特許第6062905号(P6062905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6062905表面実装用ヒューズおよびそれを含む構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062905
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】表面実装用ヒューズおよびそれを含む構造体
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/17 20060101AFI20170106BHJP
   H01H 85/175 20060101ALI20170106BHJP
   H01H 85/143 20060101ALI20170106BHJP
   H01H 85/20 20060101ALI20170106BHJP
   H01H 85/50 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   H01H85/17
   H01H85/175
   H01H85/143
   H01H85/20 D
   H01H85/50
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-211932(P2014-211932)
(22)【出願日】2014年10月16日
(65)【公開番号】特開2015-79756(P2015-79756A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2014年10月17日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0123653
(32)【優先日】2013年10月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】504474150
【氏名又は名称】スマート エレクトロニクス インク
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジョンイル
(72)【発明者】
【氏名】カン ドゥウォン
(72)【発明者】
【氏名】アン ギュジン
(72)【発明者】
【氏名】ジン サンジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョンチャン
(72)【発明者】
【氏名】イ ギョンミ
(72)【発明者】
【氏名】キム グァンボム
(72)【発明者】
【氏名】キム ソヨン
【審査官】 安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06147585(US,A)
【文献】 特表2012−522334(JP,A)
【文献】 特開2006−286251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/76
H01H 69/02
H01H 85/00 − 85/62
H01H 87/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックチューブと、
前記セラミックチューブの両端に備えられた1対の密封電極と、
前記セラミックチューブ内に収容されて前記密封電極と電気的に接続され、非導電性部材と、前記非導電性部材の両端に備えられた端子電極と、前記端子電極に電気的に接続される可融部とを含むヒューズ素子と、
前記セラミックチューブおよび密封電極の間を密封するブレージングリング(brazing ring)とを含み、
前記セラミックチューブと前記密封電極との間には、これらを互いに接合する、前記ブレージングリングによる溶接部が形成されており、
前記密封電極は、セラミックチューブ管内に挿入されてヒューズ素子と接するように内側に突出する接続部と、前記ブレージングリングと結合する接合部とからなることを特徴とする表面実装用ヒューズ。
【請求項2】
セラミックチューブと、
前記セラミックチューブの両端に備えられた1対の密封電極と、
前記セラミックチューブ内に収容されて前記密封電極と電気的に接続され、非導電性部材と、前記非導電性部材の両端に備えられた端子電極と、前記端子電極に電気的に接続される可融部とを含むヒューズ素子と、
前記セラミックチューブおよび密封電極の間を密封するブレージングリング(brazing ring)とを含み、
前記セラミックチューブと前記密封電極との間には、これらを互いに接合する、前記ブレージングリングによる溶接部が形成されており、
前記ブレージングリングは、前記セラミックチューブと接合される外周部と、前記ヒューズ素子の端部と接合される内周部とからなることを特徴とする表面実装用ヒューズ。
【請求項3】
前記接続部と端子電極との間で溶融して前記接続部および端子電極を接合させるブレージング部材をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の表面実装用ヒューズ。
【請求項4】
