【実施例】
【0026】
実施例1(ポリアミック酸の合成)
p−フェニレンジアミン(PPD)16.53g(0.153mol)をジメチルアセトアミド(DMAc)246.13gに溶解した。このPPD溶液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二酸無水物(BPDA)45g(0.153mol)を、30分の間隔で3回に分けて加えた。全てのBPDAをPPD溶液に加えた後、混合物を室温で少なくとも8時間撹拌し反応させて粘性液を得た。反応は発熱反応であった。次いで、粘性液を希釈するために、反応物にDMAc102.54gを添加し、均一に撹拌した。希釈された液体は、固形分15%、および5000cps〜100000cpsの粘度であった。反応は以下の式2に示される。
【0027】
【化2】
【0028】
実施例2(離型層の形成)
DMAc275gを実施例1のポリアミック酸溶液100gに添加し、そしてその後、均一に撹拌し、これにより固形分4%の希釈されたポリアミック酸溶液を得た。希釈されたポリアミック酸溶液を、厚さ60μmの湿潤膜を形成させるために、ガラス担体上に塗布した。湿潤膜を50℃で30分、150℃で30分、210℃で30分、および400℃で30分ベークし、湿潤膜のポリアミック酸を脱水し、そして環化して、ガラス担体上にポリイミドの離型層(P1)を形成した。反応を以下の式3に示す。
【0029】
【化3】
【0030】
大気下加熱速度10℃/分で熱重量分析(TGA)により離型層(P1)を分析したところ、その熱劣化温度(Td)は614.19℃と測定された。
【0031】
実施例3(基板構造)
実施例1の固形分15%のポリアミック酸溶液30gおよび20%シリカゾルゲル(NCT(Nissan Chemical Taiwan 台湾日産化学) DMAc溶液)5.63gを、均一に分散させるため機械的撹拌により混合した。混合終了後、フレキシブル層に用いるシリカ/ポリアミック酸分散液を得た。
【0032】
次いで、そのシリカ/ポリアミック酸分散液を、厚さ400μmの湿潤膜を形成させるために、実施例2の離型層およびガラス担体上に塗布した。湿潤膜を50℃で30分、150℃で30分、210℃で30分、300℃で30分、および400℃で1時間ベークし、湿潤膜のポリアミック酸を脱水し、そして環化して、シリカ/ポリイミドのフレキシブル層(P1+SiO
2)を形成した。これにより、フレキシブル層(P1+SiO
2)が離型層(P1)およびガラス担体を覆っている耐高温基板構造が完成した。離型層と重なりあっているフレキシブル層の端部がナイフでカットされ、そして、剥離力(release force)(g)を測定するために幅2cmでストリップとして剥離された。結果が表1および2に示されている。
【0033】
実施例4(ポリアミック酸の合成)
4,4’−オキシジアニリン(ODA)30.63g(0.153mol)をDMAc302.52gに溶解した。このODA溶液に、BPDA45g(0.153mol)を30分の間隔で3回に分けて加えた。全てのBPDAをODA溶液に加えた後、混合物を室温で少なくとも8時間撹拌し反応させて粘性液を得た。反応は発熱反応であった。次いで、粘性液を希釈するために、反応物にDMAc126.05gを添加し、均一に撹拌した。希釈された液体は、固形分15%、および5000cps〜100000cpsの粘度であった。反応は以下の式4に示される。
【0034】
【化4】
【0035】
実施例5(離型層の形成)
DMAc275gを実施例4のポリアミック酸溶液100gに添加し、そしてその後、均一に撹拌し、これにより固形分4%の希釈されたポリアミック酸溶液を得た。希釈されたポリアミック酸溶液を、厚さ60μmの湿潤膜を形成させるために、ガラス担体上に塗布した。湿潤膜を50℃で30分、150℃で30分、210℃で30分、および400℃で30分ベークし、湿潤膜のポリアミック酸を脱水し、そして環化して、ガラス担体上にポリイミドの離型層(P2)を形成した。反応を以下の式5に示す。
【0036】
【化5】
【0037】
