特許第6062869号(P6062869)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062869
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】誘導発電機及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 35/02 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   H02K35/02
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-548766(P2013-548766)
(86)(22)【出願日】2011年12月6日
(65)【公表番号】特表2014-502838(P2014-502838A)
(43)【公表日】2014年2月3日
(86)【国際出願番号】EP2011071825
(87)【国際公開番号】WO2012097911
(87)【国際公開日】20120726
【審査請求日】2014年9月10日
(31)【優先権主張番号】102011002740.8
(32)【優先日】2011年1月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100153017
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 昭人
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアルト ラフ
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−034665(JP,U)
【文献】 特表2004−527198(JP,A)
【文献】 特開昭61−127105(JP,A)
【文献】 特開昭61−125108(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0091984(US,A1)
【文献】 実開昭61−070350(JP,U)
【文献】 実開昭61−094308(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0082912(US,A1)
【文献】 米国特許第04560966(US,A)
【文献】 実開昭61−092018(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線スイッチ用の誘導発電機(100)であって,
・第1脚部,該第1脚部に隣接して配置されている第2脚部及びこれら両脚部を結合する結合領域を有するU字状の磁束転向素子(102)と,
・前記磁束転向素子の前記両脚部間に配置され,かつ前記磁束転向素子の結合領域に結合されているコイルコア(104)と,
・前記磁束転向素子の前記両脚部間におけるコイルコア上に配置された誘導コイル(106)と,
・第1接点領域(112)及び第2接点領域(112)を有すると共に第1位置及び第2位置間で可動に配置された磁石素子(110)と,
を備え,
・該磁石素子(110)は,第1位置において第1接点領域が第1脚部に接触すると共に第2接点領域が前記コイルコアに接触し,第2位置においては第1接点領域が前記コイルコアに接触すると共に第2接点領域が第2脚部に接触し、
・第1及び第2脚部が,前記誘導コイル(106)の覆い部分と,第1及び第2接点領域に接触する接点部分とを有し,第1及び第2接点領域と前記接点部分との隣接面に平行な方向における第1及び第2接点領域の幅に対応させて、前記接点部分の前記方向の幅が狭小化されることにより、前記覆い部分の断面が前記接点部分の断面よりも大きいことを特徴とする誘導発電機。
【請求項2】
請求項1に記載の誘導発電機(100)であって,前記磁石素子(110)が,第1接点領域を構成する第1磁極片(112)と,第2接点領域を構成する第2磁極片(112)とを有し,第1及び第2磁極片(112)の遊端は,それぞれ,前記コイルコア(104)の遊端と重なると共に第1及び第2脚部の遊端と重なることを特徴とする誘導発電機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の誘導発電機(100)であって,前記磁石素子(110)のS極及びN極を結ぶ線分が,前記コイルコア(104)の長手方向に直交することを特徴とする誘導発電機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の誘導発電機(100)であって,前記コイルコア(104)が,前記誘導コイル(106)を支持する支持部分と,第1及び第2接点領域に接触する接点部分とを有し,該接点部分の断面が前記支持部分の断面よりも大きいことを特徴とする誘導発電機。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の誘導発電機(100)であって,前記結合領域が,前記コイルコア(104)の端部を収める開口を有することを特徴とする誘導発電機。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の誘導発電機(100)であって,前記磁石素子(110)を第1位置及び第2位置の間で変位させるための操作部(532)を備えることを特徴とする誘導発電機。
