特許第6062754号(P6062754)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6062754補助コア部材の製造方法及びステータの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062754
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】補助コア部材の製造方法及びステータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   H02K15/02 E
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-13348(P2013-13348)
(22)【出願日】2013年1月28日
(65)【公開番号】特開2014-147181(P2014-147181A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】小幡 健治
(72)【発明者】
【氏名】金原 良将
(72)【発明者】
【氏名】永冶 孝志
(72)【発明者】
【氏名】片井 宏史
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−220271(JP,A)
【文献】 特開2004−034117(JP,A)
【文献】 特開平04−258338(JP,A)
【文献】 特開2001−314921(JP,A)
【文献】 特開平02−111253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアのメインコア部の軸方向端面に積層される積層部と、該積層部のロータ側の端部で折り曲げられて前記ステータコアの軸方向に延出された軸方向延出部とを有する補助コア部材の製造方法であって、
前記積層部及び折り曲げ前の前記軸方向延出部を板材から打ち抜く打ち抜き工程と、
前記打ち抜き工程後、前記軸方向延出部を前記軸方向に折り曲げる折り曲げ工程と、
前記積層部と前記軸方向延出部との間の折曲部の外側面における前記積層部寄りの一部である被拘束面を拘束ダイにて拘束し、その拘束状態で前記軸方向延出部を据え込みパンチにて前記軸方向の前記折曲部側に押圧する拘束据え込み工程と
前記拘束据え込み工程後、前記積層部の反軸方向延出部側の板面と当接するダイと前記折曲部の前記被拘束面との間に隙間が存在する状態で、前記軸方向延出部を据え込みパンチにて前記軸方向の前記折曲部側に押圧する据え込み工程と
を有しており、
前記拘束ダイは、前記積層部の反軸方向延出部側の板面と当接する平坦面と、該平坦面と連なり前記折曲部の前記被拘束面を拘束する拘束円弧面を備えた凸部とを備えており、
前記拘束据え込み工程では、前記被拘束面を前記拘束ダイにて拘束した状態で前記軸方向延出部を据え込みパンチにて前記軸方向の前記折曲部側に押圧することで前記折曲部の非拘束部を変形させその変形によって肉厚部を形成し、
前記ダイにおける前記折曲部の外側面と対向する面は平面であって凸部が形成されておらず、
前記据え込み工程では、前記ダイと前記折曲部の前記肉厚部及び前記拘束据え込み工程で前記拘束円弧面に拘束されていた前記被拘束面との間に隙間が存在する状態で前記軸方向延出部を据え込みパンチにて前記軸方向の前記折曲部側に押圧することで前記折曲部の肉を前記隙間に流して前記折曲部の外側面を成形する補助コア部材の製造方法。
【請求項2】
ステータコアのメインコア部の軸方向端面に積層される積層部と、該積層部のロータ側の端部で折り曲げられて前記ステータコアの軸方向に延出された軸方向延出部とを有する補助コア部材の製造方法であって、
前記積層部及び折り曲げ前の前記軸方向延出部を板材から打ち抜く打ち抜き工程と、
前記打ち抜き工程後、前記軸方向延出部を前記軸方向に折り曲げる折り曲げ工程と、
前記積層部と前記軸方向延出部との間の折曲部の外側面における前記積層部寄りの一部である被拘束面を拘束ダイにて拘束し、その拘束状態で前記軸方向延出部を据え込みパンチにて前記軸方向の前記折曲部側に押圧する拘束据え込み工程と、
前記拘束据え込み工程後、前記積層部の反軸方向延出部側の板面と当接するダイと前記折曲部の前記被拘束面との間に隙間が存在する状態で、前記軸方向延出部を据え込みパンチにて前記軸方向の前記折曲部側に押圧する据え込み工程と
を有しており、
前記拘束ダイは、前記積層部の反軸方向延出部側の板面と当接する平坦面と、該平坦面と連なり前記折曲部の前記被拘束面を拘束する拘束円弧面を備えた凸部とを備えており、
前記拘束据え込み工程では、前記被拘束面を前記拘束ダイにて拘束した状態で前記軸方向延出部を据え込みパンチにて前記軸方向の前記折曲部側に押圧することで前記折曲部の非拘束部を変形させその変形によって肉厚部を形成し、
前記据え込み工程で用いる前記ダイは、前記積層部の反軸方向延出部側の板面と当接する平坦面と、該平坦面と連なり前記折曲部の外側面と隙間を介して対向するとともに反折曲部側に凹となる円弧面とを備え、該円弧面の曲率半径は、前記拘束ダイの前記拘束円弧面の曲率半径よりも大きく設定されており、
前記据え込み工程では、前記ダイと前記折曲部の前記肉厚部及び前記拘束据え込み工程で前記拘束円弧面に拘束されていた前記被拘束面との間に隙間が存在する状態で前記軸方向延出部を据え込みパンチにて前記軸方向の前記折曲部側に押圧することで前記折曲部の肉を前記隙間に流して前記折曲部の外側面を成形することを特徴とする補助コア部材の製造方法。
【請求項3】
請求項に記載の補助コア部材の製造方法において、
前記ダイの前記円弧面の円弧中心は、前記補助コア部材の前記折曲部の二等分線に対して前記軸方向延出部側の位置に設定されていることを特徴とする補助コア部材の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法にて製造した補助コア部材を、ステータコアのメインコア部の軸方向端面に設ける設置工程を有することを特徴とするステータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータコアに設けられる断面L字状の補助コア部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示すように、コアの軸方向端面において、コアに積層される積層部と、この積層部から軸方向外側に延びて磁石と径方向において対向する軸方向延出部を有する板材よりなる補助コア部材を備えたモータが知られている。このように磁石と径方向において対向する軸方向延出部を設けることで、ステータの軸方向の大型化を抑えつつも、磁気取り込み量を増やすことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−284679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなモータでは、補助コア部材の軸方向延出部を単に折り曲げて成形した場合、その折曲部(積層部と軸方向延出部のなす角部)の肉厚が薄くなってしまう。それにより、折曲部で磁束飽和が生じやすくなり、その結果、所望の出力向上効果を得ることが難しかった。
【0005】
