(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1(a)は本発明の第1の実施の形態による圧電振動モジュールを示す斜視図、
図1(b)は
図1(a)の1B−1B’線に沿う断面図、
図1(c)は
図1(a)の1C−1C’線に沿う断面図である。
図2は
図1(a)、
図1(b)、および
図1(c)の圧電振動モジュールの要部を示す部分斜視図である。
図2において、ハウジング部材3は取り除いてある。
【0023】
図1(a)、
図1(b)、及び
図1(c)に示すように、圧電振動モジュール10は、矩形状の圧電素子1と、圧電素子1の一表面に接続された引き出し用の配線部材4としてのフレキシブル配線(FPC)基板(以下、同じ参照符号4で示す)と、前記圧電素子1の他の表面を接着剤5を介して張り付けた弾性板2と、弾性板2とともに圧電素子を覆うハウジング部材3とを有している。
【0024】
図2、図3に示すように、圧電素子1は、矩形状の圧電セラミックス板からなる圧電体層21、22、23と導電体膜からなる平面電極層11、12、13、14とを交互に積層し、積層方向(第1の方向)に交差する第2の方向の両端面に第1及び第2の側面電極15、16をそれぞれ形成してなる。
【0025】
本発明の第1の実施の形態において、圧電体層21、22、23として、PZT系材料の圧電セラミック板を用いているが、圧電効果を有する材料であるならば、どのような材料であっても良いことは勿論である。
【0026】
弾性板2は、温度安定特性の向上、及び振動変位の向上を図るために、JIS K 623で示すデュロメータ硬度が30−130で、振動変位の上昇と落下衝撃耐久性両立のために、厚さ0.1〜0.9mmのシリコーンゴムからなる。
【0027】
配線部材4としてのフレキシブル配線基板(FPC基板)4は、圧電素子1の一表面の端部寄りに設けられている。
【0028】
後に詳細に説明する
図7(a)に最もよく示されるように、FPC基板4は、フレキシブル基材4cの一表面(図では裏面)の長さ方向両側に互いに平行に導体パターン4a、4bが形成されている。
【0029】
図2を再び参照すると、弾性板2は、圧電素子1のFPC基板4が設けられている表面と対向する反対側の表面に、常温硬化型接着剤もしくはシリコーン系両面テープのような接着材5を介して貼り付けられている。この接着材5の硬度は、弾性板2と同一か、もしくは弾性板2よりも柔らかいことが好ましい。
【0030】
弾性板2は、図示の例においては、タッチパネルの振動板6に貼り付けて使用されているが、スマートフォン等のスピーカとしての使用や、可聴域の他に、バイブ等の低周波の振動発生も可能である。
【0031】
次に、
図3乃至
図7を参照しながら、本発明の実施の形態による圧電振動モジュールの製造工程について説明する。
【0032】
図3(a)は本発明の実施の形態による圧電振動モジュールに用いられる圧電素子の製造工程を示す図で、圧電素子を構成する積層体の斜視図を示し、
図3(b)は本発明の実施の形態による圧電振動モジュールに用いられる圧電素子の製造工程を示す図で、積層体の平面電極層の電極パターンを示している。
【0033】
図3(a)に示すように、第1の方向の一端の底部平面電極層11上に、圧電体層21、第1の中間部平面電極層12、圧電体層22、第2の中間部平面電極層13、圧電体層23
、第1の方向の他端の最上部平面電極層14をこの順に積層してなる。各圧電体層は、両面に位置する平面電極層とともに、一つの圧電振動部を構成している。
【0034】
底部平面電極層11は、矩形の電極膜を絶縁部11cで電気的に分離することによって形成されている。絶縁部11cは、一端側の上辺から
一端辺に沿って下方に
延び、一端辺の中央部側から右側に向かって
延び、さらに下方に折れ曲がっ
て底辺にいたるように、形成されている。この絶縁部11cによって、下側の角部付近が、4角形に残されて第1の電極部11aを形成している。絶縁部11cによって、第1の電極部11aから電気的に分離された残りの電極膜からなる第2の電極部11b
(図6(b)参照)が形成されている。この第2の電極部11bは、駆動の際に、接続電極膜11dが追加されて、以下に説明する最上部
平面電極層14のように、第2電
極部14b及び第2電極の右側端部14bが、接続電極膜14eと接続されたものと実質的に同じ構造となる。
【0035】
第1の中間部平面電極層12は、矩形の電極膜
を2つの絶縁部12c、12dによって電気的に分離することで形成されている。絶縁部12cは、一端辺の中央から、右側に
延び、さらに上方に折れ曲がっ
て上辺にいたるように電極膜を分離し、電極膜の上側の角部付近が4角形に残されて第2の電極部12bを形成している。また、絶縁部12cによって、電極膜は、第2の電極部12bとは互いに電気的に分離された第1の電極部1
2aを形成している。また、第1の電極部12aに対して、縦方向に貫通して形成された絶縁部12dによって、第1の電極部12aと第2の電極部の右側端部(第2の電極
部と同じ参照符号で示す)
12bが電気的に分離形成されている。
【0036】
第2の中間部
平面電極層13は、第1の中間
部平面電極層と同様に、電極膜を絶縁部13cを介して電気的に分離することで、左上側の第2の電極部13b及びL字形状の第1の電極部13aが形成されている。第1の電極部13aの右端と第2の電極部の右側端部(第2の電極
部と同じ参照符号で示す)13bとは、縦に細長い絶縁部13
dによって、電気的に分離形成されている。
【0037】
最上部平面電極層14は、矩形の電極膜を絶縁部14c、14dを介して電気的に分離することで形成されている。絶縁部14cは
、一端辺の中央部側から右側に向かって
延び、さらに下方に折れ曲がっ
