特許第6062914号(P6062914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6062914制御点検知パネル、及び当該制御点検知パネルのデザイン方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062914
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】制御点検知パネル、及び当該制御点検知パネルのデザイン方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20170106BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   G06F3/041 422
   G06F3/044 124
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-251012(P2014-251012)
(22)【出願日】2014年12月11日
(65)【公開番号】特開2015-122067(P2015-122067A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2015年2月19日
(31)【優先権主張番号】102145721
(32)【優先日】2013年12月11日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】514044156
【氏名又は名称】新益先創科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121692
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 勝美
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】胡 師賢
【審査官】 遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0227259(US,A1)
【文献】 特開2007−293865(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/173068(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3178844(JP,U)
【文献】 特開2010−049618(JP,A)
【文献】 特開2013−109520(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0082719(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御点検知システムは、特定の先端幅を有する制御物と、上にある当該制御物の動きに反応して制御点を検知する制御点検知パネルと、を備え、前記制御点検知パネルは、
基板と、
前記基板の表面上に形成されるM×Nの第一検知電極と、
それぞれ前記第一検知電極のNに並列に、少なくとも電気的に接続されるMの信号入力/出力端子を有する第一信号入力/出力端子のセットと、
前記基板の前記表面上に形成されるM×Nの第二検知電極と、
それぞれ前記第二検知電極のMに、少なくとも電気的に接続されるNの信号入力/出力端子を有する第二信号入力/出力端子のセットと、を備え、
前記第一検知電極及び前記第二検知電極は同一平面上に形成され、前記第一検知電極及び前記第二検知電極の交点でM×Nの電極並列ゾーンを形成し、ここで、前記電極並列ゾーンの各々は前記制御物の先端幅の0.5〜4.5倍の幅を有し、又は前記電極並列ゾーンの2つの全ての隣接する間の間隙は、前記制御物の先端幅の0.5〜1.5倍となる、ことを特徴とする制御点検知パネル。
【請求項2】
前記第一検知電極及び前記第二検知電極はそれぞれ複数の副電極を有し、前記第一検知電極の副電極及び前記第二検知電極の副電極は同一平面上で、前記電極並列ゾーン中に1つおきに割り当てられる、ことを特徴とする請求項1記載の制御点検知パネル。
【請求項3】
前記電極並列ゾーンの少なくとも1つは前記制御物の先端幅より小さな幅を有し、前記第一検知電極又は前記第二検知電極の前記副電極の効果領域は特定方向に沿って減少する、ことを特徴とする請求項2記載の制御点検知パネル。
【請求項4】
同一コラム中のMの前記第一検知電極は、それぞれ、信号線のセットに分類されたMの信号線に接続され、その結果、前記制御点検知パネルが信号線のNのセットを含み、ここで、同じ列の前記Nの第一検知電極に対応するNの信号線は、並列に、前記第一信号入力/出力端子のセット中の前記Mの信号入力/出力端子の対応する1つに電気的に接続される、ことを特徴とする請求項1記載の制御点検知パネル。
【請求項5】
信号線の前記Nのセットが配線ゾーンのそれぞれのコラムを通過し、前記配線ゾーンの各々は隣接する2つの前記電極並列ゾーンの間に配置される、ことを特徴とする請求項4記載の制御点検知パネル。
【請求項6】
ダミー透明配線が形成された非配線領域を備える、ことを特徴とする請求項4記載の制御点検知パネル。
【請求項7】
上にある制御物の動きに反応して制御点を検知する制御点検知パネルにおいて、
M×Nの検知セルをその上に有する基板と、
前記基板の表面上に形成されるM×Nの第一検知電極と、
それぞれ前記第一検知電極のNに並列に、少なくとも電気的に接続されるMの信号入力/出力端子を有する第一信号入力/出力端子のセットと、
前記基板の前記表面上に形成されるM×Nの第二検知電極と、
それぞれ前記第二検知電極のMに直列に、少なくとも電気的に接続されるNの信号入力/出力端子を有する第二信号入力/出力端子のセットと、を備え、
前記第一検知電極及び前記第二検知電極は同一平面上に形成され、前記第一検知電極及び前記第二検知電極の交点でM×Nの検知セル中にそれぞれM×Nの電極並列ゾーンを形成し、前記電極並列ゾーンの各々は、対応する前記検知セルの領域の1/3〜1/2倍となる領域を有する、ことを特徴とする制御点検知パネル。
【請求項8】
