(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
現在、橋梁の支承では、ゴム支承が多く採用されている。一般的に、ゴム支承は、補強用の鋼板とゴムとが積層された構成となっている。このゴム支承は、動的照査法による耐震設計への対応に伴い、ゴム支承が大型化する傾向にあるため、ゴム支承の高さを低くしたり、小型化することへの要望も大きい。例えば、中間補強部材を平織り状の高強度繊維により形成し、ゴム層の厚さを大きくすることなく鉛直方向の引っ張り力及び回転方向の力に対して十分に弾性変形することができるゴム支承に関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、その小型化への方法の一つとして、従来のゴム支承の面圧(例えば、8〜12N/mm
2)より高い面圧(例えば、25N/mm
2)で上部構造体を支持する高面圧ゴム支承、高支圧ゴム支承などと呼ばれているものを採用することが行われている。
【0003】
高面圧ゴム支承、高支圧ゴム支承について特許文献に基づいて説明を行う。
下部支持部材と上部支持部材とに、それぞれ環状反力壁を有するとともに、下部支持部材と上部支持部材のいずれか一方に、せん断変形拘束壁が設けられ、せん断拘束壁の先端部は他方の部材に設けられた部材の凹部に摺動可能に嵌合されている固定式の荷重支持部材に関する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。さらに、本出願人も、上部収容凹部が形成された上部支持部材と、下部収容凹部が形成された下部支持部材と、上部支持部材と下部支持部材との間に介在される弾性層と、弾性層の上部収容凹部と下部収容凹部とで囲まれる領域に配置される硬質部材とを有する支承装置に関する技術を提案している(特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した技術は、各々、それなりの効果を発揮し、ゴム支承の薄型化、小型化を図ることができる技術とされている。しかしながら、このゴム支承には、前述した技術のものよりさらに小型化、薄型化を図ることへの要望が大きくなっている。そのためには、新たな発想でゴム支承を見直し、さらなる小型化、薄型化、耐久性向上等を図ることができるゴム支承及びゴム支承装置を開発することが要望されている。
【0006】
本発明は、このような従来の技術に鑑みて創案されたもので、次の目的を達成するものである。
本発明の目的は、圧縮方向への荷重が作用したとき、ゴム層が外周側へ膨出することを抑制し、小型化、薄型化、耐久性向上を図ることができるゴム支承体とこのゴム支承体が設けられたゴム支承装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1のゴム支承体は、
所望の形状に形成され、中間補強板をゴム層の間に内蔵している積層ゴムと、
前記積層ゴム部材の一方の端部に設けられる上補強板と、
前記積層ゴム部材の他方の端部に設けられる下補強板とが一体に形成されているゴム支承体であって、
前記中間補強板は、
熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂に強化繊維が含有された繊維強化樹脂製のものであり
、
前記積層ゴムの中心部から径方向の所定の範囲内に亘って設けられ、所定の厚さ寸法に形成された平板状の第1補強部と、
前記第1補強部の外周側に設けられ、前記第1補強部より、厚さ寸法が厚くなるように形成されている第2補強部と
、
前記第1補強部と前記第2補強部の間が連続するように形成された中間テーパ部とからなり、
前記ゴム層は、
前記上補強板と
、前記中間テーパ部及び前記第2補強部との間、
並びに、
前記下補強板と
、前記中間テーパ部及び前記第2補強部との間の厚さ寸法が、
前記上補強板と前記第1補強部との間、及び、前記下補強板と前記第1補強部との間の
それぞれの厚さ寸法より薄くなるように形成されている
