(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一の通気ダクトの途中に第二の通気ダクトを接続し、それぞれの通気ダクトを流れる気流が合流して第一通気ダクトの下流側へ流れていくようにした、通気ダクトの合流部の構造であって、
第一通気ダクトの合流部にはダクト壁を貫く貫通穴が設けられており、
第二通気ダクトの合流部には、前記貫通穴を通じて第一通気ダクト内部に挿入配置される筒状の挿入部が設けられ、
前記挿入部は、挿入部の挿入方向の長さが、挿入部の挿入方向と直交する平面で挿入部の断面を取った際の、挿入部の挿入方向とも第一通気ダクトの気流の流れ方向とも直交する方向、もしくは、第一通気ダクトの気流の流れ方向で測った挿入部の断面の大きさを代表する寸法よりも小さくされた短筒状に形成されており、
前記挿入部先端には、挿入部の筒状形状に沿って流れようとする気流をさえぎるような遮蔽板が設けられ、
第一通気ダクトを流れる気流は、第一通気ダクトのダクト壁内周面と前記遮蔽板の間を流れるようにされ、
第二通気ダクトの挿入部と第一通気ダクトの合流部とは、挿入部の挿入方向とも第1通気ダクトの気流の流れ方向とも直交する方向に測って、ほぼ同じ幅とされていて、前記挿入部が第一通気ダクトに挿入されることにより、第一通気ダクトの流路が、前記幅の全体にわたって、挿入部の挿入方向に絞られると共に、
第二通気ダクトの前記挿入部には、遮蔽板に隣接するように、少なくとも第一通気ダクトの下流側に面する部位に開口が設けられて、第二通気ダクトを流れる気流が前記開口を通じて第一通気ダクト内に合流する
通気ダクト合流部の構造。
第二通気ダクトの挿入部が第一通気ダクト内に挿入配置される挿入量を調整可能な固定手段によって、第一通気ダクトと第二通気ダクトの合流部を互いに固定した請求項1に記載の通気ダクト合流部の構造。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図面を参照しながら、ハイブリッド自動車に使用される2次電池の冷却装置に用いられる送風系を例として、本発明の第一の実施形態について説明する。なお本発明は以下に示す個別の実施形態に限定されるものではなく、その形態を変更して実施することもできる。
【0017】
図1に示すように、電池冷却装置の送風系Aは、バッテリーモジュールB1,B2やDC/DCコンバータDといった冷却対象物の下流側に設けられている。送風系Aによって冷却対象物を冷却した冷却風を回収し、送風系Aの下流側に設けられた送風ファンへと冷却風が送られる。
図1では、送風系Aを構成する通気ダクトを断面で、バッテリーモジュールB1,B2やDC/DCコンバータDを破線で示している。
【0018】
送風系Aは、第一の通気ダクト1と第二の通気ダクトにより構成される。本実施形態においては、第一の通気ダクト1は、空気取り入れ口1aを通じて、DC/DCコンバータDからの冷却風を回収し、第二の通気ダクト2は、空気取り入れ口2a、2bを通じて、バッテリーモジュールB1,B2からの冷却風を回収する。第二の通気ダクト2の末端は、第一通気ダクト1の途中に合流している(以下、この部分を合流部と呼ぶ)。本実施形態では、略直管状に形成された第一通気ダクト1に対し、第二通気ダクト2の末端部がほぼ直角に交わるように合流している。それぞれの通気ダクトを流れてきた気流は、この合流部で合流して、第一通気ダクト1の下流側(
図1の右側)に流れていくように送風系Aが構成されている。
【0019】
通気ダクト合流部の詳細について説明する。
図2は、第一通気ダクト1と第二通気ダクト2の合流部の構造を示す断面図である。
図3は、合流部を構成する部材の構成や形状及び組み立て前の状態を示す斜視図である。
図4は、第一の通気ダクト1の合流部付近の構造を示す図である。
図5は、第二の通気ダクト2の合流部付近の構造を示す図である。なお、これらの図においては、合流部付近のみを図示しており、他の部分は図示を省略している。また、図中の矢印は気流の流れ方向を表している。