電極配置構造を定義するためのデジタルデータ処理装置により実行可能な制御点検知パネルのデザイン方法であり、当該制御点検知パネルは、上にある制御物の動きに反応して制御点を検知するために用いられるものであり、当該デザイン方法は、
前記電極配置構造が形成される基板のサイズ、及び前記制御物の先端幅を入力し、
前記基板のサイズ、及び前記制御物の先端幅に応じて前記電極配置構造を取得し、ここで前記電極配置構造は、M×Nの第一検知電極;M×Nの第二検知電極;それぞれ前記第一検知電極のNに並列に、少なくとも電気的に接続されるMの信号入力/出力端子を含む第一信号入力/出力端子;それぞれ前記第二検知電極のMに直列に、少なくとも電気的に
接続されるNの信号入力/出力端子を含む第二信号入力/出力端子を有し、
ここで、前記第一検知電極及び前記第二検知電極は同一平面上に形成され、前記第一検知電極及び前記第二検知電極の交点でM×Nの検知セル中にM×Nの電極並列ゾーンをそれぞれ形成し、
前記電極並列ゾーンのそれぞれは、前記制御物の先端幅の0.5〜4.5倍の幅を有し、又は前記電極並列ゾーンの2つの全ての隣接する間の間隙は、前記制御物の先端幅の0.5〜1.5倍となる、ことを特徴とする制御点検知パネルのデザイン方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、制御点検知パネルに関し、特に、2次元の制御点検出パネルに関する。本願発明はまた、制御点検知パネルのデザイン方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作動原理に基づくと、商業的に役立つタッチパネルは、抵抗方式タッチパネルと容量方式タッチパネルに分類される。ユーザが容量方式のタッチパネルの表面に指、若しくは制御物で触れ、又は近づけたとき、容量方式のタッチパネルの容量がそれに応じて変化する。接触位置は、容量変化の検出及び算出によって位置決めされる。従来の2次元の容量検出でのタッチパネルは、主にそれぞれ水平方向及び垂直方向に配列された検知パッドの2つのセットから構成され、当該検知パッドの2つのセットは、断熱材の交差部材で独立されて、その結果、容量が形成される。2次元の容量検出タッチパネルは、静電容量検知タッチパネルが主流であり、なぜなら、それは、市場において複数点のタッチ検知の需要を満たすためであり、同時に多数のタッチ位置を検出できるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の2次元の容量検知タッチパネルのコンデンサは、検知パッドの2つのセットの交差点において、断熱材で当該検知パッドの2つのセットを別々にすることにより形成されるため、複雑な手順が含まれ、このため比較的高コストになることが避けられない。さらに、従来の2次元の容量検知タッチパネルの検知精度を改善するために、検知パットの量を増やし、検知パットの領域を減らす必要があり、そのために、多量の検知ピンが駆動回路に要求され、また、このためのハードウェアのコストも増加する。
【0004】
従って、本願発明の目的は、コスト増加を伴うことなく、高パフォーマンスを追及することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、上にある制御物の動きに反応して制御点を検知する制御点検知パネルにおいて、基板と、前記基板の表面上に形成されるM×Nの第一検知電極と、それぞれ前記第一検知電極のNに並列に、少なくとも電気的に接続されるMの信号入力/出力端子を有する第一信号入力/出力端子のセットと、前記基板の前記表面上に形成されるM×Nの第二検知電極と、それぞれ前記第二検知電極のMに、少なくとも電気的に接続されるNの信号入力/出力端子を有する第二信号入力/出力端子のセットと、を備え、前記第一検知電極及び前記第二検知電極は同一平面上に形成され、前記第一検知電極及び前記第二検知電極の交点でM×Nの電極並列ゾーンを形成し、前記電極並列ゾーンの各々は前記制御物の先端幅の0.5〜4.5倍の幅を有し、又は前記電極並列ゾーンの2つの全ての隣接する間の間隙は、前記制御物の先端幅の0.5〜1.5倍となる。
【0006】
本願発明において、特定の先端幅を有する前記制御物と、当該特性の幅に関した電極配置構造を有する制御点検知パネルと、で制御点検知システムを構成する。
【0007】
また、具体的には、前記制御点検知パネルはさらにMの信号線のNのセットを備え、ここで、同一コラム中のMの前記第一検知電極は、それぞれ、信号線のセットに分類されたMの信号線に接続され、その結果、前記制御点検知パネルが信号線のNのセットを含み、ここで、同じ列の前記Nの第一検知電極に対応するNの信号線は、並列に、前記第一信号入力/出力端子のセット中の前記Mの信号入力/出力端子の対応する1つに電気的に接続される。
【0008】
また、具体的には、信号線の前記Nのセットが配線ゾーンのそれぞれのコラムを通過し、前記配線ゾーンの各々は隣接する2つの前記電極並列ゾーンの間に配置される。
【0009】
また、具体的には、前記制御点検知パネルはさらにダミー透明配線が形成された非配線領域を備える。
【0010】
また、具体的には、前記第一検知電極及び前記第二検知電極はそれぞれ複数の副電極を有し、前記第一検知電極の副電極及び前記第二検知電極の副電極は同一平面上で、前記電極並列ゾーン中に1つおきに割り当てられる。
【0011】
また、具体的には、前記電極並列ゾーンの少なくとも1つは前記制御物の先端幅より小さな幅を有し、前記第一検知電極又は前記第二検知電極の前記副電極の効果領域は特定方向に沿って減少する。
【0012】
本願発明の別の形態として、上にある制御物の動きに反応して制御点を検知する制御点検知パネルにおいて、M×Nの検知セルをその上に有する基板と、前記基板の表面上に形成されるM×Nの第一検知電極と、それぞれ前記第一検知電極のNに並列に、少なくとも電気的に接続されるMの信号入力/出力端子を有する第一信号入力/出力端子のセットと、前記基板の前記表面上に形成されるM×Nの第二検知電極と、それぞれ前記第二検知電極のMに直列に、少なくとも電気的に接続されるNの信号入力/出力端子を有する第二信号入力/出力端子のセットと、を備え、前記第一検知電極及び前記第二検知電極は同一平面上に形成され、前記第一検知電極及び前記第二検知電極の交点でM×Nの検知セル中にそれぞれM×Nの電極並列ゾーンを形成し、前記電極並列ゾーンの各々は、対応する前記検知セルの領域の1/3〜1/2倍となる領域を有する。
