(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような携帯装置は、側面部にユーザの操作を受け付けるスイッチなどの物理的な操作手段が配置されているのが一般的である。電源の操作やマナーモードの設定などを容易に行うためである。
【0006】
しかし、このようなスイッチは側面部に配置されるため、保持システムの固定部材等で携帯装置を固定すると、固定部材によりスイッチが押圧されることとなる。スイッチが押圧されることで、例えばナビゲーション等の実行中に、不意に電源が遮断される等の誤動作が発生する恐れが生じていた。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、保持システムが携帯装置を保持する場合、携帯装置に配置された操作手段が押圧されても、誤動作の発生を防止できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、ユーザの操作を受け付ける物理的な操作手段を無効化信号の受信に応答して無効化する機能を有する携帯装置を保持する保持システムであって、前記保持システムは、前記無効化信号を前記携帯装置に送信する第1送信手段と、前記携帯装置を押圧して保持する保持手段と、
前記携帯装置が前記操作手段を無効化したことを検出する検出手段と、を備え、
前記保持手段は、前記第1送信手段が前記無効化信号を送信し、前記携帯装置が前記操作手段を無効化した後に、前記携帯装置を保持する。
【0011】
また、
請求項2の発明は、
請求項1に記載の保持システムにおいて、前記携帯装置の近接を検知する近接検知手段、をさらに備え、前記第1送信手段は、前記近接検知手段が前記携帯装置の近接を検知した場合に、前記無効化信号を前記携帯装置に送信する。
【0012】
また、
請求項3の発明は、
請求項1または2のいずれかに記載の保持システムにおいて、前記携帯装置の載置を検知する載置検知手段、をさらに備え、前記第1送信手段は、前記載置検知手段が前記携帯装置の載置を検知した場合に、前記無効化信号を前記携帯装置に送信する。
【0013】
また、
請求項4の発明は、
請求項1ないし3のいずれかに記載の保持システムにおいて、前記携帯装置は、有効化信号の受信に応答して前記操作手段を有効化する機能を有し、前記保持システムは、前記保持手段が前記携帯装置を開放した後に、前記有効化信号を前記携帯装置に送信する第2送信手段、をさらに備える。
【0014】
また、
請求項5の発明は、携帯装置と、該携帯装置を保持する保持システムとを含む通信システムであって、前記携帯装置は、ユーザの操作を受け付ける物理的な操作手段と、前記保持システムから無効化信号を受信する受信手段と、前記無効化信号の受信に応答して、前記操作手段を無効化する無効化手段と、を備え、前記保持システムは、前記無効化信号を前記携帯装置に送信する送信手段と、前記携帯装置を押圧して保持する保持手段と、
前記携帯装置が前記操作手段を無効化したことを検出する検出手段と、を備え、
前記保持手段は、前記送信手段が前記無効化信号を送信し、前記携帯装置が前記操作手段を無効化した後に、前記携帯装置を保持する。
【0015】
また、
請求項6の発明は、
保持対象へ無効化信号を送信し、前記保持対象の操作手段を無効化した後に前記保持対象を保持する保持システムに保持される携帯装置であって、ユーザの操作を受け付ける物理的な操作手段と、前記保持システムから
前記無効化信号を受信する受信手段と、前記無効化信号の受信に応答して前記操作手段を無効化する無効化手段と、
前記無効化が完了された場合に、無効完了信号を前記保持システムへ送信する送信手段と、を備える。
【0016】
また、
請求項7の発明は、保持システムが携帯装置を保持する保持方法であって、(a)前記保持システムが、無効化信号を前記携帯装置に送信する工程と、(b)前記携帯装置が、前記無効化信号を受信する工程と、(c)前記携帯装置が、前記無効化信号の受信に応答して、ユーザの操作を受け付ける物理的な操作手段を無効化する工程と、(d)前記保持システムが、前記携帯装置を押圧して保持する工程と、
(e)前記携帯装置が前記操作手段を無効化したことを検出する工程と、を備え、
