特許第6062776号(P6062776)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6062776-バッキングロールを有するコータ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062776
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】バッキングロールを有するコータ
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20170106BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20170106BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   B05C5/02
   B05C11/10
   B05C13/02
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-52569(P2013-52569)
(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公開番号】特開2014-176811(P2014-176811A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094042
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 知
(72)【発明者】
【氏名】魏 志丹
【審査官】 安藤 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−271703(JP,A)
【文献】 特開平10−328600(JP,A)
【文献】 特開平10−337519(JP,A)
【文献】 特開平10−337518(JP,A)
【文献】 特開平11−047675(JP,A)
【文献】 特開2009−268973(JP,A)
【文献】 特開2000−334357(JP,A)
【文献】 特開2002−102771(JP,A)
【文献】 特開2012−199413(JP,A)
【文献】 特開2009−061380(JP,A)
【文献】 特開2001−121054(JP,A)
【文献】 特開2000−354807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C1/00〜B05C21/00
B05D1/00〜B05D7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に沿うレールを備えたフレームと、上記所定方向と交差する交差方向で、互いに間隔を隔てて対向配置され、上記レールに案内されて上記フレーム上を移動可能な一対の支持部と、上記一対の支持部に架け渡され、かつ上記交差方向に沿う軸を中心に回動自在に支持され、可撓性を有するパネル材を下から支えるバッキングロールと、上記フレームに昇降可能に設けられ、上記所定方向における該バッキングロールの両側でパネル材の端部を把持する把持部と、上記バッキングロールの上方で、上記一対の支持部に架け渡して、該バッキングロールとの間隔を変更すべく昇降可能に設けられ、パネル材に向かって塗料の吐出が可能な塗料吐出ダイとを備え、
上記バッキングロールよりも低い位置で上記把持部に端部が把持されたパネル材に、上記一対の支持部を移動しつつ上記塗料吐出ダイから塗料を吐出してコーティングすることを特徴とするバッキングロールを有するコータ
【請求項2】
前記所定方向における前記バッキングロールの脇に、下方へ向かう気流を発生させるサクション機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載のバッキングロールを有するコータ
【請求項3】
前記塗料吐出ダイをクリーニングするクリーナーを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のバッキングロールを有するコータ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造がシンプルであって、高い塗工精度を確保することが可能なバッキングロールを有するコータに関する。
【背景技術】
【0002】
