(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1で用いられるモールド金型は、上型インサートが可動に設けられた上型とワーク(基板など)を載置するリジッド構造の下型とでワークをクランプするようになっているため、例えばワークが単層基板のように厚みのばらつきが小さい場合には問題はないが、多層基板のように厚みのバラツキが大きい場合には、クランパと基板とのクランプ力にばらつきが生じて、モールド樹脂のフラッシュばりが発生してしまい、成形品質が低下するおそれがあった。
【0006】
例えば、ワークをモールド樹脂から露出させて成形する製品、具体的には放熱部を有する製品においては、樹脂フラッシュによって成形品質が低下するおそれがある。
また、樹脂フラッシュを抑えようとして金型クランプ力を強めると、ワークに過大なクランプストレスが作用してワークが破損したり損傷したりするおそれがあった。また、メモリ等の薄型化した製品の場合、成形厚がワークの厚みの影響を受けてしまい、成形厚を均一に成形することが困難となる場合があった。
【0007】
本発明は上記従来技術の課題を解決し、ワークの厚みのばらつきの有無や大小にかかわらず、ワークに過大なストレスが作用せずにクランプすることが可能な樹脂モールド金型及びこれを用いて型締めバランスが安定し、フラッシュばりの生じない成形品質を高めた樹脂モールド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
即ち、第一部材に第二部材が搭載されたワークを樹脂モールドする樹脂モールド金型であって、キャビティ底部を形成するキャビティ駒と、該キャビティ駒を囲んで配置された第一インサートにより、前記第二部材が収容されるキャビティを構成するキャビティ凹部が形成され、
前記キャビティ駒の前記第一部材の押圧面が凸面部に形成されその周囲は凹溝部が形成された凹凸面が形成されている一方の金型と、前記ワークを支持するワーク支持部と、前記ワーク支持部に隣接する第二インサートを備えた他方の金型と、前記一方の金型又は他方の金型のいずれかに組み付けられモールド樹脂を供給するポット及びプランジャと、前記キャビティ駒を型開閉方向に
相対的に移動させることにより前記第二部材の高さに合わせて前記キャビティ凹部の高さを可変とするキャビティ高さ可変機構と、前記ワーク支持部を前記第二インサートに対して型開閉方向に移動させることにより前記第一部材の厚さに合わせて前記ワーク支持部の高さを可変とする板厚可変機構と、を具備し、前記第一部材の厚さに合わせて前記板厚可変機構により前記ワーク支持部の高さを調整すると共に
前記第一インサートにより前記第一部材をクランプすることで、前記キャビティ高さ可変機構により前記キャビティ駒が相対移動して前記押圧面に形成された前記凸面部が前記二部材
の露出面を押さえたまま周囲の前記凹溝部にモールド樹脂が充填されて樹脂モールドされることを特徴とする。
【0009】
上記樹脂モールド金型を用いれば、すべてのワーク(第一部材、第二部材)に対して型開閉方向の厚さのばらつきの有無やばらつき量の大小にかかわらず、ワーク支持部及びキャビティ凹部の高さを調整するので、ワークに過大なストレスが作用せず型締めバランスを安定させて樹脂フラッシュばりの発生を防ぐことが可能になる。
この場合、例えば半導体チップの発光面をキャビティ駒の凸面部により押さえて露出させると共にその周囲を囲む凹溝部に粘度の低いシリコーン樹脂(白色樹脂)を充填して発光面を囲むリフレクタをトランスファモールドにより効率よく成形することができる。更にはフリップチップ実装された半導体チップであれば、基板との間に溶融樹脂を導いてアンダーフィルモールドを行うことができる。
【0010】
また、前記キャビティ高さ可変機構は、駆動源により可動テーパーブロックを移動させて前記キャビティ駒の型開閉方向の位置を調節するウェッジ機構が設けられていてもよい。
この場合には、キャビティ駒の型開閉方向の位置制御を高精度化することができるので、金型クランプ時にワーク(第二部材)に作用するストレスを可及的に低減でき、高精度な成形品質を維持することができる。
【0011】
また、前記キャビティ高さ可変機構は、前記キャビティ駒及び前記第一インサートの一方又は双方が前記一方の金型チェイスにフローティング支持されていてもよい。
この場合には、型開閉動作にともなってキャビティ駒及び/又は第一インサートのフロート量を調整することでキャビティの深さ(基板からキャビティ駒までの高さ)を瞬時に変更することができる。特に、第二部材の第一部材からの高さ位置のばらつきがあっても、キャビティ駒及び/又は第一インサートのフロート構造により樹脂容量の差を吸収して樹脂モールドすることができる。
【0012】
また、前記板厚可変機構は、駆動源により可動テーパーブロックを移動させて前記ワーク支持部の型開閉方向の位置を調節するウェッジ機構が設けられていてもよい。
この場合には、ワーク支持部の型開閉方向の位置制御を高精度化することができるので、金型クランプ時にワーク(第一部材)に作用するストレスを可及的に低減でき、高精度な成形品質を維持することができる。
【0013】
また、前記第一インサートのクランプ面にはダミーキャビティが設けられており、前記キャビティ凹部より前記ダミーキャビティへ前記余剰樹脂を収容するのが好ましい。
これにより、キャビティ凹部へ充填されるモールド樹脂に発生したボイドをダミーキャビティへ押し流して成形品質を向上させることができる。特に、アンダーフィルモールドを行う際の樹脂充填性を向上させることができる。
【0014】
また、前記第一インサートの前記ダミーキャビティより外周側に対向するクランプ面を押圧することでエアの排出を停止させる閉止手段を備えていてもよい。
この場合、希望するタイミングで閉止手段により減圧空間からのエアの排出を停止させてダミーキャビティからの樹脂漏れやキャビティ内の樹脂の未充填を防ぐことができる。
【0015】
前記一方の金型と他方の金型とが型閉じする前に外部空間とは遮断された閉鎖空間が形成され、当該閉鎖空間内を減圧することで前記キャビティを含む減圧空間が形成される減圧機構を備えていることが望ましい。
これにより、キャビティ内に残存するエアを排気してモールド樹脂にボイドが発生し難くなる。
【0016】
また、前記第二部材を収容する貫通孔とこれに連通する樹脂路が形成され、前記ワーク支持部に支持された第一部材外周端部と前記第二インサートとの隙間を跨いで前記他方の金型クランプ面に重ね合わせて用いられる中間プレートを備えていてもよい。
この場合、第一部材(例えば基板)にランナ用の金めっきは不要になり、フィラーが微細で低粘度の流動性が高いモールド樹脂を用いても第一部材と金型との隙間にモールド樹脂が漏れて金型の摺動不良を起こすおそれもなくなる。
【0017】
また、前記中間プレートの前記第一部材より外周側にはダミーキャビティが設けられており、前記貫通孔より前記ダミーキャビティへ前記余剰樹脂を収容するようにしてもよい。この場合、ダミーキャビティが第一部材より外周側に形成されていると、第一部材(例えば基板)上の成形品の取り個数を増やして基板の利用率を向上させることができる。
また、ダミーキャビティが中間プレートを貫通する貫通孔に形成されていると、不要樹脂の離型が容易になる。
【0018】
また、前記第二部材に当接する前記キャビティ駒のワーク当接面と反対面に対向配置されたガイド駒のガイド面部にガイドされて前記キャビティ駒が傾動可能なスイベル機構を備えていてもよい。
これにより、第一部材(例えば基板)に搭載された第二部材(例えば半導体チップ)に傾きが生じていても、キャビティ駒とリリースフィルムを介して片当たりすることなく第二部材の傾きに倣ってキャビティ駒が傾動するので、第二部材に過度のストレスが作用することはなく第二部材が損傷したり破損したりするおそれがなくなる。
【0020】
また前記キャビティ凹部を含む前記一方の金型クランプ面を覆って吸着保持されるリリースフィルムを備えていると、キャビティ凹部にモールド樹脂が直接接触することがないので、金型メンテナンスを軽減することができかつ樹脂漏れを防ぐことができる。また、キャビティ底部を形成するキャビティ駒がリリースフィルムを介してワークに当接することで、ワーク面が傷つくことを防止することができる。
【0021】
