(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の医療用活栓の実施の形態例について、
図1〜
図12を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
【0015】
<1.実施の形態例>
1−1.医療用活栓の構成例
まず、
図1〜
図4を参照して本発明の医療用活栓の実施の形態例(以下、「本例」という。)の構成例について説明する。
図1は、本例の医療用活栓を示す分解斜視図、
図2は、本例の医療用活性を示す正面図、
図3は、
図2に示すL−L線で断面した状態を示す断面図である。
【0016】
図1に示す医療用活栓1は、薬液を注入する流路を変更したり、複数の薬液を混合して注入したりする際に用いられる。医療用活栓1は、液体(薬液)が流入及び流出するハウジング2と、ハウジング2に装着されるコック3とを備えている。この医療用活栓1のハウジング2には、シリンジやルアーテーパ部材等のオスコネクタと液密に接続するためのコネクタ4が取り付けられる。
【0017】
ハウジング2を流入及び流出する薬液としては、完全な液体状のものだけではなく、コロイド粒子などの固体を含んでいても全体として液体状となっているものも含まれる。
【0018】
ハウジング2及びコック3材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂等の各種樹脂材料、あるいはこれらのうちの1種以上を含むブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられる。また、その他、各種ガラス材、セラミックス材料、金属材料が挙げられる。
【0019】
[ハウジング]
図1及び
図2に示すハウジング2は、筒状の本体部6と、薬液が流入及び流出する上流ポート部7及び下流ポート部8と、上流ポート部7及び下流ポート部8を流れる薬液と異なる薬液が注入される側管用ポート部9と、を有している。
【0020】
本体部6は、両端が開口した略円筒状に形成されており、本体部6をその軸方向に貫通する貫通孔6aを有している。貫通孔6aの内壁には、係合凸部11が設けられている。係合凸部11は、本体部6の軸方向の一側に形成される。また、本体部6の外周面6bには、上流ポート部7と、下流ポート部8と、側管用ポート部9が形成されている。
【0021】
上流ポート部7は、本体部6の外周面6bから略垂直に突出している。上流ポート部7は、略筒状に形成されている。
図3に示すように、この上流ポート部7の筒孔7aは、本体部6の貫通孔6aに連通している。そのため、貫通孔6aの内周面には、上流ポート部7の流路端である上流側開口7bが形成されている。
【0022】
筒孔7aが薬液を流入及び流出するための流路となる。また、
図1に示すように、上流ポート部7における本体部6と反対側の端部には、チューブ、接続コネクタや他の医療用活栓と接続するためのねじ部12が形成されている。
【0023】
図2に示すように、本体部6を間に挟んで上流ポート部7の反対側には、下流ポート部8が配置される。下流ポート部8は、略円筒状に形成されて、本体部6の外周面6bから略垂直に突出している。また、
図3に示すように、下流ポート部8の筒孔8aは、上流ポート部7と同様に、本体部6の貫通孔6aに連通している。そのため、貫通孔6aの内周面には、下流ポート部8の流路端である下流側開口8bが形成されている。そして、筒孔8aは、薬液を流入及び流出するための流路である。
【0024】
また、
図2に示すように、上流ポート部7と下流ポート部8の間には、側管用ポート部9が配置される。すなわち、上流ポート部7、側管用ポート部9及び下流ポート部8は、本体部6の外周面6bに本体部6の周方向に沿って略90度間隔で配置されている。側管用ポート部9は、略円柱状に形成されている。
【0025】
側管用ポート部9には、側管用ポート部9を軸方向に沿って貫通する第1連通孔13及び第2連通孔14が形成されている。第1連通孔13及び第2連通孔14には、上流ポート部7や下流ポート部8から流入された薬液や、後述するコネクタ4(
図3参照)に取り付けられたシリンジやルアーテーパ部材等のオスコネクタから注入された薬液が通過する。
【0026】