て底辺にいたることで、電極膜の下側の角部付近が、4角形に残されて第1の電極部14aを形成している。また、絶縁部1
4cによって、第1の電極部14aから互いに電気的に分離された第2の電極部14bが形成されている。第2の電極部14bの右端と第2の電極部の右側端部(第2の電極
部と同じ参照符号で示す)14bとは、縦に細長い絶縁部14
dによって、電気的に分離形成されている。
【0038】
積層体20の形成の際に、底部平面電極層11の裏面側と、最上部平面電極層14の表面側が露出する。
【0039】
図4(a)及び
図4(b)は積層体の両端に側面電極を形成する工程を示す斜視図である。
【0040】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、積層体20の第1の方向
に交差する第2の方向(長さ方向)の一端面の一側に、導電膜からなる第1の外部電極15a
を、他側に第2の外部電極15bを
、絶縁部15cを介して第
1及び第2の方向に交差する第3の方向(積層体の幅方向)に並設した第1の側面電極15が形成されている。
【0041】
一方、積層体20の他端面には、全面を覆うように導電膜からなる第2の側面電極16を形成する。
【0042】
第1の側面電極15の第1の外部電極15aによって、各平面電極層11、12、13、14の第1の電極部11a、12a、13a、14aは、夫々の一端部を介して電気接続され、第2の外部電極
15bによって、第2の電極
部12b、13b、14bは、夫々の端部を介して電気接続される。
【0043】
第2の側面電極
16によって、第2の電極部11bの他端部及び第2の電極部の右側端部12b、13b、14bの端部が電気接続される。
【0044】
図5(a)は圧電素子の分極工程を示す斜視図で、
図5(b)は平面電極層の電極パターンに対する分極電圧の極性を示す図、
図5(c)は第1の側面電極の分極電圧の極性を示す図、
図5(d)は圧電素子の分極工程を示す断面図である。
【0045】
図5(a)乃至
図5(d)に示すように、最上部
の第2の電極部14bが(−)、底部
の第2の電極部11bが(+)、第1の中間
部平面電極層及び第2の中間部平面電極層の第1の電極部12a、13aが(GND)となるように、分極電圧が印加されて最上層及び底部圧電体層
23、2
1が、矢印31、32に示される第1の方向に沿って分極される。
【0046】
図6(a)は圧電素子に直流電圧による極性パターンを示す斜視図、
図6(b)は
図6(a)の圧電素子の平面電極層の直流電圧の極性パターンを示す平面図、
図6(c)は
図6(a)の圧電素子の第1の側面電極
15の直流電圧の極性パターンを示す斜視図、及び
図6(d)は圧電素子の直流電圧の極性パターン及び動作を示す断面図である。
【0047】
図6(b)に示すように、圧電素子1の積層体20の最上部平面電極層の第2の電極部14b、
第2の電極部の右側端部14b間の絶縁部14d上に接続電極膜14eを追加して、第2の電極部14b、
第2の電極部の右側端部14b間が導電接続されている。一方、底部
平面電極層の第2の電極部11bの一端部側の絶縁部11cも接続電極膜11dを追加することで、
底部平面電極層の一端まで導電接続されている。
【0048】
図6(a)乃至
図6(d)に示すように、直流電圧の極性は、最上部
の第1の電極部14a、第1及び第2中間部
の第1の電極部12a、13a、底部
の第2の電極部11
a及び第1の外部電極15aの全てを(+)としている。
【0049】
また、最上部
の第2の電極部14b、第1及び第2中間
の部第2の電極部12b、13bとこれらとは電気的に分離された第2電極部の右側端部12b、13b、底部
の第2の電極部11b、及び第
2の外部電極15
bの全てを(−)としている。
【0050】
図6(d)に示すように、第1の電極部12a、13aを駆動内部電極とし、第2の電極部1
1b、1
4bを駆動外部電極として、図示する極性で駆動電圧を印加すると、最上部圧電
体層及び底部圧電
体層23、21(
図5参照)に積層方向(分極方向)と、分極方向に逆方向に夫々電圧が印加されて、最上部圧電体層23を有する圧電素子部は、圧電効果によって、第1の方向に交差する第2の方向(圧電板の長さ方向)に伸長する方向の応力が働いて伸長し
(矢印33)、底部圧電体層21を有する圧電素子部は、圧電効果によって長さ方向に沿って収縮する方向に応力が働き、収縮する
(矢印34、35)。
【0051】
一方、上記直流電圧の極性を逆にすると、最上部圧電体層23を有する圧電素子部は、圧電効果によって第2の方向(圧電板の長さ方向)に沿って収縮方向に応力が働いて収縮し、底部圧電体層21を有する圧電素子部は、圧電効果によって第2の方向(圧電板の長さ方向)に沿って伸長する方向に応力が働き、伸長する。
【0052】
したがって、圧電素子1は、交流駆動電圧を印加することで、屈曲振動を行うバイモルフ素子として働く。
【0053】
図7(a)及び
図7(b)は圧電素子1にFPC基板を取付ける工程を示す斜視図である。
【0054】
図7(a)及び
図7(b)に示すように、圧電素子1の上面の一端側の第1の電極部14a及び第2の電極部14bの一端側部分を電極取出部としての素子用電極として、こ
れらの素子用電極
にFPC基板4の裏面
に形成された導体パターン4a、4bを重ねて接触させるだけで電気接続が可能となる。
【0055】
なお、圧電素子1へのFPC基板の取り付けは、圧電素子1の電極部と
FPC基板4の導体パターンとの接合を半田付けすることで行われているが、導電性接着剤等の接着剤による接合や、導電性粘着テープによる接合なども用いることができ、その固定方法には限定されるものではない。
【0056】
図8(a)は本発明の実施の形態による圧電素子の変形例を示す斜視図、