ことを特徴とする。
【0009】
本発明
2のゴム支承体は、本発明
1において、
前記中間補強板は、前記繊維強化樹脂製のプリプレグが所望の大きさに切断され、切断されたプリプレグが積層されて所望の形状に形成されているものであることを特徴とする。
【0010】
本発明
3のゴム支承体は、本発明
2において、
前記中間補強板は、強化繊維が平織りされた繊維強化樹脂製のプリプレグが積層され、加熱・加圧硬化させることで成形されているものであり、積層された前記プリプレグは、前記強化繊維の繊維方向が異なる方向を向き、機械的特性の方向性の差が少なくなるように配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明
4のゴム支承体は、本発明
1から3において、
前記強化繊維は、炭素繊維であることを特徴とする。
【0013】
本発明
5のゴム支承体は、本発明
1から4において、
前記第2補強部は、外周面側が最大の厚さ寸法になることを特徴とする。
【0016】
本発明
6のゴム支承装置は、本発明
1から5に記載されたゴム支承体が設けられているいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明
7のゴム支承装置は、本発明
6において、
前記ゴム支承体の上部に設けられ、下面側に対して上面側が小径となるテーパ外周部が形成されている上沓と、
前記ゴム支承体の下部側の下沓またはベースプレートに設けられ、前記テーパ外周部に嵌め込まれるテーパ穴を有し、前記テーパ外周部が前記テーパ穴に嵌合される拘束リングプレートを備えていることを特徴とする。
【0018】
本発明のゴム支承装置は、前述したゴム支承体が内部に設けられたものであり、ゴム支承装置の小型化、薄型化が図れる。また、このゴム支承装置は、上部構造側に設けられ、下面側に対して上面側が小径となるテーパ状のテーパ外周部が形成されている上沓と、下部構造側に設けられ、上沓のテーパ外周部に嵌め込まれるテーパ穴を有し、テーパ外周部がテーパ穴に嵌合される拘束リングプレートを備えており、ゴム支承体が内部に設けられた密閉型のゴム支承装置を構成することができる。そのため、ゴム支承体の長寿命化、メンテナンスフリー化が図れる。また、このゴム支承装置は、拘束リングプレートのテーパ穴部と上沓のテーパ外周部とが嵌り込んでいるため、このゴム支承装置において、上沓が下沓またはベースプレートに対して水平方向に移動することが拘束されている。さらに、このゴム支承装置は、仮に上部構造側に上揚力が作用し、このゴム支承装置において、上沓側が下沓またはベースプレートに対して上揚しようとしたとき、上沓のテーパ外周部と拘束リングプレートのテーパ穴とが嵌合していることで、上沓側に作用する上揚力に対して抵抗することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のゴム支承体が設けられているゴム支承装置を示す平面図、
図2は、このゴム支承装置の一部を
図1のA−A線に沿って切断して示す正面図、
図3は、このゴム支承装置を一部断面にして示す斜視図である。
図4は、本発明のゴム支承体を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図5は、
図4(b)のB部を拡大して示す断面図、
図6は、中間補強板の一部を模式的に示す断面図、
図7は、強化繊維樹脂の積層状態を模式的に示す説明図、
図8は、強化繊維樹脂の他の積層状体を模式的に示す説明図である。
【0021】
図1,2に示すように、本発明のゴム支承体が設けられているゴム支承装置1は、ゴム支承体20が内部に設けられ、下部構造(例えば、橋脚、橋台)に対して上部構造(例えば、橋梁)を支承している。このゴム支承体20は、ゴム支承装置1に内蔵されている。ゴム支承体20の上面には、上沓13が設けられている。上沓13は、外周部13aが、上部側の直径に対して、下部側の直径が大きくなるように所定の角度傾斜したテーパ状の部材である。上沓13の上部側の端面13dには、せん断キー15を嵌め込むための嵌合穴13eが形成されている。
