特許第6062875号(P6062875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062875
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】はんだ付けヘッド及びはんだ付け方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 3/00 20060101AFI20170106BHJP
   B23K 3/06 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   B23K3/00 310B
   B23K3/06 K
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-28569(P2014-28569)
(22)【出願日】2014年2月18日
(65)【公開番号】特開2015-150611(P2015-150611A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2015年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014834
【氏名又は名称】株式会社ジャパンユニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100072453
【弁理士】
【氏名又は名称】林 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】深山 智秋
(72)【発明者】
【氏名】河野 寛史
【審査官】 竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−5869(JP,A)
【文献】 特開昭63−126669(JP,A)
【文献】 特開平10−328819(JP,A)
【文献】 特開平9−327767(JP,A)
【文献】 特開昭61−259876(JP,A)
【文献】 特開平11−285819(JP,A)
【文献】 特開2006−297453(JP,A)
【文献】 特開平10−314931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00 − 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線に沿って上方の第1位置と下方の第2位置との間で上下動自在のはんだ鏝;前記第1位置に位置するはんだ鏝の鏝先に線状はんだを供給する上方の第1供給位置と、前記第2位置に位置するはんだ鏝の鏝先に線状はんだを供給する下方の第2供給位置との間で上下動自在のはんだノズル;前記はんだ鏝を上下動させる鏝駆動手段;前記鏝駆動手段による前記はんだ鏝の上下動に連動して前記はんだノズルを上下動させるノズル駆動手段;を有し、
前記はんだ鏝の動作ストロークと前記はんだノズルの動作ストロークとに差を持たせることにより、前記鏝先の、前記動作ストロークの差分に相当する範囲に、前記線状はんだが供給されるようにした、
ことを特徴とするはんだ付けヘッド。
【請求項2】
前記はんだノズルの動作ストロークが前記はんだ鏝の動作ストロークより大きいことを特徴とする請求項1に記載のはんだ付けヘッド。
【請求項3】
前記鏝駆動手段及びノズル駆動手段は共にエアシリンダからなり、前記鏝駆動手段の動作ストロークは一定で、前記ノズル駆動手段の動作ストロークがストローク調整機によって調整可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のはんだ付けヘッド。
【請求項4】
前記ストローク調整機構は、前記ノズル駆動手段のシリンダハウジングと固定関係にある固定ブロックと、前記ノズル駆動手段のロッドに連結されて該ロッドで昇降駆動される可動ブロックとを有し、該可動ブロックに前記はんだノズルが支持されており、
前記固定ブロック及び可動ブロックには、該固定ブロックに対する可動ブロックの上昇端の位置及び下降端の位置を決めることによって前記はんだノズルの前記第1供給位置及び第2供給位置を決める第1位置決め機構及び第2位置決め機構が形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のはんだ付けヘッド。
【請求項5】
前記第1位置決め機構は、前記固定ブロック及び可動ブロックの一方に前記軸線と平行に取り付けられた第1位置決め杆と、他方に前記第1供給位置で前記第1位置決め杆が当接するように形成された第1当接部とを有し、
