特許第6062890号(P6062890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062890
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】射出成形機の樹脂飛散防止カバー
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20170106BHJP
   B29C 45/84 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   B29C45/17
   B29C45/84
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-146232(P2014-146232)
(22)【出願日】2014年7月16日
(65)【公開番号】特開2016-22592(P2016-22592A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227054
【氏名又は名称】日精樹脂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】種村 大樹
(72)【発明者】
【氏名】半田 裕幸
【審査官】 井上 由美子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−060311(JP,U)
【文献】 特開2004−155133(JP,A)
【文献】 実開平02−073312(JP,U)
【文献】 特開平02−063710(JP,A)
【文献】 特開平06−008277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B22D 17/20−17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型を固定する固定盤及び前記金型へ樹脂材料を射出する射出機を備えている射出成形装置に装備され、前記固定盤に取付けられ前記射出機のノズルから飛散する樹脂の飛散を防止する射出成形装置の樹脂飛散防止カバーであって、
前記固定盤に当てられる正面板と、この正面板の上辺から前記射出機へ延びる天板と、この天板の左右辺から下へ延びる左右側板とからなり、
前記天板は、前記正面板に固定されている固定部と、この固定部に第1ヒンジを介して上下にスイング可能に取付けられている可動部とからなり、この可動部は、前記天板の前記左右側板側に配置され、
前記側板の一方は、第2ヒンジを介して前記可動部に連結された昇降板とされ、
前記正面板に縦長のガイド溝が設けられ、このガイド溝に移動自在に嵌っているピンが前記昇降板の下部に連結され、
前記第1ヒンジは、前記昇降板が任意の高さで停止するような摩擦抵抗力を有していることを特徴とする射出成形装置の樹脂飛散防止カバー。
【請求項2】
前記可動部の最大開度は、90°を超えていることを特徴とする請求項1記載の射出成形装置の樹脂飛散防止カバー。
【請求項3】
前記可動部は、開度90°でも前記固定盤より上に突出しないように、大きさが設定されている又は取付位置が設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の射出成形装置の樹脂飛散防止カバー。
【請求項4】
前記昇降板に、透明な点検窓が嵌められていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の射出成形装置の樹脂飛散防止カバー。
【請求項5】
前記射出機は、左右2本の射出機移動シリンダで前記固定盤に連結されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の射出成形装置の樹脂飛散防止カバー。
【請求項6】
前記左右2本の射出機移動シリンダのうち、前記昇降板側の射出機移動シリンダは、前記ノズルより低い位置に設けられ、他の射出機移動シリンダは、前記ノズルより高い位置に設けられていることを特徴とする請求項5項記載の射出成形装置の樹脂飛散防止カバー。
【請求項7】
前記左右2本の射出機移動シリンダは、前記ノズルを中心に点対称となるように配置されていることを特徴とする請求項6項記載の射出成形装置の樹脂飛散防止カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定盤に取付けられ射出機のノズルから飛散する樹脂の飛散を防止する射出成形装置の樹脂飛散防止カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機において、樹脂の種類や色を変えるときに、ノズルに残っている樹脂をノズル外に排出し、次の樹脂の充填に備える。この作業はパージ作業と呼ばれる。このパージ作業は、スプルからノズルを離した状態で行う。すると、パージされた樹脂は、高温の状態で飛散するため、作業者が火傷する危険がある。また、ノズルの近くには、射出機移動シリンダなどの機器が配置されるため、対策が必要となる。
【0003】
対策の一つに、樹脂飛散防止カバーがあり、この樹脂飛散防止カバーの構造が各種提案されてきた(例えば、特許文献1(図1図3)参照。)。
