(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記医療流体カセットは、前記医療流体ポンピング装置によって形成されたカセット・コンパートメント内に前記医療流体カセットを配設することによって前記医療流体ポンピング装置に固定される請求項1に記載の医療流体ポンピング・システム。
前記ピストン・ヘッドは、前記ラッチの径方向内向きの移動が第1の軸方向へのラッチ・ロックの軸方向移動を引き起こすように前記ラッチの関連する第1の角度を付けた表面に隣接して置かれる第1の角度を付けた表面を有する該ラッチ・ロックをさらに備える請求項11に記載の医療流体ポンピング・システム。
前記ピストン・ヘッドは、前記ラッチ・ロックと前記前部部材との間に配設されたバネをさらに備え、これにより、前記第1の軸方向への前記ラッチ・ロックの前記軸方向移動に抵抗する請求項12に記載の医療流体ポンピング・システム。
前記ラッチおよび前記ラッチ・ロックは、前記ラッチを径方向内向きに移動し、前記ラッチ・ロックを軸方向に移動するために前記ラッチに印加される力が解放されたときに、前記バネが伸長して前記ラッチ・ロックを前記第1の軸方向とは反対の第2の軸方向に移動し、前記ラッチの径方向外向きの移動を引き起こすように構成される請求項13に記載の医療流体ポンピング・システム。
前記ピストン・ヘッドおよび前記締め付け部材は、前記ピストン・ヘッドが前記医療流体カセットの前記基部の方へ移動されるときに機械的に連結され、前記ピストン・ヘッドが前記医療流体カセットの前記基部から遠ざかるときに切り離されるように製作される請求項1に記載の医療流体ポンピング・システム。
前記締め付け部材は、前記ピストン・ヘッドが前記医療流体カセットの前記基部の方へ移動されるときに前記ピストン・ヘッドに機械的に連結され、前記ピストン・ヘッドが前記医療流体カセットの前記基部から遠ざかるときに前記ピストン・ヘッドから切り離されるように製作される請求項18に記載の医療流体カセット。
直線的に変位されうるピストン・ヘッドからなり、該ピストン・ヘッドは医療流体カセットの締め付け部材によって形成された陥凹部内に配設されるように構成され、該ピストン・ヘッドは、該ピストン・ヘッドが該陥凹部内に配設され、該医療流体カセットの基部から直線的に離れるときに、該ピストン・ヘッドの係合面が該締め付け部材の係合面と係合し、該締め付け部材および該締め付け部材が取り付けられた可撓性膜を引っ張って該基部から離し、該可撓性膜と該基部との間の該医療流体カセット内に形成された流体ポンプ室の容積を増やすように該ピストン・ヘッドが該陥凹部内に配設されたときに該医療流体カセットの係合面と係合するように構成された係合面を有する医療流体ポンピング装置であって、
前記ピストン・ヘッドは、本体部、および該本体部の周縁を越えて径方向に延在する接触面からなる、医療流体ポンピング装置。
前記ピストン・ヘッドは、前記ラッチの径方向内向きの移動が第1の軸方向へのラッチ・ロックの軸方向移動を引き起こすように前記ラッチの関連する第1の角度を付けた表面に隣接して置かれる第1の角度を付けた表面を有する該ラッチ・ロックをさらに備える請求項30に記載の医療流体ポンピング装置。
前記ピストン・ヘッドは、前記ラッチ・ロックと前記前部部材との間に配設されたバネをさらに備え、これにより、前記第1の軸方向への前記ラッチ・ロックの前記軸方向移動に抵抗する請求項31に記載の医療流体ポンピング装置。
前記ピストン・ヘッドは、前記ピストン・ヘッドが前記医療流体カセットの前記基部の方へ移動されるときに前記締め付け部材に機械的に連結され、前記ピストン・ヘッドが前記医療流体カセットの前記基部から遠ざかるときに前記締め付け部材から切り離されるように製作される請求項24に記載の医療流体ポンピング装置。
前記医療流体カセットは、基部と、可撓性膜と該基部とが連携して少なくとも前記流体ポンプ室を形成するように該基部に取り付けられた可撓性膜と、該可撓性膜に取り付けられた前記締め付け部材と、からなり、前記締め付け部材は、前記ピストン・ヘッドが陥凹部内に配設され、前記医療流体カセットの該基部から直線的に離れるときに、前記ピストン・ヘッドの係合面が前記締め付け部材の係合面と係合し、前記締め付け部材および前記締め付け部材が取り付けられた該可撓性膜を引っ張って該基部から離し、前記流体ポンプ室の容積を増やし、前記流体ポンプ室内に流体を引き込むように前記ピストン・ヘッドが陥凹部内に配設されたときに前記ピストン・ヘッドの係合面と係合する係合面を有する請求項36に記載の医療流体ポンピングシステムの作動方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の1態様では、医療流体ポンピング・システムは、直線的に変位されうるピストン・ヘッドを備える医療流体ポンピング装置と、医療流体ポンピング装置に固定可能な医療流体カセットとを具備する。医療流体カセットは、基部、可撓性膜と基部とが連携して少なくとも部分的に流体ポンプ室を形成するように基部に取り付けられた可撓性膜、および可撓性膜に取り付けられた締め付け部材を備える。締め付け部材は、医療流体ポンピング装置のピストン・ヘッドを受け入れるように構成された陥凹部を形成し、締め付け部材は、ピストン・ヘッドが陥凹部内に配設され、カセットの基部から直線的に離れるときに、ピストン・ヘッドの係合面が締め付け部材の係合面と係合し、締め付け部材および締め付け部材が取り付けられている可撓性膜を引っ張って基部から離し、流体ポンプ室の容積を増やすようにピストン・ヘッドが陥凹部内に配設されたときにピストン・ヘッドの係合面と係合する係合面を有する。
【0007】
本発明の別の態様において、医療流体カセットは、基部、可撓性膜と基部とが連携して少なくとも部分的に流体ポンプ室を形成するように基部に取り付けられた可撓性膜、および可撓性膜に取り付けられた締め付け部材を備える。締め付け部材は、医療流体ポンピング装置のピストン・ヘッドを受け入れるように構成された陥凹部を形成し、ピストン・ヘッドが陥凹部内に配設され、カセットの基部から直線的に離れるときに、ピストン・ヘッドが締め付け部材の係合面と係合し、締め付け部材および締め付け部材が取り付けられた可撓性膜を引っ張って基部から離し、流体ポンプ室の容積を増やすようにピストン・ヘッドが陥凹部内に配設されたときにピストン・ヘッドと係合する係合面を有する。
【0008】
本発明のさらなる態様において、医療流体ポンピング装置は、直線的に変位されうる、また医療流体カセットの締め付け部材によって形成される陥凹部内に配設されるように構成されるピストン・ヘッドを備える。ピストン・ヘッドは、ピストン・ヘッドが陥凹部内に配設され、カセットの基部から直線的に離れるときに、ピストン・ヘッドの係合面が締め付け部材の係合面と係合し、締め付け部材および締め付け部材が取り付けられた可撓性膜を引っ張って基部から離し、可撓性膜と基部との間のカセット内に形成された流体ポンプ室の容積を増やすようにピストン・ヘッドが陥凹部内に配設されたときに医療流体カセットの係合面と係合するように構成された係合面を有する。
【0009】
本発明の追加の1態様において、医療流体ポンピング方法は、ピストン・ヘッドを医療流体カセットの締め付け部材の陥凹領域内に送り、ピストン・ヘッドを締め付け部材に機械的に連結する工程と、次いで、ピストン・ヘッドを往復運動させて、締め付け部材の後退と前進を交互に行わせ、これにより、流体をカセットの流体ポンプ室内に引き込む動作とカセットの流体ポンプ室から強制的に追い出す動作とを交互に行う工程とを含む。
【0010】
実装は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。
いくつかの実装では、医療流体カセットは、医療流体ポンピング装置によって形成されたカセット・コンパートメント内に医療流体カセットを配設することによって医療流体ポンピング装置に固定可能である。
【0011】
いくつかの実装では、カセット・コンパートメントは、ドアと医療流体ポンピング装置のカセット・インターフェースとの間に形成される。
いくつかの実装では、締め付け部材は、医療流体カセットの流体ポンプ室に関してほぼ中心に位置する。
【0012】
いくつかの実装では、締め付け部材は、ほぼドーム形の部材を備える。
いくつかの実装では、締め付け部材の係合面は、ほぼドーム形の部材の径方向内向きに延在する突出部の表面である。
【0013】
いくつかの実装では、突出部は、ほぼドーム形の部材の周縁領域の周りに連続的に延在する。
いくつかの実装では、締め付け部材は、ドーム形の部材の表面から延在するペグを備える。
【0014】
いくつかの実装では、締め付け部材の係合面は、ペグの拡大されたヘッドの表面である。
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドは、本体部、および本体部の周縁を越えて径方向に延在する接触面を備える。ピストン・ヘッドの接触面は、ピストン・ヘッドが締め付け部材の陥凹部内に挿入されるときに医療流体カセットの締め付け部材の接触面と接触するように構成される。
【0015】
いくつかの実装では、接触面は、ピストン・ヘッドの長手方向軸に関して約30度から約60度までの範囲の角度を付けられている。
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドの接触面は、ピストン・ヘッドが締め付け部材の陥凹部内に挿入されたときに径方向内向きに移動するように構成される。
【0016】
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドの接触面は、ピストン・ヘッドの本体部に関して径方向に移動可能であるラッチの表面である。
いくつかの実装では、締め付け部材の接触面は、ピストン・ヘッドが締め付け部材の陥凹部内に挿入されたときに径方向外向きに偏向するように構成される。
【0017】
いくつかの実装では、締め付け部材の接触面は、締め付け部材の径方向内向きに延在する突出部の表面である。
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドは、ピストン・ヘッドの本体部に固定されたラッチを備え、ピストン・ヘッドの係合面は、ラッチの表面であり、ラッチは、ラッチの表面が本体部の周縁から径方向外向きに位置決めされる伸長位置を有する。
【0018】
いくつかの実装では、ラッチは、ラッチの表面が本体部の周縁から径方向内向きに位置決めされる引き込み位置を有する。
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドは、ピストン・ヘッドの本体部に固定され、第2のラッチの係合面が本体部の周縁から径方向外向きに位置決めされた伸長位置とラッチの係合面が本体部の周縁から径方向内向きに位置決めされた引き込み位置を有する第2のラッチをさらに備える。
【0019】
いくつかの実装では、本体部は、前部部材と後部部材とを備え、ラッチは、前部部材と後部部材との間に形成された空間内に位置決めされる。
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドは、ラッチの径方向内向きの移動が第1の軸方向へのラッチ・ロックの軸方向移動を引き起こすようにラッチの関連する第1の角度を付けた表面に隣接して置かれる第1の角度を付けた表面を有するラッチ・ロックをさらに備
える。
【0020】
いくつかの実装では、第1の角度を付けた表面は、ピストン・ヘッドの長手方向軸に関して約30度から約60度までの範囲の角度をなす。
いくつかの実装では、ラッチの第1の角度を付けた表面およびラッチ・ロックの第1の角度を付けた表面は、ピストン・ヘッドの長手方向軸に関してほぼ同じ角度をなす。
【0021】
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドは、ラッチ・ロックと前部部材との間に配設されたバネをさらに備え、これにより、第1の軸方向へのラッチ・ロックの軸方向移動に抵抗する。
【0022】
いくつかの実装では、ラッチおよびラッチ・ロックは、ラッチを径方向内向きに移動し、ラッチ・ロックを軸方向に移動するためにラッチに印加される力が解放されたときに、バネが伸びてラッチ・ロックを第1の軸方向とは反対の第2の軸方向に移動し、ラッチの径方向外向きの移動を引き起こすように構成される。
【0023】