前記第2位置決め機構は、前記固定ブロックに前記軸線と平行に取り付けられた第2位置決め杆と、前記可動ブロックに前記第2供給位置で前記第2位置決め杆に当接するように形成された第2当接部とを有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のはんだ付けヘッド。
【請求項6】
はんだ鏝と、該はんだ鏝の鏝先に線状はんだを供給するはんだノズルとを、互いに連動させて上下動させながら複数のはんだ付け対象に沿って移動させ、前記はんだノズルから供給される線状はんだを前記鏝先で溶融させて前記はんだ付け対象に供給することにより、複数の前記はんだ付け対象を順番にはんだ付けするはんだ付け方法であって、
前記はんだ鏝とはんだノズルとの下降ストローク中に該はんだノズルから前記はんだ鏝の鏝先に線状はんだを供給すると共に、前記はんだ鏝の動作ストロークと前記はんだノズルの動作ストロークとに差を持たせることにより、前記鏝先の、前記はんだ鏝とはんだノズルとの動作ストロークの差分に相当する範囲に、前記線状はんだを供給する、
ことを特徴とするはんだ付け方法。
【請求項7】
前記はんだノズルの動作ストロークを前記はんだ鏝の動作ストロークより大きくすることを特徴とする請求項6に記載のはんだ付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ付けロボット等の自動機械に取り付けて使用するはんだ付けヘッド及び該はんだ付けヘッドによるはんだ付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
はんだ付けロボット等の自動機械に取り付けて使用するはんだ付けヘッドは、例えば特許文献1や特許文献2等に開示されているように、従来より公知である。この種のはんだ付けヘッドは、はんだ鏝と、該はんだ鏝の鏝先に線状はんだを供給するはんだのノズルとを有し、該はんだノズルから供給される線状はんだを前記鏝先で溶融させて電子部品等のはんだ付け対象をはんだ付けるものである。
【0003】
前記はんだ鏝の鏝先は、銅製の母材の表面に鉄メッキを施したものであるが、はんだと接触することにより、該はんだに含まれる合金成分との化学変化によって鉄メッキ層が浸食され、その浸食が母材である銅にまで及ぶことによって該鏝先が次第に消耗していくことになる。
【0004】
前記従来のはんだ付けヘッドは、前記はんだ鏝とはんだノズルとが一定の位置関係に配置されていて、該はんだノズルから前記鏝先の常に同じ場所に線状はんだが供給されるように構成されているため、該鏝先の前記線状はんだが供給される部分のみが局部的に浸食され、該鏝先の消耗が早いという問題があった。
【0005】
一方、前記従来のはんだ付けヘッドには、鏝先に対するはんだノズルの位置を手作業で調整することができる機構を備えたものもあるが、この調整機構は、はんだ付けを行う前に、前記鏝先とはんだノズルとの位置関係を最適なものに設定するためのもので、鏝先の消耗状況に応じて前記鏝先とはんだノズルとの位置関係を調整するためのものではない。
ただ、前記調整機構により、鏝先の消耗状況に応じて前記鏝先とはんだノズルとの位置関係を調整することも可能ではあるが、その作業は、鏝先の一部が局部的に浸食された状態になったあとに、はんだ付けが行われていない状況でしか行うことができず、鏝先の局部的な消耗を未然に防止するために、はんだ付け作業中に前記鏝先とはんだノズルとの位置関係を調整することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3213238号公報
【特許文献2】特許第4073355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、はんだ鏝の鏝先とはんだノズルとの位置関係をはんだ供給中に変更することにより、前記鏝先に対する線状はんだの供給位置を変更して該鏝先の局部的な消耗を防止するようにしたはんだ付けヘッド及びはんだ付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明によれば、軸線に沿って上方の第1位置と下方の第2位置との間で上下動自在のはんだ鏝;前記第1位置に位置するはんだ鏝の鏝先に線状はんだを供給する上方の第1供給位置と、前記第2位置に位置するはんだ鏝の鏝先に線状はんだを供給する下方の第2供給位置との間で上下動自在のはんだノズル;前記はんだ鏝を上下動させる鏝駆動手段;前記鏝駆動手段による前記はんだ鏝の上下動に連動して前記はんだノズルを上下動させるノズル駆動手段;を有し、前記はんだ鏝の動作ストロークと前記はんだノズルの動作ストロークとに差を持たせることにより、前記鏝先の、前記動作ストロークの差分に相当する範囲に、前記線状はんだが供給されるようにしたことを特徴とするはんだ付けヘッドが提供される。
