特許第6062468号(P6062468)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062468
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】エアトラップチャンバ
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/36 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   A61M1/36 111
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-41227(P2015-41227)
(22)【出願日】2015年3月3日
(65)【公開番号】特開2016-158921(P2016-158921A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2015年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】杉山 博信
(72)【発明者】
【氏名】小野 和秀
(72)【発明者】
【氏名】船村 重彰
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0084721(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0269340(US,A1)
【文献】 特開平06−142192(JP,A)
【文献】 特開平08−336590(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0292627(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の液体を流通させる液流路に接続されるとともに、所定容量の所定の液体を収容し得るチャンバ部と、該チャンバ部に前記液流路の所定の液体を導入させ得る液導入口と、前記チャンバ部の所定の液体を前記液流路に導出させ得る液導出口とを有し、当該チャンバ部に収容された所定の液体に含まれる気泡を捕捉して除去するためのエアトラップチャンバにおいて、
前記液導入口から導入した所定の液体を上方に向かって流動させた後、前記チャンバ部に流下させ得る案内手段を具備し、且つ、前記液導入口から導入した所定の液体を受ける受け面を有するとともに、当該受け面で受けた所定の液体を前記案内手段を介して前記チャンバ部に流下させ得ることを特徴とするエアトラップチャンバ。
【請求項2】
前記案内手段は、前記チャンバ部に所定の液体を流下させ得る開口の周縁に形成された壁部から成ることを特徴とする請求項1記載のエアトラップチャンバ。
【請求項3】
上部の空気層部と、当該空気層部及び前記チャンバ部の間に介在する中間部とを有し、前記開口が当該中間部に形成されるとともに、当該開口は、前記中間部に対して偏心した位置に形成されたことを特徴とする請求項記載のエアトラップチャンバ。
【請求項4】
請求項1〜の何れか1つに記載のエアトラップチャンバを具備したことを特徴とする血液回路。
【請求項5】
請求項記載の血液回路を具備したことを特徴とする血液浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液を流通させる血液流路に接続されるとともに、所定容量の血液を収容し得るチャンバ部と、該チャンバ部に血液を導入させ得る血液導入口と、チャンバ部の血液を導出させ得る血液導出口とを有し、当該チャンバ部に収容された血液に含まれる気泡を捕捉して除去するためのエアトラップチャンバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、透析治療を行うための血液浄化装置は、患者の血液を体外循環させるための血液回路を構成する動脈側血液回路及び静脈側血液回路と、血液回路にて体外循環する血液を浄化するための血液浄化器と、血液回路及び血液浄化器にて血液浄化治療させるための血液ポンプ等の種々の治療手段が配設された装置本体とを具備している。動脈側血液回路及び静脈側血液回路の先端には、それぞれ動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針が取り付け可能とされている。
【0003】
そして、動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針を患者に穿刺した後、血液ポンプを駆動させることにより、患者の血液が血液回路(動脈側血液回路及び静脈側血液回路)を流動することとなり、その流動過程において血液浄化器にて血液浄化されるようになっている。血液回路には、通常、血液回路にて流通する血液に含まれる気泡を捕捉して除去するためのエアトラップチャンバが接続されている。
【0004】
