特許第6062684号(P6062684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6062684加工機の操作制御システムおよび操作制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062684
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】加工機の操作制御システムおよび操作制御方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/02 20060101AFI20170106BHJP
   B30B 15/00 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   B21D5/02 P
   B21D5/02 S
   B30B15/00 D
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-186278(P2012-186278)
(22)【出願日】2012年8月27日
(65)【公開番号】特開2014-42924(P2014-42924A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年6月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】青木 貴行
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−351018(JP,A)
【文献】 特開2002−108423(JP,A)
【文献】 特開2007−136528(JP,A)
【文献】 特開2004−058070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/02
B30B 15/00
B23Q 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の曲げ工具によりワークを挟んで前記ワークの曲げ加工を行う加工機において、オペレーターよりの操作指示を入力して前記ワークの曲げ加工制御を行うための操作制御システムであって、
前記オペレーターによって設定されたプログラムに従ってワークの曲げ加工を制御するために前記加工機の側面側に配設された第1の操作制御盤と、
前記加工機の前面における前記第1の曲げ工具の下側に前記第1の曲げ工具の長手方向に平行してスライド自在に設けられた第2の操作制御盤と、
前記第1の操作制御盤と前記第2の操作制御盤とを情報通信自在に接続するための通信接続手段と、
前記第2の操作制御盤を前記第1の曲げ工具の長手方向に移動させるスライド手段と、を有し、
前記第2の操作制御盤が、前記オペレーターによる曲げ加工の確認や調整を行うために、表示部を備え、前記スライド手段により作業中のオペレーターの近くに移動され
前記加工機がベンディングマシンからなり、前記第1の工具がダイからなり、前記第2の工具がパンチからなることを特徴とする操作制御システム。
【請求項2】
前記第2の操作制御盤は、前記オペレーターの指示により前記ワークの曲げ加工のストロークを調整するためのストローク調整部を有しており、そのストローク調整部よりの調整信号が、前記通信接続手段を介して前記第1の操作制御盤へ送られ、前記第1の操作制御盤により前記ワークの曲げ加工のストローク調整が行われることを特徴とする請求項1に記載の操作制御システム。
【請求項3】
第1および第2の曲げ工具によりワークを挟んで前記ワークの曲げ加工を行う加工機において、オペレーターよりの操作指示を入力して前記ワークの曲げ加工制御を行うための操作制御システムであって、
前記オペレーターによって設定されたプログラムに従ってワークの曲げ加工を制御するために前記加工機の側面側に配設された第1の操作制御盤と、
前記加工機の前面における前記第1の曲げ
工具の下側に前記第1の曲げ工具の長手方向に平行してスライド自在に設けられた第2の操作制御盤と、
前記第1の操作制御盤と前記第2の操作制御盤とを情報通信自在に接続するための通信接続手段と、
前記第2の操作制御盤を前記第1の曲げ工具の長手方向に移動させるスライド手段と、を有し、
前記第2の操作制御盤が、前記オペレーターによる曲げ加工の確認や調整を行うために、前記スライド手段により作業中のオペレーターの近くに移動され、