【0022】
ベースプレート10は平面視矩形状に形成されたプレートであり、所定の間隔を有するように複数(例えば、この例では8本)のねじ穴10aが矩形状に形成されている。このねじ孔には、各々、アンカーボルト16の先端に形成されたねじ部16aがねじ込まれている。下部構造(図示せず)であるコンクリート製の構造物には、ベースプレート10に、ねじ部16aがねじ込まれた複数のアンカーボルト16が埋め込まれ、一体化することにより、下部構造にベースプレート10が一体に固定されている。
【0023】
図2におけるベースプレート10の上部には、平面視矩形状に形成された下沓11が設けられている。下沓11には、矩形状に複数(例えば、この例では12個)のボルト穴が形成されている。また、ベースプレート10には、下沓11のボルト穴に対応する位置にねじ穴が形成されている。そして、下沓11は、ボルト穴を挿通したボルト17が、ベースプレート10のねじ穴にねじ込まれることにより、ベースプレート10に締結固定されている。下沓11の上方の端面側に、ゴム支承体20の下鋼板(下補強板)22(
図4参照)が嵌合されて支持するための下部側支持穴11aが形成されている。
【0024】
下沓11の上部には、拘束リングプレート12が設けられている。拘束リングプレート12は、平面視環状をしたプレートであって、所定の間隔毎に複数のボルト穴12bが形成されている。下沓11には、拘束リングプレート12のボルト穴12bに相当する位置にねじ穴11bが形成されている。拘束リングプレート12は、ボルト穴12bを挿通したボルト18が下沓11のねじ穴11bにねじ込まれることで、下沓11に締結固定されている。
【0025】
拘束リングプレート12は、中央部に、下方側の端面(下面)側の直径(内径)が、上方側の端面(上面)側の直径(内径)に対して漸増するように所定の角度を有するテーパ穴部12aが形成されている。このテーパ穴部12aには、上沓13のテーパ状に形成されたテーパ外周部13aが、嵌め込まれている。このテーパ外周部13aは、下方側の端面(下面)13b側の直径が、上方側の端面(上面)13d側の直径に対して漸増するように所定の角度を有するテーパ部であるとともに、拘束リングプレート12の内周部12aのテーパ角度と一致、または、略一致する角度に形成されたテーパ部である。このように、拘束リングプレート12のテーパ穴部12a内に、上沓13のテーパ外周部13aが嵌り込んでいるため、後述するゴム支承体20が内部に設けられた密閉型のゴム支承装置1を構成することができる。そのため、ゴム支承体20の長寿命化、メンテナンスフリー化が図れる。また、このゴム支承装置1は、拘束リングプレート12のテーパ穴部12aと上沓13のテーパ外周部13aとが嵌り込んでいるため、このゴム支承装置1において、上沓13が下沓11に対して水平方向に移動することが拘束されている。さらに、上部構造に上揚力が作用し、このゴム支承装置1において、上沓13側が下沓11(ベースプレート10)に対して上揚しようとしたとき、上沓13のテーパ外周部13aと拘束リングプレート12のテーパ穴12aとが嵌合していることで、上沓13側に作用する上揚力に対して抵抗することができる。
【0026】
上沓13は、断面視略台形状をした円錐台状の部材であって、
図2における上沓13の下面13b側に、ゴム支承体20の上鋼板(上補強板)21を嵌合して支持するための上部支持穴13cが形成されている。上沓13の上面13dには、後述するせん断キー15が嵌合される嵌合穴13eが形成されている。この嵌合穴13eは、止まり穴であり、嵌合穴13eの底面(下面)にせん断キー15は当接するとともに、嵌合穴13eの内周面がせん断キー15の外周面を支持している。
【0027】