図8(b)は
図8(a)の圧電素子の平面電極層を示す平面図である。
【0057】
図8(a)及び
図8(b)に示す変形例に係る圧電素子30は、中間部平面電極層及び圧電体層が
図3(a)に示すものよりも1枚ずつ少ない他は同様の構造を有している。即ち、
図8(a)に示すように、積層方向(第1の方向)一端
の底部平面電極層11上に、圧電体層21、中間部平面電極層12、圧電体層22
、第1の方向他端に最上部平面電極層14をこの順に積層してなる。即ち、圧電体層21、2
2を夫々有する圧電素子部の積層体として構成される。
【0058】
底部
平面電極層11は、一枚の電極膜を絶縁部11cで分離することによって形成されている。絶縁部11cは、電極膜の一端側の縁部から下方に移動し、一端辺の中央部側から右側に向かって
延び、さらに下方に折れ曲がっ
て底辺にいたるように電極膜を分離して、下側の角部付近が、4角形に残されて第1の電極部11aを形成している。絶縁部11cによって、第1の電極部11aから互いに電気的に分離された第2の電極部11bが形成されている。
【0059】
第1の中間部
平面電極層12は、電極膜を絶縁部12c、12dによって互いに電気的に分離している。絶縁部12cは、電極膜の一端辺の中央から、右側に
延び、さらに上方に折れ曲がっ
て上辺にいたるように形成され、電極膜の上側の角部付近が4角形に残されて第2の電極部12bを形成している。また、絶縁部12cによって、第2の電極部12bから互いに電気的に分離された第1の電極部1
2aが形成されている。また、第1の電極部12aに対して、縦方向に貫通して形成された絶縁部12dによって、第1の電極部12aと第2の電極部の右側端部(第2の電極
部と同じ参照符号で示す)12bが形成されている。
【0060】
最上部
平面電極層14は、電極膜を絶縁部14c、14dによって電気的に分離された3つの電極
部を有する。絶縁部14cは
、一端辺の中央部側から右側に向かって
延び、さらに下方に折れ曲がっ
て底辺にいたるように電極膜を互いに分離し、下側の角部付近が4角形に残されて第1の電極部14aを形成している。絶縁部1
4cによって、第1の電極部14aから互いに電気的に分離された第2の電極部14bが形成されている。第2の電極部14bの右端と第2の電極部の右側端部(第2の電極
部と同じ参照符号で示す)14bとは、縦に細長い絶縁部14
dによって、電気的に分離形成されている。
【0061】
積層体の形成の際に、積層方向の底部平面電極
層11の裏面側と、最上部平面電極層14の表面側が露出する。
【0062】
積層体の両端面には、
図4(a)及び
図4(b)に示すものと同様に、第1の側面電極15及び第2の側面電極16が設けられている。
【0063】
第1の側面電極15の第1の外部電極15aによって、各平面電極層11、12、14の第1の電極部11a、12a、14aは、夫々の一端部を介して接続され、第2の外部電極
15bによって、第2の電極
部12b、14bは、夫々の端部を介して電気接続される。
【0064】
また、第2の側面電極
16によって、第2の電極部11bの他端部及び第2の電極部の右側端部12b、14bの端部が電気接続されている。
【0065】
本発明の第1の実施の形態による変形例に係る圧電素子30も、
図5に示すものと同様に、最上部圧電体層2
2を有する圧電素子部、底部圧電体層
21が同様の極性パターンの分極電圧を印加されて、圧電体層の第1の方向(厚み方向)に沿って分極される。
【0066】
また、変形例に係る圧電素子30も、
図6に示すように、
底部平面電極層11及び
最上部平面電極層14に夫々接続電極膜11d及び14eを追加
し、
図6に示すものと同様な極性パターンの直流電圧を印加することで、最上部圧電体層2
2を有する圧電素子部及び底部圧電体層21を有する圧電素子部に積層方向(分極方向)と、分極方向に逆方向に夫々電圧が印加されて、最上部圧電体層2
2を有する圧電素子部は、圧電効果によって第2の方向(長さ方向)に伸長する方向の応力が働いて伸長し、底部圧電体層21を有する圧電素子部は、圧電効果によって第2の方向(長さ方向)に沿って収縮する方向に応力が働き、収縮する。
【0067】
一方、上記直流電圧の極性を逆にすると、最上部圧電体層2
2の圧電素子部は、圧電効果によって、第2の方向(長さ方向)に沿って収縮方向に応力が働いて収縮し、底部圧電体層21を有する圧電素子部は、圧電効果によって、第2の方向(長さ方向)に沿って伸長する方向に応力が働き、伸長する。
【0068】
したがって、圧電素子
30は、交流駆動電圧を印加することで、屈曲振動を行うバイモルフ素子として働く。
【0069】
図12は本発明の第1の実施の形態による圧電振動モジュールの実装方法を示す断面図である。
図12に示すように、圧電振動モジュール
10は、その端面から取り出したFPC
基板4を駆動回路基板(PWB)50に搭載されたコネクタ24に差し込むことでPWB50に実装される。
【0070】
図13(a)は本発明の実施の形態による圧電振動モジュールを示す斜視図、
図13(b)は
図13(a)の13B−13B’線に沿う断面図、
図13(c)は
図13(a)の13C−13C’線に沿う断面図、
図13(d)は、圧電素子
1の導電性部材25への接続状態を示す平面図である。
【0071】
図13(a)、
図13(b)、及び
図13(c)に示すように、圧電振動モジュール10は、矩形状の圧電素子1と、圧電素子1の一表面に接続された引き出し用の配線部材としての弾性を有する導電性部材25である、圧電素子1の厚み方向に導電性を持ち、圧電素子1の面内方向は絶縁する異方性導電ゴム(以下、同じ参照符号25で示す)と、前記圧電素子1の他の表面
に接着剤5を介して張り付けた弾性板2と、弾性板2とともに圧電素子
