【実施例】
【0031】
図1には、本発明に係る潜熱回収用熱交換器の一実施例の外観構成が、その下側に設けられているメインの熱交換器4および燃焼室20ならびに燃焼ファン5と共に斜視図により示されている。なお、同図に示されるように、本実施例の潜熱回収用熱交換器6とメインの熱交換器4と燃焼室20と燃焼ファン5とが一体的に固定されて燃焼用ブロック組み立て体19が形成される。
【0032】
潜熱回収用熱交換器6はケース部材8を有しており、このケース部材8は、横向きに形成された燃焼ガスの通路2の底面と上面と側面とを覆う態様と成している。また、
図1〜
図3(a)に示されるように、ケース部材8は、燃焼ガスの通路2の側面がわを四角形状に覆う側壁7と、燃焼ガスの通路2の底面を覆う底壁12と、側壁7の上側に設けられて燃焼ガスの通路2の上側を覆う、0.5mmのステンレス板製の天板10とを有しており、底壁12と側壁7とは、例えば厚みが0.6mmのステンレス製の板部材を深絞り加工することによって一体的に成型されている。
【0033】
側壁7の上端には、側壁7の外周側に鍔状に張り出したフランジ13が前記深絞り加工によって側壁7と一体的に形成されており、フランジ13の張り出し先端側となる外周部とケース部材8の天板10の外周部とが位置合わせされて配置されている。なお、
図2(c)の斜視図および
図4(a)の断面図を参照すると明らかなように、フランジ13の上端縁部はフランジ13の全周にかけて上側に突出形成されていることから、
図4(a)のFおよび
図4(b)の斜線部分に示されるように、フランジ13の上端縁部の外周面(側面)には、全周に、高さ約4mmのフラット部(フラット面)Fが形成されており、そのフランジ13の上端縁部の内側に天板10が配置されている。
【0034】
また、フランジ13の外周部の四隅の角部(外周角部14)と角部とを結ぶ直線部には折り返し用舌片15が、互いに間隔を介して複数形成されており、この折り返し用舌片15は、
図2(b)、(c)に示されるように、天板10を側壁7の上側に配置する前の状態においては、フランジ13の外側となる上側に突出形成されている(
図2(a)には折り返し用舌片15は図示せず)。各折り返し用舌片15には、
図3(c)に示されるように、中央部に円形状の貫通孔25が設けられて折り曲げ易く形成されており、
図3(a)に示すように、側壁7の上側に天板10を配置した後に、
図3(b)および
図4(c)に示されるように、各折り返し用舌片15が天板10の上側に折り曲げられてかしめられている。なお、折り返し用舌片15は、フランジ13の上端縁部の上側から直上側に立設形成されており(つまり、フランジ13の上端縁部と同一面に形成されており)、
図4(c)に示されるように、折り返し舌片15をかしめた状態においても、フランジ13の上端縁部の側周全域にフラット部Fが形成された状態と成している。
【0035】
また、天板10とフランジ13には共に外周角部14,16に丸みRa(例えば外周角部14,16の外縁部の曲率半径Rが10mm以上となる丸みであり、本実施例の場合は、外周角部14のR=20.5mm)が形成されており、このフランジ13の外周角部14と天板10の外周角部16が、ビス孔27に嵌合されたビス17によりビス止めされている。
【0036】
このように、本実施例では、潜熱回収用熱交換器6のケース部材8において、その上端部のフランジ13と天板10の外周角部14,16に共に丸みが形成されており、しかも、前記のように、フランジ13の上端縁部の側周全域に、高さ約4mmのフラット部Fが形成された状態と成しているので、この潜熱回収用熱交換器6を顕熱回収用熱交換器等と一体的に固定した、
図1に示すような燃焼用ブロック組み立て体19を、
図5に示すようにして、器具ケース40に挿入する際に、たとえ器具ケース40の幅が小さめでも潜熱回収用熱交換器6のケース部材8の角部で器具ケース40の内側に傷を付けてしまうことを防止できるし、前記フラット部Fが器具ケース40の内側に対向することから、ケース部材8の側面や折り返し用舌片15によって器具ケース40の内側に傷を付けてしまうことも確実に防止できる。なお、
図5の符号41は、フロントカバーを、符号45はパッキンをそれぞれ示す。
【0037】
そのため、例えば器具ケース40と燃焼用ブロック組み立て体19の横幅はほぼ等しく形成されて、燃焼用ブロック組み立て体19の上端部と器具ケース40の内壁とが間隙を介して配設されているスリムタイプの燃焼装置を、器具ケース40の内壁に傷を付けることなく、良好に形成できる。なお、実際の燃焼装置は、様々な部品により形成されているが、本願の発明と関係が薄い部品については、その図示と説明を省略する。
【0038】