いくつかの実装では、ラッチ・ロックは、ラッチ・ロックの第2の軸方向への軸方向移動がラッチの径方向外向きの移動を引き起こすようにラッチの関連する第2の角度を付けた表面に隣接して置かれている第2の角度を付けた表面を有する。
【0024】
いくつかの実装では、ラッチは、ラッチ・ロックの脚部が配設されたスロットを形成し、ラッチ・ロックの第1の角度を付けた表面および第2の角度を付けた表面は、脚部の表面であり、ラッチの第1の角度を付けた表面および第2の角度を付けた表面は、スロットを形成する表面である。
【0025】
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドは、本体部と本体部の周縁の周りに少なくとも部分的に延在するフランジとを備え、ピストン・ヘッドの係合面は、ピストン・ヘッドのフランジの表面である。
【0026】
いくつかの実装では、締め付け部材は、陥凹部の周縁の周りに少なくとも部分的に延在する突出部を有し、締め付け部材の係合面は、締め付け部材の突出部の表面である。
いくつかの実装では、締め付け部材は、ほぼドーム形の部材である。
【0027】
いくつかの実装では、突出部は、陥凹部の周縁の周りに連続的に延在する。
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドのフランジの外径は、締め付け部材のフランジの内径より大きく、ピストン・ヘッドおよび締め付け部材は、ピストン・ヘッドが陥凹部内に配設されうるようにピストン・ヘッドが締め付け部材の陥凹部内に挿入されたときにフランジの少なくとも一方がフランジの他方に関して径方向に偏向するように製作される。
【0028】
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドは、クランプを備え、締め付け部材は、クランプによって解放可能に係合されるように構成されたペグを備え、ピストン・ヘッドおよび締め付け部材の係合面は、それぞれ、クランプおよびペグの表面である。
【0029】
いくつかの実装では、クランプは、ピストン・ヘッドの本体部によって形成されるボア内に位置決めされる。
いくつかの実装では、クランプは、ペグがクランプ内に受け入れられたときに互いから偏向して離れるように構成されている第1の弾性フィンガーおよび第2の弾性フィンガーを備える。
【0030】
いくつかの実装では、第1の弾性フィンガーおよび第2の弾性フィンガーのそれぞれが、各弾性フィンガーの基部部分から径方向内向きに延在する第1の突出部を備える。
いくつかの実装では、弾性フィンガーのそれぞれの第1の突出部の前面は、ピストン・ヘッドの長手方向軸に関して角度を付けられ、これにより、第1の弾性フィンガーおよび第2の弾性フィンガーは、ペグがクランプ内に受け入れられ、それぞれの第1の突出部の前面にそって摺動するときに偏向して互いから離れる。
【0031】
いくつかの実装では、弾性フィンガーのそれぞれの第1の突出部の前面は、ピストン・ヘッドの長手方向軸に関して約30度から約60度までの範囲の角度をなす。
いくつかの実装では、弾性フィンガーのそれぞれの第1の突出部の後面は、ピストン・ヘッドの長手方向軸に関して角度を付けられ、これにより、第1の弾性フィンガーおよび第2の弾性フィンガーは、ペグがクランプから取り外され、それぞれの第1の突出部の後面にそって摺動するときに偏向して互いから離れる。
【0032】
いくつかの実装では、弾性フィンガーのそれぞれの第1の突出部の後面は、ピストン・ヘッドの長手方向軸に関して約30度から約60度までの範囲の角度をなす。
いくつかの実装では、第1の弾性フィンガーおよび第2の弾性フィンガーのそれぞれは、各弾性フィンガーの基部から径方向内向きに延在し、各フィンガーの第1の突出部から軸方向にオフセットされる第2の突出部をさらに備え、これによりペグがクランプ内に配設されたときにペグが弾性フィンガーのそれぞれの第1の突出部と第2の突出部との間に静止する。
【0033】
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドは、シャフトをさらに備え、クランプおよび本体部は、シャフトに関して軸方向に移動可能であり、シャフトは、ピストン・ヘッドおよびクランプがシャフトに関してある距離だけ引き込められたときにクランプの弾性フィンガーを互いから離れる方向に偏向するように構成される。
【0034】
いくつかの実装では、弾性フィンガーのそれぞれの第2の突出部の後面は、ピストン・ヘッドの本体部とクランプとがシャフトに関してそのある距離だけ引き込められたときにシャフトに接触するように位置決めされ、弾性フィンガーのそれぞれの第2の突出部の後面は、ピストン・ヘッドの長手方向軸に関して角度を付けられ、これにより、第1の弾性フィンガーおよび第2の弾性フィンガーは、ピストン・ヘッドの本体部およびクランプがシャフトに関してそのある距離だけ引き込められたときに偏向して互いから離れる。
【0035】
いくつかの実装では、弾性フィンガーのそれぞれの第2の突出部の後面は、ピストン・ヘッドの長手方向軸に関して約30度から約60度までの範囲の角度をなす。
いくつかの実装では、弾性フィンガーのそれぞれの第2の突出部の前面は、ピストン・ヘッドの長手方向軸にほぼ垂直である。
【0036】
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドおよび締め付け部材は、ピストン・ヘッドがカセットの基部の方へ移動されるときに機械的に連結され、ピストン・ヘッドがカセットの基部から遠ざかるときに切り離されるように製作される。
【0037】
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドは、締め付け部材の陥凹部内に配設され、係合面は、ピストン・ヘッドおよび締め付け部材が機械的に連結されると互いに接触する。
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドおよび締め付け部材は、ピストン・ヘッドおよび締め付け部材が機械的に連結されるようにピストン・ヘッドを締め付け部材の陥凹部内に配設するために約22.24N(5.0lbf)から約222.4N(50lbf)の軸力を必要とするように製作される。
【0038】
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドおよび締め付け部材は、ピストン・ヘッドおよび締め付け部材が互いに切り離されるようにピストン・ヘッドを締め付け部材の陥凹部内から取り外すために少なくとも22.68kg(50ポンド)の軸力を必要とするように製作される。
【0039】
いくつかの実装では、医療流体ポンピング装置は、透析装置である。
いくつかの実装では、透析装置は、腹膜透析装置である。
いくつかの実装では、締め付け部材は、ピストン・ヘッドがカセットの基部の方へ移動されるときにピストン・ヘッドに機械的に連結され、ピストン・ヘッドがカセットの基部から遠ざかるときにピストン・ヘッドから切り離されるように製作される。
【0040】
いくつかの実装では、医療流体カセットは、透析流体カセットである。
いくつかの実装では、透析流体カセットは、腹膜透析流体カセットである。
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドは、約22.24N(5lbf)から約222.4N(50lbf)の軸力で締め付け部材の陥凹領域内に前進させられる。
【0041】
いくつかの実装では、医療流体ポンピング方法は、ピストン・ヘッドの往復運動の後、ピストン・ヘッドをある距離だけ引っ込めて、ピストン・ヘッドを医療流体カセットの締め付け部材から切り離す工程をさらに含む。
【0042】
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドは、少なくとも22.68kg(50ポンド)の軸力で締め付け部材の陥凹領域から引っ込められる。
いくつかの実装では、医療流体カセットは、基部、可撓性膜と基部とが連携して少なくとも部分的に流体ポンプ室を形成するように基部に取り付けられた可撓性膜、および可撓性膜に取り付けられた締め付け部材を備える。締め付け部材は、ピストン・ヘッドが陥凹部内に配設され、カセットの基部から直線的に離れるときに、ピストン・ヘッドの係合面が締め付け部材の係合面と係合し、締め付け部材および締め付け部材が取り付けられた可撓性膜を引っ張って基部から離し、流体ポンプ室の容積を増やし、流体ポンプ室内に流体を引き込むようにピストン・ヘッドが陥凹部内に配設されたときにピストン・ヘッドの係合面と係合する係合面を有する。
【0043】
実装は、以下の利点のうちの1つまたは複数を含むことができる。
いくつかの実装では、スナップ式嵌合連結などの相対的に単純な機械的連結を使用して、医療流体ポンピング装置のピストン・ヘッドを医療流体カセットの締め付け部材に連結することができる。その結果、システムは、医療流体ポンピング装置と医療流体カセットとの間の真空に基づく連結を利用するいくつかの医療流体ポンピング・システムに比べて使いやすく、安価であり、静粛であるものとすることができる。
【0044】
いくつかの実装では、医療流体ポンピング装置のピストン・ヘッドは、ピストン・ヘッドをカセットに関してある距離だけ単純に前進させることによって医療流体カセットの締め付け部材に自動的に機械的に連結され、医療流体ポンピング装置のピストン・ヘッドは、ピストン・ヘッドをカセットに関してある距離だけ単純に引っ込めることによって医療流体カセットの締め付け部材から自動的に機械的に切り離すことができる。自動的な連結および切り離し工程を実行した結果、装置の操作者は、ピストン・ヘッドと締め付け部材の連結および切り離しを行わせる手作業による工程を実行する必要がなく、したがってシステムが使いやすくなり、治療に悪影響を及ぼすおそれのある人為的ミスの発生リスクが低減される。
【0045】
いくつかの実装では、ピストン・ヘッドは、ピストン・ヘッドおよびカセット上のこれに付随する締め付け部材の機械的連結および切り離しを、ピストン・ヘッドによる締め付
け部材に加える必要のある力の量を低減(例えば、最小)にしながら行うことを可能にする引き込み可能ラッチ機構を備える。この配置構成は、連結および切り離しの工程の結果生じるピストン・ヘッドおよび締め付け部材の変形を低減(例えば、最小)にすることができ、したがって、システムのポンピング精度を高めることができる。特に、ピストン・ヘッドおよび締め付け部材の変形を小さくすることで、ピストン・ヘッドと締め付け部材との間のぴったり嵌った状態を確実に維持することがしやすくなり、したがって、ポンピングの工程においてピストン・ヘッドと締め付け部材との間に生じる、滑りなどの、移動を低減(例えば、最小)にすることができる。
【0046】
いくつかの実装では、ラッチの係合面は、ピストンの長手方向軸に関して角度を付けられる(例えば、ピストンの長手方向軸に関して約60から約70度の角度を付けられる)。この角度を付けた配置構成により、ピストン・ヘッドを(例えば、製造工程の許容誤差により)わずかに異なるサイズの締め付け部材に機械的に連結することができる。特に、角度を付けた係合面では、わずかに異なる距離だけ径方向外向きに伸長することによってラッチをわずかに異なるサイズの締め付け部材とぴったり係合させることができる。
【0047】
他の態様、特徴、および利点は、説明と図面、さらには請求項から明らかになるであろう。
弾性フィンガー弾性フィンガー 本開示は、一般的に、医療流体ポンピング・システムならびに関係するデバイスおよび方法に関するものである。いくつかの場合において、医療流体ポンピング・システム(例えば、腹膜透析(「PD」)システム)は、医療流体カセット(例えば、PD流体カセット)に機械的に連結されうるピストン・ヘッドを備えるピストンを有する医療流体ポンピング装置(例えば、PD循環装置)を具備する。典型的には、カセットは、可撓性膜およびこの膜に取り付けられた締め付け部材(例えば、ドーム形締め付け部材)を備える。膜および締め付け部材は、カセットの剛体基部の陥凹領域の上に載って、流体ポンプ室を形成し、医療流体ポンピング装置のピストンは、カセットの締め付け部材に機械的に連結されるように設計される。医療流体ポンピング装置のピストンがカセットの締め付け部材に機械的に連結された状態で、ピストンが往復運動すると、締め付け部材および膜を基部の陥凹領域から引き離し、次いで締め付け部材および膜を基部の陥凹領域の方へ前進させることによって、流体が流体ポンプ室内に引き込まれるのと流体が流体ポンプ室から強制的に出されるのとが交互になされる。以下で説明されているように、いくつかの場合において、ピストンは、治療(例えば、PD治療)の前にピストンを単純にカセットの基部の方へ移動して締め付け部材と係合させることによってカセットの締め付け部材に自動的に機械的に連結され、治療の完了後にピストンを単純にカセットの基部から離れる方向に移動して、締め付け部材と係脱させることによってカセットの締め付け部材から自動的に切り離されうる。