また、樹脂モールド装置においては前述したいずれかの樹脂モールド金型を備えると共に、ワーク供給部と、前記樹脂モールド金型によりワークをクランプして樹脂モールドするプレス部と、成形品の収納部と、を備え、
前記第一インサートにより前記第一部材をクランプすることで、前記キャビティ駒の押圧面に形成された凸面部が前記二部材
の露出面を押さえたまま周囲の前記凹溝部にモールド樹脂が充填されることを特徴とする。
上記樹脂モールド装置を用いれば、樹脂モールド金型をクランプする際にワークである第一部材や第二部材に作用するストレスを可及的に減らすことができる。
【0022】
前記プレス部に隣接して液状樹脂供給部が設けられており、前記プレス部の型開きしたモールド金型のポット内に供給ノズルを進退動させて液状樹脂を供給するようにしてもよい。この場合には、低粘度のエポキシ系の液状樹脂を用いたフリップチップ実装された半導体チップのアンダーフィルモールドがトランスファモールドにより実現でき、或いは粘度の低いシリコーン樹脂によるLEDやリフレクタなどの成形品質を高めて長寿命化を図ることができる。
尚、液状樹脂に限らずタブレット樹脂であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
上述した本発明を用いれば、ワークの厚みのばらつきの有無や大小にかかわらず、ワークに過大なストレスが作用せずにクランプすることが可能な樹脂モールド金型を提供し、これを用いて型締めバランスが安定し、樹脂フラッシュばりの生じない成形品質を高めた樹脂モールド装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る樹脂モールド装置の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。以下の実施形態では、上型側にキャビティ凹部が形成され下型側にポットが形成されるモールド金型を用いたトランスファ成形装置を例示して説明する。また、トランスファ成形装置では、下型を可動型とし上型を固定型として説明する。
【0026】
[実施例1]
本実施形態の樹脂モールド装置は、
図1に示すように、ワーク供給部A、ワークを予熱する予熱部B、ワークを樹脂モールドするプレス部C、樹脂モールド後の成形品収納部D及び搬送機構Eを備える。プレス部Cは、ワークをクランプして樹脂モールドするモールド金型が装着されたプレス装置を備える。搬送機構Eはプレス部Cへワークを搬入し、プレス部Cから成形品を搬出する搬送作用をなす。
【0027】
(ワーク供給部A)
図1において、ワーク供給部Aは、例えば短冊状に形成された基板(リードフレーム、樹脂基板等)1を収納したマガジンを収納するストッカを備えている。各マガジンからプッシャにより切り出された基板1が、例えば2枚一組でセット台2に向い合わせで並べる。尚、基板1の向きを一方向に揃え収納したマガジンからプッシャによってターンテーブルに向かい合わせに並べ替え、当該ターンテーブルからセット台2に基板1を移送するようにしてもよい。
【0028】
セット台2の側方にはモールド金型のポットの平面配置に合わせて樹脂タブレット3を供給するためのタブレット供給部4が設けられている。セット台2の基板1は、後述する搬送機構E(ローダ16)によって保持されて予熱部Bへ移送される。また、タブレット供給部4の樹脂タブレット3は、ローダ16によって保持されてプレス部Cへ移送される。
【0029】
樹脂モールドの対象となるワーク(被成形品)は、本発明の「第一部材」に相当し例えば短冊状に形成された基板1上に本発明の「第二部材」に相当する半導体チップ5が実装(フリップチップ実装、ワイヤボンディング実装等)された製品である(
図2(B)参照)。尚、基板1に1段あるいは複数段に半導体チップ5が搭載された製品、基板1に半導体装置が搭載された製品、基板1に撮像素子が搭載され撮像素子の受光面に光透過ガラスを接合した製品等も対象となる。また、本発明における「第一部材」としては、樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、リードフレーム、キャリア及びウェハといった各種の板状の部材を用いることができる。本発明における「第二部材」としては、半導体チップの他にも、放熱板、配線及び放熱のために用いられるリードフレーム、電気的接続のためのバンプのような電子部品といった各種の部材を用いることができる。したがって、本発明における「ワーク」は、これらの「第一部材」上に「第二部材」を搭載して重ね合わされた状態のものをいう。樹脂モールドする形態も、個々の搭載部品ごとに個別にキャビティに収容して樹脂モールドする場合もあれば、基板実装された複数の搭載部品を一つのキャビティに収容して一括して樹脂モールドする場合もある。これらの構成により、後述する樹脂モールドを行うことで第一部材の端面と第二の部材の端面とを露出するように封止することもできる。
【0030】
(予熱部B)
ワーク供給部Aから供給された基板1は、後述する搬送機構Eのうちローダ16によって測定台から予熱部Bに設けられた図示しないヒータブロックに移載される。ヒータブロックは、基板1を載置したまま所定温度までプリヒートする。ヒータブロックは、その周囲を開閉式のカバーに覆われるようにして他のユニットへの影響を抑える構成とするのが好ましい。プリヒート後の基板1はローダ16に保持されてプレス部Cへ搬送される。
【0031】
(プレス部C)
プレス部Cは、モールド金型19(
図2(A)参照)を開閉駆動してプリヒートされたワークをクランプして樹脂モールドするプレス装置6を備える。プレス装置6は、後述するモールド金型19を型開閉方向に押動するプレス機構、モールド金型19のポット35内で溶融した樹脂をポット35からキャビティ凹部32(
図2(A)参照)に充填するトランスファ機構を備える。
【0032】
プレス装置6は、キャビティ駒23(
図2(A)参照)を型開閉方向に押動するキャビティ高さ可変機構及びワーク支持部37(
図2(A)参照)を型開閉方向に押動する板厚可変機構を備えている。キャビティ高さ可変機構は、例えば上型のインサート部材(キャビティ駒23)を型開閉方向に押動することでキャビティ凹部の高さを相対的に可変とする上型駆動部7を備える。この上型駆動部7は、1個の基板に対して設けられるキャビティの数(換言すれば、キャビティ駒23の数)だけ後述するサーボモータ31を有し、キャビティの高さを個別に調整可能に構成されている。従って、長方形の基板1において、複数(例えば3個)の樹脂封止領域を形成するときには同数(この場合3個)のサーボモータ31と後述する駆動機構を備えていてもよい。
【0033】
また、板厚可変機構は、下型のインサート部材(ワーク支持部37)を型開閉方向に押動する下型駆動部8を備える(
図2(A)参照)。ワーク1によってはモールド樹脂をキャビティに注入する前に、キャビティ高さ可変機構と板厚可変機構の動作量を調整してキャビティ凹部32の型開閉方向の高さ位置を相対的に所定位置となるように設定する。すなわち、モールド樹脂をキャビティに注入する前に、半導体チップ5の高さに合わせてキャビティ高さ可変機構を設定すると共に、基板1の厚さに合わせて板厚可変機構を設定する。
【0034】
なお、本実施形態においては、モールド金型の金型面(樹脂モールド面)をリリースフィルム10により被覆して樹脂モールドする方法を利用している。このため、プレス装置6は、モールド金型の金型面にリリースフィルム10を供給するフィルム供給機構9を備える。フィルム供給機構9は、モールド金型の両側にリリースフィルム10を金型面(上型面)に供給する供給ロール9aと、リリースフィルム10を巻き取る巻き取りロール9bを備える。ただし、モールド金型の金型面をリリースフィルム10で被覆しない構成を採用してもよい。なお、リリースフィルム10を備えない構成を採用してもよい。例えば、キャビティ駒23の外周に樹脂や金属製のリング状のシール部材を配置し、該シール部材の熱膨張により後述する上型インサートブロック26との隙間を無くすことによりこの隙間からの樹脂の漏出を防止してもよい。
【0035】
(成形品収納部D)
成形品収納部Dは、樹脂モールド後の成形品11をセットするセット部12、成形品11からゲート等の不要樹脂を除去するゲートブレイク部13、不要樹脂が除去された成形品11を収納する収納部14を備える。成形品11は収納用のマガジン15に収納され、成形品が収納されたマガジン15はストッカに順次収容される。