そこで、この問題を解決する製法として、補助コア部材の軸方向延出部を軸方向(軸方向延出部の長手方向)に沿って折曲部側に据え込み加工(押圧)することが考えられる。この製法によれば、折曲部の外側面を略直角(ピン角)に成形することができるため、折曲部の肉厚化が可能となる。しかしながら、この製法では、据え込み加工の際に、積層部に対して板厚方向に加わる破断力(剪断力)が大きく、また、折曲部の内側が巻き込むように変形するため、折曲部に亀裂が生じやすいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、折曲部の損傷を抑えつつ肉厚化することができる補助コア部材の製造方法及びステータの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する補助コア部材の製造方法は、ステータコアのメインコア部の軸方向端面に積層される積層部と、該積層部のロータ側の端部で折り曲げられて前記ステータコアの軸方向に延出された軸方向延出部とを有する補助コア部材の製造方法であって、前記積層部及び折り曲げ前の前記軸方向延出部を板材から打ち抜く打ち抜き工程と、前記打ち抜き工程後、前記軸方向延出部を前記軸方向に折り曲げる折り曲げ工程と、前記積層部と前記軸方向延出部との間の折曲部の外側面における前記積層部寄りの一部である被拘束面を拘束ダイにて拘束し、その拘束状態で前記軸方向延出部を据え込みパンチにて前記軸方向の前記折曲部側に押圧する拘束据え込み工程と、前記拘束据え込み工程後、前記積層部の反軸方向延出部側の板面と当接するダイと前記折曲部の前記被拘束面との間に隙間が存在する状態で、前記軸方向延出部を据え込みパンチにて前記軸方向の前記折曲部側に押圧する据え込み工程とを有しており、前記拘束ダイは、前記積層部の反軸方向延出部側の板面と当接する平坦面と、該平坦面と連なり前記折曲部の前記被拘束面を拘束する拘束円弧面を備えた凸部とを備えており、前記拘束据え込み工程では、前記被拘束面を前記拘束ダイにて拘束した状態で前記軸方向延出部を据え込みパンチにて前記軸方向の前記折曲部側に押圧することで前記折曲部の非拘束部を変形させその変形によって肉厚部を形成し、前記ダイにおける前記折曲部の外側面と対向する面は平面であって凸部が形成されておらず、前記据え込み工程では、前記ダイと前記折曲部の前記肉厚部及び前記拘束据え込み工程で前記拘束円弧面に拘束されていた前記被拘束面との間に隙間が存在する状態で前記軸方向延出部を据え込みパンチにて前記軸方向の前記折曲部側に押圧することで前記折曲部の肉を前記隙間に流して前記折曲部の外側面を成形する
【0008】
この方法及び以下に記載する方法によれば、据え込みパンチによる据え込み加工の際に、折曲部の外側面における積層部寄りの一部を拘束ダイにて拘束するため、拘束ダイの拘束(押さえ)によって折曲部の内側の変形量が抑えられ、折曲部の内側における巻き込みの発生が抑えられる。また、拘束ダイの拘束によって、据え込みパンチの押圧時に積層部に対して板厚方向に加わる破断力(剪断力)が小さく抑えられる。そして、据え込みパンチによる押圧によって、折曲部における拘束ダイにて拘束されていない部位(軸方向延出部寄りの部位)が、据え込みパンチの押圧によって変形して肉厚となる。このように、本製造方法によれば、折曲部の損傷を抑えつつ肉厚化することができる。
【0010】
この方法及び以下に記載する方法によれば、拘束円弧面によって折曲部の被拘束面を隙間なく拘束することが可能となるため、折曲部の損傷をより確実に抑えることができる
【0011】
この方法及び以下に記載する方法によれば、拘束据え込み工程の後に、折曲部の被拘束面を拘束しない状態で据え込み工程を行うため、折曲部のより広範囲を肉厚化することが可能となる。なお、拘束据え込み工程で折曲部の一部(軸方向延出部寄りの部位)を肉厚としているため、その後の据え込み工程での折曲部とダイとの間の隙間は小さくなる。このため、据え込み工程での折曲部の変形量が少なくなるため、折曲部の損傷が抑えられる。
【0012】
上記の方法によれば、据え込み工程によって折曲部の外側面を略直角に成形することが可能となるため、折曲部のより一層の肉厚化が可能となる。
【0013】
上記課題を解決する補助コア部材の製造方法ステータコアのメインコア部の軸方向端面に積層される積層部と、該積層部のロータ側の端部で折り曲げられて前記ステータコアの軸方向に延出された軸方向延出部とを有する補助コア部材の製造方法であって、前記積層部及び折り曲げ前の前記軸方向延出部を板材から打ち抜く打ち抜き工程と、前記打ち抜き工程後、前記軸方向延出部を前記軸方向に折り曲げる折り曲げ工程と、前記積層部と前記軸方向延出部との間の折曲部の外側面における前記積層部寄りの一部である被拘束面を拘束ダイにて拘束し、その拘束状態で前記軸方向延出部を据え込みパンチにて前記軸方向の前記折曲部側に押圧する拘束据え込み工程と、前記拘束据え込み工程後、前記積層部の反軸方向延出部側の板面と当接するダイと前記折曲部の前記被拘束面との間に隙間が存在する状態で、前記軸方向延出部を据え込みパンチにて前記軸方向の前記折曲部側に押圧する据え込み工程とを有しており、前記拘束ダイは、前記積層部の反軸方向延出部側の板面と当接する平坦面と、該平坦面と連なり前記折曲部の前記被拘束面を拘束する拘束円弧面を備えた凸部とを備えており、前記拘束据え込み工程では、前記被拘束面を前記拘束ダイにて拘束した状態で前記軸方向延出部を据え込みパンチにて前記軸方向の前記折曲部側に押圧することで前記折曲部の非拘束部を変形させその変形によって肉厚部を形成し、前記据え込み工程で用いる前記ダイは、前記積層部の反軸方向延出部側の板面と当接する平坦面と、該平坦面と連なり前記折曲部の外側面と隙間を介して対向するとともに反折曲部側に凹となる円弧面とを備え、該円弧面の曲率半径は、前記拘束ダイの前記拘束円弧面の曲率半径よりも大きく設定されており、前記据え込み工程では、前記ダイと前記折曲部の前記肉厚部及び前記拘束据え込み工程で前記拘束円弧面に拘束されていた前記被拘束面との間に隙間が存在する状態で前記軸方向延出部を据え込みパンチにて前記軸方向の前記折曲部側に押圧することで前記折曲部の肉を前記隙間に流して前記折曲部の外側面を成形する
【0014】
この方法によれば、据え込み工程において、折曲部の外側面をダイの円弧面に沿った円弧形状に成形しつつ折曲部が肉厚化されるため、折曲部の損傷をより抑えることが可能となる。
【0015】
上記の補助コア部材の製造方法において、前記ダイの前記円弧面の円弧中心は、前記補助コア部材の前記折曲部の二等分線に対して前記軸方向延出部側の位置に設定されていることが好ましい。
【0016】
この方法によれば、軸方向延出部におけるロータとの対向面の軸方向長さを確保しつつ、折曲部を肉厚とすることが可能となる。これにより、ロータからの磁気取り込み量を増加させることができる補助コア部材を成形することが可能となる。
【0017】
また、上記課題を解決するステータの製造方法は、上記の製造方法にて製造した補助コア部材を、ステータコアのメインコア部の軸方向端面に設ける設置工程を有する。
この方法によれば、補助コア部材の損傷が抑えられ、その補助コア部材によって出力向上が図られたステータを製造することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の補助コア部材の製造方法及びステータの製造方法によれば、折曲部の損傷を抑えつつ肉厚化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】モータの模式断面図である。
図2】ステータの平面図である。
図3】ステータコアの分解斜視図である。
図4】ステータを部分的に拡大して示す平面図である。
図5】(a)は実施形態の磁性板のロータ対向部を説明するための正面図であり、(b)は同形態の磁性板の断面図である。