大気下加熱速度10℃/分でTGAにより離型層(P2)を分析したところ、その熱劣化温度(Td)は576.67℃と測定された。
【0038】
実施例6(基板構造)
実施例3で調製されたシリカ/ポリアミック酸分散液を、厚さ400μmの湿潤膜を形成させるために、実施例5の離型層およびガラス担体上に塗布した。湿潤膜を50℃で30分、150℃で30分、210℃で30分、300℃で30分、および400℃で1時間ベークし、湿潤膜のポリアミック酸を脱水し、そして環化して、シリカ/ポリイミドのフレキシブル層(P1+SiO
2)を形成した。これにより、フレキシブル層(P1+SiO
2)が離型層(P2)およびガラス担体を覆っている耐高温基板構造が完成した。離型層と重なりあっているフレキシブル層の端部がナイフでカットされ、そして、剥離力(g)を測定するために幅2cmでストリップとして剥離された。結果が表1に示されている。
【0039】
実施例7(ポリアミック酸の合成)
PPD16.35g(0.153mol)をDMAc236.72gに溶解した。このPPD溶液に、BPDA35.98g(0.122mol)およびピロメリット酸二無水物(PMDA)6.67g(0.03mol)を、30分の間隔で3回に分けて加えた。全てのBPDAおよびPMDAをPPD溶液に加えた後、混合物を室温で少なくとも8時間撹拌し反応させて粘性液を得た。反応は発熱反応であった。次いで、粘性液を希釈するために、反応物にDMAc98.63gを添加し、均一に撹拌した。希釈された液体は、固形分は15%、および5000cps〜100000cpsの粘度であった。反応は以下の式6に示される。
【0040】
【化6】
【0041】
実施例8(離型層の形成)
DMAc275gを実施例7のポリアミック酸溶液100gに添加し、そしてその後、均一に撹拌し、これにより固形分4%の希釈されたポリアミック酸溶液を得た。希釈されたポリアミック酸溶液を、厚さ60μmの湿潤膜を形成させるために、ガラス担体上に塗布した。湿潤膜を50℃で30分、150℃で30分、210℃で30分、および400℃で30分ベークし、湿潤膜のポリアミック酸を脱水し、そして環化して、ガラス担体上にポリイミドの離型層(P3)を形成した。反応を以下の式7に示す。
【0042】
【化7】
【0043】
大気下加熱速度10℃/分でTGAにより離型層(P3)を分析したところ、その熱劣化温度(Td)は601.59℃と測定された。
【0044】
実施例9(基板構造)
実施例3で調製されたシリカ/ポリアミック酸分散液を、厚さ400μmの湿潤膜を形成させるために、実施例8の離型層およびガラス担体上に塗布した。湿潤膜を50℃で30分、150℃で30分、210℃で30分、300℃で30分、および400℃で1時間ベークし、湿潤膜のポリアミック酸を脱水し、そして環化して、シリカ/ポリイミドのフレキシブル層(P1+SiO
2)を形成した。これにより、フレキシブル層(P1+SiO
2)が離型層(P3)およびガラス担体を覆っている耐高温基板構造が完成した。離型層と重なりあっているフレキシブル層の端部がナイフでカットされ、そして、剥離力(g)を測定するために幅2cmでストリップとして剥離された。結果が表1に示されている。
【0045】
実施例10(ポリアミック酸の合成)
PPD10.81g(0.1mol)およびODA5g(0.025mol)をDMAc207.72gに溶解した。このPPDおよびODA溶液に、BPDA29.42g(0.1mol)およびPMDA5.45g(0.025mol)を30分の間隔で3回に分けて加えた。全てのBPDAおよびPMDAをPPDおよびODA溶液に加えた後、混合物を室温で少なくとも8時間撹拌し反応させて粘性液を得た。反応は発熱反応であった。次いで、粘性液を希釈するために、反応物にDMAc1013.6gを添加し、均一に撹拌した。希釈された液体は、固形分4%、および500cps〜50cpsの粘度であった。反応は以下の式8に示される。
【0046】
【化8】
【0047】
実施例11(基板構造)
