(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)支援地点管理システムの構成:
(2)支援地点管理処理:
(3)他の実施形態:
【0011】
(1)支援地点管理システムの構成:
本発明の支援地点管理システムは、車両Cに搭載されたナビゲーション端末10によって実現されている。ナビゲーション端末10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記録媒体30とを備える。制御部20は、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行する。本実施形態において制御部20は、このプログラムの一つとして支援地点管理プログラム21を実行する。
【0012】
車両Cは、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とECU(Electronic Control Unit)44とユーザI/F部45と制動部46とアクセルペダル47とを備えている。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両Cの現在位置を算出するための信号を制御部20に出力する。車速センサ42は、車両Cが備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ43は、車両Cの水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両Cの向きに対応した信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両Cの進行方向を取得する。
【0013】
記録媒体30には、地図情報30aが記録されている。地図情報30aには車両Cが走行する道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ等が含まれている。
【0014】
ECU44は、車両Cを制御するための回路である。本実施形態のECU44は、アクセルペダル47の踏み込み量を示す信号を取得する。ECU44は、アクセルペダルの踏み込み量を示す信号を制御部20に出力する。また、ECU44は制動部46を制御する。制動部46は、車両Cを制動するための制動装置、当該制動装置の制御回路、ブレーキペダル等を含む。制動装置は、摩擦ブレーキによって制動力を生じさせてもよいし、エンジンブレーキによって制動力を生じさせてもよいし、回生ブレーキによって制動力を生じさせてもよい。
【0015】
ユーザI/F部45は、運転者の指示を入力し、また運転者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネルディスプレイからなる入力部を兼ねた表示部やスピーカー等の出力音の出力部を備えている。制御部20は、支援地点管理プログラム21の機能により、ユーザI/F部45に対して車両Cの現在位置および現在位置周辺の地図を表示させることができる。すなわち、制御部20は、車両Cの現在位置を取得し、地図情報30aに基づいて現在位置周辺の地図を示す画像を生成してユーザI/F部45に対して出力する。この結果、ユーザI/F部45の表示部は、現在位置を含む地図を表示する。
【0016】
支援地点管理プログラム21は、走行道路特定部21aと支援地点取得部21bと除外部21cと減速支援部21dとを含む。
【0017】
走行道路特定部21aは、車両Cの走行軌跡と地図情報30aとに基づいて、車両Cが走行している走行道路区間を特定する機能を制御部20に実行させるモジュールである。走行道路特定部21aの機能により制御部20は、公知のマップマッチングによって車両Cが走行している道路区間を特定する。車速センサ42やジャイロセンサ43やGPS受信部41等の出力信号に基づいて車両Cの走行軌跡を取得するとともに、地図情報30aのノードデータやリンクデータに基づいて道路区間の形状を取得する。そして、制御部20は、車両Cから所定距離以内に存在する道路区間の形状のそれぞれについて走行軌跡とのマッチング度を取得し、当該マッチング度が最大値となる道路区間を車両Cが走行している走行道路区間として特定する。ただし、制御部20は、マッチング度の最大値が閾値未満である場合、走行道路区間が特定できないと判定する。なお、制御部20は、車両道路区間上において、車両Cの現在位置を特定する。
【0018】