【0013】
本願発明のまた更なる別の形態として、電極配置構造を定義するためのデジタルデータ処理装置により実行可能な制御点検知パネルのデザイン方法であり、当該制御点検知パネルは、上にある制御物の動きに反応して制御点を検知するために用いられるものであり、当該デザイン方法は、前記電極配置構造が形成される基板のサイズ、及び前記制御物の先端幅を入力し、前記基板のサイズ、及び前記制御物の先端幅に応じて前記電極配置構造を取得し、ここで前記電極配置構造は、M×Nの第一検知電極;M×Nの第二検知電極;それぞれ前記第一検知電極のNに並列に、少なくとも電気的に接続されるMの信号入力/出力端子を含む第一信号入力/出力端子;それぞれ前記第二検知電極のMに直列に、少なくとも電気的に接続されるNの信号入力/出力端子を含む第二信号入力/出力端子を有し、ここで、前記第一検知電極及び前記第二検知電極は同一平面上に形成され、前記第一検知電極及び前記第二検知電極の交点でM×Nの検知セル中にM×Nの電極並列ゾーンをそれぞれ形成し、前記電極並列ゾーンのそれぞれは、前記制御物の先端幅の0.5〜4.5倍の幅を有し、前記電極並列ゾーンの2つの全ての隣接する間の間隙は、前記制御物の先端幅の0.5〜1.5倍となり、前記電極並列ゾーンのそれぞれは、前記対応する検知セルの領域の1/3〜1/2倍となる領域を有する。
【0015】
ここで、上述の「交差」とは、表面上、第一及び第二検知電極が物理的にお互い接触されることを意味しているのではなく、原則的に、第一検知電極及び第二検知電極がお互いにそこで充分近いことを意味するものであることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本願発明は、後述する実施形態と図面とを参照した後においては当業者が容易に実施できるようになる。
【0017】
図1Aは、2次元の制御点検知パネルの概略機能ブロック図である。
【0018】
図1Bは、指が2次元の制御点検知パネルの信号伝送線及び信号受信線に近づくときに発生するコンデンサの組の概略回路図である。
【0019】
図2Aは、本願発明の実施形態に係る制御点検知パネルの検知セルを示す概略図である。
【0020】
図2B及び図2Cは、本願発明の実施形態に係る制御点検知パネルのコーナーの検知セルの配置例を示す概略図である。
【0021】
図3A〜3Cは、本願発明の実施形態に係る制御点検知パネルにより実行される制御点検知ステップを示すフローチャートの一部である。
【0022】
図4Aは、本願発明の実施形態に係る制御点検知パネルの回路構造の一部を示す概略図である。
【0023】
図4Bは、本願発明の実施形態に係る制御点検知パネルにより実行された制御点検知と関連する信号を示す波形図である。
【0024】
図5A〜5Dは、制御点検知において発生する固有値の配列の例を示す概略図である。
【0025】
図6は、本願発明の実施形態に係る単一の制御点検知パネルを制御する複数チップの使用例を示す概略的な機能ブロック図である。
【0026】
図7は、本願発明の実施形態に係る単一の制御点検知パネルを制御する複数チップの別の使用例を示す概略的な機能ブロック図である。
【0027】
図8は、本願発明の実施形態に係る単一の制御点検知パネルを制御する複数チップの更なる別の使用例を示す概略的な機能ブロック図である。
【0028】
図9は、図1Aに示すコンパレータ回路に代えて、本願発明の別の実施形態に対応するコンパレータ回路を示す概略図である。
【0029】
図10は、本願発明の実施形態に係る制御点検知パネルの検知セル中の電極並列ゾーンの構造を例示する概略図である。
【0030】
図11は、本願発明の実施形態に係る制御点検知パネルの検知セル中の電極並列ゾーンの分布を示す概略図である。
【0031】
図12A及び12Bは、本願発明の実施形態に係る制御点検知パネルのコーナーの検知セルの更なる配置例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本願発明を、以下の実施形態を参照してより詳細に説明する。以下の本願発明のより好ましい実施形態の記載は、図面や説明のみの目的のためにここで提供されることに留意されたい。包括的若しくは開示された詳細な形に限定されることを意図したものではない。
【0033】
図1Aには2次元の制御点の検知パネルが構造的に示されており、ここで、Mの信号伝送線に11〜1M、及びNの信号受信線に21〜2Nが割り当てられ、M×N電極並列ゾーンP11〜Pmnが形成される。ユーザの指17の近接又は接触、若しくは他の別の制御物の電極並列ゾーンP11〜Pmnの特定の一つへの反応としては、図1Bに示すように、特定の電極並列ゾーンに関連付けられた一の伝送線11及び一の受信線21のコンデンサCa及びCbのそれぞれの組が変更する。検知パネルに生じている静電容量変化を検出することにより、制御点又は複数の制御点が位置決めされる。垂直線及び水平線は、模式的に交点で交わらないように示されているのだけれども、これらはそのような設定に限定されるものではないことに留意されたい。代わりに、それらは並列構成、例えば本実施形態中では電極が実際には同一平面上である。この構成に関しては、後述する。
【0034】
本実施形態に係る制御点の検知パネルの電極層構造は、模式的に図2Aに示される。本図に示すように、M×Nの検知セル900のマトリクスは、基板90上に形成され、例えばM=9、N=14であり、M×Nの電極並列ゾーン93はそれぞれM×N検知セル900内に割り当てられる。より好ましくは、各電極並列ゾーン93の領域が対応の検知セル900の領域の1/3〜1/2になることである。選択された検知セル900の配置の詳細を模式的に図2B及び図2Cに示す。
【0035】