エアトラップチャンバは、通常、所定容量の血液を収容し得るチャンバ部と、該チャンバ部に血液回路の血液を導入させ得る血液導入口と、チャンバ部の血液を血液回路に導出させ得る血液導出口とを有して構成されていた。しかるに、血液導入口から導入された血液がチャンバ部に収容された血液の液面に流下した際、その流下する血液の勢いによって泡が生じてしまう虞があることから、泡立ちにより生じた気泡を確実に捕捉するためにチャンバ部の容量を大きくする必要があった。かかる不具合に対応すべく、従来より、血液導入口の開口端をチャンバ部の液面より低い位置に設定したエアトラップチャンバが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2014−506157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のエアトラップチャンバにおいては、血液導入口から導入された血液がチャンバ部に収容された血液の液面に流下しないので、その流下する血液の勢いによって泡が生じてしまうのを防止できるものの、血液導入口から導入された血液の流速が大きい場合、気泡が含まれた状態で血液導出口から血液が導出されてしまう虞があることから、チャンバ部の容量を大きくする必要があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、血液に含まれる気泡をより十分且つ確実に除去することができ、チャンバ部の容量を低減させることができるエアトラップチャンバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、所定の液体を流通させる液流路に接続されるとともに、所定容量の所定の液体を収容し得るチャンバ部と、該チャンバ部に前記液流路の所定の液体を導入させ得る液導入口と、前記チャンバ部の所定の液体を前記液流路に導出させ得る液導出口とを有し、当該チャンバ部に収容された所定の液体に含まれる気泡を捕捉して除去するためのエアトラップチャンバにおいて、前記液導入口から導入した所定の液体を上方に向かって流動させた後、前記チャンバ部に流下させ得る案内手段を具備し、且つ、前記液導入口から導入した所定の液体を受ける受け面を有するとともに、当該受け面で受けた所定の液体を前記案内手段を介して前記チャンバ部に流下させ得ることを特徴とする。
【0010】
請求項記載の発明は、請求項1記載のエアトラップチャンバにおいて、前記案内手段は、前記チャンバ部に所定の液体を流下させ得る開口の周縁に形成された壁部から成ることを特徴とする。
【0011】
請求項記載の発明は、請求項記載のエアトラップチャンバにおいて、上部の空気層部と、当該空気層部及び前記チャンバ部の間に介在する中間部とを有し、前記開口が当該中間部に形成されるとともに、当該開口は、前記中間部に対して偏心した位置に形成されたことを特徴とする。
【0018】
請求項記載の発明は、請求項1〜の何れか1つに記載のエアトラップチャンバを具備したことを特徴とする血液回路である。
【0019】
請求項記載の発明は、請求項記載の血液回路を具備したことを特徴とする血液浄化装置である。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、液導入口から導入した所定の液体を上方に向かって流動させた後、チャンバ部に流下させ得る案内手段を具備したので、所定の液体に含まれる気泡をより十分且つ確実に除去することができ、チャンバ部の容量を低減させることができる。
【0021】
また、液導入口から導入した所定の液体を受ける受け面を有するとともに、当該受け面で受けた所定の液体を案内手段を介してチャンバ部に流下させ得るので、受け面にて受ける際に液導入口から導入した所定の液体の勢いを十分に低減させることができ、チャンバ部における泡立ち等を抑制することができる。
【0022】
請求項の発明によれば、案内手段は、チャンバ部に所定の液体を流下させ得る開口の周縁に形成された壁部から成るので、簡単な構成にて所定の液体に含まれる気泡をより十分且つ確実に除去することができ、チャンバ部の容量を低減させることができる。
【0023】
請求項の発明によれば、上部の空気層部と、当該空気層部及びチャンバ部の間に介在する中間部とを有し、開口が当該中間部に形成されるとともに、当該開口は、中間部に対して偏心した位置に形成されたので、(a)径方向の寸法を小さくできることから、エアトラップチャンバをコンパクトに作成可能であり、材料を低減させることができる、(b)エアトラップチャンバをコンパクトに作成可能であるため、プライミングボリューム(液充填量)を減少させることができる、(c)エアトラップチャンバをコンパクトに作成可能であるため、エアトラップチャンバ内部での所定液体を置換させるための時間(滞留時間)を短縮でき、所定液体を血液とした場合、血液凝固や血栓生成を抑制することができる、(d)液流路(吐出側と反対側)が徐々に狭くなるため、流速が上がり、エアトラップチャンバ内部での所定液体を置換させるための時間(対流時間)を短縮でき、所定液体を血液とした場合、血液凝固や血栓生成を抑制することができる、なる種々効果を奏することができる。
【0030】
請求項の発明によれば、請求項1〜の何れか1つに記載のエアトラップチャンバを具備した血液回路を提供することができる。
【0031】
請求項の発明によれば、請求項記載の血液回路を具備した血液浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施形態に係るエアトラップチャンバが適用される血液回路を示す模式図