【0048】
図1を参照すると、PDシステム100は、カート104上に据え付けられたPD循環装置(PD装置とも称される)102を備えていることがわかる。また
図2を参照すると、PD循環装置102は、ハウジング106、ドア108、およびカセット112がカセット・インターフェース110と閉じられたドア108との間に形成されるカセット・コンパートメント114内に配設されたときに使い捨て型PDカセット112に当接するカセット・インターフェース110を備えることがわかる。加熱装置トレイ116が、ハウジング106の上に位置決めされる。加熱装置トレイ116は、透析溶液の袋(例えば、透析溶液の5リットルの袋)を収容するサイズおよび形状を有する。PD循環装置102は、タッチ・スクリーン118および例えばPD治療のセットアップ、開始、および/または終了を可能にする使用者(例えば、患者)側で操作することができる追加の制御ボタン120も備える。
【0049】
透析溶液袋122は、カート104の側部にあるフィンガーから吊り下げられ、加熱装
置袋124は、加熱装置トレイ116上に位置決めされる。透析溶液袋122および加熱装置袋124は、それぞれ透析溶液袋管路126および加熱装置袋管路128を介してカセット112に連結される。透析溶液袋管路126を使用して、使用中に透析溶液を透析溶液袋122からカセット112に渡すことができ、加熱装置袋管路128を使用して、使用中にカセット112と加熱装置袋124との間で透析溶液を行き来させることができる。それに加えて、患者管路130および排液管路132は、カセット112に連結される。患者管路130は、カテーテルを介して患者の腹部に連結され、使用中にカセット112と患者との間で透析溶液を行き来させるために使用することができる。排液管路132は、排液または排液受容器に連結され、使用中に透析溶液をカセット112から排液または排液受容器に渡すために使用することができる。
【0050】
図3は、カセット・インターフェース110およびPD循環装置102のドア108のより詳細な図を示している。図示されているように、PD循環装置102は、カセット・インターフェース110内に形成されたピストン・アクセス・ポート136A、136B内で軸方向に移動可能であるピストン・シャフト135A、135B(ピストン・シャフト135Aは
図4に示されている)にピストン・ヘッド134A、134Bが取り付けられているピストン133A、133Bを備える。ピストン・シャフト135A、135Bは、ピストン・ヘッド134A、134Bをピストン・アクセス・ポート136A、136B内で軸方向内向きに、および外向きに移動するように操作することができるモータに連結される。以下で説明されているように、カセット112(
図2および10〜13に示されている)がドア108が閉じられた状態でPD循環装置102のカセット・コンパートメント114内に位置決めされた場合、PD循環装置102のピストン・ヘッド134A、134Bは、ピストン・ヘッド134A、134Bがポンプ室138A、138Bの上に載るカセット112の締め付け部材に機械的に連結されうるようにカセット112のポンプ室138A、138Bと位置合わせされる。この配置構成の結果として、治療時にピストン・ヘッド134A、134Bがカセット112の方へ移動することで、ポンプ室138A、138Bの容積が減少し、ポンプ室138A、138Bから透析溶液が強制的に追い出されるが、ピストン・ヘッド134A、134Bがカセット112から引っ込められると、ポンプ室138A、138Bの容積が増大し、ポンプ室138A、138B内に透析溶液が引き入れられる。
【0051】
図4は、ピストン・アクセス・ポート136A内に配設されているピストン133Aを例示している、PD循環装置102の断面線図である。
図5は、ピストン133Aの分解斜視図である。ピストン133A、133Bは、構造的に、また機能的に同一であるため、ピストン133Bについては、別に詳しく説明することはしない。
図4および5に示されているように、ピストン133Aは、ピストン・ヘッド134Aが取り付けられているピストン・シャフト135Aを備える。ピストン・ヘッド134Aは後部部材137Aおよび前部部材139Aを備え、これらの間に、ラッチ・ロック141A、ラッチ・ロック・バネ143A、および2つのスライディング・ラッチ145A、147Aが位置決めされる。後部部材137Aおよび前部部材139Aは一緒に固定されて、ラッチ・ロック141A、ラッチ・ロック・バネ143A、およびそれらの間の収容位置にある2つのスライディング・ラッチ145A、147Aを保持する。典型的には、後部部材137Aおよび前部部材139Aは、ネジを使って一緒に固定される。しかし、これに代えて、または加えて、リベット締め、溶接、接着などの他のさまざまな締め付け技術のいずれかを使用することができる。
【0052】
ピストン・シャフト135Aは、ピストン・ヘッド134Aの後部部材137Aのステム151A内に形成されたボア内に嵌合するサイズおよび形状を有する直径を小さくした前部分149Aを有する。典型的には、ピストン・シャフト135Aの直径を小さくした前部分149Aおよびステム151Aの内面は、ピストン・ヘッド134Aがステム15
1Aをピストン・シャフト135Aの直径を小さくした前部分149A上にねじ込むことによってピストン・シャフト135Aに固定されるようにそれぞれ外面および内面上にネジ山を有する。この配置構成により、ピストン・ヘッド134Aは、洗浄、修理、または交換のためにピストン・シャフト135Aから容易に取り外せる。これに代えて、または加えて、クリップ留め、溶接、接着などの他のさまざまな固定技術のいずれかを、ピストン・ヘッド134Aをピストン・シャフト135Aに固定するために使用することができる。
【0053】
なおも
図4および5を参照すると、ラッチ・ロック・バネ143Aの前端部領域は、ピストン・ヘッド134Aの前部部材139A内に形成された陥凹部153A内に入り、バネ143Aの後端部は、ラッチ・ロック141Aの前に向いている表面と接触することがわかる。ラッチ・ロック141Aは、スライディング・ラッチ145A、147Aのスロット169A、171A内に嵌合する脚部155A、157Aを備える。スロット169A、171Aは、それぞれ脚部155A、157Aの内面および外面に隣接して配置され、それとほぼ同じ角度方向を有するスライディング・ラッチ145A、147Aの内面および外面によって形成される。
【0054】
スライディング・ラッチ145A、147Aは、後部部材137Aと前部部材139Aとの間に形成された空間173A、175A(
図4に示されている)内に摺動可能に位置決めされる。空間173A、175Aは、スライディング・ラッチ145A、147Aを径方向内向きおよび径方向外向きに摺動させることができるサイズおよび形状を有する。以下でさらに詳しく説明されるように、ラッチ・ロック141Aが前部部材139Aに相対的に前方に移動し、バネ143Aを圧縮すると、ラッチ・ロック141Aの脚部155A、157Aの内面は、スライド・ラッチ145A、147Aのそれに対応して角度を付けられた隣接する表面と接触する。これらの隣接する表面の角度のせいで、ラッチ・ロック141Aが前方に移動すると、スライディング・ラッチ145A、147Aは径方向内向きに移動する。同様に、スライディング・ラッチ145A、147Aに径方向内向きの力を印加すると、ラッチ・ロック141Aの脚部155A、157Aの外面に隣接して置かれているスライディング・ラッチ145A、147Aの表面は、ラッチ・ロック141Aと接触し、ラッチ・ロック141Aに径方向内向きの力を印加する。これらの合わせ面の幾何学的形状により、ラッチ・ロック141Aの脚部155A、157Aの外面に径方向内向きの力が印加されると、ラッチ・ロック141Aは前部部材139Aの方へ前進し、バネ143Aを圧縮する。ラッチ・ロック141Aにバネ143を圧縮させるスライディング・ラッチ145A、147Aに印加されている径方向内向きの力を緩めると、バネ143Aが伸長してラッチ・ロック141Aを後方に移動させ、スライディング・ラッチ145A、147Aを径方向外向きに移動させる。
【0055】
図5〜7を参照すると、ラッチ・ロック141Aは、後方に延在するつの170A、172Aを形成するU字形部材180Aを備えることがわかる。脚部155A、157Aは、ピストン133Aが完全に組み立てられたときにU字形部材180Aからピストン133Aの長手方向軸に関して鋭角をなして前方に延在する。足部182A、184Aは、それぞれ、脚部155A、157Aの前端部の近くに位置決めされる。足部182A、184Aは、ピストン133Aの長手方向軸にほぼ垂直である前面を有する。足部182A、184Aの前面は、ラッチ・ロック141Aが完全に前方の位置に移動し、バネ143Aが完全に圧縮されたときにピストン・ヘッド134Aの前部部材139Aの後ろを向いている表面と接触しうる。ラッチ・ロック141Aは、U字形部材180Aの中央領域から前方に延在し、脚部155A、157Aの内面に取り付けられるか、または一体形成された突出部186A(
図7に示されている)も備える。突出部186Aは、バネ143Aの後端部を支持する。
【0056】
ピストン・ヘッド134Aおよびそのさまざまなコンポーネントの寸法は、併用されることが意図されているカセットの種類を含む、多くの要因に依存する。
図6を参照すると、ラッチ・ロック141Aが全長L
1を有し、これはピストン133Aの長手方向軸にそって一番前の点から一番後の点までの間で測定されることがわかる。長さL
1は、約1.27センチメートル(0.5インチ)から約2.54センチメートル(1.0インチ)まで(例えば、1.905センチメートル(0.75インチ))とすることができる。U字形部材180Aの一番前の点から前方に延在するラッチ・ロック141Aの部分の軸方向長さL
2は、約0.762センチメートル(0.3インチ)から約1.016センチメートル(0.4インチ)まで(例えば、0.89662センチメートル(0.353インチ))とすることができる。それぞれのつの170A、172Aの直線セグメントの長さL
3は、約0.635センチメートル(0.25インチ)から約0.889センチメートル(0.35インチ)まで(例えば、0.73914センチメートル(0.291インチ))とすることができる。ピストン133Aの長手方向軸に対して垂直方向に測定された、脚部155A、157Aの高さH
1は、約1.27センチメートル(0.5インチ)から約2.54センチメートル(1.0インチ)まで(例えば、1.905センチメートル(0.75インチ))とすることができる。上部つの170Aの底面と底部つの172Aの上面との間の距離D
1は、約1.27センチメートル(0.5インチ)から約3.81センチメートル(1.5インチ)まで(例えば、2.413センチメートル(0.95インチ))とすることができる。上部つの170Aの上面と底部つの172Aの底面との間の距離D
2は、約1.905センチメートル(0.75インチ)から約3.175センチメートル(1.25インチ)まで(例えば、2.921センチメートル(1.15インチ))とすることができる。
【0057】
図7を参照すると、足部182A、184Aの前面と脚部157Aのそれぞれの外面および内面との間で測定された、角度α
1およびα
2は、約15から約75度までの範囲(例えば、約30から約60度までの範囲、約45度)であることがわかる。ラッチ・ロック141Aの他の脚部155Aは、脚部157Aの鏡像となっている。上で指摘されているように、足部182A、184Aの前面は、ピストン133Aの長手方向軸(つまり、
図4および7に示されているような水平軸)にほぼ垂直である。そこで、脚部155A、157Aのそれぞれの外面および内面は、ピストン133Aの長手方向軸に関して約15から約75度までの範囲(例えば、約30から約60度までの範囲、約45度)の角度をなす。脚部155Aの外面から脚部155A、157Aの前端部における脚部157Aの外面までの距離D