前記(d)工程は、前記(a)工程が前記無効化信号を送信し、前記携帯装置が前記操作手段を無効化した後に、前記携帯装置を保持する。
【0017】
また、
請求項8の発明は、
携帯装置に含まれるコンピュータによって実行可能なプログラムであって、前記コンピュータによる前記プログラムの実行は、前記コンピュータに、(a)
前記携帯装置
へ無効化信号を送信し、前記携帯装置の操作手段を無効化した後に前記携帯装置を保持する保持システムから前記無効化信号を受信する工程と、(b)前記無効化信号の受信に応答してユーザの操作を受け付ける物理的な操作手段を無効化する工程と、
(c)前記無効化が完了された場合に無効完了信号を前記保持システムへ送信する工程と、を実行させる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1ないし10のいずれかの発明によれば、保持システムが保持の対象とする携帯装置の操作手段を無効化できるため、保持システムが操作手段を押圧しても、操作手段に対応した処理が誤って実行されることがなくなる。
【0019】
また、特に請求項2の発明によれば、無効化信号を送信した後に携帯装置を保持するので、保持システムが操作手段を押圧しても、操作手段に対応した処理が誤って実行されることを確実に防止できる。
【0020】
また、特に請求項3の発明によれば、携帯装置が操作手段を無効化した後に、保持システムが携帯装置を保持するので、保持システムが操作手段を押圧しても、操作手段に対応した処理が誤って実行されることを確実に防止できる。
【0021】
また、特に請求項4の発明によれば、近接検知手段が携帯装置の近接を検出した場合に、無効化信号を携帯装置に送信するので、保持システムが操作手段を押圧する前に操作手段を無効化できる。
【0022】
また、特に請求項5の発明によれば、載置検知手段が携帯装置の載置を検知した場合に、無効化信号を携帯装置に送信するので、保持システムが操作手段を押圧する前に操作手段を無効化できる。
【0023】
また、特に請求項6の発明によれば、保持手段が携帯装置を開放した後に有効化信号を携帯装置に送信するので、携帯装置が保持手段から開放される前に操作手段が有効化されることを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.概要>
保持システム100及び通信システム200の概要について説明する。
図1は、本実施の形態に係る保持システム100及び通信システム200が搭載される車両40の車室内の様子を示す。
【0027】
保持システム100は、携帯装置30を保持する保持装置10と、文字や画像の表示や音声の出力を行う表示装置20とを備える。保持装置10と表示装置20とは接続線Lにより電気的に接続され、互いに信号の送受信を行う。保持装置10は、車両40の運転席と助手席との間に備わるセンターコンソール41に設けられる。表示装置20は、ユーザから視認しやすいように車両40のダッシュボード42の左右中央などに配置される。表示装置20は、ナビゲーション用の地図画面や音声データが入力されることで、ナビゲーション装置として機能する。また、音楽データが入力されることで、オーディオ装置として機能する。
【0028】
通信システム200は、保持システム100と携帯装置30とを備える。携帯装置30は、例えば携帯電話やスマートフォン等であり、通話や電子メール送受のほか、アプリケーション・ソフトウェアの実行を行う可搬性の情報端末である。携帯装置30で実行されるアプリケーションは、ナビゲーションや音楽再生、ゲーム等である。携帯装置30で実行されるアプリケーションのデータが表示装置20へ無線送信されることで、ユーザは、車両40内において画面の大きい表示装置20で携帯装置30の画像や音声を利用することができる。
【0029】