支援地点取得部21bは、減速支援の対象として登録されている支援地点を取得する機能を制御部20に実行させるモジュールである。支援地点取得部21bの機能により制御部20は、記録媒体30の学習情報DB30bにおいて減速支援の対象として有効に登録されている支援地点を取得する。
【0019】
図2Aは、学習情報DB30bにおいて支援地点ごとに記録されている学習情報を示す。学習情報は、支援地点ごとに、支援地点が存在する道路区間と、当該道路区間上における支援地点の位置と、対象フラグと、走行ログと、目標車速とを対応付けて記録した情報である。支援地点は、減速支援を終了させる地点であり、過去において車両Cの減速が終了した減速地点に基づいて設定された地点である。減速が終了したとは、車両Cが停止した場合、または、車両Cが再加速をした場合である。車両Cが停止した場合とは、車速が所定の閾値(例えば3km/時)以下となった場合である。車両Cが再加速をした場合とは、車速が所定量(例えば5km/時)以上小さくなったのに続いてアクセルペダルが踏み込まれた場合である。
【0020】
対象フラグとは、支援地点が減速支援の対象となっている場合にONに設定され、支援地点が減速支援の対象から除外された場合にOFFに設定されるフラグである。走行ログとは、車両Cが支援地点を走行するごとに記録される情報である。車両Cが支援地点にて減速した場合、当該減速が終了した減速地点の位置を表す残距離が走行ログとして記録される。残距離とは、減速地点および支援地点から、当該減速地点および当該支援地点が存在する道路区間の終点ノードまでの距離である。残距離は、道路区間の終点ノードの位置と、減速地点および支援地点との直線距離であってもよいし、道路区間上の道なりの距離であってもよい。一方、支援地点にて減速が終了しなかった場合、"通過"が走行ログとして記録される。本実施形態では、20回分の走行について走行ログが記録できる。単一の支援地点における走行回数が20回よりも大きくなった場合、最新の走行ログが記録される代わりに、最も旧い走行ログが削除される。
【0021】
図2Bは、道路区間R
1上の減速地点Aにて車両Cの減速が終了した様子を示す模式図である。本実施形態において、すでに学習情報に記録されている支援地点Qから所定の誤差範囲(前後に15m以内)の減速地点Aが存在する場合、当該支援地点Qにて車両Cの減速が終了したものと見なされる。減速地点Aが、既存の支援地点Qの誤差範囲内である場合には、当該既存の支援地点Qについての学習情報において減速地点Aの位置を表す残距離Lが走行ログとして記録される。このように、減速地点Aの位置を表す残距離Lが走行ログとして記録された場合、複数の減速地点Aの位置を表す残距離Lの中央値に対応する位置が支援地点Qの位置として更新される。中央値とは、N(2以上の自然数)個記録されている減速地点Aの位置を表す残距離Lのうち、大きい方から数えてN/2番目(小数点切り上げまたは切り下げ)の残距離Lを意味する。一方、減速地点Aが、既存の支援地点Qの誤差範囲内でない場合には、減速地点Aを支援地点Qとする新たな学習情報が生成され、学習情報DB30bに追加される。
【0022】
また、走行ログとして記録されている減速地点Aの位置を表す残距離Lの個数が支援地点Qにおける減速回数を意味し、走行ログとして記録されている"通過"の個数が支援地点Qにおける通過回数を意味する。さらに、減速回数を、減速回数と通過回数との合計で除算した値が、支援地点Qにおける減速確率を意味する。
【0023】
目標車速とは、支援地点Qにて実施する減速支援が目標とする車速であり、支援地点Qにおける車速が目標車速となるように減速支援が実施される。本実施形態において、目標車速は、支援地点Q(支援地点Qから誤差範囲内の減速地点A)における過去の減速が終了した際の車速の平均値である。
【0024】
除外部21cは、車両Cが支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて新設道路を走行した場合に、支援地点Qを減速支援の対象から除外する機能を制御部20に実行させるモジュールである。除外部21cの機能により制御部20は、減速支援の対象となっている支援地点Qの誤差範囲(前後に15m以内)の地点にて車両Cの減速が終了しなかった場合、支援地点Qにて減速が終了しなかったと判定する。また、制御部20は、支援地点Qの通過後、車両Cが所定距離(例えば100m)走行した段階において、走行道路特定部21aのマップマッチングによって、走行道路区間が特定できなかった場合に、車両Cが新設道路を走行していると判定する。また、除外部21cの機能により制御部20は、学習情報において支援地点Qに対応付けられている対象フラグをOFFに設定することにより、当該支援地点Qを減速支援の対象から除外する。