【0036】
(搬送機構E)
搬送機構Eは、ワークをプレス部Cに搬入するローダ16及び成形品11をプレス部から搬出するアンローダ17を備えている。ワーク供給部A、予熱部B、プレス部C及び成形品収納部Dは、ユニット化された架台どうしが連結されて樹脂モールド装置が組み立てられている。各ユニットの装置奥側にはガイド部18が各々設けられ、ガイド部18どうしを直線的に連結するように組み付けることでガイドレールが形成されている。ローダ16及びアンローダ17は、ガイドレールに沿って各々往復動可能に設けられている。ローダ16とアンローダ17は、ガイド部18上の所定位置からワーク供給部A、予熱部B、プレス部C、成形品収納部Dに向って直線的に進退動可能に設けられている。
【0037】
したがって、ユニットの構成を変えることにより、ガイド部18どうしを連結させた状態を維持しながら、樹脂モールド装置の構成態様を変更することができる。たとえば、
図1に示す例は、プレス装置6を2台設置した例であるが、プレス装置6が単数または3台以上の複数台連結された樹脂モールド装置を構成することも可能である。同様に後述する液状樹脂供給部Fを複数台備える構成としてもよい。
【0038】
樹脂モールド動作の概要について説明する。ワーク供給部Aにおいてセット台2にセットされているワーク(基板1)は、ローダ16によって取り上げられ保持したままガイド部18に沿って予熱部Bに移動し、樹脂モールドされる前に予備加熱される。
【0039】
一方、プレス装置6から、アンローダ17が樹脂モールド後の成形品11を取り出す動作と並行して、ローダ16はガイドレール上を移動してタブレット供給部4から樹脂タブレット3を取り上げると共に、予熱部Bから基板1を取り上げる。続いて、ローダ16は、プレス装置6の側方まで移動し、当該プレス装置6内に進入して基板1と樹脂タブレット3を型開きしたモールド金型に供給する。基板1及び樹脂タブレット3はモールド金型に設けられたヒータ(図示せず)によって加熱される。プレス装置6からローダ16が退出した後、モールド金型19(
図3(C)参照)によりワークがクランプされ、半導体チップ5を収容しキャビティを形成するキャビティ凹部32(
図3(D)参照)に溶融したモールド樹脂が充填されて半導体チップ5が樹脂モールドされる。
【0040】
樹脂モールド後、型開きしたモールド金型にプレス装置6の側方からアンローダ17が進入し、成形品を取り上げてプレス装置6から成形品11を搬出する。搬出された成形品11は、アンローダ17がガイドレールに沿って移動して成形品収納部Dのセット部12に移載され、次いでセット部12からゲートブレイク部13に移送されてゲートブレイクされて不要樹脂が除去され、収納部14へ成形品11が収納される。尚、モールド樹脂として液状樹脂を用いるときには、成形品11の厚さ測定部を設けて樹脂モールド部分の厚みを測定して当該樹脂モールド部分の厚みの測定結果に基づいて、供給量を調整することもできる。
【0041】
以上のように、ワーク供給部Aから順次、基板1を供給するとともに、基板10はプレス部Cにおいて樹脂モールドされ、成形品収納部Dに成形品11が収納される。
本実施形態の樹脂モールド装置においては、ワーク(基板1及び半導体チップ5)の厚さに対応させてクランプするようにモールド金型を駆動してから樹脂モールドすることにより、金型クランプによりワークに作用するストレスを可及的に減らして樹脂ばりを生じさせることなく、高精度に樹脂モールドすることができる。
【0042】
次に、樹脂モールド装置に具備するモールド金型の構成について
図2を参照して説明する。モールド金型19は上型20(一方の金型)と下型21(他方の金型)を備えている。
図2(A)を参照して上型20の構成について説明する。上型20は上型チェイスブロック22にキャビティ底部を形成するキャビティ駒23がばね24を介して吊り下げ支持されている。キャビティ駒23のワーク当接面と反対面にはテーパー面23aが形成されている。キャビティ駒23は、上型チェイスブロック22との間に設けられた第1可動テーパーブロック25のテーパー面25aにテーパー面23aを重ね合わせるように支持されている(ウェッジ機構)。
【0043】
また、上型チェイスブロック22には、上型インサートブロック26(第1インサート)が剛体状に支持されている。キャビティ駒23は、上型インサートブロック26に形成されるキャビティ凹部の底部を形成するように貫通孔26aに挿入されて吊り下げ支持されている。また、キャビティ駒23を、ばね24が自然長より伸びた状態(復元力が作用した状態)で第1可動テーパーブロック25に支持させてもよい。この場合、キャビティ駒23は、第1可動テーパーブロック25とテーパー面どうしの当接することによりリジッド(剛体的)に支持される。上型インサートブロック26には、キャビティ凹部32を形成する凹部26bや上型カル26c、上型ランナ26dなどの樹脂路や上型クランプ面にダミーキャビティ26eが刻設されている。なお、ダミーキャビティ26eとキャビティ凹部32とを接続する溝部(スルーゲート)の深さは、フリップチップ実装された半導体チップ5であれば基板1との隙間(換言すれば、アンダーフィルされる部分)よりも狭く形成することができる。この場合、ダミーキャビティ26eへの樹脂の充填よりも半導体チップ5下へのアンダーフィルを優先させることができるため好ましい。また、上型インサートブロック26の外周面と対向する上型チェイスブロック22の内壁面との隙間を閉止する上型シールリング27が設けられている。上型シールリング27は、後述する2系統の減圧装置29、58による別々の機能を実現するために設けられる。即ち、上型シールリング27によるリリースフィルム10の吸引と、減圧装置58によるキャビティを減圧する空間を区分けするために設けられている。
【0044】
上型チェイスブロック22には、上型吸引路28が設けられている。上型吸引路28は減圧装置29に接続されている。上型チェイスブロック22と上型インサートブロック26との隙間、上型インサートブロック26とキャビティ駒23との隙間及び上型インサートブロック26のクランプ面に形成された吸引孔(図示せず)は上型吸引路28と接続されて減圧装置29に接続される。リリースフィルム10は上型クランプ面に形成された吸引孔(図示せず)、キャビティ駒23と上型インサートブロック26との隙間を利用した吸引機構によりキャビティ駒23を含む上型クランプ面に吸着保持される。リリースフィルム10としては、モールド金型19の加熱温度に耐えられる耐熱性を有するもので、金型面より容易に剥離するものであって、柔軟性、伸展性を有するフィルム材、例えば、PTFE、ETFE、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。
【0045】
第1可動テーパーブロック25は、キャビティ駒23に向って板厚が減少(又は増加)するように所定の傾斜角度を持ったテーパー面25aが形成されている。第1可動テーパーブロック25は、ねじ軸30を介してサーボモータ31に連結されている(上型駆動部7)。サーボモータ31を所定方向に起動すると、ねじ軸30を通じてねじ嵌合する第1可動テーパーブロック25が上型チェイスブロック22の底部に沿って進退動する。これにより、キャビティ駒23がリリースフィルム10を介してキャビティ凹部32の型開閉方向の高さ位置(上面部)を調整することができる。なお、サーボモータ31は、上型20において加熱される型の壁面に対して離間して配置することができる。また、サーボモータ31は、型による加熱の防止やメンテナンス性を向上するために必要に応じてねじ軸30との連結を解除可能に構成されていてもよい。
【0046】
次に
図2(A)を参照して下型21の構成について説明する。下型21は、駆動源(電動モータ)により駆動する駆動伝達機構(トグルリンク等のリンク機構若しくはねじ軸等)を介して下型チェイスブロック33を載置する下型可動プラテンを昇降させる公知の型締め機構によって型開閉が行われるようになっている。また、3個以上のボールねじ機構により下型可動プラテンの角部を支持して駆動量を微調整することで上型を支持する固定プラテンに対する下型可動プラテンの傾斜を補正する構成としてもよい。これらの場合、下型21の昇降動作は移動速度や加圧力等を任意に設定することができ、モールド樹脂をキャビティ凹部32に充填する動作及び後述する余剰樹脂をキャビティ凹部32から押し戻す動作においてモールド樹脂の流動速度や樹脂圧力を任意に設定することができる。このため、型締め機構によってこれらを制御も可能となるため、装置構成を簡素化することができる。