図2は、保持装置10の外観を示す斜視図である。保持装置10は、携帯装置30を載置するための略水平方向に沿った面を有する載置面SFを備えている。載置面SFへの携帯装置30の載置を近接センサ12や光電センサ13で検知すると、保持装置10は、保持レバーHLやスライドカバーSCを携帯装置30ヘ向けて駆動し、携帯装置30を押圧して保持する。保持レバーHLは、載置面SFの各隅部にそれぞれ配置されるアーム状のレバーであり、携帯装置30の四隅(略矩形の表面の頂点に相当する部分)を押圧する。また、スライドカバーSCは、載置面SFの両端に配置され、携帯装置30の両側面を挟んで押圧する部材である。これにより、携帯装置30は、車両40内に固定されるため、車両40で加減速や振動等が発生しても載置面SFからの脱落が防止される。なお、ユーザは、携帯装置30への押圧を解除したい場合は、取出しスイッチ14を押下すればよい。これにより、保持装置10は、携帯装置30の保持を解除する。なお、保持装置10が、携帯装置30を保持する動作については後に詳述する。
【0030】
図3は、携帯装置30の外観を示す斜視図である。携帯装置30は、液晶等のディスプレイである表示部31を主要な面(主面)に備え、物理的に動作するスイッチである操作部32を側面に備えている。操作部32は、例えば電源ボタンやマナーモード設定ボタンであり、ユーザが押下しやすいよう携帯装置30の筐体の外側へ突き出している。したがって、操作部32は、電源投入や遮断される際にユーザにより押下されるが、外部の物体と接触することによりユーザの意思に反して押下される恐れがある。
【0031】
<1−2.構成>
次に、保持システム100及び通信システム200の構成について説明する。
図2は、保持システム100及び通信システム200の構成を示すブロック図である。
【0032】
保持システム100は、接続線Lで互いに接続された保持装置10及び表示装置20を備え、携帯装置30を車両40に固定するよう保持するシステムである。また、通信システム200は、保持システム100、及び、表示装置20と無線通信を行う携帯装置30を備える。
【0033】
保持装置10は、前述の保持レバーHL及びスライドカバーSCにより携帯装置30を押圧して保持する電子制御装置である。保持装置10は、保持機構部11、近接センサ12、光電センサ13、取出しスイッチ14、入出力部15、及び制御部16を備え、表示装置20とともに保持システムを構成する。
【0034】
保持機構部11は、載置面SFに載置された携帯装置30を側面から押圧して保持することで、車両40の加減速や振動による携帯装置30の載置面SFからの脱落や落下を防止する機構である。保持機構部11が携帯装置30を保持する構成及び動作は、後に詳述する。
【0035】
近接センサ12は、携帯装置30の載置面SFへの近接(接近)を検知する赤外線センサである。携帯装置30の近接を検知すると、近接センサ12は後述の制御部16へ検知信号を送信する。近接センサ12は、保持装置10の運転席寄りの箇所に設けられ、ユーザが保持装置10に携帯装置30を載置しようとしたことを検知する。なお、近接センサ12は、赤外線センサの他、電波や音波を利用して近接物を検知するセンサであってもよい。
【0036】
光電センサ13は、赤外線等を用いて携帯装置30が載置面SFに載置されたことを検知するセンサである。光電センサ13は、携帯装置30の載置を検知すると、検知信号を制御部16へ送信する。なお、光電センサ13は、赤外線センサの他、発光ダイオードを備えたフォトセンサ等であってもよい。
【0037】
取出しスイッチ14は、ユーザの操作を受け付けるスイッチ機構である。特に、取出しスイッチ14は、ユーザが携帯装置30を保持装置10から取出したい場合に、ユーザにより押下される。取出しスイッチ14がユーザに押下されると、操作信号が制御部16へ送信される。
【0038】
入出力部15は、表示装置20と接続線Lで接続され、表示装置20と各種信号の送受信を行う。
【0039】
制御部16は、CPU、RAM、及びROMを備えるマイクロコンピュータである。制御部16は、保持装置10が備える他の構成と接続され、装置全体を制御する。制御部の各種の制御機能は、ROMに予め記憶されたファームウェアとしてのプログラムに従ってCPUが演算処理を実行することにより実現される。また、制御部16は無効化命令部16a、無効化検出部16b、有効化命令部16cを備える。
【0040】
無効化命令部16aは、携帯装置30に対し、携帯装置30の備える操作部32を無効化するよう命令する。入出力部15及び表示装置20を介し、操作部32を無効化すべき旨を示す無効化信号を送信することで、無効化命令部16aは、携帯装置30に対して操作部32を無効化するよう命令する。なお、操作部32については後に詳述する。