図2】本発明の第1の実施形態に係るエアトラップチャンバを示す平面図及び正面図
図3図2中III−III線断面図
図4図2中IV−IV線断面図
図5】本発明の第2の実施形態に係るエアトラップチャンバを示す平面図及び正面図
図6図5中VI−VI線断面図
図7図5中VII−VII線断面図
図8図7中VIII−VIII線断面図
図9】同エアトラップチャンバにおける壁部及び貯留部等を示す斜視図
図10】本発明の他の実施形態に係るエアトラップチャンバの壁部及び貯留部等を示す断面図
図11】本発明の第3の実施形態に係るエアトラップチャンバを示す平面図及び正面図
図12図11中XII−XII線断面図
図13図11中XIII−XIII線断面図
図14図13中XIV−XIV線断面図
図15】同エアトラップチャンバにおける壁部及び貯留部等を示す斜視図
図16】同エアトラップチャンバの一部を破断した斜視図
図17】本発明の第4の実施形態に係るエアトラップチャンバを示す平面図及び正面図
図18図17中XVIII−XVIII線断面図
図19図17中XIX−XIX線断面図
図20】同エアトラップチャンバにおける壁部及び貯留部等を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るエアトラップチャンバは、血液(所定の液体)を流通させる血液流路(液流路)に接続され、当該血液流路にて流通する血液に含まれる気泡を捕捉して除去するためのもので、図1で示す血液浄化装置に適用されたものである。かかる血液浄化装置は、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための透析装置に適用されたもので、血液回路(動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2)と、血液浄化器としてのダイアライザ3と、血液ポンプ4とを有して構成されている。
【0034】
ダイアライザ3は、微小孔(ポア)が形成された複数の中空糸を筐体部に収容して成るものであり、その筐体部に、血液導入ポート3a、血液導出ポート3b、透析液導入ポート3c及び透析液導出ポート3dが形成されている。血液回路は、先端に動脈側穿刺針aが取り付け可能とされた動脈側血液回路1と、先端に静脈側穿刺針bが取り付け可能とされた静脈側血液回路2とを有した可撓性チューブから構成されたもので、動脈側血液回路1の基端がダイアライザ3の血液導入ポート3aに接続されるとともに、静脈側血液回路2の基端がダイアライザ3の血液導出ポート3bに接続されている。
【0035】
さらに、本透析装置には、ダイアライザ3に透析液を導入する透析液導入チューブL1と、ダイアライザ3から透析液(排液)を導出する透析液導出チューブL2とを取り付け可能とされており、透析液導入チューブL1の先端がダイアライザ3の透析液導入ポート3cに接続されるとともに、透析液導出チューブL2の先端がダイアライザ3の透析液導出ポート3dに接続されている。なお、動脈側血液回路1には、T字管Tを介して生理食塩液供給ラインL3が接続されており、その生理食塩液供給ラインL3の先端には生食バッグと称される生理食塩液を収容可能な収容手段6が接続されている。
【0036】
またさらに、動脈側血液回路1の途中には、一対のローラを具備し、当該ローラが回転して送液可能なしごき型ポンプから成る血液ポンプ4が配設されている。そして、血液ポンプ4を駆動させると、動脈側穿刺針aから採取された血液は、動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2にて体外循環される過程で、ダイアライザ3により清浄化され、血液浄化治療が行われることとなる。また、静脈側血液回路2の途中には、エアトラップチャンバ5が接続されている。
【0037】
ここで、本実施形態に係るエアトラップチャンバ5は、血液を流通させる液流路(血液回路)に接続されるとともに、図2〜4に示すように、所定容量の血液(所定の液体)を収容し得るチャンバ部5cと、該チャンバ部5cに血液流路(静脈側血液回路2)の血液を導入させ得る血液導入口5aa(液導入口)と、チャンバ部5cの血液を血液流路(静脈側血液回路2)に導出させ得る血液導出口5ca(液導出口)とを有し、当該チャンバ部5cに収容された血液に含まれる気泡を捕捉して除去するためのものである。
【0038】
より具体的には、本実施形態に係るエアトラップチャンバ5は、上部の空気層部5aと、下部のチャンバ部5cと、これら空気層部5a及びチャンバ部5cの間に介在する中間部5bとから主に構成されており、空気層部5a内に所定容量の収容空間S1が形成されるとともに、チャンバ部5c内に所定容量の収容空間S2が形成されている。なお、空気層部5aの上部には、静脈側血液回路2の上流側が接続される血液導入口5aaの他、輸液ライン(不図示)などが接続される接続部5ab、静脈圧を検知し得るモニタライン(不図示)との接続部5acが形成されている。
【0039】
さらに、空気層部5aに形成された血液導入口5aaは、当該空気層部5a内において下方に延設された流通路5adと連結されており、その先端の吐出口5aeが中間部5b内に形成されている。すなわち、血液導入口5aaから導入された血液は、流通路5adに沿って下向きに流れ、吐出口5aeから吐出され、中間部5bに形成された開口Kを介してチャンバ部5cに流下するのである。