【0025】
除外部21cの機能により制御部20は、車両Cが支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて新設道路を走行した回数が閾値以上となった場合に、支援地点Qを減速支援の対象から除外する。本実施形態において、制御部20は、車両Cが支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて新設道路を走行することが2回以上連続した場合に、支援地点Qを減速支援の対象から除外する。制御部20は、車両Cが支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて新設道路を走行した場合に限り、
図2Bに示す学習情報の走行ログにおいて新設道路フラグをONに設定する。一方、車両Cが支援地点Qにて減速した場合、および、車両Cが支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて新設道路ではない道路(地図情報30aに定義された道路区間)を走行した場合、制御部20は、走行ログにおいて新設道路フラグをOFFに設定する。除外部21cの機能により制御部20は、最新の走行ログにおける新設道路フラグがONであり、かつ、1回前の走行ログにおける新設道路フラグがONである場合、支援地点Qを減速支援の対象から除外する。
【0026】
減速支援部21dは、支援地点Qにて減速するための減速支援を実施する機能を制御部20に実行させるモジュールである。減速支援部21dの機能により制御部20は、減速支援の対象となっている支援地点Qを学習情報DB30bから取得し、当該支援地点Qの手前を車両Cが走行する場合に運転支援を実施する。具体的に、制御部20は、支援地点Qの手前において当該支援地点Qを終点とする制御区間を設定し、当該制御区間において現在の車速から目標車速まで減速するように減速制御の車速を設定する。例えば、理想減速度で減速を行った場合に、支援地点Qにて車速が目標車速となるように減速制御の車速を設定する。理想減速度(例えば0.2G)は、例えば乗員の乗り心地や回生電力の充電効率や車両Cの制動能力等に基づいて設定された理想的な減速度である。なお、減速度とは、負の加速度の絶対値を意味する。制御区間の長さは、現在の車速と目標車速と理想減速度とに基づいて定まる。減速支援部21dの機能により制御部20は、制御区間に車両Cが進入した場合、予め設定された車速となるように、車両Cの制動部46に制動力を生じさせる。
【0027】
以上説明した実施形態において、支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて車両Cが新設道路を走行した場合、新設道路が設けられることにより支援地点Qにて減速する必要性が小さくなったと見なすことができる。すなわち、新設道路が設けられるまでは既存の道路へと退出するために減速を行う必要があったのに対して、新設道路が設けられてからは新設道路へと退出することにより減速を行う必要がなくなったと見なすことができる。
図2Bの例において、支援地点Qが存在する道路区間R
1に対して左折道路区間R
2と右折道路区間R
3とが接続しており、支援地点Qを走行する際に左折または右折に備えて減速をしておく必要がある。しかし、
図2Cの例において、支援地点Qが存在する道路区間R
1に対して左折道路区間R
2と右折道路区間R
3だけでなく、道路区間R
1から直進できる新設道路区間R
4が新たに接続している。なお、新設道路区間R
4についてのリンクデータは地図情報30aに未だ記録されておらずマップマッチングが不可能である。このような状況において、支援地点Qでの減速支援は不必要となる。このような支援地点Qを減速支援の対象から除外することにより、不必要な減速支援を実施することを防止できる。
【0028】
また、走行道路区間が特定できない場合に、車両Cが走行している道路区間のリンクデータが未だ地図情報30aに記録されておらず、地図情報30aの作成よりも後に新設された新設道路区間R
4を車両Cが走行していると判定できる。この構成において、新設道路区間R
4についての情報を記録した地図情報30aが提供されるのを待つことなく、車両Cが新設道路区間R
4を走行していることを判定できる。
図2Cの例の場合、道路区間R
1から新設道路区間R
4に退出した場合の走行軌跡(直進軌跡)と、道路区間R
1と左折道路区間R
2とで構成される道路の形状とのマッチング度は閾値以上とならない。同様に、道路区間R
1から新設道路区間R
4に退出した場合の走行軌跡(直進軌跡)と、道路区間R