【0020】
第一通気ダクト1は、合流部付近では方形状(矩形状)の断面を有する角筒状のダクトに形成されている。第一通気ダクト1は合成樹脂により形成されており、典型的にはブロー成形や射出成形により形成されている。第一通気ダクト1の合流部には、ダクト壁を貫くように、第二通気ダクト2の末端が接続されるべき貫通穴10が設けられている。また、本実施形態においては、第二通気ダクト2の固定やシールに利用するために、貫通穴10を取り巻くように短筒状のリム11が設けられている。
【0021】
第二通気ダクト2は、合流部付近では方形状(矩形状)の断面を有する角筒状のダクトに形成されている。第二通気ダクト2は合成樹脂により形成されており、典型的にはブロー成形や射出成形により形成されている。第二通気ダクト2の合流部の先端には、
図2に示すように組み立てられた際に、貫通穴10を通じて第一通気ダクト1の内部に挿入配置される筒状の挿入部21が設けられている。挿入部21は、挿入方向の長さ(
図2における上下方向の長さ)が、筒の断面の代表寸法(
図2における左右方向や奥行き方向の長さ)よりも小さくされた、短筒状に形成されている。
【0022】
本実施形態では、第二通気ダクト2の挿入部21と、第一通気ダクト1の合流部とは、ほぼ同じ幅となるように(
図2における紙面奥行き方向に同じ寸法に)されていて、挿入部21が第一通気ダクトに挿入されることにより、第一通気ダクトの流路が、前記幅方向の全体にわたって、ダクト高さ方向(
図2における上下方向)に絞られる。
【0023】
図2のように、挿入部21が第一通気ダクト内部に挿入配置された状態で、第一通気ダクトと第二通気ダクトが互いに固定されて合流部構造が完成される。挿入部21の挿入量が適切に維持・管理されるように、本実施形態のように、第二通気ダクト2の外周に環状突起24を設けて、第一通気ダクト1のリム11と当接させるようにしても良い。固定には、ねじやリベットや係止爪や接着材や粘着剤などの公知の固定手段が利用できる。また、合流部からの空気漏れがない様に、発泡樹脂テープやゴムパッキンやOリングなどのシール部材を合流部に配することが好ましい。なお、固定手段やシール部材の図示は省略している。
【0024】
第二通気ダクト2の挿入部21の先端には、第二通気ダクトの合流部(挿入部)の筒状形状に沿って流れようとする気流をさえぎるような遮蔽板22が設けられている。本実施形態では、遮蔽板22は、挿入部21の筒状形状の軸線mとほぼ直交するような角度に設けられている。なお、遮蔽板22は、平板であっても良いし、曲面状の板材であってもよい。また、軸線mと遮蔽板22がなす角度は厳密に直交すべきものでもなく、遮蔽板が筒形状(軸線m)に沿って流れようとする気流を妨げる程度の角度であれば足り、例えば、軸線mと遮蔽板がなす角が45度〜90度、より好ましくは60度〜90度であれば、ほぼ直交する角度であると考えてよい。
【0025】
本実施形態においては、遮蔽板22は、第二通気ダクト挿入部21の軸線mに対し約75度の角度をなすように設けられている。また、遮蔽板22は、軸線mに沿って見て、遮蔽板22が第二通気ダクト合流部の内側全体にわたって流路を遮蔽するように設けられている。
【0026】
第一通気ダクト1の内側に、第二通気ダクト2の挿入部21が挿入配置されて、挿入部先端には遮蔽板22が設けられているので、第一通気ダクトを流れる気流は、合流部において、第一通気ダクトのダクト壁内周面と遮蔽板22の間を流れることになる。
【0027】
好ましくは、本実施形態のように、遮蔽板22が第一通気ダクト1の合流部の軸線nとほぼ平行になるように設けられる。ここで、軸線nと遮蔽板22がなす角度は厳密に平行であるべきものでもなく、遮蔽板22が第一通気ダクトの軸線nに沿って流れようとする気流をそれほど妨げない程度の角度であればよく、例えば、軸線nと遮蔽板22がなす角が0度〜45度、より好ましくは0度〜30度であれば、ほぼ平行な角度であると考えてよい。
【0028】