3は、約2.032センチメートル(0.8インチ)から約2.54センチメートル(1.0インチ)まで(例えば、2.29616センチメートル(0.904インチ))とすることができる。脚部157Aの厚さとほぼ同じである、脚部155Aの厚さT
1は、典型的には、スライディング・ラッチ145A、147Aのスロット169A、171Aよりわずかに小さい(例えば、約0.0254センチメートル(0.01インチ)から約0.0508センチメートル(0,02インチ)ほど小さい)。脚部155Aの厚さT
1は、例えば、約0.1778センチメートル(0.07インチ)から約0.3556センチメートル(0.14インチ)まで(例えば、0.28702センチメートル(0.113インチ))とすることができる。
【0058】
次に
図5、8、および9を参照すると、スライディング・ラッチ145Aは、以下で説明されているように、ピストン・ヘッド134Aがドーム形の部材161Aに機械的に連結されているときに最初にドーム形の部材161Aと接触する引込表面または前部角度付き表面188Aを備えることがわかる。スライディング・ラッチ145Aは、ピストン・ヘッド134Aがドーム形の部材161Aから切り離されるときにドーム形の部材161Aと接触する導出表面または後部角度付き表面190Aも備える。後部角度付き表面190Aの外縁および後部角度付き表面190Aがそこから延在するスライディング・ラッチ145Aの中央部分の外縁はアーチ形である。これらの外縁は、ドーム形の部材161A
の内面の曲率半径に近い曲率半径を有するものとしてよい。スライディング・ラッチ145Aは、スロット169Aに隣接して配置され、ピストン・ヘッド13Aが完全に組み立てられたときにラッチ・ロック141Aから延在する突出部186Aの一部を受け入れるサイズおよび形状を有する切り欠き部分192Aをさらに備える。
【0059】
図8を参照すると、いくつかの実装では、スライディング・ラッチ145Aは、約2.286センチメートル(0.9インチ)から約2.794(1.1インチ)までの範囲(例えば、2.4765センチメートル(0.975インチ)または2.5019センチメートル(0.985インチ))の全長L
3、および/または約1.651センチメートル(0.65インチ)から約1.778(0.7インチ)までの範囲(例えば、1.7018センチメートル(0.67インチ))の全幅W
1を有することがわかる。スライディング・ラッチ145Aのスロット169Aは、典型的には、ピストン・ヘッド134Aが完全に組み立てられたときにスロット169A内に配設されている、ラッチ・ロック141Aの脚部155Aよりわずかに大きい。スロット169Aは、例えば、約1.778センチメートル(0.7インチ)から約2.286センチメートル(0.9インチ)までの範囲(例えば、2.032センチメートル(0.8インチ))の長さL
4を有することができる。
図9に示されているように、スロット169Aは、約0.254センチメートル(0.1インチ)から約0.381センチメートル(0.15インチ)までの範囲(例えば、0.3175センチメートル(0.125インチ)または0.3429センチメートル(0.135インチ))の幅W
2を有することができる。
【0060】
なおも
図9を参照すると、後部角度付き表面190Aは、約0.381センチメートル(0.15インチ)から約0.508センチメートル(0.2インチ)までの範囲(例えば、0.43434センチメートル(0.171インチ))の幅W
3を有することができることがわかる。前部角度付き表面188Aは、ピストン133Aの長手方向軸に垂直である平面に関して約15度から約75度までの範囲(例えば、約30度から約60度までの範囲、45度)の角度α
3で配置構成される。したがって、前部角度付き表面188Aは、ピストン133Aの長手方向軸に関して約15度から約75度までの範囲(例えば、約30度から約60度までの範囲、45度)の角度をなす。後部角度付き表面190Aは、ピストン133Aの長手方向軸に垂直である平面に関して約15度から約45度までの範囲(例えば、20度、25度、または30度)の角度α
4で配置構成される。したがって、後部角度付き表面190Aは、ピストン133Aの長手方向軸に関して約45度から約75度までの範囲(例えば、60度、65度、または70度)の角度をなす。スロット169Aを形成するスライディング・ラッチ145Aの内面および外面は、ラッチ・ロック141Aの脚部155Aの内面および外面が配置構成される角度と典型的にほぼ同じ角度である、ピストン133Aの長手方向軸に関して測定された角度α
5、α
6で配置構成される。角度α
5、α
6は、例えば、約15度から約75度までの範囲(例えば、約30度から約60度までの範囲、45度)の角度とすることができる。
【0061】
ラッチ・ロック・バネ143Aは、典型的には、約6.7868kg/cm(38ポンド/インチ)から約11.9662kg/cm(67ポンド/インチ)までの範囲のバネ定数を有し、典型的には、スライディング・ラッチ145A、147Aに印加される約6.67N(1.5lbf)から約42.26N(9.5lbf)の径方向内向きの力が、バネを圧縮し、スライディング・ラッチ145A、147Aを径方向内向きに移動させるのを妨げるのに十分な抵抗をもたらす。
【0062】
ピストン・ヘッド134Aおよびピストン・シャフト135Aは、さまざまな異なるポリマー、金属、および/または合金から形成されうる。後部部材137A、前部部材139A、およびラッチ・ロック141Aは、典型的には、比較剛性があり、耐摩耗性を有し、比較的低い摩擦係数を有する材料から形成される。これらのコンポーネントに適した材
料の例として、ポリオキシメチレン(例えば、Delrin)、アルミニウム、鋼鉄、青銅、真鍮、およびPTFEが挙げられる。しかし、比較的低い摩擦係数を有する他の金属およびプラスチックを、これに代えて、または加えて、使用することができる。スライディング・ラッチ145A、147Aは、比較剛性があり、耐摩耗性を有し、比較的低い摩擦係数を有する材料から同様に典型的に形成される。いくつかの実装では、スライディング・ラッチ145A、147Aは、ポリテトラフルオロエチレンをコーティングされた6061アルミニウム合金から形成される。スライディング・ラッチ145A、147Aを形成できる材料の他の例として、鋼鉄、青銅、真鍮、POM、およびPTFEが挙げられる。しかし、他のいくつかの材料およびプラスチックを、これに代えて、または加えて、使用できることは理解されるであろう。
【0063】
ピストン・ヘッド134Aおよびピストン・シャフト135Aのさまざまなコンポーネントは、機械加工技術、成形技術、および/または鋳造技術を含む、さまざまな異なる技術のいずれかを使用して形成されうる。
【0064】
図3を再び参照すると、PD循環装置102は、カセット・インターフェース110内の膨張性部材ポート144内に位置決めされた複数の膨張性部材142も備えることがわかる。膨張性部材142は、カセット112がPD循環装置102のカセット・コンパートメント114内に位置決めされるときにカセット112(
図10〜13に示されている)の押圧可能なドーム領域146と位置を合わせる。膨張性部材142のうちの1つのみが、
図3にラベル付けされているが、PD循環装置102は、カセット112の押圧可能なドーム領域146のそれぞれに関連する膨張性部材を備えることは理解されるであろう。膨張性部材142は、使用時に所望の方法で透析溶液をカセット112に導き通すための弁として働く。特に、膨張性部材142は、膨張するとカセット・インターフェース110の表面を越えて外向きに膨らんで、カセット112の押圧可能なドーム領域146と接触し、萎むと膨張性部材ポート144内に引っ込んでカセット112との接触がなくなる。いくつかの膨張性部材142を膨張させて関連するドーム領域146をカセット112上に押圧することによって、カセット112内のいくつかの流体流路を閉塞させることができる。こうして、PD溶液は、ピストン・ヘッド134A、134Bを作動させることによってポンプ動作でカセット112に送り込まれ、膨張性部材142を選択的に膨張させ、萎ませることによってカセット112内の所望の流れ経路にそって誘導されうる。
【0065】
なおも
図3を参照すると、位置決めピン148が、PD循環装置102のカセット・インターフェース110から伸長することがわかる。ドア108が、開放位置にあるときに、カセット112は、カセット112の上部を位置決めピン148の下に位置させ、カセット112の底部をカセット・インターフェース110の方に押すことによってカセット・インターフェース110上に装填されうる。カセット112は、ドア108をカセット112の上で閉じることができるように位置決めピン148とカセット・インターフェース110から延在するバネ仕掛けのラッチ150との間に固定された位置を保つ寸法のものである。位置決めピン148は、カセット・コンパートメント114内のカセット112の適切な位置合わせが使用中も維持されることを確実にするのに役立つ。
【0066】
図3に示されているような、PD循環装置102のドア108は、ドア108が閉鎖位置にあるときにピストン133A、133Bとほぼ位置を合わせる円筒形陥凹部152A、152Bを形成する。カセット112(
図10〜13に示されている)がカセット・コンパートメント114内に位置決めされたときに、内面がポンプ室138A、138Bを部分的に形成する、カセット112の中空突出部154A、154Bが、陥凹部152A、152B内に嵌る。ドア108は、ドア108とカセット・インターフェース110との間でカセット112を圧縮するために使用時に膨張するパッドをさらに備える。パッドが膨張すると、陥凹部152A、152Bを形成するドア108の部分は、カセット11
2の突出部154A、154Bを支持し、ドア108の平面は、カセット112の他の領域を支持する。ドア108は、膨張性部材142によって印加される力に対抗することができ、これにより、膨張性部材142は、カセット112上の押圧可能なドーム領域146を作動させることができる。ドア108とカセット112の中空突出部154A、154Bとの間の係合は、カセット112をカセット・コンパートメント114内の所望の固定位置に保持し、ピストン133A、133Bとカセット112の流体ポンプ室138A、138Bとの位置合わせをさらに確実にするのにも役立ちうる。
【0067】
図10は、カセット112の分解斜視図であり、
図11は、完全に組み立てられたカセット112の断面斜視図であり、
図12および13は、それぞれ、膜側から、および剛体基部側からの、組み立てられたカセット112の斜視図である。
図10〜12を参照すると、カセット112は、トレイに似た剛体基部156の周縁に取り付けられた可撓性膜140を備えることがわかる。剛体ドーム形締め付け部材161A、161Bは、基部156の陥凹領域162A、162B内に位置決めされる。ドーム形の部材161A、161Bは、PD循環装置102のピストン・ヘッド134A、134Bを受け入れるサイズおよび形状を有する。いくつかの実装では、ドーム形の部材161A、161Bは、約3.81 センチメートル(1.5インチ)から約6.35センチメートル(2.5インチ)までの範囲(例えば、約5.08センチメートル(2.0インチ))の、フランジ164A、164Bの外縁から測定した直径を有し、陥凹領域162A、162Bの面積の約2/3から約3/4までの範囲の面積を専有する。剛体ドーム形の部材161A、161Bの環状フランジ164A、164Bは、膜140内に形成されたほぼ円形の開口166A、166Bを囲む膜140の内面の部分に液密となるように取り付けられる。開口166A、166Bは、使用中にピストン・ヘッド134A、134Bがドーム形の部材161A、161Bに直接的に接触し、機械的に連結することができるように剛体ドーム形の部材161A、161Bを露出する。
【0068】