【請求項7】
無線スイッチであって,
・スイッチ素子(532)と,
・請求項1〜6の何れか一項に記載の誘導発電機(100)と,
を備え,該誘導発電機における磁石素子(110)が前記スイッチ素子に結合され,該スイッチ素子の作動により前記磁石素子(110)を第1位置から第2位置まで変位可能とし,
更に,
・前記スイッチ素子の作動に関する情報をワイヤレス伝送するために,前記誘導発電機における誘導コイル(106)の電気接点に接続する電機接点を有するトランスミッタ(740)を備えることを特徴とする無線スイッチ。
【請求項8】
誘導発電機(100)を使用して電圧を発生させる電圧発生方法であって,
・前記誘導発電機(100)が,第1脚部,該第1脚部に隣接して配置されている第2脚部及びこれら両脚部を結合する結合領域を有するU字状の磁束転向素子(102)と,該磁束転向素子における第1及び第2脚部の間に配置され,かつ前記磁束転向素子の結合領域に結合されたコイルコア(104)と,前記磁束転向素子の第1及び第2脚部の間におけるコイルコア上に配置された誘導コイル(106)と,第1接点領域(112)及び第2接点領域(112)を有すると共に第1位置及び第2位置の間で可動に配置された磁石素子(110)とを備え,該磁石素子は,第1位置において第1接点領域が第1脚部に接触すると共に第2接点領域が前記コイルコアに接触し,第2位置においては第1接点領域が前記コイルコアに接触すると共に第2接点領域が第2脚部に接触し、第1及び第2脚部が,前記誘導コイル(106)の覆い部分と,第1及び第2接点領域に接触する接点部分とを有し,第1及び第2接点領域と前記接点部分との隣接面に平行な方向における第1及び第2接点領域の幅に対応させて、前記接点部分の前記方向の幅が狭小化されることにより、前記覆い部分の断面が前記接点部分の断面よりも大きい場合において,
・前記電圧発生方法が,前記磁石素子を第1位置から第2位置まで変位させるステップを含む方法。
【請求項9】
無線スイッチ用の誘導発電機(100)の製造方法であって,
・誘導コイル(106)をコイルコア(104)上に配置するステップ(881)と,
・第1脚部,該第1脚部に隣接する第2脚部及びこれら両脚部を結合する結合領域を有するU字状の磁束転向素子(102)を用意するステップと,
・前記コイルコアを前記磁束転向素子の結合領域に結合することにより,前記誘導コイルを前記両脚部間に配置するステップ(883)と,
・第1接点領域及び第2接点領域を有する磁石素子(110)を用意するステップと,
・該磁石素子を前記コイルコア及び前記磁束転向素子の脚部に隣接して配置するステップ(885)と,
を含み,
・前記磁石素子を可動とし,第1位置において第1接点領域を第1脚部に接触させると共に第2接点領域をコイルコアに接触させ,第2位置においては第1接点領域をコイルコアに接触させると共に第2接点領域を第2脚部に接触させ、
・第1及び第2脚部が,前記誘導コイル(106)の覆い部分と,第1及び第2接点領域に接触する接点部分とを有し,第1及び第2接点領域と前記接点部分との隣接面に平行な方向における第1及び第2接点領域の幅に対応させて、前記接点部分の前記方向の幅が狭小化されることにより、前記覆い部分の断面が前記接点部分の断面よりも大きいことを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は誘導発電機,無線スイッチ,誘導発電機の製造方法,並びに,例えば無線スイッチを併用する誘導発電機による電圧発生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドイツ国特許出願公開第10125059号公報(特許文献1)は,機械的エネルギ蓄積手段が設けられた誘導電圧発生器を開示している。このエネルギ蓄積手段は,作動エネルギを転換点に達するまで蓄積し,転換点に達すると誘導システムにおける永久磁石を急速に変位させる構成とされている。永久磁石が変位すると磁束が急激に変化する。永久磁石は,変位の始端又は終端においてコアに当接する。
【0003】