図2Bにおいて、最下段、及び検知セル900Aに対応して配置される電極並列ゾーン93Aの検知セル900Aの電極配置構造を例示する。検知セル900Aの設定は基本的に繰り返しであるため、2の端部の検知セル900Aの詳細が示され、一方、図面上のドットは省略される検知セルを示している。本図に示すように、第一の検知電極901及び第二の検知電極902は、電極並列ゾーン93Aに1つおきに共存する。Mの信号線911〜91Mは、それぞれが同一コラムのMの第一検知電極901に接続され、信号セットを構成する。一方、図示されてはいないが、検知セルのNのコラムに応じてNの信号セットがあるべきことは理解できるものである。それぞれが、同列中のNの第一検知電極901に、共通信号インプット/アウトプット末端に、接続されたNの信号線のグループの電気接続によって、同列中の第一検知電極901は相互接続され得る。例えば、第一検知電極の第一列に接続された全ての信号線911は、共通の信号インプット/アウトプット末端1911に、並列に、電気的に接続され、こうして第一列の第一検知電極901が電気的に相互接続される。さらに、各同一コラムのMの検知セル900は、同一コラムの検知セル900を介して、第二検知電極902で、共通の信号インプット/アウトプット末端921〜92Nに、電気的に相互接続される。検知セル900Aの繰り返しとは、検知セル900Aがゾーン93Aと似通った並列電極と電線構造とを有していることを意味し、しかしながら、検知セル900Aの領域、また同様に第一検知電極901及び第二検知電極902の副電極の数は、実用例とは異なるかもしれない。例えば、図2Bに例示するように、右側の検知セルは左側より大きく、第一検知電極901は、第二検知電極902より多くの副電極を有する。間に配置された繰返しの検知セルは、左のもの、右のもの、又はその他デザインされたもののようになる。同様に、図2Cは、先頭列の検知セル900Bの電極配置構造、及び対応する検知セル900Bに配置された電極並列ゾーン93Bの実例を示す。
【0036】
信号線及び信号インプット/アウトプット末端は、ともに基板90上に形成される。代わりに、信号線を基板の外、例えば信号インプット/アウトプット末端が形成されたプリントされた回路基板にまで延長させることも可能である。デザインは実用例に応じて柔軟性を有している。
【0037】
上述の制御点検知パネルで実行される制御点検知方法は、後述する。制御点検知パネルの検知セルのマトリクスは、電圧信号プロセッサ180、及び充電/放電信号生成器190(図1A参照)に電気的に接続される。制御点検知方法に関して、図3A〜3Cのフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0038】
ステップ101において、充電/放電信号生成器190は、それぞれMの信号伝送線11〜1Mから選択された信号伝送線の少なくとも2セットを介して入力された第一充電/放電信号、及び第二充電/放電信号を有し、そして、電圧信号プロセッサ180は、第一電圧信号及び第二電圧信号を受信し、これらは、それぞれ第一期間中にNの信号受信線から選択された信号受信線の少なくとも2セットを介して、第一充電/放電信号、及び第二充電/放電信号に対応して生成される。例えば、信号伝送線の2セットは、隣接する信号伝送線12,13となり、一方、信号受信線の2セットは、隣接する2つの信号受信線22,23となり得る。第一充電/放電信号は、0Vから3Vに上がる充電信号(図4B参照)、第二充電/放電信号は、3Vから0Vに下がる放電信号(図4B参照)となる。
それぞれ隣接する2つの信号受信線22,23から受信された第一電圧信号及び第二電圧信号は、図1Aに示すコンパレータ回路18で比較され、第一電圧差分値又は当該第一電圧差分値に等しい関数値が、第一電圧信号及び第二電圧信号の比較結果に応じて出力末端Voを介して出力される。例えば、同じ極性だが第一電圧差分値に非線形の関数値は、異なる方法や回路によって得ることができ、又は第一電圧差分値及び第二電圧差分値の関数は、充電/放電信号のレベルを調整することによって得られる。この詳細は下記後述する。
【0039】
次に、ステップ102において、充電/放電信号生成器190は、それぞれ信号伝送線の同じセットを介して入力された第三充電/放電信号、及び第四充電/放電信号を有し、そして、電圧信号プロセッサ180は、第二の期間中、それぞれ信号受信線の同じセットを介して第三電圧信号及び第四電圧信号を受信する。つまり、信号伝送線の2つのセットは、隣接する信号伝送線12,13であり、一方、信号受信線の2つのセットは、隣接する2つの信号受信線22,23である。このステップにおいて、第三の充電/放電信号は3Vから0Vに下がる放電信号(図4B参照)、第四充電/放電信号は、0Vから3Vに上がる充電信号(図4B参照)となり、それぞれ隣接する2つの信号受信線22,23から受信される第三電圧信号及び第四電圧信号は、当該第三電圧信号及び第四電圧信号の比較結果に応じて、出力端子Voを介して、第二電圧差分値又は当該第二電圧差分値に等しい関数値を出力するために、図1Aに示すコンパレータ回路18で比較される。例えば、同じ極性だが第二電圧差分値に非線形の関数値は、異なる方法や回路によって得ることができ;又は第三電圧差分値及び第四電圧差分値の関数は、充電/放電信号のレベルを調整することによって得られる。この詳細は下記後述する。
【0040】
次に、ステップ103において、電圧信号プロセッサ180は、第一電圧差分値若しくはそれに等しい関数値、及び第二電圧差分値又はそれに等しい関数値に応じて、信号線の4つのセットによって定義される電極並列ゾーンから選択された1つの固有値を生成する。例えば、隣接する信号伝送線12,13及び隣接する信号受信線22,23によって定義される選択された電極並列ゾーンの固有値が生成される。例えば、電極並列ゾーンP22の固有値は、第一電圧差分値若しくはその関数値から、第二電圧差分値若しくはその関数値を差し引いて得られる差分として定義され得る。選択された電極並列ゾーンに関連した固有値は、選択された電極並列ゾーンを定義する、指や制御物が信号伝送線及び信号受信線に接触又は接近するとき生成される結合静電容量に相関する。
【0041】
電圧信号プロセッサ180は、例えば、隣接する信号伝送線及び隣接する信号受信線で、複数の固有値を生成するために、信号伝送線の全ての他のセット、及び信号受信線の全ての他のセットに関して上述のステップ101〜103を繰り返して、それによって固有値の配列A[p,q]を得ている。その後、固有値の配列A[p,q]は、連続するステップにおいて、制御点検知パネル上の一つ又はそれ以上の位置情報を推算するために用いられ、ここで各制御点は、指や他の制御物が検知パネルに接近する位置である。全ての位置又は全ての予め決められた位置の対応する固有値を得るための全ての必要なステップがステップ104で実行されたと決められたとき、ステップ105へ進行する。