【0041】
無効化検出部16bは、携帯装置30の操作部32が無効化されたことを検出する。携帯装置30が送信する信号である、操作部32が無効化された旨を示す無効完了信号を受信することで、操作部32が無効化されたことを検出する。
【0042】
有効化命令部16cは、携帯装置30に対し、操作部32を有効化するよう命令する。入出力部15及び表示装置20を介し、操作部32を有効化すべき旨を示す有効化信号を送信することで、有効化命令部16cは、携帯装置30に対して操作部32を有効化するよう命令する。
【0043】
次に、表示装置20の構成について説明する。表示装置20は、表示部21、スピーカ22、通信部23、入出力部24、及び制御部25を備え、保持装置10とともに保持システムを構成する。
【0044】
表示部21は、文字や地図等を表示し、車両40に乗車したユーザに各種情報を視覚的に提示する液晶等のディスプレイである。
【0045】
スピーカ22は、音声を出力し、ユーザに対して経路案内等の音声情報を報知する。なお、音声の出力は、車両40に設置されたスピーカを利用してもよい。
【0046】
通信部23は、無線通信技術を利用した通信機能を備え、アンテナを介して他の通信装置との間でデータ通信を行う。この通信部23により、表示装置20は携帯装置30との間で各種信号の送受信を行うことが可能となる。
【0047】
入出力部24は、保持装置10と接続線Lで接続され、保持装置10と各種信号の送受信を行う。
【0048】
制御部25は、CPU、RAM、及びROMを備えるマイクロコンピュータである。制御部25は、表示装置20が備える他の構成と接続され、装置全体を制御する。制御部の各種の制御機能は、ROMに予め記憶されたファームウェアとしてのプログラムに従い、CPUが演算処理を実行することにより実現される。
【0049】
次に、携帯装置30の構成について説明する。携帯装置30は、表示部31、操作部32、通信部33、記憶部34、及び制御部35を備え、保持システム100とともに通信システム200を構成する。
【0050】
表示部31は、文字や画像等を表示し、携帯装置30のユーザに各種情報を視覚的に提示する液晶等のディスプレイである。
【0051】
操作部32は、携帯装置30の側面に配置され、ユーザの操作を受け付ける物理的なスイッチ機構である。すなわち、ユーザが携帯装置30を操作する際に、押圧するスイッチやボタン(いわゆる、押しボタン等)である。例えば、電源ボタンやマナーモード設定ボタンである。また、操作部32はユーザにより操作されると操作信号を制御部35へ送信する。なお、操作部32は、タッチパネルでもよく、携帯装置30の外部からユーザによる押圧や、接触、近接により操作される操作部であればよい。
【0052】
通信部33は、無線通信技術を利用した通信機能を備え、アンテナを介して表示装置20との間で各種信号の送受信を行う。
【0053】
記憶部34は、電子的データを記憶する不揮発性のメモリである。例えば、フラッシュメモリやEEPROMである。また、記憶部34はプログラム34aを記憶している。
【0054】
プログラム34aは、次に説明する制御部35により読み出され、制御部35が携帯装置30の各機能を制御するために実行される、いわゆるシステム・ソフトウェアである。また、プログラム34aは、システム・ソフトウェアのほか、携帯装置30で実行されるアプリケーション・ソフトウェアも含まれる。例えば、ナビゲーションや音楽再生、ゲーム、燃費計測、車両制御情報(エンジン回転数、ステアリング舵角、ブレーキペダルのストローク量など)の表示機能である。
【0055】
制御部35は、CPU、RAM、及びROMを備えるマイクロコンピュータであり、携帯装置30の各機能を制御する。ROMに記憶されたファームウェアとしてのプログラムが実行され、各種の制御機能が実現される。制御部35は、操作部32から操作信号を受信すると操作部32に対応した処理を実行する。例えば、操作部32が電源ボタンであれば、制御部35は携帯装置30の電源の投入や遮断を行う。また、操作部32がマナーモード設定ボタンであれば、制御部35は携帯装置30のマナーモードの設定や解除を行う。制御部35は、無効化実行部35a及び有効化実行部35bを備える。