誘導電圧発生器は,無線スイッチと併用することができる。しかしながら,無線スイッチの作動に十分な電気エネルギを発生させるためには,多大な機械的エネルギが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ国特許出願公開第10125059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した現状に鑑み,本発明は,独立請求項に記載したとおりの改良型誘導発電機,改良型無線スイッチ,誘導発電機を製造するための改良された方法,並びに誘導発電機を使用してより効率的に電圧を発生させる方法を提供する。また,本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載されており,かつ以下において詳述するとおりである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は,中央アームによりコイル支持部を構成するE字状の磁気コアに基づくものである。磁石が,磁気コアの外側における第1アーム及び中央アームに亘って第1磁気回路を形成する第1位置から,磁気コアの外側における第2アーム及び中央アームに亘って第2磁気回路を形成する第2位置まで変位すると,磁気コアの中央アーム内における磁束方向が変化し,コイルの電気接点間に電圧を生じさせる。この電圧は電気的な装置,例えば無線スイッチにおける無線インターフェースの作動に利用することができる。磁石はスイッチ(例えば無線スイッチ)を作動させて再び変位させることができる。
【0007】
上述した原理に基づく発電機は,簡単な電気回路の作動に十分な電気エネルギを発生させるものであり,そのために必要とされる機械的エネルギが低レベルである。従って,本発明に係る発電機は効率が極めて高い。更に,本発明に係る発電機によれば,コイルコア及び磁石間の機械的分離領域における磁束密度を最適化することでき,磁気回路における磁束密度の分布を改善することができる。加えて,本発明に係る発電機の構造は,製造コストを削減可能とするものである。
【0008】
本発明は,無線スイッチ用の誘導発電機を提供するものであり,該誘導発電機は,
・第1脚部,該第1脚部に隣接して配置された第2脚部及びこれら両脚部を結合する結合領域を有するU字状の磁束転向素子と,
・磁束転向素子の両脚部間に配置され,かつ磁束転向素子の結合領域に結合されたコイルコアと,
・磁束転向素子の両脚部間におけるコイルコア上に配置された誘導コイルと,
・第1接点領域及び第2接点領域を有すると共に,第1位置及び第2位置間で可動に配置された磁石素子と,
を備え,
・該磁石素子は,第1位置において第1接点領域が第1脚部に接触すると共に第2接点領域がコイルコアに接触し,第2位置においては第1接点領域がコイルコアに接触すると共に第2接点領域が第2脚部に接触する。
【0009】
無線スイッチは,例えば自動車のキーや照明スイッチ用に使用することができる。本発明の誘導発電機は,無線スイッチの作動により必要な電気エネルギを供給し,これにより無線スイッチの作動に関する情報を,無線インターフェースを経て伝達するよう構成することが可能である。この場合の無線スイッチの使用分野は,単なる例示に過ぎない。原則として,本発明に係る誘導発電機は,機械的エネルギから電気エネルギへの変換が必要又は適切とされる箇所に使用することができる。磁束転向素子及びコイルコアは,高い導磁性を有する材料,特に強磁性材料から製造可能である。磁束転向素子は1個の素子,例えばU字状に曲げられたプレートとして構成することができる。磁束転向素子が複数個の素子で構成されている場合,これら素子を結合して磁束転向素子内における磁束が途切れないものとする。即ち,各素子が互いに隣接する構成とする。磁束転向素子における第1脚部の長手方向は,磁束転向素子における第2脚部の長手方向と同一とすることが可能である。従って,脚部の双方を互いに平行に配置することができる。磁束転向素子及びコイルコアは,同一平面上に配置してもよい。このコイルコアは,磁束転向素子と剛固に結合することができる。コイルコア及び磁束転向素子の間の結合は,高い導磁性を有するものとする。誘導コイルは,コイルコア周りにガイドされている巻回部を有する。その巻回部は,コイルコア及び磁束転向素子の脚部の間における空間を満たす。誘導コイルには,発生させた電圧を印加可能な電気接点を設けることができる。これら接点は,誘導発電機における電気的インターフェースを構成する。磁石素子は,永久磁石とするか又は永久磁石を含むものとする。永久磁石の代わりとして,必要な磁界を発生させる他の適切な素子を使用してもよい。磁石素子の接点領域は,磁石素子の互いに対向するエッジに配置された突出部を含むことが可能である。これら接点領域は,磁石素子における面とするか,又は磁石素子の磁極に配置された磁極片とすることができる。各磁極片は,強磁性物質で構成することが可能である。磁石素子の第1接点領域はS極を,第2接点領域はN極を構成することができる。この磁石素子は,適切なガイド手段により,第1位置及び第2位置間で変位可能とされている。この場合の変位は,線形とすることができる。コイルコア及び磁束転向素子の脚部には,磁石素子の接点領域用にストッパ面を設けることができる。誘導発電機が備える磁石素子は,操作部への機械的な結合部を有する。この操作部は,例えばスイッチとして構成する。磁石素子の第1位置では,磁石素子の第1接点領域が第1脚部に,また第2接点領域がコイルコアに結合している。ここに「結合」とは,磁石素子の接点領域が,対応する脚部及びコイルコアに対して直に接触するか,又は僅かしか離間していない状態を意味しており,この場合には接点領域と,対応する脚部及びコイルコアとの間における磁気抵抗が最小化される。