【0047】
下型チェイスブロック33には、下型インサートブロック34(第2インサート)が組み付けられている。下型インサートブロック34の中央部にはモールド樹脂(樹脂タブレット3)が装填される筒状のポット35が組み付けられている。下型インサートブロック34の上端面は、ポット35の上端面と面一に形成されている。ポット35内には公知のトランスファ駆動機構により上下動するプランジャ36が設けられている。プランジャ36は、複数のポット35に対応して複数本が支持ブロック(図示しない)に設けられるマルチプランジャが用いられる。各プランジャ36の支持部には図示しない弾性部材が設けられており、各プランジャ36は弾性部材の弾性により僅かに変位して過剰な押圧力を逃がすとともに保圧時にはタブレットの樹脂量のばらつきに順応することができるようになっている。
【0048】
下型チェイスブロック33の上面には下型インサートブロック34の両側に隣接してワークが載置されるワーク支持部37が各々設けられている。ワークは、基板1の片面に半導体チップ5が実装された片面モールド用の製品が用いられる。ワーク支持部37は、下型チェイスブロック33の上面との間に設けられたばね38によってフローティング支持されている。
【0049】
ワーク支持部37と下型チェイスブロック33の間には、固定テーパーブロック57と第2可動テーパーブロック39が重ね合わせて設けられている。固定テーパーブロック57の下面に形成されたテーパー面57aと第2可動テーパーブロック39の上面に形成されたテーパー面39aとを重ね合わせた状態で下型チェイスブロック33上に支持されている(ウェッジ機構)。ワーク支持部37は、ばね38が自然長より縮んだ状態(弾発力が作用した状態)で支持された構成とすることができる。第2可動テーパーブロック39は、ねじ軸40を介してサーボモータ41に連結されている(下型駆動部8)。サーボモータ41を所定方向に起動すると、ねじ軸40を通じてねじ嵌合する第2可動テーパーブロック39が下型チェイスブロック33の底部に沿って進退動する。これにより、ワーク(基板1)の板厚に応じてワーク支持部37の型開閉方向の位置を調整して、例えば基板上面が下型クランプ面とほぼ面一になるように調整することができる。即ち、基板1の厚さに関わらず基板1の上面が下型クランプ面から同一量だけ高くなるようにすることで基板1を破損することなく樹脂漏れを防止できる適切なクランプ状態となる。ワーク支持部37は、固定テーパーブロック57によりリジッドに支持されるが、固定テーパーブロック57との間に隙間が形成されていてもよい。この場合には、ばね38のたわみにより基板1の過度のクランプ力を加えることなくクランプすることができる。尚、ワーク(基板1)の厚さに応じて、厚さの異なるワーク支持部37を交換して板厚を調整することもできる。さらに、ワーク支持部37に図示しない吸引構造を備えることもできる。この場合、予熱されることで歪みが発生しやすい基板1であってもワーク支持部37に吸着することで平坦に保持した状態でクランプするようにしてもよい。これにより、薄く反りの発生しやすい基板1であっても確実に保持して位置ずれすることなく確実にクランプすることができる。
【0050】
また、下型チェイスブロック33(下型21)の外周位置には、下型シールリング42が設けられている。また、下型チェイスブロック33には下型吸引路43が設けられている。下型吸引路43は減圧装置58に接続されている。下型吸引路43は下型シールリング42より内周側に開口している。モールド金型19を型閉じすると、上型チェイスブロック22と下型チェイスブロック33が下型シールリング42を挟み込む状態となって、上型20と下型21との間に外周が閉鎖された閉鎖空間が形成される。減圧装置58を起動すると下型吸引路43を通じて減圧空間が形成される。
【0051】
ここで、上記モールド金型19の樹脂モールド動作に伴う開閉動作について
図2乃至
図4を参照しながら説明する。
図2(A)は、モールド金型19が型開きした状態を示す。上型クランプ面には、減圧装置29が作動してリリースフィルム10が吸着保持されている。本実施例では、例えばワーク(基板1及び半導体チップ5)の厚みに応じてモールド金型19を型閉じする前にキャビティ高さ可変機構及び板厚可変機構の動作量を微調整する。
【0052】
即ち、半導体チップ5の高さに合わせてサーボモータ31を起動してねじ軸30を通じて第1可動テーパーブロック25をいずれか一方にスライド(進動又は退動)させて、キャビティ駒23が半導体チップ5に過度のストレスを与えることなく押圧できる高さ位置に調整しておく。
また、基板1の板厚に合わせてサーボモータ41を起動してねじ軸40を通じて第2可動テーパーブロック39をいずれか一方にスライド(進動又は退動)させて、ワーク支持部37が基板1に過度のストレスを与えることなくクランプできる高さ位置に調整しておく。
【0053】
次に
図2(B)において、型開きしたモールド金型19の下型21にローダ16(
図1参照)によりワークが供給される。即ち、ワーク支持部37には半導体チップ5が実装された基板1が搬入され、ポット35には樹脂タブレット3が装填される。このとき、ワーク支持部37は、下型駆動部8により予め板厚調整されているため、基板1が下型クランプ面とほぼ面一になるように支持される。尚、半導体チップ5はワイヤボンディング実装されていてもよい。この場合、キャビティ駒23では半導体チップ5におけるワイヤがボンドされた内側の平坦部分に対してクランプできるような突起形状とすることで、半導体チップ5がワイヤボンディング実装されたワークであってもクランプして成形することができる。
【0054】
次に、
図3(C)において、下型21を上昇させてモールド金型19を型閉じする。このとき、金型クランプ動作に先立って或いはクランプ動作開始と共に減圧装置58が作動して下型吸引路43より吸引動作を開始してもよい。上型チェイスブロック22が下型シールリング42に当接すると、上型20と下型21との間に閉鎖空間が形成され、下型吸引路43からの吸引動作により減圧空間が形成される。
【0055】
クランプ動作が更に進行して下型インサートブロック34及び基板1に上型インサートブロック26がリリースフィルム10を介して当接し、キャビティ駒23がリリースフィルム10を介して半導体チップ5に当接すると、クランプ動作が完了する。なお、モールド金型19を型閉じした後にキャビティ高さ可変機構及び板厚可変機構の動作量を微調整してもよい。
【0056】
次に
図3(D)において、トランスファ機構を作動させて、プランジャ36を押し上げて溶融したモールド樹脂を上型カル26c、上型ランナ26dを通じてキャビティ凹部32に圧送りする。このとき、半導体チップ5の上面はキャビティ駒23に押圧されているので、フリップチップ実装された半導体チップ5であれば基板1との間に溶融樹脂を導いてアンダーフィルすることができる。即ち、モールド金型19内でアンダーフィルを行うモールドアンダーフィル(MUF)を行うことができる。なお、アンダーフィルする半導体チップ5直下の領域に充填される溶融樹脂にボイドがあってもキャビティ凹部32からダミーキャビティ26eへモールド樹脂をオーバーフローさせることでボイドを押し流してキャビティ内の樹脂充填性を向上させることができる。モールド樹脂に混入した気泡は、樹脂よりも優先して流されることでオーバーフローさせた後に図示しないエアベントを介して減圧空間に排出されて下型吸引路43より吸引されて排気させてもよい。また、板厚可変機構の動作により基板1の厚みに拘わらず均一な深さの溝部を介してダミーキャビティ26eにモールド樹脂を押し流すことができる。即ち、基板1の材質によってはクランプ力で変形し溝部内に盛り上がり、断面積を狭くしてしまうような事態を防止することができる。したがって、ワーク毎に厚みにばらつきがあってもダミーキャビティ26eへモールド樹脂を確実にオーバーフローさせながら樹脂漏れも防止することができるため、ワークの厚みによらず確実にボイドを排出でき、成形品質を安定させることが可能である。