図6】モータを部分的に拡大して示す模式断面図である。
図7】同形態のセグメント導体の屈曲部位を示す模式断面図である。
図8】同形態の磁性板の製造方法における折り曲げ工程を説明するための模式図である。
図9】同形態の磁性板の製造方法における拘束据え込み工程を説明するための模式図である。
図10】同形態の磁性板の製造方法における拘束据え込み工程を説明するための模式図である。
図11】同形態の磁性板の製造方法における据え込み工程を説明するための模式図である。
図12】同形態の磁性板の製造方法における据え込み工程を説明するための模式図である。
図13】別例の据え込み工程を説明するための模式図である。
図14】別例の据え込み工程を説明するための模式図である。
図15】別例の据え込み工程によって成形された磁性板を示す断面図である。
図16】別例の据え込み工程を説明するための模式図である。
図17】別例の据え込み工程を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、一実施形態を図1図12に従って説明する。
図1に示すように、モータ10は、リヤフレーム11とフロントフレーム12によってモータ10の軸方向に挟持された環状のステータ13の内側にロータ14が配置されて構成されている。なお、モータ10の軸方向出力側(後述するジョイント63側)を保持するフレームをフロントフレーム12とし、軸方向反出力側を保持するフレームをリヤフレーム11としている。各フレーム11,12は、互いに離間しないようにステータ13の外周側の位置でスルーボルト15にて締結固定されている。
【0024】
[フレーム]
リヤフレーム11及びフロントフレーム12は、アルミニウムや鋼鉄等の金属材料にて形成されている。リヤフレーム11は、略円盤状の本体部11aと、本体部11aの外周縁からモータ10の軸方向に延出された円筒状のステータ保持部11bとを備えている。一方のフロントフレーム12も略同様の構成であり、略円盤状の本体部12aと、本体部12aの外周縁からモータ10の軸方向に延出された円環状のステータ保持部12bとを備えている。各フレーム11,12の本体部11a,12aの径方向中央には、同軸上に配置された軸受16,17が保持され、その軸受16,17には、ロータ14の回転軸18が軸支されている。
【0025】
各フレーム11,12の本体部11a,12aには、その外周縁の複数箇所(例えば2箇所)から径方向外側に延びる締結固定部11c,12cが形成されている。なお、図1では、周方向に複数設けられた締結固定部11c,12cをそれぞれ1つのみ図示している。リヤフレーム11側の締結固定部11cとフロントフレーム12側の締結固定部12cは互いに同数設けられるとともに、回転軸18の軸方向に互いに対向している。そして、それぞれ対をなす締結固定部11c,12cがスルーボルト15によって締結固定されることで、各フレーム11,12がステータ13を挟持する状態で互いに固定されるようになっている。
【0026】
[ステータ]
ステータ13は、各フレーム11,12のステータ保持部11b,12bに挟持された円環状のステータコア21と、そのステータコア21に装着された電機子巻線22とを備える。
【0027】
図2及び図4に示すように、ステータコア21は、その外周を構成する円筒部23と、その円筒部23から径方向内側に延出された複数(本実施形態では60個)のティース24とからなる。各ティース24には、径方向内側に向かうにつれて周方向幅が狭くなるテーパ状をなす径方向延出部24aが形成され、その各径方向延出部24aの先端部(径方向内側端部)には、該径方向延出部24aよりも周方向幅が広い幅広部24bが形成されている。径方向延出部24aの周方向両端面は、回転軸18の軸線と平行な平面状をなすとともに、周方向に隣り合う周方向端面同士が平行をなしている。
【0028】
各ティース24の間の空間は、電機子巻線22を構成するセグメント導体25を収容する部位であるスロットSとして構成される。つまり、スロットSは、ティース24の周方向側面とティース24間における円筒部23の内周面とから構成されている。本実施形態では、ティース24は、周方向に隣り合う径方向延出部24aの周方向端面同士が平行となるように形成されるため、各スロットSが軸方向視で略矩形状をなすように構成されている。また、各スロットSは、ステータコア21を軸方向に沿って貫通するとともに、径方向内側に開口する形状をなしている。なお、ステータコア21に形成されたスロットSの個数は、ティース24と同数(本実施形態では60個)である。
【0029】
[ステータコア]
上記のような形状を有するステータコア21は、複数の鋼板を積層して一体化することによって成形されている。
【0030】
詳述すると、図3に示すように、ステータコア21は、鋼板をプレス加工により打ち抜いて形成した複数枚のコアシート30を軸方向に積層してかしめて一体化することにより形成されたメインコア部31と、メインコア部31の軸方向両端部にそれぞれ固定された磁性板40(補助コア部材)とから構成されている。なお、本実施形態では、磁性板40は、同形状のものがメインコア部31の軸方向両側に1枚ずつ設けられている。
【0031】
メインコア部31の各コアシート30は同一形状をなし、板面が軸方向と直交するように配置されている。この各コアシート30は、円環状をなす環状部32と、その環状部32から径方向内側に延びる複数のティース構成部33を有している。また、各コアシート30は、ティース構成部33が軸方向沿って重なるように積層されている。
【0032】
図2図4に示すように、磁性板40は、プレス加工により成形されるものであり、メインコア部31の軸方向両端のコアシート30に積層された板状の積層部41を有している。積層部41は、メインコア部31のコアシート30に対して平行且つ同軸となるように積層されている。また、磁性板40は、その板厚T1がメインコア部31のコアシート30の板厚T2よりも厚く設定されている(図1参照)。
【0033】
積層部41には、コアシート30の環状部32と軸方向に重なる円環状をなす環状部42と、その環状部42から径方向内側に延びる複数のティース構成部43とが形成されている。積層部41のティース構成部43は、軸方向視においてコアシート30のティース構成部33と同形状をなしている。磁性板40は、積層部41の環状部42及びティース構成部43が、コアシート30の環状部32及びティース構成部33とそれぞれ軸方向に重なるように設けられている。このコアシート30と磁性板40の各環状部32,42がステータコア21の円筒部23を構成し、各ティース構成部33,43がステータコア21のティース24を構成している。また、積層部41の環状部42の外径は、コアシート30の環状部32の外径よりも小さく形成されている(図2参照)。これにより、軸方向視においてコアシート30の環状部32の外周縁全体が露出するように構成されている。また、各コアシート30と各磁性板40は、それらの各環状部32,42に設けられたかしめ部21aにて積層状態で一体に固定(ダボかしめ)されている。
【0034】
