(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示における実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(信号線と電気的に短絡した読み出し制御線とバッファ回路の電源との間に設けたスイッチを開状態に制御しつつ撮像動作を行う撮像装置の例)
2.変形例1(読み出し制御線がバイアス線と電気的に短絡した場合の例)
3.変形例2(行走査部等が画素基板と異なる基板上に形成される場合の例)
3.変形例3(バッファ回路の一方の電源側にのみスイッチング素子を設ける例)
4.変形例4−1,4−2(画素にpチャネル型のトランジスタが用いられる場合の例)
5.変形例5−1,5−2(スイッチング素子の他のレイアウト例)
6.変形例6−1,6−2(スイッチング素子の他のレイアウト例)
7.変形例7−1,7−2(スイッチング素子の他のレイアウト例)
8.変形例8(パッシブ型の画素回路の他の例)
9.変形例9(パッシブ型の画素回路の他の例)
10.変形例10−1,10−2(アクティブ型の画素回路の例)
11.適用例(撮像表示システムの例)
【0012】
<実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置(撮像装置1)の全体のブロック構成を表すものである。撮像装置1は、入射波長(例えばX線等の放射線)に基づいて被写体の情報を読み取る(被写体を撮像する)ものである。この撮像装置1は、画素部11、行走査部13、A/D変換部14、列走査部15およびシステム制御部16を備えている。本実施の形態では、これらのうち、少なくとも行走査部13(後述のバッファ回路30およびスイッチ制御回路33を含む)を含む回路ブロックが、画素部11と同一の基板上に、形成されている。これらのうち、行走査部13、A/D変換部14、列走査部15およびシステム制御部16が、本開示における「駆動部」の一具体例に対応する。
【0013】
(画素部11)
画素部11は、入射波長に基づいて信号電荷を発生させるものである。画素部11では、画素(撮像画素,単位画素)20が、例えば行列状(マトリクス状)に2次元配置されており、各画素20は、放射線等の入射量に応じた電荷量の光電荷を発生して内部に蓄積する光電変換素子(後述の光電変換素子21)を有している。尚、
図1中に示したように、以下、画素部11内における水平方向(行方向)を「H」方向とし、垂直方向(列方向)を「V」方向として説明する。
【0014】
図2Aおよび
図2Bは、画素部11の概略構成例である。画素部11は、画素20毎に光電変換素子21を含む光電変換層111を有している。
【0015】
図2Aに示した例は、いわゆる間接変換型の放射線撮像装置に適用されるものであり、光電変換層111上(受光面側)に波長変換層112を有している。波長変換層112は、放射線Rrad(例えばα線,β線,γ線,X線等)を、光電変換層111の感度域の波長に変換するものである。この波長変換層112は、例えばX線を可視光に変換する蛍光体(例えば、CsI、NaI、CaF
2等のシンチレータ)からなる。このような波長変換層112は、例えば光電変換層111の上部に、有機材料またはスピンオングラス材料等からなる平坦化膜を介して、上記蛍光体膜を形成したものである。
【0016】
図2Bに示した例は、いわゆる直接変換型の放射線撮像装置に適用されるものであり、光電変換層111が、入射した放射線Rradを電気信号に変換するようになっている。この場合、光電変換層111は、例えばアモルファスセレン(a−Se)半導体や、カドミニウムテルル(CdTe)半導体などにより構成される。このように、本開示の撮像装置は、間接変換型および直接変換型のいずれの放射線撮像装置であってもよいが、以下の実施の形態等では、間接変換型の場合を例に挙げて説明する。
【0017】
図3は、画素20の回路構成(いわゆるパッシブ型の回路構成)を、A/D変換部14内の後述する列選択部17の回路構成とともに例示したものである。このパッシブ型の画素20には、例えば1つの光電変換素子21と、1つのトランジスタ22とが設けられている。この画素20にはまた、H方向に沿って延在する読み出し制御線Lreadと、V方向に沿って延在する信号線Lsigとが接続されている。読み出し制御線Lreadは、トランジスタ22のオンオフ制御(スイッチ開閉制御)を行うためのゲート線である。この読み出し制御線Lreadは、例えば画素部11に複数、互いに並列して設けられ、1行分の画素に形成された各トランジスタ22に接続されている。
【0018】
光電変換素子21は、例えばPIN(Positive Intrinsic Negative)型のフォトダイオード、PN型のフォトダイオードまたはMIS(Metal-Insulator-Semiconductor)型センサからなり、入射光量に応じた電荷量の信号電荷を発生させるようになっている。尚、ここでは、光電変換素子21のカソードは蓄積ノードNに接続され、アノードは接地またはバイアス線に接続され、固定電位に保持されている。
【0019】
トランジスタ22は、読み出し制御線Lreadから供給される行走査信号に応じてオン状態となることにより、光電変換素子21により得られた信号電荷(信号Vin)を信号線Lsigへ出力するトランジスタ(読み出し用トランジスタ)である。このトランジスタ22は、ここではnチャネル型(n型)の電界効果トランジスタ(FET;Field Effect Transistor)により構成されている。但し、後述するようにトランジスタ22はpチャネル型(p型)のFET等により構成されていてもよい。このトランジスタ22のチャネルには、例えば非晶質シリコン(アモルファスシリコン)、微結晶シリコンまたは多結晶シリコン(ポリシリコン)等のシリコン系半導体が用いられている。あるいは、この他にも、酸化インジウムガリウム亜鉛(InGaZnO)または酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物半導体が用いられてもよい。ここでは、例えば低温多結晶シリコン(LTPS)により構成されている。
【0020】
各画素20では、トランジスタ22のゲートは上述のように読み出し制御線Lreadに接続されている。トランジスタ22のソースは、例えば信号線Lsigに接続され、ドレインは、例えば光電変換素子21のカソードに蓄積ノードNを介して接続されている。
【0021】