図11に示されているような、ドーム形の部材161A、161Bの環状フランジ164A、164Bは、径方向内向きに延在する環状突出部168A、168Bおよびドーム形の部材161A、161Bの側壁から径方向外向きに延在する環状突出部176A、176Bを形成する。ピストン・ヘッド134A、134Bが、ドーム形の部材161A、161Bに機械的に連結されると、径方向内向きの突出部168A、168Bは、ピストン・ヘッド134A、134Bのスライディング・ラッチ145A、147Aの後部角度付き表面と係合して、ドーム形の部材161A、161Bをピストン・ヘッド134A、134Bに確実に固定する。膜140は、ドーム形の部材161A、161Bに取り付けられるので、ドーム形の部材161A、161Bが(例えば、ピストン133A、133Bの往復運動により)基部156の陥凹領域162A、162Bを出入りすると、可撓性膜140も同様に基部156の陥凹領域162A、162Bを出入りする。この移動により、流体が、基部156の陥凹領域162A、162Bとその陥凹領域162A、162Bの上に載るドーム形の部材161A、161Bおよび膜140の部分との間に形成される、流体ポンプ室138A、138Bから強制的に出され、またその中に引き込まれる。
【0069】
図10および12を参照すると、隆起部167は、カセット112がドア108とPD循環装置102のカセット・インターフェース110との間に圧縮されたときに基部156のほぼ平面状の表面から可撓性膜140の内面の方へ延在して接触し、一連の流体通路158を形成し、また
図12に示されているような、流体経路158の広げられた部分(例えば、ほぼ円形の広げられた部分)である、複数の押圧可能なドーム領域146を形成することがわかる。流体通路158は、カセット112の入口/出口ポートとして働くカセット112の流体管路コネクタ160を流体ポンプ室138A、138Bに流体的に連結する。上で指摘されているように、PD循環装置102のさまざまな膨張性弁部材142は、使用中にカセット112に作用する。使用中に、透析溶液は、流体経路158およ
びドーム領域146を通ってポンプ室138A、138Bに、またポンプ室138A、138Bから流れる。それぞれの押圧可能なドーム領域146で、膜140は、隆起部167がそこから延在する基部156の平面状表面と接触するように偏向されうる。このような接触は、そのドーム領域146と関連する経路158の領域にそって透析溶液の流れをほぼ阻害しうる(例えば、妨げうる)。そこで、カセット112を通る透析溶液の流れを、PD循環装置102の膨張性部材142を選択的に膨張することによって、押圧可能なドーム領域146の選択的押圧を利用して制御することができる。
【0070】
なおも
図10および12を参照すると、流体管路コネクタ160が、カセット112の底縁にそって位置していることがわかる。上で指摘されているように、カセット112内の流体経路158は、ポンピング室138A、138Bから各種のコネクタ160に通じている。コネクタ160は、カセット112の幅部分にそって非対称的に位置する。コネクタ160が非対称に位置することで、カセット112の膜140がカセット・インターフェース110に面している状態でカセット112をカセット・コンパートメント114内に適切に位置決めすることが確実に行える。コネクタ160は、透析溶液袋管路126、加熱装置袋管路128、患者管路130、および排液管路132の端部にフィッティングを受け入れるように構成される。フィッティングの一端は、各管路内に挿入されて接合され、他端は、関連するコネクタ160内に挿入されて接合されうる。
図1および2に示されているように、透析溶液袋管路126、加熱装置袋管路128、患者管路130、および排液管路132をカセットに連結できるようにすることによって、使用中に、コネクタ160により透析溶液のカセット112への流入および流出を行わせることができる。
【0071】
基部156が剛性を有していることで、カセット112をPD循環装置102のカセット・コンパートメント114内の適所に保持すること、および基部156がドーム形の部材161A、161Bによって突出部154A、154Bに印加される力に応答して、また膨張性部材142によって基部156の平面状表面に印加される力に応答して屈曲および変形するのを防ぐことに役立つ。
【0072】
基部156およびカセット112のドーム形の部材161A、161Bは、さまざまな比較的剛性の高い材料から形成されうる。いくつかの実装では、カセット112のコンポーネントは、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリサルフォン、および他の医療グレードのプラスチック材料などの1つまたは複数のポリマーから形成される。いくつかの実装では、これらのコンポーネントは、ステンレスなどの1つまたは複数の金属もしくは合金から形成されうる。これらのコンポーネントは、これに代えて、上記のポリマーおよび金属のさまざまな異なる組み合わせの材料から形成されうる。カセット112のこれらのコンポーネントは、機械加工、成形、および鋳造技術を含む、さまざまな異なる技術を使用して形成されうる。
【0073】
上で指摘されているように、膜140は、基部156の周縁に、またドーム形の部材161A、161Bの環状フランジ164A、164Bに取り付けられる。基部156の残りの部分の上に載る膜140の部分は、典型的には、基部156に取り付けられない。むしろ、膜140のこれらの部分は、基部156の平面状表面から延在する隆起部165A、165B、167の上に緩く置かれる。接着剤による接着および熱接着などのさまざまな取付技術を使用して、膜140を基部156の周縁に、またドーム形の部材に取り付けるために使用することができる。膜140の厚さおよび材料(複数可)は、膜140が膨張性部材142によって膜140に印加される力に応答して基部156へ屈曲する十分な可撓性を有するように選択される。いくつかの実装では、膜140は、約0.100ミクロンから0.150ミクロンまでの厚さを有する。しかし、膜140を形成するために使用される材料の種類によっては、他のさまざまな厚さで十分な場合がある。
【0074】
破ることなく膨張性部材142の移動に応答して膜140を偏向させることができるさまざまな異なる材料を使用して、膜140を形成することができる。いくつかの実装では、膜140は、3層ラミネートを含む。いくつかの実装では、例えば、ラミネートの内層および外層は、60パーセントSepton(登録商標)8004熱可塑性ゴム(つまり、水素化スチレン・ブロック共重合体)、および40パーセント・エチレンで構成される化合物から形成され、中間層は、25パーセントTuftec(登録商標)H1062(SEBS:水素化スチレン熱可塑性エラストマー)、40パーセントEngage(登録商標)8003ポリオレフィン・エラストマー(エチレン・オクテン共重合体)、および35パーセントSepton(登録商標)8004熱可塑性ゴム(つまり、水素化スチレン・ブロック共重合体)で構成される化合物から形成される。膜は、これに代えて、より多くの、またはより少ない層を含むことができ、および/または異なる材料から形成されうる。
【0075】
図14に示されているように、治療前に、PD循環装置102のドア108を開いてカセット・インターフェース110を露出させ、カセット112は、ドーム形の部材161A、161BがPD循環装置102のピストン133A、133Bと位置合わせされた状態で、また膜140がカセット・インターフェース110に隣接する状態で位置決めされる。ドーム形の部材161A、161Bとピストン133A、133Bとの位置合わせが確実に行わせるようにするため、カセット112は、位置決めピン148とカセット・インターフェース110から延在するバネ仕掛けのラッチ150との間に位置決めされる。カセットの非対称的に位置決めされたコネクタ160は、膜140およびドーム形の部材161A、161Bが間違った方向に面した(例えば、ドア108の方へ外に面した)状態でカセット112が取り付けられる確率を低減する鍵機能として働く。これに代えて、または加えて、位置決めピン148は、膜140がドア108の方へ外向きに面している場合にカセット112が位置決めピン148と接触できないように突出部154A、154Bの最大の突出より小さい寸法を有するものとすることができる。ピストン133A、133Bは、典型的には、ピストン133A、133Bとドーム形の部材161A、161Bとの間に干渉が生じないようにカセット112を取り付ける際にピストン・アクセス・ポート136A、136B内に引っ込められ、これにより、カセット112をカセット・コンパートメント114内に位置決めする作業が簡単になる。
【0076】
図15A〜15Fは、透析溶液をポンプ室138A内に引き込み、また透析溶液をポンプ室138Aから強制的に追い出すために使用されるポンピング動作の異なるフェーズにおける、PDカセット112がPD循環装置102のカセット・コンパートメント114内に配設されている、PDシステム100の断面線図である。ポンプで溶液を他のポンプ室138Bに送り、他のポンプ室138Bから出す技術は、同一であり、したがって、別に詳しく説明することはしない。
【0077】
図15Aは、取り付けた直後のカセット・コンパートメント114内に位置決めされたカセット112を示している。図示されているように、カセット112は、カセット・インターフェース110に隣接して位置決めされ、ドア108は、カセット112がドア108とカセット・インターフェース110との間のカセット・コンパートメント114内に収容されるようにカセット112の上で閉じられる。ピストン・ヘッド134Aは、取付時にピストン・ヘッド134Aがカセット112に干渉しないようにピストン・アクセス・ポート136A内に引っ込められる。カセット112がカセット・コンパートメント114内に位置決めされた状態で、ドア108内の膨張性パッドが膨張して、ドア108とカセット・インターフェース110との間でカセット112を圧縮する。カセット112のこの圧縮は、ドア108の陥凹部152A内にカセット112の突出部154Aを保持し、膜140を剛体基部156の平面状表面から延在する隆起部167に押し当てて、封じ込められた流体経路158およびドーム領域146(
図12に示されている)を形成
する。
【0078】
図15Bに示されているように、カセット112がPD循環装置102のカセット・コンパートメント114内に取り付けられた後、ピストン133Aは前進して、PD循環装置102のピストン・ヘッド134Aをカセット112のドーム形の部材161Aに機械的に連結する工程を開始する。ピストン133Aは、約2.032センチメートル(0.8インチ)/分から約27.94センチメートル(11インチ)/分までの範囲の速度、および約22.24N(5.0lbf)から約222.4N(50lbf)までの範囲の軸力で前進させることができる。ピストン133Aが前進すると、スライディング・ラッチ145Aの前部角度付き表面188Aおよびスライディング・ラッチ147Aの前部角度付き表面191Aは、ドーム形の部材161Aから径方向内向きに延在する、環状突出部168Aの後部表面と接触する。環状突出部168Aの後部表面は、ピストン133Aの長手方向軸にほぼ垂直である。
【0079】
ピストン133Aが前進し続けると、ドーム形の部材161Aは、
図15Bに示されているように、陥凹領域162Aを形成する剛体基部156の部分の内面と接触する。剛体基部156は、ドーム形の部材161Aがさらに前進運動するのを防ぐ。ドーム形の部材161Aの周囲フランジ164Aに取り付けられている膜140も、ピストン133Aが前進するので、引き伸ばされ、陥凹領域162A内に移動する。スライディング・ラッチ145A、147Aの前部角度付き表面188A、191Aの角度付き幾何学的形状と、剛体基部156がドーム形の部材161Aの前進運動に付与する抵抗のせいで、スライディング・ラッチ145A、147Aは、ピストン・ヘッド134Aがドーム形の部材161Aに相対的に移動し続けると径方向内向きに(つまり、ピストン133Aの長手方向軸の方に)移動させられる。より具体的には、スライディング・ラッチ145A、147Aの前進運動は、ドーム形の部材161Aの環状突出部168Aの後面に当たるスライディング・ラッチ145A、147Aの前部角度付き表面188A、191Aの摺動により前進運動と径方向内向きの運動との組み合わせた運動に変換される。次いで、スライディング・ラッチ145A、147Aのそれぞれの径方向内向きの移動により、ラッチ・ロック141Aの脚部155A、157Aの外面および脚部155A、157Aの外面に隣接するように位置決めされ、その外面と接触するスライディング・ラッチ145A、147Aの表面の合わさる幾何学的形状のせいでラッチ・ロック141Aの前進移動が生じる。ラッチ・ロック141Aの前進移動は、バネ143Aの抵抗を受ける。