前記第2の操作制御盤は、前記オペレーターの指示により前記ワークの曲げ加工のストロークを調整するためのストローク調整部を有しており、そのストローク調整部よりの調整信号が、前記通信接続手段を介して前記第1の操作制御盤へ送られ、前記第1の操作制御盤により前記ワークの曲げ加工のストローク調整が行われ、
前記第2の操作制御盤は、前記スライド手段により作業中のオペレーターの近くに移動された後に、さらに、位置の修正を行うための修正スライド手段を有していることを特徴とする操作制御システム。
【請求項4】
前記表示部が、曲げ加工する前記ワークの形状と向きを表示することを特徴とする請求項1に記載の操作制御システム。
【請求項5】
第1および第2の曲げ工具によりワークを挟んで前記ワークの曲げ加工を行う加工機において、オペレーターよりの操作指示を入力して前記ワークの曲げ加工制御を行うための操作制御システムであって、
前記オペレーターによって設定されたプログラムに従ってワークの曲げ加工を制御するために前記加工機の側面側に配設された第1の操作制御盤と、
前記加工機の前面における前記第1の曲げ工具の下側に前記第1の曲げ工具の長手方向に平行してスライド自在に設けられた第2の操作制御盤と、
前記第1の操作制御盤と前記第2の操作制御盤とを情報通信自在に接続するための通信接続手段と、
前記第2の操作制御盤を前記第1の曲げ工具の長手方向に移動させるスライド手段と、を有し、
前記第1の操作制御盤が、第1の制御手段を有し、前記第2の操作制御盤が、第2の制御手段を有し、
前記第1および第2の制御手段が、以下の(A)〜(E)の工程処理を制御することを特徴とする操作制御システム。
(A)加工動作の各曲げ工程毎の前記オペレータの立ち位置に基づいて、前記第2の操作制御盤の移動位置を登録する工程と、
(B)前記加工動作の各曲げ工程へ移る毎に、前記登録された前記第2の操作制御盤の移動位置に前記第2の操作制御盤を移動する工程と、
(C)前記オペレータにより前記第2の操作制御盤の設定位置を修正する必要があると判定された場合、前記第2の操作制御盤の位置を修正する工程と、
(D)前記工程(C)において修正された前記第2の操作制御盤の位置を登録する工程。
【請求項6】
前記第2の操作制御盤は、前記オペレーターの指示により前記ワークの曲げ加工のストロークを調整するためのストローク調整部を有しており、
前記第1および第2の制御手段が、さらに、(E)前記オペレーターの指示に基づいて、前記ストローク調整部により、前記ワークの曲げ加工のストロークを調整する工程を制御することを特徴とする請求項5に記載の操作制御システム。
【請求項7】
第1および第2の曲げ工具によりワークを挟んで前記ワークの曲げ加工を行う加工機において、前記オペレーターによって設定されたプログラムに従ってワークの曲げ加工を制御するために前記加工機の側面側に配設された第1の操作制御盤と、前記加工機の前面における前記第1の曲げ工具の下側に前記第1の曲げ工具の長手方向に平行してスライド自在に設けられた第2の操作制御盤と、前記第1の操作制御盤と前記第2の操作制御盤とを情報通信自在に接続するための通信接続手段と、前記第2の操作制御盤を前記第1の曲げ工具の長手方向に移動させるスライド手段と、を有し、前記第1の操作制御盤が、第1の制御手段を有し、前記第2の操作制御盤が、第2の制御手段を有し、オペレーターよりの操作指示を入力して前記ワークの曲げ加工制御を行うための操作制御システムにおける操作制御方法であって、
(A)加工動作の各曲げ工程毎の前記オペレータの立ち位置に基づいて、前記第1の制御手段により、前記第2の操作制御盤の移動位置を登録する工程と、
(B)前記第2の制御手段により、前記加工動作の各曲げ工程へ移る毎に、前記登録された前記第2の操作制御盤の移動位置に前記第2の操作制御盤を移動する工程と、
(C)前記オペレータにより前記第2の操作制御盤の設定位置を修正する必要があると判定された場合、前記第2の制御手段により、前記第2の操作制御盤の位置を修正する工程と、
(D)前記第1の制御手段により、前記工程(C)において修正された前記第2の操作制御盤の位置を登録する工程と、を有することを特徴とする操作制御方法。
【請求項8】
前記第2の操作制御盤が、曲げ加工されたワークの角度を測定する角度測定器を有しており、前記測定された曲げ加工されたワークの角度が、前記表示部に表示されることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の操作制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンディングマシン等の板状のワークを曲げ加工する加工機の操作制御システムおよび操作制御方法に関し、特に、作業中のオペレーターの操作指示入力を容易にして作業効率を向上させることができる加工機の操作制御システムおよび操作制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来のベンディングマシン等の板状のワークを曲げ加工する加工機においては、図7に示すように、オペレーターよりの操作指示を入力して制御を行うための操作制御盤3は、加工機本体5の側面に配設されており、オペレーターは、操作制御盤3を介して加工動作の設定を行い、加工作業に移行するようになっていた。