前記接続部、接合部および端子電極のうち少なくとも1つには、前記ブレージングリングまたはブレージング部材の溶融による接合力を向上させるようにニッケル(Ni)またはチタニウム(Ti)が含まれたメッキ層をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の表面実装用ヒューズ。
【請求項5】
前記ブレージングリングは、銅(Cu)、銀(Ag)および亜鉛(Zn)を含む合金からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の表面実装用ヒューズ。
【請求項6】
前記ブレージングリングは、外面が前記セラミックチューブ管の外面と同一線上に位置し、内面が前記セラミックチューブ管の内面より内側に延長形成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の表面実装用ヒューズ。
【請求項7】
基板と、
前記基板に形成された半田ボールと
前記半田ボールに接続される表面実装用ヒューズとを含み、
前記表面実装用ヒューズは、
セラミックチューブと、
前記セラミックチューブの両端に備えられ、前記半田ボールに接続する密封電極と、
前記セラミックチューブ内に収容されて前記密封電極と電気的に接続され、非導電性部材と、前記非導電性部材の両端に備えられた端子電極と、前記端子電極に電気的に接続される可融部とを含むヒューズ素子と、
前記セラミックチューブおよび密封電極の間を密封するブレージングリング(brazing ring)とを含み、
前記セラミックチューブと前記密封電極との間には、これらを互いに接合する、前記ブレージングリングによる溶接部が形成されており、
前記密封電極は、セラミックチューブ管内に挿入されてヒューズ素子と接するように内側に突出する接続部と、前記ブレージングリングと結合する接合部とからなることを特徴とする表面実装用ヒューズの構造体
【請求項8】
基板と、
前記基板に形成された半田ボールと
前記半田ボールに接続される表面実装用ヒューズとを含み、
前記表面実装用ヒューズは、
セラミックチューブと、
前記セラミックチューブの両端に備えられ、前記半田ボールに接続する密封電極と、
前記セラミックチューブ内に収容されて前記密封電極と電気的に接続され、非導電性部材と、前記非導電性部材の両端に備えられた端子電極と、前記端子電極に電気的に接続される可融部とを含むヒューズ素子と、
前記セラミックチューブおよび密封電極の間を密封するブレージングリング(brazing ring)とを含み、
前記セラミックチューブと前記密封電極との間には、これらを互いに接合する、前記ブレージングリングによる溶接部が形成されており、
前記ブレージングリングは、前記セラミックチューブと接合される外周部と、前記ヒューズ素子の端部と接合される内周部とからなることを特徴とする表面実装用ヒューズの構造体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面実装用ヒューズおよびそれを含む構造体に関する。より詳しくは、機械的強度に優れたセラミック素材の非導電性部材やセラミックチューブ(セラミックの管)を用い、セラミックチューブと密封電極をブレージング(brazing)することで耐久性を極大化することができ、タイムラグ特性を向上させて高電圧においても安定的に使用できる表面実装用ヒューズおよびそれを含む構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ヒューズは、電子機器(TV、コンピュータ、カセットプレーヤー、小型電子機器など)に用いられており、過電圧の印加時に可融部(fusible element)が断線されて回路および電子部品を過電圧から保護する。
【0003】
ヒューズは、正常状態では最大定格電圧が印加されても高熱が発生せず、溶断(切断)されてはならず、非正常状態では溶断されなければならない。但し、サージ電圧のように瞬間的に大きい電圧によって溶断されないように強いタイムラグ(Time-lag)特性が求められる。
【0004】
一方、図10は従来のヒューズの構造を示す断面図である。図10を参照すれば、大韓民国特許出願公開第1992-0007019号(公開日:1992年04月28日)に開示されたヒューズは、フィラメント2が挿入され、先端に折り曲げ部7を有する架設管6をガラス管1の中心に進出させ、その先端をシリコンクリッパーに噛み合わせるステップと、架設管6が復帰してガラス管1内にフィラメント2を配線し、ガラス管1の両端のフィラメント2を移動させてフィラメントをガラス管1内に対角線に架設するステップと、ガラス管1の両端の内部にはんだ4が付着された金属キャップ3をかぶせ、はんだごて9を接触させてガラス管1の内部に対角線に架設されたフィラメント2の両端を金属キャップ3に溶接するステップとからなる方法により製造される。
【0005】