基板表面に塗料をコーティングするコータとしては、例えばフラットパネルディスプレイ用の種々の基板に処理液等の塗布液を塗布するものなどが知られている。例えば、特許文献1の「塗布装置および塗布方法」では、搬送部は、基板を搬送する上流側および下流側の両側に設けられる複数の搬送ローラと、搬送ローラ駆動部と、搬送ローラに挟まれるように配置される上流側および下流側の振動抑制部とで構成される。塗布部は、スリット状の吐出口が設けられたノズルと、ノズルの下方に設けられるプリディスペンスローラと、プリディスペンスローラを収容する洗浄容器と、洗浄容器内部に設けられた液切りブレードとで構成される。なお、塗布部は、搬送部の上流側および下流側の振動抑制部のそれぞれの間に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−61380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような塗布装置は、搬送方向に並べられた複数の搬送ローラにより基板が搬送される構造であるため、装置全体のサイズが大きく、また構造が複雑であった。また、ノズルから塗布液が吐出される際には振動抑制部により基板が浮上しているので、ノズルと基板との間隔が不安定となり、高い塗工精度を確保することが難しいという課題があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、構造がシンプルであって、高い塗工精度を確保することが可能なバッキングロールを有するコータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるバッキングロールを有するコータは、所定方向に沿うレールを備えたフレームと、上記所定方向と交差する交差方向で、互いに間隔を隔てて対向配置され、上記レールに案内されて上記フレーム上を移動可能な一対の支持部と、上記一対の支持部に架け渡され、かつ上記交差方向に沿う軸を中心に回動自在に支持され、可撓性を有するパネル材を下から支えるバッキングロールと、上記フレームに昇降可能に設けられ、上記所定方向における該バッキングロールの両側でパネル材の端部を把持する把持部と、上記バッキングロールの上方で、上記一対の支持部に架け渡して、該バッキングロールとの間隔を変更すべく昇降可能に設けられ、パネル材に向かって塗料の吐出が可能な塗料吐出ダイとを備え、上記バッキングロールよりも低い位置で上記把持部に端部が把持されたパネル材に、上記一対の支持部を移動しつつ上記塗料吐出ダイから塗料を吐出してコーティングすることを特徴とする。
【0007】
前記所定方向における前記バッキングロールの脇に、下方へ向かう気流を発生させるサクション機構を備えていることを特徴とする。
【0008】
前記塗料吐出ダイをクリーニングするクリーナーを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるバッキングロールを有するコータにあっては、構造がシンプルであり、また、高い塗工精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るバッキングロールを有するコータの好適な一実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示したバッキングロールを有するコータの概略側面図である。
図3図1に示したバッキングロールを有するコータの動作を説明する概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係るバッキングロールを有するコータの好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るバッキングロールを有するコータを示す斜視図である。図2は、図1に示したバッキングロールを有するコータの概略側面図である。図3は、図1に示したバッキングロールを有するコータの動作を説明する概略説明図である。
【0012】
本実施形態にかかるバッキングロールを有するコータ1では、可撓性を有するパネル材としてのフレキシブル基板3は、パネル材供給ロボット2により本体フレーム4へ供給され、当該本体フレーム4上に支持される。塗料の吐出が可能な塗料吐出ダイ5が本体フレーム4上を移動しつつ塗料を吐出し、これによりフレキシブル基板3に対するコーティングを行う。コーティング動作は、作業者により操作される制御部(図示せず)によって制御される駆動部(図示せず)により実行される。フレキシブル基板3とは、例えば、樹脂、金属、ガラス、紙質、混合材料ボードなどである。
【0013】