1と右折道路区間R
3とで構成される道路の形状とのマッチング度は閾値以上とならない。従って、道路区間R
1から新設道路区間R
4に退出した場合、走行道路区間が特定できなくなる。
【0029】
また、制御部20は、車両Cが支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて新設道路区間R
4を走行した回数が閾値(2回)以上となった場合に、支援地点Qを減速支援の対象から除外している。これにより、突発的な要因によって、支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて車両Cが新設道路区間R
4を走行したと誤判定された場合に、支援地点Qが減速支援の対象から除外されてしまうことを防止できる。例えば、支援地点Qにて減速することなく、車両Cが支援地点Q付近の施設に進入した場合等に、支援地点Qが減速支援の対象から除外されてしまうことを防止できる。
【0030】
(2)支援地点管理処理:
次に、支援地点管理処理について説明する。支援地点管理処理は、所定の時間周期または走行距離周期ごとに実行される処理である。なお、支援地点管理処理を実行する期間において、走行道路特定部21aの機能により制御部20は、所定の時間周期または走行距離周期ごとに車両Cが走行している走行道路区間を特定している。まず、支援地点取得部21bの機能により制御部20は、学習情報DB30bの各学習情報から支援地点Qを取得し、車両Cの周辺に支援地点Qが存在するか否かを判定する(ステップS100)。車両Cの周辺とは、公知の経路探索手法によって予め探索された走行予定経路上における車両Cの周辺を意味する。走行予定経路上における車両Cの周辺とは、走行予定経路上における現在位置から前方300m以内かつ当該現在位置から後方30m以内の範囲を意味する。本実施形態において、走行予定経路上の走行道路区間を車両Cが走行していることとする。
【0031】
車両Cの周辺に支援地点Qが存在すると判定しなかった場合、制御部20は、支援地点管理処理の最初(ステップS100)にリターンする。すなわち、車両Cの周辺に支援地点Qが存在するようになるまで待機する。一方、車両Cの周辺に支援地点Qが存在すると判定した場合、除外部21cの機能により制御部20は、支援地点Qにて車両Cの減速が終了したか否かを判定する(ステップS105)。制御部20は、支援地点Qの誤差範囲内(走行予定経路上において現在位置の前後15m以内)にて車両Cの減速が終了した場合、支援地点Qにて車両Cの減速が終了したと判定する。本実施形態において、減速が終了した場合とは、車速が所定の閾値(例えば3km/時)以下となった場合、または、車速が所定量(例えば5km/時)以上小さくなったのに続いてアクセルペダルが踏み込まれた場合である。ステップS105において、除外部21cの機能により制御部20は、支援地点Qの誤差範囲内を車両Cが走行している期間において周期的に減速が終了したか否かを判定し、支援地点Qの誤差範囲内を車両Cが走行している期間内のいずれかの周期において減速が終了したことが検出された場合に、支援地点Qにて車両Cの減速が終了したと判定する。
【0032】
支援地点Qにて車両Cの減速が終了したと判定した場合(ステップS105:Y)、除外部21cの機能により制御部20は、減速地点Aの位置を表す残距離Lを走行ログとして記録し、新設道路フラグをOFFに設定する(ステップS110)。残距離Lとは、減速地点Aおよび支援地点Qから、当該減速地点Aおよび当該支援地点Qが存在する道路区間の終点ノードSまでの距離である。走行ログとして記録された減速地点Aの位置を表す残距離Lおよび"通過"の合計数がすでに20個である場合、制御部20は、最も旧い走行ログ(残距離Lまたは"通過")を削除した上で、減速地点Aの位置を表す残距離Lを新たな走行ログとして記録する。支援地点Qにて車両Cの減速が終了した場合、制御部20は、支援地点Qの走行後に車両Cが走行した道路区間に拘わらず、新設道路フラグをOFFに設定する。
【0033】
次に、除外部21cの機能により制御部20は、減速確率が対象閾値(例えば80%)以上であるか否かを判定する(ステップS115)。減速確率とは、減速回数を、減速回数と通過回数との合計で除算した値である。さらに、減速回数は走行ログとして記録されている減速地点Aの位置を表す残距離Lの個数であり、通過回数は走行ログとして記録されている"通過"の個数である。
【0034】