上部構造である橋桁のフランジ30は、上沓13に、ソールプレート32を介して固定されている。ソールプレート32はフランジ30に溶接等で一体に固定されているものである。また、ソールプレート32の中央には、せん断キー15が挿入される穴部32aが形成されている。上沓13の上面13dには、所定の間隔にねじ穴13fが複数形成されている。フランジ30、ソールプレート32には、上沓13のねじ穴13fに対応する位置にボルト穴32bが形成されている。フランジ30のボルト穴30a、ソールプレート32のボルト穴32bに挿通された複数(例えば、この例では12個)のボルト31をねじ穴13fにねじ込むことによって、フランジ30と上沓13とが、強固に、締結固定される。
【0028】
〔ゴム支承体〕
ゴム支承体20の実施の形態について説明を行う。
ゴム支承体20は、上鋼板21、下鋼板22、上鋼板21と下鋼板22との間に設けられるゴム層23、ゴム層23に内蔵される中間補強板25とから構成されている。上鋼板21は、ゴム支承体20の上部側の補強を行う鋼製の補強板であるとともに、前述したように、上沓13に形成された上部側支持穴13cに嵌合される部材である。下鋼板22は、ゴム支承体20の下部側の補強を行う鋼製の補強板であるとともに、下沓11に形成された下部側支持穴11aに嵌合される部材である。
【0029】
ゴム層23は、クロロプレン(CR)、エチレンープロピレンージエンゴム(EPDM)、ウレタンゴム、天然ゴム等のゴム材料からなるものであり、この例では、クロロプレン(CR)を採用している。ゴム層23は、上鋼板21と下鋼板22との間の間隙に充填されるとともに、上鋼板21、下鋼板22の外周面を覆っている。ゴム層23の外周面には、外周面の中央部が凹んだ所定の半径の環状凹部24が形成されている。環状凹部24は、ゴム層23が膨出したときの変形を許容するための溝である。また、ゴム層23には、中間補強板25が内蔵されている。上鋼板21、下鋼板22、中間補強板25と、ゴム層23とは、加硫接着により、強固に一体に固着されている。
【0030】
中間補強板25は、マトリックスである熱硬化性樹脂27に炭素繊維26が含有された炭素繊維強化樹脂製の部材である。炭素繊維は、比重が鉄の1/4で、比強度が鉄の10倍、比弾性率が7倍など非常に高い力学的特性を備えているものである。熱硬化性樹脂は、所定の温度(例えば、150℃)でも軟化しない樹脂(例えば、エポキシ樹脂)であるとよい。この所定の温度は、ゴム層23と加硫接着する際に達する温度であり、この所定の温度で軟化しない樹脂であれば、他の種類の樹脂であってもよい。
【0031】
中間補強板25は、炭素繊維26の炭素繊維束が交互に織り込まれた平織り状のプリプレグシートを所定の形状に切断し、所定の形状に積層した後、オートクレーブ(圧力釜、窯)中で加熱・加圧して硬化させ成形品を製造したものである(
図6参照)。このとき、積層される平織り状のプリプレグシートは、
図7に示すように、第1プリプレグシート26aの繊維方向d1と、第2プリプレグシート26bの繊維方向d2とが、所定の角度θ1(例えば、45°)分離れた異なる方向に位置させると、プリプレグシートの積層体は引張り強度等機械的特性が大きい繊維方向(d1,d2)が補完可能な方向を向き、中間補強板25の強度、剛性等機械的特性に方向性が生じにくくなり好ましい。また、
図8に示すように、第1プリプレグシート26aの繊維方向d1、第2プリプレグシート26cの繊維方向d12、第3プリプレグシート26dの繊維方向d13が、所定の角度θ1,θ2(例えば、30°)分離れた異なる方向に位置させると、プリプレグシートの積層体は引張り強度等機械的特性が大きい繊維方向がさらに補完可能な方向を向き、中間補強板25の強度、剛性等機械的特性に方向性が生じにくくなり好ましい。
【0032】