【0003】
なお、先行技術文献はありませんでした。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来構成の加工機では、加工作業前に加工動作の設定を行っても、加工作業中に、さらに、ストローク調整等の操作指示を操作制御盤3に入力して角度の微調整を行わなければならないことが有った。そこで、例えば、図7に示すように、オペレーターが作業中にワークを手で支えていなければならない時に、ストローク調整等の操作指示を操作制御盤3に入力する必要がある場合には、矢印に示すように、操作制御盤3が遠くて手が届かずに操作指示入力を行えないなどの不具合があった。この不具合は、特に、横幅の長い加工機の場合に、顕著に現れるものであった。図7は、従来構成の加工機における問題点の説明図である。
【0005】
従って、オペレーターが作業中にワークを手で支えていなければならない時に、ストローク調整等の操作指示を操作制御盤3に入力する必要がある場合には、一旦、加工作業を中断し、ワークから手を離しても良い状況にしてから操作制御盤3へ操作指示入力を行うようにしており、作業効率が悪くなってしまうものであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述の問題を解決するためのものであり、本発明の特徴は、第1および第2の曲げ工具によりワークを挟んで前記ワークの曲げ加工を行う加工機において、オペレーターよりの操作指示を入力して前記ワークの曲げ加工制御を行うための操作制御システムであって、
前記オペレーターによって設定されたプログラムに従ってワークの曲げ加工を制御するために前記加工機の側面側に配設された第1の操作制御盤と、
前記加工機の前面における前記第1の曲げ
工具の下側に前記第1の曲げ工具の長手方向に平行してスライド自在に設けられた第2の操作制御盤と、
前記第1の操作制御盤と前記第2の操作制御盤とを情報通信自在に接続するための通信接続手段と、
前記第2の操作制御盤を前記第1の曲げ工具の長手方向に移動させるスライド手段と、を有し、
前記第2の操作制御盤が、前記オペレーターによる曲げ加工の確認や調整を行うために、表示部を備え、前記スライド手段により作業中のオペレーターの近くに移動され
前記加工機がベンディングマシンからなり、前記第1の工具がダイからなり、前記第2の工具がパンチからなることである。
【0007】
より好ましくは、前記第2の操作制御盤は、前記オペレーターの指示により前記ワークの曲げ加工のストロークを調整するためのストローク調整部を有しており、そのストローク調整部よりの調整信号が、前記通信接続手段を介して前記第1の操作制御盤へ送られ、前記第1の操作制御盤により前記ワークの曲げ加工のストローク調整が行われることである。
【0008】
本発明の他の特徴は、第1および第2の曲げ工具によりワークを挟んで前記ワークの曲げ加工を行う加工機において、オペレーターよりの操作指示を入力して前記ワークの曲げ加工制御を行うための操作制御システムであって、
前記オペレーターによって設定されたプログラムに従ってワークの曲げ加工を制御するために前記加工機の側面側に配設された第1の操作制御盤と、
前記加工機の前面における前記第1の曲げ
工具の下側に前記第1の曲げ工具の長手方向に平行してスライド自在に設けられた第2の操作制御盤と、
前記第1の操作制御盤と前記第2の操作制御盤とを情報通信自在に接続するための通信接続手段と、
前記第2の操作制御盤を前記第1の曲げ工具の長手方向に移動させるスライド手段と、を有し、
前記第2の操作制御盤が、前記オペレーターによる曲げ加工の確認や調整を行うために、前記スライド手段により作業中のオペレーターの近くに移動され、
前記第2の操作制御盤は、前記オペレーターの指示により前記ワークの曲げ加工のストロークを調整するためのストローク調整部を有しており、そのストローク調整部よりの調整信号が、前記通信接続手段を介して前記第1の操作制御盤へ送られ、前記第1の操作制御盤により前記ワークの曲げ加工のストローク調整が行われ、
