部分258は2つだけである。なお、
図14及び
図16の実施形態も、シース264内で締め付けられた場合に、
図7に示されるようなクッション性のある先端(図示せず)を促進する機能を提供している。更に、
図1、
図14、及び
図16に関して図示及び説明された各実施形態は、同様の機能及び構造を含んでいる為、1つの実施形態で行われた説明は、その他の説明済み実施形態にも適用可能であってよい。
【0058】
他の機能及び構成要素も、本明細書に記載の各種実施形態とともに組み込まれてよく、これには、参照によってその全体が本明細書に組み込まれている、2010年6月17日に出願された米国特許出願第12/818,046号の明細書に記載されたものが含まれる。
【0059】
本発明は、様々な修正及び変形の余地があってよいが、本明細書では、特定の実施形態を、図面において例示し、詳細に説明してきた。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、本発明は、後に添付されている特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨及び範囲に収まるあらゆる修正物、等価物、及び代替物を包含する。