【0042】
ステップ105において、検知パネル上の1若しくはそれ以上の制御点の位置情報は、固有値の配列A[p,q]のデータパターンに応じて算定される。制御点は、指や他の制御物体が容量型のパネル上に接触又は接近した位置である。ステップ105は、検知パネルの制御回路チップで実行され、このチップは、電圧信号プロセッサ180を含む。代りに、固有値の配列A[p,q]は、例えばノート型コンピュータや、タブレット型コンピュータのような、検知パネルが適応される情報処理システムに伝送される。この例では、ステップ105は、情報処理システムで実行される。上述した技術の詳細は、図4A及び図4Bを用いて説明され、この図4Aは回路構造、図4Bは信号波を模式的に示す。しかしながら、本願発明の適用は以下の例に限定されるものではない。というもの、上述の実施形態では、検知される単位は、隣接する2つの信号伝送線及び隣接する2つの信号受信線を含んでおり、4つの信号線、例えば隣接する2つの信号伝送線及び隣接する2つの信号受信線により定義された電極並列ゾーンを覆うウインドウ200は、スキャンのため検知パネル上を、全体として、動かされる。ウインドウ200が、信号線X,X,Y,Yにより定義された選択された電極並列ゾーンに動かされるとき、ウインドウ200への接近の相対位置若しくは指(又は伝導体)の接触点は、実質的に信号線X及びYの右上交点であり、ステップ101及びステップ102を介して得られる第一電圧差分値及び第二電圧差分値はそれぞれ+ΔV及び−ΔVとなる。これに応じて、ステップ103で得られる、例えば第一電圧差分値から第二電圧差分値を差し引いた固有値は、+2ΔVとなる。別の場合、ウインドウ200への指(又は伝導体)の接近又は接触点の相対位置は、実質的に、信号線X,Yの右下の交点2であり、ステップ101及びステップ102で得られる第一電圧差分値及び第二電圧差分値は、それぞれ−ΔV及び+ΔVとなる。これに応じて、ステップ103で得られる、例えば第一電圧差分値から第二電圧差分値を差し引いた固有値は、−2ΔVとなる。代わりに、仮にウインドウ200への指(又は伝導体)の接近又は接触点の相対位置は、実質的に、信号線X,Yの左下の交点3であるなら、ステップ101及びステップ102で得られる第一電圧差分値及び第二電圧差分値は、それぞれ+ΔV及び−ΔVとなる。これに応じて、ステップ103で得られる、例えば第一電圧差分値から第二電圧差分値を差し引いた固有値は、+2ΔVとなる。同じように、ウインドウ200への指(又は伝導体)の接近又は接触点の相対位置は、実質的に、信号線X,Yの左上の交点4であるなら、ステップ101及びステップ102で得られる第一電圧差分値及び第二電圧差分値は、それぞれ−ΔV及び+ΔVとなる。これによって、ステップ103で得られる、例えば第一電圧差分値から第二電圧差分値を差し引いた固有値は、−2ΔVとなる。一方、図4Aに示す、例えばウインドウ200の外側の、位置5,6,7又は8で実質的に指(又は伝導体)が接近又は接触するとき、ステップ101〜103の夫々のケースで得られる固有値は、対応する位置1,2,3又は4と同じ極性だが、より小さな絶対値のものとなる。
【0043】
さらに、図4Aに示す位置9で、実質的に指(又は伝導体)がウインドウ200に接近又は接触するならば、ステップ101で得られる第一電圧差分値及びステップ102で得られる第二電圧差分値は、信号伝送線上の充電/放電信号が充分に強い状況で、両方0となる。これに応じて、ステップ103で得られる、例えば第一電圧差分値から第二電圧差分値を差し引いた固有値は、0となる。さらなる例として、図4Aに示す位置100で、実質的に指(又は伝導体)がウインドウ200に接近又は接触するならば、ステップ101で得られる第一電圧差分値及びステップ102で得られる第二電圧差分値は、それぞれ−ΔV及び+ΔVとなり、ステップ103で得られる第一電圧差分値から第二電圧差分値を差し引いた固有値は0となる。ウインドウ200が信号線X,X,Y,Yで定義される電極並列ゾーンに位置し、仮に、指(又は伝導体)の接近又は接触がない、若しくは指(又は伝導体)のウインドウ200への接近又は接触の相対位置が位置4−1,4−2,4−3ならば、ステップ101〜103で得られる固有値は0となる。このように、全ての検知パネルが2×2の信号線で定義されるウインドウ200でスキャンされた後、固有値の配列A[p,q]が生成され、そこでは上述したステップで得られる固有値及び対応するウインドウの特定位置が記憶される。固有値の正、負、又は0は、+,−及び0で表せられる。
【0044】
それから、固有値の配列A[p,q]のデータパターンに応じて、分析が実行される。検知パネル上の1若しくは1以上の制御点の位置情報がステップ104において推算される。制御点は、指が検知パネルに接近又は接触する位置である。例えば、仮に検知パネルへの指の接近又は接触がないなら、予め定められた期間中、スキャンステップで得られるものとして、固有値の配列A[p,q]中に記憶されるデータの全ては0である。一方、もし指が、例えばX及びYで定義される電極並列ゾーンなど、検知パネルの信号転送線及び信号受信線によって定義される共通の領域に接近又は接触しているならば、図4Aに示される配列のように、特定位置の固有値及び8つの囲んでいる位置の8つの固有値は3×3のデータ配列を形成する。そのため、3×3のデータ配列上の操作を実行することによって、検知パネル上に指が接近又は接触する位置が特定される。例えば、操作の結果が例えば図5Aで示すような第一パターンを満たすとき、推算される制御点は(X,Y)、及び制御点(X,Y)に関連するオフセットベクトルは0である。つまり、固有値の配列A[p,q]が図5Aに示すデータパターンを含むとき、(X,Y)に制御点があることが分かる。もし固有値の配列A[p,q]がゼロオフセットで、図5Aに示すような1以上のデータパターンを有するなら、信号伝送線及び信号受信線の特定の交点で、別の制御点が存在することが分かる。
【0045】