前記第2の操作制御盤は、前記スライド手段により作業中のオペレーターの近くに移動された後に、さらに、位置の修正を行うための修正スライド手段を有していることである。
【0009】
より好ましくは、前記表示部が、曲げ加工する前記ワークの形状と向きを表示することである。
【0010】
本発明の他の特徴は、第1および第2の曲げ工具によりワークを挟んで前記ワークの曲げ加工を行う加工機において、オペレーターよりの操作指示を入力して前記ワークの曲げ加工制御を行うための操作制御システムであって、
前記オペレーターによって設定されたプログラムに従ってワークの曲げ加工を制御するために前記加工機の側面側に配設された第1の操作制御盤と、
前記加工機の前面における前記第1の曲げ工具の下側に前記第1の曲げ工具の長手方向に平行してスライド自在に設けられた第2の操作制御盤と、
前記第1の操作制御盤と前記第2の操作制御盤とを情報通信自在に接続するための通信接続手段と、
前記第2の操作制御盤を前記第1の曲げ工具の長手方向に移動させるスライド手段と、を有し、
前記第1の操作制御盤が、第1の制御手段を有し、前記第2の操作制御盤が、第2の制御手段を有し、
前記第1および第2の制御手段が、以下の(A)〜(E)の工程処理を制御すること
である。
【0011】
(A)加工動作の各曲げ工程毎の前記オペレータの立ち位置に基づいて、前記第2の操作制御盤の移動位置を登録する工程と、
(B)前記加工動作の各曲げ工程へ移る毎に、前記登録された前記第2の操作制御盤の移動位置に前記第2の操作制御盤を移動する工程と、
(C)前記オペレータにより前記第2の操作制御盤の設定位置を修正する必要があると判定された場合、前記第2の操作制御盤の位置を修正する工程と、
(D)前記工程(C)において修正された前記第2の操作制御盤の位置を登録する工程。
【0012】
より好ましくは、前記第2の操作制御盤は、前記オペレーターの指示により前記ワークの曲げ加工のストロークを調整するためのストローク調整部を有しており、
前記第1および第2の制御手段が、さらに、(E)前記オペレーターの指示に基づいて、前記ストローク調整部により、前記ワークの曲げ加工のストロークを調整する工程を制御することである。
【0013】
本発明の他の特徴は、第1および第2の曲げ工具によりワークを挟んで前記ワークの曲げ加工を行う加工機において、前記オペレーターによって設定されたプログラムに従ってワークの曲げ加工を制御するために前記加工機の側面側に配設された第1の操作制御盤と、前記加工機の前面における前記第1の曲げ工具の下側に前記第1の曲げ工具の長手方向に平行してスライド自在に設けられた第2の操作制御盤と、前記第1の操作制御盤と前記第2の操作制御盤とを情報通信自在に接続するための通信接続手段と、前記第2の操作制御盤を前記第1の曲げ工具の長手方向に移動させるスライド手段と、を有し、前記第1の操作制御盤が、第1の制御手段を有し、前記第2の操作制御盤が、第2の制御手段を有し、オペレーターよりの操作指示を入力して前記ワークの曲げ加工制御を行うための操作制御システムにおける操作制御方法であって、
(A)加工動作の各曲げ工程毎の前記オペレータの立ち位置に基づいて、前記第1の制御手段により、前記第2の操作制御盤の移動位置を登録する工程と、
(B)前記第2の制御手段により、前記加工動作の各曲げ工程へ移る毎に、前記登録された前記第2の操作制御盤の移動位置に前記第2の操作制御盤を移動する工程と、
(C)前記オペレータにより前記第2の操作制御盤の設定位置を修正する必要があると判定された場合、前記第2の制御手段により、前記第2の操作制御盤の位置を修正する工程と、
(D)前記第1の制御手段により、前記工程(C)において修正された前記第2の操作制御盤の位置を登録する工程と、を有することである。
より好ましくは、前記第2の操作制御盤が、曲げ加工されたワークの角度を測定する角度測定器を有しており、前記測定された曲げ加工されたワークの角度が、前記表示部に表示されることである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作業中のオペレーターの操作指示入力を容易にして作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明を実施した加工機(ベンディングマシン)の概略を示す説明図である。
図2図1に示した簡易操作制御盤のベルト搬送機構の概略図である。
図3図1に示した簡易操作制御盤の拡大図である。
図4図1に示したベンディングマシン7の操作制御システムにおける操作制御盤9および簡易操作制御盤11の概略内部構成を示すブロック図である。
図5図4に示した操作制御システムによる操作制御動作のフローチャートである。