【0056】
無効化実行部35aは、操作部32を無効化する。すなわち、無効化実行部35aは、操作部32に対応した制御部35における処理の実行を禁止する。これにより、操作部32が保持機構部11により押圧された場合であっても、ユーザの意思に反して電源が遮断されたり、マナーモードに設定されることがない。また、無効化実行部35aは、操作部32を無効化すると、操作部32が無効化された旨を示す無効化実行信号を通信部33を介して表示装置20へ送信する。
【0057】
処理の実行を禁止する手法は、制御部35においてフラグによる条件判定処理を行えばよい。すなわち、操作部32に対応した処理にフラグを設定し、操作部32を無効化する際にフラグをオンする。制御部35は、処理の実行前にフラグを参照することで、フラグがオンである場合には処理を実行しない。このような手法により、操作部32の無効化を実現できる。なお、フラグの保存領域には記憶部34を利用できる。また、CPUのレジスタにフラグレジスタを設けてもよい。
【0058】
なお、操作部32の物理的な動作を阻止することにより、操作部32を無効化してもよい。この場合、操作部32の動作領域に固定部材を挿入し、操作部32の動作を固定する。なお、操作部32の動作を固定するには、固定部材を操作部32の動作領域に移動させるモータ等を携帯装置30に備えればよい。
【0059】
有効化実行部35bは、無効化実行部35aにより無効化された操作部32を有効化する。すなわち、有効化実行部35bは、無効化実行部35aによる処理の実行の禁止を解除し、操作部32に対応した制御部35における処理を実行可能とする。また、有効化実行部35bは、操作部32を有効化すると、操作部32が有効化された旨を示す有効化実行信号を通信部33を介して表示装置20へ送信する。
【0060】
処理の実行の禁止を解除する手法は、操作部32の無効化をフラグの設定により行った場合には、有効化実行部35bが操作部32を有効化する際にフラグをオフすればよい。これにより、制御部35は、処理の実行前にフラグを参照するので、フラグがオフである場合には処理を実行することができる。
【0061】
<1−3.保持機構部の構成>
保持機構部11は、保持装置10の内部に備えられ、保持レバーHL及びスライドカバーSCを駆動させて、載置面SFに載置された携帯装置30を保持する機構である。保持機構部11が携帯装置30を保持することで、車両40の加減速や振動による携帯装置30の載置面SFからの脱落や落下が防止される。以下、保持機構部11が、保持レバーHL及びスライドカバーSCにより携帯装置30を保持する動作について説明する。
【0062】
なお、以下の説明においては、方向及び向きを示す際に、適宜、図中に示す3次元のXYZ直交座標を用いる。このXYZ軸は車両40に対して固定される。ここで、X軸方向は車両40の左右方向に沿い、Y軸方向は車両40の前後方向に沿い、Z軸方向は上下方向(鉛直方向)に沿っている。以下、便宜上、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向といい、+X側を車両40の左側、+Y側を車両40の後側、+Z側を上側とする。
【0063】
まず、保持レバーHLの動作について説明する。
図5は、保持機構部11の構成を示す分解斜視図である。保持機構部11は、回転駆動力を発生するモータMOと、2つのスライドシャーシCSとを備えている。スライドシャーシCSはモータMOの回転軸と複数のギアを介して接続され、モータMOの回転により左右方向(X軸方向)に移動する。
【0064】
4つの保持レバーHLは、回転軸となる位置にそれぞれ、上下方向(Z軸方向)に延びる支持柱POを備えている。なお、保持レバーHLは、支持柱POの上部(+Z側)にあるために、載置面SFより上側(+Z側)に配置される。
【0065】
各支持柱POの下部(−Z側)には、支持柱POを回転軸として回動可能な係合レバーTLが設けられる。係合レバーTLは、保持レバーHLとともにバネにより内側に回動する向き(図中の矢印AR3の向き)に付勢され、スライドシャーシCSに当接する状態を維持する。したがって、スライドシャーシCSが左右方向(X軸方向)に移動すると、これに追従して係合レバーTLが回動し、その結果、保持レバーHLも回動する。