【0080】
図15Cは、スライディング・ラッチ145A、147Aがドーム形の部材161Aから径方向内向きに延在する環状突出部168Aを越えることを可能にする十分な距離だけスライディング・ラッチ145A、147Aが径方向内向きに偏向されている連結工程時のある地点のピストン・ヘッド134Aを示している。この位置において、ピストン133Aの長手方向軸にほぼ平行である、スライディング・ラッチ145A、147Aの外周表面は、これもピストン133Aの長手方向軸にほぼ平行である、ドーム形の部材161Aの突出部168Aの内面に接触し、その内面にそって摺動する。バネ143Aは、スライディング・ラッチ145A、147Aの径方向内向きに偏向した位置のせいでさらに圧縮される。
【0081】
図15Dを参照すると、スライディング・ラッチ145A、147Aが突出部168Aを越えると、バネ143Aの伸長が許されることがわかる。バネ143Aの伸長は、ラッチ・ロック141Aの後方移動を引き起こす。その結果、ラッチ・ロック141Aの脚部155A、157Aの外面は、スライディング・ラッチ145A、147Aの対応する角度付きの隣接する表面と接触し、それにより、スライディング・ラッチ145A、147Aは径方向外向きに移動してドーム形の部材161Aの突出部168Aの下に入る。スライディング・ラッチ145A、147Aの後部角度付き表面190A、193Aは、スラ
イディング・ラッチ145A、147Aが径方向外向きに移動するときに、ドーム形の部材161Aの後部に向けてわずかに角度が付いている(例えば、ピストン・ヘッド133Aの長手方向軸に関して約88度の角度をなす)、ドーム形の部材161Aの突出部168Aの前面にそって載る。スライディング・ラッチ145A、147Aは、スライディング・ラッチ145A、147Aが径方向外向きに移動するときに突出部168Aの下にくさびとして入る。
【0082】
スライディング・ラッチ145A、147Aの後部角度付き表面190A、193Aは、ピストン・ヘッド134Aをわずかに異なるサイズのドーム形の部材内にしっかり係止することができる。例えば、製造技術の不完全さにより、ピストン133Aの長手方向軸にそった環状突出部168Aの太さは、異なる成形ドーム形の部材のうちでわずかに(例えば、約0.076mm(0.003インチ)から約0.127mm(0.005インチだけ))異なっていてもよい。スライディング・ラッチ145A、147Aの後部角度付き表面は、これらのドーム形の部材とぴったり合うようにすることを確実にするのに役立ちうる。
【0083】
図15Eは、ピストン・ヘッド134Aとスライディング・ラッチ145Aがドーム形の部材161A内の最大の外向きに変位した位置に移動したドーム形の部材161Aとの間の完全な機械的連結を例示している。この構成では、ドーム形の部材161Aの突出部168Aは、ピストン・ヘッド134Aの後部部材137Aとスライディング・ラッチ145A、147Aとの間で効果的につままれ、その結果、ピストン・ヘッド134Aとドーム形の部材161Aとの間の確実な係合がなされる。ピストン・ヘッド134Aがドーム形の部材161Aに確実に係合した結果、ドーム形の部材161Aに関するピストン・ヘッド134Aの滑りの量は、低減され(例えば、最小にされ)、したがって、正確なポンピングを実行できる。
【0084】
上で説明されているように、ピストン133Aがドーム形の部材161Aに機械的に連結されると、ドーム形の部材161Aは、ドーム形の部材161Aがカセット112の基部156の陥凹領域162Aの内面と接触するまで剛体基部156の陥凹領域162A内に前進して入る。この移動により、ドーム形の部材161A、膜140、および基部156の陥凹領域の間に形成されるポンプ室138Aの容積が減少し、したがって、これにより、ポンプ室138A内の流体(例えば、呼び流体)は、入口ポート185A(
図10に示されている)を介してカセットの流体経路158からポンプ室138Aの外へ強制的に追い出される。
【0085】
図15Fを参照すると、ピストン133Aがドーム形の部材161Aに機械的に連結された後、ピストン133Aは引っ込められて、透析溶液をポンプ室138Aに引き込むことがわかる。ピストン・ヘッド134Aは、ドーム形の部材161Aに機械的に連結され、またドーム形の部材161Aは、カセット112の膜140に取り付けられるので、ピストン133Aが引っ込められると、ドーム形の部材161Aおよびドーム形の部材161Aに取り付けられている膜140の部分は後方に移動する。その結果、ポンプ室138Aの容積は増大し、流体が、ポンプ室138A内に引き込まれる。
【0086】
流体ポンプ室138Aおよびピストン・ヘッド134Aの容積は、知られているので、ピストン133Aが移動する直線距離を使用して、流体ポンプ室138A内に引き込まれる透析溶液の体積を決定することができる。ピストン133Aが移動する直線距離は、ピストン133Aを駆動するために使用されるモータ(例えば、ステッピング・モータ)の回転もしくはステップの数に基づいて決定されうる。したがって、流体ポンプ室138Aに引き込まれる溶液の体積は、モータの回転またはステップの数に基づき決定されうる。ピストン・ヘッド134Aとドーム形の部材161Aとがぴったり合わさることで、この
方法によって決定される溶液の体積の精度が保証される。
【0087】
透析溶液をポンプ室138A内に引き込んだ後、透析溶液は、再びピストン133Aを前進させ、ポンプ室138Aの容積を減らすことによって、ポンプ室138Aから強制的に追い出される。ピストン133Aは、典型的には、ドーム形の部材161Aが基部156の陥凹領域の内面と接触するか、ほぼ接触して、透析溶液のほぼすべてが出口ポート187A(
図10に示されている)を介して流体ポンプ室138Aから強制的に追い出されるまで、前進する。
【0088】
透析溶液を流体ポンプ室138A内に引き込み、次いで、透析溶液を流体ポンプ室138Aから強制的に追い出すこの工程は、所望の量の透析溶液がある位置へ、またはある位置から(例えば、患者へ、または患者から)ポンプで送られるまで繰り返される。
【0089】
上で指摘されているように、強制的に透析容積をポンプ室138A、138B内に送り込み、ポンプ室138A、138Bから追い出す間、PD循環装置102のいくつかの膨張性部材142を選択的に膨張させて、ポンプで送られる透析溶液をカセット112内の所望の経路にそって導くことができる。
【0090】
再び
図1および2を参照すると、PD治療時に、患者管路130は、カテーテルを介して患者の腹部に連結され、排液管路132は、排液または排液受容器に連結されることがわかる。PD治療は、典型的には、前の治療からの患者の腹部に残っている使用済み透析溶液を患者から排出することから始まる。このために、PD循環装置102のポンプを作動させて、ピストン133A、133Bを往復運動させ、選択された膨張性部材142を膨張させて、使用済み透析溶液を患者からカセット112の流体ポンプ室138A、138B内に引き込む。次いで、使用済み透析溶液をポンプで、排液管路132を介して流体ポンプ室138A、138Bから排出部に送る。
【0091】
使用済み透析溶液を患者から排出した後、加熱した透析溶液を加熱装置袋124から患者に移送する。そうするために、PD循環装置102の1つまたは複数のモータを作動させて、ピストン133A、133Bを往復運動させ、PD循環装置102のいくつかの膨張性部材142を膨張させて、加熱装置袋管路128を介して、暖めた透析溶液を加熱装置袋124からカセット112の流体ポンプ室138A、138B内に引き込む。次いで、暖めた透析溶液をポンプで、患者管路130を介して流体ポンプ室138A、138Bから患者に送る。
【0092】
透析溶液がポンプで加熱装置袋124から患者に送られた後、透析溶液を一定期間の間患者体内に留まらせる。この滞留期間中に、患者の腹膜を横切る毒素が患者の血液から透析溶液中に入る。透析溶液が患者体内に滞留するときに、PD循環装置102は、後続のサイクルで患者に投与する新しい透析液の準備をする。特に、PD装置102は、4つの満杯の透析溶液袋122から新しい透析溶液を加熱装置袋124にポンプで送り込んで、加熱する。このために、PD循環装置102のポンプを作動させて、ピストン133A、133Bを往復運動させ、PD循環装置102のいくつかの膨張性部材142を膨張させて、関連する管路126を介して、透析溶液を選択された透析溶液袋122からカセット112の流体ポンプ室138A、138B内に引き込む。次いで、透析溶液をポンプで、加熱装置袋管路128を介して流体ポンプ室138A、138Bから加熱装置袋124に送る。
【0093】
透析溶液が所望の期間の間患者体内に滞留した後、使用済み透析溶液をポンプで患者から排液部に送る。次いで、加熱された透析溶液は、ポンプで加熱装置袋124から患者に送られ、そこで透析溶液は所望の期間の間滞留する。これらの工程は、3つの残りの透析
溶液袋122のうちの2つからの透析溶液で繰り返される。最後の透析溶液袋122からの透析溶液は、典型的には、患者に送達され、その後のPD治療がなされるまで患者体内に残される。
【0094】
透析溶液は、単一の透析溶液袋122から加熱装置袋124内にポンプで送られるものとして説明されているが、透析溶液は、これに代えて、複数の透析溶液袋122から加熱装置袋124内にポンプで送り込むことができる。このような技術は、例えば、袋122内の透析溶液が異なる濃度(例えば、異なるブドウ糖濃度)を有し、また治療に望ましい濃度が袋122の2つまたはそれ以上に入っている透析溶液の濃度の中間である場合に、有利であると考えられる。
【0095】
PD治療が完了した後、ピストン133A、133Bは、ピストン・ヘッド134A、134Bをカセットのドーム形の部材161A、161Bから切り離す形で引っ込められる。この方法は、
図16〜19を参照しつつ説明される。ピストン・ヘッド134A、134Bは、ほぼ同一であるため、切り離し工程は、ピストン・ヘッド134Aについてのみ詳細に説明することにする。ドーム形の部材161Aに連結されたピストン・ヘッド134Aの異なる断面図である
図16および17に示されているように、ラッチ・ロック141Aのつの(ホーン)または突出部170A、172Aは、ピストン・ヘッド134Aの後部部材137A内に形成された開口を通じて後方に延在する。つの170A、172Aは、ラッチ・ロック141Aが完全な前方位置まで前進し、バネ143Aが圧縮されたときに、つの170A、172Aが後部部材137Aの後面からわずかに伸びるか、または後部部材137Aの後面と同一平面にあるような長さを有する。
【0096】
つの170A、172Aを使用して、スライディング・ラッチ145A、147Aを径方向内向きに引き込み、ピストン・ヘッド134Aをカセット112のドーム形の部材161Aから切り離させることができる。
図18は、ドーム形の部材161Aに機械的に連結されたピストン・ヘッド134Aの二重断面図である。
図18に示されているように、ピストン・ヘッド134Aおよびドーム形の部材161Aが機械的に連結された場合、つの170A、172Aは、後部部材137Aの開口を貫通して、その部材の後面を越えて後方に延在する。この位置において、ピストン・ヘッド134Aのバネ143Aは、伸長して、ラッチ・ロック141を一番後の位置に保持し、これにより、つの170A、172Aは後部部材137Aの開口から突き出る。
【0097】
図19は、ドーム形の部材161Aから機械的に切り離される構成のピストン・ヘッド134Aの二重断面図である。この構成では、つの170A、172Aは、後部部材137Aの開口内に押し込まれる。その結果、ラッチ・ロック141Aは、一番前方の位置に移動され、バネ143Aは、圧縮される。
【0098】
治療時にピストン133Aが往復すると、つの170A、172Aは、PD循環装置102の垂直方向のストッパーまたは表面174(
図15A〜15Fに示されている)から前方に相隔てて並ぶ。その結果、つの170A、172Aは、ポンプ工程全体を通して完全に後方に伸長した位置に留まる。しかし、治療が完了した後、ピストン133Aは、つの170A、172AがPD循環装置102のストッパーまたは表面174内にバックするように十分な距離だけ引っ込められる。