【0040】
また、チャンバ部5cの下部には、静脈側血液回路2の下流側が接続される血液導出口5caが形成されており、血液導入口5aaによりチャンバ部5c内に導入された血液(或いは生理食塩液等の他の液体も同様)がチャンバ部5cの収容空間S2で収容された後、血液導出口5caから導出可能とされている。しかして、血液回路にて血液や他の液体を流通させると、空気層部5aの収容空間S1には、空気層が形成されるとともに、チャンバ部5cの収容空間S2には、液層(血液や他の液体の層)が形成され、液層内の液体に含まれる気泡が空気層に捕捉されるようになっている。
【0041】
中間部5bは、外周壁5baと、底面部5bbと、壁部7と、貯留部8とを有して構成されている。外周壁5baは、中間部5bの外輪郭に沿って形成された略円環状の壁面から成り、この外周壁5ba内に開口Kが形成されている。この開口Kは、空気層部5aの収容空間S1とチャンバ部5cの収容空間S2とを連通する部位から成り、その全周縁に亘って壁部7が突出形成されている。
【0042】
また、壁部7の基端部と外周壁5baとの間には、空気層部5aの収容空間S1とチャンバ部5cの収容空間S2との間を塞ぐ底面部5bbが形成されている。かかる底面部5bbは、収容空間S1及び収容空間S2を隔成すべく壁部7及び開口Kを除いた部位において水平方向に延びる平面から成り、貯留部8の底面を構成している。すなわち、外周壁5baの内周面と壁部7の外周面7aとの間が底面部5bbを底面とした貯留部8を構成しており、血液導入口5aaから導入された血液等の液体を一時的に収容し得るのである。
【0043】
壁部7は、上方に向かって円環状に突出形成された筒状壁から成り、頂部7cを突端としつつ外周面7a及び内周面7bを有するとともに、下方(基端)に向かって滑らかに拡径する形状とされている。さらに、吐出口5aeの直下の位置における底面部5bbは、血液導入口5aaから導入した血液を受ける「受け面α」を構成している。しかして、血液導入口5aaから導入された血液等の液体は、流通路5adを流通した後、吐出口5aeから受け面αに向かって吐出されて貯留部8にて貯留され、その液位が壁部7の頂部7cの高さ(液位A)に達すると、当該頂部7cをオーバーフローして開口Kからチャンバ部5cに流下し得るようになっている。
【0044】
また、壁部7をオーバーフローさせて開口Kからチャンバ部5cに血液を流下させる際、貯留部8において壁部7の頂部7cの高さに液位Aが形成されるとともに、チャンバ部5cの収容空間S2内に液位Bが形成されることとなる。本実施形態においては、図3に示すように、流通路5adから液体を吐出するための吐出口5aeが壁部7の頂部7cより低い位置(すなわち、液位Aより低い位置)とされている。
【0045】
ここで、本実施形態に係る壁部7は、その外周面7aにて血液導入口5aaから導入した血液を上方に向かって流動させた後、頂部7cにてオーバーフローさせ、内周面7bにてチャンバ部5cに流下させ得る「案内手段」を構成している。すなわち、吐出口5aeから吐出された血液は、貯留部8にて貯留される過程及びオーバーフローする過程において、図3中矢印R1にて示すように、壁部7の外周面7aにより案内されて上方に向かって流動し得るのである。そして、本実施形態においては、血液導入口5aaから導入されて受け面αで受けた血液等の液体を「案内手段」(本実施形態においては壁部7)を介してチャンバ部5cに流下させ得るようになっている。
【0046】
さらに、本実施形態においては、図3に示すように、壁部7の内周面7bとチャンバ部5cの内周面5cbとが滑らかに連続して成り、壁部7の頂部7cからオーバーフローした血液等の液体が当該壁部7の内周面7b及びチャンバ部5cの内周面5cbに沿って流下し得るようになっている。これにより、壁部7の内周面7b及びチャンバ部5cの内周面5cbに沿って流下した血液等の液体は、図3の矢印R2に示すように、収容空間S2内の液層において、その外側から内側に向かって渦状に導入されることとなる。
【0047】
上記実施形態によれば、血液導入口5aaから導入した血液を上方に向かって流動させた後、チャンバ部5cに流下させ得る案内手段(壁部7)を具備したので、上方に向かって流動する際に含有される気泡を収容空間S1内の空気層にて容易に捕捉させることができ、血液に含まれる気泡をより十分且つ確実に除去することができ、チャンバ部5cの容量を低減させることができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、血液導入口5aaから導入した血液を受ける受け面αを有するとともに、当該受け面αで受けた血液を案内手段(壁部7)を介してチャンバ部5cに流下させ得るので、受け面αにて受ける際に血液導入口5aaから導入した血液の勢いを十分に低減させることができ、チャンバ部5cにおける泡立ち等を抑制することができる。特に、本実施形態に係る案内手段は、チャンバ部5cに血液を流下させ得る開口Kの周縁に形成された壁部7から成るので、簡単な構成にて血液に含まれる気泡をより十分且つ確実に除去することができ、チャンバ部5cの容量を低減させることができる。
【0049】