【0009】
本発明においては、前記はんだノズルの動作ストロークが前記はんだ鏝の動作ストロークより大きいことが望ましい。
【0010】
また、本発明において好ましくは、前記鏝駆動手段及びノズル駆動手段は共にエアシリンダからなり、前記鏝駆動手段の動作ストロークは一定で、前記ノズル駆動手段の動作ストロークがストローク調整機によって調整可能であることである。
【0011】
本発明の具体的な構成態様によれば、前記ストローク調整機構は、前記ノズル駆動手段のシリンダハウジングと固定関係にある固定ブロックと、前記ノズル駆動手段のロッドに連結されて該ロッドで昇降駆動される可動ブロックとを有し、該可動ブロックに前記はんだノズルが支持されており、前記固定ブロック及び可動ブロックには、該固定ブロックに対する可動ブロックの上昇端の位置及び下降端の位置を決めることによって前記はんだノズルの前記第1供給位置及び第2供給位置を決める第1位置決め機構及び第2位置決め機構が形成されている。
【0012】
この場合、前記第1位置決め機構は、前記固定ブロック及び可動ブロックの一方に前記軸線と平行に取り付けられた第1位置決め杆と、他方に前記第1供給位置で前記第1位置決め杆が当接するように形成された第1当接部とを有し、前記第2位置決め機構は、前記固定ブロックに前記軸線と平行に取り付けられた第2位置決め杆と、前記可動ブロックに前記第2供給位置で前記第2位置決め杆に当接するように形成された第2当接部とを有することが望ましい。
【0013】
また、本発明によれば、はんだ鏝と、該はんだ鏝の鏝先に線状はんだを供給するはんだノズルとを、互いに連動させて上下動させながら複数のはんだ付け対象に沿って移動させ、前記はんだノズルから供給される線状はんだを前記鏝先で溶融させて前記はんだ付け対象に供給することにより、複数の前記はんだ付け対象を順番にはんだ付けするはんだ付け方法であって、前記はんだ鏝とはんだノズルとの下降ストローク中に該はんだノズルから前記はんだ鏝の鏝先に線状はんだを供給すると共に、前記はんだ鏝の動作ストロークと前記はんだノズルの動作ストロークとに差を持たせることにより、前記鏝先の、前記はんだ鏝とはんだノズルとの動作ストロークの差分に相当する範囲に、前記線状はんだを供給することを特徴とするはんだ付け方法が提供される。
この場合、前記はんだノズルの動作ストロークを前記はんだ鏝の動作ストロークより大きくすることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、はんだ付け時に、鏝駆動手段とノズル駆動手段とによってはんだ鏝とはんだノズルとを連動して上下動させると共に、前記はんだ鏝の動作ストロークと前記はんだノズルの動作ストロークとに差を持たせることにより、前記鏝先の、前記動作ストロークの差分に相当する範囲に線状はんだが供給されるようにしたので、鏝先の常に同じ場所(一点)に線状はんだが供給される従来のはんだ付けヘッドに比べ、該鏝先の局部的な浸食が防止され、該鏝先の耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るはんだ付けヘッドの一実施形態を示す正面図で、はんだ鏝及びはんだノズルが上昇端にある場合の図である。
図2図1の左側面図である。
図3図1の要部拡大図である。
図4図2の要部拡大図で、図3の左側面図である。
図5図1のはんだ付けヘッドにおいて、はんだ鏝及びはんだノズルが下降端に移動した場合の正面図である。
図6図5の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図は本発明に係るはんだ付けヘッドの一実施形態を示すものである。このはんだ付けヘッドは、はんだ付けロボットのロボットアームに取り付けて使用するもので、該ロボットアームに取り付けるための取付部材1と、該取付部材1に固定されたヘッド基板2とを有し、該ヘッド基板2に、はんだ鏝3を上下動させる鏝駆動手段4と、はんだノズル5を上下動させるノズル駆動手段6とが固定されている。
【0017】