減速確率が対象閾値以上であると判定した場合(ステップS115:Y)、除外部21cの機能により制御部20は、車両Cの減速が終了した支援地点Qについて対象フラグがONとなるように学習情報を更新する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、学習情報における支援地点Qの位置と目標車速と対象フラグとを更新する。具体的に、制御部20は、学習ログとして記録されている複数の減速地点Aの位置を表す残距離Lの中央値に対応する位置を新たな支援地点Qの位置として取得する。また、制御部20は、減速回数から1を減じた数(減速回数−1)に現在の目標車速を乗じた数と、ステップS105にて減速が終了したと判定された際の車速との合計値を算出し、当該合計値を減速回数で除算することにより、更新後の目標車速を取得する。また、ステップS120において、制御部20は、学習情報における対象フラグをONに設定する。すなわち、もともと対象フラグがOFFであれば対象フラグをONに切り替え、もともと対象フラグがONであれば対象フラグをONのまま維持する。これにより、車両Cが減速する可能性が大きい支援地点Qにて減速支援を実施させることができる。
【0035】
減速確率が対象閾値以上であると判定しなかった場合(ステップS115:N)、除外部21cの機能により制御部20は、車両Cの減速が終了した支援地点Qについて対象フラグがOFFとなるように学習情報を更新する(ステップS125)。制御部20は、ステップS120と同様に目標車速と支援地点Qの位置とを更新する。ただし、ステップS125において、制御部20は、学習情報における対象フラグをOFFに設定する。すなわち、対象フラグがONであれば対象フラグをOFFに切り替え、もともと対象フラグがOFFであれば対象フラグをOFFのまま維持する。これにより、車両Cが減速する可能性が小さい支援地点Qにて減速支援を実施ないようにすることができる。
【0036】
一方、支援地点Qにて車両Cの減速が終了したと判定しなかった場合(ステップS105:N)、除外部21cの機能により制御部20は、走行ログとして"通過"を記録し、新設道路フラグをOFFに設定する(ステップS130)。走行ログとして記録された減速地点Aの位置を表す残距離Lおよび"通過"の合計数がすでに20個である場合、制御部20は、最も旧い残距離Lまたは"通過"を削除した上で、"通過"を新たな走行ログとして記録する。支援地点Qにて車両Cの減速が終了しなかった場合、制御部20は、新設道路フラグを初期状態としてのOFFに設定する。
【0037】
次に、除外部21cの機能により制御部20は、減速確率が除外閾値(例えば30%)未満であるか否かを判定する(ステップS135)。減速確率が除外閾値未満であると判定した場合(ステップS135:Y)、除外部21cの機能により制御部20は、減速が行われなかった支援地点Qについての対象フラグをOFFに設定する(ステップS140)。すなわち、対象フラグがONであれば対象フラグをOFFに切り替え、もともと対象フラグがOFFであれば対象フラグをOFFのまま維持する。これにより、車両Cが減速する可能性が小さい支援地点Qにて減速支援を実施ないようにすることができる。対象フラグをONからOFFに切り替える際の減速確率である除外閾値は、対象フラグをOFFからONに切り替える際の減速確率である対象閾値よりも小さい値に設定されている。これにより、閾値付近で減速確率が変動した場合に、対象フラグのON/OFFが頻繁に切り替えられることを防止できる。
【0038】
一方、減速確率が除外閾値未満であると判定しなかった場合(ステップS135:N)、除外部21cの機能により制御部20は、支援地点Qに続いて、車両Cが新設道路区間を走行したか否かを判定する(ステップS145)。具体的に、支援地点Qの通過後、車両Cが所定距離(例えば100m)走行した段階において、走行道路特定部21aのマップマッチングによって、走行道路区間が特定できなかった場合に、車両Cが新設道路を走行していると判定する。
【0039】
支援地点Qに続いて、車両Cが新設道路区間を走行したと判定しなかった場合(ステップS145:N)、除外部21cの機能により制御部20は、支援地点管理処理の最初(ステップS100)にリターンする。すなわち、車両Cが通過した支援地点Qについての学習情報にて"通過"を走行ログとして記録して、次に車両Cが支援地点Qを走行するまで待機する。この場合、走行ログとしての"通過"に対応する新設道路フラグは、初期状態としてのOFFに設定されたままとなる。一方、支援地点Qに続いて、車両Cが新設道路区間を走行したと判定した場合(ステップS145:Y)、除外部21cの機能により制御部20は、減速が行われなかった支援地点Qについての走行ログの新設道路フラグをONに設定する(ステップS150)。