本実施形態においては、遮蔽板22は、第一通気ダクト1の軸線nに対し約15度の角度をなすように設けられている。また、本実施形態においては、合流部において、第一通気ダクトの下流に向かうに従って、遮蔽板22と第一通気ダクト1のダクト壁の間の空間が狭くなる、すなわち、第一通気ダクトの流路が徐々に絞られるように、遮蔽板22が設けられている
【0029】
第二通気ダクト2の挿入部21には、遮蔽板22に隣接するように開口23が設けられている。開口23は、挿入部21の筒状のダクト壁の一部を切り欠いたような形態で設けられている。開口23は、少なくとも第一通気ダクトを流れる気流の下流側に面する部位に設けられる。本実施形態においては、角筒状に形成された挿入部のダクト壁のうち、第一通気ダクト下流側に位置するダクト壁のみが方形状に切りかかれて、開口23が形成されている。本実施形態では、開口23は、挿入部21の幅方向(
図2の紙面奥行き方向)の全体にわたって開口するように設けられている。第二通気ダクト2を流れる気流は、合流部において、軸線mや筒状ダクト壁に沿うように流れた後に遮蔽板22によって流れの方向が変わり、開口23を通じて第一通気ダクト1の内部(下流側)に合流する。
【0030】
上記形態の通気ダクト合流部構造が発揮する作用と効果について説明する。
上記実施形態の通気ダクト合流部構造によれば、従来公知の合流部構造に比べ、通気抵抗を少なくすることができる。
図6及び
図7は通気ダクト合流部における気流の流れを示す流速分布図である。
図8及び
図9には、
図6、
図7のそれぞれに対応する流線図が示されている。
図6及び
図8が従来の合流部構造(単純なT型合流)におけるものであり、
図7及び
図9が上記実施形態におけるものである。これらの図は、所定の流量やダクトの基本寸法などの条件を揃えた数値流体シミュレーションにより求めている。
【0031】
数値流体シミュレーションの概要を説明する。
シミュレーションは、高さ(
図6〜9における上下方向寸法)35mm、奥行き(
図6〜9における紙面奥行き方向寸法)60mmの第一通気ダクトに、幅(
図6〜9における左右方向寸法)128mm、奥行き60mmの第二通気ダクトが、ほぼ直交するように合流する部位をモデル化して行った。
また、
図7、
図9に示した本発明の実施形態に対応するシミュレーション例では、第二通気ダクトの挿入部が第一通気ダクトの内側に16mm挿入されて、第一通気ダクトが最も絞られた部分での第一通気ダクトの流路の有効高さが19mmとなり、第二通気ダクトの挿入部に設けられた開口の高さ(
図7、
図9における上下方向寸法)が14mmとされている。なお、遮蔽板は第一通気ダクトの流路が徐々に絞られるように、第一通気ダクトの軸線の延在方向に対し傾斜して設けられている。また、第二通気ダクトの挿入部に設けられた開口は、奥行き方向全体にわたって設けられている。
【0032】
モデル化された合流部の上流側には、第一通気ダクトや第二通気ダクトがモデル化され、さらに、その上流に配されるDC/DCコンバータやバッテリーモジュールもモデル化して流体解析を行った。なお、
図6〜9中では、合流部付近の通気ダクトの内部空間のみを図示している。流体シミュレーションは、従来技術(
図6、
図8)、本発明実施形態(
図7、
図9)共に、DC/DCコンバータから第一通気ダクトに流れる気流の流量Q1が10L/s、バッテリーモジュールから第二通気ダクトに流れる気流の流量Q2が12L/s、合流後の第一通気ダクトの流量が22L/sとなるように実行した。流体シミュレーションの実行にあたっては、所望の流量配分を実現しつつ、送風系の通気抵抗が最小化されるように、第二通気ダクトの合流部よりも上流側の部分に設けられた絞り部を調整している。なお、図中のスケールは流速の大小と流速分布図や流線図における濃淡の関係を示しており、表示された数値の単位はm/sである。
【0033】
図6、