【0057】
図4(E)は、基板1に実装された半導体チップ5のモールドアンダーフィルを行うのみならず、当該半導体チップ5を露出させずにオーバーモールドする工程を示す。この工程はワークの製品要件に応じて任意に実施することができる。
図3(D)において、フリップチップ実装された半導体チップ5であればアンダーフィルモールドが行なわれた後、即ちダミーキャビティ26eへモールド樹脂をオーバーフローさせた後、上型駆動部7を起動してキャビティ駒23を上昇させてキャビティ凹部32の容積を拡大する。具体的には、サーボモータ31を起動してねじ軸30を通じて第1可動テーパーブロック25をキャビティ駒23の平面位置より退避する方向にスライドさせる。これにより、キャビティ駒23がテーパー面25aの傾きに沿って上昇し、半導体チップ5との間に隙間(キャビティ容積)が形成されてモールド樹脂が充填される。このように予めアンダーフィル工程を行った後にオーバーモールド工程を行うことにより、同時にこれらの工程を行う場合と比較し、アンダーフィルにおける未充填をより確実に防止することができる。
【0058】
尚、アンダーフィルにおける充填性をさらに高めるために、キャビティ駒23の上下動を繰り返してもよい。この場合、サーボモータ31を正逆回転駆動してねじ軸30を通じて第1可動テーパーブロック25を進退動させることで、即ち
図3(D)と
図4(E)の状態が繰り返される。また、同時にプランジャ36の上下動を繰り返すことにより樹脂をキャビティ凹部32からポット35側に押し戻すようにしてもよい。これにより、モールド樹脂の流動量を多くすることで隙間である空間部に充填されやすくなる。なお、後述の実施例のように、型閉じ動作によりキャビティ駒23の高さを可変とする構成を用いるときには、素早く繰り返しを行うことができ、充填性の高い成形を短時間に行うことができる。
【0059】
上記モールド金型19を用いれば、基板の厚さにばらつきがあっても、板厚調整機構によりワーク支持部37の高さ位置を変更することで、基板1上面を金型クランプ面と一致するように調整することができ、基板1からの半導体チップ5の高さ(積層された高さを含む)にワーク毎のばらつきがあっても、キャビティ駒調整機構によりキャビティ駒23の高さ位置を変更することで、成形厚を一定になるように調整することができる。
【0060】
よって、ワーク(基板1、半導体チップ)の厚み方向のばらつきの有無やばらつき量の大小にかかわらず、ワークに過大なストレスが作用せず型締めバランスを安定させてクランプすることができる。キャビティ駒23とワーク支持部37の双方に型開閉方向の位置を調節するウェッジ機構が設けられていると、キャビティ駒23及びワーク支持部37の型開閉方向の位置制御を高精度化することができるので、金型クランプ時にワークに作用するストレスを可及的に低減でき、高精度な成形品質を維持することができる。
また、キャビティ凹部32へ充填されるモールド樹脂に発生したボイドをダミーキャビティへ押し流して成形品質を向上させることができる。特に、アンダーフィルモールドを行う際の樹脂充填性を向上させることができる。
したがって、成形厚が均一でフラッシュばりの生じない、成形品質を高めた樹脂モールド装置を提供することができる。
【0061】
[実施例2]
次に樹脂モールド装置の他例について説明する。装置構成は共通しているので、主にモールド金型の変更点を中心に説明する。実施例1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。
【0062】
図5(A)(B)において、上型20と下型21との間に中間プレート44を介在させて樹脂モールドを行う点が相違する。中間プレート44には、ポット35に連通する第1の貫通孔44aと上型ランナ26dに連通するゲート44b(樹脂路)と、ゲート44bが連通する半導体チップ5を収容する第2の貫通孔44c(キャビティに相当)と、第2の貫通孔44cとダミーキャビティ26eを連通するスルーゲート44d(樹脂路)が形成されている。中間プレート44は、例えば板厚がワークの半導体チップ5の高さに合致し、樹脂モールド領域が第2の貫通孔44cに合致したものが用いられる。
【0063】
図5(A)において、前提として、ワーク測定部Bにおける測定結果に応じて半導体チップ5の高さに合わせてサーボモータ31を起動してねじ軸30を通じて第1可動テーパーブロック25をいずれか一方にスライド(進動又は退動)させて、キャビティ駒23が半導体チップ5に過度のストレスを与えることなく押圧できる高さ位置に予め調整しておく。
また、基板1の板厚に合わせてサーボモータ41を起動してねじ軸40を通じて第2可動テーパーブロック39をいずれか一方にスライド(進動又は退動)させて、ワーク支持部37が基板1に過度のストレスを与えることなくクランプできる高さ位置に予め調整しておく。
【0064】
次いで、ローダ16によって、基板1をワーク支持部37に載置し樹脂タブレット3をポット35に装填した後、中間プレート44を基板1の外周端部と下型インサートブロック34との隙間を跨いで下型クランプ面に重ね合わせる。このとき、中間プレート44は、第1の貫通孔44aはポット35と位置合わせされ、第2の貫通孔44c内に半導体チップ5が収容されるように位置合わせされて下型クランプ面に載置される。中間プレート44は、供給ユニットを設けて独自の搬送機構によってモールド金型19へ供給してもよいが、ローダ16によって樹脂タブレット3と共に供給するようにしてもよい。
【0065】
次いで下型21を上昇させてモールド金型19を型閉じする。上型チェイスブロック22が下型シールリング42に当接すると、上型20と下型21との間に閉鎖空間が形成され、下型吸引路43からの吸引動作により減圧空間が形成される。クランプ動作が更に進行して中間プレート44に上型インサートブロック26がリリースフィルム10を介して当接し、キャビティ駒23がリリースフィルム10を介して半導体チップ5に当接すると、クランプ動作が完了する。
【0066】
次に
図5(B)において、トランスファ機構を作動させて、プランジャ36を押し上げて溶融したモールド樹脂を第1の貫通孔44a、上型カル26c、上型ランナ26d、ゲート44bを通じて第2の貫通孔44cに圧送りする。このとき、溶融したモールド樹脂は、中間プレート44の上面を通過することで基板1と型の隙間を跨いで、キャビティを構成する第2の貫通孔44cに直接注入される。また、フリップチップ実装された半導体チップ5であればその上面はキャビティ駒23に押圧されているので、半導体チップ5と基板1との間に溶融樹脂を導いてアンダーフィルモールドを行うことができる。また、第2の貫通孔44cからスルーゲート44dを通じてダミーキャビティ26eへモールド樹脂をオーバーフローさせることでボイド(未充填)を押し流してキャビティ内の樹脂充填性を向上させることができる。
【0067】
この場合、基板1にランナやダミーキャビティ等のようにモールド後に剥離する必要のある部位の剥離を容易にするための金めっきは不要になり、基板1と下型インサートブロック34との隙間にモールド樹脂が漏れて金型の摺動不良を起こすおそれもなくなる。
【0068】
[実施例3]
次に樹脂モールド装置の他例について説明する。装置構成は共通しているので、主にモールド金型の変更点を中心に説明する。実施例1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。
本実施例は、中間プレート44を用いている点は実施例2と同様であるが、上型20にスイベル機構45が付加されている点が異なっている。具体的には、第1可動テーパーブロック25と半導体チップ5にリリースフィルム10を介して当接するキャビティ駒23との間にガイド駒46が設けられている。ガイド駒46は、ばね24によって上型チェイスブロック22に吊り下げ支持されている。キャビティ駒23とガイド駒46との間、即ちワーク当接面と反対面側には、ばね24よりも十分に出力が小さい押圧ばね47が弾装されており、キャビティ駒23とガイド駒46との間に隙間が形成されている。尚、この隙間は必ずしも設ける必要はないが、キャビティ駒23とガイド駒46との摺動抵抗を低くして、キャビティ駒23の傾動をスムーズに行うためにわずかな隙間を設ける方が望ましい。