尚、この画素20に形成されたトランジスタ22が、本開示における「第1のスイッチング素子」の一具体例に相当する。また、読み出し制御線Lreadが、本開示における「制御線」の一具体例に相当する。
【0022】
(行走査部13)
行走査部13は、シフトレジスタ回路や所定の論理回路等を含んで構成されており、画素部11内の複数の画素20に対して行単位(水平ライン単位)での駆動(線順次走査)を行う駆動回路(Vドライバ回路)である。具体的には、読み出し制御線Lreadを介して行走査信号を各画素20へ供給することにより、各画素20から信号電荷の読み出しを行う。読み出し制御線Lreadに供給される行走査信号は、例えば高電圧(正電圧)および低電圧(負電圧)の2値を含むパルス信号である。この行走査信号は、後述のバッファ回路(バッファ回路30)において電流増幅された後に、読み出し制御線Lreadへ出力される。
【0023】
(A/D変換部14)
A/D変換部14は、複数(ここでは4つ)の信号線Lsigごとに1つ設けられた複数の列選択部17を有しており、信号線Lsigを介して入力された信号電荷に基づいてA/D変換(アナログ/デジタル変換)を行うものである。これにより、デジタル信号からなる出力データDout(撮像信号)が生成され、外部へ出力されるようになっている。
【0024】
各列選択部17は、例えば
図3および
図4に示したように、チャージアンプ172、容量素子(例えば、コンデンサまたはフィードバック容量素子等)C1、スイッチSW1、サンプルホールド(S/H)回路173、4つのスイッチSW2を含むマルチプレクサ回路(選択回路)174、およびA/Dコンバータ175を有している。これらのうち、チャージアンプ172、容量素子C1、スイッチSW1、S/H回路173およびスイッチSW2はそれぞれ、信号線Lsig毎に設けられている。マルチプレクサ回路174およびA/Dコンバータ175は、列選択部17毎に設けられている。
【0025】
チャージアンプ172は、信号線Lsigから読み出された信号電荷を電圧に変換(Q−V変換)するためのアンプ(増幅器)である。このチャージアンプ172では、負側(−側)の入力端子に信号線Lsigの一端が接続され、正側(+側)の入力端子には所定のリセット電圧Vrstが入力されるようになっている。チャージアンプ172の出力端子と負側の入力端子との間は、容量素子C1とスイッチSW1との並列接続回路を介して帰還接続(フィードバック接続)されている。即ち、容量素子C1の一方の端子がチャージアンプ172の負側の入力端子に接続され、他方の端子がチャージアンプ172の出力端子に接続されている。同様に、スイッチSW1の一方の端子がチャージアンプ172の負側の入力端子に接続され、他方の端子がチャージアンプ172の出力端子に接続されている。尚、このスイッチSW1の開閉状態(オン・オフ動作)は、システム制御部16からアンプリセット制御線Lcarstを介して供給される制御信号(アンプリセット制御信号)によって制御される。
【0026】
S/H回路173は、チャージアンプ172とマルチプレクサ回路174(スイッチSW2)との間に配置されており、チャージアンプ172からの出力電圧Vcaを一時的に保持するための回路である。
【0027】
マルチプレクサ回路174は、列走査部15による走査駆動に従って4つのスイッチSW2のうちの1つが順次オン状態となることにより、各S/H回路173とA/Dコンバータ175との間を選択的に接続または遮断する回路である。
【0028】
A/Dコンバータ175は、スイッチSW2を介して入力されたS/H回路173からの出力電圧に対してA/D変換を行うことにより、上記した出力データDoutを生成して出力する回路である。
【0029】
(列走査部15)
列走査部15は、例えば図示しないシフトレジスタ回路やアドレスデコーダ等を含んで構成されており、上記した列選択部17内の各スイッチSW2を走査しつつ順番に駆動するものである。このような列走査部15による選択走査によって、信号線Lsigの各々を介して読み出された各画素20の信号(上記した出力データDout)が、順番に外部へ出力されるようになっている。
【0030】
(システム制御部16)
システム制御部16は、行走査部13(後述のスイッチ制御回路33を含む)、A/D変換部14および列走査部15の動作を制御するものである。具体的には、システム制御部16は、前述した各種のタイミング信号(制御信号)を生成するタイミングジェネレータを有しており、このタイミングジェネレータにおいて生成される各種のタイミング信号を基に、行走査部13、A/D変換部14および列走査部15の駆動制御を行う。このシステム制御部16の制御に基づいて、行走査部13、A/D変換部14および列走査部15がそれぞれ画素部11内の複数の画素20に対する撮像駆動(線順次撮像駆動)を行うことにより、撮像装置1から出力データDoutが得られる。
【0031】
図5〜6に、上述の行走査部13、画素20および列選択部17のうちの要部構成について示す。
図5に示したように、各読み出し制御線Lreadは、行走査部13において、バッファ回路30に接続されている(読み出し制御線Lread毎に、バッファ回路30が設けられている)。
【0032】
バッファ回路30は、行走査信号(電圧パルス)を電流増幅し、読み出し制御線Lreadへ出力する回路である。このバッファ回路30は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)回路を含み、即ちnチャネル型のトランジスタ301nとpチャネル型のトランジスタ301pとを含んで構成されている。これらのトランジスタ301n,301pの各ゲートは、読み出し制御線Lreadを駆動するシフトレジスタ回路(図示せず)に、所定の論理回路を介して接続されている。トランジスタ301n,301pでは、それぞれのソースおよびドレインのうちの一方の端子同士が接続されており、トランジスタ301nの他方の端子には、低電圧源Vssとしての負側電源30Bが接続されている。トランジスタ301pの他方の端子には、高電圧源Vddとしての正側電源30Aが接続されている。
【0033】
本実施の形態では、このバッファ回路30の電源(正側電源30Aおよび負側電源30B)と、読み出し制御線Lreadとの間に、スイッチング素子(スイッチSW31A,SW31B)が設けられている。具体的には、バッファ回路30のトランジスタ301pと正側電源30Aとの間に、スイッチSW31Aが設けられると共に、バッファ回路30のトランジスタ301nと負側電源30Bとの間に、スイッチSW31Bが設けられている。尚、これらのスイッチSW31A,SW31Bが、本開示における「第2のスイッチング素子」の一具体例に相当する。