1を覆うハウジング部材3とを有している。導電性ゴム25は、ハウジング部材3を貫通して、圧電振動モジュール10の一面側に突出している。
【0072】
弾性板2は、図
1に示した第1の実施の形態と同様に、温度安定特性の向上、及び振動変位の向上を図るために、JIS K 623で示すデュロメータ硬度が30−130で、振動変位の上昇と落下衝撃耐久性両立のために、厚さ0.1〜0.9mmのシリコーンゴムからなる。
【0073】
導電性部材25としての導電性ゴム25は、圧電素子1の一表面の端部寄りに設けられている。
【0074】
弾性板2は、圧電素子1の導電性部材25が設けられている表面と対向する反対側の表面に、常温硬化型接着剤もしくはシリコーン系両面テープのような接着材5を介して貼り付けられている。この接着材5の硬度は、弾性板2と同一か、もしくは弾性板2よりも柔らかいことが好ましい。
【0075】
弾性板2は、
図2で示す第1の実施の形態と同様に、タッチパネルの振動板6に貼り付けて使用されているが、スマートフォン等のスピーカとしての使用や、可聴域の他に、バイブ等の低周波の振動発生も可能である。
【0076】
図14(a)は本発明の第2の実施の形態による圧電振動モジュールに用いられる圧電素子の製造工程を示す図で、圧電素子を構成する積層体の斜視図を示し、
図14(b)は本発明の実施の形態による圧電振動モジュールに用いられる圧電素子の製造工程を示す図で、積層体の平面電極層の電極パターンの平面図を示している。
【0077】
図14(a)及び
図14(b)
、図15(b)に示すように、圧電素子1は、矩形状の圧電セラミックス板からなる圧電体層41、42、43、44、45、45、47、48と導電体膜からなる平面電極層51、52、53、54、55、56、57、58、59とを交互に積層し、積層方向(第1の方向)に交差する第2の方向の両端面に第1及び第2の側面電極61A、61B及び61A′、61B′をそれぞれ形成してなる。それぞれの圧電体層41、42、43、44、45、45、47、48は夫々の表面に形成された平面電極
層で、それぞれ圧電素子部を構成し、夫々の圧電素子部が第1の方向に積層されて、積層体40を構成している。
【0078】
即ち、積層体の積層方向である第1の方向の一端の底部
平面電極層51上に、圧電体層41、第1の中間部平面電極層52、圧電体層42、第2の中間部平面電極層53、圧電体層43、第3の中間部平面電極層54、圧電体層44、第4の中間部平面電極層55、圧電体層45、第5の中間部平面電極層56、圧電体層46、第6の中間部平面電極層57、圧電体層47、第7の中間部平面電極層58、圧電体層48、最上部平面電極層59をこの順に積層してなる。各々の圧電体層41乃至48は表裏面にそれぞれ平面電極層を備えて夫々圧電素子部を構成する。
【0079】
本発明の第2の実施の形態において、圧電体層41乃至48として、第1の実施の形態と同様なPZT系材料の圧電セラミック板を用いているが、圧電効果を有する材料であるならば、どのような材料であっても良いことは勿論である。
【0080】
底部平面電極層51は、圧電体層41の表面の中央部に形成された矩形の電極膜と
その一端側とは反対の他端側に引き出された第2の引き出し電極51B′を有する。
【0081】
第1乃至第7の中間部平面電極層52乃至58は、長手方向(第1の方向に交差する第2の方向)の端面に、第1の方向に進むにつれて、一端及び他端に互い違いに引き出されるように形成された一端側の第1の引き出し電極52A
、54A
、56A
、58A及び他端側の第2の引き出し電
極53A′
、55A
′、57A
′とを有する。
【0082】
最上部平面電極層59は、電極部(同じ符号59で示す)と、一端側に引き出された第1の引き出し電極5
9Bと、これと電気的に絶縁されて一端側に設けられた第1の端子用電極
59Aとを有する。また、他端側には、電極部と絶縁された一対の第2の端子用電極59A′、59B′とを有する。
【0083】
中間部平面電極層の第1の引き出し電極52A
、54A、56A、58Aは、第1の側面電極61Aによって、電気的接続されている。また、最上部
の第1の端子用電極59Aは、第1の側面電極61Aと電気接続されている。また、最上部
の第1の引き出し電極59Bは、第1の側面電極61Bと電気接続されている。また、最上部
の第2の端子用電極59A′及び
中間部の第2の引き出し電極
53A′、55A′、57A′は、第2の側面電極61A′によって、電気的接続されている。最上部
の第2の端子用電極59B′及び底部
の第2の引き出し電極51B′は、第2の側面電極61B′によって、電気的接続されている。
【0084】
図15(a)は
図13(a)、
図13(b)、
図13(c)に示す本発明の第2の実施の形態による圧電素子の分極工程を示す平面図で、
図15(b)は
図15(a)の圧電素子の電極層の電極パターンに対する分極電圧の極性を示す
図15(a)の15B−15B′線に沿う断面図、
図15(c)は
図15(a)の圧電素子の電極層の電極パターンに対する分極電圧の極性を示す
図15(a)の15C−15C′線に沿う断面図である。
【0085】
図15(a)乃至
図15(c)に示すように、最上部平面電極層
部59の極性が(−)、底部
平面電極部51及び積層方向に一つ置きの平面電極層53、55、57の極性が(+)、積層方向の最
下層よりも一つ上層の平面電極層52から一つ置きの平面電極層54、56、58が(GND)となるように、分極電圧が印加されて、圧電体層41、43、45、47、48を有する圧電素子部が、矢印65aに示すように、圧電体層42、44、46を有する圧電素子部が、矢印65bに示される第
1の方向に沿って夫々分極される。
【0086】