前記鏝駆動手段4及びノズル駆動手段6は、何れもエアシリンダからなるもので、シリンダハウジング4a,6aと、該シリンダハウジング4a,6aの内部を摺動自在のピストン(不図示)とを有し、該ピストンの両側に形成された圧力室に圧縮空気を交互に給排することにより、前記ピストンが図の上下方向に移動し、前記鏝駆動手段4は、該鏝駆動手段4のピストンに連結された鏝支持部材7を介して前記はんだ鏝3を上下動させ、前記ノズル駆動手段6は、該ノズル駆動手段6のピストンに連結されたロッド6bの伸縮により、該ロッド6bに連結された可動ブロック8及びノズル支持機構9を介して前記はんだノズル5を上下動させるものである。
以下の説明では、前記鏝駆動手段を「鏝シリンダ」と呼び、前記ノズル駆動手段を「ノズルシリンダ」と呼ぶこともある。
【0018】
図中の符号12a,12bは、前記鏝シリンダ4に形成されたポート、符号13a,13bは、該ポート12a,12bに接続された鏝側配管を示し、また、符号14a,14bは、前記ノズルシリンダ6に形成されたポート、符号15a,15bは、該ポート14a,14bに接続されたノズル側配管を示している。前記鏝側配管13a,13bとノズル側配管15a,15bとは、圧縮空気源に切換弁を介して接続されたマニホールド16に接続され、該マニホールド16を介して前記圧縮空気源からの圧縮空気が、前記鏝シリンダ4とノズルシリンダ6とに同時に供給されることにより、該鏝シリンダ4のピストンとノズルシリンダ6のピストンとが、上下互いに同じ方向に同時に駆動されるようになっている。
【0019】
前記はんだ鏝3は、軸線Lに沿って伸びる鏝本体20と、該鏝本体20の先端(下端)に設けられた鏝先21とを有し、前記鏝本体20の内部に収容された電気式の発熱機構によって前記鏝先21を加熱し、該鏝先21に前記はんだノズル5のノズル口5aから供給される線状はんだ22を溶融させてはんだ付け対象10に供給することにより、該はんだ付け対象10をはんだ付けするものである。
【0020】
図中の符号23は、前記鏝本体20の内部に発熱のための電気を導く導電線、24は、前記鏝本体20の内部に窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスを導入するためのガス配管を示し、該ガス配管24で鏝本体20の内部に導入された不活性ガスを該鏝本体20の先端部からはんだ付け対象10に向けて噴射することにより、不活性ガス雰囲気中で、溶融したはんだの酸化を防止しながらはんだ付けを行うものである。
【0021】
前記鏝本体20は、前記鏝支持部材7に取り付けられ、該鏝支持部材7は、前記鏝シリンダ4のピストン(不図示)に連結され、該ピストンの上下動により、前記鏝支持部材7が前記鏝シリンダ4のシリンダハウジング4aにガイドされて上下動し、それによって前記はんだ鏝3が、前記軸線Lに沿って、前記鏝先21がはんだ付け対象10から離れる上方の第1位置A1(図1図2参照)と、該鏝先21がはんだ付け対象10に接触又は微少なギャップをおいて近接する下方の第2位置A2(図5図6参照)との間で上下動するようになっている。このときの該はんだ鏝3の動作ストロークはS1(図1参照)で、一定に保たれている。
【0022】
一方、前記はんだノズル5は、不図示のはんだ供給装置からはんだ送りチューブ25を通じて送られる線状はんだ22を、前記ノズル口5aを通じてはんだ鏝3の鏝先21に供給するもので、前記ノズル支持機構9と可動ブロック8とを介して前記ノズルシリンダ6のロッド6bに連結され、該ロッド6bの昇降動作により、前記第1位置A1に位置する前記はんだ鏝3の鏝先21に線状はんだ22を供給する第1供給位置B1(図1図2参照)と、前記第2位置A2に位置する前記はんだ鏝3の鏝先21に線状はんだ22を供給する第2供給位置B2(図5図6参照)との間で上下動する。このときの該はんだノズル5の動作ストロークはS2(図6参照)で、前記はんだ鏝3の動作ストロークはS1より大きく、且つ、ストローク調整機構28によって調整可能である。
【0023】
前記ノズル支持機構9は、前記鏝シリンダ4のシリンダハウジング4aにガイドされて図の上下方向に変位するノズル支持部材30を有し、該ノズル支持部材30に、前記はんだノズル5が、前記ノズル支持部材30の下端から横向きに伸びる第1中間支持部材31と、該第1中間支持部材31に連結された第2中間支持部材32と、該第2中間支持部材32に上下方向の位置を調節自在に支持された支持杆33と、該支持杆33の下端に連結されたノズル支持アーム34とを介して斜め下向きに支持され、該はんだノズル5の前記ノズル口5aの先端は、前記はんだ鏝3の鏝先21の側面に向けられている。
【0024】