【0034】
スイッチSW31A,SW31Bは、例えばnチャネル型またはpチャネル型のトランジスタから構成されている。ここでは、
図6に示したように、スイッチSW31Aは、pチャネル型のトランジスタにより構成され、スイッチSW31Bは、nチャネル型のトランジスタにより構成されている。
【0035】
これらのスイッチSW31A,SW31Bは、全ての読み出し制御線Lreadに対して設けられている。即ち、1つの読み出し制御線Lreadに対して、上記バッファ回路30と共に、スイッチSW31A,SW31Bが設けられている。また、スイッチSW31A,SW31Bの開閉状態は、読み出し制御線Lread毎に制御可能となっている。具体的には、詳細は後述するが、撮像駆動の際には、全ての読み出し制御線Lreadのうち、正常な(電気的な短絡部分(以下、単に短絡部分という)を含まない)読み出し制御線Lreadに対応して設けられた、スイッチSW31A,SW31Bはいずれも閉状態に制御される。一方で、短絡部分を含む読み出し制御線Lread(欠陥保持線Lx)に対応して設けられた、スイッチSW31A,SW31Bはいずれも開状態に制御される。スイッチSW31A,SW31Bの開閉状態は、スイッチ制御回路33(
図7)により制御される。
【0036】
スイッチ制御回路33は、システム制御部16の制御に基づいて、読み出し制御線Lread毎にスイッチSW31A,SW31Bの開閉制御(オンオフ駆動)を行うものである。このスイッチ制御回路33は、例えば、読み出し制御線Lread毎に設けられた、半導体記憶素子32およびシフトレジスタ回路321を含んで構成されている。各半導体記憶素子32には、ワード線WLおよびデータ線(ビット線)DLが接続されている。これにより、スイッチ制御回路33は、各半導体記憶素子32へのデータ書き込みにより、読み出し制御線Lread毎に、スイッチSW31A,SW31Bを開状態または閉状態に制御するようになっている。
【0037】
半導体記憶素子32は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)あるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性記憶素子またはフラッシュメモリなどの不揮発性記憶素子から構成されている。ここでは、半導体記憶素子32がSRAMから構成されている場合を例に挙げて説明する。半導体記憶素子32(SRAM)は、例えばいわゆるフリップフロップ(FlipFlop)を構成する2つのNOT回路と1つのトランジスタとを含んで構成されており、そのトランジスタのゲートにワード線WLが接続されている。このトランジスタの例えばソースには、データ線DLが接続され、ドレイン側にSRAMを介してスイッチSW31A,SW31Bが接続されている。このような構成により、半導体記憶素子32では、電源を投入し続けることにより書き込まれたデータ(後述のLowレベルまたはHighレベル)が書き込み後も保持される。ワード線WLは、例えば読み出し制御線Lread毎にシフトレジスタ回路321に接続されており、データ線DLは、各読み出し制御線Lreadに共通して設けられている。
【0038】
シフトレジスタ回路321は、システム制御部16から供給されるスタートパルスおよびクロック信号に基づいて、V方向に順次シフトするパルス信号を生成する回路である。
【0039】
[作用,効果]
本実施の形態の撮像装置1では、放射線(例えばX線)が画素部11へ入射すると、この放射線は、例えば波長変換層112において可視光に波長変換され、各画素20内の光電変換素子21において受光される。光電変換素子21では、受光量に基づく信号電荷が発生する。これにより、蓄積ノードNでは、光電変換により発生した信号電荷の蓄積によって、ノード容量に応じた電圧変化が生じる。具体的には、蓄積ノード容量をCs、発生した信号電荷をqとすると、蓄積ノードNでは(q/Cs)の分だけ電圧が変化(ここでは低下)することにより、トランジスタ22のドレインには信号電荷に対応した信号Vinが供給される。この信号電荷(信号Vin)は、読み出し制御線Lreadから供給される行走査信号に応じてトランジスタ22がオン状態になることにより、各画素20から信号線Lsigへ読み出される。
【0040】
読み出された信号電荷は、信号線Lsigを介して複数(ここでは4つ)の画素列ごとに、A/D変換部14内の列選択部17へ入力される。列選択部17では、まず、各信号線Lsigから入力される信号電荷毎に、チャージアンプ172等からなるチャージアンプ回路においてQ−V変換(信号電荷から信号電圧への変換)を行う。次いで、変換された信号電圧(チャージアンプ172からの出力電圧Vca)毎に、S/H回路173およびマルチプレクサ回路174を介してA/Dコンバータ175においてA/D変換を行い、デジタル信号からなる出力データDout(撮像信号)を生成する。このようにして、各列選択部17から出力データDoutが順番に出力され、外部へ伝送される(または図示しない内部メモリーへ入力される)。
【0041】
ここで、上記のような撮像装置1では、例えば製造プロセスにおいて、埃等の異物の付着あるいはパターン不良等の影響により、読み出し制御線Lreadが電気的に短絡(ショート)することがある。具体的には、読み出し制御線Lreadと信号線Lsigとが、例えばその交差部において、電気的に短絡する場合がある(
図8B中の短絡部分X)。このような短絡部分Xが生じると、例えば列選択部17への入力(信号線Lsig)が、読み出し制御線Lreadの負電圧(Vss)となり、列選択部17内に形成された保護ダイオード180に過電流(
図8Aおよび
図8Bの電流Ix)が流れて、いわゆる線欠陥不良を引き起こす。また、短絡部分Xを含む読み出し制御線Lreadだけでなく、その周囲の配線にまで影響が及び、多重欠陥を引き起こしてしまう。このような線欠陥が生じると、取得された画像においてライン状に暗線(あるいは輝線)が発生し、画質が劣化する。
【0042】