【0004】
特許文献1の図3に示されるように、ベース(2)(括弧付き数字は、特許文献1に記載された符号。以下同様。)上に型締めユニット(3)と射出ユニット(4)が配置されている。すなわち、射出成形機(1)は、型締めユニット(3)と射出ユニット(4)を主要素とする。
【0005】
射出ユニット(4)はベース(2)に水平移動可能に載せられ、射出ユニット移動シリンダ(符号が付されていないが、ノズル(8)の下方に図示されている。)により、移動し、ノズルタッチ及びノズルアンタッチの2つの状態がつくられる。ノズルアンタッチでパージが実施され、樹脂の飛散対策が望まれる。
【0006】
そこで、特許文献1の図3に示されるように、ノズル(8)を囲うパージシールド(6)が、固定盤に相当するフロントプレート(5)に付設されている。パージの際に、ノズル(8)から飛ぶ樹脂はパージシールド(6)により飛散防止が図られる。
【0007】
特許文献1の図1に示されるように、パージシールド(6)は、フロントプレート(5)の面に沿って延びる取付け板(12)と、この取付け板(12)から水平に延びる天板(9)と、取付け板(12)にヒンジ(13、13)を介して開閉自在に取付けられている側板(11、12)とからなる。
取付け板(12)は、フロントプレート(5)に設けられているL字フック(17、17)に引っ掛けられるため、フロントプレート(5)からパージシールド(6)を全体的に取外すことができる。
【0008】
また、フロントプレート(5)にパージシールド(6)を取付けたままで、側板(11、12)を水平に90°旋回させることにより開くことができる。このことにより、ノズル(8)のノズルタッチ状態を確認することができる(特許文献1段落番号[0007]第6行〜第8行)。
【0009】
特許文献1の図3において、ノズル(8)に下に配置される射出ユニット移動シリンダ(符号なし)は、ベース(2)の幅方向中央に1本配置される。射出ユニット移動シリンダを1点で引くため、この引き点を中心に射出ユニット移動シリンダが左右に僅かに振れる。振れはノズルタッチに影響するため、振れ対策が求められる。
【0010】
対策として、射出ユニット移動シリンダ(符号なし)の数を2本にする手法がある。2点で引くことにより、振れが大いに是正されるからである。
この場合、側板(11)の外側に一方の射出ユニット移動シリンダが配置され、側板(12)の外側に他方の射出ユニット移動シリンダが配置される。すると、射出ユニット移動シリンダが邪魔になり、側板(11、12)を水平に開くことができなる。又は、側板(11、12)の縦寸法を小さくする必要がある。縦寸法を小さくすると、飛散防止機能が低下する。
【0011】
しかし、近年の精密射出が求められる中、2本の射出ユニット移動シリンダ(射出機移動シリンダ)を配置するような射出成形装置であっても、側板の開閉が容易な樹脂飛散防止カバーが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第2691661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、射出成形装置において、側板の開閉がより容易な樹脂飛散防止カバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る発明は、金型を固定する固定盤及び前記金型へ樹脂材料を射出する射出機を備えている射出成形装置に装備され、前記固定盤に取付けられ前記射出機のノズルから飛散する樹脂の飛散を防止する射出成形装置の樹脂飛散防止カバーであって、
前記固定盤に当てられる正面板と、この正面板の上辺から前記射出機へ延びる天板と、この天板の左右辺から下へ延びる左右側板とからなり、
前記天板は、前記正面板に固定されている固定部と、この固定部に第1ヒンジを介して上下にスイング可能に取付けられている可動部とからなり、この可動部は、前記天板の前記左右側板側に配置され、
前記側板の一方は、第2ヒンジを介して前記可動部に連結された昇降板とされ、
前記正面板に縦長のガイド溝が設けられ、このガイド溝に移動自在に嵌っているピンが前記昇降板の下部に連結され、
前記第1ヒンジは、前記昇降板が任意の高さで停止するような摩擦抵抗力を有していることを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る発明では、可動部の最大開度は、90°を超えていることを特徴とする。
【0016】
請求項3に係る発明では、可動部は、開度90°でも固定盤より上に突出しないように、大きさが設定されている又は取付位置が設定されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る発明では、昇降板に、透明な点検窓が嵌められていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に係る発明では、射出機は、左右2本の射出機移動シリンダで固定盤に連結されていることを特徴とする。
【0019】