磁石素子が第1位置を占める場合には,磁気抵抗の小さい第1磁気回路が形成される。第1磁気回路は,第1接点領域,磁束転向素子における第1脚部と結合領域の一部,コイルコア,及び第2接点領域を通過する。磁石素子の第2位置では,第2接点領域が第2脚部に,また第1接点領域がコイルコアに結合している。磁石素子が第2位置を占める場合には,磁気抵抗の小さい第2磁気回路が形成される。第2磁気回路は,第1接点領域,コイルコア,磁束転向素子における第2脚部と結合領域の一部及び第2接点領域を通過する。接点領域と各脚部及びコイルコアとの間において対応する各接点面は,形状を互いに適合させることが可能である。例えば,各接点面は平坦に形成することができる。有利には,磁石素子が第1位置から第2位置に変位した場合の磁束方向は,コイルコア内でのみ変化し,磁束転向素子内では不変とする。
【0010】
一実施形態において,磁石素子には,第1接点領域を構成する第1磁極片と,第2接点領域を構成する第2磁極片とを設けることができる。両磁極片の各遊端は,コイルコアの遊端及び両脚部の遊端と互いに重なり合う構成とすることが可能である。この場合,コイルコア及び脚部の遊端とは,結合領域に対向する側のコイルコア及び脚部の端部とすることができる。磁極片の各遊端は,磁石素子を構成する永久磁石を越えて延在させることが可能である。これにより,第1磁極片は,第1脚部及びコイルコアの間における中間スペース内に突入し,また第2磁極片は,第2脚部及びコイルコアの間における中間スペース内に突入する。各磁極片における遊端の長手方向は,各脚部及びコイルコアにおける遊端の長手方向と同一とすることができる。磁石素子及び脚部又はコイルコアの間における各接点面は,互いに重なり合うため,大面積を有することができる。これにより,接点面における磁束密度の最適化が可能となるため,接点面における磁束を望ましい値に調整できるだけでなく,磁石素子の変位により接点面が互いに容易に分離可能となる。
【0011】
磁石素子のS極及びN極を結ぶ線分は,コイルコアの長手方向に直交させることができる。この場合,例えばS極を第1脚部と対向する側に配置し,N極は第2脚部と対向する側に配置する。その結果,両磁極片は極めて単純な直線状とすることができる。これに加えて,両磁極片は少なくとも基本形状を同一とすることができる。これにより,軽量化及びコストダウンが可能となる。
【0012】
コイルコアは,誘導コイルを支持する支持部分と,第1及び第2接点領域に接触する接点部分とを有することができる。接点部分は,支持部分よりも大断面とすることができる。更に,接点部分は,互いに対向する2つの接点面を有することができる。誘導コイルの回旋部は,コイルコアの支持部分に沿って配置される。この支持部分の断面は僅かであるため,コイルコアの断面もやはり僅かとすることができる。これに対して,接点部分における断面は大きいため,磁石素子の接点領域における結合部の磁束密度は僅かである。このことにより,コイルコアから磁石素子の接点領域を分離することが容易になる。
【0013】
これに関連して,第1及び第2脚部は,誘導コイルの覆い部分と,第1及び第2接点領域に接触する接点部分とを有することができる。覆い部分は,接点部分よりも大断面とすることができる。覆い部分は,誘導コイルをその全長に亘って覆う構成とすることができる。覆い部分を接点部分よりも大断面とすることにより,覆い部分の幅を誘導コイルの幅と同一とすることが可能である。これに対して,接点部分は,磁石素子におけるより小さな幅の接点領域に合わせることができる。
【0014】
一実施形態において,結合領域には,コイルコアの端部を収める開口が設けられている。この場合にコイルコアは,その端部を開口に差し込むことにより磁束転向素子に結合可能である。
【0015】
本発明に係る誘導発電機は,磁石素子を第1位置と第2位置との間で変位させるための操作部を更に備えることができる。この操作部により,磁石素子を第1位置から第2位置まで変位させるのみならず,第2位置から第1位置まで変位させることができる。即ち,操作部の操作に伴い,磁石素子を第1位置から第2位置まで変位させ,又は第2位置から第1位置まで変位させることができる。この目的のために,操作部は適切な機構を有することができる。操作部は,手動操作可能としてもよい。
【0016】
更に,本発明は無線スイッチを提供するものであり,該無線スイッチは,
・スイッチ素子と,
・本発明の一実施形態に係る誘導発電機と,を備え,誘導発電機における磁石素子がスイッチ素子に結合され,該スイッチ素子の作動により磁石素子を第1位置から第2位置まで変位させるよう構成されており,更に,
・スイッチ素子の作動に関する情報をワイヤレス伝送するために,誘導発電機における誘導コイルの電気接点に接続する電気接点を有するトランスミッタを備える。
【0017】
上述のスイッチ素子は,手動又はセンサ等の作動装置で作動するスイッチに加えて,スイッチ素子を磁石素子に結合するための適切な機構を含むことができる。このため,スイッチ素子を切り替えることにより,磁石素子の変位が生じる。トランスミッタは,アンテナを含むと共に,誘導コイルで発生させた電圧の分析・評価,及び発生させた電圧に応じてアンテナを制御するための電子部品を含むことができる。このため,誘導コイルの電気接点は,アンテナ又電子部品の接点に接続可能である。