また、潜熱回収用熱交換器6のケース部材8の形成において、例えば
図4(d)に示すように、天板10側に折り返し用舌片39を設けて側壁7のフランジ13側に折り返して固定した場合、その潜熱回収用熱交換器6を用いて形成した燃焼用ブロック組み立て体19を幅が小さめの器具ケース40に挿入する際には、燃焼用ブロック組み立て体19の向きによっては、図のKの部分で器具ケース40の内側を傷つけるおそれがあり、
図4(e)に示すような態様として形成すると、天板10およびフランジ13の端部で器具ケース40の内側を傷つけるおそれがあり、この場合は、折り返し用舌片15を天板10に設けてもフランジ13に設けても器具ケース40の内側に傷がつきやすい。
【0039】
また、
図4(f)の断面図に示すように、フランジ13の上端縁部に折り返し用舌片15を形成すれば、潜熱回収用熱交換器6を用いて形成した燃焼用ブロック組み立て体19を幅が小さめの器具ケース40に挿入する際に、
図4(d)〜(e)の態様に比べると器具ケース40の内側を傷つける可能性が低くなるものの、
図4(f)のA矢視図に示されるように、折り返し用舌片15をフランジ13の上端縁部よりも外周側に突出させると、図のKで示す折り返し用舌片15の角部で器具ケース40の内側を傷つける可能性が生じる。
【0040】
それに対し、熱回収用熱交換器6のケース部材8においては、フランジ13と天板10の外周角部14,16に共に丸みを形成することに加えて、前記のように、フランジ13の上端縁部の側周全域にフラット部Fが形成された状態と成し、さらに、折り返し用舌片15がフランジ13の外周側に突出することもないので、たとえ器具ケース40の幅が小さめでも潜熱回収用熱交換器6のケース部材8によって器具ケース40の内側に傷を付けてしまうことを防止できる(万が一、フラット部Fが器具ケース40の内側に接触しても、その接触の際の応力が分散されるため、傷つくことを防止できる)。
【0041】
本実施例では、前記のように、側壁7のフランジ13および天板10の外周角部14,16間の直線部においては、間隔を介した位置においてフランジ13に形成された折り返し用舌片15をかしめることにより低コストで容易に固定し、フランジ13の外周角部14と天板10の外周角部16は直線ではないので、かしめによる固定が容易ではなく(缶詰を作るような特殊構造、材料、治具が必要であり)、かつ、外周角部14,16は、しわが寄りやすいので、かしめ固定よりも機械的強度を高くできるビス止めにより固定しており、このように、側壁7と天板10との固定構造が外周角部14,16と、その間の直線部とにおいて異にされているので、側壁7と天板10との固定を低コストで適切に行うことができる。
【0042】
なお、本実施例の潜熱回収用熱交換器6において、ケース部材8の互いに対向する一対の側面の壁(側壁)7a,7bには、それぞれ開口部9a,9bが形成されており、一方側の側面がわの開口部9aがガス導入開口部と成し、このガス導入開口部9aから他方側の側面に形成された開口部9bに向けて燃焼ガスが流れて排出される構成と成している。
【0043】
この一方側の側面がわの開口部9aから他方側の側面がわの開口部9bに向けて流れる燃焼ガスの通路空間には、燃焼ガスの流れを横切る方向に互いに間隔を介して複数伸設された管路を有する受熱管路3が、ケース部材8と間隔を介して配設されている(
図2、参照)。なお、
図1〜
図3の図中、符号21は、受熱管路3の給水管46との接続部、符号22は受熱管路3の接続間48との接続部、符号23はメインの熱交換器4の管路の接続管48との接続部をそれぞれ示す。
【0044】
また、燃焼ガスの通路2の空間の上面を覆うケース部材8の天板10には、下側に向けて突出する凸壁部11(
図1、参照)が、受熱管路3と間隔を介し、燃焼ガスの流れを横切る態様で複数設けられており、凸壁部11により燃焼ガスの通路2の空間を通る燃焼ガスの流れを乱す構成と成している。この凸壁部11は、天板10の設定箇所を下側に凹ませることにより形成されており、凸壁部11をこのような形態にして天板10に凹凸を設けると、天板10の厚みが薄くても天板10の機械的強度を向上させることができ、それにより、ケース部材8および潜熱回収用熱交換器6の機械的強度を向上させることができる。そのため、燃焼ガスの通路2の空間を通る燃焼ガスの流れを乱すことによって熱効率を向上させることができることに加え、潜熱回収用熱交換器6の軽量化や低コスト化を図ることができる。
【0045】