加えて、固有値の配列A[p,q]の一部が、図5B〜5Dのいずれかのデータパターンを有しているときにも、1つの制御点が存在すると推算される。制御点は、交点でなく、第二オフセットベクトル42、第三オフセットベクトル43、又は第四オフセットベクトル44で、交点(X,Y)の近くである。例えば、図5Bに示すデータパターンは、制御点が交点(X,Y)(例えば、図4Aの位置(4−3))の下であることを示し、 図5Cに示すデータパターンは、制御点が交点(X,Y)(例えば、図3の位置(4−1))の右側であることを示し、 図5Dに示すデータパターンは、制御点が交点(X,Y)(例えば、図4Aの位置(4−2))の右下であることを示している。従って、同じ配線密度であっても、本願発明の解像度は、2次元で2倍となり、全体の解像度は4倍に上昇できる。
【0046】
図4Bに示す充電/放電信号の例は説明のためであり、信号の3Vから0Vへの減少、又は0Vから3Vへの上昇に限られるものではない。検知の客体は、より大きな固定電圧からより小さな固定電圧へ下がる、又は別のより小さな固定電圧から別のより大きな固定電圧に上がるどのような信号を用いることによっても達成できる。検知の信号は、回路デザインのバランス保持目的のため0V及び3Vで設定される。
【0047】
位置検出が2つの隣接する信号伝送線及び2つの隣接する信号受信線で実行されるため、上述した信号伝送線11及び信号受信線21への操作を実行するために、図1に示される検知パネルのX方向及びY方向の各端のダミー信号線10,20を提供することが必要である。しかしながら、コンデンサをダミー信号線に供する必要はない。もちろん、ダミー信号線を省くことも可能であり、上述した信号伝送線11及び信号受信線21への操作を実行するために、事実上ダミー信号線10,20となる信号伝送線12及び信号受信線22で直接ミラーできる。
【0048】
さらに、同じ検知パネル50を制御する1以上の検知チップ中の、本願発明の使用例を模式的に示している機能ブロック図である図6をここで参照する。図6では、2つの検知チップが例として使われ、異なる信号伝送線及び信号受信線Xc1,Xc2のセットが異なる検知チップ51,52に接続され、参照として参照電圧信号を全ての検知チップに伝送するために、参照電圧伝送線53が検知チップ51,52間に配置される。これにより、異なる検知チップに属する信号受信線で生成される、電圧信号の比較操作を実行するとき、一定の参照電圧が供給される。ステップ101,102で得られる電圧差分値、若しくはステップ103で得られる固有値は、検知チップ51,52によって終末過程で、マイクロプロセッサ54に伝送され、その結果、制御点の対応する位置情報が得られる。このことにより、本願発明の目的が達成される。
【0049】
加えて、図7を参照し、仮に検知パネル60の隣接する信号受信線Y61,Y62が異なるチップ61,62に属するならば、お互いチップ61,62に相互接続している信号伝送線(例えば、図7の伝送線63)が、隣接する1以上の信号線から参照として別のチップに電圧信号を伝送するため使用され得る。これによって、上述した操作が完成され、このため本願発明の主な目的が達成され得る。別の方法では、図8に示すように、検知パネル70の信号受信線Y71及びY73間の信号受信線Y72が異なるチップ71,72に接続され、その結果、信号受信線Y72からの電圧信号がチップ71,72の両方によって参照される。これによって、上述した操作が完成され、このため本願発明の主な目的が達成され得る。
【0050】
制御点検知パネルの検知セル900のマトリクスは、図9に示すように、電圧信号プロセッサ180の別の例でも機能する。この実施形態では、第一コンデンサ81、第二コンデンサ82及びコンパレータ回路88が、他の比較する方法を実行するために使用される。詳細には、ステップ101において、充電/放電信号生成器190は、それぞれMの信号伝送線11〜1Mから選択された信号伝送線の少なくとも2セットを介して入力された第一充電/放電信号、及び第二充電/放電信号を有し、そして、電圧信号プロセッサ180は、第一電圧信号及び第二電圧信号を受信し、これらは、それぞれ第一期間中にNの信号受信線から選択された信号受信線の少なくとも2セットを介して、第一充電/放電信号、及び第二充電/放電信号に対応して生成される。例えば、信号伝送線の2セットは、隣接する信号伝送線12,13となり、一方、信号受信線の2セットは、隣接する2つの信号受信線22,23となり得る。第一充電/放電信号は、0Vから3Vに上がる充電信号(図4B参照)、第二充電/放電信号は、3Vから0Vに下がる放電信号(図4B参照)となる。それぞれ隣接する2つの信号受信線22,23から受信された第一電圧信号及び第二電圧信号に関して、コンパレータ回路88の2つの入力端子881,882が図9に示す第一コンデンサ81の入力電圧V81及び第二コンデンサ82の入力電圧V82のレベルを制御することによってバランスされ、その結果、出力端子883により出力される電圧が0に維持され、入力端子881,882がバランスされるときのV81及びV82のレベルの差分が、第一電圧差分値として得られる。代りに、第一コンデンサ81及び第二コンデンサ82の容量を変えて、同じ値の入力電圧V81,V82を供することにより、コンパレータ回路88の2つの入力端子881,882のバランスをも取ることができ、その結果、出力端子883から出力される電圧がレベル0で保持され、入力端子881,882がバランスされるとき、第一コンデンサ81及び第二コンデンサ82の容量の差分は、第一電圧差分値と等しい関数値として得られる。ここで、図1に示されるコンパレータ回路18は、AD変換器により実現される必要があるが、コンパレータ回路88は、単に単一ビットコンパレータによって実現できる。
【0051】