【0066】
この状態において、モータMOを回転駆動させると、左側のスライドシャーシCSは右側(−X側)へ移動し、右側のスライドシャーシCSは左側(+X側)へ移動する(
図5の矢印AR2)。
【0067】
スライドシャーシCSの移動により、スライドシャーシCSに係合した4つの係合レバーTLがそれぞれバネの付勢力によって内側に回動する。その結果、4つの保持レバーHLもそれぞれ内側へ回動する(
図5の矢印AR3)。このため、回動した4つの保持レバーHLが、携帯装置30の四隅に当接し、バネの付勢力によって携帯装置30の四隅を押圧する。
【0068】
次に、スライドカバーSCの動作について説明する。
図6は、保持機構部の構成を示す分解斜視図である。説明の便宜上、保持機構部11の一部を省略し、スライドカバーSCを透過して示す。
【0069】
4つの保持レバーHLの回転軸の上部にはそれぞれ、ギアGE1が設けられている。ギアGE1は、保持レバーHLの動きに連動し、矢印AR3の向きに回動する。また、ギアGE1は、ギアGE2と係合している。ギアGE2は、ギアGE1が矢印AR3の向きに回動することにより、その逆向きに回動する。また、ギアGE2は、スライドカバーSCの一部に設けられた左右方向(X軸方向)に延びるラックギアLGと係合している。
【0070】
この状態において、モータMOを回転駆動させると、ギアGE1が矢印AR3の向きに回動し、GE2がその逆向きに回動する。その結果、ラックギアLGにより、左側のスライドカバーSCは右側(−X側)へ移動し、右側のスライドカバーSCは左側(+X側)へ移動する(矢印AR4)。このため、2つのスライドカバーSCが、それぞれ携帯装置30の側方から携帯装置30に当接し、携帯装置30の両側面を挟んで押圧する。
【0071】
図7は、携帯装置と保持機構部の断面図である。図に示すように、2つのスライドカバーSCが、それぞれ携帯装置30の側方から携帯装置30に当接し、携帯装置30の両側面を挟んで押圧する。この場合、携帯装置30の右側面(−X側)には操作部32が配置されているため、右側のスライドカバーSCが、左側(+X側)へ移動すると(矢印AR4)、操作部32を押圧することとなる。
【0072】
<1−4.処理手順>
次に、保持システム100及び携帯装置30の処理手順について説明する。
図8は、保持システム100及び携帯装置30の処理手順を示すフローチャートである。
図8左方のフローチャートは保持システム100の処理手順である。また、
図8右方のフローチャートは携帯装置30の処理手順である。なお、図に示す処理は、所定の周期(例えば、1/30秒周期)で繰り返し実行される。
【0073】
まず、保持装置10の制御部16が、載置面SFに携帯装置30が近接したか否か判定する(ステップS11)。載置面SFに携帯装置30が近接する場合とは、ユーザが携帯装置30のナビゲーション画面等を表示装置20に表示させようとして、携帯装置30を載置面SFに近づけた場合である。このように携帯装置30の近接を検知することで、保持装置10は、携帯装置30が載置面SFに載置される前に、無効化信号を携帯装置30へ事前に送信することができる。載置面SFに携帯装置30が近接すると、保持装置10に備えられた近接センサ12は検知信号を制御部16へ送信する。制御部16は、近接センサ12から送信された検知信号を受信すると、載置面SFに携帯装置30が載置されたと判定する。
【0074】
制御部16は、載置面SFに携帯装置30が近接していないと判定した場合(ステップS11でNo)、載置面SFに携帯装置30が載置されたか否か判定する(ステップS12)。なお、ステップS11の携帯装置30が載置面SFへ近接したか否かの判定に加え、載置面SFに載置されたか否かも判定するのは、携帯装置30が近接センサ12の検知範囲外から載置面SFに載置される場合があるからである。すなわち、車室内は狭い空間であるため、不必要に近接センサ12が反応しないよう、センサ感度を抑制しているからである。
【0075】