磁性板40のティース構成部43の径方向内側端部(ロータ14側端部)には、軸方向外側(反メインコア部側)に延出されたロータ対向部44が形成されている。ロータ対向部44は、ティース構成部43の径方向内側端部を軸方向外側に直角に屈曲することで形成されている。つまり、磁性板40は、軸方向外側に屈曲形成されたロータ対向部44で板面が径方向を向くように形成されている。なお、ロータ対向部44の内径面は、メインコア部31(コアシート30)の内径と同径となるように曲面形成されている。また、積層部41の軸方向厚みとロータ対向部44の径方向厚みは、磁性板40の板厚T1によって決まり、それらは互いに等しい厚みとなっている。また、ロータ対向部44とティース構成部43との間の折曲部位(ティース構成部43とロータ対向部44のなす角部)の肉厚は、ロータ対向部44の板厚(つまり、磁性板40の板厚T1)よりも厚くなるように形成されている。
【0035】
図5(a)に示すように、ロータ対向部44は、周方向両側に周方向側部としての側縁部44aを有する。この側縁部44aは、回転軸18の軸線方向に対して周方向に傾斜する形状とされる。側縁部44aは、先端側(反メインコア部側)ほどロータ対向部44の周方向中央側に近づくように傾斜されている。また、各側縁部44aは、ロータ対向部44を径方向から見たときに、ロータ対向部44の周方向の中心線に対して左右対称となるように形成されている。このため、ロータ対向部44は、軸方向基端側(軸方向内側)の周方向幅がティース構成部43の先端部(幅広部24b)の周方向幅と等しく形成されるとともに、軸方向先端側(軸方向外側)ほど周方向幅が狭く、径方向視で台形形状をなすように形成される。なお、本実施形態の各ロータ対向部44は全て同形状をなすように形成される。
【0036】
図5(b)に示すように、磁性板40において、ティース構成部43とロータ対向部44との間の折曲部45(ティース構成部43とロータ対向部44のなす角部)は直角に形成されている。この折曲部45の肉厚T3(折曲部45の二等分線Lに沿った厚みであって、折曲部45の内側角部の中心から外側角部の中心までの長さ)は、積層部41及びロータ対向部44の板厚(つまり、磁性板40の板厚T1)よりも厚く形成されている。これにより、折曲部45での磁気飽和が生じにくくなっている。
【0037】
図4に示すように、ステータコア21の各スロットS内には、絶縁性の樹脂材料から形成されたシート状の絶縁部材47が装着されている。各絶縁部材47は、スロットSの径方向外側端部で折り返された状態で設けられ、スロットSの内周面に沿うように形成されている。また、各絶縁部材47はスロットSに軸方向に挿入されるものであり、絶縁部材47の軸方向長さは、スロットSの軸方向長さよりも長く設定されている。つまり、絶縁部材47の軸方向両端部は、スロットSの軸方向両端部から外部に突出している。
【0038】
[電機子巻線]
図4及び図6に示すように、上記したステータコア21に装着された電機子巻線22は、複数のセグメント導体25(セグメントコンダクタ)にて構成されている。各セグメント導体25は、所定のもの同士で接続されて、3相(U相、V相、W相)Y結線の電機子巻線22を構成している。また、各セグメント導体25は、同一断面形状(断面矩形状)の線材から形成されるものである。
【0039】
各セグメント導体25は、スロットS内に挿通される部位である一対の直線部51と、スロットSから軸方向一方側(リヤフレーム11側)に突出する第1突出部52と、スロットSから軸方向他方側(フロントフレーム12側)に突出する第2突出部53とを有し、第1突出部52側で折り返される略U字状をなしている。第1及び第2突出部52,53は、軸方向両側のロータ対向部44と径方向に間隙を介してそれぞれ対向している。
【0040】
一対の直線部51は、径方向位置が互いにずれるように形成されるとともに、周方向位置の異なるスロットSにそれぞれ挿入される。また、直線部51はスロットS内において絶縁部材47の内側に配置されている(図4参照)。この絶縁部材47によってセグメント導体25とステータコア21とが電気的に絶縁されている。
【0041】
セグメント導体25は、各スロットS内において直線部51が径方向に4つ並ぶように配置されている。そして、セグメント導体25には、2つの直線部51が径方向内側から1つ目と4つ目に配置されるもの(図6において外側に図示されたセグメント導体25x)と、2つの直線部51が径方向内側から2つ目と3つ目に配置されるもの(図6において内側に図示されたセグメント導体25y)の2種類が用いられている。なお、主にこの2種類のセグメント導体25x,25yから電機子巻線22が構成されるが、例えば電機子巻線22の端部(電源接続端子や中性点接続端子等)を構成するセグメント導体には、別種類のもの(例えば、直線部が1つだけのセグメント導体)が用いられる。
【0042】
各直線部51は、スロットSを軸方向に貫通してフロントフレーム12側に突出した第2突出部53が、周方向に屈曲されて他のセグメント導体25の第2突出部53や、特殊な種類のセグメント導体と溶接等により電気的に接続され、これにより、各セグメント導体25によって電機子巻線22が構成される。
【0043】
また、セグメント導体25の第1及び第2突出部52,53は、スロットSの軸方向両端で直線部51に対して周方向に屈曲されている。ここで、第1突出部52が周方向に屈曲されたスロットSの軸方向端部付近の拡大図を図7に示す。同図に示すように、スロットSの軸方向一端を構成する磁性板40(積層部41)のティース構成部43の角部には、円弧状に面取りされた面取り部43aが形成されている。また、第2突出部53側の磁性板40にも同様に、スロットSの軸方向他端を構成するティース構成部43の角部に面取り部43aが形成されている。面取り部43aは、第1及び第2突出部52,53の周方向への屈曲形状に沿う円弧状をなし、その屈曲部位に対して広い面積で接触するようになっている。これにより、第1及び第2突出部52,53の周方向の屈曲部位に対して、ティース構成部43の角部から局所的に力が加わることが抑制され、その屈曲部位の損傷が抑制されるようになっている。また同様に、第1及び第2突出部52,53の屈曲部位と面取り部43aとに挟まれた絶縁部材47の損傷も抑制されている。また、本実施形態では、磁性板40の板厚T1(ティース構成部43の板厚)がコアシート30の板厚T2よりも厚いため、面取り部43aの曲率半径Rmをコアシート30の板厚T2よりも大きく設定可能となっている。これにより、曲率半径Rmが大きい面取り部43aによってセグメント導体25の屈曲部位の損傷がより好適に抑制されるようになっている。
【0044】
また、図6に示すように、セグメント導体25の折り返し部25aが形成された第1突出部52は、径方向外側に傾く(膨らむ)ように形成されている。これにより、折り返し部25aがスロットSの径方向中央よりも径方向外側に偏倚するとともに、第1突出部52の径方向内側端部52aがスロットSの径方向内側端部Saよりも径方向外側に位置するように構成される。これにより、第1突出部52と磁性板40のロータ対向部44との径方向間の間隙が広く構成されるため、第1突出部52とロータ対向部44との干渉がより好適に抑制されている。その結果、セグメント導体25とロータ対向部44との絶縁性がより好適に確保されるだけでなく、第1突出部52との干渉によってロータ対向部44が変形することによるコギングトルクの増大や出力の低下が抑制されている。
【0045】
一方、セグメント導体25の第2突出部53には、折り返し部が形成されず、その第2突出部53同士が溶接接合される構成のため、第2突出部53とロータ対向部44との間隙を容易に確保できるようになっている。また、第2突出部53の溶接部位は、フロントフレーム12側のロータ対向部44の軸方向先端部よりも軸方向外側(反メインコア部側)に形成されている。これにより、第2突出部53の溶接作業においてロータ対向部44が邪魔になりにくく、作業性が向上されるとともに、第2突出部53とロータ対向部44との絶縁性をより確実に確保することが可能となっている。なお、第2突出部53の溶接部位を、フロントフレーム12側のロータ対向部44の軸方向先端部よりも軸方向内側(メインコア部31側)に設定してもよく、この場合には、第2突出部53がロータ対向部44よりも軸方向外側に突出しないように構成できるため、ステータ13の軸方向の小型化に寄与できる。