但し、前記従来のヒューズは、ガラス管(glass tube)を用い、はんだ付け方式で接合が行われるので耐久性が弱いという問題点がある。また、ガラス管の内部にはんだが挿入されるのでフィラメントを長く形成することができず、そのために高電圧において使用できる十分なタイムラグ(Time-lag)特性が備えられないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許出願公開KR1992-0007019A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、前記のような問題点を解決するために導き出されたものであり、本発明の目的は、機械的強度に優れたセラミック素材の非導電性部材やセラミックチューブを用い、セラミックチューブと密封電極をブレージングリングによって接合することで耐久性を極大化できる表面実装用ヒューズおよびそれを含む構造体を提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、ヒューズ素子の可融部を非導電性部材の外周面にワインディングして十分な長さと巻数で形成することにより、タイムラグ特性を向上させて高電圧においても安定的に使用できる表面実装用ヒューズおよびそれを含む構造体を提供することにある。
【0009】
さらに、本発明の目的は、ブレージングが行われる領域にメッキ層を形成することにより、ブレージングリングの濡れ性乃至接合力をより向上できる表面実装用ヒューズおよびそれを含む構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、本発明による表面実装用ヒューズは、(1)セラミックチューブと、(2)前記セラミックチューブの両端に備えられた1対の密封電極と、(3)前記セラミックチューブ管内に収容されて前記密封電極と電気的に接続され、非導電性部材と、前記非導電性部材の両端に備えられた端子電極と、前記端子電極に電気的に接続される可融部とを含むヒューズ素子と、(4)前記セラミックチューブおよび密封電極の間を密封するブレージングリング(brazing ring)とを含み、前記セラミックチューブと前記密封電極が前記ブレージングリングの溶融によって接合されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明による表面実装用ヒューズのブレージングリングは、好ましくは、銅(Cu)、銀(Ag)および亜鉛(Zn)を含む合金からなることを特徴とする。
【0012】
なお、本発明による表面実装用ヒューズのブレージングリングは、好ましくは、外面が前記セラミックチューブの外面と同一線上に位置し、内面が前記セラミックチューブ管の内面より内側に延長形成されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明による表面実装用ヒューズの密封電極は、好ましくは、セラミックチューブ内に挿入されてヒューズ素子と接するように内側に突出する接続部と、前記ブレージングリングと結合する接合部とからなることを特徴とする。
【0014】
なお、本発明による表面実装用ヒューズのブレージングリングは、好ましくは、前記セラミックチューブと接合される外周部と、前記ヒューズ素子の端部と接合される内周部とからなることを特徴とする。
【0015】
また、好ましくは、本発明による表面実装用ヒューズの接続部と端子電極の間で溶融して前記接続部および端子電極を接合させるブレージング部材をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
なお、好ましくは、本発明によるヒューズの接続部、接合部および端子電極のうち少なくとも1つには、前記ブレージングリングまたはブレージング部材の溶融による接合力および放電特性を向上させるようにニッケル(Ni)またはチタニウム(Ti)が含まれたメッキ層をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明による表面実装用ヒューズを含む構造体は、(A)基板と、(B)前記基板に形成された半田ボールと、(C)前記半田ボールに接続される表面実装用ヒューズとを含み、前記表面実装用ヒューズは、(1)セラミックチューブと、(2)前記セラミックチューブの両端に備えられ、前記半田ボールに接続する密封電極と、(3)前記セラミックチューブ内に収容されて前記密封電極と電気的に接続され、非導電性部材と、前記非導電性部材の両端に備えられた端子電極と、前記端子電極と電気的に接続される可融部とを含むヒューズ素子と、(4)前記セラミックチューブおよび密封電極の間を密封するブレージングリング(brazing ring)とを含み、前記セラミックチューブ管と前記密封電極が前記ブレージングリングの溶融によって接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上のような構成の本発明による表面実装用ヒューズおよびそれを含む構造体によれば、機械的強度に優れたセラミック素材の非導電性部材およびセラミックチューブ管を用い、セラミックチューブ管と密封電極をブレージングリングによって接合するので耐久性を極大化できるという効果がある。
【0019】
また、本発明による表面実装用ヒューズおよびそれを含む構造体によれば、ヒューズ素子の可融部を非導電性部材の外周面にワインディングして十分な長さと巻数で形成することにより、タイムラグ特性を向上させて高電圧においても安定的に使用できるという効果がある。