そこで、本実施の形態では、撮像駆動時には、上述したように、信号線Lsigとの短絡部分を含む読み出し制御線Lread(欠陥保持線Lx)と、そのバッファ回路30の電源との間に設けられたスイッチSW31A,SW31Bが開状態に制御される。一方、正常な読み出し制御線Lreadとそのバッファ回路30の電源との間に設けられたスイッチSW31A,SW31Bは、閉状態に制御される。このように、各読み出し制御線Lreadに対して所定の位置にスイッチSW31A,SW31Bが設けられ、電気的短絡の有無に応じて、読み出し制御線Lread毎に、スイッチSW31A,SW31Bの開閉状態が制御される。具体的には、以下のようにして、欠陥保持線Lxを検出し、スイッチSW31A,SW31Bの開閉状態が設定、制御される。
【0043】
図9は、本実施の形態の撮像装置1の電源投入後から撮像駆動動作までの流れの一例を表したものである。このように、まず撮像装置1の電源投入(ステップS11)後、初期リセット動作として、各半導体記憶素子32に対し、Lowレベルの電圧(本開示における「第2のデータ」の一具体例に相当)を書き込む(ステップS12)。
【0044】
具体的には、
図10Aに示したように、ワード線WL(WL1,WL2,WL3,WL4,…)に対し、順次Highレベルとなるようなパルス信号が印加されることにより、線順次でデータ線DLの電圧(Lowレベル)が、各半導体記憶素子32へ書き込まれる。尚、
図10Aには、複数のワード線WLのうち、上から4〜6番目に配列されたワード線WL4〜WL6についてのみ示している。以下の図についても同様である。
【0045】
これにより、
図10Bに示したように、スイッチSW31AにはLowレベルに対応する電圧が、スイッチSW31BにはHighレベルに対応する電圧がそれぞれ供給される。この結果、スイッチSW31A,SW31Bはいずれも閉状態(オン状態)に制御され、全ての読み出し制御線Lreadが、バッファ回路30を介して負側電源30Bあるいは正側電源30Aに接続された状態となる。
【0046】
この後、各読み出し制御線LreadにおいてスイッチSW31A,SW31Bがいずれも閉状態に制御された状態で、画像(出力データDout)を取得し、欠陥保持線Lx(線欠陥座標)を検出する(ステップS13)。
【0047】
具体的には、
図11に示したように、ワード線WLにLowレベルが印加されることにより、上記のスイッチSW31A,SW31Bの閉状態を保ったまま(半導体記憶素子32のデータが書き換えられないように)、信号読み出し駆動がなされる。即ち、読み出し制御線Lread(L1,L2,L3,L4,…)に対して、順次Highレベルとなるようなパルス信号が印加されることにより、線順次で各画素20に蓄積された信号電荷が信号線Lsigへ読み出される。尚、読み出し制御線Lm(m=1,2,3,…)は、ワード線WLmに対応しており、即ち読み出し制御線L4の半導体記憶素子32にはワード線WL4が、読み出し制御線L5の半導体記憶素子32にはワード線WL5が、それぞれ接続されているものとする。
【0048】
このとき、読み出し制御線Lreadの中で、読み出し制御線L5に電気的短絡が生じている場合、この読み出し制御線L5(つまり欠陥保持線Lx)に印加される電圧は、短絡している配線(信号線Lsig)の電圧に引っ張られ、複雑な波形(
図11中には便宜上破線で示す)となる。一方、他の正常な読み出し制御線Lread(例えば読み出し制御線L4,L6等)については、順次highレベルに対応する電圧(即ち、トランジスタ22のオン電圧)が印加される。これにより、正常な読み出し制御線Lreadに接続された各画素20では、トランジスタ22がオン状態となり、蓄積された信号電荷が信号線Lsigへ読み出される。この結果、取得した画像において、読み出し制御線L5に対応する画素ライン(上から5番目の画素20の行)が線欠陥座標として検出される。
【0049】
次いで、上記のようにして検出された欠陥保持線Lx(読み出し制御線L5)に対応して設けられたスイッチSW31A,SW31Bを選択的に開状態に制御する(ステップS14)。
【0050】
具体的には、
図12Aに示したように、ワード線WLに対し、順次Highレベルとなるようなパルス信号が印加される。一方、データ線DLには、欠陥保持線Lx(読み出し制御線L5)に対応するワード線WL5がHighレベルとなるタイミングに略同期して、Highレベルが書き込まれる。このとき、データ線DLにおけるHighレベルからLowレベルへの切り替えのタイミングt1は、ワード線WL5におけるHighレベルからLowレベルへの切り替えのタイミングt2よりも遅くなるようにするとよい。ワード線WLへのパルス信号が遅延した場合に、データ線DLのLowレベルが書き込まれることを抑制できるためである。
【0051】
上記により、
図12Bに示したように、欠陥保持線Lx(読み出し制御線L5)に対応する半導体記憶素子32にのみ選択的にHighレベルが書き込まれる。これにより、スイッチSW31AにはHighレベルに対応する電圧が、スイッチSW31BにはLowレベルに対応する電圧がそれぞれ供給される。この結果、スイッチSW31A,SW31Bはいずれも開状態(オフ状態)に制御され、欠陥保持線Lx(読み出し制御線L5)が、負側電源30Bおよび正側電源30Aに対して非接続の状態となる。一方で、欠陥保持線Lx(読み出し制御線L5)以外の読み出し制御線Lread(…,L3,L4,L6,…)に対応する半導体記憶素子32にはLowレベルが書き込まれているので、スイッチSW31A,SW31Bはいずれも閉状態(オン状態)に制御(保持)される。
【0052】
このようにして読み出し制御線Lread毎に制御されたスイッチSW31A,SW31B開閉状態は、その後も保持し続けることができる。但し、製品として出荷後も、何らかの理由で線欠陥が生じることがあるので、そのような場合には、上記ステップS11〜S14の各動作を再び行い、新たな線欠陥を検出して、各読み出し制御線LreadのスイッチSW31A,SW31Bの開閉状態をリセットしてもよい。
【0053】
上記のようなスイッチSW31A,SW31Bの開閉制御の後、撮像駆動を行う(ステップS15)。このとき、
図13に示したように、ワード線WLおよびデータ線DLにはいずれもLowレベルが印加され、上記スイッチSW31A,SW31Bの閉閉状態を保ちつつ(半導体記憶素子32のデータが書き換えられないように)、信号読み出し駆動が行われる。即ち、読み出し制御線Lreadに対して、順次Highレベルとなるようなパルス信号を印加することにより、線順次で各画素20に蓄積された信号電荷を信号線Lsigへ読み出す。
【0054】
このとき、