【0069】
キャビティ駒23のガイド駒46と対向する対向面中央部には凸面部23d(ガイド面部)が形成されており、キャビティ駒23と対向するガイド駒46の対向面中央部には凸面部23dと嵌合する凹面部(ガイド面部;図示せず)が形成されている。キャビティ駒23は、リリースフィルム10を介して複数(或いは単数)の半導体チップ5に当接すると、当該半導体チップ5の高さのばらつき(傾き)に倣って適宜な傾斜状態となり、凸面部23dを中心として傾動した状態で押圧する。上型20と下型21とのクランプが完了すると、キャビティ駒23とガイド駒46との間の押圧ばね47は押し縮められて凸面部23dと凹面部(図示せず)が嵌合して隙間が解消されたリジッド(剛体的)な状態でクランプされる。この場合、凸面部23dを球面で構成して、この球面の中心をキャビティ駒23において半導体チップ5に向けられた端面に一致させることもできる。これによれば、キャビティ駒23が傾斜させながら半導体チップ5をクランプしても当該半導体チップ5にせん断方向の応力を発生させることなくクランプすることができるためより好ましい。ただし、凸面部23dをガイド駒46側に設けてもよい。
【0070】
図6(A)において、前提として、ワーク測定部Bにおける測定結果に応じて半導体チップ5の高さに合わせてサーボモータ31を起動してキャビティ駒23が半導体チップ5に過度のストレスを与えることなく押圧できる高さ位置に予め調整しておく。同様に基板1の板厚に合わせてサーボモータ41を起動してワーク支持部37が基板1に過度のストレスを与えることなくクランプできる高さ位置に予め調整しておく。
【0071】
次いで、ローダ16によって、基板1をワーク支持部37に載置し樹脂タブレット3をポット35に装填した後、中間プレート44を基板1の外周端部と下型インサートブロック34との隙間を跨いで下型クランプ面に重ね合わせる。
【0072】
次いで下型21を上昇させてモールド金型19を型閉じする。上型チェイスブロック22が下型シールリング42に当接すると、上型20と下型21との間に閉鎖空間が形成され、下型吸引路43からの吸引動作により減圧空間が形成される。クランプ動作が更に進行して中間プレート44に上型インサートブロック26がリリースフィルム10を介して当接し、キャビティ駒23がリリースフィルム10を介して半導体チップ5に当接すると、スイベル機構45によってキャビティ駒23が凸面部23dを中心に傾動したまま、クランプ動作が完了する。
【0073】
次に、
図6(B)において、トランスファ機構を作動させて、プランジャ36を押し上げて溶融したモールド樹脂を第1の貫通孔44a、上型カル26c、上型ランナ26d、ゲート44bを通じて第2の貫通孔44cに圧送りする。このとき、半導体チップ5の上面はキャビティ駒23に押圧されているので、フリップチップ実装された半導体チップ5であれば基板1との間に溶融樹脂を導いてアンダーフィルモールドを行うことができる。また、第2の貫通孔44cからスルーゲート44dを通じてダミーキャビティ26eへモールド樹脂をオーバーフローさせることでボイドを押し流してキャビティ内の樹脂充填性を向上させることができる。
【0074】
以上より、基板1に実装された半導体チップ5に傾きが生じていても、キャビティ駒23とリリースフィルム10を介して片当たりすることなく半導体チップ5の傾きに倣ってキャビティ駒23が傾動するので、半導体チップ5にストレスが生じることはなくチップが損傷したり破損したり、フラッシュばりが発生したりするおそれがなくなる。よって、成形品質が向上する。また、このようにキャビティ駒23を傾動可能とすることで、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)とFWD(Free Wheeling Diode)を一対のリードフレームで挟み込んでインバータを構成するパッケージのように、異なる素子を挟み込んで構成されるために一対のリードフレームが傾き易いワークであってもフラッシュばりの発生を確実に防止することができる。なお、このような成形例においては、下側に配置されたリードフレームが本発明の「第一部材」に相当し、IGBT、FWD及び上側に配置されたリードフレームが本発明の「第二部材」に相当する。
【0075】
[実施例4]
次に樹脂モールド装置の他例について説明する。装置構成は共通しているので、主にモールド金型の変更点を中心に説明する。実施例1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。
図7(A)において、上型インサートブロック26のクランプ面において、基板対向面より外側にダミーキャビティ26eが設けられている。また、ダミーキャビティ26eより外周側のクランプ面には、リリースフィルム10を介して対向する下型インサートブロック34のクランプ面を押圧することで減圧動作を停止させる閉止ピン48(閉止手段)が進退動可能に設けられていてもよい。閉止ピン48は、ソレノイドやシリンダなどの駆動機構により進退動させてもよい。
【0076】
上記構成によれば、ダミーキャビティ26eを基板1上に形成する必要がなくなるため、基板1上の成形品11の取り個数を増やして基板1の利用率を向上させることができる。また、希望するタイミング、例えばダミーキャビティ26eがオーバーフローしたモールド樹脂で満たされた状態で、モールド金型19内からエアが排出されないようにして樹脂の漏出も防止することができる。また、ダミーキャビティ26eから外周に延びてキャビティからのエアを排出するエアベント(図示せず)を深く形成することでエアを排出しやすくすることができるため、素早く確実に減圧して未充填を防ぐことができる。
【0077】
また
図7(B)は、中間プレート44を用いた実施例であるが、ダミーキャビティ44eが基板対向面より外周側に設けられている。ダミーキャビティ44eは貫通孔により形成されておりスルーゲート44dを通じて第2の貫通孔44cからオーバーフローさせて余剰樹脂を収容する。また、上型インサートブロック26には、ダミーキャビティ44eより外周側のクランプ面には、リリースフィルム10を介して対向する中間プレート44のクランプ面を押圧する閉止ピン48が設けられている。上記構成によれば、ダミーキャビティ44eが基板1外に形成されていると、ダミーキャビティ44e及びキャビティ凹部32と接続する溝部とを基板1上に形成する必要がなくなるため、基板1上の成形品11の取り個数を増やして基板1の利用率を向上させることができる。また、ダミーキャビティ44eが中間プレート44を貫通する貫通孔に形成されていると、ダミーキャビティ44eに充填された不要樹脂をピン等(図示せず)により押し出すだけで離型することができ、不要樹脂の離型を容易にすることもできる。なお、ダミーキャビティ26eとダミーキャビティ44eとの両方を備える構成としてもよい。
【0078】
[第5実施例]
次に樹脂モールド装置の他例について説明する。主にモールド金型の変更点を中心に説明する。実施例1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。実施例1乃至実施例4は、キャビティ高さ可変機構としてキャビティ駒23がウェッジ機構を介して支持されていたが、
図8(A)に示すようにキャビティ駒23が上型チェイスブロック22に剛体状に支持されている。なお、上型インサートブロック26がばね49により吊り下げ支持されていてもよい。上型20には、ウェッジ機構は設けられておらず、下型21のワーク支持部37と第2可動テーパーブロック39によるウェッジ機構のみが設けられている。
【0079】
モールド金型19のクランプ動作について説明すると、
図8(A)において、基板1の板厚に合わせてサーボモータ41を起動してねじ軸40を通じて第2可動テーパーブロック39をいずれか一方にスライド(進動又は退動)させて、ワーク支持部37が基板1に過度のストレスを与えることなくクランプできる高さ位置に調整しておく。この状態で型開きしたモールド金型19の下型21にローダ16(
図1参照)によりワークが供給される。このとき、ワーク支持部37は、下型駆動部8により予め板厚調整されているため、基板1が下型クランプ面と面一若しくは下型クランプ面より若干高くなるように支持される。
【0080】