バッキングロールを有するコータ1は主に、図1及び図2に示すように、上面4aがバッキングロールを有するコータ1の基準となる本体フレーム4と、本体フレーム4上に設けられた2本のリニアレール6と、リニアレール6上にそれぞれ移動自在に設けられ、ベース7及び支持部8を有する2つの移動体9と、2つの移動体9の支持部8間に架け渡され、塗料を吐出する塗料吐出ダイ5と、2つの支持部8間に架け渡され、フレキシブル基板3を下から支えるバッキングロール10と、移動体9の移動方向始端部及び終端部に位置させて、本体フレーム4に昇降自在に設けられ、フレキシブル基板3を把持する把持部としての4つのクランプ11を有する昇降クランプ体12と、レール方向におけるバッキングロール10の両脇でフレキシブル基板3を下方へ引き寄せるべくエアーを吸引するサクション機構13と、バッキングロールを有するコータ1及びパネル材供給ロボット2を駆動する上記駆動部及び制御部と、塗料吐出ダイ5の吐出部としての吐出口5aをクリーニングするためのクリーナー14とを備えて構成される。
【0014】
本体フレーム4は、四角形状の上面4aが平坦な台である。移動体9のベース7は、リニアレール6に案内されてスライド移動可能であり、支持部8はベース7上に上方へ向かって立設される。
【0015】
2本のリニアレール6は、本体フレーム4の四角形状の上面4aを形成する、向かい合う2組の平行な辺のうち、一方の組の平行な辺に沿う所定方向に設けられている。以下の説明においては、リニアレール6に沿う方向をレール方向、リニアレール6と直交する方向を直交方向、上下となる方向を上下方向として説明する。
【0016】
2本のリニアレール6は、本体フレーム4の上面4a上に、直交方向に間隔を隔てて平行に配置され、いずれも本体フレーム4の直交方向における端縁近傍に設けられている。リニアレール6上に設けられる移動体9のベース7及び支持部8は、一体的に構成されて、移動体9は、高い剛性を備えている。2つの移動体9の支持部8は、直交方向に向かい合って対向配置される。2つの移動体9の支持部8間には、塗料吐出ダイ5及びバッキングロール10が架け渡して設けられる。
【0017】
2つの移動体9の支持部8間に架け渡された塗料吐出ダイ5とバッキングロール10とは、互いに平行であって、上下に対向して配置される。バッキングロール10は、塗料吐出ダイ5の下側で、支持部8に回動自在に支持される。
【0018】
塗料吐出ダイ5には、バッキングロール10と対向する下面に、塗料を吐出するスリット状の吐出口5aが設けられる。図1図2においては、塗料が収容されるタンク及びタンクから塗料吐出ダイ5に塗料を供給するパイプ等が省略されている。
【0019】
塗料吐出ダイ5は、バッキングロール10の回動軸に沿って、吐出口5aがバッキングロール10に対向する姿勢を維持した状態で、上下方向に昇降自在に設けられる。塗料吐出ダイ5の昇降機構は例えば、フレキシブル基板3を塗料吐出ダイ5とバッキングロール10との間に配置するときや塗料吐出ダイ5の吐出口5aをクリーニングするときなど、バッキングロール10に対して間隔を広げるときに、塗料吐出ダイ5を上昇し、他方、フレキシブル基板3を塗料でコーティングするために吐出口5aをフレキシブル基板3に対して適切な位置に配置するときなどに、塗料吐出ダイ5を降下する。
【0020】
4つの昇降クランプ体12はそれぞれ、フレキシブル基板3を把持するクランプ11を有し、本体フレーム4上で上下方向に昇降自在に設けられる。4つの昇降クランプ体12は、塗料吐出ダイ5に対し、レール方向における両側に2つずつに分けられて、本体フレーム4の両端に配置される。すなわち、クランプ11は、フレキシブル基板3の四隅を把持する。昇降クランプ体12は、レール方向において中央側(バッキングロール10側)にクランプ11が向くように配置される。
【0021】
バッキングロール10を境として、本体フレーム4の同じ端側に位置する2つの昇降クランプ体12同士は、移動体9の移動方向と直交する方向において互いに間隔を隔て、支持部8よりも内側に位置するように配置される。
【0022】
クランプ11は、水平状態で固定された下側の爪11bと、下側の爪11bの上方で軸回りに上下方向へ回動される上側の爪11aを備え、上側の爪11aの下降移動で閉じ動作し、上昇移動で開き動作するようになっている。また、クランプ11を有する昇降クランプ体12は、クランプ11がパネル材供給ロボット2のパネル載置アーム2aに載置されてバッキングロール10の上方に供給されるフレキシブル基板3を支持できる位置から、当該クランプ11で把持したフレキシブル基板3をバッキングロール10に上方から押圧した状態を維持できるように、バッキングロール10がフレキシブル基板3を支持する位置よりも低い位置へ下降し、当該下降位置で停止した状態が維持されるように構成される。