【0020】
なお、本発明による表面実装用ヒューズおよびそれを含む構造体によれば、ブレージングが行われる領域にメッキ層を形成することにより、ブレージングリングの濡れ性乃至接合力をより向上できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1a】本発明による表面実装用ヒューズ素子を示す断面図である。
図1b】他の例を示す図1aと同様の断面図である。
図1c】さらに他の例を示す図1aと同様の断面図である。
図2】本発明による表面実装用ヒューズの第1実施形態を示す断面図である。
図3】本発明による表面実装用ヒューズの第1実施形態を示す分解断面図である。
図4】本発明による表面実装用ヒューズの第2実施形態を示す断面図である。
図5】本発明による表面実装用ヒューズの第3実施形態を示す断面図である。
図6】本発明による表面実装用ヒューズの第4実施形態を示す断面図である。
図7a】本発明による表面実装用ヒューズの第5実施形態を示す断面図である。
図7b】第5実施形態の他の例を示す、図7aと同様の断面図である。
図8a】本発明による表面実装用ヒューズの製造方法の一実施形態をステップ別に示す断面図(S1)である。
図8b】本発明による表面実装用ヒューズの製造方法の一実施形態をステップ別に示す断面図(S2)である。
図8c】本発明による表面実装用ヒューズの製造方法の一実施形態をステップ別に示す断面図(S3)である。
図8d】本発明による表面実装用ヒューズの製造方法の一実施形態をステップ別に示す断面図(S4)である。
図8e】本発明による表面実装用ヒューズの製造方法の一実施形態をステップ別に示す断面図(S5-1)である。
図8f】本発明による表面実装用ヒューズの製造方法の一実施形態をステップ別に示す断面図(S5-2)である。
図9】本発明によるヒューズが基板に表面実装される様子を示す断面図である。
図10】従来のヒューズ構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明すれば次の通りである。
本発明を説明するにおいて、関連の公知機能あるいは構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合はその詳細な説明は省略する。また、後述する用語は本発明での機能を考慮して定義された用語であり、これは、使用者、運用者の意図または判例などに応じて異なり得る。したがって、その定義は本明細書の全般にわたった内容に基づいて下されなければならない。
【0023】
図1a〜図1cは本発明による表面実装用ヒューズを示す断面図であり、図2は本発明による表面実装用ヒューズの第1実施形態を示す断面図であり、図3は本発明による表面実装用ヒューズの第1実施形態を示す分解断面図である。
【0024】
図1a〜図3に示すように、本発明による表面実装用ヒューズ100は、概略、セラミックチューブ120、密封電極130、ヒューズ素子110、およびブレージングリング150を含む。
【0025】
具体的に、本発明による表面実装用ヒューズ100は、(1)内部に不活性気体が充填されたセラミックチューブ120、(2)前記セラミックチューブ120の両端に備えられた1対の密封電極130、(3)前記セラミックチューブ120内に収容されて前記密封電極130と電気的に接続され、可融部を含むヒューズ素子110、および(4)前記セラミックチューブ120および密封電極130の間を密封するブレージングリング150(brazing ring)を含むことができる。
【0026】
図1aを参照すれば、本発明によるヒューズ素子110は、非導電性部材111、前記非導電性部材111の両端に備えられた端子電極117、および前記端子電極117と電気的に接続される可融部115を含むことができる。
【0027】
前記非導電性部材111は、ロッド形状であり、セラミック素材、例えば、アルミナ素材からなっても良い。また、前記非導電性部材111の外周面に可融部115が付着されることができる。
【0028】
前記端子電極117は、銅合金素材からなるものを例示することができ、前記非導電性部材111の両端に備えられ、前記密封電極130とヒューズ素子110を電気的に接続させる役割をする。
【0029】
前記可融部115は、前記非導電性部材の外周面に螺旋方向にワインディングされることが好ましい。なぜなら、可融部115を後述する図1bおよび図1cの可融部115a,115bより長く形成することにより、サージ電圧によって溶断されないタイムラグ(Time-lag)特性を向上できるので、高電圧(例えば、250V以上の高電圧)において安定的に使用できるためである。
【0030】
前記可融部115は、過電流が印加されれば破損(断線)されるように動作する。また、可融部115は銅、銀、銅−銀合金、ニッケル−銅、ニッケル−鉄、表面に銀メッキをした銅、鉄、クロムおよびニッケルを主成分として含む鉄系合金からなるものを例示することができる。
【0031】
また、図1bを参照すれば、本発明によるヒューズ素子110aは、中空の円筒形状の非導電性部材111、前記非導電性部材111の両端に備えられた端子電極117、および前記端子電極117と電気的に接続され、前記非導電性部材111の内部を貫通する可融部115aを含むことができる。