請求項6に係る発明では、左右2本の射出機移動シリンダのうち、昇降板側の射出機移動シリンダは、ノズルより低い位置に設けられ、他の射出機移動シリンダは、ノズルより高い位置に設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項7に係る発明では、左右2本の射出機移動シリンダは、ノズルを中心に点対称となるように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明では、昇降板が概ね上下に移動する。昇降板の横に射出機移動シリンダ他の備品があっても、昇降板の開閉が可能となる。第1ヒンジの止め作用により、昇降板は任意の高さで静止するため、昇降板を手で押さえる必要がない。
よって、本発明によれば、昇降板の開閉がより容易な樹脂飛散防止カバーが提供される。
【0022】
請求項2に係る発明では、可動部の最大開度は、90°を超えている。最大開度時には第1ヒンジに回転力が加わらないか、加わっても小さい。経年劣化で第1ヒンジの摩擦抵抗力が低下しても昇降板が落ちる心配がない。よって、第1ヒンジの寿命を延ばすことができる。
【0023】
請求項3に係る発明では、可動部は、開度90°でも固定盤より上に突出しないため、固定盤の上面に製品取り出し機構などの備品を設けることができる。
【0024】
請求項4に係る発明では、昇降板に、透明な点検窓が嵌められている。ノズルを目視点検する程度であれば、昇降板を下げたままで点検窓から点検が実施できる。第1ヒンジの使用回数を減らすことができ、第1ヒンジの寿命を延ばすことができる。
【0025】
請求項5に係る発明では、射出機は、左右2本の射出機移動シリンダで固定盤に連結されている。2本で引くため、射出機を蛇行することなく固定盤へ接近させることができ、正確なノズルタッチが行える。
【0026】
請求項6に係る発明では、昇降板側の射出機移動シリンダは、ノズルより低い位置に設けられ、他の射出機移動シリンダは、ノズルより高い位置に設けられている。昇降板側の射出機移動シリンダがノズルより低位置であるため、可動板を開放して行うノズルの点検が、射出機移動シリンダに邪魔されることなく、容易に実施できる。
【0027】
請求項7に係る発明では、左右2本の射出機移動シリンダは、ノズルを中心に点対称となるように配置されている。2本の射出機移動シリンダの引き点の中心がノズルの中心に一致するため、より正確なノズルタッチが行える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る樹脂飛散防止カバーを備えている射出成形装置の全体図である。
図2】本発明に係る樹脂飛散防止カバーの分解斜視図である。
図3図1の3−3線断面図である。
図4】本発明に係る樹脂飛散防止カバーの作用図である。
図5】本発明に係る樹脂飛散防止カバーの作用図である。
図6】樹脂飛散防止カバーの安全確認スイッチの配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0030】
図1に示すように、射出成形装置10は、ベッド11と、このベッド11に載せられる型締機構20と、ベッド11に載せられる射出機30とを主要素とする。
型締機構20は、金型21を型締めする機構である。金型21は、固定型22と可動型23とからなり、固定型22は固定盤24に固定される。
射出機30は、先端にノズル31を備え上部に樹脂材料を投入するホッパ32を備える加熱筒33を主要素とする。
【0031】
ベッド11にレール12が敷かれ、このレール12に射出機30が載せられている。この射出機30と固定盤24とに、図面表と裏に各々配置される左右の射出機移動シリンダ35、36(奥の右シリンダは隠れて見えない。)が渡されており、左右2本の射出機移動シリンダ35、36により、ノズルタッチとノズルアンタッチ状態とがつくり出される。
固定盤24の上面に、製品取り出し機構39が載せられ、この製品取り出し機構39で出来上がった製品を金型21から取り出す。
【0032】
樹脂材料の種類や色を変更するときに、ノズル31に残留している樹脂を強制的に排出する。このパージ作業はノズルアンタッチ状態(固定盤24からノズル31が離れている状態)で実施する。よって、ノズル31から樹脂が飛散する。
本発明では、ノズル31を囲う樹脂飛散防止カバー40を、固定盤24に取付けて樹脂の飛散を防止する。樹脂はノズル31の下に設けたトレイ41で受けられる。
【0033】
樹脂飛散防止カバー40の詳細な構造を以下に説明する。
図2に示すように、樹脂飛散防止カバー40は、正面板42と、この正面板42の上辺から水平に延びる天板43と、この天板43の左右辺から下へ延びる左右側板44、45とからなる。ただし、天板43は、正面板42に固定されている固定部43aと、この固定部43aに第1ヒンジ46、46を介して上下にスイング可能に取付けられている可動部43bとに区分される。
【0034】
側板44、45の一方(この例では左側板44。右側板45であっても差し支えない。)は、第2ヒンジ47、47を介して可動部43bに連結された昇降板44(便宜的に左側板と同じ符号を付す。)とされる。第2ヒンジ47は折り曲げ抵抗が小さな普通の蝶番(ちょうつがい)である。
【0035】
昇降板44には、大きな透明樹脂製の点検窓48が嵌められている。昇降板44の下部に、取っ手49が設けられ、下へ延びる検知プレート51が設けられ、内側へ延びるピース52が折り曲げ形成されている。