図14Aに示したように、正常な読み出し制御線Lread(例えば読み出し制御線L4,L6等)では、スイッチSW31A,SW31Bが閉状態に制御されている。このため、
図13に示したように、読み出し制御線L4,L6等には、順次Highレベルに対応する電圧(即ちトランジスタ22のオン電圧)が印加される。これにより、トランジスタ22がオン状態に制御され、画素20から信号電荷が信号線Lsigへ読み出される。一方、
図14Bに示したように、欠陥保持線Lx(読み出し制御線L5)では、スイッチSW31A,SW31Bが開状態に制御されている。このため、
図13に示したように、欠陥保持線Lx(読み出し制御線L5)の電圧がHighレベルにはならず、例えば一定のDC電圧Vxが印加された状態となる。
【0055】
従って、欠陥保持線Lxに起因する信号電圧の変動が抑制され、過電流Ix(
図8Aおよび
図8B)の発生が抑制され、線欠陥不良が抑制される。また、欠陥保持線Lxの周囲の配線(例えば、欠陥保持線Lxに隣接する読み出し制御線L4,L6等)にまで影響が及ぶことが抑制される(多重欠陥が抑制される)。
【0056】
また、最終的に取得された画像データ(出力データDout)において、欠陥保持線Lxに対応するラインデータ分は、隣接するラインデータ(例えば上記の例では読み出し制御線L4,L6に対応するラインデータ等)から容易に画像補間することが可能である。ここで、上記のような多重欠陥が生じた場合、複数のラインデータ分を補間することが求められるが、補間対象のライン数が増えると、画像補間が困難となる(補間精度が低下する)。このため、本実施の形態のように、短絡部分を含む欠陥保持線Lxを予め検出し、オン電圧あるいはオフ電圧が印加されないように制御することにより、短絡部分による影響を最小限に留め、画質の劣化を抑制することができる。
【0057】
以上のように本実施の形態では、各画素20のトランジスタ22のオンオフ制御を行うための複数の読み出し制御線Lreadと、それらの各バッファ回路30の電源(正側電源30Aおよび負側電源30B)との間に、スイッチSW31A,SW31Bを設ける。撮像駆動時には、複数の読み出し制御線Lreadのうちの欠陥保持線Lxと、そのバッファ回路30の電源との間に設けられたスイッチSW31A,SW31Bが開状態に制御され、その他のスイッチSW31A,SW31Bは閉状態に制御される。このようなスイッチ制御状態を保持しつつ、信号読み出しを行うことにより、線欠陥不良や多重欠陥の発生を抑制することができる。よって、撮像画質の劣化を抑制することが可能となる。
【0058】
また、短絡部分Xを含む欠陥保持線Lxを、非破壊で検出し、電気的に遮断することができる。一般に、線欠陥対策として、レーザリペアによる手法が用いられるが、この場合、画素部11の受光面側に形成される波長変換層112(シンチレータ)の潮解性によりリペア領域に配置された配線等が腐食する場合がある。本実施の形態では、スイッチ制御により電気的遮断が可能であるため、そのような腐食の発生を回避することもできる。また、レーザリペアの工程を行わずに済むため、製造タクトが向上する、という利点もある。
【0059】
尚、一般に、配線パターンの検査では、例えば、自動で顕微鏡を動かしながら配線パターンを撮影して画像出力するシステムと、その撮影画像から異常パターンを認識するソフトウェアとを用いて、異常個所を検出する手法が用いられる。本実施の形態では、そのような手法を用いても検出困難な短絡部分Xを有する場合にも対応可能である。
【0060】
以下、上記実施の形態の変形例について説明する。尚、上記実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
<変形例1>
図15は、変形例1に係る行走査部13、画素20および列選択部17のうちの要部構成を表す回路図である。上記実施の形態では、読み出し制御線Lreadの短絡部分Xが、信号線Lsigとの交差部に生じる場合を例示したが、短絡部分Xは、信号線Lsig以外の他の配線との間で生じることもある。例えば、本変形例では、画素20の光電変換素子21に接続されるバイアス線(固定電位線)Lbiasとの交差部に、短絡部分Xが生じている場合について説明する。
【0062】
本変形例においても、上記実施の形態と同様、短絡部分Xを含む読み出し制御線Lread(欠陥保持線Lx)と、バッファ回路30の電源(負側電源30Bおよび正側電源30A)との間に、スイッチSW31A,SW31Bが設けられている。また、これらのスイッチSW31A,SW31Bの制御は、半導体記憶素子32(SRAM)を含むスイッチ制御回路33によってなされる。更に、上記実施の形態と同様にして欠陥保持線Lxを検出し、読み出し制御線Lread毎にスイッチSW31A,SW31Bの開閉状態を設定、制御することができる。そして、撮像駆動時には、欠陥保持線LxにおいてスイッチSW31A,SW31Bをいずれも開状態に制御しつつ信号読み出しを行うことにより、多重欠陥が抑制され、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0063】
但し、本変形例では、上記実施の形態と同様の初期リセット動作後の欠陥検出時において、短絡部分Xを含む欠陥保持線Lxに印加される電圧の波形が、上記実施の形態の場合と異なっている。具体的には、
図16に示したように、欠陥検出時において、スイッチSW31A,SW31Bが閉状態に制御された状態で、全読み出し制御線Lreadに対し、順次Highレベルとなるようなパルス信号が印加されると、短絡部分Xを含む読み出し制御線L5(欠陥保持線Lx)に印加される電圧は、短絡している配線(バイアス線Lbias)の電圧に引っ張られ、振幅が変化する。ここでは、highレベルが低下し(High’<High)、振幅が小さくなっている。この結果、欠陥保持線Lxに対応する画素ライン(欠陥保持線Lxに接続された画素20の行)では、トランジスタ22がオン状態とならず、信号電荷が出力されない。一方、他の正常な読み出し制御線Lreadについては、上記実施の形態と同様、順次highレベルに対応する電圧(トランジスタ22のオン電圧)が印加され、画素20から信号電荷が読み出される。従って、取得した画像において、読み出し制御線L5に対応する画素ライン(上から5行目)が線欠陥座標として検出される。
【0064】