さらに、本実施形態に係る壁部7は、開口Kの全周縁に亘って形成されるとともに、当該壁部7の外周面7a側(外周面7aと外周壁5baの内周面との間)に血液導入口5aaから導入された血液を貯留し得る貯留部8が形成され、当該貯留部8に貯留した血液が壁部7の頂部7cをオーバーフローしてチャンバ部5cに流下し得るよう構成されたので、案内手段(壁部7)による流動によって血液に含まれる気泡を除去することができるとともに、貯留部8による貯留によっても血液に含まれる気泡を除去することができる。したがって、血液に含まれる気泡をより一層十分且つ確実に除去することができ、チャンバ部5cの容量をより低減させることができる。
【0050】
またさらに、壁部7の内周面7bとチャンバ部5cの内周面5cbとが連続して成り、壁部7の頂部7cからオーバーフローした血液が当該壁部7の内周面7b及びチャンバ部5cの内周面5cbに沿って流下し得るので、チャンバ部5cの液面Bに達した血液による泡立ちをより確実に抑制することができる。また、血液導入口5aaから導入された血液を貯留部8に吐出させる吐出口5aeを有した流通路5adが形成されるとともに、当該吐出口5aeが壁部7の頂部7cより低い位置とされたので、血液導入口5aaから導入されて吐出口5aeから吐出される血液が貯留部8に貯留した血液の液面Aに対して勢いよく流れてしまうのを回避することができ、貯留部8における泡立ちをより確実に抑制することができる。なお、本実施形態によれば、上記の如きエアトラップチャンバ5を具備した血液回路(動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2)、及び当該血液回路を具備した血液浄化装置を提供することができる。
【0051】
加えて、本実施形態に係る開口Kは、図4に示すように、中間部5bに対して偏心した位置(中間部5bの中心位置からずれた位置)に形成されている。これにより、(a)径方向の寸法を小さくできることから、エアトラップチャンバ5をコンパクトに作成可能であり、材料を低減させることができる、(b)エアトラップチャンバ5をコンパクトに作成可能であるため、プライミングボリューム(液充填量)を減少させることができる、(c)エアトラップチャンバ5をコンパクトに作成可能であるため、エアトラップチャンバ5内部での所定液体である血液を置換させるための時間(滞留時間)を短縮でき、血液凝固や血栓生成を抑制することができる、(d)液流路(吐出側と反対側)が徐々に狭くなるため、流速が上がり、エアトラップチャンバ内部での所定液体である血液を置換させるための時間(対流時間)を短縮でき、血液凝固や血栓生成を抑制することができる、なる種々効果を奏することができる。なお、本実施形態においては、開口Kが中間部5bに対して偏心した位置に形成されているが、中間部5bの中心に開口Kを形成するようにしてもよい。
【0052】
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。
本実施形態に係るエアトラップチャンバは、第1の実施形態と同様、血液を流通させる血液流路に接続され、当該血液流路にて流通する血液に含まれる気泡を捕捉して除去するためのもので、図1で示す血液浄化装置に適用され、静脈側血液回路2に接続されたものである。なお、先の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、それらの説明を省略する。
【0053】
本実施形態に係るエアトラップチャンバ5は、図5〜9に示すように、上部の空気層部5aと、下部のチャンバ部5cと、これら空気層部5a及びチャンバ部5cの間に介在する中間部5bとから主に構成されているとともに、中間部5bは、外周壁5baと、底面部5bbと、壁部7と、貯留部8と、突起部9とを有して構成されている。外周壁5baは、中間部5bの外輪郭に沿って形成された略円環状の壁面から成り、この外周壁5ba内に開口Kが形成されている。この開口Kは、空気層部5aの収容空間S1とチャンバ部5cの収容空間S2とを連通する部位から成り、その全周縁に亘って壁部7が突出形成されている。
【0054】
本実施形態に係る突起部9は、図7、9に示すように、壁部7を挟んで受け面αの反対側の底面部5bbにおいて上方に突出形成されたもので、血液の滞留を抑制するためのものである。すなわち、壁部7を挟んで受け面αの反対側の位置は、頂部7cから開口Kにオーバーフローする過程にある血液が特に滞留しやすいので、その部位に突起部9を形成することにより、当該部位のオーバーフローをより積極的に行わせることができ、滞留を抑制することができるのである。
【0055】
また、壁部7を挟んで受け面αの反対側の部位における血液の滞留を抑制するため、図10に示すように、壁部7の一部を中間部5bの外周壁5baと一体的に形成するようにしてもよい。すなわち、壁部7における受け面αの反対側の部位を外周壁5baと一体的に形成することにより、血液の滞留が生じやすい部位(壁部7を挟んで受け面αの反対側の部位)に血液が貯留するのを防止でき、その部位での滞留を確実に抑制することができるのである。
【0056】