正面板42の左辺に縦に延びるガイド溝53が設けられており、このガイド溝53に頭付きピン55が嵌められ、このピン55の先端がピース52に連結される。ピン55はガイド溝53の幅より小径である。2枚のワッシャ56、56でガイド溝53を挟むため、ピン55はガイド溝53に沿って移動自在となる。
【0036】
第1ヒンジ46は、ばね板などの摩擦抵抗力を発生する部品が内蔵されており、折り曲げ抵抗が任意に設定される。本発明では、昇降板44の自重と可動部43bの自重に基づいて発生する偶力よりも、第1ヒンジ46の折り曲げ抵抗が大きくなるように設定した。
【0037】
以上に述べた構成の樹脂飛散防止カバー40は、図3に示すように、固定盤24に取付けられる。
図3に示すように、ノズル31が天板43と左右側板44、45とトレイ41で囲われているため、飛散する樹脂が外へ飛び出る心配はない。左側板である昇降板44に点検窓48が設けられているため、この点検窓48を介してノズル31を常時点検することができる。
【0038】
この例では、樹脂飛散防止カバー40の左右に、左の射出機移動シリンダ35及び右の射出機移動シリンダ36が配置されている。
作業員は、取っ手49に指を掛けて昇降板44を上げる。
【0039】
第2ヒンジ47で連結されているため、図4に示すように、昇降板44と可動部43bはV字状に折り畳まれる。結果、水平線に対する可動部43bの開度θ1は90°になる。このときであっても可動部43bが固定盤24の上辺から上へ突出しない。よって、可動部43bが想像線で示す製品取り出し機構39に当たる心配はない。
【0040】
図5に示すように、可動部43bは、最大で開度θ2が90°を超えた角度、例えば100°になるまで開けられる。この状態であれば、可動部43bの自重が第1ヒンジ46に対して図面時計回りの偶力を発生する。昇降板44の自重は第1ヒンジ46に図面反時計回りの偶力を発生する。両方の偶力が相殺しあうため、第1ヒンジ46に加わる、昇降板44が閉じる方向での偶力は小さくなる。よって、第1ヒンジ46の摩擦抵抗力が、劣化等で低下しても、昇降板44が簡単に下がる心配はない。
【0041】
その上、昇降板側の射出機移動シリンダ35は、ノズル31より低い位置に設けられているため、昇降板44を上げ開放して実施するノズル31の点検が、射出機移動シリンダ35に邪魔されることなく、容易に実施できる。
好ましくは、左右2本の射出機移動シリンダ35、36は、ノズル31を中心に点対称となるように配置される。2本の射出機移動シリンダ35、36の引き点の中心が、ノズル31の中心に一致するため、より正確なノズルタッチが行える。
【0042】
以上に述べた図4図5の状態、すなわち、昇降板44が上がっているときには、安全上の理由から、射出成形装置10の運転を行うことはできない。そこで、図3の状態、すなわち、昇降板44が所定の位置まで下がっていることが射出成形装置10の運転条件の一つとなる。
【0043】
そこで、図6に示すような安全確認スイッチ57が昇降板44の下方に配置される。安全確認スイッチ57は固定盤24に固定されているため移動しない。一方、検知プレート51は昇降板44と一緒に昇降する。
【0044】
図4の状態から、ピン55がガイド溝53に沿って下降することを想定する。図3に近づくように、ピン55がガイド溝53の下部に到達するときは、昇降板44は、図3と同様に垂直になる。
【0045】
図6では、固定部43aに対して可動部43bは、角度δだけ上方に回転している。この角度δがゼロになるときに、安全確認スイッチ57の検知穴58に検知プレート51が十分に嵌り、昇降板44が所定位置に下がっていることが検知される。
【0046】
角度δが減少する間、図3に近似するように昇降板44は、ほぼ垂直姿勢になる。結果、図6にて、検知プレート51は、傾くことなく真っ直ぐ下がり、安全確認スイッチ57の検知穴58へ進入する。
仮に、検知プレート51が円弧運動を行うときには検知穴58は大きくする必要があるが、本実施例ではその必要はなく、検知穴58を十分に小さくすることができる。この結果、検知エラーも起こりにくくなる。
【0047】
尚、請求項1〜3記載の発明は、左右2本の射出機移動シリンダを備える射出成形装置の他、中央に1本の射出機移動シリンダを備える射出成形装置に適用することは差し支えない。
また、請求項5記載の発明は、ノズルの上下に各射出機移動シリンダを備える射出成形装置の他、ノズルの下に2本の射出機移動シリンダを備える射出成形装置に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、左右2本の射出機移動シリンダを備える射出成形装置に好適である。
【符号の説明】
【0049】
10…射出成形装置、21…金型、24…固定盤、30…射出機、31…ノズル、35…左の射出機移動シリンダ、36…右の射出機移動シリンダ、40…樹脂飛散防止カバー、42…正面板、43…天板、43a…固定部、43b…可動部、44…左側板(昇降板)、45…右側板、46…第1ヒンジ、47…第2ヒンジ、48…点検窓、θ2…最大開度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6