【0023】
「押圧」のためにかける力は、フレキシブル基板3を損傷させない程度のものであって、最低限、フレキシブル基板3の自重による力がバッキングロール10の頂点にかかる程度の力であることが必要である。
【0024】
塗料吐出ダイ5及びバッキングロール10が掛け渡して設けられる2つの移動体9間には、サクション機構13が搭載され、サクション機構13はこれら塗料吐出ダイ5等と共に、一体に移動される。サクション機構13は、吸引口13aがバッキングロール10の両脇にてバッキングロール10に沿って配置される。この吸引口13aは、バッキングロール10がフレキシブル基板3を支持する位置よりも僅かに下方に配置される。適度な吸引力を得るため、フレキシブル基板3との隙間は、できる限り小さい方がよい。吸引口13aには、当該吸引口13aからエアーを吸引して、負圧を発生させるためのポンプ(図示せず)が吸引配管13bに接続されている。
【0025】
サクション機構13によりバッキングロール10の両脇を負圧にすることにより、クランプ11による押圧に加えて、フレキシブル基板3はさらにバッキングロール10に押圧される。これにより、バッキングロール10に対するフレキシブル基板3の密着性が増大される。また、この吸引作用は、バッキングロール10の表面に付着したダスト等を吸い取ってクリーニングする効果を発揮する。
【0026】
クリーナー14は図2に示すように、対向する支持部8間に架け渡されたシャフト15により直交方向へ案内されるリンク機構16と、リンク機構16の先端に設けられたクリーナー本体17とを有している。リンク機構16は、クリーナー本体17を上下方向に移動可能に支持する。
【0027】
リンク機構16は、上昇されてバッキングロール10との間隔が広げられた塗料吐出ダイ5とバッキングロール10との間にクリーナー本体17を配置したり、塗料吐出ダイ5とバッキングロール10との間から外れた退避位置にクリーナー本体17を退避させるための機構である。図2は、クリーナー本体17が、退避位置に配置された状態を示している。
【0028】
クリーナー本体17は、上昇されてバッキングロール10との間隔が広げられた塗料吐出ダイ5の吐出口5aに当接される吐出口クリーニング部17aを有している。
【0029】
クリーナー14は、クリーナー本体17が塗料吐出ダイ5に当接された状態で、シャフト15に沿って直交方向に往復移動されることにより、塗料吐出ダイ5の吐出口5aをクリーニングする。
【0030】
次に、本実施形態に係るバッキングロールを有するコータ1の作用を、図3を用いて説明する。フレキシブル基板3をコーティングする場合には、まず、予め塗料吐出ダイ5を上昇させてバッキングロール10との間隔を広げるとともに、すべてのクランプ11は、それぞれ上側の爪11aを上昇移動して開いた状態とし、バッキングロール10と塗料吐出ダイ5との間であって、互いに同じ高さに位置するように配置しておく(図3(a)参照)。
【0031】
次に、パネル材供給ロボット2の供給アーム2a上に載置したフレキシブル基板3を、本体フレーム4上に供給する。パネル材供給ロボット2は、フレキシブル基板3を塗料吐出ダイ5とバッキングロール10との間に
挿通する(図3(b)参照)。
【0032】
次に、パネル材供給ロボット2を下降し、基板3をクランプ11の下側の爪11bに載せる(図3(c)参照)。
【0033】
次に、4つのクランプ11の上側の爪11aを下降移動して閉じ、フレキシブル基板3を把持した状態で、パネル材供給ロボット2の載置アーム2aを本体フレーム4上から待避させる(図3(d)参照)。
【0034】
次に、昇降クランプ体12により、クランプ11を、フレキシブル基板3のレール方向における端部がバッキングロール10の頂部よりも低くなる位置まで降下し、フレキシブル基板3をバッキングロール10に押圧する(図3(e)参照)。
【0035】
次に、塗料吐出ダイ5を降下し、バッキングロール10上のフレキシブル基板3の上面と塗料吐出ダイ5の吐出口5aとの隙間が設定したギャップ量となる位置に、塗料吐出ダイ5を配置する(図3(f)参照)。
【0036】
次に、サクション機構13を稼働して、下方に向けてエアーを吸引し、フレキシブル基板3をバッキングロール10側へ引き寄せる。移動体9を、リニアレール6に沿ってレール方向における一方側の端から他方側の端まで移動させると共に、バッキングロール10を同期させて回転させつつ、塗料吐出ダイ5の吐出口5aから塗料を吐出させて、フレキシブル基板3の表面を塗料でコーティングする(図3(g)参照)。