【0018】
更に,本発明は,誘導発電機を使用して電圧を発生させる電圧発生方法を提供するものである。本発明に係る電圧発生方法において使用する誘導発電機は,第1脚部,該第1脚部に隣接して配置されている第2脚部及びこれら両脚部を結合する結合領域を有するU字状の磁束転向素子と,磁束転向素子の両脚部間に配置され,かつ磁束転向素子の結合領域に結合されたコイルコアと,磁束転向素子の両第2脚部間におけるコイルコア上に配置された誘導コイルと,第1接点領域及び第2接点領域を有すると共に第1位置及び第2位置の間で可動に配置された磁石素子とを備え,該磁石素子は,第1位置において第1接点領域が第1脚部に接触すると共に第2接点領域がコイルコアに接触し,第2位置においては第1接点領域がコイルコアに接触すると共に第2接点領域が第2脚部に接触するよう構成されている。この場合において,本発明に係る電圧発生方法は,磁石素子を第1位置から第2位置まで変位させるステップを含むものである。
【0019】
更に本発明は,無線スイッチ用誘導発電機の製造方法を提供するものであり,該製造方法は,
・誘導コイルをコイルコア上に配置するステップと,
・第1脚部,該第1脚部に隣接する第2脚部,及びこれら両脚部を結合する結合領域を有するU字状の磁束転向素子を用意するステップと,
・コイルコアを磁束転向素子の結合領域に結合することにより,誘導コイルを第1及び第2脚部の間に配置するステップと,
・第1接点領域及び第2接点領域を有する磁石素子を用意するステップと,
・該磁石素子をコイルコア及び磁束転向素子の脚部に隣接して配置するステップと,
を含み,磁石素子を可動とし,第1位置において第1接点領域を第1脚部に接触させると共に第2接点領域をコイルコアに接触させ,第2位置においては第1接点領域をコイルコアに接触させると共に第2接点領域を第2脚部に接触させる。
【0020】
コイルコアは,磁束転向素子に摩擦力により,形状密着結合又は材料適合結合により結合することができ,例えば差し込み結合部を介して磁束転向素子に結合する。先にコイルコアを誘導コイルに結合しておくことにより,誘導発電機を極めて簡単かつ安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1a及び図1bは,本発明の一実施形態に係る誘導発電機を異なる切り替え位置で示す説明図である。
図2図2a図2cは,本発明の一実施形態に係る誘導発電機の断面図である。
図3図3は,本発明の一実施形態に係る誘導発電機の説明図である。
図4図4は,本発明の一実施形態に係る誘導発電機におけるコイルコアの説明図である。
図5図5は,本発明の一実施形態に係る誘導発電機の説明図である。
図6図6は,本発明の一実施形態に係る誘導発電機の説明図である。
図7図7は,本発明の一実施形態に係る無線スイッチの説明図である。
図8図8は,本発明の一実施形態に係る誘導発電機の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下,本発明を図示の好適な実施形態に基づいて更に詳述する。なお,各図において,機能的に対応する構成要素は同一又は類似の参照符号で表すものとし,反復的な説明を省略する。
【0023】
図1aは,本発明の実施形態に係る誘導発電機100の断面図を示す。誘導発電機100は,磁束転向素子102,コイルコア104,コイル106を備える。更に,誘導発電機100は,永久磁石110及び2個の磁極片112を有する磁石素子を備える。
【0024】
磁束転向素子102はU字状に形成され,互いに平行に配置された2個の脚部及びこれら脚部を結合する結合領域を有する。この結合領域は,脚部に対して直角に配置されており,その中央部に通過開口を有する。コイルコア104は,ロッド状とする。コイルコア104端部は,磁束転向素子102の結合領域における通過開口を通してガイドされる。コイルコア104は,磁束転向素子102の脚部に対して平行に配置している。更に,コイルコア104は,磁束転向素子102の脚部に対して中央部に位置するよう配置する。コイル106は,コイルコア104周りに巻回されている。コイル106により,コイルコア104及び磁束転向素子102の脚部の間における空間を満たすことができる。この構成においては,コイル106及びコイルコア104の間,並びにコイル106及び磁束転向素子102の間にそれぞれ電気絶縁層を設けておくことができる。磁束転向素子102の脚部及びコイルコア104の遊端は,磁石素子に向けられているコイル106端部を越えて突出している。これら遊端の突出部は,それぞれ同一の長さを有することにより,脚部及びコイルコアが同一平面上で終端することが可能とされている。脚部及びコイルコアの遊端は,磁石素子の磁極片112の接点を構成する。
【0025】