第1連通孔13は、上流ポート部7側に形成されており、第2連通孔14は、下流ポート部8側に形成されている。そして、第1連通孔13と第2連通孔14を合わせた本体部6の周方向の長さは、上流側開口7b、下流側開口8bの直径と略等しく設定される。また、第2連通孔14の開口面積は、第1連通孔13の開口面積よりも小さく設定されている。この第1連通孔13及び第2連通孔14は、本体部6の貫通孔6aに連通している。
【0027】
また、側管用ポート部9における本体部6と反対側の端部には、リング状の嵌合凹部16が形成されている。嵌合凹部16は、側管用ポート部9における端部の外縁に設けられている。この嵌合凹部16には、係止受部16aが設けられている。係止受部16aは、例えば嵌合凹部16の一部を切り欠くことで形成される。
【0028】
図3に示すように、嵌合凹部16には、第1連通孔13及び第2連通孔14の開口を覆うようにコネクタ4が嵌合される。そして、嵌合凹部16にコネクタ4が嵌合されることで、未使用時には、第1連通孔13及び第2連通孔14における嵌合凹部16側の開口がコネクタ4によって閉じられる。
【0029】
[コネクタ]
コネクタ4は、弁体21と、弁体21を保持する保持部22とを有している。弁体21は、弾性変形可能に形成されている。この弁体21の材料としては、この弁体21の材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合したものであってもよい。
【0030】
弁体21は、略円柱状に形成されている。弁体21には、オスコネクタの先端部が挿入されるスリット21aが設けられている。また、
図3に示すように、弁体21の側面部には、保持部22に固定するための固定部21bが設けられている。
【0031】
保持部22は、第1部材23と、第1部材23に接合される第2部材24から構成される。そして、第1部材23と第2部材24の間に、弁体21の固定部21bを挟み込むことで弁体21を固定している。第1部材23と第2部材24は、例えば接着剤、融着、固定ねじなどの固定方法によって固定される。
【0032】
また、第1部材23には、嵌合凹部16の係止受部16aと係止する係止爪23aが形成されている。そして、保持部22は、嵌合凹部16に嵌入されることで、側管用ポート部9に接合される。なお、保持部22は、接着剤、融着、固定ねじなどの固定方法により側管用ポート部9に固定してもよい。
【0033】
[コック]
次にコック3について
図1〜
図5を参照して説明する。
図4は、コック3を示す斜視図、
図5は、コック3の側面を示す展開図である。
コック3は、ハウジング2の本体部6に装着されて、ハウジング2を流れる流路を切り換える。
図1及び
図4に示すように、コック3は、円筒部31と、円筒部31を回転操作するハンドル部32から構成されている。
【0034】
円筒部31は、略円柱状に形成されている。円筒部31の外径は、本体部6の貫通孔6aの内径と略等しく設定される。この円筒部31は、本体部6の貫通孔6aに挿入され、円筒部31の側壁31aが貫通孔6aの内周面に摺動可能に密接する。そして、円筒部31は、本体部6の周方向に沿って回転可能に本体部6に支持される。
【0035】
円筒部31の側壁31aには、第1流路溝33と、第2流路溝34が形成されている。第1流路溝33及び第2流路溝34は、それぞれ円筒部31の側壁31aから半径内方向に凹んで形成される。
【0036】
図5に示すように、第1流路溝33は、第1液体導入部36と、2つの連通部37,38と、第1液体導出部39から構成される。第1液体導入部36は、円筒部31の軸方向に沿って形成された縦溝部である。この第1液体導入部36における円筒部31の軸方向の長さは、上流側開口7b及び下流側開口8bの直径や、第1連通孔13及び第2連通孔14における本体部6の軸方向の長さよりも長く設定される(
図6参照)。
【0037】
第1液体導入部36における円筒部31の軸方向の一端部からは、第1連通部37が連続して設けられており、円筒部31の軸方向の他端部からは、第2連通部38が連続して設けられている。
【0038】
第1連通部37は、円筒部31の軸方向の一側において、円筒部31の周方向に沿って所定の長さで形成される。また、第2連通部38は、円筒部31の軸方向の他側において、円筒部31の周方向に沿って第1連通部37と略同じ長さで形成される。なお、第1連通部37及び第2連通部38における円筒部31の周方向の長さは、上流側開口7b及び下流側開口8bの直径や、第1連通孔13と第2連通孔14における本体部6の周方向の長さよりも長く設定される。