図8の従来技術の合流部での気流の流れにおいて顕著なように、従来の合流部構造においては、合流してくる第二通気ダクト側からの流れが、第一通気ダクトの流れを図の下側へと偏向させ、第一通気ダクトから流れてきた気流の実質的な流路を狭くしてしまっている。そのため、第一通気ダクトの下側のダクト壁に沿うように流速が大きな領域が偏ってできてしまい、通気抵抗が高くなりやすくなっている。
【0034】
一方、
図7、
図9に示す上記実施形態における流れでは、合流してくる第二通気ダクト側からの流れは、遮蔽板22によってさえぎられて、第一通気ダクト下流側に向いた開口23から第一通気ダクトの軸線nに沿うように流れていく。そのため、第二通気ダクト側からの流れによって、第一通気ダクトを流れる気流が圧迫されることがない。また、流速の最も高い領域も第一通気ダクトの壁面から離れた位置となっており、ダクト壁からの流速勾配も小さくなっている。そのため、従来例と比べ、通気抵抗が低減される。
【0035】
上記条件で数値流体シミュレーションを行った結果は、以下のとおりである。
図6、
図8に示したような従来技術の合流部の通気抵抗が97Paであるのに対し、
図7、
図9に示したような上記実施形態の合流部の通気抵抗は45Paと、約54%も合流部の通気抵抗が低減されている。なお、合流部の通気抵抗とは、合流部を挟んだ第一通気ダクトの上流側と下流側の圧力差(総圧の差)をいう。
【0036】
また、第二通気ダクトの挿入量を変化させたモデルでのシミュレーションも同様に行ったところ、第二通気ダクトの挿入量を大きくすると、第一通気ダクトの流量が少なくなる一方で第二通気ダクトの流量が多くなり、逆に、第二通気ダクトの挿入量を小さくすると、第一通気ダクトの流量が大きくなる一方で第二通気ダクトの流量が小さくなることが確認された。すなわち、遮蔽板の上下位置を変更することによって流量配分を調整できる。
【0037】
通気ダクト合流部の通気抵抗を低減する観点からは、上記実施形態のように、遮蔽板が第一通気ダクトの軸線とほぼ平行になるように設けられることが好ましい。このようにされていると、第一通気ダクトを流れる気流の乱れが少なくなるので、通気抵抗の低減に、より効果的である。
【0038】
また、遮蔽板が第一通気ダクト下流側に行くにしたがって、第一通気ダクトの流路を徐々に絞るように設けられていることが特に好ましい。このようにされていると、第二通気ダクトの挿入部が挿入配置される部分で、第一通気ダクトの断面積が急変することが抑制されて、第一通気ダクトを流れる気流の乱れがより少なくなって、通気抵抗の低減に、特に効果的である。
【0039】
また、上記実施形態のように、開口が、挿入部の幅方向(
図2の紙面奥行き方向)の全体にわたって開口するように設けられていると、第一通気ダクトからの気流と第二通気ダクトからの気流を層状に合流させることができる。そのため、合流した空気が乱れずに均一に流れやすくなって、合流部の通気抵抗の低減に特に効果的である。
【0040】
また、上記実施形態の通気ダクト合流部の構造によれば、遮蔽板の位置(第二通気ダクト挿入方向の位置、即ち
図2における上下方向の位置)を変更すれば、流量配分の調整もできる。遮蔽板の位置を変更すれば、第一通気ダクトの合流部の流路の断面積を変更できるからである。例えば、
図2において、遮蔽板22を図の上側に寄せて配置すれば、第一通気ダクト側の流量を相対的に大きくすることができ、遮蔽板22を図の下側に寄せて配置すれば、第一通気ダクト側の流量を相対的に小さくすることができる。
【0041】
遮蔽板の配置の変更は、第一通気ダクト1や第二通気ダクト2に対するいわゆる設計変更によって行うことができる。あるいは、第一通気ダクト1と第二通気ダクト2とを組み立てて固定する際に、第二通気ダクトの第一通気ダクトへの挿入量を調整して両者を固定することによって行うこともできる。そのような調整可能な固定手段としては、第一通気ダクトと第二通気ダクトの間に挟持するスペーサ等を設けて、スペーサの厚さによって挿入量を調整するような固定手段や、第一ダクトと第二ダクトとが、複数の位置で固定できるようにノッチなどを設けておいて、第一ダクトと第二ダクトとを固定する際に特定のノッチを選択し、挿入量を調整した上で固定したりするような固定手段が例示できる。