さらに、ステップ102において、充電/放電信号生成器190は、それぞれ信号伝送線の2つのセットを介して入力された第三充電/放電信号、及び第四充電/放電信号を有し、それから、電圧信号プロセッサ180は、それぞれ、信号受信線の2つのセットを介して、第三充電/放電信号、及び第四充電/放電信号に応じて生成された第三電圧信号及び第四電圧信号を受信する。例えば、信号伝送線の2つのセットは隣接する信号伝送線12,13であり、一方、信号受信線の2つのセットは隣接する2つの信号受信線22,23である。第三の充電/放電信号は3Vから0Vに下がる放電信号(図4B参照)、第四充電/放電信号は、0Vから3Vに上がる充電信号(図4B参照)となる。それぞれ隣接する2つの信号受信線22,23から受信された第三電圧信号及び第四電圧信号に関して、コンパレータ回路88の2つの入力端子881,882が図8に示す第一コンデンサ81の入力電圧V81及び第二コンデンサ82の入力電圧V82のレベルを制御することによってバランスされ、その結果、出力端子883により出力される電圧が0に維持され、入力端子881,882がバランスされるときのV81及びV82のレベルの差分が、第二電圧差分値として得られる。代りに、第一コンデンサ81及び第二コンデンサ82の容量を変えて、同じ値の入力電圧V81,V82を供することにより、コンパレータ回路88の2つの入力端子881,882のバランスをも取ることができ、その結果、出力端子883から出力される電圧がレベル0で保持され、入力端子881,882がバランスされるとき、第一コンデンサ81及び第二コンデンサ82の容量の差分は、第二電圧差分値と等しい関数値として得られる。
【0052】
さらに、上記実施形態では、隣接する2つの信号線が例示された。しかしながら、本願発明の別の形態では、信号伝送線の2つのセット又はそれ以上が、それぞれ充電/放電信号を入力するためのMの信号伝送線から選択され、それによって生成された電圧信号が、Nの信号受信線から選択された2つのセット又はそれ以上の信号受信線によってそれぞれ受信され得る。信号伝送線の各セットは、単一の信号伝送線又は複数の信号伝送線で構成され、信号伝送線の2つのセットは隣接することなく、その間に配置された別の信号伝送線を伴う。もちろん、信号受信線の各セットは、単一の信号受信線又は複数の信号受信線で構成され、信号受信線の2つのセットは隣接することなく、その間に配置された別の信号受信線を伴う。検知の感度及び領域は、各信号伝送線及び信号受信線のセットを形成する複数の信号伝送線又は複数の信号受信線を使うことによって増やすことができ、その結果、検知パネルに直接触れることがない制御物の近接を感知できる。さらに、本願発明の他の実施形態によると、信号伝送線の2つのセット又はこれ以上は、それぞれ充電/放電信号を入力するためのNの信号伝送線から選択もでき、対応する生成される電圧信号は、Mの信号受信線から選択された2つのセット又はこれ以上の信号受信線によってそれぞれ受信され得る。これは、単純にラインの接続を変えるマルチプレクサ(図示せず)を用いることで実現される。さらに、電圧信号プロセッサ180は、2又はそれ以上のA/D変換器又は単一ビットコンパレータで構成され、2又はそれ以上のA/D変換器は異なるチップに配置され得る。というのも、これは、回路デザインの共通変更であり、ここで更には詳細しない。
【0053】
再度、図2B及び図2Cを参照する。この実施形態で第一検知電極901及び第二検知電極902は各検知セル900の電極並列ゾーン93に、近くに、そして1つおきに配置され、実質的に同一平面上である。この実施形態で、電極並列ゾーン93の第一検知電極901及び第二検知電極902は、それぞれくしのような形状、及び適当な間隙でお互いに逆に係止している複数の副電極を有する。この実施形態で、電極分布均一性を改善するために、くし形状の検知電極の副電極は、ジグザク形状となる。
【0054】
検知セル900の幅が指若しくは制御物の先端幅より非常に大きい、例えば2.5〜3倍もしくはそれ以上の場合、電極の均一分布は検知パネルの検知能力で不利となる。従って、電極並列ゾーンの幅が制御物の先端幅より大きいとき、検知能力を改善するための検知電極901及び902の別の構造が図10に例示される。本図に示すように、第一検知電極901の副電極は、方向D1に沿って減少する効果領域を有し、一方、第二検知電極902の副電極は、方向D2に沿って減少する効果領域を有する。従って、指又は制御物がパネル上又はその上をD1又はD2方向に沿って動くと、結合静電容量が減少し、このため更なる差分が認識できる。
【0055】
上述した配置に関し、2次元検知マトリクスは、追加の絶縁層を形成することなしに達成でき、信号伝送線及び信号受信線の間の等価コンデンサが必須でなくなる。実際には、それらは約100fF−10pFのコンデンサC11〜Cmnで、効果的に機能する。これは、本願発明が、1−5pFでのみ効果的に機能する従来技術と比較して、大きな改善を達成したことを示す。
【0056】
本願発明に係る検知操作は、少なくとも2線で実行されるため、本願発明の解像度は、2次元で2倍となり、同じ線密度で、全体の解像度は4倍に上昇され得る。従って、本願発明に係る制御点検知パネル中、満足できる検知効果は、電極並列ゾーンを密に割り当てることなしに達成され得る。言い換えると、図11に示すように、電極並列ゾーン93は検知セル900より大幅に小さい。例えば、電極並列ゾーン93の領域は、検知セル900の領域の1/3〜1/2のみである。電極並列ゾーン93の領域の減少によって、配線ゾーン94を拡大することができる。配線ゾーン94の十分な領域は、相対的にそれを通すための幅広の導電線を許容し、それによって望まれない高抵抗を防止できる。
【0057】
満足できる検知能力を確実にするため、電極並列ゾーン93の幅W2及び配線ゾーン94の幅W3が、例えば指、手のひら、又は検知ペンのような制御物の先端幅に相関することが好ましい。当業者が知るように、異なる制御物は異なるパネルサイズに適している。例えば、手のひら検知は小さなサイズのパネルより大きなサイズのパネルにより適しており、ペン検知は大きなサイズのパネルより小さなサイズのパネルにより適している。従って、本願発明によると、特定のパネルの最も適したコントロール物の先端幅が一旦決定されると、検知セル900の幅W1、電極並列ゾーン93の幅W2及び配線ゾーン94の幅W3を含む特定のパネルの適切な配置構造が自動的に算出される。
【0058】