図6図4に示した操作制御システムによる操作制御動作の説明図である。
図7】従来構成の加工機における問題点の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明を実施した加工機の概略を示す説明図であり、図2は、図1に示した簡易操作制御盤のベルト搬送機構の概略図であり、図3は、図1に示した簡易操作制御盤の拡大図である。
【0017】
図1に示すように、この加工機(ベンディングマシン)7は、下部に設けられた第1の曲げ工具としてのダイ7aに対して、上部に設けられた第2の曲げ工具としてのパンチ7bを垂直方向に沿ってスライド動作させることにより、ダイ7aとパンチ7bとの間に搬入されたワークWを、ダイ7aとパンチ7bとによって曲げ加工するように構成されている。
【0018】
そして、このベンディングマシン7には、オペレーターよりの操作指示を入力して制御を行うための操作制御システムが設けられており、この操作制御システムは、加工機本体の向かって左側の側面側に突出して配設された操作制御盤(第1の操作制御盤)9と、加工機本体の前面におけるダイ7aの下側にダイ7aの長手方向Lに平行してスライド自在に設けられた簡易操作制御盤(第2の操作制御盤)11とからなっており、操作制御盤9は、オペレーターによって設定されたプログラムに従ってワークWの曲げ加工を制御するようになっており、簡易操作制御盤11は、作業中のオペレーターの近くに移動されて曲げ加工の確認やストローク調整を行うようになっている。そして、操作制御盤9と簡易操作制御盤11とは、後述するように、情報通信自在に接続されている。
【0019】
図2に示すように、簡易操作制御盤11は、加工機本体の前面におけるダイ7aの下側にダイ7aの長手方向Lに平行して設けられたベルト搬送機構(スライド手段)13により、長手方向Lに平行してスライドするようになっており、このベルト搬送機構13は、簡易操作制御盤11が取り付けられたベルト13aと、ベルト13aの駆動ローラ13bと回転ローラ13cと、駆動ローラ13bを駆動するためのモーター13dと、回転ローラ13cに取り付けられたロータリーエンコーダ13eとからなり、モーター13dは、簡易操作制御盤11よりの駆動制御信号に基づいて駆動するようになっており、ロータリーエンコーダ13eにより回転ローラ13cの回転量が検出され、その回転ローラ13cの回転量からベルト13aに取り付けられた簡易操作制御盤11の位置情報が得られるようになっている。
【0020】
この実施形態では、簡易操作制御盤11のスライド手段が、ベルト搬送機構13により構成されているが、例えば、簡易操作制御盤11に設けられたモーターにより、スライド軸上を簡易操作制御盤11が移動するような構成でも良い。
【0021】
図3に示すように、簡易操作制御盤11は、その前面に設けられた表示部11aおよびストローク調整部11bおよび操作スイッチ11cと、その両側面にそれぞれ設けられたスライドスイッチ(修正スライド手段)11d、11eと、その左側面に設けられたイネーブルスイッチ11fとを有している。
【0022】
そして、簡易操作制御盤11の左側のスライドスイッチ11dを押すと、簡易操作制御盤11のスライド機構が動作して、簡易操作制御盤11を右方向にスライドさせ、簡易操作制御盤11の右側のスライドスイッチ11eを押すと、簡易操作制御盤11のベルト搬送機構が動作して、簡易操作制御盤11を左方向にスライドさせるように構成されている。
【0023】
また、簡易操作制御盤11には、図3に示すように、赤外線通信される角度測定器12が設けられており、曲げ加工されたワークWの角度を、その場で測定して、その測定値を簡易操作制御盤11の赤外線受信器11gへ送信するようになっている。
【0024】
図4は、図1に示したベンディングマシン7の操作制御盤9および簡易操作制御盤11の概略内部構成を示すブロック図である。
【0025】
図4に示すように、この操作制御盤9は、ROM14およびRAM15がバスを介して接続されたCPU(第1の制御手段)17を有しており、CPU17には、さらに、バスを介して、入力部と表示部とを兼ねる入力表示部18、データベース19が接続されている。
【0026】
また、上記CPU17には、バスを介して、簡易操作制御盤11との情報通信を行うためのEthernet(登録商標)(イーサネット(登録商標))デバイス20と、パンチ7bの装着された上部テーブルを上下に駆動するためのシリンダ21を駆動するためのドライバ23も接続されるようになっている。
【0027】