永久磁石110は,N極及びS極を有する。永久磁石110は,磁束転向素子102に対して第1の極が脚部の一側に配置され,第2の極が脚部の他側に配置されるよう位置決めされている。従って,磁力線は永久磁石110の範囲内においてコイルコア104の長手方向に直交する。換言すれば,磁力線は,磁束転向素子102の脚部の間における仮想線分に対して平行に延在する。永久磁石110は,矩形状とする。磁極片112はプレートとして形成され,永久磁石110の両側,特に永久磁石110の極を構成する端面に配置されている。各磁極片112は,永久磁石110を越えて延在する突出部を有する。この突出部は,コイル106に向けられている側の永久磁石110に位置する。永久磁石110は,コイルコア104の端面に対して離間して配置されている。磁極片112が突出部を有することにより,磁極片112はコイルコア104及び磁束転向素子102の間の中間スペース内に突入している。この場合に永久磁石110は,第1の磁極片112がコイルコア104及び磁束転向素子102の第1脚部の間における中間スペース内に突入し,また第2の磁極片112がコイルコア104及び磁束転向素子102の第2脚部の間における中間スペース内に突入するよう配置されている。第1脚部に向けられている第1磁極片112の接点面及びコイルコア104に向けられている第2磁極片112の接点面の間の間隔は,第1磁極片112に向けられている第1脚部の接点面及び第2磁極片112に向けられているコイルコア104の接点面の間の間隔と同一である。
【0026】
永久磁石110及び磁極片112で構成された磁石素子は,コイルコア104及び磁束転向素子112に対して相対運動可能である。この相対運動を可能にするため,磁石素子は可動に配置しておく。特に,磁石素子は,磁束転向素子102の脚部間における仮想上の線分に対して平行な直線運動をすることができる。第1位置において磁石素子は第1脚部方向に偏向しており,この場合に第1磁極片112の第1接点面は第1脚部の接点面に接触し,また第2磁極片112の第1接点面はコイルコア104の第1接点面に接触する。更に,第2位置において磁石素子は第2脚部方向に偏向しており,この場合に第1磁極片112の第2接点面はコイルコア104の第2接点面に接触し,また第2磁極片112の第2接点面は第2脚部の接点面に接触する。磁極片112の第1及び第2接点面は互いに対向する。同様に,コイルコアの第1接点面及び第2接点面は互いに対向する。矢印で示すように,第1位置においては,磁束が第1磁極片112を介して磁束転向素子102の第1脚部内に流入し,磁束転向素子102の結合領域からコイルコア104内に流入し,更にコイルコア104から第2磁極片112内に流入可能である。
【0027】
図1bは,図1aの本発明の実施形態に係る誘導発電機100を第2位置で示す断面図である。矢印で示すように,第2位置においては,磁束が第1磁極片112を介してコイルコア104内に流入し,このコイルコア104から磁束転向素子102の結合領域内に流入し,更に磁束転向素子102の第2脚部から第2磁極片112内に流入可能である。
【0028】
磁石素子が第1位置にある場合のコイルコア104内における磁束方向は,磁石素子が第2位置にある場合のコイルコア104内における磁束方向とは逆である。磁石素子が第1位置から第2位置に又は第2位置から第1位置に変化することにより,コイルコア104内の磁束方向が逆になり,コイル106内で電圧が誘導される。これにより,磁石素子を変位させる機械的エネルギが電気エネルギに変換可能である。
【0029】
図1a及び図1bに示す構成により,発電機の効率が向上する。これは,コイルコア104内の磁束密度が可及的に高いからである。更に,コイル領域における磁束密度も可及的に高いため,コイル106の寸法が僅かなものに留まる。これに加えて,磁気回路の残部における損失が可及的に僅かである。図1a及び図1bから明らかなように,磁気コアはU字状ではなくE字状に形成され,コイルコア104及び磁束転向素子102で構成されている。
【0030】
図2a図2cは,本発明の実施形態に係る誘導発電機100の断面図を示す。図示の誘導発電機100は,図1a及び図1bに示す誘導発電機100に対応する構成とすることができる。
【0031】
図2aから明らかなように,コイルコア104の端部は,磁束転向素子102の結合領域を貫通してガイドされると共に,磁束転向素子102のコイル106とは反対側に溝付き突出部を有する。
【0032】
図2bは,図2aの誘導発電機100のD‐D線に沿う断面図である。この切断線は,磁束転向素子102の脚部,コイル106及びコイルコア104を通過する。この場合にコイルコアは,矩形の断面形状を有する。磁束転向素子102の脚部の幅は,コイル106の幅と同一か,又は僅かに大きい。磁束転向素子102の脚部の厚さは,脚部の幅よりも小さい。更に,脚部の厚さは,コイルコア104の厚さよりも小さい。
【0033】
図2cは,図2aの誘導発電機100のE‐E線に沿う断面図である。この切断線は,永久磁石110を通過する。図2cでは,永久磁石110に亘って突出している磁極片112の領域と,磁束転向素子及び磁極片112との結合部220を示す。結合部220における磁極片112の幅は,同領域における磁束転向素子と同一か,又は僅かに小さい。永久磁石110及び結合部220の間において,磁極片112は狭幅部を有する。