【0046】
[ステータコアの保持構成]
図1に示すように、上記構成のステータ13を保持する各フレーム11,12のステータ保持部11b,12bは、各フレーム11,12の本体部11a,12aから軸方向に延出する円筒状をなしている。ステータ保持部11b,12bの外径は、ステータ保持部11b,12bのメインコア部31の外径よりも大きく形成されている。また、ステータ保持部11b,12bの内径は、メインコア部31の外径よりも小さく、且つ、磁性板40(積層部41)の外径よりも大きく形成されている。
【0047】
図6に示すように、ステータ保持部11b,12bの先端部(軸方向内側端部)には、外嵌部11d,12dがそれぞれ形成されている。各外嵌部11d,12dは、ステータ保持部11b,12bの内径を大きくすることにより径方向の厚さが薄く形成された部分であり、円環状をなしている。外嵌部11d,12dの内径は、メインコア部31の外径と略等しく形成されており、外嵌部11d,12dの径方向内側には、軸方向と直交する平面状をなす当接面11e,12eがそれぞれ形成されている。
【0048】
ステータコア21において、磁性板40の積層部41の外周側でメインコア部31の外周縁が軸方向両側に露出された部位(露出面31a)が各フレーム11,12のステータ保持部11b,12bに挟持されている。詳しくは、ステータ保持部11b,12bは、外嵌部11d,12dがメインコア部31の軸方向両端の外周縁にそれぞれ外嵌されるとともに、当接面11e,12eがメインコア部31の軸方向両側の露出面31aにそれぞれ軸方向に当接している。この状態で、各フレーム11,12が前記スルーボルト15によって互いに連結固定されることで、メインコア部31がステータ保持部11b,12bによって軸方向に挟持される。また、ステータ保持部11b,12bの先端部の間からは、ステータコア21のメインコア部31の外周面が外部に露出されている。
【0049】
[ロータ]
図1に示すように、ロータ14は、軸受16,17に軸支された回転軸18と、回転軸18に一体回転可能に固定された円筒状のロータコア61と、ロータコア61の外周面に固着された複数(本実施形態では10個)の界磁磁石62とから構成されている。各界磁磁石62は、フェライト磁石よりなり、磁極(N極とS極)が周方向で交互に異なるように配置されている。ロータコア61及びロータ14の界磁磁石62の軸方向長さは、ステータコア21の内周端部の軸方向長さ(即ち、一方の磁性板40のロータ対向部44の先端から他方の磁性板40のロータ対向部44の先端までの長さ)と略等しく設定されている。即ち、界磁磁石62は、ステータコア21のメインコア部31の内周面と各磁性板40のロータ対向部44に対して径方向に対向している。
【0050】
回転軸18の先端部(図1において左側の端部)は、フロントフレーム12を貫通してモータ10の外部に突出している。そして、この回転軸18の先端部には、該回転軸18と一体回転するジョイント63が設けられている。このジョイント63は図示しない外部装置に連結され、その外部装置に回転軸18の回転を伝達する。
【0051】
次に、本実施形態の作用について説明する。
ステータ13の電機子巻線22への通電により発生した磁界とロータ14の界磁磁石62の磁界とが、メインコア部31の内周面と各磁性板40のロータ対向部44を介して作用し合い、ロータ14が回転する。このロータ対向部44は、ステータコア21のティース24のロータ14側端部(径方向内側端部)から軸方向に延びるように形成されているため、ステータコア21のロータ14との対向面(ステータコア21の内周面)の軸方向長さを確保して高出力化を図ることが可能となっている。そして、各ロータ対向部44の外周側の空間には、スロットSから軸方向両側に突出するセグメント導体25の第1及び第2突出部52,53が配置されており、その第1及び第2突出部52,53が軸方向両側のロータ対向部44と径方向にそれぞれ対向するように構成されている。このため、磁性板40のロータ対向部44によって出力を確保しつつも、ステータ13の軸方向長さ(本実施形態では、第1突出部52の軸端から第2突出部53までの長さ)を抑えることが可能となっている。
【0052】
更に、本実施形態では、磁性板40の折曲部45の肉厚T3が、積層部41及びロータ対向部44の板厚(磁性板40の板厚T1と同等)よりも厚く形成されているため、折曲部45での磁気飽和が生じにくくなっている。また、磁性板40の板厚T1がコアシート30の板厚T2よりも厚く設定されているため、磁性板40での磁気飽和が更に生じにくく、磁性板40を介して磁気を取り込みやすくなっている。また、ロータ対向部44は、径方向視で台形形状をなすため、周方向に磁気的にスキューされた形状とされる。これにより、コギングトルクを低減されるようになっている。
【0053】
また、本実施形態では、ロータ対向部44によって出力を確保しつつも、ステータコア21のメインコア部31の積厚が抑えられるため、メインコア部31の積厚の変動(公差)が少なく抑えられる。これにより、メインコア部31を挟む各フレーム11,12の軸方向の間隔の変動が抑えられ、ひいては、モータ10全体の軸方向寸法の変動が抑えられるようになっている。なお、磁性板40は、その板厚T1が厚いほどその変動(公差)が大きくなるが、本実施形態のように、各フレーム11,12がメインコア部31のみを挟持して磁性板40とは軸方向に当接しないように構成することで、モータ10全体の軸方向寸法の変動がより抑えられるようになっている。
【0054】
また、セグメント導体25は、溶接接合された第2突出部53だけでなく、湾曲成形された折り返し部25aを有する第1突出部52も、スロットSの径方向内側端部Saよりも径方向外側(反ロータ対向部側)に位置するように構成されている。このため、スロットSをロータ対向部44から径方向外側に離した構成としなくても、セグメント導体25の第1及び第2突出部52,53とロータ対向部44との間隙を確保することができるようになっている。これにより、ステータコア21の径方向への大型化を抑えつつも、セグメント導体25の第1及び第2突出部52,53とロータ対向部44との干渉を抑えることが可能となっている。
【0055】
また、電機子巻線22にセグメント導体25を用いた構成では、セグメント導体25を収容するスロットSの数(ティース24の数)が多く、ティース24の周方向幅が狭くなる傾向がある。このため、ティース24におけるロータ14との対向面(径方向内側端面)の面積を広くして出力を向上させるためには、本実施形態のように、ロータ対向部44によってティース24の径方向内側端面を軸方向に延ばす構成が適している。
【0056】
[磁性板(補助コア部材)の製造方法]
次に、本実施形態の磁性板40の製造方法について説明する。
まず、ロータ対向部44を折曲成形する前の磁性板40を鋼板から打ち抜く(打ち抜き工程)。
【0057】
次に、図8に示すように、前記打ち抜き工程で打ち抜いた磁性板40のロータ対向部44を、積層部41に対して直角(90度)に折り曲げる(折り曲げ工程)。このとき、ロータ対向部44と積層部41との間の折曲部45の肉厚は、ロータ対向部44の板厚(つまり、磁性板40の板厚T1)に比べて若干薄くなる。