尚、欠陥保持線Lxの短絡部分Xは、上述のような信号線Lsigおよびバイアス線Lbiasに限られず、それら以外の配線との間において生じたものであってもよい。あるいは、短絡部分Xは、必ずしも配線同士の交差部に発生したものでなくともよい。いずれの場合であっても、上述のような欠陥検出動作により、電圧波形に何らかの変化が生じることから、欠陥保持線Lxを検出することが可能である。
【0065】
<変形例2>
図17は、変形例2に係る撮像装置の全体構成を表す模式図である。上記実施の形態では、行走査部13(バッファ回路30およびスイッチ制御回路33を含む)、列走査部15およびシステム制御部16等の回路ブロックを、画素部11と同一基板上に形成した場合を例示したが、上記回路ブロックは、画素部11と異なる基板上に形成されていてもよい。例えば、画素部11を非晶質シリコン等の低移動度素子により形成した場合、上記回路ブロックは、画素部11と同一の基板(ガラス等)上に形成困難であるため、別基板上にドライバIC(Integrated Circuit)13Aとして形成され、画素部11と接続される。
【0066】
<変形例3>
図18は、変形例3に係る行走査部、画素部および列選択部の要部構成を表す回路図である。上記実施の形態では、読み出し制御線Lreadと正側電源30Aとの間、および読み出し制御線Lreadと負側電源30Bとの間のそれぞれに、スイッチ(スイッチSW31A,SW31B)を設けたが、必ずしも正負の電源の両側にスイッチを有する必要はない。本変形例では、読み出し制御線Lreadと、バッファ回路30の負側電源30Bとの間にのみスイッチ(スイッチSW31B)が設けられている。
【0067】
画素20のトランジスタ22がnチャネル型である場合、負側電源30Bからバッファ回路30を介して供給される電圧が、トランジスタ22をオフ状態に制御する電圧(オフ電圧)となる。ここで、トランジスタ22は、信号電荷を信号線Lsigへ転送する際に一時的にオン状態とされ、それ以外の期間はオフ状態に制御される。つまり、トランジスタ22では、オフ状態に制御される期間の方が、オン状態に制御される期間よりも長い。このため、正側と負側のどちらか一方にスイッチを配置する場合、トランジスタ22がnチャネル型の場合には、負側電源30Bの側にスイッチSW31Bを設けることで、線欠陥による影響を有効に軽減することができる。尚、これに限られず、その他の目的で、正側電源30Aの側のみにスイッチを設けてもよい。但し、上記実施の形態において説明したように、正側電源30Aおよび負側電源30Bの両方の側にスイッチSW31A,SW31Bを設けることが、線欠陥不良および多重欠陥を抑制する上で望ましい。
【0068】
<変形例4−1,4−2>
図19Aは、変形例4−1に係る行走査部、画素部および列選択部の要部構成を表す回路図である。
図19Bは、変形例4−2に係る行走査部、画素部および列選択部の要部構成を表す回路図である。上記実施の形態および変形例3等では、画素20に設けられたトランジスタ22が、nチャネル型である場合について説明したが、pチャネル型のトランジスタ(トランジスタ22p)であってもよい。
【0069】
この場合にも、トランジスタ22pに接続された読み出し制御線Lreadと、正側電源30Aおよび負側電源30Bとの間にスイッチSW31A,SW31Bを設けてもよいし(
図19A)、正側電源30Aと負側電源30Bの一方の側にスイッチを設けてもよい。但し、トランジスタ22pは、pチャネル型であることから、正側電源30Aからバッファ回路30を介して供給される電圧が、トランジスタ22pをオフ状態に制御する電圧(オフ電圧)となる。このため、上記変形例3の場合と同様の理由から、トランジスタ22pがpチャネル型の場合には、正側電源30Aの側にスイッチSW31Aを設ける(
図19B)ことで、線欠陥による影響を有効に軽減することができる。尚、これに限られず、その他の目的で、負側電源30Bの側のみにスイッチを設けてもよい。
【0070】
<変形例5−1,5−2>
図20Aは、変形例5−1に係る行走査部、画素部および列選択部の要部構成を表す回路図である。
図20Bは、変形例5−2に係る行走査部、画素部および列選択部の要部構成を表す回路図である。上記実施の形態では、スイッチSW31Aを、バッファ回路30のトランジスタ301pと正側電源30Aとの間、スイッチSW31Bをトランジスタ301nと負側電源30Bとの間にそれぞれ設けた構成を例示したが、スイッチSW31A,SW31Bのレイアウトはこれに限定されない。例えば、本変形例のように、スイッチSW31Aを、トランジスタ301pと読み出し制御線Lreadとの間、スイッチSW31Bを、トランジスタ301nと読み出し制御線Lreadとの間に、それぞれ設けてもよい。尚、
図20Aは画素20内にトランジスタ22(nチャネル型)を設けたもの、
図20Bは、画素20内にトランジスタ22p(pチャネル型)を設けたものである。このように、本変形例では、バッファ回路30内に、スイッチSW31A,SW31Bが配置された構成となっている。つまり、スイッチSW31A,SW31Bは、読み出し制御線Lreadと、正側電源30A(または負側電源30B)との間の配線上であれば、どこに配置されていても構わない。
【0071】
<変形例6−1,6−2>
図21Aは、変形例6−1に係る行走査部、画素部および列選択部の要部構成を表す回路図である。
図21Bは、変形例6−2に係る行走査部、画素部および列選択部の要部構成を表す回路図である。本変形例のように、上記変形例5−1,5−2において説明したスイッチSW31A,SW31Bのうち、どちらか一方のみを配置するようにしてもよい。具体的には、
図21Aの例では、画素20のトランジスタ22がnチャネル型であるため、負側電源30B側(トランジスタ301nと読み出し制御線Lreadとの間)に、スイッチSW31Bを設けている。
図21Bの例では、画素20のトランジスタ22pがpチャネル型であるため、正側電源30A側(トランジスタ301pと読み出し制御線Lreadとの間)に、スイッチSW31Aを設けている。
【0072】
<変形例7−1,7−2>
図22Aは、変形例7−1に係る行走査部、画素部および列選択部の要部構成を表す回路図である。
図22Bは、変形例7−2に係る行走査部、画素部および列選択部の要部構成を表す回路図である。上記実施の形態等では、読み出し制御線Lreadと、正側電源30Aおよび負側電源30Bとの各間またはどちらか一方に、スイッチSW31A,SW31Bを設けたが、本変形例のように、読み出し制御線Lread上に1つのスイッチ(スイッチSW31AB)を設けた構成であってもよい。この場合、スイッチSW31ABは、p型トランジスタとn型トランジスタとを組み合わせたCMOS構造を有している。回路上は、上記実施の形態において説明した構造と等価であるが、製造プロセスや素子レイアウト上、上記実施の形態の構造と異なっている。