【0037】
コーティングが終了すると、サクション機構13を停止し、供給した方法と逆の手順に従って、コーティング後のフレキシブル基板3を、パネル材供給ロボット2により本体フレーム4上から次工程に移動する。
【0038】
以上説明した本実施形態に係るバッキングロールを有するコータ1にあっては、可撓性を有するフレキシブル基板3は、コーティングされる際、レール方向におけるバッキングロール10の両側で当該フレキシブル基板3の端部を把持するクランプ11が、バッキングロール10の頂部よりも低い位置に位置するので、フレキシブル基板3は、クランプ11によって撓まされた状態でバッキングロール10に押圧される。このため、塗料吐出ダイ5と対向しているときの、フレキシブル基板3の表面の位置、すなわち、塗料吐出ダイ5の吐出口5aとフレキシブル基板3の表面との間のギャップを安定化することができる。
【0039】
塗料吐出ダイ5とバッキングロール10がともに同じ支持部8に設けられるので、塗料吐出ダイ5とバッキングロール10に押圧されたフレキシブル基板3とを高精度で位置決めすることができる。
【0040】
このとき、バッキングロール10が支持される支持部8とフレキシブル基板3の端部を把持するクランプ11がいずれも、本体フレーム4に設けられているので、クランプ11を降下させることで、フレキシブル基板3に、バッキングロール10を支点とする下側へのモーメントをかけることができて、フレキシブル基板3をバッキングロール10の頂点に密着させることができ、フレキシブル基板3の表面を適切な位置に配置することができる。その結果、フレキシブル基板3の表面に精度よく塗料の膜を形成することができる。
【0041】
フレキシブル基板3を移動せずに、塗料吐出ダイ5とバッキングロール10を備える支持部8を本体フレーム4のリニアレール6に沿って移動させるので、フレキシブル基板3を移動して塗布する場合や石定盤を使用する場合と比べ、バッキングロールを有するコータ1自身をコンパクト化できると共に、塗料の吐出時に、フレキシブル基板3の移動による振動も生じないので、バッキングロールを有するコータ1として、構造がシンプルであって安価に製作でき、また高い塗工精度を確保することができる。
【0042】
また、フレキシブル基板3は、支持部8が移動されるレール方向においてバッキングロール10の脇、すなわち、塗料が吐出される位置の近傍においてサクション機構13によってもバッキングロール10側に引き寄せられるので、フレキシブル基板3のバッキングロール10の頂点への密着力が高まって姿勢が安定し、塗料吐出ダイ5とフレキシブル基板3とのギャップ量をより正確に保つことができると共に、フレキシブル基板3をより安定した状態に保ちつつコーティングすることができ、塗布精度を維持することができる。
【0043】
サクション機構13により、バッキングロール10の脇にてフレキシブル基板3が引き寄せられ、これによりフレキシブル基板3のバッキングロール10の軸線方向に対する密着性が増大するので、塗料の吐出時における塗料吐出ダイ5とフレキシブル基板3表面とのギャップ量をより正確に保つことができると共に、フレキシブル基板3をより安定した状態に保ちつつコーティングすることができ、より大型のフレキシブル基板3に対してもコーティングを行うことができる。
【0044】
また、塗料吐出ダイ5の吐出口5aをクリーニングするクリーナー14を備えているので、塗料が乾燥して固まるなどして吐出口5aが目詰まりすることを防止できる。このため、吐出口5aから適切な一定量の塗料を安定して吐出することができ、より均一な高精度の膜厚でコーティングすることができる。
【0045】
なお、上記実施形態の説明では、昇降クランプ体12の数が4つの場合を例示したが、移動体9の移動方向の始端部及び終端部であって、ロボットのパネル載置アーム2aと干渉しない配置であれば、基板3の撓みなどを考慮して、さらに多くの昇降クランプ体12を設置しても良いことはもちろんである。
【符号の説明】
【0046】
1 バッキングロールを有するコータ
2 パネル材供給ロボット
2a パネル載置アーム
3 フレキシブル基板
4 本体フレーム
4a 上面
5 塗料吐出ダイ
5a 吐出口
6 リニアレール
7 ベース
8 支持部
9 移動体
10 バッキングロール
11 クランプ
11a 上側の爪
11b 下側の爪
12 昇降クランプ体
13 サクション機構
13a 吸引口
13b 吸引配管
14 クリーナー
15 シャフト
16 リンク機構
17 クリーナー本体
17a 吐出口クリーニング部
図1
図2
図3