図16(a)は
図15(a)及び(b)に示す圧電素子に駆動電圧の極性パターンの一例を示す平面図及び断面図、図
16(b)は圧電素子の平面電極層の駆動電圧の極性パターンの他
の一例を示す平面図及び断面図である。
【0087】
図16(a)に示すように、圧電素子1は、圧電体層を有する圧電素子部の積層体の最上部平面電極層の第2の端子用電極59A′と電極部59とを接続電極部59cを追加して、第2の側面
電極61A′と接続電極部
59Cとが導電接続されている。一方、第1の端子用電極59Aと第1の側面電極61Aとが導電接続されている。
【0088】
図16(a)に示すように、印加される直流電圧の極性は、最上部平面電極
部59から一つ置きに平面電極層57、55、53を(−
)、最上部
の第1の端子用電極59A、及び最上部平面電極部59よりも一つ下層の平面電極層58及
び平面電極層58から一つおきの平面電極層56、54、52を(+)としている。
【0089】
図16(a)に示すような極性で、直流電圧を印加すると、
図16(
a)に示すように、圧電体層42、44、46
、48を有する圧電素子部に矢印66cで示される方向に電圧が印加され、圧電体層43、45、47を有する圧電素子部に矢印66dで示される方向に電圧が印加され、最上部の圧電体層48を有する圧電素子部のみが矢印66
aに示すように、第2の方向に伸張し、最上部
の圧電体層48及び底部圧電体層41を有する圧電素子部を除いた残りの圧電体層42、43、44、45、46、47を有する圧電素子部が矢印66
bで示す第2の方向に収縮する。なお、底部
平面電極層51及び圧電体層41は、収縮振動には、寄与しない。
【0090】
したがって、図
16(a)に示す極性で、交流駆動電圧を印加すると、最上部の圧電体層48を有する圧電素子部のみが第2の方向に伸
長し、圧電体層42、
43、44、
45、46、47、48を有する圧電素子部は、第2の方向に伸縮振動し、その振動方向は、矢印66a及び66bに示すように、互いに反対方向であるので、併せて圧電素子1に屈曲振動が生じる。
【0091】
図16(b)に示すように、圧電素子1の積層
体の最上部平面電極層の第2の端子用電極59A′及び59B′と電極部59とを接続電極部59C、59C′を追加して、第2の側面
電極61A′及び61B′と接続電極部59C、59C′とが導電接続されている。一方、第1の端子用電極59A、第1の引き出し電極59Bと第1の側面電極61A、61Bとが導電接続されている。
【0092】
図16(b)に示すように、印加される電圧の極性を、最上部電極部59から一つ置きに電極層57、55、53、及び底部電極層51の極性を(−)、最上部
の第1の端子用電極59A、及び最上部電極部59よりも一つ下層の電極部58及
び電極部58から一つおきの平面電極層56、54、52を(+)としている。
【0093】
図16(b)に示すような極性で、直流電圧を印加すると、
図16(b)に示すように、圧電体層41、
43、45、4
7を有する圧電素子部に夫々矢印67cで示される方向に電圧が印加され、圧電体層
42、44、46、48を有する圧電素子部に夫々矢印67dで示される方向に電圧が印加され、最上部の圧電体層48を含む圧電素子部のみが矢印67aで示されるように第2の方向に伸張し、最上部の圧電体層48を有する圧電素子部を除いた残りの圧電体層41、42、43、44、45、46、47を有する圧電素子部が矢印67bで示す第2の方向に収縮する。
【0094】
したがって、図
16(b)に示す極性で、交流駆動電圧を印加すると、最上部の圧電体層48を有する圧電素子部のみが第2の方向に伸縮振動し、圧電体層41、42、43、44、45、46、47、48を有する圧電素子部は、第2の方向に伸縮振動し、その振動方向は、矢印67a及び67bに示すように、互いに反対方向であるので、併せて圧電素子1に屈曲振動が生じる。
【0095】
図17(a)は、他の例に係る圧電素子の分極工程を示す平面図で、
図17(b)は電極層の電極パターンに対する分極電圧の極性を示す
図で、(a)の17B−17B′線に沿う断面図、
図17(c)は電極層の電極パターンに対する分極電圧の極性を示す
図で、(a)の17C−17C′線に沿う断面図である。
【0096】
図17(a)乃至
図17(c)に示すように、圧電素子
1は、4層の圧電体層
を有する積層体を有し、最上部電極部59が(−)、底部電極部51及び積層方向に一つ置きの電極層53に(+)、積層方向の底部よりも一つ上層の平面電極層52及び平面電極層52から一つ置きの平面電極層54が(GND)となるように、分極電圧が印加されて圧電体層41と圧電体層43、44が、矢印68aに示すように
分極され、圧電体層4
2が、矢印68bに示される第
1の方向に沿っ
て分極される。
【0097】
図18(a)及び(b)は
図17(a)に示す圧電素子に直流電圧を印加したときの極性パターンの一例を示す平面図及び断面図、
図18(c)及び(d)は、圧電素子の平面電極層の駆動電圧の極性パターンの他
の一例を示す平面図及び断面図である。
【0098】
図18(a)及び(b)に示すように、圧電素子1は、圧電体層の積層体の最上部平面電極層の第2の端子用電極59A′
と電極層
部59とを接続電極部59Cを追加して、導電接続している。第2の側面電
極61A′と第2の端子用電極59A′とが導電接続されている。一方、第1の端子用電極59Aと第1の側面電極
61Aとが導電接続されている。
【0099】
図18(a)及び
図18(b)に示すように、印加される直流電圧の極性は、最上部
平面電極層59から一つおき
の平面電極層53を(−)、最上部
の第1の端子用電極59A、及び最上部平面電極層59よりも一つ下層の平面電極層54及