本実施例において、ケース部材8の天板10は、燃焼ガスの流れの上流側から下流側に向かうにつれて下側に傾く斜面に形成されており、燃焼ガスの流れをより一層乱すことができるため、熱効率を向上させることができる。また、ケース部材8の底壁12が天板10とほぼ平行に形成されることにより、燃焼ガスの流れの上流側から下流側に向かうにつれて下側に傾く斜面に形成されているため、ドレンを底壁12に沿わせて燃焼ガスの下流側に導くことができる。そのため、本実施例の潜熱回収用熱交換器6を設けて形成する燃焼装置において、
図8に示したドレンの受け皿43を省略することができる。
【0046】
つまり、本実施例の潜熱回収用熱交換器6は、例えば
図8とほぼ同様のシステム構成を有する燃焼装置に適用されるが、
図6の模式的な断面図に示されるように、メインの熱交換器4を通った燃焼ガスは、本実施例の潜熱回収用熱交換器6を通るときに、燃焼ガスの流れの下流側に向かうにつれて斜め下側となるような横向きに形成された燃焼ガスの通路2を通って行く。そして、同図の矢印に示されるように、斜面の天板10と天板10に形成された凸壁部11とにぶつかりながら流れが乱され、それにより、受熱管路3と燃焼ガスとの熱的接触が効率的に行われるために、熱効率の高い潜熱回収用熱交換器6を実現でき、本実施例の潜熱回収用熱交換器6を設けて形成される燃焼装置(給湯器)は、簡単な構成で熱効率が高い優れた燃焼装置とすることができるし、ドレン受け皿も省略できる。
【0047】
なお、
図6においては、受熱管路3の間や受熱管路3の配設領域下側とケース部材8の底壁12との間を通る燃焼ガスの流れについての図示は省略しているが、受熱管路3の間においては、この間をすり抜けた熱い燃焼ガスと受熱管路3で冷やされた冷たい燃焼ガスとが交差して流れが乱され、また、受熱管路3の下側では、この下側に流れた熱い燃焼ガスと、最下端の受熱管路3で冷やされた燃焼ガスとが交差して流れが乱されるため、熱効率を高くできるので、前記のように、天板10と受熱管路3の上側を通る燃焼ガスの流れを乱すことにより、潜熱回収用熱交換器6の熱効率を非常に高くすることができる。
【0048】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく適宜設定されるものである。例えば、潜熱回収用熱交換器6に設ける受熱管路3の配設態様は特に限定されるものでなく適宜設定されるものであり、隣り合う複数の受熱管路3が密接して設けられていてもよい。
【0049】
また、前記実施例では、ケース部材8の互いに対向する一対の側壁7a,7bにそれぞれ開口部9a,9bが形成されていたが、その代わりに、例えば
図7の模式的な断面図に示されるような構成とすることもできる。つまり、ケース部材8の底面である底壁12の片端側に開口部9aと、その反対側の側面の壁(側壁)7bに開口部9bを形成し、ケース部材8の底壁12に形成された開口部9aが燃焼ガスを導入する燃焼ガス導入開口部と成し、燃焼ガス導入開口部からケース部材8内に導入された燃焼ガスが該ケース部材8の空間の片端側から反対側に向けて流れて、その反対側のケース側面の壁7bに設けられた開口部9bから排出される構成としてもよい。
【0050】
さらに、前記実施例では、潜熱回収用熱交換器6のケース部材8において、側壁7のフランジ13と天板10の外周角部14,16に、それぞれ一カ所ずつ丸みRa(
図4(b)、参照)を形成したが、例えば
図3(d)に示すように、各外周角部14,16において、2カ所以上(
図3(d)は2カ所の例)に丸みRaを形成してもよい。このような場合は、丸みを形成する箇所の個数に応じて、その曲率半径Rを設定することが好ましく、例えば2カ所の場合には、R=10/2=5mm以上、3カ所の場合には、R=10/3≒3.3mm以上といったように、各外周角部14,16における丸みの曲率半径Rが全部で10mm以上となるようにすることが好ましい。
【0051】
さらに、前記実施例では、ケース部材8の底壁12を天板10と略平行として斜めに形成したが、底壁12の形成態様は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。また、天板10も前記実施例のように斜めに形成することが望ましいが、斜めに形成しなくてもよい。
【0052】
さらに、前記実施例では、天板10の設定箇所をした側に凹ませて凸壁部11を形成したが、凸壁部11の形成の仕方は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。さらに、凸壁部11は省略することもできる。
【0053】
さらに、前記実施例では、燃焼装置は、給湯機能のみを備えた装置としたが、風呂の追い焚き機能や暖房機能等の他の機能備えた複合装置としてもよい。
【0054】
さらに、本発明の燃焼装置は、例えば前記実施例で設けたガス燃焼を行うバーナの代わりに、石油燃焼用のバーナを設けてもよい。