【0042】
第二通気ダクトの挿入量を調整可能な固定手段によって、第一通気ダクトと第二通気ダクトの合流部を互いに固定すれば、第一通気ダクトと第二通気ダクトの間の風量の配分を、両通気ダクトを組み立てる際に調整することができる。
【0043】
また、遮蔽板の配置の変更は、第一通気ダクトと第二通気ダクトの固定を維持しつつ、第二ダクトの挿入量を可変にできるような、調整可能な可動式固定手段により行っても良い。例えば、電動モータとギアを組み合わせて、モータの回転駆動によって、第二通気ダクトの挿入量が変化するように構成された固定手段とすることができる。このような可変式の固定手段で第一通気ダクトと第二通気ダクトの間を固定すれば、送風系の運転中に遮蔽板の位置を変更して通気ダクト間の流量配分を制御することもできる。
【0044】
可変式の固定手段の例としては、他にも、カムやくさび、リンクやスライダなどを利用した、遮蔽板位置調整機構を有するような固定手段が例示できる。また、可変式固定手段の駆動源としては、電動モータだけでなく、液圧や空気圧を利用するアクチュエータや、バイメタルやワックスなどの温度変化を変位に変換するアクチュエータなどが例示できる。
【0045】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をして実施することができる。以下に本発明の他の実施形態について説明するが、以下の説明においては、上記実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様である部分についてはその詳細な説明を省略する。また、示された実施形態は、その一部を互いに組み合わせて、あるいは、その一部を置き換えて実施することもできる。
【0046】
図10には、本発明の通気ダクト合流部の構造の第二実施形態を示す。本実施形態においては、第二通気ダクト3の構成が異なっている、第二通気ダクト3では、気流が互いに対向するように流れ込んでくる2本の分岐管31,32が合流する部分から、第一通気ダクトに合流させるための、挿入部33が突出して形成されている。このように、挿入部33よりも上流側の第二通気ダクトの形態は、種々の形態をとりうる。
【0047】
本実施形態においても、挿入部33の部分には、遮蔽板34と開口35が設けられ、遮蔽板34と開口35の作用によって合流部の通気抵抗が低減される。なお、本実施形態においては、遮蔽板34が第一通気ダクトの軸線nと平行に設けられている。
【0048】
上記2つの実施形態においては、第二通気ダクトの挿入部が、第一通気ダクト1の軸線nに対しほぼ垂直に挿入される形態について説明したが、挿入部の挿入方向は、軸線nに対し斜めとなっていても良い。挿入方向を斜めにする場合には、挿入部の筒状形状の軸線mが第一通気ダクトの下流側を向くように傾けることが好ましい。
【0049】
また、上記第一実施形態では、挿入部21と第一通気ダクト1の合流部とは、ほぼ同じ幅となるように(
図2における紙面奥行き方向に同じ幅)されていて、挿入部21が第一通気ダクトに挿入されることにより、第一通気ダクトの流路が、前記幅方向の全体にわたって、ダクト高さ方向(
図2における上下方向)に絞られる形態について説明したが、挿入部21は、第一通気ダクト1の幅よりも狭い幅に形成されていても良い。両者の幅が同じになっていると、第一通気ダクトの合流部の流路の断面形状が、単純な矩形状となって、流れが2次元的な単純な流れになりやすいので、通気抵抗をより効果的に低くする観点からは、両者の幅が同じとなっていることが好ましい。また、この挿入部の断面形状は合流部の下流のダクト取り回し形状に対応して、さまざまに最適化することができる。
【0050】
図11及び