上記実施形態によれば、第1の実施形態と同様、血液導入口5aaから導入した血液を上方に向かって流動させた後、チャンバ部5cに流下させ得る案内手段(壁部7)を具備したので、上方に向かって流動する際に含有される気泡を収容空間S1内の空気層にて容易に捕捉させることができ、血液に含まれる気泡をより十分且つ確実に除去することができ、チャンバ部5cの容量を低減させることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、血液導入口5aaから導入した血液を受ける受け面αを有するとともに、当該受け面αで受けた血液を案内手段(壁部7)を介してチャンバ部5cに流下させ得るので、受け面αにて受ける際に血液導入口5aaから導入した血液の勢いを十分に低減させることができ、チャンバ部5cにおける泡立ち等を抑制することができる。特に、本実施形態に係る案内手段は、チャンバ部5cに血液を流下させ得る開口Kの周縁に形成された壁部7から成るので、簡単な構成にて血液に含まれる気泡をより十分且つ確実に除去することができ、チャンバ部5cの容量を低減させることができる。
【0058】
さらに、本実施形態に係る壁部7は、開口Kの全周縁に亘って形成されるとともに、当該壁部7の外周面7a側(外周面7aと外周壁5baの内周面との間)に血液導入口5aaから導入された血液を貯留し得る貯留部8が形成され、当該貯留部8に貯留した血液が壁部7の頂部7cをオーバーフローしてチャンバ部5cに流下し得るよう構成されたので、案内手段(壁部7)による流動によって血液に含まれる気泡を除去することができるとともに、貯留部8による貯留によっても血液に含まれる気泡を除去することができる。したがって、血液に含まれる気泡をより一層十分且つ確実に除去することができ、チャンバ部5cの容量をより低減させることができる。
【0059】
またさらに、壁部7の内周面7bとチャンバ部5cの内周面5cbとが連続して成り、壁部7の頂部7cからオーバーフローした血液が当該壁部7の内周面7b及びチャンバ部5cの内周面5cbに沿って流下し得るので、チャンバ部5cの液面Bに達した血液による泡立ちをより確実に抑制することができる。また、血液導入口5aaから導入された血液を貯留部8に吐出させる吐出口5aeを有した流通路5adが形成されるとともに、当該吐出口5aeが壁部7の頂部7cより低い位置とされたので、血液導入口5aaから導入されて吐出口5aeから吐出される血液が貯留部8に貯留した血液の液面Aに対して勢いよく流れてしまうのを回避することができ、貯留部8における泡立ちをより確実に抑制することができる。なお、本実施形態によれば、上記の如きエアトラップチャンバ5を具備した血液回路(動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2)、及び当該血液回路を具備した血液浄化装置を提供することができる。
【0060】
加えて、本実施形態に係る開口Kは、図7に示すように、中間部5bに対して偏心した位置(中間部5bの中心位置からずれた位置)に形成されている。これにより、(a)径方向の寸法を小さくできることから、エアトラップチャンバ5をコンパクトに作成可能であり、材料を低減させることができる、(b)エアトラップチャンバ5をコンパクトに作成可能であるため、プライミングボリューム(液充填量)を減少させることができる、(c)エアトラップチャンバ5をコンパクトに作成可能であるため、エアトラップチャンバ5内部での所定液体である血液を置換させるための時間(滞留時間)を短縮でき、血液凝固や血栓生成を抑制することができる、(d)液流路(吐出側と反対側)が徐々に狭くなるため、流速が上がり、エアトラップチャンバ内部での所定液体である血液を置換させるための時間(対流時間)を短縮でき、血液凝固や血栓生成を抑制することができる、なる種々効果を奏することができる。なお、本実施形態においては、開口Kが中間部5bに対して偏心した位置に形成されているが、中間部5bの中心に開口Kを形成するようにしてもよい。
【0061】
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。
本実施形態に係るエアトラップチャンバは、第1の実施形態と同様、血液を流通させる血液流路に接続され、当該血液流路にて流通する血液に含まれる気泡を捕捉して除去するためのもので、図1で示す血液浄化装置に適用され、静脈側血液回路2に接続されたものである。なお、先の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、それらの説明を省略する。
【0062】
本実施形態に係るエアトラップチャンバ5は、図11〜15に示すように、上部の空気層部5aと、下部のチャンバ部5cと、これら空気層部5a及びチャンバ部5cの間に介在する中間部5bとから主に構成されているとともに、中間部5bは、外周壁5baと、底面部5bbと、壁部7と、貯留部8と、切欠き部10とを有して構成されている。外周壁5baは、中間部5bの外輪郭に沿って形成された略円環状の壁面から成り、この外周壁5ba内に開口Kが形成されている。この開口Kは、空気層部5aの収容空間S1とチャンバ部5cの収容空間S2とを連通する部位から成り、その全周縁に亘って壁部7が突出形成されている。
【0063】