び平面電極層54から一つおきの平面電極層52を(+)としている。
【0100】
図18(a)及び
図18(b)に示すような極性パターンで、直流電圧を印加すると、
図18(b)に示すように、圧電体層
42、
44を有する圧電素子部に矢印69cで示される方向に電圧が印加され、圧電体層43を有する圧電素子部に矢印69dで示される方向に電圧が印加され、最上部の圧電体層44を有する圧電素子部のみが矢印69aで示すように第2の方向に伸張し、最上部圧電体層4
4を有する圧電素子部及び底部圧電体層41を有する圧電素子部を除いた残りの圧電体層42、43を有する圧電素子部が矢印69bに示すように、第2の方向に収縮する。なお、底部平面電極層51及び圧電体層41を有する圧電素子部は、収縮振動には、寄与しない。
【0101】
したがって、
図18(a)及び
図18(b)に示すような極性パターンで、交流駆動電圧を印加すると、最上部圧電体層44を有する圧電素子部のみが第2の方向に伸縮振動し、最上部圧電体層を有する圧電素子部及び底部圧電体層41を有する圧電素子部を除いた残りの圧電体層42、43を有する圧電素子部が第2の方向に伸縮振動するが、矢印69a及び矢印69bに示すように、互いに逆方向に振動するので、合成されて圧電素子1は屈曲振動を行う。
【0102】
図18(c)及び
図18(d)に示すように、他の一例に係る圧電素子1の積層
体の最上部平面電極層の第2の端子用電極59A′及び59B′と平面電極層
部59とを接続電極部59C、59C′を夫々追加して、第2の
側面電極61A′及び61B′は、第2の端子用電極59A′及び59B′、及び接続電極部59C、59C′を介して、平面電極部5
9と導電接続されている。一方、第1の端子用電極59A、第1の引き出し電極59Bと第1の側面電極61A、61Bとが導電接続されている。
【0103】
図18(c)及び(d)に示すように、印加される直流電圧の極性パターンは、最上
部平面電極
部59から一つおきに平面電極層53、底部平面電極層51の極性を(−)、最上部
の第1の端子用電極59A、及び最上部平面電極層
部59よりも一つ下層の平面電極層5
4及
び平面電極層5
4から一つおきの平面電極
層52を(+)としている。
【0104】
図18(c)及び(d)に示すような極性で、直流を印加すると、
図18(d)に示すように、圧電体層42、44を有する圧電素子部に矢印70cで示される方向に電圧が印加され、圧電体層41、43を有する圧電素子部に矢印70dで示される方向に電圧が印加され、最上部の圧電体層44のみが矢印70aに示す第2の方向に伸張し、最上部の圧電体層44を除いた残りの圧電体層41、42、43が矢印70bに示す第2の方向に収縮する。
【0105】
したがって、
図18(c)及び
図18(d)に示すような極性で、交流駆動電圧を印加すると、最上部の圧電体層44を有する圧電素子部のみが第2の方向に伸縮振動し、最上部圧電体層を有する圧電素子部を除いた残りの圧電体層41、42、43を有する圧電素子部が第2の方向に伸縮振動するが、矢印70a及び矢印70bに示すように、互いに逆方向に振動するので、合成されて圧電素子は屈曲振動を行う。
【0106】
図20(a)は、本発明の第2の実施の形態による圧電振動モジュールの変形例を示す斜視図、
図20(b)は
図20(a)の20B−20B′線に沿う断面図、
図20(c)は
図20(a)の20C−20C′線に沿う断面図、
図20(d)は導電性部材の接続状態を示す平面図である。
【0107】
図20(a)、
図20(b)、
図20(c)、及び
図20(d)を参照すると、第2の実施の形態の変形例に係る圧電振動モジュールは、第2の
実施の形態によるものとは、弾性を有する導電性部材25の個数が異なる。即ち、変形例に係る圧電振動モジュール10は、圧電素子1の最上部平面電極層の第2の方向の一端側の導電性部材25にさらに、第2の方向の他端に第2の端子用電極59A′、59B′に跨って設けられた導電性部材25と同様な導電性ゴムからなる導電性部材26を有している。
【0108】
図21(a)は
図13(a)、
図13(b)及び
図13(c)に示された第2の実施の形態による圧電振動モジュールの駆動回路基板への実装状態を示す断面図、
図21(b)は
図20(a)の第2の実施の形態の変形例に係る圧電振動モジュールの駆動回路基板への実装状態を示す断面図である。
【0109】
図21(a)及び
図21(b)に示すように、第2の実施の形態及び変形例に係る圧電振動モジュール10は、導電性ゴムよりなる導電性部材25、26の突出部を介して、駆動回路基板50に実装される。
【0110】
図22(a)は
図21(a)の第2の実施の形態による圧電振動モジュールの駆動回路基板への実装方法を示す断面図、
図22(b)は、
図21(
b)の第2の実施の形態の変形例に係る圧電振動モジュールの駆動回路基板への実装方法を示す断面図である。
【0111】
図22(a)及び
図22(b)に示すように、第2の実施の形態及びその変形例に係る圧電振動モジュール10は、筐体75によって矢印73及び74に示すように、圧力をかけ、夫々導電性ゴムよりなる導電性部材25、26の突出部を10−50%押し込むことによって、駆動回路基板50に電気接続されて、筐体75内に収容されて実装される。
【0112】
図23(a)は本発明の第3の実施の形態による圧電振動モジュールを示す斜視図、
図23(b)は、
図23(a)の圧電振動モジュールの23B−23B′線に沿う断面図、
図23(c)は、
図23(a)の圧電振動モジュールの23C−23C′線に沿う断面図、
図23(d)は、
図23(a)の第3の実施の形態による圧電振動モジュールの変形例に係る圧電振動モジュールの
図23(c)と同じ位置である23C−23C′線に沿う断面図である。
【0113】