【0034】
磁極片112,磁束転向素子102及びコイルコア104の間の保磁力を低下させるため,結合部220における磁束密度は可及的に僅かとするのが望ましい。これは,磁束転向素子102又はコイルコア104及び磁極片112の間の結合部を拡大することにより達成可能である。保磁力が低ければ,発電機の作動に必要とされる機械力も低レベルである。
【0035】
保磁力の低下に際し,少なくとも磁気回路における磁束全体が低下することはない。
F=B2´A/2μ0
ここに,Bは磁束密度,Aは結合部の面積,μ0は磁気定数である。
【0036】
磁極片112及び磁束転向素子102又はコアコイル104の間の結合部を拡大するには,図2cに示すように,結合部における磁束転向素子102又はコイルコア104の断面を磁極片112に対応するよう合わせる必要がある。磁束転向素子102におけるこの断面の拡大は,結合部220における磁束密度を低下させるためだけでなく,磁気回路全体における損失の低減化にも資するものである。
【0037】
既に述べたように,コイルコア104の断面は,結合部領域220においてのみ拡大するものとし,これによりこの結合部領域220における磁束密度を低下させる構成とする。コイルコア104の断面は,コイルコア104の長さに亘って可及的に僅か,例えば磁気飽和が生じない程度の大きさとする。これにより,コイル106を可及的にコンパクトに形成すると共に,各コイルの長さ,従って各コイルの電気抵抗を可及的に低くすることが可能となる。更に,コイルコア104の長さに亘ってその断面を縮小するだけでなく,断面形状を可能な限り正方形とすることが望ましい。コイルコア104及びその周りに巻かれるコイル106の形状が正方形に近いほどコイルの抵抗が低下し,従ってコイル106における損失が低減される。図2bは,このような形状を示す。
【0038】
図3は,本発明に係る誘導発電機100の一実施形態を,コイルを省いた状態で示す。図示の誘導発電機100は,図1aに示す誘導発電機100に対応する構成とすることができる。
【0039】
図示の実施形態において,磁束転向素子102は,その全長に亘って均一の厚さを有する。磁極片112との結合部以外の領域において,磁束転向素子102の脚部は,結合領域に至るまでより大きな幅を有する。結合領域は脚部と同一の幅を有するが,コイルコア104用の通過開口の高さにおける結合領域は,より小さい幅を有する。更に,磁束転向素子102の脚部は,結合領域近傍に2つの通過開口を有する。
【0040】
永久磁石110は,矩形状とする。磁極片112は,永久磁石110の対向する表面上に平坦に配置され,これら表面を完全に覆っている。磁極片112が永久磁石110における他の表面に接触したり,他の表面を覆ったりすることはない。
【0041】
コイルコア104は,磁極片112との結合部領域304aにおいては可能な限り大きな断面を有するが,コイル領域304bにおいてはより小さくかつより正方形の断面を有する。
【0042】
図4は,本発明に係る誘導発電機100の一実施形態におけるコイルコア104を示す。図示のコイルコア104は,図3に示す誘導発電機100におけるコイルコア104と同一とすることができる。コイルコアの部分304aは,部分304bよりも大きな幅,例えば2倍〜4倍の幅を有する。これら部分304a,304bにおけるコイルコアの厚さは,同一とすることができる。コイルコア104の部分304aに対向する側の端部は,コイルコア104の部分304bよりも小さな厚さ及び幅を有する。
【0043】
図3及び図4から明らかなように,コイルコア104及び磁極片112との結合部又は分離部分の間における断面は,結合部における磁束密度を低下させる目的で異ならせている。従って,コイルコア104がT字状に形成されている。
【0044】
磁石110及び磁石ブロック全体は,簡単かつ安価に製造可能である。磁石ブロックには,単純な構成とした永久磁石110を使用し,この永久磁石110の各端面には磁極片112を取り付けておく。磁束の流れをガイドするため,これら磁極片112には,単純な形状を有すると共に,特に同一の構成とした磁極片112を使用する。同一の構成とした磁極片112を使用することにより,これら磁極片112を安価に大量生産することが可能である。
【0045】
永久磁石110及び磁極片112は射込成形するか,より好適には単に金属ケージでスナップ固定することができる。磁石ブロックは,単純な形状とした磁極片を使用することにより,安価に製造可能である。更に,磁石ブロックは極めて軽量かつ小型に形成することができる。その結果,より小さな慣性に基づき,より望ましい態様で加速させることが可能である。
【0046】
U字状のコイルコアと対比した場合,磁束転向素子102を拡大しても付加的なコストは殆ど生じない。なぜなら,磁束転向素子102の材料が極めて安価だからである。むしろ,コイル材料の節減及びより単純な構成とした磁極片112により,コストが大幅に低下する。
【0047】