本実施形態に係る切欠き部10は、図12、13に示すように、壁部7における受け面αの反対側の部位を切り欠いて形成されたもので、血液の滞留を抑制するためのものである。すなわち、壁部7を挟んで受け面αの反対側の位置は、頂部7cから開口Kにオーバーフローする過程にある血液が特に滞留しやすいので、その部位の壁部7に切欠き部10を形成することにより、当該部位のオーバーフローをより積極的に行わせることができ、滞留を抑制することができるのである。
【0064】
上記実施形態によれば、第1の実施形態と同様、血液導入口5aaから導入した血液を上方に向かって流動させた後、チャンバ部5cに流下させ得る案内手段(壁部7)を具備したので、上方に向かって流動する際に含有される気泡を収容空間S1内の空気層にて容易に捕捉させることができ、血液に含まれる気泡をより十分且つ確実に除去することができ、チャンバ部5cの容量を低減させることができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、血液導入口5aaから導入した血液を受ける受け面αを有するとともに、当該受け面αで受けた血液を案内手段(壁部7)を介してチャンバ部5cに流下させ得るので、受け面αにて受ける際に血液導入口5aaから導入した血液の勢いを十分に低減させることができ、チャンバ部5cにおける泡立ち等を抑制することができる。特に、本実施形態に係る案内手段は、チャンバ部5cに血液を流下させ得る開口Kの周縁に形成された壁部7から成るので、簡単な構成にて血液に含まれる気泡をより十分且つ確実に除去することができ、チャンバ部5cの容量を低減させることができる。
【0066】
さらに、本実施形態に係る壁部7は、開口Kの全周縁に亘って形成されるとともに、当該壁部7の外周面7a側(外周面7aと外周壁5baの内周面との間)に血液導入口5aaから導入された血液を貯留し得る貯留部8が形成され、当該貯留部8に貯留した血液が壁部7の頂部7cをオーバーフローしてチャンバ部5cに流下し得るよう構成されたので、案内手段(壁部7)による流動によって血液に含まれる気泡を除去することができるとともに、貯留部8による貯留によっても血液に含まれる気泡を除去することができる。したがって、血液に含まれる気泡をより一層十分且つ確実に除去することができ、チャンバ部5cの容量をより低減させることができる。
【0067】
またさらに、壁部7の内周面7bとチャンバ部5cの内周面5cbとが連続して成り、壁部7の頂部7cからオーバーフローした血液が当該壁部7の内周面7b及びチャンバ部5cの内周面5cbに沿って流下し得るので、チャンバ部5cの液面Bに達した血液による泡立ちをより確実に抑制することができる。また、血液導入口5aaから導入された血液を貯留部8に吐出させる吐出口5aeを有した流通路5adが形成されるとともに、当該吐出口5aeが壁部7の頂部7cより低い位置とされたので、血液導入口5aaから導入されて吐出口5aeから吐出される血液が貯留部8に貯留した血液の液面Aに対して勢いよく流れてしまうのを回避することができ、貯留部8における泡立ちをより確実に抑制することができる。なお、本実施形態によれば、上記の如きエアトラップチャンバ5を具備した血液回路(動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2)、及び当該血液回路を具備した血液浄化装置を提供することができる。
【0068】
加えて、本実施形態に係る開口Kは、図13に示すように、中間部5bに対して偏心した位置(中間部5bの中心位置からずれた位置)に形成されている。これにより、(a)径方向の寸法を小さくできることから、エアトラップチャンバ5をコンパクトに作成可能であり、材料を低減させることができる、(b)エアトラップチャンバ5をコンパクトに作成可能であるため、プライミングボリューム(液充填量)を減少させることができる、(c)エアトラップチャンバ5をコンパクトに作成可能であるため、エアトラップチャンバ5内部での所定液体である血液を置換させるための時間(滞留時間)を短縮でき、血液凝固や血栓生成を抑制することができる、(d)液流路(吐出側と反対側)が徐々に狭くなるため、流速が上がり、エアトラップチャンバ内部での所定液体である血液を置換させるための時間(対流時間)を短縮でき、血液凝固や血栓生成を抑制することができる、なる種々効果を奏することができる。なお、本実施形態においては、開口Kが中間部5bに対して偏心した位置に形成されているが、中間部5bの中心に開口Kを形成するようにしてもよい。
【0069】
さらに、本実施形態に係る吐出口5aeには、図16に示すように、切欠き5afが形成されている。これによっても、(a)径方向の寸法を小さくできることから、エアトラップチャンバ5をコンパクトに作成可能であり、材料を低減させることができる、(b)エアトラップチャンバ5をコンパクトに作成可能であるため、プライミングボリューム(液充填量)を減少させることができる、(c)エアトラップチャンバ5をコンパクトに作成可能であるため、エアトラップチャンバ5内部での所定液体である血液を置換させるための時間(滞留時間)を短縮でき、血液凝固や血栓生成を抑制することができる、(d)液流路(吐出側と反対側)が徐々に狭くなるため、流速が上がり、エアトラップチャンバ内部での所定液体である血液を置換させるための時間(対流時間)を短縮でき、血液凝固や血栓生成を抑制することができる、なる種々効果を奏することができる。