次に、簡易操作制御盤11は、ROM25およびRAM27がバスを介して接続されたCPU(第2の制御手段)29を有しており、CPU29には、さらに、バスを介して、表示部11aと、ストローク調整部11b、操作スイッチ11cと、スライドスイッチ11d、11eと、イネーブルスイッチ11fと、赤外線受信器11gとが接続されている。
【0028】
また、上記CPU29には、バスを介して、操作制御盤9との情報通信を行うためのEthernet(登録商標)(イーサネット(登録商標))デバイス31と、駆動ローラ13bを駆動するためのモーター13dと、ロータリーエンコーダ13eも接続されるようになっている。
【0029】
次に、図5および図6を参照して操作制御システムの動作について説明する。
【0030】
図5は、図4に示した操作制御システムによる操作制御動作のフローチャートであり、図6は、図4に示した操作制御システムによる操作制御動作の説明図である。
【0031】
まず、図5のステップ101において、加工動作モードが始まる前に、その加工動作の各曲げ工程毎の簡易操作制御盤11の位置が登録される。
【0032】
すなわち、これから行われる加工動作の各曲げ工程毎に、オペレータの立ち位置が予め予測されるので、そのオペレータの立ち位置に基づいて、そのオペレータの立ち位置で操作し易い簡易操作制御盤11の位置に簡易操作制御盤11が移動するようにサーボ制御が設定される。
【0033】
このサーボ制御の設定は、オペレータにより操作制御盤9の入力表示部18を介して行われ、操作制御盤9のCPU17は、そのサーボ制御の設定を、簡易操作制御盤11のCPU29へ、イーサンデバイス20、31を介して送り、簡易操作制御盤11のCPU29は、そのサーボ制御の設定に基づいてベルト搬送機構13のモーター13dを制御して、簡易操作制御盤11を設定位置に移動させる。
【0034】
次に、ステップ103において、加工動作モードとなると、操作制御盤9のCPU17の制御に基づいてワークWの曲げ加工動作へと移る。
【0035】
ここでは、操作制御盤9のCPU17が、入力表示部11よりのオペレータからの設定や指示に従い、データベース19内のパンチやダイのデータおよび製品形状データや被加工部材(ワークW)のデータを用いると共に、ROM14よりのコンピュータプログラムに従ってRAM15を用いて、入力設定された曲げ加工動作を行うようになっている。
【0036】
そして、ステップ105において、加工動作の各曲げ工程へ移る毎に、上述のように設定された、オペレータの立ち位置で操作し易い簡易操作制御盤11の位置に、簡易操作制御盤11のCPU29の制御によって簡易操作制御盤11が移動される。
【0037】
すなわち、CPU29は、ロータリーエンコーダ13eからの情報により、簡易操作制御盤11の現在の位置を認識し、上述のように設定された簡易操作制御盤11の位置に、簡易操作制御盤11が移動するようにモーター13dを制御する。
【0038】
このように、簡易操作制御盤11が、加工動作の各曲げ工程毎に、上述のように設定された、オペレータの立ち位置で操作し易い位置に移動されるので、後述するように、操作制御盤9から作業中のオペレーターが遠い位置となる場合でも、オペレータは、簡易操作制御盤11を介して、ベンド加工におけるワークWの形状と向きGの確認や、ストローク調整等の調整操作を簡単に行うことができるようになる。
【0039】
また、図6に示すように、簡易操作制御盤11には、表示部11aが設けられており、その表示部11aには、これから曲げ加工するワークWの形状と向きGが表示されるようになっているので、オペレーターは、この簡易操作制御盤11に表示されたワークWの形状と向きGを、手元で参照しながら、実際に搬入されているワークWの形状と向きGを確認することができる。
【0040】
ここで、ある曲げ工程において、前もって設定された位置に簡易操作制御盤11が移動された場合、オペレータの作業の仕方等によっては、簡易操作制御盤11が操作しにくかったり、邪魔になってしまったりすることがある。
【0041】
そこで、ステップ107において、簡易操作制御盤11の設定位置を修正する必要があるか否かが、オペレータにより判定される。
【0042】
そして、ステップ107において簡易操作制御盤11の設定位置を修正する必要がある場合、ステップ109において、簡易操作制御盤11の位置の修正が行われる。
【0043】
すなわち、オペレータの作業の仕方によって、簡易操作制御盤11が操作しにくかったり、邪魔になってしまったりした場合、オペレータは、簡易操作制御盤11の左側あるいは右側のスライドスイッチ11d、11eを押して、簡易操作制御盤11のスライド機構を動作させ、簡易操作制御盤11を右方向あるいは左方向にスライドさせ、一番操作し易い位置に、簡易操作制御盤11の位置を修正する。