制御部16が載置面SFに携帯装置30が載置されていないと判定する場合(ステップS12でNo)、保持システムの処理は終了する。携帯装置30が近接も載置もされない以上、携帯装置30の保持は必要ないからである。なおこの場合、携帯装置30も何ら処理を実行しない。
【0076】
一方、載置面SFに携帯装置30が近接したと判定された場合(ステップS11でYes)、又は、載置面SFに携帯装置30が載置されたと判定された場合(ステップS12でYes)には、無効化命令部16aは、入出力部15及び接続線Lを介し、操作部32を無効化すべき旨を示す無効化信号を表示装置20へ送信する。表示装置20の制御部25は、かかる信号を受信すると通信部23を介し、さらに無効化信号を携帯装置30へ送信する(ステップS13)。
【0077】
携帯装置30が表示装置20から無効化信号を受信すると(ステップS14)、無効化実行部35aは、操作部32を無効化する(ステップS15)。なお、操作部32を無効化するとは、前述の通り、操作部32へのユーザによる操作に対応した電気的処理やプログラムの実行を禁止することである。また、操作部32の物理的なスイッチ動作を阻止することでもよい。
【0078】
無効化実行部35aは、操作部32を無効化すると、通信部33及び表示装置20を介して無効完了信号を保持システム100の保持装置10へ送信する(ステップS16)。
【0079】
保持装置10が無効完了信号を受信すると(ステップS17)、無効化検出部16bが、携帯装置30の操作部32が無効化したことを検出する。
【0080】
操作部32の無効化が検出されると、保持装置10の制御部16は、保持機構部11を駆動して携帯装置30の保持を行う(ステップS18)。保持機構部11の駆動によりスライドカバーSCが携帯装置30の操作部32を押圧しても、既に実行されたステップS15において操作部32は無効化されているので、操作部32に対応した処理、例えば電源の遮断等が誤って実行されることはない。
【0081】
保持機構部11による携帯装置30の保持が完了すると、保持装置10の制御部16は、ユーザにより取出しスイッチ14が押下されたか否か判定する(ステップS19)。取出しスイッチ14は、前述の通り、ユーザにより押下されると、制御部16へ取出し信号を送信する。制御部16は、取出し信号の受信に応じて取出しスイッチ14が押下されたか否かを判定する。なお、ユーザが取出しスイッチ14を押下せずに載置された携帯装置30を取得した場合には、載置面SF上に携帯装置30が無いことを光電センサ13が検知する。このような場合には、光電センサ13が取出し信号を送信する。
【0082】
制御部16が、取出しスイッチ14が押下されていないと判定すると(ステップS19でNo)、保持機構部11は携帯装置30の保持状態を維持する(ステップS18)。
【0083】
一方、制御部16は、取出しスイッチ14が押下されたと判定すると(ステップS19でYes)、保持機構部11を駆動して携帯装置30の開放を行う(ステップS20)。
【0084】
携帯装置30の開放が完了すると、保持装置10の有効化命令部16cは、入出力部15及び表示装置20を介し、操作部32を有効化すべき旨を示す有効化信号を携帯装置30へ送信する(ステップS21)。
【0085】
携帯装置30が表示装置20から有効化信号を受信すると(ステップS22)、有効化実行部35bは、操作部32を有効化する(ステップS23)。なお、操作部32を有効化するとは、前述の通り、操作部32へのユーザによる操作に対応した電気的処理やプログラムの実行の禁止を解除することである。また、操作部32の機械的なスイッチ動作を阻止した場合には、かかる阻止を解除することでもよい。なお、ステップS23において操作部32を有効化しても、既に実行されたステップS20において携帯装置30はスライドカバー等の押圧から開放されているので、操作部32に対応した処理が誤って実行されることはない。
【0086】
ステップS21において有効化信号が送信されると、保持システム100の処理は終了する。また、ステップS23において操作部32が有効化されると、携帯装置30の処理は終了する。
【0087】
