【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の錠装置は、既設錠装置35の操作部材に連結されるサムターンコア29と、
新設サムターン17に連結されるサムターンベース25と、
異なる回転位置のそれぞれで前記サムターンコア29と前記サムターンベース25を相対回転不能に連結するとともに軸線方向にスライドされて前記連結を解除する切替軸27と
、
前記サムターンコア29に同一中心で貫通形成され
、工具89
が挿入されるとともに
、前記工具89の挿入方向の押圧によって前記切替軸27が前記軸線方向にスライドされる切替穴71と、
を具備することを特徴とする。
【0008】
この錠装置では、サムターンコア29の切替穴71に工具89が挿入され、工具89によって奥側の切替軸27がスライドされると、サムターンコア29とサムターンベース25との連結が解除される。連結が解除された状態で
、サムターンコア29のみが、所望の機能切替、例えば
サムターンコア29に突設された検出杆51を介して設けられる検知体53であれば、左右勝手において検知体53が検知手段55によって検知されることとなる回転位置へ回転される。所望の回転位置へサムターンコア29が回転された後、工具89が切替穴71から抜かれると、切替軸27によってサムターンコア29とサムターンベース25とが再連結される。この際の再連結位置は、切り替え連結前のサムターンベース25と異なる相対角度に設定される。すなわち、切り替え前が左勝手であれば、切り替え後は右勝手となり、切り替え前が右勝手であれば、切り替え後は左勝手となる。これにより、サムターンコア29の左右勝手の切り替え設定が完了される。
【0009】
本発明の請求項2記載の錠装置は、請求項1記載の錠装置であって、
前記操作部材が
ダルマ軸39であり、
該ダルマ軸39にはダルマ穴41を有し、
該ダルマ穴41には、相対回転不能に連結軸43が挿入されて、
前記連結軸43
と前記サムターンコア29
とが相対回転不能に連結されることを特徴とする。
【0010】
この錠装置では、既設サムターン37が抜去されると、既設サムターン軸の挿入されていたダルマ穴41が開口される。このダルマ穴41に、一端が既設サムターン軸と同形状に形成される連結軸43が挿入される。連結軸43は、他端がサムターンコア29の連結穴49に相対回転不能に挿入される。これにより、操作部材とサムターンコア29とが連結軸43によって連結される。なお、連結穴49の奥側には切替穴71が同一中心で配置される。
【0011】
本発明の請求項3記載の錠装置は、請求項1記載の錠装置であって、
前記操作部材が既設サムターン37であり、
前記サムターンコア29が前記既設サムターン37に被せられて連結されることを特徴とする。
【0012】
この錠装置では、既設錠装置35の操作部材である既設サムターン37が扉面91から突出して設けられている。サムターンコア29には、この既設サムターン37に同軸で相対回転不能に被せられる被着穴が形成される。被着穴は、上記の連結穴49に代わるものとなる。錠装置が扉面91に取り付けられると、サムターンコア29は、被着穴が既設サムターン37に同軸に被せられ、相対回転不能に連結される。
【0013】
本発明の請求項4記載の錠装置は、請求項1,2,3のいずれか1つに記載の錠装置であって、
装置本体13がカバー15に覆われ、
前記カバー15に覆われずに表出する裏蓋21が扉面91に対面されて取り付けられ、
前記裏蓋21に、前記サムターンコア29の前記切替穴71が表出するよう配置されることを特徴とする。
【0014】
この錠装置では、装置本体13は、裏蓋以外がカバー15によって覆われ、扉面91に取り付けられることで、裏蓋21が扉面91によって覆われる。これにより、扉33に取り付けられた装置本体13は、切替穴71へ工具89を挿入できなくなる。
【0015】
本発明の請求項5記載の錠装置は、請求項4記載の錠装置であって、
前記裏蓋21に、前記サムターンコア29が前記相対回転不能に連結される異なる回転位置の回転方向を表す標示が設けられていることを特徴とする。
【0016】
この錠装置では、扉33に取り付けられる前に、裏蓋21に表出する切替穴71へ工具89が挿入され、回転される際に、相対回転不能にサムターンコア29が連結される異なる回転位置を標示で把握することができ、例えば連結箇所が2か所とされて左右勝手の切り替えが行える設定の場合には、左右勝手の切り替え操作のために工具89が回転される際、2つの機能設定としての左右勝手の設定方向が、工具89の回転方向として標示によって把握可能となる。また連結位置が3か所などの複数箇所となる構成の場合では、それぞれの回転位置で設定でき、工具89の回転方向を標示で把握が可能となる。
【0017】
本発明の請求項6記載の錠装置の機能設定方法は、請求項1,2,3,4,5のいずれか1つに記載の錠装置を用いる錠装置の機能設定方法であって、
前記錠装置を扉33に取り付ける前に、前記切替穴71に前記工具89を挿入して前記切替軸27をスライドすることにより前記サムターンコア29と前記サムターンベース25との連結を解除した後
、
前記サムターンコア29のみを切り替え位置に回転し、
前記工具89を抜くことにより前記サムターンコア29と前記サムターンベース25とを再連結して、前記操作部材の回転方向に応じ
た機能設定を切り替えることを特徴とする。
【0018】
この錠装置の機能設定方法では、工具89によって奥側の切替軸27がスライドされると、サムターンコア29とサムターンベース25との連結が解除される。連結が解除された状態で
、サムターンコア29のみが、所望の機能設定、例えば
サムターンコア29に突設された検出杆51を介して設けられる検知体53であれば、左右勝手において検知体53が検知手段55によって検知されることとなる回転位置へ回転される。所望の回転位置へサムターンコア29が回転された後、工具89が切替穴71から抜かれると、切替軸27によってサムターンコア29とサムターンベース25とが再連結される。この際の再連結位置は、切り替え連結前のサムターンベース25と異なる相対角度に設定される。すなわち、切り替え前が第1の機能設定(左勝手)であれば、切り替え後は第2の機能設定(右勝手)となり、切り替え前が第2の機能設定(右勝手)であれば、切り替え後は第1の機能設定(左勝手)となる。これにより、サムターンコア29の機能設定、例えば左右勝手の切り替え設定が完了される。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る請求項1記載の錠装置によれば、工具を使って所望の方向に回転操作するのみで左右勝手などの機能の設定が簡単に変えられ、また、この設定部分が扉に対して取り付けてしまった後は表出しない位置にあることから変えられた設定は簡単には変更できず、悪戯を防止できる。また、左右勝手の切り替えの他に、電動と手動との切り替えにも対応でき、さらに、自動施錠と施解錠繰り返しなどモードの切り替えも簡単に設定可能であり、複数の機能切り替え
を回転操作で容易に行うことができる。
【0020】
本発明に係る請求項2記載の錠装置によれば、操作部材とサムターンコアとが連結軸によって同軸に連結され、既設錠装置に操作力が確実に入力でき、かつ、操作力伝達構造をコンパクトにできる。
【0021】
本発明に係る請求項3記載の錠装置によれば、既設サムターンを取り外さずに、錠装置を簡便に後付けできる。
【0022】
本発明に係る請求項4記載の錠装置によれば、切り替え設定後、扉に取り付けられると、裏蓋に設けられた切替穴が隠れ、設定の変更が行えなくなる。
【0023】
本発明に係る請求項5記載の錠装置によれば、標示を確認しながら、切り替え設定を容易、かつ、確実に行うことができる。
【0024】
本発明に係る請求項6記載の錠装置の機能設定方法によれば、複数の機能設定の切り替え、例えば少なくとも2つの機能として左右勝手などの設定が簡単に変えられ、変えられた設定は簡単には変更できなくなる。