磁束転向素子102のアーム及び磁極片112の双方は,一方向,例えばS極又はN極にのみ磁化され,コイルコア104だけが一定間隔で完全に逆の極,例えばN極からS極又はその逆に磁化される。このため,コイルコア104内に比べて,磁束転向素子102及び磁極片112内の磁気損失が低減される。アーム及び磁極片112が一方向にのみ磁化される構成とするため,これら部位により安価な材料が使用可能である。
【0048】
本発明に係る発電機は,極めてコンパクトに製造できるため,スペースの最適な利用を可能にするものである。
【0049】
磁石110の制御は既知の態様で,例えば非線形的又は線形的に行われる。
【0050】
図5及び図6は,本発明に係る発電機の他の実施形態を示す。この発電機は,図1aに基づいて記載した誘導発電機100に対応する構成とすることができる。
【0051】
図5及び図6は,永久磁石110及び磁極片112を包囲している金属ケージ530を示す。金属ケージ530は,永久磁石110及び磁極片112を互いに結合する。更に,金属ケージ530は,磁束転向素子102における脚部の1本を越えて延在すると共に互いに対向する2本の突起を有する。これら突起は,操作部532に結合している。操作部532は,ばね素子として構成することができる。停止位置において,操作部532の第1領域は,磁束転向素子102におけるより近接する側の脚部に対して離間して配置され,操作部532の第2領域は,結合領域に当接して結合領域を包囲する。第2領域は,コイルコア104端部の溝に係合可能とされ,この端部は,磁束転向素子102の結合領域を貫通して突出する。更に,操作部532の第3領域は,磁石誘導102における他方の脚部に沿いつつ,この脚部の開口までガイドされて該開口に係合する。
【0052】
操作部532を操作すると,操作部532の第1領域が,該操作部532に作用する力により磁束転向素子102の脚部に隣接する方向に変位する。この第1領域の変位に際して,金属ケージ530が結合部により操作部532と共に変位するため,永久磁石110が磁極片112と共に図1aに示す位置から図1bに示す位置まで変位する。操作部532の作動後,操作部532の第1領域は,例えばばねの復元力により再び初期位置に復帰可能である。そのため,永久磁石110が,結合部により操作部532と共に図1bに示す位置から図1aに示す位置まで変位する。
【0053】
図7は,本発明に係る無線スイッチの一実施形態を示す。この無線スイッチは,スイッチ素子532,誘導発電機100及びトランスミッタ740を備える。図示の誘導発電機100は,図5及び図6に示す誘導発電機100と同一構成とすることができる。従って,スイッチ素子532も図5及び図6に示す操作部532と同一構成とすることができる。トランスミッタ740は,スイッチ素子532の作動に関する情報を,無線インターフェースを通して発信するよう構成されている。トランスミッタ740の作動に必要なエネルギは,スイッチ素子532により誘導発電機が作動することで発生可能である。
【0054】
上記の構成によれば,スイッチ素子532に作用する力により,誘導発電機100における磁石素子の変位が生じる。その後,誘導発電機100が電気エネルギを発生させ,電気接点を介してトランスミッタ740に供給される。この電気エネルギは,スイッチ素子532の作動に関する情報を発信するために使用される。
【0055】
図8は,本発明に係る誘導発電機の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。ステップ881では,誘導コイルをコイルコア上に固定する。その後のステップ883では,コイルコアをコイルと共にU字状の磁束転向素子又は外側コアに固定する。ステップ885では,磁石素子をコイルコア及び磁束転向素子に隣接して可動に配置する。その際,磁石素子を操作部に結合することができる。この操作部は,磁石素子を変位させ,これに応じて誘導発電機100を作動させる。
【0056】
一実施形態において,コイルコアは別個に製造し,コイルを設けた後,磁束転向素子に固定する。この固定は,コイルコアをコイルと共に磁束転向素子に差し込むことで行うことができる。コイルは,1個のみを使用する。更に,磁束転向素子には,単純かつ同一の形状とした磁極片を設ける。
【0057】
添付図面に基づいて上述した実施形態は単なる例示に過ぎない。異なる実施形態を,完全に又は個別的な特徴に限定して,互いに組み合わせることができる。即ち,ある実施形態の特徴で他の実施形態を補完することができる。更に,上述した各構成要素の寸法及び形状は単なる例示に過ぎず,誘導発電機の用途に適合させることが可能である。
【符号の説明】
【0058】
100 誘導発電機
102 磁束転向素子
104 コイルコア
106 コイル
110 磁石
112 磁極片
220 結合部
304a コイルコアの領域
304b コイルコアの領域
530 金属ケージ
532 操作部
740 トランスミッタ
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5
図6
図7
図8