本願発明の実施形態によると、電極並列ゾーン93の幅W2は、検知パネルに接触する制御物の先端幅の0.5〜4.5倍、好ましくは1〜2倍、より好ましくは等しいものである。例えば、指の先端幅は、典型的にはおおよそ4mmであり、より小さな領域の検知のための検知ペンの先端幅は典型的には約1〜2mmであり、より大きな領域の検知のための手のひらの先端幅は約20mmである。従って、各好ましい制御物を使う異なるパネルサイズにおいて、電極並列ゾーン93の好ましい幅W2が引き出される。例えば、パネルに接触する指の先端幅が4mmならば、電極並列ゾーン93の幅W2は4〜8mm、好ましくは4mmとなる。他の例として、パネルに接触する検知ペンの先端幅が1〜2mmならば、電極並列ゾーン93の幅W2は4.5〜5mmである。先端幅20mmを有する典型的な手のひらの検知パネルに関しては、電極並列ゾーン93の幅W2は20mmである。
【0059】
電極並列ゾーン93の幅W2の状況に関連する上記実施形態の変更又は追加である本願発明の別の実施形態であって、配線ゾーン94の幅W3、例えば2つの隣接する電極並列ゾーン93間の間隙は、特に、限定されるものではないが、制御物の先端幅の1/2〜4/5、好ましくは1/2〜3/2、より好ましくは制御物の先端幅に等しい若しくは近くなるように設計される。例えば、指の先端幅は典型的に約4mm、より小さな領域の検知のための検知ペンの先端幅は典型的に約1〜2mm、より大きな領域の検知のための手のひらの先端幅は典型的に約20mmである。従って、それぞれより好ましい制御物を使う異なるパネルサイズにおいて、配線ゾーン94のより好ましい幅W3が引き出される。例えば、パネルに接触する指の先端幅が4mmならば、配線ゾーン94の幅W3は2〜5mm、好ましくは4mmとなる。他の例として、パネルに接触する検知ペンの先端幅が1〜2mmならば、配線ゾーン94の幅W3は1〜1.5mmである。先端幅20mmを有する典型的な手のひらの検知パネルに関しては、配線ゾーン94の幅W3は20〜30mmである。
【0060】
本願発明によると、検知セル900の幅W1は、さらに電極並列ゾーン93の幅W2、配線ゾーン94の幅W3及び/又は制御物の先端幅に相関することが好ましい。例えば、パネルに接触する指の先端幅が4mmならば、検知セル900の幅W1は6〜13mm、好ましくは8mmとなる。他の例として、パネルに接触する検知ペンの先端幅が1〜2mmならば、検知セル900の幅W1は6mmである。先端幅20mmを有する典型的な手のひらの検知パネルに関しては、検知セル900の幅W1は40mmである。一般的に言うと、検知セル900の幅W1は約制御物の先端幅の1.5〜2.5倍となる。変更的に若しくは追加的に、検知セル900の幅W1は電極並列ゾーン93の幅W2の約13/8〜3/2倍である。従って、電極並列ゾーン93の領域は、検知セル900の領域の1/3〜1/2が可能ではあるものの、64/169〜4/9倍となる。
【0061】
前述を考慮して、制御点検知パネルの電極配置構造は例えばコンピュータや他の適切なデジタルデータ処理装置により、電極配置構造が形成される基板のサイズ、及び例えば指、手のひら、検知ペン又は他の適切な制御物など適切な制御物の先端幅を入力することにより自動的にデザインされる。入力データに反応し、電極配置構造は予めの状況下でソフトウェアプログラムによって引き出される。電極配置構造はM×Nの第一検知電極、M×Nの第二検知電極、第一信号入力/出力端子セット、及び第二信号入力/出力端子セットを含む。第一信号入力/出力端子セットはMの信号入力/出力端子を含み、それぞれの当該端子は少なくとも並列に第一検知電極のNに電気的に接続される。第二信号入力/出力端子セットはNの信号入力/出力端子を含み、それぞれの当該端子は少なくとも直列に第二検知電極のMに電気的に接続される。第一検知電極及び第二検知電極は同一平面上に形成され、それぞれ第一検知電極及び第二検知電極の交点に配置されたM×Nの検知セル中に、M×Nの電極並列ゾーンを形成する。電極配置構造での各電極並列ゾーンは、制御物の先端幅の0.5〜4.5倍の幅を有するよう予めセットされる。変更的に若しくは追加的に、電極配置構造中の隣接する2つの電極並列ゾーンの間の間隙は、制御物の先端幅の約0.5〜1.5倍となるよう予めセットされる。好ましくは、電極配置構造中の電極並列ゾーンの領域は、検知セル900の領域の約1/3〜1/2倍となるようさらに予めセットされる。さらに、電極配置構造のデザインアルゴリズムで、仮に電極並列ゾーンの引き出された幅が制御物の先端幅より大きいなら、図10に示す副電極の構成が適用される。つまり、第一検知電極901の副電極は方向D1に沿って減少する効果領域を有し、一方、第二検知電極902の副電極は方向D2に沿って減少する効果領域を有する。従って、指又は制御物が一旦、方向D1又はD2に沿ってパネル上若しくはその上を動くと、結合静電容量が変化(減少)する。このため、本願発明に係る検知パネルは、より良い解像度能力、及び改善された処理能力を有する。
【0062】
検知電極や配線は、例えば、タッチパネルディスプレイに適用するために透明電極を用いることができる。ビジュアルの均一化のため、図12A及び12Bに示すように、透明ダミー配線99が同時に形成される。透明電極がマスクのあるマイクロリソグラフィで定義される。それにも関わらず、検知セルの幅及び配線の幅が本願発明では拡大されるため、検知電極及び配線が、コスト低減で、回路プリント処理の方法で形成され得る。もしタッチパネルが透明である必要がないなら、半透明配線がプリントされ、いかなるダミー配線もこれ以上必要とされない。結果として、原料コストを低くすることができる。
【0063】
上述されたM入力/出力端子1911〜191M及びN入力/出力端子921〜92Nはそれぞれ信号伝送線及び信号受信線である。代りに、M入力/出力端子1911〜191Mを信号受信線、一方、N入力/出力端子921〜92Nを信号伝送線ともできる。
【0064】
以上の説明のように、本願発明の実施形態は、検知パネルに適応される制御点を検知する方法及び装置を供する。制御点の位置情報が、信号線の数を増加させることなく、この方法と装置によって正確に検知され得る。本願発明は、最も実際的に好ましい実施形態となると考えられるものを詳述したが、本願発明は上述した実施形態に限定されるものではない。反対に、修正や似た構造を取り囲むために最も広い解釈に応じた添付の請求項の内容及び範囲以内を含む様々な修正及び似た構造をカバーするように意図されている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B