【0058】
次に、図9及び図10に示すように、第1の金型71を用いて拘束据え込み工程を行う。
第1の金型71は、拘束ダイ72、ワーククランプ73及び据え込みパンチ74を備えている。拘束ダイ72は、磁性板40の積層部41の反ロータ対向部側に配置される。ワーククランプ73は、拘束ダイ72とで積層部41を板面方向(ロータ対向部44の延出方向)に挟むように配置される。そして、据え込みパンチ74は、ワーククランプ73とでロータ対向部44を板面方向(径方向)に挟むように、ワーククランプ73及び拘束ダイ72の側方に配置される。
【0059】
拘束ダイ72は、磁性板40の積層部41が載置される平坦面75と、その平坦面75から上方(ワーククランプ73側)に突出する第1拘束部76及び第2拘束部77とを有している。第1拘束部76は、平坦面75の径方向外側端部に形成されている。平坦面75に磁性板40の積層部41が載置された状態において、第1拘束部76は、積層部41の外周面に対して径方向に当接される。
【0060】
第2拘束部77は、平坦面75の径方向内側端部に形成されている。第2拘束部77には、平坦面75と連なる拘束円弧面77aが形成されている。拘束円弧面77aの円弧中心P1は、平坦面75に載置された磁性板40の折曲部45の二等分線L上に位置している。また、拘束円弧面77aの曲率半径R1は、拘束円弧面77aの最下点が平坦面75上に位置し、かつ、拘束円弧面77aが折曲部45の外側面の一部に沿うように設定されている。
【0061】
また、第2拘束部77の上面には、平坦面75と平行をなす平行面77bが形成されている。平行面77bは、拘束円弧面77aと連なるように形成されるとともに、拘束ダイ72の径方向内側端面72aまで延びている。なお、平行面77bと拘束円弧面77aとのなす角部は、円弧状に面取りされている。
【0062】
図9に示すように、第1の金型71を用いた拘束据え込み工程では、まず、前記折り曲げ工程でロータ対向部44を直角に屈曲した磁性板40の積層部41を、拘束ダイ72の平坦面75に載置し、ワーククランプ73及び据え込みパンチ74を所定位置に配置する。このとき、ワーククランプ73は、積層部41の折曲内側端面(軸方向におけるロータ対向部44側の板面)と、ロータ対向部44の折曲内側端面(積層部41側の板面)と、折曲部45の内側面とに密着する。また、据え込みパンチ74は、その内側面74aでロータ対向部44の折曲外側端面及び拘束ダイ72の径方向内側端面72aと密着するとともに、押圧面74bでロータ対向部44の先端面44bに対して軸方向(ロータ対向部44の長手方向)に密着する。
【0063】
拘束ダイ72の第1拘束部76は、平坦面75に載置された積層部41の外周面に対して径方向に密着する。そして、平坦面75と連なる拘束円弧面77aは、折曲部45の外側面における積層部41寄りの一部である被拘束面45aに対して隙間なく密着されている。この被拘束面45aは、折曲部45の外側面において、前記二等分線Lより積層部41側の範囲に設定されている。つまり、拘束円弧面77aは、折曲部45の積層部41側の半分を拘束する。また、据え込みパンチ74の加圧前の状態では、第2拘束部77の平行面77b及び据え込みパンチ74の内側面74aで構成される角部と、折曲部45の外側面における被拘束面45a以外の箇所(拘束円弧面77aによって拘束されていない非拘束部45b)との間には隙間G1が存在する。つまり、第2拘束部77の平行面77bは、折曲部45の非拘束部45bと隙間G1を介して対向している。
【0064】
上記のように、拘束円弧面77aで折曲部45を部分的に拘束した状態で、据え込みパンチ74を下方(拘束ダイ72側)に加圧すると、ロータ対向部44の先端面44bが据え込みパンチ74の押圧面74bにてロータ対向部44の長手方向(磁性板40の軸方向)の折曲部45側に押圧される。
【0065】
すると、図10に示すように、ロータ対向部44が折曲部45側にスライドするように変形するとともに、折曲部45の非拘束部45bの肉が前記隙間G1に流れ込んで、第2拘束部77の平行面77b及び据え込みパンチ74の内側面74aで構成される角部の直角形状に略倣った形状に変形する。このとき、折曲部45の被拘束面45aが拘束円弧面77aにて隙間なく拘束されているため、折曲部45の変形はロータ対向部44側の約半分に留まる。そして、折曲部45には、非拘束部45bの変形によって肉厚部45cが形成され、その肉厚部45cの肉厚T4は、ロータ対向部44の板厚(つまり、磁性板40の板厚T1)よりも厚くなっている。また、ロータ対向部44の折曲外側端面(ロータ14との対向面)における軸方向に沿う部位の長さが長くなる。
【0066】
次に、図11に示すように、第2の金型81を用いて据え込み工程を行う。
第2の金型81は、ダイ82、ワーククランプ83及び据え込みパンチ84を備えており、それらは第1の金型71の拘束ダイ72、ワーククランプ73及び据え込みパンチ74と同様の位置に配置される。また、ワーククランプ83及び据え込みパンチ84は、前記第1の金型71のワーククランプ73及び据え込みパンチ84と同様の構成である。
【0067】
ダイ82は、磁性板40の積層部41が載置される平坦面85と、その平坦面85から上方に突出する外周拘束部86とを有している。外周拘束部86は、上記拘束ダイ72の第1拘束部76と同様の構成であり、平坦面85の径方向外側端部に形成されている。平坦面85に磁性板40の積層部41が載置された状態において、外周拘束部86は、積層部41の外周面に対して径方向に密着する。また、ダイ82の平坦面85の径方向内周側には、上記拘束ダイ72の第2拘束部77のような凸部が形成されておらず、平坦面85の平面形状は、外周拘束部86の内周側からダイ82の径方向内側端面82aまで続いている。
【0068】
第2の金型81を用いた据え込み工程では、まず、前述の拘束据え込み加工を施した磁性板40の積層部41を、ダイ82の平坦面85に載置し、ワーククランプ83及び据え込みパンチ84を所定位置に配置する。このとき、ワーククランプ83は、積層部41の折曲内側端面(軸方向におけるロータ対向部44側の板面)と、ロータ対向部44の折曲内側端面(積層部41側の板面)と、折曲部45の内側面とに密着する。また、据え込みパンチ84は、その内側面84aでロータ対向部44の折曲外側端面及びダイ82の径方向内側端面82aと密着するとともに、押圧面84bでロータ対向部44の先端面44bに対して軸方向(ロータ対向部44の長手方向)に密着する。また、このとき、ダイ82の平坦面85と、折曲部45(肉厚部45c及び前記拘束据え込み工程で拘束円弧面77aに拘束されていた被拘束面45a)との間に隙間G2が存在している。
【0069】
上記のように第2の金型81に磁性板40を配置した後、据え込みパンチ84を下方(拘束ダイ82側)に加圧する。すると、ロータ対向部44の先端面44bが据え込みパンチ84の押圧面84bにてロータ対向部44の長手方向(磁性板40の軸方向)の折曲部45側に押圧される。
【0070】
すると、図12に示すように、ロータ対向部44が折曲部45側にスライドするように変形するとともに、折曲部45全体の肉が前記隙間G2に流れ込んで、ダイ82の平坦面85と据え込みパンチ84の内側面84aとで構成される角部の直角形状に略倣った形状に変形する。この据え込み工程によって、折曲部45の外側面が略直角に成形され、折曲部45の肉厚T3が、前記肉厚部45cの肉厚T4よりも厚く成形される(図5(b)参照)。この据え込み工程にて、磁性板40が完成する。