【0073】
<変形例8>
図23は、変形例8に係る画素(画素20A)の回路構成を、列選択部17の回路構成例と共に表したものである。この画素20Aは、上記実施の形態の画素20と同様、パッシブ型の回路構成となっており、1つの光電変換素子21と1つのトランジスタ22とを有している。また、この画素20Aには読み出し制御線Lreadと、信号線Lsigとが接続されている。
【0074】
但し、本変形例の画素20Aでは、上記実施の形態の画素20と異なり、光電変換素子21のアノードが蓄積ノードNに接続され、カソードが電源に接続されている。このように、画素20Aにおいて光電変換素子21のアノードに蓄積ノードNが接続されていてもよく、このような構成の画素20Aにおいても、上記実施の形態の撮像装置1と同等の効果を得ることができる。
【0075】
<変形例9>
図24は、変形例9に係る画素(画素20B)の回路構成を、列選択部17の回路構成例と共に表したものである。この画素20Bは、上記実施の形態の画素20と同様、パッシブ型の回路構成となっており、読み出し制御線Lreadと、信号線Lsigとに接続されている。
【0076】
但し、本変形例では、画素20Bにおいて、1つの光電変換素子21と共に2つのトランジスタ(トランジスタ22A,22B)を有している。これら2つのトランジスタ22A,22Bは、互いに直列に接続されている(一方のソースまたはドレインと他方のソースまたはドレインとが電気的に接続されている。また、各トランジスタ22A,22Bにおける各ゲートは読み出し制御線Lreadに接続されている。
【0077】
このように、画素20B内に2つのトランジスタ22A,22Bを設け、これらのトランジスタ22A,22Bに読み出し制御線Lreadが接続されている場合にも、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0078】
<変形例10−1,10−2>
図25は、変形例10−1に係る画素(画素20C)の回路構成を、以下説明する列選択部17Bの回路構成例とともに表したものである。
図26は、変形例10−2に係る画素(画素20D)の回路構成を、列選択部17Bの回路構成例とともに表したものである。これらの画素20C,20Dはそれぞれ、これまで説明した画素20,20A,20Bとは異なり、いわゆるアクティブ型の画素回路を有している。
【0079】
これらの画素20C,20Dには、1つの光電変換素子21と、3つのトランジスタ22,23,24とが設けられている。これらの画素20C,20Dにはまた、読み出し制御線Lreadおよび信号線Lsigに加え、リセット制御線Lrstが接続されている。
【0080】
画素20C,20Dではそれぞれ、トランジスタ22のゲートが読み出し制御線Lreadに接続され、ソースが信号線Lsigに接続され、ドレインが、ソースフォロワ回路を構成するトランジスタ23のソースに接続されている。トランジスタ23のドレインは電源VDDに接続され、ゲートは、蓄積ノードNを介して、光電変換素子21のカソード(
図25の例)またはアノード(
図26の例)と、リセット用トランジスタとして機能するトランジスタ24のソースとに接続されている。トランジスタ24のゲートはリセット制御線Lrstに接続され、ドレインにはリセット電圧Vrstが印加される。
図25の変形例10−1では、光電変換素子21のアノードがグランドに接続(接地)され、
図26の変形例10−2では、光電変換素子21のカソードが電源に接続されている。
【0081】
列選択部17Bは、前述の列選択部17において、チャージアンプ172、容量素子C1およびスイッチSW1に代わりに、定電流源171およびアンプ176を設けたものとなっている。アンプ176では、正側の入力端子には信号線Lsigが接続されると共に、負側の入力端子と出力端子とが互いに接続され、ボルテージフォロワ回路が形成されている。尚、信号線Lsigの一端側には定電流源171の一方の端子が接続され、この定電流源171の他方の端子には電源VSSが接続されている。
【0082】
このようなアクティブ型の画素20C,20Dを有する撮像装置においても、上記実施の形態と同様、読み出し制御線Lread毎にスイッチSW31A,SW31Bを設け、これらのスイッチSW31A,SW31Bの開閉状態を制御しつつ信号読み出しを行うことにより、上記実施の形態と同等の効果を得ることが可能である。また、本変形例のように、画素20C,20Dが2以上のスイッチング素子を含む場合、少なくとも1つのスイッチング素子の開閉制御を行うための制御線(ゲート線)に対応して、スイッチSW31A,SW31Bを設ければよい。例えば、上記実施の形態と同様、信号読み出し用のトランジスタ22のゲートに接続される読み出し制御線Lreadに対して設けてもよいし、あるいはトランジスタ24のゲートに接続されるリセット制御線Lrstに対して設けてもよい。また、読み出し制御線Lreadとリセット制御線Lrstとの両方にそれぞれスイッチSW31A,SW31Bを設けるようにしてもよい。
【0083】
<適用例>
上記実施の形態等に係る撮像装置は、以下に説明するような撮像表示システムとして、入射した放射線(例えばX線)に基づいて電気信号を得る、様々な種類の放射線撮像装置へ利用される。例えば、医療用のX線撮像装置(Digital Radiography等)、空港等で用いられる携帯物検査用X線撮影装置、あるいはコンテナ内の危険物検査等に用いられる工業用X線撮像装置などに適用可能である。
【0084】
図27は、適用例に係る撮像表示システム(撮像表示システム5)の概略構成例を模式的に表したものである。撮像表示システム5は、上述の画素部11を有する撮像装置1と、画像処理部52と、表示装置4とを備えている。
【0085】
画像処理部52は、撮像装置1から出力される出力データDout(撮像信号)に対して所定の画像処理を施すことにより、画像データD1を生成するものである。表示装置4は、画像処理部52において生成された画像データD1に基づく画像表示を、所定のモニタ画面40上で行うものである。
【0086】