【0040】
次に、除外部21cの機能により制御部20は、支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて新設道路を走行することが2回以上連続したか否かを判定する(ステップS155)。具体的に、制御部20は、最新の走行ログにおける新設道路フラグがONであり、かつ、1回前の走行ログにおける新設道路フラグがONである場合、支援地点Qを減速支援の対象から除外する。
【0041】
支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて新設道路を走行することが2回以上連続したと判定しなかった場合(ステップS155:N)、制御部20は、支援地点管理処理の最初(ステップS100)にリターンする。すなわち、車両Cが通過した支援地点Qについての学習情報において"通過"をの走行ログとして記録するとともに、当該"通過"についての新設道路フラグをONに設定して、次に車両Cが支援地点Qを走行するまで待機する。
【0042】
一方、支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて新設道路を走行することが2回以上連続したと判定した場合(ステップS155:Y)、制御部20は、ステップS140を実行する。すなわち、支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて新設道路を走行することが2回以上連続した場合、減速確率が除外閾値未満であるか否かに拘わらず、減速が行われなかった支援地点Qについての対象フラグをOFFに設定する。つまり、支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて新設道路を走行することが2回以上連続した場合には、減速確率が除外閾値未満となるのを待つことなく早期に支援地点Qについての対象フラグをOFFに設定する。これにより、
図2Cのように新設道路区間R
4が新設された支援地点Qを早期に減速支援の対象から除外することができ、不必要な減速支援を実施することを防止できる。
【0043】
(3)他の実施形態:
支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて新設道路を走行することが1回でも生じた場合に、制御部20は、当該支援地点Qを減速支援の対象から除外してもよい。この場合、前記実施形態よりも早期に、新設道路区間R
4が新設された支援地点Qを減速支援の対象から除外できる。なお、車両Cが支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて新設道路区間R
4を走行した場合、制御部20は、支援地点Qを運転支援の対象から除外するか否かを指定する操作を受け付けてもよい。
【0044】
また、制御部20は、必ずしもマップマッチングの結果に基づいて、車両Cが新設道路を走行しているか否かを判定しなくてもよい。例えば、ナビゲーション端末10がネットワーク上のサーバから地図情報30aの更新データを受信する場合、制御部20は、当該更新データに含まれるリンクデータのそれぞれに受信日時を対応付けてもよい。そして、制御部20は、支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて車両Cが走行した道路区間に対応するリンクデータの受信日時が現在から所定期間以内である場合、支援地点Qを減速支援の対象から除外してもよい。
【0045】
前記実施形態において、制御部20は、車両Cが支援地点Qにて減速することなく、当該支援地点Qに続いて新設道路区間R
4を走行した回数が閾値(2回)以上となった場合に、支援地点Qを減速支援の対象から除外したが、閾値は運転者の操作に応じて設定されてもよい。前記実施形態においては、対象フラグをOFFに設定することにより支援地点Qを減速支援の対象から除外したが、制御部20は、支援地点Qについての学習情報を削除することにより支援地点Qを減速支援の対象から除外してもよい。さらに、支援地点管理処理は必ずしも車両Cに搭載されたナビゲーション端末10において実行されなくてもよく、例えば車両Cから走行経路や減速した地点等を示す情報を取得するサーバにおいて支援地点管理処理が実行されてもよい。
【0046】