【0071】
その後、上記製造方法によって製造した磁性板40を、メインコア部31の軸方向両端部にそれぞれ設置する(設置工程)。これにより、ステータコア21が完成する。
以上のような製造方法によれば、2回の据え込み加工(拘束据え込み工程と据え込み工程)を経て、折曲部45の外側面が略直角となるように成形されるため、それぞれの据え込み加工による折曲部45の変形量(つまり、隙間G1,G2)が小さくなる。
【0072】
ここで、1回の据え込み加工によって折曲部45の外側面を略直角とすることを考えると、ロータ対向部44の前記折り曲げ工程後、第1の金型71による拘束据え込み工程を経ずに第2の金型81による据え込み工程を行うこととなる。この場合、前記折り曲げ工程直後の磁性板40の折曲部45とダイ82の平坦面85との間の隙間が大きく、その隙間に依存する折曲部45の変形量が大きくなる。このため、折曲部45に無理な変形(内側部位での巻き込み等)が生じて亀裂が生じやすい。その点、本実施形態の製造方法では、拘束ダイ72の第2拘束部77によって隙間G1が小さくなっており、この拘束据え込み工程で折曲部45に肉厚部45cが形成されるため、その後の据え込み工程においても前記隙間G2は小さい。このため、各据え込み加工(拘束据え込み工程及び据え込み工程)において折曲部45に無理な変形が生じず、亀裂の発生等が抑えられている。
【0073】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)磁性板40の折曲部45の外側面における積層部41寄りの一部(被拘束面45a)を拘束ダイ72にて拘束し、その拘束状態でロータ対向部44を据え込みパンチ74にて軸方向の折曲部45側に押圧する拘束据え込み工程を有する。この製造方法によれば、拘束据え込み工程の際、折曲部45の外側面における積層部41寄りの一部を拘束ダイ72にて拘束するため、拘束ダイ72の拘束(押さえ)によって折曲部45の内側の変形量が抑えられ、折曲部45の内側における巻き込みの発生が抑えられる。また、拘束ダイ72の拘束によって、据え込みパンチ74の押圧時に積層部41に対して板厚方向に加わる破断力(剪断力)が小さく抑えられる。そして、据え込みパンチ74による押圧によって、折曲部45のロータ対向部44寄りの非拘束部45bが、据え込みパンチの押圧によって変形して肉厚となる。このように、本製造方法によれば、折曲部45の損傷を抑えつつ肉厚化することができる。
【0074】
(2)拘束ダイ72は、積層部41の折曲外側端面(反ロータ対向部側の板面)と当接する平坦面75と、該平坦面75と連なり折曲部45の被拘束面45aを拘束する拘束円弧面77aとを備える。これにより、拘束円弧面77aによって円弧状の被拘束面45aを隙間なく拘束することが可能となるため、被拘束面45aを安定して拘束(保持)させることができ、その結果、折曲部45の損傷をより確実に抑えることができる。
【0075】
(3)拘束据え込み工程後の据え込み工程では、ダイ82の平坦面85と折曲部45の被拘束面45aとの間に隙間G2が存在する状態で、ロータ対向部44を据え込みパンチ84にて軸方向の折曲部45側に押圧する。つまり、拘束据え込み工程後に、折曲部45の被拘束面45aを拘束しない状態で据え込み工程を行うため、折曲部45のより広範囲を肉厚化することが可能となる。なお、拘束据え込み工程で折曲部45の一部に肉厚部45cが形成されるため、その後の据え込み工程での折曲部45とダイ82との間の隙間G2は小さくなる。このため、据え込み工程での折曲部45の変形量が少なくなるため、折曲部45の損傷が抑えられる。
【0076】
(4)ダイ82における折曲部45の外側面と隙間G2を介して対向する面が平面であるため、据え込み工程によって折曲部45の外側面を略直角に成形することが可能となる。このため、折曲部45のより一層の肉厚化が可能となる。
【0077】
(5)本実施形態の磁性板40では、折曲部45の肉厚T3がロータ対向部44の板厚(つまり、磁性板40の板厚T1)よりも厚く形成される。この構成によれば、折曲部45での磁束飽和の発生を抑えることが可能となり、その結果、磁性板40による出力向上効果をより好適に発揮させることが可能となる。
【0078】
(6)磁性板40の板厚T1は、コアシート30の板厚T2よりも厚く設定されるため、磁性板40を介して磁気を取り込みやすくすることができ、その結果、より一層の高出力化に寄与できる。また、磁性板40の板厚T1がコアシート30の板厚T2よりも厚いため、磁性板40のティース構成部43の角部に大きな面取り部43a(例えば、コアシート30の板厚T2よりも大きな曲率半径Rmを有する断面弧状の面取り部)を形成しやすく、その結果、セグメント導体25の屈曲部位の損傷を好適に抑制することが可能となる。
【0079】
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、据え込み工程に用いる第2の金型81のダイ82の平坦面85は、外周拘束部86の内周側からダイ82の径方向内側端面82aに亘って平面をなしているが、これに限定されるものではなく、例えば図13に示すような形状としてもよい。同図に示すように、平坦面85の径方向内側端部には、該平坦面85と連なり反折曲部側に凹となる円弧面87が形成されている。円弧面87の曲率半径R2は、前記拘束ダイ72(第1の金型71)の拘束円弧面77aの曲率半径R1(即ち、折曲部45の被拘束面45aの曲率半径)よりも大きく設定されている。また、円弧面87の円弧中心P2は、平坦面85に載置された磁性板40の折曲部45の二等分線Lに対してロータ対向部44側に設定され、円弧面87の最下点が平坦面85上に位置するように構成されている。そして、据え込みパンチ84の加圧前の状態では、円弧面87と折曲部45(肉厚部45c及び被拘束面45a)との間に隙間G3が存在している。
【0080】
図14に示すように、ロータ対向部44が据え込みパンチ84にて折曲部45側に押圧されると、折曲部45の肉が前記隙間G3に流れて、折曲部45が円弧面87に略倣った形状に変形する。ここで、ダイ82の円弧面87は、折曲部45に近づくように形成されているため、ダイ82と折曲部45との間の隙間G3は、上記実施形態におけるダイ82(平坦面85)と折曲部45との間の隙間G2(図11参照)よりも小さい。このため、上記実施形態に比べて、据え込み工程で折曲部45に掛かる負荷が軽減され、折曲部45の損傷がより一層抑制される。
【0081】
図15に示すように、この据え込み工程にて成形された磁性板40では、折曲部45の外側面には、ダイ82の円弧面87に倣った円弧面45dが形成される。折曲部45の円弧面45dの円弧中心P3は、折曲部45の二等分線Lに対してロータ対向部44側に位置し、円弧面45dの曲率半径R3は、拘束据え込み工程後の被拘束面45aの曲率半径よりも大きい。また、折曲部45の肉厚T5は、拘束据え込み工程後の前記肉厚部45cの肉厚T4(図5(b)参照)よりも厚く成形される。
【0082】
このような製造方法によれば、円弧面87の曲率半径R2が前記拘束円弧面77a(拘束ダイ72)の曲率半径R1よりも大きく設定されるため、据え込み工程において、折曲部45の外側面(円弧面45d)を円弧面87に沿った円弧形状に成形しつつ、折曲部45を肉厚化できるため、折曲部45の損傷をより抑えることが可能となる。
【0083】