中間補強板25は、中央部に、支承ゴム体の中心部から径方向の所定の範囲内に亘って設けられ、肉厚が所定の厚さ(薄肉)で平板状に形成された中央薄肉板部(第1補強部)25aと、中央薄肉板部25aの外周側にあって、ゴム層23の環状凹部24の外周面近傍に形成された外周側厚肉板部(第2補強部)25bと、その間が連続するように形成するための中間テーパ部25cとから構成されている。中間テーパ部25cは、中間補強板25に応力集中を発生させないためのものである。外周側厚肉板部25bは、中央薄肉板部25aの厚さ寸法より厚い寸法に形成された部位である。中間テーパ部25cは、中央薄肉板部25aと連続する部位から外周側厚肉板部25bと連続する部位に向かって漸増する断面視テーパ状に形成されている部位である。なお、中間テーパ部は、直線状に漸増するテーパ状の部位でなく、曲線状になだらかに漸増する部位であってもよい。外周側厚肉部25bは、
図6に示すように、外周面に近づくほど、所望の大きさに切断されたプリプレグシートの積層枚数を増加させ、このような形状に積層した状態でオートクレーブ内で加熱・加圧することでこのような中間補強板25を製造している。また、中間補強板25は、炭素繊維強化樹脂製であり、厚さを薄くしても、十分、強度、剛性等機械的特性を向上させることができる。
【0033】
ゴム支承体20は、このような中間補強板25を内蔵することにより、中央部のゴム層23より外周面側のゴム層23のほうが、ゴム層23の厚み(肉厚)が薄くなるように形成されている。このような形状になっていることで、ゴム支承体20に対して圧縮方向の荷重が作用したとき、ゴム層23は、中央部の肉厚が厚い部位で荷重を支承するとともに、水平方向へ荷重を解放しようとして、ゴム層23の外周面側に膨出するような変形をしようとする。しかしながら、上鋼板21と中間補強板25、下鋼板22と中間補強板25との間の寸法は、中央部に対して外周部側が狭くなるように構成されており、外周部側のゴム層23の厚みも、中央部のゴム層の厚みに対して外周面側のゴム層の厚みが薄くなるように構成されている。このため、ゴム層23が外周面側に膨出しようとしても、ゴム層23が外周面の外方に膨出することが抑制される。
【0034】
このゴム層23が外周面の外方に膨出することを抑制することにより、ゴム層23の局部的なひずみを抑え、耐久性を向上させることができる。中間補強板25によって補強されたゴム層23は変形を最小限とすることができる。ゴム支承体20には、外周面に環状凹部24が形成されており、環状凹部24内の変形とすることができる。また、外周面側は、ゴム層23の厚さが薄くなるためゴム層23が外周面側に膨出する量が抑制される。このように、膨出する量が抑制されるため、ゴム支承体20の耐久性が向上する。また、ゴム層23内の内部応力を、中間補強板25によって分散させ、ゴム支承体20の許容支圧応力を高めることができる。従って、ゴム支承体20の小型化、薄型化が図れる。
【0035】
さらに、このゴム支承装置1は、拘束リングプレート12のテーパ穴部12aと上沓13のテーパ外周部13aとが嵌合することにより、ゴム支承体20が密閉された構造となり、ゴム支承体20の高寿命化、メンテナンスフリー化を図ることができる。また、このゴム支承装置1は、拘束リングプレート12のテーパ穴部12aと上沓13のテーパ外周部13aとが嵌り込んでいるため、このゴム支承装置1の上沓13は下沓11に対して水平方向に移動することが拘束されている。さらに、このゴム支承装置は、上部構造に上揚力が作用し、このゴム支承装置1の上沓13側が下沓11に対して上揚しようとしたとき、拘束リングプレート12のテーパ穴部12aに上沓13のテーパ外周部13aが嵌り込んでいるため、上沓13側に作用する上揚力に対して抵抗することができる。
【0036】
〔ゴム支承体の他の実施の形態〕
図9から
図11に基づいて、ゴム支承体の他の実施の形態1から3について説明を行う。
図9は、ゴム支承体の他の実施の形態1を部分的に拡大して示す断面図であって、
図5に相当する断面図、
図10は、ゴム支承体の他の実施の形態2を部分的に拡大して示す断面図であって、
図5に相当する断面図、
図11は、ゴム支承体の他の実施の形態3を部分的に拡大して示す断面図であって、