【0032】
なお、図1cを参照すれば、本発明によるヒューズ素子110bは、非導電性部材111、前記非導電性部材111の両端に備えられた端子電極117、および前記非導電性部材111の外周面に長さ方向に付着され、前記端子電極117と電気的に接続される可融部115を含むことができる。
このように、本発明によるヒューズ素子110aは、製品の用途および特性などを考慮して様々な形態で構成することができる。
【0033】
本発明によるセラミックチューブ120は、筒形状であり、セラミック材質からなる。このような筒形状のセラミックチューブ120の両端には密封電極130が設けられ、前記密封電極130によって密封される。また、前記セラミックチューブ管120の両端は前記密封電極130とブレージングがなされる。
【0034】
前記密封電極130は、上述したように、前記セラミックチューブ管120の両端に設けられる。
また、前記密封電極130は銅合金からなるものを例示することができる。前記密封電極130は、セラミックチューブ管120内に挿入されてヒューズ素子110と接するように内側に突出する接続部133と、前記ブレージングリング150と結合する接合部131とからなるものを例示することができる。
【0035】
前記密封電極130は前記接続部133が内側に突出するため、前記ブレージングリング150またはセラミックチューブ管120との組み立てを容易に行うことができ、ブレージング過程においてセラミックチューブ管120内のヒューズ素子110を圧着できるので、密封電極130と接続部133の電気的接続が優れるようになるためである。
【0036】
本発明によるブレージングリング150は、母材であるセラミックチューブ120および密封電極130の間で溶融し、両母材を接合して密封する溶加材(filler metal)の役割をする。前記ブレージングリング150は、銅(Cu)、銀(Ag)および亜鉛(Zn)を含む合金からなるものを例示することができる。
【0037】
また、前記ブレージング工程は、溶加材であるブレージングリングの溶融点以上、母材であるセラミックチューブ管および密封電極の溶融点以下の温度で行われる。
【0038】
前記ブレージングによる接合においては、濡れ性(wetting)(溶加材と母材の親和力の程度を示す性質)が重要な要素となる。すなわち、ブレージングリングとセラミックチューブ管および密封電極との濡れ性が悪ければ接合がなされなくなる。したがって、本発明は、ヒューズ素子を収容するチューブとして、溶加材との濡れ性が悪い従来のガラス(glass)管の代わりに、濡れ性に優れたセラミック素材のセラミックチューブを用いたものである。
【0039】
また、前記ブレージングリング150によるブレージングは、前記ブレージングリング150が溶融して、前記セラミックチューブ120および密封電極130の表面において毛細管現象(capillary action)を引き起こすため、接合強度に優れるだけでなく、振動などに対する耐衝撃性に優れるという長所がある。
【0040】
一方、前記ブレージングリング150は、外面151が前記セラミックチューブ120の外面と同一線上に位置し、内面152が前記セラミックチューブ120の内面より内側に延長形成されることができる。
【0041】
このように、本発明によるヒューズは、機械的強度に優れたセラミック素材のセラミックチューブ管を用い、セラミックチューブと密封電極をブレージングリングによって接合するため、耐久性が顕著に増加し、高電圧においても安定的に使用できるという長所がある。
【0042】
図4は、本発明による表面実装用ヒューズの第2実施形態を示す断面図である。
図4を参照すれば、本発明による表面実装用ヒューズ100aは、前記接続部133と端子電極117を接合させるブレージング部材160をさらに含むことができる。
【0043】
前記ブレージング部材160は板形状であり、銅(Cu)、銀(Ag)および亜鉛(Zn)を含む合金からなるものを例示することができる。前記ブレージング部材160は、前記ブレージングリングと同様に、前記接続部133と端子電極117との間で溶融して前記接続部133および端子電極117を接合させる。
【0044】
したがって、前記ヒューズ素子110と密封電極130が前記ブレージング部材160によってさらに堅固に結合することでヒューズの耐久性を向上させることができる。
【0045】
図5は、本発明による表面実装用ヒューズの第3実施形態を示す断面図である。
図5を参照すれば、本発明によるサージ吸収器100bのブレージングリング150aは、前記セラミックチューブ120とヒューズ素子110の各々を同時に接合させるように構成することができる。
【0046】
すなわち、前記ブレージングリング150aは、前記セラミックチューブ120の端部と接合される外周部153と、前記ヒューズ素子110の端部(具体的には端子電極117と接合される内周部154)とからなることができる。
【0047】