【0070】
次に、本発明に係る第4の実施形態について説明する。
本実施形態に係るエアトラップチャンバは、第1の実施形態と同様、血液を流通させる血液流路に接続され、当該血液流路にて流通する血液に含まれる気泡を捕捉して除去するためのもので、図1で示す血液浄化装置に適用され、静脈側血液回路2に接続されたものである。なお、先の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、それらの説明を省略する。
【0071】
本実施形態に係るエアトラップチャンバ5は、図17〜20に示すように、上部の空気層部5aと、下部のチャンバ部5cと、これら空気層部5a及びチャンバ部5cの間に介在する中間部5bとから主に構成されているとともに、中間部5bは、外周壁5baと、底面部5bbと、壁部7と、貯留部11とを有して構成されている。本実施形態に係る貯留部11は、壁部7(案内手段)の内側に形成されており、その貯留部11の底面に血液導入口5aaから導入した血液を受ける受け面αが形成されている。
【0072】
また、内側が貯留部11とされた壁部7は、図19に示すように、複数のリブLによって中間部5bの外周壁5baに連結されており、隣接するリブLの間に開口Hが形成されている。この開口Hは、空気層部5aの収容空間S1とチャンバ部5cの収容空間S2とを連通する部位から成り、血液導入口5aaから導入された血液等の液体は、流通路5adを流通した後、吐出口5aeから受け面αに向かって吐出されて貯留部11にて貯留され、その液位が壁部7の頂部7cの高さ(液位A)に達すると、当該頂部7cをオーバーフローして開口Hからチャンバ部5cに流下し得るようになっている。
【0073】
上記実施形態によれば、血液導入口5aaから導入した血液を上方に向かって流動させた後、チャンバ部5cに流下させ得る案内手段(壁部7)を具備したので、上方に向かって流動する際に含有される気泡を収容空間S1内の空気層にて容易に捕捉させることができ、血液に含まれる気泡をより十分且つ確実に除去することができ、チャンバ部5cの容量を低減させることができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、血液導入口5aaから導入した血液を受ける受け面αを有するとともに、当該受け面αで受けた血液を案内手段(壁部7)を介してチャンバ部5cに流下させ得るので、受け面αにて受ける際に血液導入口5aaから導入した血液の勢いを十分に低減させることができ、チャンバ部5cにおける泡立ち等を抑制することができる。さらに、本実施形態によれば、血液導入口5aaから導入された血液を貯留部11に吐出させる吐出口5aeを有した流通路5adが形成されるとともに、当該吐出口5aeが壁部7の頂部7cより低い位置とされており、これにより、血液導入口5aaから導入されて吐出口5aeから吐出される血液が貯留部11に貯留した血液の液面Aに対して勢いよく流れてしまうのを回避することができ、貯留部11における泡立ちをより確実に抑制することができる。なお、本実施形態によれば、上記の如きエアトラップチャンバ5を具備した血液回路(動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2)、及び当該血液回路を具備した血液浄化装置を提供することができる。
【0075】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば、血液導入口5aaから導入した血液を上方に向かって流動させた後、チャンバ部5cに流下させ得る案内手段について、壁部7とは異なる手段であってもよい。また、本実施形態においては、空気層部5a、中間部5b及びチャンバ部5cを別体の部品としてこれらを組み付けてエアトラップチャンバ5を構成しているが、空気層部5a、中間部5b及びチャンバ部5cが一体とされた部品から成るものとしてもよい。さらに、本実施形態に係るエアトラップチャンバ5は、静脈側血液回路2に接続されているが、動脈側血液回路1或いは血液を流通させる他の血液流路に接続されたエアトラップチャンバに適用してもよい。またさらに、本実施形態においては、チャンバ部に対して血液を導入及び導出しているが、所定の液体であれば他の液体を導入及び導出するものであってもよく、例えば生理食塩液、薬液等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
液導入口から導入した所定の液体を上方に向かって流動させた後、チャンバ部に流下させ得る案内手段を具備し、且つ、液導入口から導入した所定の液体を受ける受け面を有するとともに、当該受け面で受けた所定の液体を案内手段を介してチャンバ部に流下させ得るエアトラップチャンバであれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 動脈側血液回路(液流路)
2 静脈側血液回路(液流路)
3 ダイアライザ(血液浄化器)
4 血液ポンプ
5 エアトラップチャンバ
6 収容手段
7 壁部
7a 外周面
7b 内周面
7c 頂部
8 貯留部
9 突起部
10 切欠き部
11 貯留部
K 開口
H 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20