また、前記ストローク調整機構28は、図3及び図4に詳細に示すように、前記ヘッド基板2に固定されることによって前記ノズルシリンダ6のシリンダハウジング6aと固定関係にある四角い柱状をした固定ブロック35と、前記ノズルシリンダ6のロッド6bに連結されて該ロッド6bで昇降駆動される前記可動ブロック8とを有し、該可動ブロック8は、前記ノズル支持部材30に連結されている。従って、該可動ブロック8は、前記ノズル支持部材30を介して前記はんだノズル5を支持するものである。
【0025】
前記可動ブロック8は、前記ノズル支持部材30に螺子36で固定された上下方向に細長い主体部8aと、該主体部8aの下端から横向きに延出する第1延出部8bと、前記主体部8aの上端から前記第1延出部8bと90度異なる方向に向けて横向きに延出する第2延出部8cとを有し、前記第1延出部8bが前記ノズルシリンダ6のロッド6bに連結され、前記第2延出部8cと前記固定ブロック35とに、該第2延出部8c(可動ブロック8)の上昇端の位置を決めることによって前記はんだノズル5の上昇端の位置(第1供給位置B1)を決める第1位置決め機構37と、第2延出部8cの下降端の位置を決めることによって前記はんだノズル5の下降端の位置(第2供給位置B2)を決める第2位置決め機構38とが形成されている。
【0026】
前記第1延出部8bには、前記ノズルシリンダ6のロッド6bに連結するため、該第1延出部8bの先端部近くに連結孔40が形成され、該連結孔40内に前記ロッド6bの先端部が遊挿状態に挿入され、該ロッド6bの、前記第1延出部8bの下面側に突出する先端部に、係止用の止め金具41が取り付けられ、該第1延出部8bの上面と前記ロッド6bの段部6cとの間にコイルばね42が圧縮状態で介設されることにより、このコイルばね42で、前記第1延出部8bが、前記止め金具41側に向けて常時押圧されている。
そして、図1に示すように、前記はんだノズル5が前記第1供給位置B1にあるときには、前記第1延出部8bが前記止め金具41に当接し、図3に示すように、前記はんだノズル5が前記第2供給位置B2にあるときには、前記第1延出部8bが前記止め金具41から離れ、前記コイルばね42を更に圧縮した状態になるように構成されている。
【0027】
前記第1位置決め機構37は、前記可動ブロック8の第2延出部8cに、前記軸線Lと平行且つ先端が該第2延出部8cから上方に突出するように取り付けられた第1位置決め杆45と、前記固定ブロック35の一部に形成された第1当接部46とによって形成され、前記はんだノズル5の上昇端の位置で、前記第1位置決め杆45の先端が前記第1当接部46に当接してその位置に停止することにより、前記はんだノズル5の上昇端の位置即ち第1供給位置B1が決められるようになっている。
前記第1位置決め杆45は、ボルトで形成されているため、該第1位置決め杆45を回転させて進退動操作し、その突出長さを調整することにより、前記第1供給位置B1を変更することができる。
なお、前記第1位置決め杆45を前記固定ブロック35に設け、前記第1当接部46を前記可動ブロック8に設けることもできる。
【0028】
また、前記第2位置決め機構38は、前記固定ブロック35に前記軸線Lと平行に取り付けられた第2位置決め杆47と、該第2位置決め杆47の先端の螺子頭からなる大径部47aと、前記可動ブロック8に前記第2位置決め杆47が貫通するように形成された貫通孔48と、該貫通孔48の下方の孔縁に前記大径部47aに当接するように形成された第2当接部49とによって形成され、前記はんだノズル5の下降端の位置で、前記第2位置決め杆47の大径部47aに前記第2当接部49が当接してその位置に停止することにより、前記はんだノズル5の下降端の位置即ち第2供給位置B2が決められるようになっている。
前記第2位置決め杆47は、螺子棒で形成されているため、該第2位置決め杆47を回転させて進退動操作し、その突出長さ即ち前記大径部47aの位置を調整することにより、前記第2供給位置B2を変更することができる。
【0029】
図中の符号50,51は、前記第1位置決め杆45及び第2位置決め杆47を、長さ調整した位置に固定するための固定用ナットである。
【0030】
前記構成を有するはんだ付けヘッドで、電子部品の端子などの複数のはんだ付け対象10を個々にはんだ付けするとき(ポイントはんだ付けをするとき)には、前記鏝駆動手段4とノズル駆動手段6とを同時に動作させることにより前記はんだ鏝3とはんだノズル5とを互いに連動させて上下動させながら、前記複数のはんだ付け対象10に沿って順次移動させ、前記はんだノズル5から鏝先21に供給される線状はんだ22を該鏝先21で溶融させて各はんだ付け対象10に供給することにより、前記複数のはんだ付け対象10を順番にはんだ付けするものであり、その具体的方法は次の通りである。