したがって、前記ブレージングリング150aは、前記接続部133aの厚さと等しく、または、より厚く形成することが好ましい。なぜなら、前記ブレージングリング150aを前記接続部133aの厚さより厚く形成してこそ、溶融後に前記セラミックチューブ管120および端子電極117と各々接合することができるためである。
【0048】
また、前記ブレージングリング150aの内周部154は図2のブレージングリングに比べて内側にさらに長く延長形成され、前記外周部153は図2の接続部より幅が狭く形成されることが好ましい。
【0049】
図6は、本発明による表面実装用ヒューズの第4実施形態を示す断面図である。図6を参照すれば、本発明による表面実装用ヒューズ100cは、前記ブレージングリング150またはブレージング部材160の母材との濡れ性(wetting)を向上させるようにメッキ層180をさらに含むことができる。
【0050】
具体的に、前記メッキ層(180:181、183、185)は前記接続部133、接合部131および端子電極117のうち少なくとも1つに形成され、前記ブレージングリング150またはブレージング部材160の溶融による接合力を向上させる役割をする。
【0051】
また、前記メッキ層180はニッケル(Ni)またはチタニウム(Ti)を含んでなることが好ましく、Ni3Pなどの化合物からなるものを例示することができる。
【0052】
図7aおよび図7bは、本発明による表面実装用ヒューズの第5実施形態を示す断面図である。図7aおよび図7bを参照すれば、本発明による密封電極130bは、図1図6の密封電極とは異なり、接続部が内側に突出しない平板形状で構成することができる。
【0053】
また、前記ブレージングリング150bは、前記セラミックチューブ管120の端部と端子電極117を同時に接合できるように平板形状で構成することができる(図7a参照)。
【0054】
なお、前記ブレージングリング150cは、前記密封電極130と端子電極117が直接に接続されるように中央領域が中空になったリング形状で構成することができる(図7b参照)。
【0055】
以下では、添付図面を参照して本発明による表面実装用ヒューズの製造方法について詳細に説明する。図8a〜図8fは、本発明による表面実装用ヒューズの製造方法の一実施形態をステップ別に示す断面図である。
【0056】
本発明による表面実装用ヒューズ100の製造方法において、表面実装用ヒューズ100は、上述したように、(1)内部にヒューズ素子110が収容されるセラミックチューブ120、(2)前記セラミックチューブ120の両端部に各々挿入されて前記ヒューズ素子110と接続する第1、2密封電極130,135、および、(3)前記セラミックチューブ120と第1、2密封電極130,135を各々接合させる第1、2ブレージングリング150,155を含むことができる。
【0057】
先ず、図8aを参照すれば、S1ステップは第1密封電極130を備えるステップであり、前記第1密封電極130は、セラミックチューブ管120内に挿入されてヒューズ素子110と接するように内側に突出する接続部133と、前記第1ブレージングリング150と結合する接合部とからなる。
【0058】
次に、図8bを参照すれば、S2ステップは前記第1密封電極130上に第1ブレージングリング150およびセラミックチューブ管120を順次積層するステップである。
【0059】
前記第1ブレージングリング150は第1密封電極130の接続部133に挿入され、前記セラミックチューブ管120は前記第1ブレージングリング150の上部に置かれる。
その次に、図8cを参照すれば、S3ステップは前記セラミックチューブ管120に前記ヒューズ素子110を挿入するステップである。
【0060】
ここで、前記ヒューズ素子110は、非導電性部材111、前記非導電性部材111の両端に備えられた第1、2端子電極117,117a、および前記第1、2端子電極117,117aと電気的に接続される可融部115を含むことができる。
【0061】
前記挿入されたヒューズ素子110の第1端子電極117は前記第1密封電極130の接続部133の上面に置かれる。前記第1端子電極117の内面と前記非導電性部材111との間にはギャップ(G)(gap)乃至間隔が生じ得るのであり、前記ギャップ乃至間隔は、後述する第2密封電極の結合による圧着およびS5ステップのブレージング過程を通じて、なくなることとなる。このようなギャップ乃至間隔はヒューズ素子の組み立て過程で自然に生じることもあり得るのであり、また、人為的に形成することもできる。
【0062】
その次に、図8dを参照すれば、S4ステップは前記セラミックチューブ管120上に前記第2ブレージングリング155および第2密封電極135を順次積層するステップである。前記S1ステップ乃至S4ステップを通じてブレージングされていない状態のヒューズの組み立てがなされる。
【0063】
その次に、S5ステップは、前記S1ステップ乃至S4ステップを経た表面実装用ヒューズ100をチャンバーCに入れ、前記第1、2ブレージングリング150,155を溶融させて前記セラミックチューブ管120および第1、2密封電極130,135の間を密封するステップである。
【0064】
前記S5ステップはチャンバー内を不活性気体雰囲気に作った状態で行われることができ、前記密封されたセラミックチューブ管120の内部には不活性気体が充填される。また、不活性気体が充填されるため、ヒューズ素子が酸化することを防止することができ、耐久性をより向上させることができる。