また、円弧面87の円弧中心P2(折曲部45の円弧面45dの円弧中心P3)が、折曲部45の二等分線Lに対してロータ対向部44側の位置に設定されるため、ロータ対向部44におけるロータ14との対向面の軸方向長さを確保しつつ、折曲部45を肉厚とすることが可能となる。これにより、ロータ14からの磁気取り込み量を増加させることができる磁性板40を成形することが可能となる。
【0084】
なお、平坦面85の径方向内側端部に設ける円弧面87の形状(円弧中心P2の位置及び曲率半径R2)は、上記の例に限定されるものではなく、例えば図16に示すような円弧面91に変更してもよい。この円弧面91は、折曲部45の外側面の角部のアール部位45e(図17参照)を成形するためのものであり、円弧面91の円弧中心は、折曲部45の二等分線L上に設定され、円弧面91の曲率半径は、被拘束面45aの曲率半径よりも小さく設定されている。そして、据え込みパンチ84の加圧前の状態では、平坦面85及び円弧面91と折曲部45(肉厚部45c及び被拘束面45a)との間に隙間G4が存在している。
【0085】
図17に示すように、ロータ対向部44が据え込みパンチ84にて折曲部45側に押圧されると、折曲部45の肉が前記隙間G4に流れて、折曲部45が平坦面85及び円弧面91に倣った形状に変形する。このような製造方法によれば、円弧面91によって折曲部45の外側面の角部のアール部位45eを好適に成形することができる。
【0086】
・上記実施形態では、拘束ダイ72の拘束円弧面77aが折曲部45の積層部41側の半分(折曲部45の二等分線Lよりも積層部41側の範囲)を拘束するように構成したが、拘束円弧面77aで拘束する範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、拘束円弧面77aの拘束範囲を折曲部45の外側面の半分以下としてもよい。また、拘束円弧面77aの拘束範囲を二等分線Lよりもロータ対向部44側まで広げてもよい。
【0087】
・上記実施形態によれば、拘束据え込み工程において、折曲部45の被拘束面45aを拘束する拘束面を拘束円弧面77aとしたが、これ以外に例えば、拘束ダイ72の径方向内側に向かうにつれて高さが増す平面状の傾斜面としてもよい。
【0088】
・拘束据え込み工程後の据え込み工程は、必ずしも必要な工程ではなく、例えば、1回の拘束据え込み工程にて磁性板40を完成させてもよい。
・上記実施形態では、各セグメント導体25は、スロットSに挿通された一対の直線部51を繋ぐ第1突出部52側で折り返されるように形成し、第2突出部53側で溶接等により接合するように構成されたが、これに特に限定されるものではない。例えば、一対の直線部51をそれぞれ別体とし、第1突出部52においても溶接等により接合するように構成してもよい。また、セグメント導体25同士の接続は、溶接以外に例えば、バスバー等の別部材を用いた接続構造としてもよい。
【0089】
・上記実施形態では、セグメント導体25の直線部51を径方向に沿って一列に配置したが、これに限らず、直線部51が周方向にも並ぶように配置してもよい。
・上記実施形態では、各フレーム11,12のステータ保持部11b,12bは、メインコア部31の外周縁(露出面31a)を軸方向に直接的に挟み、磁性板40に対しては軸方向に当接しないように構成されたが、これに特に限定されるものではない。例えば、磁性板40の環状部42(積層部41)を介してメインコア部31を軸方向に挟むように構成してもよい。このような構成によれば、磁性板40の積層部41をステータ保持部11b,12bに対して軸方向に干渉しないように径方向に小さくする必要がないため、出力の低下を抑えることができる。また、磁性板40の板厚T1をコアシート30の板厚T2よりも厚くして出力向上を図る場合には、磁性板40よりも板厚が薄いコアシート30の枚数を調整することで、モータ10全体の軸方向寸法の変動を抑えることが可能である。
【0090】
・上記実施形態では、磁性板40の積層部41の外径をコアシート30の外径よりも小さくすることで、メインコア部31の軸方向端面の外周縁全体に亘って露出面31aを形成し、その露出面31aを各フレーム11,12のステータ保持部11b,12bで挟むように構成したが、これに特に限定されるものではない。例えば、メインコア部31(コアシート30)の外周面から径方向外側に突出する突出部を形成し、その突出部をステータ保持部11b,12bで挟むように構成してもよい。
【0091】
・上記実施形態では、ロータ対向部44を径方向視で台形形状に形成したが、これ以外に例えば、径方向視で矩形状に形成してもよく、磁気の取り込みが可能な形状であればよい。
【0092】
・上記実施形態では、磁性板40の積層部41は、環状部42とティース構成部43とを有するが、これ以外に例えば、積層部41をティース構成部43のみで構成してもよい。
【0093】
・上記実施形態では、磁性板40はメインコア部31(コアシート30)にかしめ固定されたが、これ以外に例えば、接着や溶接によって固定してもよい。
・上記実施形態では、磁性板40の板厚T1をコアシート30の板厚T2よりも厚く設定したが、これに特に限定されるものではなく、磁性板40の板厚T1をコアシート30の板厚T2に対して等しく、又は薄く設定してもよい。
【0094】
・上記実施形態では、磁性板40をメインコア部31の軸方向両側にそれぞれ設けたが、これに特に限定されるものではなく、磁性板40をメインコア部31の軸方向一方側のみに設けてもよい。また例えば、磁性板を軸方向両側にそれぞれ複数枚設けた構成としてもよい。
【0095】
・上記実施形態では、セグメント導体25にて構成される電機子巻線22を用いたが、これ以外に例えば、銅線等をティースに巻回してなる電機子巻線を用いてもよい。
・上記実施形態では、ロータ14の界磁磁石62にフェライト磁石を用いたが、これ以外に例えば、ネオジム磁石等を用いてもよい。
【0096】
・上記実施形態では、界磁磁石62をロータコア61の外周面に設けたが、これ以外に例えば、ロータコア61の内部に埋設してもよい。
・上記実施形態において、ロータコア61及びロータ14の界磁磁石62の軸方向長さを、ステータコア21の内周端部の軸方向長さ(即ち、一方の磁性板40のロータ対向部44の先端から他方の磁性板40のロータ対向部44の先端までの長さ)に対して異なるように設定してもよい。
【0097】
・上記実施形態では、ステータコア21を一対のフレーム11,12で挟持する構成としたが、これ以外に例えば、ステータコア21を円筒状の金属製のハウジングに圧入や焼嵌め等により固定する構成としてもよい。
【0098】
・上記実施形態では、ロータ14をステータ13の内周側に配置したインナロータ型のモータ10に具体化したが、これに特に限定されるものではなく、ロータをステータの外周側に配置したアウタロータ型のモータに具体化してもよい。
【符号の説明】
【0099】
13…ステータ、14…ロータ、21…ステータコア、31…メインコア部、40…磁性板(補助コア部材)、41…積層部、45…折曲部、45a…被拘束面、45d…折曲部の円弧面、72…拘束ダイ、74,84…据え込みパンチ、75,85…平坦面、77a…拘束円弧面、82…ダイ、87,91…円弧面、L…二等分線、G1,G2,G3,G4…隙間、P1,P2,P3…円弧中心。
図1
図2
図3
図4
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図10
図11
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