図5に相当する断面図である。なお、この他の形態の説明では、前述したゴム支承体20と同一の部位には、同一の符号を付与し、詳細な説明を省略している。
【0037】
〔他の実施の形態1のゴム支承体〕
図9に基づいて、ゴム支承体の他の実施の形態1について説明を行う。
この他の形態1のゴム支承体120は、中央薄肉板部(第1補強部)125aと、中央薄肉板部125aの外周に設けられる外周側テーパ板部(第2補強部)125bとからなる中間補強板125を内蔵している。その他は、前述した実施の形態の中間補強板25と同様の作用、効果を呈するものであり、詳細な説明は省略する。なお、この他の実施の形態1の説明では、第2補強部を直線状に漸増するテーパ板部で説明を行っているが、曲線状になだらかに漸増する板部であってもよい。
【0038】
〔他の実施の形態2のゴム支承体〕
図10に基づいて、ゴム支承体の他の実施の形態2について説明を行う。
この他の形態2のゴム支承体220は、中央薄肉板部(第1補強部)225aと、中央薄肉板部225aの外周側に設けられたリング状補強棒状部(第2補強部)225bとからなる中間補強板225を内蔵している。その他は、前述した実施の形態の中間補強板25と同様の作用、効果を呈するものであり、詳細な説明は省略する。なお、この他の形態2では、第2補強部を断面円形状のもので説明を行っているが、断面楕円状のもの、断面長円状のもの、断面半円状のもの、断面半楕円状のもの、断面半長円状のもの等であってもよい。
【0039】
〔他の実施の形態3のゴム支承体〕
図11に基づいて、ゴム支承体の他の実施の形態3について説明を行う。
この他の形態3のゴム支承体320は、円板状の板部(第1補強部)325aと、円板状の板部325aの外周側の両端に、円板状の板部325aを挟むように形成されている一対のリング状の板部(第2補強部)325bとからなる中間補強板325を内蔵している。この他の形態3の中間補強板325は、第2補強部が一体になっているものではないが、上鋼板と中間補強板、下鋼板と中間補強板の間の寸法を狭くするとともに、ゴム層の厚さを薄くすることができ、実質的に、前述した実施の形態の中間補強板25と同様の作用、効果を呈するものである。
【0040】
〔ゴム支承装置の他の実施の形態〕
図12に基づいて、ゴム支承装置の他の実施の形態について説明を行う。
図12は、ゴム支承体が設けられたゴム支承装置の他の実施の形態を一部断面にして示した正面図である。なお、この他の形態の説明では、前述したゴム支承装置1と同一の部位には、同一の符号を付与し、詳細な説明を省略している。
他の実施の形態のゴム支承装置1Aは、ベースプレート10Aにゴム支承体20の下鋼板22が嵌合され、ゴム支承体20の下部を支持するための下部側支持穴が形成されている。拘束リングプレート12は、ベースプレート10Aにボルト18により締結固定されている。アンカーボルト16Aは、ナット19によってベースプレート10Aに締結固定されている。その他の部には変更なく、下沓を省略できるため、ゴム支承装置1Aをさらに薄型にすることができる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態、他の実施の形態について説明したが、本発明はこの形態に限定されることはなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。例えば、中間補強板は、炭素繊維強化樹脂製のものとして、説明を行っているが、他の強化繊維(例えば、ガラス繊維、アラミド繊維)が含有された強化繊維樹脂製のものであってもよい。また、熱可塑性樹脂に強化繊維が含有された強化繊維樹脂製のものであってもよい。さらに、強化繊維樹脂製の中間補強板は、プレス成形法など他の方法で成形されたものであってもよい。また、強度等は少し劣るが、中央部より外周側部位の厚さが厚い形状の鋼製の中間補強板であってもよい。さらに、この実施の形態では、中間補強板をゴム層に一枚内蔵している例で説明を行っているが、ゴム層に複数枚内蔵しているものであってもよい。