図19に示されているように、ピストン133Aを引っ込める操作を続けて、つの170A、172Aを後部部材137Aの開口内に押し込み、ラッチ・ロック141Aを前部部材139Aに相対的に前方に移動させて、それによりバネ143Aを圧縮する。その結果、ラッチ・ロック141Aの脚部155A、157Aの角度付き内面は、スライディング・ラッチ145A、147Aの隣接する、類似の角度付きの表面に押し当てられ、それにより、スライディング・ラッチ145A、147Aは径方向内向きに引き込まれ、ドーム形の部材161Aの突出部168A(
図15A
〜15Fに示されている)からスライディング・ラッチ145A、147Aを係脱する。ピストン133Aをさらに引っ込めると、ピストン・ヘッド134Aはカセット112のドーム形の部材161Aからバックして出る。これに代えて、または加えて、引き伸ばされた膜140の弾性により、膜140およびドーム形の部材161Aは、スライディング・ラッチ145A、147Aがドーム形の部材161Aの突出部168Aから係脱するときに前方にスナップ式に嵌り、ピストン・ヘッド134Aと接触しなくなるようにできる。
【0099】
ピストン133A、133Bが上で説明されている方法でカセット112のドーム形の部材161A、161Bから切り離され、バックされた後、PD循環装置のドア108が開かれ、カセット112が、カセット・コンパートメント114から取り外され、破棄される。
【0100】
PDシステム100は、液体を流体ポンプ室138A、138B内に引き込むために真空システムを必要としないため、ドア108とカセット・インターフェース110との間のほぼ気密であるシールは典型的には不要である。したがって、ポンプ室の上に載るカセット膜の部分を引っ込めるように適合された真空システムを備えるシステムと比べて、PD循環装置102のドア封止機構は、より単純で、費用効果が高い。それに加えて、いくつかの従来の循環装置に比べて減圧の使用が少なく、その結果、動作が静かになりうる。
【0101】
いくつかの実装について説明したが、他の実装も可能である。
ピストン・ヘッド134A、134Bは、カセット112のドーム形の部材161A、161Bにピストン・ヘッド134A、134Bを機械的に連結することを可能にするように径方向内向きおよび外向きに移動可能であるスライディング・ラッチ145A、145Bを伴うバネ仕掛けのラッチ機構を備えるものとして説明されているが、このようなスライディング・ラッチを備えないより単純な構造のピストン・ヘッドを場合によっては代わりに使用することもできる。
図20は、そのような1つの種類のピストン・ヘッド234Aがピストン・シャフト135Aに連結されているピストン233Aを備えるPD循環装置202を例示している。PD循環装置202は、ピストンが上で説明されているPD循環装置102内のピストンと異なる種類のピストン・ヘッドを備えることを除き上で説明されているPD循環装置102と本質的に同じである。PD循環装置102と同様に、PD循環装置202も、
図20に例示されているピストン233Aとほぼ同一の構造および機能を有する第2のピストンを備え、したがって、別に詳しく説明することはしない。
【0102】
なおも
図20を参照すると、ピストン・ヘッド234Aは、ピストン・ヘッド234Aをカセットに機械的に連結し、上で説明されている種類の流体ポンピング工程を実行できるようにするためにカセットのドーム形の部材の環状突出部と係合されうる周囲フランジ245Aを備える一体構造であることがわかる。フランジ245Aの後面は、ピストンの長手方向軸に関して約45度から約75度までの範囲(例えば、約60度)の角度で配置構成されうる。ピストン・ヘッド234Aは、ピストン・ヘッド134Aに関して上で説明されている材料および技術のいずれかを使用して形成することができる。同様に、ピストン・ヘッド234Aは、ピストン・ヘッド134Aをピストン・シャフト135Aに取り付けるために上で説明されている取付技術のいずれかを使用してピストン・シャフト135Aに固定可能である。
【0103】
図21A〜21Cは、透析溶液をカセット212のポンプ室238A内に引き込み、また透析溶液をカセット212のポンプ室238Aから強制的に追い出すために使用されるポンピング動作の異なるフェーズにおける、PD循環装置202のカセット・コンパートメント114内に配設されているPDカセット212を備えるPDシステム200の断面線図である。カセット212は、上で説明されているカセット112に非常によく似てい
る。しかし、カセット212は、上で説明されているドーム形の部材161Aとわずかに異なる形状を有する剛体ドーム形の部材261Aを備える。ポンプで溶液をカセット212の他のポンプ室に送り、他のポンプ室から出す技術は、同一であり、したがって、別に詳しく説明することはしない。
【0104】
図21Aに示されているように、カセット212がPD循環装置202のカセット・コンパートメント114内に取り付けられた後、ピストン233Aは前進して、PD循環装置202のピストン・ヘッド234Aをカセット212のドーム形の部材261Aに連結する工程を開始する。ピストン233Aが前進すると、ピストン・ヘッド234Aのフランジ245Aは、ドーム形の部材261Aから径方向内向きに延在する環状突出部268Aの引き込み面取り面または後面と接触し、ドーム形の部材261Aを押してカセット212の剛体基部156と接触させる。ピストン・ヘッド234Aのフランジ245Aの前面およびドーム形の部材261Aの環状突出部268Aの後面は、一般的に、互いにほぼ嵌合するように配置構成される。ピストン・ヘッド234Aのフランジ245Aの先行する前面は、典型的には、ピストン233Aの長手方向軸に関して約45度から約75度までの範囲(例えば、約60度)で後方に角度を付けられる。環状突出部の後面は、典型的には、ピストン233Aの長手方向軸に関して約45から約75度までの範囲(例えば、約60度)で前方に角度を付けられる。ピストン・ヘッド234Aのフランジ245Aの幾何学的形状および剛性により、ピストン・ヘッド234Aをカセット212のドーム形の部材261A内に送り込むと、突出部268Aがそこから延在するカセット212の周囲側壁を径方向外向きに偏向させて、フランジ245Aが突出部268Aを越えて摺動するようにできる。カセット212のドーム形の部材261Aは、フランジ245が突出部268Aを越えて摺動した後に突出部268Aがフランジ245の背後の適所に戻って嵌るように弾力性を有する。フランジ245Aと突出部268Aとの間の係合により、ピストン・ヘッド234Aはカセット212のドーム形の部材261Aに固定されて保持され、これにより、ポンピング作用をピストン233Aによってカセット212に加えることができる。
【0105】
ピストン・ヘッド234Aが、上で説明されている方法でドーム形の部材261Aに機械的に連結されると、ドーム形の部材261Aが基部156の陥凹領域162A内に前進して入るためドーム形の部材261Aと膜140との間に形成されるポンプ室238Aの容積が減少し、これにより、ポンプ室238A内の流体(例えば、呼び流体)がポンプ室238Aから強制的に追い出される。
【0106】
図21Cを参照すると、ピストン233Aが引っ込められて、透析溶液をポンプ室238A内に引き込むことがわかる。ピストン・ヘッド234Aは、ドーム形の部材261Aに機械的に連結され、またドーム形の部材261Aは、カセット212の膜140に取り付けられるので、ピストン233Aが引っ込められると、ドーム形の部材261Aおよびドーム形の部材261Aに取り付けられている膜140の部分は後方に移動する。その結果、ポンプ室238Aの容積は増大し、流体が、ポンプ室238A内に引き込まれる。
【0107】
透析溶液をポンプ室238A内に引き込んだ後、透析溶液は、再びピストン233Aを前進させ、ポンプ室238Aの容積を減らすことによって、ポンプ室238Aから強制的に追い出される。上で説明されているように、透析溶液を流体ポンプ室238A内に引き込み、次いで、透析溶液を流体ポンプ室238Aから強制的に追い出すこの工程は、PD治療時に所望の量の透析溶液がある位置へ、またはある位置から(例えば、患者へ、または患者から)ポンプで送られるまで繰り返される。
【0108】
治療後に、ドーム形の部材261Aからピストン・ヘッド234Aを機械的に切り離すために、ピストン233Aは、治療中に引っ込められる以上に引っ込められる。この引き
込みにより、ドーム形の部材261Aの周囲フランジの後面はPD循環装置202の表面174と接触し、それにより、ドーム形の部材261Aは、後方へのさらなる移動を妨げられる。ピストン233Aは、ピストン・ヘッド234Aがドーム形の部材261Aに関して後方に摺動するように引っ込み続ける。ピストン・ヘッド234Aのフランジ245Aの後面は、典型的には、ピストン233Aの長手方向軸に関して約60度から約80度までの範囲(例えば、約70度)で前方に角度を付けられる。環状突出部268Aの前面は、典型的には、ピストン233Aの長手方向軸に関して約60から約80度までの範囲(例えば、約70度)で後方に角度を付けられる。これらの面の向き付けと、ドーム形の部材261Aがさらに後方に移動することができない結果、ピストン・ヘッド234Aの後方への運動により、環状突出部268Aがそこから延在するドーム形の部材261Aの部分は径方向外向きに偏向する。これにより、ピストン・ヘッド234Aのフランジ245Aは、環状突出部268Aを越えて摺動することができ、その結果、ピストン・ヘッド234Aはドーム形の部材261Aから機械的に切り離される。
【0109】
ピストン・ヘッド234Aおよびカセット212は、ピストン・ヘッド234Aが前進してドーム形の部材261A内に入り、ドーム形の部材261Aから引っ込められて出るときにカセット212の周囲側壁が外向きに偏向するように構成されているものとして説明されているが、これらは、これに代えて、または加えて、フランジ245Aがそこから延在するピストン・ヘッド234Aの壁が径方向内向きに偏向して、ピストン・ヘッド234Aのフランジ245Aがカセット212の突出部268Aを越えて摺動できるように設計されうる。
【0110】
上で説明されているカセット212およびPD循環装置202は、切り離し工程においてドーム形の部材261の周囲フランジの後面がPD循環装置202の表面174と接触するように設計されているが、いくつかの実装では、膜140それ自体は、ピストン・ヘッド234Aをドーム形の部材261Aから切り離すことができるようにドーム形の部材261Aの後方への移動に対し十分な抵抗をもたらしうる。
【0111】
ピストン・ヘッドとカセットとの間の機械的連結を可能にするための他の構造も使用することができる。
図22に示されているように、例えば、上で説明されているカセット112に構造上非常によく似ているカセット312は、カセット112の基部156の陥凹領域162A、162B内に配設され、上で説明されているカセット112のドーム形の部材161A、161Bと同じようにしてカセット312の膜140に取り付けられた、剛体ドーム形の部材361A、361Bから伸びているペグ368A、368Bを備える。ペグ368A、368Bはそれぞれ、カセット312の関連するドーム形の部材361A、361Bに取り付けられたステム370A、370Bおよびドーム形の部材361A、361Bの反対側のステム370A、370Bの端部に取り付けられるか、またはその端部と一体形成された拡大されたヘッド372A、372Bを備える。以下で説明されているように、ペグ368A、368Bは、ドーム形の部材361A、361Bをピストン・ヘッドに機械的に連結する方法でPD循環装置のピストン・ヘッドと係合しうる。
【0112】
図23および24は、上で説明されているPD循環装置のうちの1つのピストン・シャフト135Aに固定され、ピストンが往復したときにカセット312の基部156の陥凹領域とドーム形の部材361Aおよび膜140との間に形成されたポンプ室内にポンピング作用を発生させることができるカセット312のペグ345Aに係合することができるピストン・ヘッド334Aを例示している。同一のピストン・ヘッドであればPD循環装置の他のピストン・シャフト135Bに固定して、他のドーム形の部材361Bに隣接するポンプ室内に類似のポンピング作用を発生させることが可能であることは理解されるであろう。
図23および24に示されているように、ピストン・ヘッド334Aは、2つの弾性を有するスプリング・フィンガー345A、347Aを備えるクランプ機構338A