【0044】
すなわち、例えば、右方向に所定の距離だけ簡易操作制御盤11をスライドして、移動させようとした場合、まず、オペレータは、イネーブルスイッチ11fを押した状態で、左側のスライドスイッチ11dを押す。左側のスライドスイッチ11dを押すと、そのイネーブルスイッチ11fおよび左側のスライドスイッチ11dよりの信号により、CPU29は、モーター13dへ、右回りの駆動信号を送り、それにより、モーター13dは右回りに回転し、ベルト13aを右回りに回転させ、それに伴って簡易操作制御盤11が右方向に移動し、スライドスイッチ11dを放すと、モーター13dの回転が止まり、簡易操作制御盤11の移動も止まる。
【0045】
これにより、簡易操作制御盤11の設定されていた位置が修正されるので、オペレータにとって、さらに簡易操作制御盤11を操作し易い環境となる。
【0046】
次に、ステップ111において、簡易操作制御盤11の設定位置の修正が登録される。
【0047】
すなわち、操作制御盤9のCPU17は、ロータリーエンコーダ13eよりの情報に基づいて、位置修正後の簡易操作制御盤11の現在の位置を認識し、その修正位置情報によって、設定位置情報を更新する。
【0048】
これにより、簡易操作制御盤11の設定位置が更新されるので、同じような加工処理が行われる場合、簡易操作制御盤11を、自動的に修正位置に移動できるようになる。
【0049】
次に、ステップ113において、オペレータによって、曲げ加工を行った後における簡易操作制御盤11によるストローク調整が行われる。
【0050】
すなわち、ここでは、図3に示すように、簡易操作制御盤11に設けられた角度測定器12により、曲げ加工されたワークWの角度を測定し、その測定角度が、赤外線通信により赤外線受信器11gで受信され、簡易操作制御盤11のCPU29は、その測定角度および目標角度を、表示部11aへ表示するように制御する。
【0051】
これにより、オペレーターは、この表示部11aへ表示された測定角度および目標角度を参照して、ストローク調整部(ホイール)11bを操作し、その操作によって、パンチ7bのストロークを調整する。すなわち、簡易操作制御盤11のCPU29は、ストローク調整部11bを介して入力されたストローク調整値を、操作制御盤9のCPU17へ、イーサンデバイス20、31を介して送り、操作制御盤9のCPU17は、そのストローク調整値に基づいて、ドライバ23を介してパンチ7bのストロークの調整を行う。
【0052】
なお、上記ストローク調整値は、その曲げ加工と関連付けてRAM15等の記憶手段に登録され、同じ曲げ加工の時に使用されるようになっている。
【0053】
このように、この実施形態では、簡易操作制御盤11が、加工動作の各曲げ工程毎に、オペレータの立ち位置で操作し易い位置に移動されるので、操作制御盤9から作業中のオペレーターが遠い位置となる場合でも、オペレータは、簡易操作制御盤11を介して、ベンド加工におけるワークWの形状と向きGの確認や、ストローク調整等の調整操作を簡単に行うことができるようになる。
【0054】
そして、簡易操作制御盤11の自動的な位置調整後に、簡易操作制御盤11の位置を、さらに修正することができるので、オペレータの作業の仕方によって、簡易操作制御盤11が操作しにくかったり、邪魔になってしまったりした場合でも、オペレータにとって、さらに簡易操作制御盤11を操作し易い位置へ移すことができる。
【0055】
この発明は前述の発明の実施の形態に限定されることなく、以下のように適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【0056】
上述した実施形態では、角度測定器12により測定された測定角度および目標角度を、簡易操作制御盤11の表示部11aへ表示するようにしていたが、測定角度と目標角度との差の角度を表示したり、その差の角度を、操作制御盤9のCPU17へ、イーサンデバイス20、31を介して送り、操作制御盤9のCPU17が自動的にストローク調整を制御するようにしても良い。
【符号の説明】
【0057】
7 加工機(ベンディングマシン)
7a ダイ
7b パンチ
9 操作制御盤
11 簡易操作制御盤
12 角度測定器
13 ベルト搬送機構
14、25 ROM
15、27 RAM
18 入力表示部
20、31 イーサンデバイス
21 シリンダ
23 ドライバ
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7