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。支援地点取得手段は、減速支援の対象として登録されている支援地点を取得すればよく、減速支援の対象として有効に登録されている支援地点を記録媒体や通信媒体から取得してもよい。支援地点とは減速支援を実施する地点であり、減速支援を実施する地点とは減速支援を開始する地点であってもよいし、減速支援を終了する地点であってもよい。また、支援地点は、車両の減速履歴に基づいて学習された地点であってもよい。減速履歴に基づいて学習された支援地点であっても、新設道路の新設によって運転者の走行経路が変化し得るからである。また、支援地点は、減速を行う必要がある地図上の規制地点(一時停止地点や踏切等)であってもよい。過去において規制地点が設定されている地点であっても、新設道路の新設にともなって当該規制地点が廃止され得るからである。
【0047】
また、除外手段は、車両が支援地点にて減速することなく、当該支援地点に続いて新設道路を走行した場合に、支援地点を減速支援の対象から除外すればよい。除外手段は、支援地点の通過後、所定距離走行した段階、または、所定期間経過した段階において車両が走行している道路を特定し、当該道路が新設道路である場合に、支援地点に続いて新設道路を走行したと判定してもよい。また、除外手段は、支援地点の通過後、所定距離走行した段階、または、所定期間経過した段階における車速を取得し、当該車速が閾値以下である場合には、道路(新設道路)を走行していないと判定してもよい。これにより、支援地点の通過後に車両が施設に進入した場合に、車両が新設道路を走行しているとの誤判定をすることを防止できる。
【0048】
さらに、通常、支援地点にて減速することなく、当該支援地点に続いて走行可能な新設道路は、支援地点が存在している道路から直進方向に退出できる道路である可能性が大きい。新設道路への退出に操舵が必要な場合、支援地点にて減速が行われる可能性が大きいからである。従って、除外手段は、支援地点の通過後、所定距離走行した段階、または、所定期間経過した段階における車両の進行方向が、支援地点が存在している道路の方向から所定基準以上ずれている場合、支援地点を減速支援の対象から除外しないようにしてもよい。減速支援とは、運転者の操作に拘わらず車両の制動部に制動力を生じさせることであってもよいし、運転者に減速タイミングを案内することであってもよい。支援地点を減速支援の対象から除外するとは、支援地点が登録されたデータベースから支援地点を削除することであってもよいし、支援地点を削除するのではなく減速支援の対象としない旨のフラグを設定することであってもよい。
【0049】
除外手段は、支援地点に続いて走行している道路が、地図情報において新設道路として規定されている道路である場合、支援地点に続いて新設道路を走行したと判定してもよい。例えば、地図情報において新設道路が設けられた時期が記録されたり、地図情報において新設道路に対応するデータが収録された時期が記録されたりする場合には、車両が走行している道路が新設道路であるか否かを判定できる。
【0050】
また、車両の走行軌跡と地図情報とに基づいて、車両が走行している走行道路を特定する走行道路特定手段をさらに備え、除外手段は、走行道路が特定できない場合に、車両が新設道路を走行していると判定してもよい。また、走行道路が特定できない場合に、車両が走行している道路の情報が未だ地図情報に記録されておらず、地図情報の作成よりも後に新設された新設道路を車両が走行していると判定できる。この構成において、新設道路についての情報を記録した地図情報が提供されるのを待つことなく、車両が新設道路を走行していることを判定できる。走行道路特定手段は、公知のマップマッチングによって、車両の走行軌跡とマッチする形状を有する道路を走行道路として特定してもよい。
【0051】
さらに、除外手段は、車両が支援地点にて減速することなく、当該支援地点に続いて新設道路を走行した回数が閾値以上となった場合に、支援地点を減速支援の対象から除外してもよい。これにより、突発的な要因によって、支援地点にて減速することなく、当該支援地点に続いて車両が新設道路を走行したと誤判定された場合に、支援地点が減速支援の対象から除外されてしまうことを防止できる。例えば、支援地点にて減速することなく、車両が支援地点付近の施設に進入した場合等に、支援地点が減速支援の対象から除外されてしまうことを防止できる。
【0052】
さらに、本発明のように、支援地点を管理する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えたナビゲーションシステム、走行履歴情報の管理システムや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。