図23(a)、
図23(b)、及び
図23(c)に示される第3の実施の形態による圧電振動モジュールは、
図1(a)、
図1(b)、及び
図1(c)に示される第1の実施の形態による圧電振動モジュールとは、音圧調整手段が設けられている点で異なる。
【0114】
即ち、
図23(a)、
図23(b)、及び
図23(c)に示すように、圧電振動モジュール10は、矩形状の圧電素子1と、圧電素子1の一表面に接続された引き出し用の配線部材4としてのフレキシブル配線(FPC)基板4と、前記圧電素子1の他の表面
に接着剤5を介して張り付けた弾性板2と、弾性板2とともに圧電素子を覆うハウジング部材3とを有している。
【0115】
圧電素子1は、
図2、図3に示すものと同様に、矩形状の圧電セラミックス板からなる圧電体層21、22、及び23と導電体膜からなる電極層11、12、13、及び14とを交互に積層し、積層方向(第1の方向)に交差する第2の方向の両端面に第1及び第2の側面電極15及び16をそれぞれ形成してなる。
【0116】
本発明の第3の実施の形態において、本発明の第1の実施の形態と同様に、圧電体層
21、22、23として、PZT系材料の圧電セラミック板を用いているが、圧電効果を有する材料であるならば、どのような材料であっても良いことは勿論である。
【0117】
弾性板2は、温度安定特性の向上、及び振動変位の向上を図るために、JIS K 623で示すデュロメータ硬度が30−130で、振動変位の上昇と落下衝撃耐久性両立のために、厚さ0.1〜0.9mmのシリコーンゴムからなる。
【0118】
配線部材4としてのフレキシブル配線基板(FPC基板)4は、圧電素子1の一表面の端部寄りに設けられている。
【0119】
図7(a)のところで示したものと同様に、FPC基板4は、フレキシブル基材4cの一表面(図では裏面)の長さ方向両側に互いに平行に導体パターン4a、4bが形成されている。
【0120】
図2で示したものと同様に、弾性板2は、圧電素子1のFPC基板4が設けられている表面と対向する反対側の表面に、常温硬化型接着剤もしくはシリコーン系両面テープのような接着材5を介して貼り付けられている。この接着材5の硬度は、弾性板2と同一か、もしくは弾性板2よりも柔らかいことが好ましい。
【0121】
弾性板2は、
図2の例と同様に、タッチパネルの振動板6に貼り付けて使用されているが、スマートフォン等のスピーカとしての使用や、可聴域の他に、バイブ等の低周波の振動発生も可能である。
【0122】
以上までは第1の実施の形態と同様である。
【0123】
図23(a)、
図23(b)、及び
図23(c)に示すように、本発明の第3の実施の形態による圧電振動モジュール10は、第1の実施の形態による圧電振動モジュールとは、ハウジング部材3に埋設されてハウジング複合部材を構成する複合化材80を有する点で異なる。複合化材80は、音圧周波数特性
をフラット化する音圧調整手段として機能する。
【0124】
図23(d)に示す変形例に係る複合化材80のように、ハウジング部材3から一面が露出して設けられても良いことは勿論である。
【0125】
図25(a)は本発明の第4の実施の形態による圧電振動モジュールを示す斜視図、
図25(b)は、
図25(a)の圧電振動モジュールの25B−25B′線に沿う断面図、
図25(c)は、
図25(a)の圧電振動モジュールの25C−25C′線に沿う断面図である。
【0126】
図25(a)、
図25(b)、及び
図25(c)に示される第4の実施の形態による圧電振動モジュールは、
図1(a)、
図1(b)、及び
図1(c)に示される第1の実施の形態による圧電振動モジュールとは、音圧調整手段が設けられている点で異なる。音
圧調整手段は、ハウジング
部材3の表面に突出して、一列に間隔を置いて並んで設けられた3個の突起部3aからなり、この突起部3aは、表面振動分布を平坦化するとともに、ガラスパネルの共振モードの節となる部分に設けられている。これによって、スピーカー等の音質が低下することとなるガラスパネルとの共振を避けることができる。
【0127】
以上説明した本発明の第2、第3、及び第4の実施の形態においては、第1の実施の形態と同様に、圧電振動モジュールは、
弾性板2及びハウジング部材3によって、圧電素子を覆うように構成したが、シリコーンゴム等の弾性を有する材料であるならば、モールドによって一体に形成しても良いことは勿論である。
【実施例】
【0128】
次に、本発明の実施の形態による圧電振動モジュールの諸特性について説明する。
【0129】
(実施例1)
図1(a)、
図1(b)、及び
図1(c)に示す構造の圧電素子1と、圧電振動モジュール10を用意した。本発明の実施例に係る圧電振動モジュールの圧電素子の
弾性板2及びハウジング部材3には、シリコーンゴムを用いている。
【0130】
本発明の実施例に係る圧電振動モジュールは、長さ27mm、厚さ1.0mm、幅5.0mmの圧電素子1に対して、全体の長さ30mm、厚さ1.8mm、幅3.0mmを有している。
【0131】
比較のために、同じ寸法でこの圧電振動モジュールの
弾性板及びハウジング部材として、ポリウレタンでモールドした圧電振動モジュールを用いた。
【0132】
変位の測定は、ファンクションジェネレータと高周波アンプとを用いて、20Vpp、300〜3400Hzの駆動電圧を入力し、変位をレーザー変位計によって測定した。
【0133】
本発明の実施例による圧電振動モジュール、比較例に係る圧電振動モジュールを恒温槽中にて温度を−40℃から100℃に変化させて、変位の温度特性及び変位変化率の温度特性を調べた。その結果を
図9(a)及び
図9(b)に示す。
【0134】