実施例10の固形分4%である希釈されたポリアミック酸溶液を、厚さ60μmの湿潤膜を形成させるために、ガラス担体上に塗布した。湿潤膜を50℃で30分、150℃で30分、210℃で30分、および400℃で30分ベークし、湿潤膜のポリアミック酸を脱水し、そして環化して、ガラス担体上にポリイミドの離型層(P4)を形成した。反応を以下の式9に示す。
【0048】
【化9】
【0049】
大気下加熱速度10℃/分でTGAにより離型層(P4)を分析したところ、その熱劣化温度(Td)は603.62℃と測定された。
【0050】
実施例3で調製されたシリカ/ポリアミック酸分散液を、厚さ400μmの湿潤膜を形成させるために、離型層およびガラス担体上に塗布した。湿潤膜を50℃で30分、150℃で30分、210℃で30分、300℃で30分、および400℃で1時間ベークし、湿潤膜のポリアミック酸を脱水し、そして環化して、シリカ/ポリイミドのフレキシブル層(P1+SiO
2)を形成した。これにより、フレキシブル層(P1+SiO
2)が離型層(P4)およびガラス担体を覆っている耐高温基板構造が完成した。離型層と重なりあっているフレキシブル層の端部がナイフでカットされ、そして、剥離力(g)を測定するために幅2cmでストリップとして剥離された。結果が表1に示されている。
【0051】
実施例12(基板構造)
実施例4の固形分15%であるポリアミック酸30gおよびテトラエトキシシラン(TEOS)0.18gを、均一に分散させるため機械的撹拌により混合した。反応完了後、フレキシブル層に用いるTEOS/ポリアミック酸混合溶液を得た。
【0052】
TEOS/ポリアミック酸混合溶液を、厚さ400μmの湿潤膜を形成させるために、実施例2の離型層(P1)およびガラス担体上に塗布した。湿潤膜を50℃で30分、150℃で30分、210℃で30分、300℃で30分、および400℃で1時間ベークし、湿潤膜のポリアミック酸を脱水し、そして環化して(式5)、シリカ/ポリイミドのフレキシブル層(P2+TEOS SiO
2)を形成した。これにより、フレキシブル層(P2+TEOS SiO
2)が離型層(P1)およびガラス担体を覆っている耐高温基板構造が完成した。離型層と重なりあっているフレキシブル層の端部がナイフでカットされ、そして、剥離力(g)を測定するために幅2cmでストリップとして剥離された。結果を表2に示す。
【0053】
実施例13(基板構造)
実施例7の、固形分15%であるポリアミック酸30gおよびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Z−6040)0.18gを、均一に分散させるため機械的撹拌により混合した。反応完了後、フレキシブル層に用いるZ−6040/ポリアミック酸混合溶液を得た。
【0054】
Z−6040/ポリアミック酸混合溶液を、厚さ400μmの湿潤膜を形成させるために、実施例2の離型層(P1)およびガラス担体上に塗布した。湿潤膜を50℃で30分、150℃で30分、210℃で30分、300℃で30分、および400℃で1時間ベークし、湿潤膜のポリアミック酸を脱水し、そして環化して(式7)、シリカ/ポリイミドのフレキシブル層(P3+Z−6040 SiO
2)を形成した。これにより、フレキシブル層(P3+Z−6040 SiO
2)が離型層(P1)およびガラス担体を覆っている耐高温基板構造が完成した。離型層と重なりあっているフレキシブル層の端部がナイフでカットされ、そして、剥離力(g)を測定するために幅2cmでストリップとして剥離された。結果を表2に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
表1および2に示されるように、離型層は15g未満の剥離力(幅2cm)で容易に剥離された。この結果は、離型層P1、P2、P3およびP4のそれぞれが、顕著な効果を奏していたことを示している。さらに、離型層P1は異なる基板材料に対しても良好に機能することが見出され、異なる基板材料に対する剥離試験の結果は類似していた。
【0058】
上に開示した方法および材料に様々な変更および修飾が加え得ることは、当業者には明らかであろう。明細書および実施例は単に例示として考慮されることが意図されており、本発明の真の範囲は、以下の特許請求の範囲の記載およびその均等物により示される。