次に
図8(B)において、下型21を上昇させてモールド金型19を型閉じする。このとき、金型クランプ動作に先立って或いはクランプ動作開始と共に減圧装置58が作動して下型吸引路43より吸引動作を開始してもよい。上型チェイスブロック22が下型シールリング42に当接すると、上型20と下型21との間に閉鎖空間が形成され、下型吸引路43からの吸引動作により減圧空間が形成される。
クランプ動作が進行して下型インサートブロック34及び基板1に上型インサートブロック26がリリースフィルム10を介して当接する。
更にクランプ動作が進行すると、
図8(C)に示すように上型インサートブロック26が下型インサートブロック34及び基板1に当接したままばね49が押し縮められ、キャビティ駒23がリリースフィルム10を介して半導体チップ5に当接する。この場合、ばね49が押し縮められることにより下型可動プラテンに対して反力として発生するクランプ力を検出し、所定のクランプ力となったときにクランプ動作が完了となる。
【0081】
これにより、キャビティ駒23が上型インサートブロック26に対して相対的に昇降して型開閉方向に移動するために、下型可動プラテンを昇降させる型締め機構がキャビティ高さ可変機構として機能する。続いて、トランスファ機構を作動させてプランジャ36を押し上げ、溶融したモールド樹脂を圧送りしキャビティ凹部32に注入する。この場合、モールド樹脂をキャビティ凹部32に注入する前に型閉じ動作を完了するだけで半導体チップ5の高さに合わせてキャビティ高さが設定される。
【0082】
尚、基板1と下型インサートブロック34との隙間を解消するため、必要に応じて基板1を外側からポット35側の下型インサート34の壁面に押し当てる押し当て機構や、基板1を物理的に変形させて隙間をなくすつぶし機構などを設けてもよい。これにより、流動性の高いモールド樹脂の漏れを可能な限り防ぐことができる。
また、キャビティ駒23は、上型チェイスブロック22に剛体状に支持されていたが、ばねを介して吊り下げ支持されていてもよい。この場合、上型インサートブロック26を上型チェイスブロック22に剛体状に支持することで、クランプ完了前にキャビティ駒23で半導体チップ5をクランプした後で型閉じを完了するようにしてもよい。
【0083】
上記構成によれば、モールド金型19の型閉じ動作において下型21を半導体チップ5の高さに応じた所定量上昇させるだけでキャビティ駒23及び/又は上型インサートブロック26(クランパ)のフロート量が調整される。これにより、キャビティの深さ位置(基板1からキャビティ駒23までの高さ)を調整する別途の動作を行うことなく設定することができる。即ち、半導体チップ5の高さに合わせて設定された位置まで下型21を上昇させるだけで、ワークに過大な押圧力をかけることなくクランプすることができ、簡易な構成により上述した実施例と同様の効果を奏することができる。
【0084】
[実施例6]
次に樹脂モールド装置の他例について説明する。装置構成は共通しているので、主にモールド金型の変更点を中心に説明する。実施例1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。
図9(A)において、キャビティ駒23及び上型インサートブロック26は、上型チェイスブロック22にばね24,49により各々吊り下げ支持されている。また、キャビティ駒23の半導体チップ当接面は、その周囲より下方に突設された突形状に形成されている。即ち、凸面部23bとその周囲に凹溝部23cが形成されている。また、実施例5と同様に、上型20には、ウェッジ機構は設けられておらず、下型21のワーク支持部37と第2可動テーパーブロック39によるウェッジ機構のみが設けられている。
【0085】
モールド金型19のクランプ動作について説明すると、
図9(A)において、基板1の板厚に合わせてサーボモータ41を起動してねじ軸40を通じて第2可動テーパーブロック39をいずれか一方にスライド(進動又は退動)させて、ワーク支持部37が基板1に過度のストレスを与えることなくクランプできる高さ位置に調整しておく。この状態で型開きしたモールド金型19の下型21にローダ16(
図1参照)によりワークが供給される。このとき、ワーク支持部37は、下型駆動部8により予め板厚調整されているため、基板1が下型クランプ面と面一若しくは下型クランプ面より若干高くなるように支持される。
【0086】
次に
図9(B)において、下型21を上昇させてモールド金型19を型閉じする。このとき、金型クランプ動作に先立って或いはクランプ動作開始と共に減圧装置58が作動して下型吸引路43より吸引動作を開始してもよい。上型チェイスブロック22が下型シールリング42に当接すると、上型20と下型21との間に閉鎖空間が形成され、下型吸引路43からの吸引動作により減圧空間が形成される。
クランプ動作が進行して下型インサートブロック34及び基板1に上型インサートブロック26がリリースフィルム10を介して当接する。また、キャビティ駒23に形成された凸面部23bがリリースフィルム10を介して各半導体チップ5に当接すると、クランプ動作が完了する。このとき、キャビティ駒23が半導体チップ5を、上型インサートブロック26が基板1を各々押圧する過大な押圧力はばね24,49の撓みにより逃がすことができる。したがって、半導体チップ5として上面発光のLED素子を用いる場合のように半導体チップ5の上面をより確実に保護しつつチップ上面へのフラッシュも防止しながらクランプする必要があるときにも成形品質を向上させることができる。
【0087】
図9(C)において、トランスファ機構を作動させて、プランジャ36を押し上げて溶融したモールド樹脂を上型カル26c、上型ランナ26dを通じてキャビティ凹部32に圧送りする。このとき、各半導体チップ5の上面はキャビティ駒23の凸面部23bにより押圧されているので、フリップチップ実装された半導体チップ5であれば基板1との間に溶融樹脂を導いてアンダーフィルモールドを行うことができるうえに、凹溝部23cにもモールド樹脂が充填されて各半導体チップ5の上面部を囲むように樹脂モールドされる。キャビティ凹部32に充填されたモールド樹脂はスルーゲート26fを通じてダミーキャビティ26eへオーバーフローさせることでボイドを押し流してキャビティ内の樹脂充填性を向上させることができる。
【0088】
上記構成によれば、半導体素子5としてLED素子の発光面をキャビティ駒23の凸面部23bにより押さえて露出させると共にその周囲を囲む凹溝部23cに粘度の低いシリコーン樹脂(白色樹脂)を充填して発光面を囲むリフレクタをトランスファモールドにより効率よく成形することができる。なお、リフレクタとして発光面の周囲の高さを高くした構成でなくてもよく、発光面と面一となる高さのリフレクタを形成してもよい。この場合、キャビティ駒23の半導体チップ当接面は、平坦状に形成される。
【0089】
[実施例7]
次に樹脂モールド装置の他例について説明する。実施例1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。以下では異なる構成を中心に説明する。
図10に示すように、樹脂モールド装置には、基板供給部(ワーク供給部A)とは別に、液状樹脂供給部Fがプレス部Cに隣接して設けられている。具体的には、液状樹脂供給部Fはプレス部Cどうしの間に設けられている。
図1と同様に、ユニット化された架台どうしをガイド部18が連続するように連結されて樹脂モールド装置が組み立てられている。
モールド金型19の構成は実施例1と同様であるとして説明するが、他の実施例のモールド金型19であってもよい。
【0090】
液状樹脂供給部Fの構成について
図11(A)を参照して説明する。ディスペンサ(液状樹脂供給装置)50は、図示しない基台と、該基台に設けられた移動機構(レールなどを含んで構成される)と、移動機構に設けられた移動台上で回転可能な回転機構とを有している。ディスペンサ50は、鉛直方向に沿って保持されたシリンジ51を2台あるプレス装置6のそれぞれに対応する位置へ回転させたうえでモールド金型19内へ進退動させて液状樹脂を供給する。
【0091】