この撮像表示システム5では、撮像装置1が、光源(X線源等の放射線源)51から被写体50に向けて照射された放射線に基づき、被写体50の画像データDoutを取得し、画像処理部52へ出力する。画像処理部52は、入力された画像データDoutに対して所定の画像処理を施し、その画像処理後の画像データ(表示データ)D1を表示装置4へ出力する。表示装置4は、入力された画像データD1に基づいて、モニタ画面40上に画像情報(撮像画像)を表示する。
【0087】
このように、本適用例の撮像表示システム5では、撮像装置1において被写体50の画像を電気信号として取得可能であるため、取得した電気信号を表示装置4へ伝送することによって画像表示を行うことができる。即ち、従来のような放射線写真フィルムを用いることなく、被写体50の画像を観察することが可能となり、また、動画撮影および動画表示にも対応可能となる。
【0088】
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げたが、本開示内容はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、画素部11における画素の回路構成は、上記実施の形態等で説明したもの(画素20,20A〜20Dの回路構成)には限られず、他の回路構成であってもよい。同様に、行走査部や列選択部等の回路構成についても、上記実施の形態等で説明したものには限られず、他の回路構成であってもよい。
【0089】
尚、本開示は以下のような構成であってもよい。
(1)
各々が、入射波長に基づいて信号電荷を発生する光電変換素子と、1または複数のスイッチング素子とを含む複数の画素と、
前記1または複数のスイッチング素子のうち少なくとも1つの第1のスイッチング素子の開閉制御を行うために設けられた複数の制御線と、
前記制御線毎に設けられ、各制御線へ電圧を出力するバッファ回路と、
前記制御線と前記バッファ回路の電源との間に設けられた第2のスイッチング素子と、
前記第2のスイッチング素子の開閉制御を行うスイッチ制御回路と
を備え、
前記スイッチ制御回路は、撮像駆動時において、前記複数の制御線の中で電気的な短絡部分を含む欠陥保持線とそのバッファ回路の電源との間に設けられた第2のスイッチング素子を開状態に制御し、その他の第2のスイッチング素子を閉状態に制御する
撮像装置。
(2)
前記バッファ回路はCMOS回路を含むと共に、低電圧源および高電圧源に接続され、
前記第2のスイッチング素子は、前記低電圧源および高電圧源の少なくとも一方と、前記制御線との間に設けられている
上記(1)に記載の撮像装置。
(3)
前記第2のスイッチング素子は、前記低電圧源と前記制御線との間、および前記高電圧源と前記制御線との間にそれぞれ設けられている
上記(2)に記載の撮像装置。
(4)
前記第1のスイッチング素子はnチャネル型のトランジスタであり、
前記第2のスイッチング素子は、少なくとも前記低電圧源と前記制御線との間に設けられている
上記(2)に記載の撮像装置。
(5)
前記第1のスイッチング素子はpチャネル型のトランジスタであり、
前記第2のスイッチング素子は、少なくとも前記高電圧源と前記制御線との間に設けられている
上記(2)に記載の撮像装置。
(6)
前記スイッチ制御回路は、
前記制御線毎に半導体記憶素子を含み、
各半導体記憶素子へのデータ書き込みにより、前記制御線毎に、前記第2のスイッチング素子を開状態または閉状態に制御する
上記(1)〜(5)のいずれかに記載の撮像装置。
(7)
前記スイッチ制御回路は、
前記欠陥保持線に対応して設けられた前記半導体記憶素子に第1のデータを書き込むことにより、対応する第2のスイッチング素子を開状態に制御し、
前記欠陥保持線以外の制御線に対応して設けられた前記半導体記憶素子に第2のデータを書き込むことにより、対応する第2のスイッチング素子を閉状態に制御する
上記(6)に記載の撮像装置。
(8)
前記複数の画素の読み出し駆動を行う駆動部を備え、
前記半導体記憶素子に前記第2のデータが書き込まれることにより全ての第2のスイッチング素子が閉状態に制御された状態において、
前記駆動部は、
前記複数の画素のそれぞれから前記信号電荷に基づく画像データを取得し、
前記画像データに基づいて前記欠陥保持線を検出する
上記(7)に記載の撮像装置。
(9)
前記複数の画素の読み出し駆動を行う駆動部を備え、
前記駆動部、前記バッファ回路および前記スイッチ制御回路が、前記複数の画素と同一基板上に形成されている
上記(1)〜(8)のいずれかに記載の撮像装置。
(10)
前記複数の画素の読み出し駆動を行う駆動部を備え、
前記駆動部、前記バッファ回路および前記スイッチ制御回路が、前記複数の画素と異なる基板上に形成されている
上記(1)〜(8)のいずれかに記載の撮像装置。
(11)
前記欠陥保持線は、各画素から前記信号電荷が出力される信号線と電気的に短絡した部分を有する
上記(1)〜(10)のいずれかに記載の撮像装置。
(12)
前記欠陥保持線は、前記光電変換素子に接続されるバイアス線と電気的に短絡した部分を有する
上記(1)〜(11)のいずれかに記載の撮像装置。
(13)
前記半導体記憶素子は、SRAM(Static Random Access Memory)である
上記(6)〜(8)のいずれかに記載の撮像装置。
(14)
間接変換型の放射線撮像装置である
上記(1)〜(13)のいずれかにに記載の撮像装置。
(15)
前記光電変換素子が、PIN型のフォトダイオード、PN型のフォトダイオードまたはMIS型センサからなる
上記(14)に記載の撮像装置。
(16)
直接変換型の放射線撮像装置である
上記(1)〜(13)のいずれかに記載の撮像装置。
(17)
前記放射線はX線である
上記(14)に記載の撮像装置。
(18)
撮像装置と、この撮像装置により得られた撮像信号に基づく画像表示を行う表示装置とを備え、
前記撮像装置は、
各々が、入射波長に基づいて信号電荷を発生する光電変換素子と、1または複数のスイッチング素子とを含む複数の画素と、
前記1または複数のスイッチング素子のうち少なくとも1つの第1のスイッチング素子の開閉制御を行うために設けられた複数の制御線と、
前記制御線毎に設けられ、各制御線へ電圧を出力するバッファ回路と、
前記制御線と前記バッファ回路の電源との間に設けられた第2のスイッチング素子と、
前記第2のスイッチング素子の開閉制御を行うスイッチ制御回路と
を備え、
前記スイッチ制御回路は、撮像駆動時において、前記複数の制御線の中で電気的な短絡部分を含む欠陥保持線とそのバッファ回路の電源との間に設けられた第2のスイッチング素子を開状態に制御し、その他の第2のスイッチング素子を閉状態に制御する
撮像表示システム。