図9(a)に示すように、変位(nm単位で、Peak to Peakの変位振幅のこと、以下nmppと呼ぶ)は、−30〜80℃の間で、1700〜2400の範囲内で、素子の変位及び比較例に比べて明らかに変位の変動が少ないことが判明した。
【0135】
図9(b)に示すように、変位変化率(nmpp)は、−30〜80℃の間で、10〜−8の範囲内で、素子の変位変化率及び比較例に比べて明らかに変位の変化率が少ないことが判明した。
【0136】
(実施例2)
実施例1で使用したものと同様の本発明の圧電振動モジュールにおいて、室温にて、実施例1と同様の変位計を用いて、圧電振動モジュールのハウジング部材及び
弾性板のシリコーンゴムのデュロメータ硬度(JIS K 6253)を10から16まで変化させて、硬度に対する変位を測定した。その結果を、
図10に示す。図
10に示すように、硬度30−130のシリコーンゴムにおいては、変位(nmpp)が1500−2000の最適値であることが判明した。デュロメータ硬度を30〜130とすることで振動変位の大きさを増大させることができる。
【0137】
(実施例3)
実施例1で使用したものと同様の構造で、シリコーンゴムの厚み(片側厚み)のみ異なる圧電振動モジュールと、同じ厚みの圧電振動モジュールを用いて、夫々室温にて、実施例1と同様な変位測定によって、シリコーンゴムの厚み(片側厚み)に対する変位を測定した。また、本発明の圧電振動モジュールを
、高さを変化して落下させ、圧電素子の破損、ひびわれ、欠け等の有無に基いて、許容落下高さを測定した。
【0138】
その結果を、
図11に示す。
図11に示すように、厚みが0.1〜0.8mmの範囲内で変位(nmpp)は、1500から2300の範囲内であり、許容落下高さ1.5m〜2.2mであることが判明した。このことから、シリコーンゴムの片側厚みを0.1〜0.8mmとすることで、振動変位と落下衝撃耐久性の両方を図ることが出来る。
【0139】
(実施例4)
図13及び
図20に示す圧電振動モジュール10であって、
図14に示すものと同様に最上部及び最下部平面電極層及び中間部平面電極層を形成し、圧電体層を有する圧電素子部を16層積層した本発明によるもの、および、通常品である圧電体層を有する圧電素子部を15層積層した比較例に係るものとを作製し、その音圧の周波数特性を調べた。なお、本発明の実施例4に係る圧電素子モジュールは、圧電素子の幅2.4mm、長さ27mm、厚さ1.0mmで、あった。その結果を
図19に示す。
図19において、横軸は駆動電圧の周波数(Hz)、縦軸は音圧(dBspl)を示している。
図19に示すように、曲線91に示す圧電素子部(圧電体層)を15層積層した比較例に係るものよりも、曲線92で示される圧電素子部(圧電体層)を16層積層した本発明によるものの方が、音圧が上昇していることが分かる。
【0140】
(実施例5)
図23(A)、(b)、及び(c)に示すハウジング部材の複合化材として、厚さ50μmのステンレスであるSUS304よりなる複合化板材A及び厚さ200μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)である複合化板材Bを夫々ハウジング部材と一体化して、圧電振動モジュールを作製した。また、比較のために、
図1(a)、
図1(b)及び
図1(c)に示す第1の実施の形態による圧電振動モジュールを作製した。なお、圧電素子は、幅2.4mm、長さ27mm、厚さ1.0mmで、
弾性板及びハウジング部材は、厚さ1.8mm、幅2.4mm、長さ30mmであった。この圧電振動モジュールの音圧の周波数依存性を調査した。その結果を
図24に示す。
図24において、横軸は駆動周波数(Hz)、縦軸は音圧(dBspl)を示している。
図24に示すように、曲線93に示す第1の実施の形態による圧電振動モジュールは、周波数に対して起伏が激しい
が、本発明の複合化材A及びBを用いたいずれの圧電振動モジュールも、曲線95及び94に示すように音圧の周波数特性がフラット化していることがわかる。これは、複合化された板材によって、圧電素子の共振と取り付けられる被取り付け物の共振とが相殺されるためである。
【0141】
(実施例6)
図25(a)、
図25(b)、及び
図25(c)に示される圧電振動モジュールをガラ
ス板81の振動の共振を避ける目的で、ガラス板81の共振の節もしくはその付近に突起
部3aが位置するように取り付けてその振動分布を調べた。なお、圧電素子は、幅2.4
mm、長さ27mm、厚さ1.0mm、圧電振動モジュールのハウジング部材及び
弾性板
の外装部材は、長さ30mm、幅3.0mm、厚さ1.8mmである。
【0142】
図26(a)は
図25(a)に示す圧電振動モジュールの突起部側にガラス板を載せてその振動の平面分布を調査した平面図、
図26(b)は
図25(a)に示す圧電振動モジュールの突起部側にガラス板を載せてその振動の垂直分布を調査した正面図である。比較のために、
図27(a)は
図1(a)に示す圧電振動モジュール
にガラス板を載せてその振動の平面分布を調査した平面図、
図27(b)は
図1(a)に示す圧電振動モジュールの突起部側にガラス板を載せてその振動の垂直分布を調査した正面図である。
【0143】
図26(a)及び
図27(a)の比較において、本発明に係る突起部3aを有するものの振動の平面分布82は、突起部のないものの平面分布83よりも、その変動が大きいことが分かる。また、
図26(b)及び
図27(b)の比較から、本発明に係る突起部3aを有するものの振動の垂直分布82は、比較例に係る突起部のないものの振動の垂直分布83よりも、その変動が大きいことが分かる。
【0144】
なお、突起部3aの位置を圧電素子の振動の腹におけば、振動の伝播がより大きくなり、振動の平面分布及び振動の垂直分布もより大きく変化が大きくなることは明白である。