ディスペンサ50は、液状樹脂が充填されたシリンジ51と、シリンジ51から押し出される液状樹脂が流れるチューブ52と、チューブ52の先端側に配置され、液状樹脂をポット35に滴下する滴下機構53を備えている。図示しないディスペンサ本体に鉛直方向に保持されたシリンジ51に接続されたチューブ52は、鉛直方向からほぼ90度水平方向に曲げられて延設されている。
【0092】
また、滴下機構53は、水平方向から鉛直下向きに曲げられたチューブ52の端部(供給口となる)に設けられ、チューブ52を押し挟んで閉止するピンチバルブ54と、チューブ開口下方に進退動可能な樹脂受け部55と、チューブ52の周囲を冷却する冷却機構56を有している。ピンチバルブ54は、液状樹脂を滴下する時以外はチューブ52を密閉して液状樹脂が垂れるのを防ぎ、液状樹脂が外気に触れて劣化するのを防止したり、チューブ52内への空気が進入したりするのを防止する。また、樹脂受け部55は液状樹脂を滴下するときにはチューブ52の開口下方より退避し、それ以外はチューブ52の開口下方に位置して滴下する液状樹脂を受ける。樹脂受け部55は液状樹脂の滴下を防ぐほかに、モールド金型19へ進入する際に、チューブ52の先端開口の加熱を防ぐことができる。
【0093】
冷却機構56は、液状樹脂供給の際、高温のプレス装置6の内部に滴下機構53が位置したときに、チューブ52の周囲を冷却して液状樹脂の反応を抑制するために用いられるものである。冷却機構56は、例えば、チューブ52を収納するように設けられた筐体内を空冷や水冷の冷却手段によって冷却する構成としてもよいし、チューブ52の肉厚内に冷媒を通過させることによって液状樹脂を直接冷却する構成としてもよく、また、これらを併用してもよい。また、筐体内にペルチェ素子のような冷却素子(冷却手段)を設けてチューブ52を冷却してもよい。
【0094】
次にディスペンサ50の液状樹脂供給動作の一例について説明する。
前提として、半導体チップ5の高さに合わせて、サーボモータ31を起動してキャビティ駒23が半導体チップ5に過度のストレスを与えることなく押圧できる高さ位置に予め調整しておく。同様に基板1の板厚に合わせて、サーボモータ41を起動してワーク支持部37が基板1に過度のストレスを与えることなくクランプできる高さ位置に予め調整しておく。
【0095】
次いで、ローダ16によって、基板1をワーク支持部37に供給する。また、
図11(A)に示すように、図示しない回転機構を作動させてディスペンサ50を供給するプレス装置6に向って回転させ、滴下機構53がピンチバルブ54側を先頭にして型開きしたモールド金型19間に進入できるように姿勢を変更する。このとき、ピンチバルブ54は閉じたままであり樹脂受け部55はチューブ52の開口直下を閉じた状態にある。また冷却装置56を起動してチューブ52内の液状樹脂の反応を抑えた状態にしておく。
【0096】
次に、
図11(B)に示すように、図示しない移動機構を作動させてディスペンサ50を供給するプレス装置6に向って近づけるように移動させる。このとき、滴下機構53が、プレス装置6の型開きしたモールド金型19に進入して、チューブ52の先端部に設けられたピンチバルブ54がポット35の直上になるように配置する。そして、樹脂受け部55をチューブ52の開口下方の位置から退避させた後で、ピンチバルブ54を開放し、シリンジ51より一回の樹脂モールドに必要な液状樹脂をポット35内に滴下させる。
【0097】
必要量の液状樹脂の滴下が終了すると、ピンチバルブ54を閉じて樹脂受け部55をチューブ52の開口下方の位置へ移動させる。そして、図示しない移動機構を作動させてディスペンサ50を供給が終わったプレス装置6から離れるように移動させる。これにより、滴下機構53がモールド金型19より退避させる。
【0098】
次に、実施例1と同様に
図3(C)において、下型21を上昇させてモールド金型19を型閉じする。クランプ動作が更に進行して下型インサートブロック34及び基板1に上型インサートブロック26がリリースフィルム10を介して当接し、キャビティ駒23がリリースフィルム10を介して半導体チップ5に当接すると、クランプ動作が完了する。
【0099】
次に
図3(D)と同様に、トランスファ機構を作動させて、プランジャ36を押し上げて液状樹脂を上型カル26c、上型ランナ26dを通じてキャビティ凹部32に圧送りアンダーフィルモールドを行うことができる。キャビティ凹部32に充填された液状樹脂はダミーキャビティ26eへオーバーフローさせることでボイドを押し流してキャビティ内の樹脂充填性を向上させることができる。
【0100】
上記構成によれば、微細なバンプの隙間に充填するためにフィラーが微細になって低粘度のエポキシ系の液状樹脂を用いたモールドアンダーフィルがトランスファモールドにより実現できる。或いはフィラーの充填率が低く粘度の低いシリコーン樹脂によるLEDのレンズやリフレクタなどが形成可能となり、成形品質を高めて長寿命化を図ることができる。
【0101】
上述した樹脂モールド装置は、上型キャビティ、下型ポット配置タイプのモールド金型を用いて説明したが、下型キャビティであってもよいし、上型ポット、下型キャビティ配置のモールド金型であってもよい。
また、固定型を上型20、可動型を下型21として説明したが、これに限定されるものではなく、固定型を下型21、可動型を上型20としても良い。
また、ワークとしては基板1にフリップチップ実装のみならずワイヤボンディング実装された半導体チップ5のほかに、白色LEDなどの発光素子で、封止樹脂に蛍光体が混入されるものなどについても適用できる。さらに、ワークとして、電源回路に用いられるスイッチング素子(IGBT,MOS−FET等)、高発熱量を伴う素子(CPU,MPU等)、入出力部を有する半導体素子(LED等)、信号の入出力を行うセンサ(CCDセンサ,CMOSセンサ,指紋センサ、MEMS等)などが搭載された基板などを用いることもできる。さらに、ワークとして、バンプやはんだボールのような電子部品が搭載されたウェハを用いて、ウェハレベルパッケージ成形を行うこともできる。この場合、キャビティ駒32によりバンプやはんだボールをクランプして、バンプやはんだボールを適切にクランプして封止するウェハレベルパッケージ成形をすることができる。
【0102】
またモールド樹脂として、例えば固形の樹脂タブレット3や液状樹脂を用いる例について説明したが、顆粒状樹脂、粉末状樹脂といった各種の樹脂を用いることもできる。また、モールド金型19は複数の半導体素子を個別に或いは一括して樹脂封止するもの、マップタイプの成形やマトリックスタイプの成形に用いてもよい。
また、ポット35は下型インサートブロック34に設けられていたが、上型20側に設けられていてもよい。また、このような構成において、モールド金型が上下逆に配置されていてもよい。
【0103】
また、キャビティ高さ可変機構として、キャビティ駒23をウェッジ機構により駆動する構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上型インサートブロック26を1個のウェッジ機構により駆動することもできる。この場合、キャビティ駒23を上型チェイスブロック22にリジッド(剛体的)に支持し、上型インサートブロック26を昇降することで、キャビティ高さが変更可能となる。また、キャビティ高さを可変とするためにウェッジ機構や型締め機構を用いる例について説明したが、油圧やボールねじなどの他の駆動原によりキャビティ駒23や上型インサートブロック26を直接駆動してもよい。
【0104】
また、板厚可変機構として、プランジャ36を挟んだ2枚の基板1のそれぞれにワーク支持部37を設け、ウェッジ機構により個別に駆動する構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、プランジャ36を挟む両側に複数の基板1を配置するときに、これらと同数のワーク支持部37を別個に昇降するウェッジ機構を備える構成としてもよい。具体的には、下型駆動部8におけるサーボモータ41やウェッジ機構を上型駆動部7と同様に配置する。換言すれば、下型駆動部8を上型駆動部7と上下方向に反転させたように配置することでより基板1の厚さに対しても厚みをより細かく調整することができる。例えば、
図1に示すように一列に並べられた3個のプランジャ36の左右に1枚ずつの基板1を配置して、合計6枚の基板1のそれぞれの板厚に合わせてワーク支持部37の高さを別個に調整した後に、モールド金型19で一括してモールド成形できる構成としてもよい。