【0039】
第1連通部37及び第2連通部38における円筒部31の周方向の第1液体導入部36と反対側には、第1液体導出部39が設けられている。
【0040】
第1液体導出部39では、第1連通部37と第2連通部38が合流する。なお、第1液体導出部39における第1連通部37と第2連通部38が合流する箇所には、突起41が形成されている。突起41は、第1流路溝33における半径内方向の壁面から円筒部31の側壁31aと略同一平面となる高さまで突出している。
【0041】
なお、第1液体導出部39における第1連通部37と第2連通部38が合流する箇所に突起41を設けなくても本発明の目的は、達成できるものである。
また、第1流路溝33に第1連通部37と第2連通部38を設けることにより、第1連通部37から第1液体導出部39へ流れ込む薬液と、第2連通部38から第1液体導出部39へ流れ込む薬液とが合流する際に、乱流が生じやすくなり、薬液の滞留を防止することができる。
【0042】
また、第1流路溝33を構成する第1液体導入部36、第1連通部37、第2連通部38及び第1液体導出部39で囲まれた円筒部31の側壁31aが第1閉塞面42となる。すなわち、第1流路溝33は、第1閉塞面42を避けて形成される。第1閉塞面42の大きさは及び位置は、上流側開口7b、下流側開口8b、第1連通孔13及び第2連通孔14を閉塞できる大きさ及び位置に設定されている(
図8参照)。
【0043】
第1流路溝33の近傍には、第2流路溝34が配置されている。第2流路溝34は、第2液体導入部46と、第3連通部47と、第2液体導出部49から構成される。
【0044】
図4に示すように、第2液体導入部46は第1液体導出部39の近傍に配置される。
図2に示すように、第1液体導出部39と第2液体導入部46の位置関係は、側管用ポート部9に設けた第1連通孔13及び第2連通孔14の位置関係と対応している。また、第1液体導出部39から第2液体導入部46までの円筒部31の周方向の長さは、上流側開口7b及び下流側開口8bの直径と略等しく設定される(
図11参照)。
【0045】
図5に示すように、第2液体導入部46は、第1液体導出部39と略平行に、かつ円筒部31の軸方向に沿って形成された縦溝部である。この第2液体導入部46における円筒部31の軸方向の長さは、上流側開口7b及び下流側開口8bの直径や、第1連通孔13と第2連通孔14における本体部6の軸方向の長さよりも長く設定される。
【0046】
また、第2液体導入部46と第1液体導出部39は、2つの接続溝51,52によって連通している。第1接続溝51は、第1液体導出部39における第1連通部37側に形成され、第2接続溝52は、第1液体導出部39における第2連通部38側に形成される。
【0047】
2つの接続溝51,52は、例えば第2液体導入部46と第1液体導出部39との間の円筒部31の側壁31aを切り欠くことで形成される。2つの接続溝51,52における円筒部31の半径方向の開口面積は、第1連通孔13の開口面積及び第2連通孔14の開口面積よりも小さく設定される。
【0048】
さらに、第2液体導入部46における円筒部31の軸方向の他端部からは、第3連通部47が連続して設けられている。第3連通部47は、円筒部31の周方向において第1流路溝33と反対方向に形成されている。この第3連通部47における円筒部31の周方向の長さは、上流側開口7b及び下流側開口8bの直径や、第1連通孔13と第2連通孔14における本体部6の周方向の長さよりも長く設定される。
【0049】
第3連通部47における円筒部31の周方向の第2液体導入部46と反対側には、第2液体導出部49が連続して設けられている。
【0050】
第2液体導出部49は、円筒部31の軸方向に沿って所定の長さで延在する縦溝部である。この第2液体導出部49における円筒部31の軸方向の長さは、上流側開口7b及び下流側開口8bの直径や、第1連通孔13と第2連通孔14における本体部6の軸方向の長さよりも長く設定される。この第2液体導出部49は、第1液体導入部36から円筒部31の周方向に沿って略180度離れた位置に設けられる。
【0051】