以上のように、保持システム100が、保持の対象とする携帯装置30の操作部32を無効化する。このため、保持システム100が操作部32を押圧しても、操作部32に対応した処理が誤って実行されることがない。また、保持システム100は、無効化信号を送信した後に携帯装置30を保持する。また、保持システム100は、携帯装置30が操作部32を無効化した後に、携帯装置30を保持する。このため、保持システム100が操作部32を押圧しても、操作部32に対応した処理が誤って実行されることを確実に防止できる。
【0088】
<2.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0089】
上記実施の形態では、操作部32は側面に配置されたスイッチであったが、必ずしも側面である必要はなく、主面に配置されたスイッチでもよい。この場合、ホルダーは、携帯装置30の主面とその裏面を押圧して挟むホルダーである。また、操作部32は携帯装置30の角部(面と面が接する箇所)に配置されたスイッチでもよい。この場合、保持レバーHLからの押圧による誤動作を有効に防止できる。
【0090】
また、上記実施の形態では、ユーザが載置面SFに載置された携帯装置30を取得する意思の有無を、取出しスイッチ14の押下により判定していたが、取出しスイッチ14と異なる構成により判定しても良い。すなわち、ユーザが載置された携帯装置30を取得するために保持装置10へ手を伸ばしたことを近接センサ12により検知してもよい。この場合、近接センサ12から取出し信号を送信すればよい。近接センサ12を利用することで、取出しスイッチ14を省略することができる。
【0091】
また、上記実施の形態では、操作部32を物理的に動作するスイッチ機構として説明したが、操作手段はタッチパネルでもよい。また、携帯装置30が有する無効化する機能は、物理的な機能でもよいし、ソフトウェアでもよい。すなわち、携帯装置30が有する無効化する機能を物理的な機能で構成する場合は、スイッチを固定し動かないようにする。一方、携帯装置30が有する無効化する機能をソフトウェアで構成する場合は、スイッチの押下に応答して実行されるプログラムを実行禁止にすればよい。
【0092】
また、上記実施の形態では、保持装置10と表示装置20とは別体の装置として説明したが、一体の装置でもよい。
【0093】
また、上記実施の形態では、保持システム100は、表示装置20を備えていたが、表示装置20を備えていなくてもよい。この場合、保持装置10が単体で、無効化信号および有効化信号を携帯装置30へ送信できるようにすればよい。
【0094】
また、上記実施の形態において、保持装置10が備える機能と説明した無効化命令部16a、無効化検出部16b及び有効化検出部16cは、表示装置20が備えていてもよい。
【0095】
また、上記実施の形態では、保持機構部11の保持動作の開始前に無効化信号を送信していたが、保持動作の開始直後に携帯装置30の操作部32を無効化してもよい。保持動作の開始後から保持完了までの間に携帯装置30の操作部32が無効化されればよいからである。この場合、保持システム100は、保持機構部11の保持動作を開始させると、直ちに保持動作を示す信号を携帯装置30へ送信する。携帯装置30は、保持システム100から送信された保持動作を示す信号の受信に応答して、操作部32を無効化すればよい。
【0096】
また、上記実施の形態では、携帯装置30は有効化信号の受信に応答して操作部32を有効化していたが、携帯装置30の開放動作を示す信号を保持システム100から送信するようにし、携帯装置30はかかる信号の受信に応答して操作部32を有効化してもよい。
【0097】
また、保持システム100により携帯装置30の保持を行った後、所定時間の間、押圧されていないスイッチがある場合、かかるスイッチを有効化して操作を可能としてもよい。保持システム100が携帯装置30の側面を押圧する場合には、主面等の側面と異なる面に備えられたスイッチは押圧されないため、保持システム100の押圧による誤動作は生じない。この場合、ユーザは有効化されたスイッチを操作できるため、携帯装置30の操作性を向上させることができる。
【0098】
また、上記実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。