【0031】
図1及び図2は、前記はんだ鏝3が上昇端の第1位置A1にあり且つ前記はんだノズル5が上昇端の第1供給位置B1にある状態を示しており、このとき、前記はんだ鏝3の鏝先21は、はんだ付け対象10から離れた状態にある。
【0032】
この状態から前記はんだ付け対象10をはんだ付けするときは、前記鏝駆動手段4とノズル駆動手段6とが同時に動作することにより、前記はんだ鏝3とはんだノズル5とが互いに連動して同時に下降を開始し、それと同時に、前記はんだノズル5から線状はんだ22が前記はんだ鏝3の鏝先21の側面に向けて供給され始める。供給された線状はんだ22は鏝先21の熱によって直ちに溶融し、鏝先21の側面を伝って流下することによりはんだ付け対象10に供給される。
【0033】
そして、図5及び図6に示すように、前記はんだ鏝3は、動作ストロークS1分を下降して鏝先21が前記はんだ付け対象10に接触又は微少なギャップをおいて近接する下降端の第2位置A2で停止し、これに対して前記はんだノズル5は、線状はんだ22を供給しながら動作ストロークS2分を下降して下降端の第2供給位置B2で停止し、この第2供給位置B2で所定量の線状はんだ22を供給し終わると、該線状はんだ22の供給は停止され、一つのはんだ付け対象10のはんだ付けが完了する。
【0034】
このとき、前記はんだノズル5の動作ストロークS2は前記はんだ鏝3の動作ストロークS1より大きいため、該はんだノズル5は、先に停止した前記鏝先21に対して、前記はんだ鏝3と前記はんだノズル5との動作ストロークの差(S2−S1)分だけ該鏝先21の先端寄りの位置まで相対的に移動することになり、その結果、前記鏝先21の側面には、前記動作ストロークの差分に相当する範囲に前記線状はんだ22が供給されることになる。
このため、鏝先21の常に同じ場所(一点)に線状はんだ22が供給される従来のはんだ付けヘッドに比べ、該鏝先21の広い範囲に線状はんだが供給されることによって該鏝先の局部的な浸食が防止され、該鏝先21の耐久性が向上する。
【0035】
また、前記線状はんだ22が鏝先21の熱によって溶融したとき、該線状はんだ22の内部に充填されたフラックスも加熱され、その一部は蒸発して飛散し、残りが溶融したはんだと一緒に鏝先21に沿って流下してはんだ付け対象10に供給される。その際、従来のはんだ付けヘッドのように鏝先21の一点のみに集中して線状はんだ22が供給される場合、その供給位置から鏝先21先端までの距離によっては、はんだ付け対象10に向けて流れるフラックスの量より該フラックスの蒸発量の方が多くなり、該フラックスによる効果が低減されるおそれがあるが、本発明では、はんだノズル5が鏝先21の先端側に向けて該鏝先21と相対的に移動しながら線状はんだ22を供給するので、はんだ付け対象10に流れるフラックス量が増大してフラックス効果も増大するという利点もある。
【0036】
一つのはんだ付け対象10のはんだ付けが完了すると、前記はんだ鏝3とはんだノズル5とは、前記第1位置A1及び第1供給位置B1にに向けて上昇しながら次のはんだ付け対象10の位置に移動し、前述した動作を繰り返すことにより、複数のはんだ付け対象10が次々にはんだ付けされる。
【0037】
なお、前記実施形態では、前記はんだ鏝3の動作ストロークS1を一定に保ち、前記はんだノズル5の動作ストロークS2をストローク調整機構28によって調整可能にしているが、その逆に、前記はんだノズル5の動作ストロークS2を一定に保ち、前記はんだ鏝3の動作ストロークS1を適宜のストローク調整機構によって調整可能にすることもできる。
また、前記フラックスの問題が無い場合には、前記はんだ鏝3の動作ストロークS1を前記はんだノズル5の動作ストロークS2より大きくしても良い。
【符号の説明】
【0038】
3 はんだ鏝
4 鏝駆動手段
5 はんだノズル
6 ノズル駆動手段
6a シリンダハウジング
6b ロッド
8 可動ブロック
10 はんだ付け対象
21 鏝先
22 線状はんだ
28 ストローク調整機構
35 固定ブロック
37 第1位置決め機構
38 第2位置決め機構
45 第1位置決め杆
46 第1当接部
47 第2位置決め杆
49 第2当接部
L 軸線
A1 第1位置
A2 第2位置
B1 第1供給位置
B2 第2供給位置
S1 はんだ鏝の動作ストローク
S2 はんだノズルの動作ストローク
図1
図2
図3
図4
図5
図6