第2流路溝34を構成する第2液体導入部46、第3連通部47及び第2液体導出部49で囲まれた円筒部31の側壁31aが第2閉塞面43となる。すなわち、第2流路溝34は、第2閉塞面43を避けて形成される。第2閉塞面43の大きさは及び位置は、上流側開口7b、下流側開口8b、側管用ポート部9に設けた第1連通孔13及び第2連通孔14を閉塞できる大きさ及び位置に設定されている(
図9参照)。
【0052】
また、第1液体導入部36と、第1液体導出部39及び第2液体導入部46と、第2液体導出部49は、円筒部31の周方向に沿って略90度間隔で配置される。すなわち、第1液体導入部36と、第1液体導出部39及び第2液体導入部46と、第2液体導出部49の位置関係は、ハウジング2に設けた上流ポート部7と、下流ポート部8と、側管用ポート部9の位置関係に対応している。
【0053】
さらに、第1液体導入部36と第2液体導出部49によって挟まれた円筒部31の側壁31aにおける第1液体導出部39及び第2液体導入部46と反対側の面が、第3閉塞面44となる。そして、第1閉塞面42、第2閉塞面43及び第3閉塞面44は、円筒部31を本体部6に対して所定量回転させた際に、上流側開口7b及び下流側開口8bだけでなく、側管用ポート部9に設けた第1連通孔13及び第2連通孔14の開口を閉塞する(
図9参照)。
【0054】
なお、第2流路溝34においても、第1流路溝33と同様に、連通部を複数設けてもよい。
【0055】
また、
図1及び
図4に示すように、円筒部31の軸方向の一側には、係合受部53が設けられている。係合受部53は、略台形状に形成された複数(本例では、8つ)の膨出部54と、係合凹部55から構成されている。複数の膨出部54は、円筒部31の周方向に沿って形成されている。そのため、この複数の膨出部54における隣り合う膨出部54の間には、係合凹部55が形成される。この係合凹部55に、本体部6に設けた係合凸部11が係合する。
【0056】
また、円筒部31の軸方向の他側、すなわち係合受部53とは反対側には、係止溝57が形成されている。係止溝57は、円筒部31の周方向に沿って連続して形成されている。この係止溝57は、円筒部31を本体部6の貫通孔6aに挿入した際に、貫通孔6aの内周面に設けた不図示の係止フランジと係止される。これにより、円筒部31が本体部6の貫通孔6aから抜け落ちることを防ぐことができる。
【0057】
さらに、円筒部31の軸方向の一端部には、円筒部31を回転操作するT字状のハンドル部32が形成されている。ハンドル部32は、3つのレバー58を有している。3つのレバー58は、それぞれ円筒部31に形成した、第1液体導入部36と、第1液体導出部39及び第2液体導入部46と、第2液体導出部49と対応した位置に配置されている。また、3つのレバー58における円筒部31と反対側の一面には、それぞれ連通方向を示す矢印表示58aが設けられている。
【0058】
なお、ハンドル部32を構成するレバーの数は、3つに限定されるものではなく、例えば、1つだけでもよい。
【0059】
1−2.医療用活栓の動作
次に、
図3〜
図12を参照して上述した構成を有する医療用活栓1の動作について説明する。
図6は、上流ポート部7、側管用ポート部9及び下流ポート部8が全て連通した状態を示す斜視図、
図7は
図6に示す医療用活栓を下流ポート部8側から見た斜視図である。
【0060】
まず、上流ポート部7、側管用ポート部9及び下流ポート部8が全て連通した状態について説明する。なお、この状態におけるコック3の位置を基準位置とする。
【0061】
図6に示すように、コック3が基準位置にある状態では、本体部6に設けた上流側開口7bと、円筒部31の第1液体導入部36が向き合う。そのため、上流ポート部7と第1液体導入部36が連通する。
【0062】
また、
図3に示すように、側管用ポート部9に設けた第1連通孔13と、第1液体導出部39が向き合い、第1連通孔13と第1液体導出部39が連通される。すなわち、第1液体導出部39と第1連通孔13によって、薬液が通過する流路が形成される。これらにより、上流ポート部7と側管用ポート部9の第1連通孔13は、円筒部31に設けた第1流路溝33によって連通する。
【0063】
図6に示すように、上流ポート部7から流入された薬液は、第1液体導入部36から円筒部31の第1流路溝33に流れ込む。第1流路溝33に流れ込んだ薬液は、第1連通部37及び第2連通部38を通過して、第1液体導出部39まで流れる。