【0065】
前記チャンバーCには表面実装用ヒューズ100が縦方向に立てられた状態で投入され(図8e参照)、前記チャンバーC内を加熱して前記第1、2ブレージングリング150,155を溶融させて接合する(図8f参照)。
【0066】
この時、チャンバーC内は母材である第1、2密封電極130,135およびセラミックチューブ120が融点以下の温度に加熱して母材の変形がないようにしなければならず、前記第1、2ブレージングリングの材質に応じて加熱温度、例えば、500〜850℃の範囲内に設定することができる。例えば、前記第1、2ブレージングリング150,155が銅、銀を含む液相点が800℃未満の合金(例えばAg25Cu; Ag25Cu40Zn33Sn2;固相点680〜690℃、液相点760〜780℃。例えばNingbo Hemudu Brazing & Soldering Materials Co., Ltd.の「BAg-37」)である場合は800〜850℃の温度で加熱することができ、この場合、可融部には、ブレージング処理後に溶断されない素材、例えば、ニッケル−銅合金、ニッケル−鉄合金を用いることが好ましい。
【0067】
また、前記第1、2ブレージングリング150,155が銀、銅、亜鉛およびスズからなる液相点が650℃未満の合金(例えばAg56CuZnSn;Ag56Cu19Zn17Sn5Ga3;固相点 約610℃、液相点 約630℃。例えばUmicore Technical Materials North America Inc.の「BrazeTec 5662」)である場合は600〜650℃の温度でブレージングが行われるため、可融部をニッケル−銅合金、ニッケル−鉄合金などは勿論、800〜850℃で溶断される銅、銀、銀−銅合金も用いることができる。
【0068】
すなわち、前記第1、2ブレージングリング150,155が溶融されるブレージング温度を800〜850℃から600〜650℃に下げることにより、従来の可融部の主成分をなしていた銅、銀、銀−銅合金などをそのまま用いることができるため、ヒューズ設計時に選択の幅を広げることができる。また、可融部が800℃以上で溶断されないとしても高熱によって影響を受けて品質が低下し得、ブレージングが相対的に低い温度(600〜650℃)で行われるため、高熱による性能及び/または品質低下(すなわち、これらの少なくとも一方)の問題を最小化することができる。
【0069】
また、加熱された前記第1、2ブレージングリング150,155は溶融して毛細管現象によって母材の表面を密封および接合させ、その厚さは減少するようになる。
【0070】
一方、図9は、本発明による表面実装用ヒューズが基板に表面実装される様子を示す断面図である。図9を参照すれば、本発明の表面実装用ヒューズ100aは、密封電極130と半田ボールを接続させて表面実装素子(SMD,surface mount device)として活用することができる。
【0071】
このように、本発明によるヒューズの製造方法においては、機械的強度に優れたセラミック素材のセラミックチューブ管を用い、セラミックチューブ管と密封電極をブレージングリングによって接合するので接合強度および耐久性に優れる。
【0072】
また、可融部を非導電性部材の外周面にワインディングすることにより、タイムラグ(time lag)特性を向上させて高電圧においても使用できるように構成することができる。また、ブレージングを600〜650℃の温度に下げることにより、従来の可融部素材をそのまま用いても溶断されないようにできるという長所がある。
【0073】
このように、本発明のヒューズの製造方法は、ブレージングを通じて耐久性を向上させ、250V以上の高電圧においても安定的に使用できるヒューズを製造することができる。
【0074】
一方、本発明の詳細な説明および添付図面においては具体的な実施形態に関して説明したが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を外れない範囲内で色々な置き換え、変形および変更が可能である。したがって、本発明の範囲は説明された実施形態に限定して定めてはならず、後述する特許請求の範囲のみならず、該特許請求の範囲と均等なものを含むものとして解釈しなければならないであろう。
【符号の説明】
【0075】
100・・・ヒューズ; 110・・・ヒューズ素子;
111・・・非導電性部材; 115・・・放電ギャップ;
117・・・端子電極; 120・・・セラミックチューブ管;
130・・・密封電極; 131・・・接合部; 133・・・接続部
150・・・ブレージングリング; 151・・・外面;
152・・・内面; 153・・・外周部; 154・・・内周部;
160・・・ブレージング部材; 180・・・メッキ層;
181・・・接合部メッキ層; 183・・・接続部メッキ層;
185・・・端子電極メッキ層
図1a
図1b
図1c
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図8f
図9
図10