が収容されるボア336Aを具備する。スプリング・フィンガー345A、347Aの中央部分は、例えば、ピストン・ヘッド334Aの径方向内向きに延在する環状突出部390Aに取り付けることができる。接着剤による接着、熱溶接、および/または機械的締め付け技術などの他のさまざまな取付技術のいずれかを使用して、スプリング・フィンガー345A、347Aを環状突出部390Aに取り付けることができる。
【0113】
なおも
図23および24を参照すると、スプリング・フィンガー345Aは、フィンガー345Aの基部部分から径方向内向きに延在する、前部突出部349Aおよび後部突出部351Aをそれぞれ備え、スプリング・フィンガー347Aは、フィンガー347Aの基部部分から径方向内向きに延在する、前部突出部353Aおよび後部突出部355Aをそれぞれ備えることがわかる。前部突出部349A、353Aは、ピストンの長手方向軸に関して約15度から約75度までの範囲(例えば、約30度から約60度までの範囲、約45度)で角度を付けられた先行する前端部のところに面取り面を有する。ピストン・ヘッド334Aをペグ368Aに機械的に連結するために、ピストン・ヘッド334Aを前進させてドーム形の部材361A内に入れ、スプリング・フィンガー345A、347Aの突出部349A、353Aの前面がペグ368Aの拡大されたヘッド372Aと接触するようにする。突出部349A、353Aの前面の角度を付けた向きにより、ピストン・ヘッド334Aの前進を続けると、スプリング・フィンガー345A、347Aは、径方向外向きに偏向し、それにより、突出部349A、353Aがペグ368Aの拡大されたヘッド372Aにそって摺動すると広がって離れる。スプリング・フィンガー345A、347Aは、ペグ368Aの拡大されたヘッド372Aが突出部349A、353Aを越えて前方に摺動できる、また拡大されたヘッド372Aがスプリング・フィンガー345A、347Aの前部突出部と後部突出部との間に形成される空間内に固定することができる十分な距離だけ広がって離れる。後部突出部351A、355Aのそれぞれの前面は、ピストンの長手方向軸にほぼ垂直であり、これにより、ペグ368Aの拡大されたヘッド372Aがスプリング・フィンガー345A、347Aの前部突出部と後部突出部との間の空間内に配設されたときにピストン・ヘッド334Aがさらに前進してもスプリング・フィンガー345A、347Aが広がって離れることがない。ピストン・ヘッド334Aおよびペグ368Aがこの方法で拡大した状態で、ピストン・ヘッド334Aが往復すると、ドーム形の部材361Aおよび膜140の周囲部分が移動し、したがって、流体は、上で説明されているのと同じ方法で、ポンプによってカセット312のポンプ室内に送り込まれ、カセット312のポンプ室から追い出される。
【0114】
スプリング・フィンガー345A、347Aの前部突出部349A、353Aの前面と同様に、後部突出部351A、355Aの後面は、約15度から約75度までの範囲(例えば、約30度から約60度までの範囲、約45度)で角度を付けられる。内部シャフト357Aは、クランプ機構338Aが収容されるボア336Aの背後に位置決めされたピストン・ヘッド334A内に形成された軸方向ボア内に配置される。内部シャフト357Aは、ピストン・ヘッド334Aが往復するときにピストン・ヘッド334Aがシャフト357Aに相対的に移動するようにPD循環装置のハウジングに固定される。治療後にペグ368Aからピストン・ヘッド334Aを切り離すために、ピストン・ヘッド334Aは、シャフト357Aがスプリング・フィンガー345A、347Aの後部突出部351A、355Aの後面と接触する十分な距離だけPD循環装置内に引っ込められる。この接触が生じると、後部突出部351A、355Aの後面の向きに角度が付けられているため、スプリング・フィンガー345A、347Aは広がって離れる。ピストン・ヘッド334Aをさらに引っ込めると、前部突出部349A、353Aはペグ368Aを越えて戻る。
【0115】
図25および26は、上で説明されているPD循環装置のうちの1つのピストン・シャフト135Aに固定され、ピストンが往復したときにカセット312の基部156の陥凹
領域とドーム形の部材361Aおよび膜140との間に形成されたポンプ室内にポンピング作用を発生させることができるカセット312のペグ345Aに係合することができるわずかに異なるピストン・ヘッド434Aを例示している。
図25および26に示されているように、ピストン・ヘッド434Aは、2つの弾性を有するスプリング・フィンガー445A、447Aを備えるクランプ機構438Aが収容されるボア436Aを具備する。スプリング・フィンガー445A、447Aの中央部分は、ピストン・ヘッド434Aの径方向内向きに延在する環状突出部490に取り付けられる。接着剤による接着、熱溶接、および/または機械的締め付け技術などの他のさまざまな取付技術のいずれかを使用して、スプリング・フィンガー445A、447Aを環状突出部490Aに取り付けることができる。
【0116】
なおも
図25および26を参照すると、スプリング・フィンガー445A、447Aは、フィンガー445A、447Aの基部部分から径方向内向きに延在する突出部449A、453Aを備えることがわかる。突出部449A、453Aは、ピストンの長手方向軸に関して約15度から約75度までの範囲(例えば、約30度から約60度までの範囲、約45度)で反対方向に角度を付けられた先行する前端部および後に続く後端部のところに面取り面を有する。ピストン・ヘッド434Aは、上で説明されているピストン・ヘッド334Aとだいたい同じ方法でカセット312に機械的に連結される。特に、ピストン・ヘッド434Aを前進させてドーム形の部材361A内に入れ、スプリング・フィンガー445A、447Aの突出部449A、453Aの前面がペグ368Aの拡大されたヘッド372Aと接触し、突出部449A、453Aの前面の角度を付けた向きにより、スプリング・フィンガー445A、447Aが径方向外向きに偏向するようにする。スプリング・フィンガー445A、447Aは、ペグ368Aの拡大されたヘッド372Aが突出部449A、453Aを越えて前方に摺動し、また突出部449A、453Aの背後のスプリング・フィンガー445A、447Aの間に形成される空間内に摺動して入ることができる十分な距離だけ広がって離れる。
【0117】
治療後にピストン・ヘッド434Aをペグ368Aから切り離すために、ピストン・ヘッド434Aは、PD循環装置内に引っ込められる。ピストン・ヘッド434Aが引っ込められると、ドーム形の部材361Aを引っ張る膜140の抵抗がフィンガー445A、447Aを広げて離すのに必要な力より大きくなる位置に到達する。この位置で、ピストン・ヘッド434Aを引っ込め続けると、突出部449A、453Aの面取りされた後面はスプリング・フィンガー445A、447Aのカセット312のペグ368Aの拡大されたヘッド372Aにそって軸方向に摺動し、これにより、スプリング・フィンガー445A、447Aは広がって離れ、これにより、ペグ368Aをフィンガー445A、447Aの突出部449A、453Aの背後の空間から解放することができる。
【0118】
PD循環装置102のカセット・インターフェース110は、カセットがカセット・コンパートメント114内に位置決めされたときにカセットのドーム形の部材とピストン133A、133Bの位置を確実に合わせるのに役立つ位置決めピン148を含むものとして説明されているが、他の構造または技術も、この位置合わせを確実にするために使用されうる。いくつかの実装では、例えば、カセットは、PD循環装置のドアの陥凹部内に配設されたカセットの中空突出部とともにPD循環装置のドアに当接し、カセットは、ドアに取り付けられているリテーナ・クリップによってこの位置に保持される。ドアを閉じると、PD循環装置のピストンの位置とカセットのドーム形の部材の位置とが合わさる。
【0119】
上記のPD循環装置のそれぞれのドア108は、膨張したときにカセットをカセット・インターフェースに押し付けることができる膨張性パッドを備えるものとして説明されているが、膨張性パッドは、これに代えて、カセット・インターフェースをドア108の方へ移動して間のカセットを圧縮することができるようにカセット・インターフェースの背
後に位置決めされうる。同様に、膨張性パッドの代替手段として、ドア108の表面をカセット・インターフェースの方へ、またはカセット・インターフェースをドア108の表面の方へ移動するように操作できるさまざまな機構のいずれも使用することができる。
【0120】
上で説明されているPD循環装置のドア108は、PD循環装置の前面に位置決めされているものとして図示されているが、ドアは、これに代えて、PD循環装置のさまざまな他の場所に位置決めすることもできる。例えば、カセットがほぼ垂直方向の向きではなくほぼ水平方向の向きでカセット・コンパートメント内に摺動して入るようにドアをPD循環装置の上面に位置決めすることも可能である。いくつかの実装では、ドアおよびPD循環装置のカセット・インターフェースは、PD循環装置が水平面に据えられたときに垂直に対して約10から約35度の角度で位置決めされる。この構成により、使用者がカセットをカセット・コンパートメント内に装填することがしやすくなることがわかっている。
【0121】
上で説明されているカセットは、2つのポンプ室を有するが、カセットは、これに代えて、2つより多い、または少ないポンプ室を有することができる。
上で説明されているカセットのポンプ室のそれぞれは、流体入口ポートおよび流体出口ポートを備えるものとして説明されたが、いくつかの実装では、ポンプ室は、入口としても出口としても使用される単一のポートを備える。このような実装では、カセットの弁部分に作用するPD循環装置の膨張性弁部材は、わずかに異なる順序で作動および停止がなされ、これにより、流体は所望の場所からポンプ室内に引き込まれ、次いで、ポンプ室から所望の場所に強制的に追い出されるようにできる。
【0122】
上記のいくつかのPD循環装置は、タッチ・スクリーンおよび関連するボタンを備えるものとして説明されたが、PD循環装置は、これに代えて、または加えて、他の種類の画面および使用者データ入力システムを備えることができる。いくつかの実装では、例えば、循環装置は、表示画面に隣接するコンソール上に配置構成されたボタン(例えば、フェザー・タッチ・ボタン(feather touch buttons))を有する表示画面を備える。いくつかのボタンは、使用時に画面に表示される動作オプションと位置合わせされるように配置構成することができ、これにより、使用者は所望の動作オプションを、その動作オプションと位置合わせされたボタンを押すことによって選択できる。使用者がさまざまな表示画面および/または特定の画面上に表示されるさまざまな項目をナビゲートできるように、矢印ボタンの形の追加ボタンを備えることもできる。他のボタンは、使用者が、例えば、動作パラメータを入力するために、数値を入力できるように数値キーパッドの形態をとりうる。使用者が矢印キーを使用してナビゲートした動作オプションをユーザーが選択できるように、および/または使用者が数値キーパッドを使用して入力した値を使用者が入力できるように選択または入力ボタンを備えることもできる。
【0123】
上で説明されている機械的に連結可能なピストン・ヘッドおよびカセットは、PDシステムの一部であるものとして説明されているが、これらの種類のピストン・ヘッドおよびカセットは、他のさまざまな種類の医療流体ポンピング・システムで使用することができる。本明細書で説明されているピストン・ヘッドおよびカセットを使用することができる医療流体ポンピング・システムの他の例として、血液透析システム、血液灌流システム、および静脈内注射システムが挙げられる。
【0124】
同様に、上記のシステムの多くは、透析溶液をポンプで送るために使用されるものとして説明されているが、他の種類の透析流体もポンプでカセットに通すことができる。例えば、血液透析装置とともに使用されるカセットの場合、血液をポンプでカセットに通すことができる。それに加えて、食塩液などの呼び液も、同様に、上で説明されているさまざまな異なるシステムおよび技術を使用してポンプでカセットに通すことができる。同様に、透析流体の代替として、カセットが使用される医療流体ポンピング装置の種類に応じて
、さまざまな他の種類の医療流体をポンプで上述のカセットに通すことができる。