【0064】
第1液体導出部39では、第1連通部37及び第2連通部38が合流し、その合流箇所には突起41が設けられている。そのため、第1連通部37及び第2連通部38を流れる薬液は、突起41に当たり、その流れの方向が変化する。
【0065】
なお、第1液体導出部39には、第2液体導入部46と連通する接続溝51,52が設けられている。しかしながら、この接続溝51,52における薬液が通過する部分の開口面積は、第1液体導出部39と対向する第1連通孔13の開口面積よりも小さい。したがって、薬液は、突起41に誘導されて、接続溝51,52よりも第1連通孔13側に流れる。その結果、
図3に示すように、上流ポート部7から流入された薬液を側管用ポート部9の内部空間や側管用ポート部9とコネクタ4との間に形成された空間(以下、「空間S1」という。)へ流すことができる。
【0066】
さらに、
図3及び
図7に示すように、側管用ポート部9に設けた第2連通孔14と、第2液体導入部46が向き合い、第2連通孔14と第2液体導入部46が連通される。そのため、第2液体導入部46と第2連通孔14によって、薬液が通過する流路が形成される。
【0067】
そして、下流側開口8bと、第2液体導出部49が向き合い、下流ポート部8と第2流路溝34が連通される。そのため、側管用ポート部9の第2連通孔14と、下流ポート部8が第2流路溝34によって連通する。
【0068】
図3に示すように、空間S1に、流れ込まれた薬液は、第2連通孔14を介して第2液体導入部46、すなわち第2流路溝34に流れ込む。第2流路溝34に流れ込んだ薬液は、第3連通部47を通り、第2液体導出部49から下流ポート部8へ排出される。
【0069】
このように、上流ポート部7から下流ポート部8へ流れる薬液が側管用ポート部9を経由するため、空間S1内に薬液の流れが発生する。そのため、コネクタ4から空間S1へ注入された薬液は、上流ポート部7から流入する薬液によって下流ポート部8へ押し出される。その結果、コネクタ4から側管用ポート部9へ注入された薬液が空間S1内に滞留することを防止することができる。
【0070】
さらに、側管用ポート部9に第1連通孔13と第2連通孔14を設けて、空間S1内に薬液を流入する流路と、空間S1から薬液を排出する流路を別々に形成している。これにより、上流ポート部7から流入する薬液を空間S1内へスムーズに流し入れることができる。
【0071】
また、第2連通孔14の開口面積は、第1連通孔13の開口面積よりも小さく設定されているため、空間S1へ流れ込んだ薬液は、直ちに第2連通孔14から排出され難くなる。そのため、空間S1内の全体に薬液を充填させることができ、空間S1内において薬液が流れないデッドスペースを少なくすることができる。その結果、空間S1内に薬液が滞留することを防ぐだけでなく、空間S1内で、コネクタ4から注入された薬液と、上流ポート部7から流入する薬液を効率よく混ぜ合わせることができる。
【0072】
さらに、空間S1内において薬液が流れないデッドスペースを少なくすることができるため、プライミングを行う際に、薬液によって空間S1内に残る気泡を第2連通孔14から空間S1の外側に効率良く押し出すことができる。その結果、空間S1内に気泡が残り難くすることができる。
【0073】
次に、コック3を基準位置から45度程度回転させた医療用活栓1の状態について
図8〜
図10を参照して説明する。なお、本例では、コック3を基準位置からハンドル部32側から見て時計回りに45程度回転させた例について説明する。
図8は、コック3を基準位置から45度回転させた状態を示す斜視図、
図9は、
図8に示す医療用活栓1を下流ポート側から見た斜視図である。
図10は、
図8に示すT−T線で断面した状態を示す断面図である。
【0074】
円筒部31を回転させると、係合凹部55と係合していた係合凸部11が膨出部54に乗り上げる。さらに円筒部31を回転させると膨出部54に乗り上げた係合凸部11が係合凹部55と係合する。係合凸部11と係合凹部55が係合する際に、円筒部31を回転操作する使用者には、クリック感が伝達される。
【0075】
本例では、8つの膨出部54を円筒部31に形成したため、係合凹部55も円筒部31の周方向に沿って略45度間隔に8つ形成される。したがって、円筒部31を略45度回転させるごとにクリック感が発生する。