図12には、第二通気ダクトの挿入部に設けられる開口の変形例を示す。これら図においては、第二通気ダクトの合流部付近のみを示しており、図中の断面図においては、第一通気ダクトと組み立てられた際に、第一通気ダクト内の気流が図の左側から右側に向かって流れるように(即ち右側が下流側となるように)図示している。
【0051】
図11に示す第二通気ダクト4の挿入部41に設けられた開口部43は、挿入部41の第一通気ダクト下流側のダクト壁を切り欠くように設けられると共に、開口43は、挿入部41のダクト側壁45(
図9の断面図で紙面と平行に延在し、奥行き方向に隔たって存在する壁面)の一部(下流側)を切り欠くように、回り込むような形態に設けられている。
【0052】
開口をこのような形態としても、同様に通気抵抗の低減効果が得られる。挿入部41の幅が、第一通気ダクト1の幅よりも小さいような場合には、開口43をこのような形態にすることによって、第一通気ダクトを流れる気流が挿入部41の側面から下流側へ回り込もうとするのを抑制することができて、通気抵抗の低減に効果的である。
【0053】
図12に示す第二通気ダクト5の挿入部51に設けられた開口部は、第一通気ダクトの流れの下流側(53)と上流側(54)の両側に設けられている。開口をこのような形態としても、同様に通気抵抗の低減効果が得られる。上流側の開口54は下流側の開口53よりも開口面積が小さな開口とされることが好ましい。
【0054】
上流側にも開口54を設けることにより、第一通気ダクトを流れてくる気流の一部を、第二通気ダクト挿入部51の内部に一旦流し込んで、下流側の開口53から下流へと流すことができる。したがって、第一通気ダクトの流れをより高めたい場合には、本実施形態のように上流側と下流側の両方に開口を設けることが好ましい。
【0055】
また、本実施形態のように、第二通気ダクト挿入部を射出成形により製造しやすいように、挿入部の外周形状よりも遮蔽板をやや小さく形成するようにしても良い。このようにすれば、射出成形の金型におけるスライド機構を省略できて、コスト上有利である。
【0056】
なお、一連の実施形態の説明において、第二通気ダクト挿入部の開口は、矩形状である形態例を説明したが、開口の具体的形状は特に限定されない。開口は、円形や楕円形、長円形状であってもよく、複数の穴が連設された形態や、メッシュ状に設けられた開口であっても良い。また、第二通気ダクト挿入部の開口は、挿入部や第一ダクトの幅方向(
図2における奥行き方向)全体にわたって設けられることが好ましいが、開口は幅方向の一部分、例えば中央部の所定領域に設けられる開口であっても良い。
【0057】
上記第一実施形態においては、第一通気ダクト側にDC/DCコンバータを冷却した冷却風が導かれ、第二通気ダクト側にバッテリーモジュールを冷却した冷却風が導かれるように構成されている。上記実施形態によれば、第一通気ダクトの側では合流部の流れが直線状になりやすく、第二通気ダクトの側では合流部の流れが屈曲した流れとなるため、第一通気ダクトの側の流量を多く確保したい場合に、特に効果的に通気抵抗が低減できる。したがって、上記実施形態の合流部構造の適用にあたっては、より多くの空気を流したい側を第一通気ダクトの側に接続することが好ましい。
【0058】
上記実施形態においては、第一通気ダクトや第二通気ダクトが合成樹脂(特に熱可塑性樹脂)により形成された実施形態について説明したが、ダクトの構成材料は特に限定されない。通気ダクトは金属製であってもよい。または、樹脂で固められた不織布や織布、あるいは紙といった繊維集合体で通気ダクトを構成することもできる。また、通気ダクトの製造方法も、使用する材料に適した公知の製造方法によることができる。
【0059】
本発明の通気ダクト合流部の構造の適用は、上記実施形態で説明した電池冷却装置の送風系に限定されず、それ以外の他の技術分野にも本発明の通気ダクト合流部の構造は応用できる。本発明は、例えば、送風システムや冷暖房システム、空調システムなどといった、通気ダクトを通じて気流を送る装置における送風系の、通気ダクトが合流する部分に適用することができる。