【0076】
図8及び
図10に示すように、上流側開口7bは、第1閉塞面42に臨む。そのため、上流ポート部7は、上流側開口7bが第1閉塞面42によって閉塞されるため、薬液を流入及び流出させることができない。また、第1連通孔13及び第2連通孔14は、第2閉塞面43によって閉塞される。そのため、側管用ポート部9から薬液を注入することはできない。
【0077】
さらに、
図9及び
図10に示すように、下流側開口8bは、第3閉塞面44によって閉塞される。そのため、下流ポート部8においても、薬液を流入及び流出することができない。これにより、コック3を所定量(本例では、基準位置から45度程度)回転させることで、全てのポート部7,8,9の流路が閉塞された閉塞状態にすることができる。
【0078】
なお、コック3を基準位置からハンドル部32側から見て反時計回りに45程度回転させた場合、上流側開口7bは、第3閉塞面44によって閉塞され、第1連通孔13及び第2連通孔14は、第1閉塞面42によって閉塞される。そして、下流側開口8bは、第2閉塞面43によって閉塞される。
【0079】
次に、コック3を基準位置からハンドル部32側から見て反時計回りに90程度回転させた医療用活栓1の状態について
図11を参照して説明する。
図11は、コック3を基準位置からハンドル部32側から見て反時計回りに90程度回転させた状態を示す断面図である。
【0080】
図11に示すように、側管用ポート部9に設けた第1連通孔13及び第2連通孔14と、第1液体導入部36が向き合う。また、下流側開口8bと第1液体導出部39及び第2液体導入部46が向き合う。そのため、側管用ポート部9と下流ポート部8が、第1流路溝33によって連通する。
【0081】
これに対し、上流側開口7bは、円筒部31の第3閉塞面44と対向する。すなわち、上流側開口7bが第3閉塞面44によって塞がれているため、上流ポート部7からは、薬液が流入及び流出されない。
【0082】
なお、コック3を基準位置からハンドル部32側から見て反時計回りに90程度回転させた場合、上流側開口7bが、第1液体導出部39及び第2液体導入部46と向き合う。側管用ポート部9の第1連通孔13及び第2連通孔14が第2液体導出部49と向き合う。また、下流側開口8bは、第3閉塞面44によって塞がれる。すなわち、上流ポート部7及び側管用ポート部9が、第2流路溝34によって連通し、下流ポート部8からは薬液が流入及び流出しない。
【0083】
次に、コック3を基準位置から180度程度回転させた医療用活栓1の状態について
図12を参照して説明する。
図12は、コック3を基準位置から180度程度回転させた状態を示す断面図である。
【0084】
図12に示すように、上流側開口7bは、第2液体導出部49と対向し、下流側開口8bは、第1液体導入部36と対応する。また、円筒部31の第1液体導出部39及び第2液体導入部46は、本体部6における貫通孔6aの内周面と対向する。なお、第1液体導出部39と第2液体導入部46は、接続溝51,52によって連通している。これにより、上流ポート部7と下流ポート部8を、第1流路溝33及び第2流路溝34によって連通させることができる。
【0085】
また、側管用ポート部9の第1連通孔13及び第2連通孔14は、円筒部31の第3閉塞面44によって閉塞されている。そのため、側管用ポート部9から薬液を注入することはできない。
【0086】
なお、コック3を基準位置から180度回転させて、上流ポート部7及び下流ポート部8のみを連通させない場合は、接続溝51,52を設けなくてもよい。
【0087】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、コック3が基準位置にある状態において、第1連通孔13における円筒部31の突起41と対向する箇所に、仕切り壁を設けてもよい。これにより、突起41だけでなく、仕切り壁によっても薬液を側管用ポート部9側へ案内することができる。
【0088】
また、上述した実施の形態例では、クリック感を発生させる係合凸部11と係合受部53をそれぞれ本体部6及び円筒部31の軸方向の一側に設けた例を説明したが、係合凸部11と係合受部53を本体部6及び円筒部31の軸方向の他側に設けてもよい。さらに、円筒部31の側壁31aに係合凸部11を設け、本体部6の貫通孔6aの内周面に係合受部53を設けてもよい。